(実施形態)
以下、本実施形態に係る移動体制御システム1及び移動体システム10について、図1~図8を参照して説明する。
(1)概要
本実施形態に係る移動体制御システム1は、図2に示すように、所定エリアA1(図1参照)内を移動する1台以上の移動体2を制御するためのシステムである。移動体制御システム1は、移動体制御システム1の制御対象となる移動体2とともに移動体システム10を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る移動体システム10は、移動体制御システム1と、移動体2と、を備えている。
本開示でいう「移動体」は、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)、移動ロボット及びドローン等を含む。本開示でいう「移動ロボット」は、例えば、車輪型、クローラ型又は脚型の(歩行型を含む)のロボットである。移動体2は、所定エリアA1内を移動するだけでなく、例えば、搬送、ピッキング、溶接、実装、陳列、接客、警備、組立及び検査等の様々な作業を実行する機能を有していてもよい。
移動体制御システム1は、例えば、所定エリアA1内において、第1地点から第2地点に移動体2を移動させるように、移動体2の制御を行う。この場合、移動体制御システム1は、例えば、第1地点から第2地点に至る移動経路等、移動体2の制御に必要な情報を求め、移動体2に移動の指示を与えることにより、移動体2を第1地点から第2地点に移動させる。これにより、移動体2は、移動体制御システム1からの指示に従って、所定エリアA1内を移動することが可能である。
ところで、本実施形態に係る移動体制御システム1は、図2に示すように、経路決定部32と、制御部42と、を備えている。
経路決定部32は、図3に示すように、所定エリアA1内を移動する移動体2を第1地点(例えばノードNd1に対応する地点)から第2地点(例えばノードNd2に対応する地点)に移動させる移動経路を決定して移動体2に指示する。尚、ノードNd1,Nd2は、所定エリアA1に対応するマップM1上の点であり、詳細は後述する。
制御部42は、経路決定部32から指示された移動経路に沿って移動するように移動体2を制御する。
経路決定部32は、第2地点(ノードNd2に対応する地点)が直進コースCS1上に存在しない場合に、移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路RT1(図3参照)と第2移動経路RT2(図3参照)とのいずれかに決定する。直進コースCS1は、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から移動体2が直進する場合のコースである。第1移動経路RT1は、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から第2地点(ノードNd2に対応する地点)まで移動する途中に設定したカーブ区間CV1で曲がることによって方向転換する経路である。第2移動経路RT2は、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から第2地点(ノードNd2に対応する地点)まで移動する途中で直進コースCS1上に設定した回転地点P1(ノードNd12に対応する地点)で回転することによって方向転換する経路である。
本実施形態の移動体制御システム1では、経路決定部32は、複数のグリッド線GX,GYによって、所定エリアA1を複数の領域A10に分割している。複数のグリッド線GXは、所定エリアA1内にX軸にそれぞれ略平行で略一定の間隔で配置され、複数のグリッド線GYは、所定エリアA1内にY軸にそれぞれ略平行で略一定の間隔で配置されている。各領域A10は例えば正方形状である。各領域A10の大きさは、各領域A10に存在する移動体2がその場で回転(旋回)した場合に、当該領域A10の外側に存在する物体(例えば他の移動体2)と干渉しないような大きさに設定されている。したがって、各領域A10の大きさは移動体2の大きさ等に応じて適宜の大きさに設定されればよく、本実施形態では、各領域A10は一辺の長さL1が例えば180cmに設定されている。
本実施形態の移動体制御システム1では、経路決定部32は、各領域A10の中心G1の位置をノード(Nodes)Ndmとしている。ノードNdmの添え字「m」には、自然数(1,2,3,…)が入る。ここで、複数のノードNdmは移動体制御システム1によって移動体2の制御が可能な制御点であり、移動体制御システム1は、ノード単位で移動体2の移動に係る制御が可能である。したがって、本実施形態の移動体制御システム1は、移動体2を第1地点から第2地点まで移動させる場合に、第1地点、第2地点、及び回転地点P1にそれぞれ対応するノードNdmを複数のノードNdmから指定することができる。図3の例では、第1地点、第2地点、及び回転地点P1にそれぞれノードNd1、ノードNd2、及びノードNd12が指定されている。ここで、本実施形態の移動体制御システム1では、移動体2はX軸及びY軸とそれぞれ略平行な方向に沿って直進が可能である。移動体2が直線状のコースに沿って移動することを直進移動と言い、移動体2が直進移動する場合のコースを「直進コース」とも言う。本実施形態の移動体制御システム1は、移動体2が方向転換するカーブ区間以外では、移動体2がX軸又はY軸と略平行な直線コースに沿って移動するように、移動体2を制御する。
上述のように、経路決定部32は、第1地点から第2地点に移動させる移動経路を決定する場合に、移動体2の移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路RT1(図3参照)と第2移動経路RT2(図3参照)とのいずれかに決定する。
移動体2の移動経路が第1移動経路RT1に決定された場合、第2移動経路RT2のように移動体2が回転地点P1(図3の例ではノードNd12に対応する地点)で停止して回転するという動作がなくなるので、移動体2の移動にかかる時間を短縮可能な移動体制御システム1を提供できる。
(2)構成
以下、本実施形態に係る移動体制御システム1、及び移動体システム10の構成について、図1、図2、及び図4を参照して、詳細に説明する。以下に示す、数値、形状、材料、構成要素の位置、複数の構成要素間の位置関係及び接続関係等は、一例であって、本開示を限定する主旨ではない。また、以下で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
以下では、移動体制御システム1の制御対象、つまり移動体システム10に含まれる移動体2が、無人搬送車である場合を例として説明する。移動体2としての無人搬送車は、所定エリアA1内を移動しつつ、搬送物92(図4参照)の搬送という作業を実行する。本実施形態で例示する移動体2の構成について詳しくは、「(2.2)移動体」の欄で説明する。
本開示でいう「所定エリア」は、1台以上の移動体2が配備された空間であって、移動体2は、移動体制御システム1からの指示を受けて、この所定エリアA1内を移動する。所定エリアA1は、一例として、倉庫、工場、建設現場、店舗(ショッピングモールを含む)、物流センタ、事務所、公園、住宅、学校、病院、駅、空港又は駐車場等である。さらに、例えば、船舶、電車又は飛行機の内部等、乗り物の内部に移動体2が配備されている場合には、乗り物の内部が所定エリアA1になる。本実施形態では、所定エリアA1が物流倉庫である場合を例に説明する。
(2.1)全体構成
移動体システム10は、図1及び図2に示すように、移動体制御システム1と、1台以上の移動体2と、を備えている。本実施形態では、移動体システム10は、複数台の移動体2を備えている。
図1は、所定エリアA1の模式的な平面図である。本実施形態では、物流倉庫であって、外壁901で囲まれた空間が所定エリアA1となる。本実施形態で想定している所定エリアA1には、搬送物92を所定エリアA1内に搬入するための入口902、及び搬送物92を所定エリアA1から搬出するための出口903がある。さらに、所定エリアA1には、複数本の柱904、隔壁905及びベルトコンベア906が配置されている。
移動体制御システム1は、サーバ装置3と、1以上のクライアント端末4と、1以上の通信端末5と、を備えている。本実施形態では、移動体制御システム1は、複数のクライアント端末4及び複数の通信端末5を備えている。複数のクライアント端末4及び複数の通信端末5は、複数台の移動体2とともに所定エリアA1内に配置されている。サーバ装置3は、所定エリアA1の外に設置され、インターネット等のネットワークNT1を介して、複数の通信端末5に接続されている。
サーバ装置3と複数のクライアント端末4の各々とは、互いに通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、サーバ装置3と複数のクライアント端末4の各々とは、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、複数のクライアント端末4の各々は、複数の通信端末5のいずれかと、電波を媒体とする無線通信によって通信を行う。そのため、サーバ装置3と複数のクライアント端末4とは、少なくともネットワークNT1及び通信端末5を介して、間接的に通信を行うことになる。
要するに、各通信端末5は、各クライアント端末4とサーバ装置3との間の通信を中継する機器(アクセスポイント)である。通信端末5は、ネットワークNT1を介して、サーバ装置3と通信する。本実施形態では一例として、通信端末5と移動体2との間の通信には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信を採用する。また、ネットワークNT1は、インターネットに限らず、例えば、所定エリアA1内又は所定エリアA1の運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよい。
本実施形態では一例として、クライアント端末4と移動体2とは一対一の関係にある。つまり、1台の移動体2に対して1つのクライアント端末4が搭載されることにより、1台の移動体2と1つのクライアント端末4とが紐付けられている。本実施形態では、クライアント端末4と移動体2とは一体化されている。詳しくは「(2.2)移動体」の欄で説明するが、クライアント端末4は移動体2の車体部22に搭載されることで、移動体2と一体化されている。つまり、移動体2の1つの筐体には、移動体2としての機能を実現するための構成要素と、クライアント端末4の構成要素と、が収容されている。そのため、クライアント端末4を移動体2の一部とみなすこともでき、そうすると、サーバ装置3は、ネットワークNT1及び通信端末5を介して、移動体2と間接的に通信を行うことになる。結果的に、サーバ装置3は、クライアント端末4(移動体2)と通信することにより、このクライアント端末4に対応する移動体2を間接的に制御することが可能である。
また、本実施形態では、サーバ装置3に、インターネット等のネットワークNT1を介して、情報端末6が接続されている。つまり、サーバ装置3と情報端末6とは、互いに通信可能に構成されており、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、情報端末6は、例えば、ルータ等を介してネットワークNT1に接続される。そのため、サーバ装置3と情報端末6とは、少なくともネットワークNT1を介して、間接的に通信を行うことになる。サーバ装置3、通信端末5又は情報端末6と、ネットワークNT1との間の通信には、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が適用される。
本実施形態では、サーバ装置3、クライアント端末4及び情報端末6の各々は、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする。すなわち、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、プロセッサが実行することにより、サーバ装置3、クライアント端末4及び情報端末6の各々の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
サーバ装置3と、クライアント端末4及び情報端末6とは、互いに双方向に通信可能である。そのため、サーバ装置3からクライアント端末4又は情報端末6への情報の送信、さらには、クライアント端末4又は情報端末6からサーバ装置3への情報の送信の両方が可能である。したがって、サーバ装置3は、ネットワークNT1及び通信端末5を介して移動体2(クライアント端末4)と通信し、移動体2を制御する。
(2.2)移動体
次に、本実施形態で例示する移動体2の構成についてより詳細に説明する。
移動体2は、図4に示すように、例えば、所定エリアA1の床面等からなる平坦な移動面91を自律走行する。移動体2は、所定エリアA1内で搬送物92を運搬するための無人搬送車であり、搬送物92を積載して目的地まで自律走行する。ここでは一例として、移動体2は、蓄電池を備え、蓄電池に蓄積された電気エネルギを用いて動作することとする。本実施形態では、移動体2は、搬送物92を積載した状態で移動面91上を走行する。これにより、移動体2は、例えば、所定エリアA1における、ある場所に置かれている搬送物92を、所定エリアA1における別の場所に搬送することが可能である。本実施形態では、搬送物92は、一例として、荷物が載せられた、ロールボックスパレット等のパレットである。
移動体2は、本体部21を備えている。本体部21は、平面視において長方形状となる直方体状に形成されている。本実施形態では、本体部21が搬送物92の下方に潜り込んで搬送物92を持ち上げるようにして、搬送物92が本体部21に積載される。そのため、本体部21が搬送物92の下方に生じる隙間に収まるように、本体部21の上下方向の寸法は、平面視における本体部21の短手方向の寸法に比べても小さく設定されている。本実施形態では、本体部21は金属製である。ただし、本体部21は、金属製に限らず、例えば、樹脂製であってもよい。
本体部21は、車体部22と、昇降板23と、を有している。車体部22は、複数(ここでは、4つ)の車輪221、及び検知部222を含んでいる。
複数の車輪221は、平面視において車体部22の四隅に配置されている。本実施形態では、複数の車輪221の全てが駆動輪である。これら複数の車輪221が個別に駆動されることにより、本体部21は、移動面91に沿って全方位に移動可能となる。車体部22は、複数の車輪221が同一方向に同一速度で回転駆動されることによって、直線的に走行する。また、車体部22は、複数の車輪221間に回転差が与えられることによって、曲線状のコースに沿って曲がったり、その場で回転したりすることができる。ここにおいて本実施形態では、車体部22が曲線状のコースに沿って曲がることを「カーブ走行」ともいい、その場で回転することを「旋回走行」ともいう。車体部22は、例えば、クラッチ等を含む駆動機構を介して複数の車輪221を駆動してもよい。つまり、本体部21は、複数の車輪221の各々の回転により、移動面91の上を、前、後、左及び右の全方位に移動可能である。複数の車輪221の各々は、例えば、オムニホイール等の全方向移動型車輪であってもよい。
検知部222は、本体部21の挙動、及び本体部21の周辺状況等を検知する。本開示でいう「挙動」は、動作及び様子等を意味する。つまり、本体部21の挙動は、本体部21が走行中/停止中を表す本体部21の動作状態、本体部21の速度(及び速度変化)、本体部21に作用する加速度、及び本体部21の姿勢等を含む。具体的には、検知部222は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部21の挙動を検知する。また、検知部222は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、これらのセンサにて本体部21の周辺状況を検知する。本体部21の周辺状況には、例えば、本体部21の進行方向の前方に存在する物体(障害物等)の有無、及び物体の位置(距離及び方位)等が含まれる。障害物には、他の移動体2及び人も含まれる。
また、検知部222は、本体部21の位置、つまり移動体2の現在位置を特定する位置特定部を有している。位置特定部は、一例として、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を含む。複数の発信器は、移動体2が移動する範囲内、つまり所定エリアA1内の複数箇所に配置されている。位置特定部は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、本体部21の位置を測定する。位置特定部は、本実施形態ではLPS(Local Positioning System)等の測位システムを用いて実現されているが、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを用いて実現されてもよい。検知部222の検知結果は、クライアント端末4に出力される。
クライアント端末4は、サーバ装置3と協働して、少なくとも本体部21の現在位置に基づいて、目的地までの本体部21の移動経路を決定し(経路計画)、この移動経路に沿って本体部21が移動するように車体部22を動作させる。すなわち、移動体制御システム1は、クライアント端末4にて、移動体2を制御する。本体部21は、クライアント端末4からの制御信号に基づいて、複数の車輪221を個別に駆動することにより、移動面91上を自律的に移動する。これにより、本体部21の自律走行が実現される。
昇降板23は、車体部22の上面の少なくとも一部を覆うように、車体部22の上方に配置されている。本実施形態では、昇降板23は、車体部22の上面の四隅をそれぞれ覆うように設けられている。移動体2にて搬送物92を搬送する際には、昇降板23の上面に搬送物92が積載される。
ここで、昇降板23は、車体部22に対して昇降可能である。このため、本体部が搬送物92の下方に潜り込んだ状態で、昇降板23が上昇することにより、昇降板23にて搬送物92が持ち上げられる。反対に、昇降板23にて搬送物92を持ち上げた状態で、昇降板23が下降することにより、昇降板23から搬送物92が降ろされる。
ところで、移動体2の走行モードは、移動体制御システム1の指令(制御信号)に従う自動走行モードと、リモートコントローラの指令に従う手動走行モードと、を含む。リモートコントローラは、移動体2と無線通信し、操作者による操作で移動体2の動作を制御するための装置である。
また、移動体2は、上記以外の構成、例えば、蓄電池の充電回路、及びユーザインタフェース等を適宜備えている。ユーザインタフェースは、移動体2への指令等の情報を入力するための構成要素である。ユーザインタフェースは、例えば、足踏み式の複数のペダルにて実現される。複数のペダルでは、例えば、移動体2の走行/停止、移動体2の走行モードの切替え、移動体2の移動経路の選択、移動体2の走行方向の変更、昇降板23の昇降、並びに複数の車輪221のロック/解除等のための操作入力が可能である。また、ユーザインタフェースは、移動体2に設定する移動経路の出発点及び目的点の少なくとも一方を設定可能に構成されていてもよい。ユーザインタフェースの構成及び機能は、複数のペダルを用いた上記構成及び機能に限定されない。さらに、移動体2の走行モードに関係なく、移動体2を緊急停止させるための緊急停止装置が設けられていてもよい。緊急停止装置は、移動体2に搭載されていてもよいし、リモートコントローラのように、移動体2と無線通信するように構成されていてもよい。
ところで、本実施形態では、上述したように、クライアント端末4は移動体2に搭載されることで、移動体2と一体化されている。本実施形態では、クライアント端末4が移動体2の動作の邪魔にならないように、クライアント端末4は、本体部21に内蔵されている。つまり、本体部21の外郭を構成する筐体には、移動体2としての機能を実現するための構成要素と、クライアント端末4の構成要素と、が収容されている。
また、移動体2の動力源(電源)となる蓄電池は、クライアント端末4の動力源に兼用されてもよい。つまり、蓄電池は、移動体2とクライアント端末4とで共用可能である。さらに、クライアント端末4の制御機能(制御部42)は、移動体2における車体部22の制御と昇降板23の制御とに兼用されてもよい。
(2.3)クライアント端末
次に、クライアント端末4の構成についてより詳細に説明する。
クライアント端末4は、図2に示すように、第2通信部41と、制御部42と、インタフェース43と、第2記憶部44と、を有している。
第2通信部41は、ネットワークNT1及び通信端末5を介して間接的に、サーバ装置3と通信する。第2通信部41とサーバ装置3との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
制御部42は、移動体2の走行モードが自動走行モードにある場合において、サーバ装置3からの指示に従って、移動体2の本体部21に制御信号を出力する。これにより、制御部42は、移動体2を制御する。より詳細には、制御部42は、第2通信部41により、サーバ装置3との間で情報の送受信を行い、インタフェース43により、移動体2との間で情報の送受信を行う。制御部42は、サーバ装置3から取得する指示情報に従って、制御信号を生成する。制御部42は、制御信号を移動体2に出力することによって、指示情報で規定される、発進、停止、カーブ走行、又は旋回走行等の動作を移動体2に実行させる。指示情報には、移動体2の移動経路、移動速度及び進行方向等に関する情報も含まれている。制御部42は、指示情報を定期的(例えば、1秒ごと)にサーバ装置3から取得する。
また、制御部42は、検知部222の検知結果を移動体2から取得し、取得した検知結果を第2通信部41からサーバ装置3に送信する機能を有している。検知部222の検知結果には、本体部21の挙動、本体部21の周辺状況、本体部21の位置、進行方向等に関する情報が含まれている。制御部42は、検知部222の検知結果を定期的(例えば、1秒ごと)に移動体2から取得する。
本実施形態では、制御部42は、サーバ装置3からの指示に従って、移動体2を制御するので、検知部222の検知結果についても、基本的にはサーバ装置3での演算に用いられる。ただし、検知部222の検知結果は、制御部42での処理に用いられてもよい。この場合、制御部42は、検知部222の検知結果から、例えば、移動体2の周囲における障害物の有無及びその位置等に関する障害物情報を抽出し、障害物情報に従って移動体2を制御する。一例として、制御部42は、移動体2の移動経路、又は移動経路の近傍に障害物の存在を認めた場合に、移動体2を停止させる。その後、制御部42は、検知部222により移動経路、又は移動経路の近傍の障害物がなくなったことをもって、移動体2の移動を再開する。
インタフェース43は、直接的又は間接的に、移動体2と通信する。インタフェース43と移動体2との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
第2記憶部44は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的な記録媒体にて実現される。第2記憶部44は、例えば、サーバ装置3から取得した指示情報、及び検知部222の検知結果等の情報を記憶する。
(2.4)サーバ装置
次に、サーバ装置3の構成について、図2を参照してより詳細に説明する。
サーバ装置3は、図2に示すように、第1通信部31と、経路決定部32と、第1記憶部33と、を有している。
第1通信部31は、ネットワークNT1及び通信端末5を介して間接的に、クライアント端末4と通信する。さらに、第1通信部31は、ネットワークNT1を介して間接的に、情報端末6と通信する。第1通信部31とクライアント端末4又は情報端末6との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。
経路決定部32は、所定エリアA1内の第1地点から第2地点に移動体2を移動させる移動経路を決定し、移動経路の情報を含む指示情報を第1通信部31を介して移動体2に対応するクライアント端末4に送信する。経路決定部32は、例えば図3に示すように、第2地点(ノードNd2に対応する地点)が第1地点(ノードNd1に対応する地点)から移動体2が直進する場合の直進コースCS1上に存在しない場合、移動体2の移動経路を所定の判定条件に従って第1移動経路RT1と第2移動経路RT2とのいずれかに決定する。第1移動経路RT1は、第1地点から第2地点まで移動する途中に設定したカーブ区間CV1で曲がる(カーブ走行する)ことによって方向転換する経路である。第2移動経路RT2は、第1地点から第2地点まで移動する途中に設定した回転地点P1(ノードNd12に対応する地点)で回転(旋回走行)することによって方向転換する経路である。
ここにおいて、複数の移動体2のうちの一の移動体である対象移動体2A(図3参照)を第1地点から第2地点まで移動させる場合の判定条件は、例えば、複数の移動体2のうち対象移動体2A以外の移動体である他移動体2B(図3参照)の移動状況を含む。なお、経路決定部32は、複数の移動体2のそれぞれについて移動経路を決定しており、複数の移動体2の全てが対象移動体2Aになりうる。経路決定部32が、複数の移動体2のうちのある移動体を対象移動体2Aとして対象移動体2Aの移動経路を決定する場合、複数の移動体2のうち対象移動体2A以外の移動体が他移動体2Bとなる。
他移動体2Bの移動状況とは、対象移動体2Aを第1地点(例えばノードNd1に対応する地点)から第2地点(例えばノードNd2に対応する地点)まで移動させる場合の移動経路における、他移動体2Bの状況である。すなわち、経路決定部32は、対象移動体2Aを第1地点から第2地点まで移動させる場合の移動経路における他移動体2Bの状況に基づいて、移動経路を第1移動経路RT1と第2移動経路RT2とのいずれかに決定する。移動経路における他移動体2Bの状況とは、移動経路における他移動体2Bの有無、移動経路に他移動体2Bが存在する場合は移動経路に存在する他移動体2Bが走行中(動いている)か否かを示す情報等である。
経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を決定すると、決定した移動経路を示す指示情報を第1通信部31から対象移動体2Aに対応したクライアント端末4に送信させる。これにより、クライアント端末4の制御部42は、経路決定部32から受信した指示情報に基づいて対象移動体2Aの移動を制御することができる。
第1記憶部33は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリ等の非一時的記録媒体にて実現される。第1記憶部33は、サーバ装置3内に組み込まれる構成に限らず、例えば、サーバ装置3がアクセス可能なクラウド(クラウドコンピューティング)等に存在してもよい。第1記憶部33は、例えば、所定エリアA1のマップに関する地図情報、各移動体2の移動経路に関する経路情報、各移動体2に関する移動体情報等を記憶する。
サーバ装置3の各部の動作について詳しくは「(3)動作」の欄で説明する。
(2.5)情報端末
情報端末6は、ユーザの操作を受け付ける機能、及びユーザに情報を提示(表示)する機能を有する端末である。ここでいう「ユーザ」は、移動体制御システム1のユーザ、移動体システム10のユーザを含む。
情報端末6は、上述したように、メモリ及びプロセッサを含むコンピュータシステムを主構成とする。本実施形態では、一例として、情報端末6は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等の端末であることとして説明する。情報端末6は、専用のアプリケーションソフトをインストールし、このアプリケーションソフトを起動することにより、以下に説明する機能を実現する。
情報端末6は、第3通信部61と、表示部62と、操作部63と、を有している。
第3通信部61は、ネットワークNT1を介して間接的に、サーバ装置3と通信する。ここでは、情報端末6は、例えば、電波を媒体とする無線通信により、ルータ等を介してネットワークNT1に接続される。情報端末6の通信方式は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、無線通信である。さらに、情報端末6は、屋外において、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)を介してネットワークNT1に接続されてもよい。携帯電話網には、例えば、3G(第3世代)回線、LTE(Long Term Evolution)回線等がある。
表示部62は、本実施形態では一例として、複数の移動体2の各々について移動経路の第1地点、第2地点、及び方向転換する場合の回転地点を設定する設定画面等の、ユーザに情報を提示するための画面を表示する。本開示でいう「画面」は、表示部62に映し出される像(画像等)である。表示部62は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置により実現される。
操作部63は、人(ユーザ)の操作を受け付ける機能を有している。本実施形態では、操作部63は、例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、若しくはメカニカルなスイッチ、又はこれらの組み合わせにて実現される。また、情報端末6がタッチパネルディスプレイを搭載している場合には、タッチパネルディスプレイが表示部62及び操作部63として機能してもよい。この場合、情報端末6は、表示部62に表示される各画面上でのボタン等のオブジェクトの操作(タップ、スワイプ、ドラッグ等)が操作部63で検出されることをもって、ボタン等のオブジェクトが操作されたことと判断する。
(3)動作
以下、本実施形態に係る移動体制御システム1、及び移動体システム10の動作について、図3、図5~図7を参照して、詳細に説明する。図3及び図7は、所定エリアA1を上方から見て、所定エリアA1内を移動体2が移動する様子を概念的に示した模式図である。図3及び図7において、領域A10を区切るグリッド線GX,GY、ノードNdmを示す丸印、移動体2(対象移動体2A)の移動経路を示す線は説明のために図示しているに過ぎず、実際の所定エリアA1には表示されない。
ここでは、所定エリアA1において、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から、第2地点(ノードNd2に対応する地点)へ、対象移動体2Aを移動させる場合における、移動体制御システム1及び移動体システム10の動作を例に説明する。
図5は移動体制御システム1の動作を示すフローチャートである。サーバ装置3の経路決定部32は、例えば情報端末6から入力された情報等に基づいて、対象移動体2Aの出発地点である第1地点と到着地点である第2地点とを設定すると(S1)、第2地点が直進コースCS1上にあるか否かを判断する(S2)。
第2地点が直進コースCS1上にある場合(S2:Yes)、経路決定部32は、第1地点と第2地点とを直線的に結ぶパスを対象移動体2Aの移動経路に決定し、移動経路を示す指示情報を第1通信部31を介してクライアント端末4に送信する(S3)。クライアント端末4の制御部42が、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づき直線状の移動経路に沿って対象移動体2Aを移動させる。
第2地点が直進コースCS1上にない場合(S2:No)、経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路RT1と第2移動経路RT2とのいずれかに決定する(S4)。経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を決定すると、移動経路を示す指示情報を第1通信部31を介してクライアント端末4に送信する(S3)。クライアント端末4の制御部42が、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づき経路決定部32で決定された移動経路に沿って対象移動体2Aを移動させる。
ここで、経路決定部32が対象移動体2Aの移動経路を決定するステップS4の処理について、図6のフローチャートに基づいて、より詳細に説明する。
経路決定部32は、対象移動体2Aが第1地点から出発するタイミングでは、対象移動体2Aの移動経路を、回転地点で回転することによって方向転換する第2移動経路RT2に決定する(S11)。この場合、経路決定部32は、対象移動体2Aが現在地点から回転地点P1まで移動する間に通る領域A10を、他移動体2Bの進入を制限する予約領域に設定する。対象移動体2Aの予約領域には他移動体2Bの進入が抑制されるので、対象移動体2Aが回転地点P1に移動するまでの間に他移動体2Bと干渉する可能性を低減できる。経路決定部32は、第2移動経路RT2を指示する指示情報を第1通信部31を介して、対象移動体2Aに対応するクライアント端末4に送信する(S12)。クライアント端末4の制御部42が、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づき第2移動経路RT2に沿って対象移動体2Aを移動させる。すなわち、クライアント端末4の制御部42は、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から回転地点P1(ノードNd12に対応する地点)に向かって対象移動体2Aを直進移動させる。
経路決定部32は、対象移動体2Aのクライアント端末4から定期的に取得する情報に基づいて対象移動体2Aの現在位置を取得し、対象移動体2Aがカーブ区間CV1の手前の地点に到達したか否かを検知する(S13)。カーブ区間CV1の手前の地点とは、例えば、カーブ区間CV1の始点であるノードNd11に対応する地点であり、例えばノードNd11からの距離が長さL1である地点である。経路決定部32は、対象移動体2Aの中心(平面視における中心)がカーブ区間CV1の手前の地点に到達したことをもって、対象移動体2Aがカーブ区間CV1の手前の地点に到達したと判断する。
対象移動体2Aがカーブ区間CV1の手前の地点に到達すると(S13:Yes)、経路決定部32は、カーブ区間CV1の少なくとも一部を含む対象区間A20(図3参照)における他移動体2Bの状況に応じて、対象移動体2Aの移動経路を判定する。対象区間A20は、例えば、所定エリアA1を分割した複数の領域A10のうち、カーブ区間CV1の終点(ノードNd13に対応する地点)に対応する領域を含む区間である。
経路決定部32は、対象区間A20に他移動体2Bが存在しない場合は(S14:No)、対象移動体2Aの移動経路を第1移動経路RT1に決定する(S15)。つまり、経路決定部32は、対象移動体2Aがカーブ区間CV1に進入するタイミングで、カーブ区間CV1の少なくとも一部を含む対象区間A20に、他移動体2Bが存在しない場合は、移動経路を第1移動経路RT1に決定する。経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を第1移動経路RT1に決定すると、第1移動経路RT1を示す指示情報を第1通信部31から対象移動体2Aに対応するクライアント端末4に送信させる(S25)。クライアント端末4の制御部42は、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づき第1移動経路RT1に沿ってカーブ区間CV1の終点(ノードNd13に対応する地点)まで対象移動体2Aを移動させる。
一方、対象区間A20に他移動体2Bが存在する場合(S14:Yes)、経路決定部32は、対象区間A20に存在する他移動体2Bが移動中であるか否かを判定する(S16)。ここで、他移動体2Bが移動中とは、他移動体2Bの車輪が回転している状態、つまり他移動体2Bが現に動いている状態を言う。
対象区間A20に存在する他移動体2Bが移動中であれば(S16:Yes)、経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を第1移動経路RT1に決定する(S17)。経路決定部32は、カーブ区間CV1の始点に対応する地点(ノードNd11に対応する地点)で待機するように指示する指示情報を第1通信部31からクライアント端末4に送信させる(S18)。クライアント端末4の制御部42は、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づきカーブ区間CV1の始点に対応する地点で対象移動体2Aを停止させる。その後、経路決定部32は、他移動体2Bから定期的に取得する情報に基づいて他移動体2Bが対象区間A20の外に移動したと判断すると(S19:Yes)、第1移動経路RT1で移動を開始するよう指示する指示情報を第1通信部31からクライアント端末4に送信させる(S20)。クライアント端末4の制御部42は、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づき第1移動経路RT1に沿って対象移動体2Aを移動(つまり、カーブ走行)させる。このように、経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を、ステップS12で指示した第2移動経路RT2から第1移動経路RT1に変更する。以上の動作をまとめると、経路決定部32は、対象移動体2Aがカーブ区間CV1に進入するまでは、対象移動体2A(対象移動体2Aに対応するクライアント端末4)に第2移動経路RT2を指示する。そして、経路決定部32は、移動経路を第1移動経路RT1に決定した場合、対象移動体2Aがカーブ区間CV1に進入するタイミングで、対象移動体2A(対象移動体2Aに対応するクライアント端末4)に第1移動経路RT1を指示する。したがって、クライアント端末4が、通信不良等で移動経路を第1移動経路RT1とする指示情報を受信できなかった場合でも、クライアント端末4の制御部42は、事前に受けた指示情報に基づいて対象移動体2Aを回転地点まで移動させることができる。よって、対象移動体2Aがサーバ装置3からの指示情報を受信できずに、カーブ区間CV1の始点で停止してしまう事態を回避することができる。
一方、対象区間A20に存在する他移動体2Bが停止中であれば(S16:No)、経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を、回転地点で回転することによって方向転換する第2移動経路RT2に決定する(S21)。経路決定部32は、回転地点P1(ノードNd12に対応する地点)まで移動し、回転地点P1で回転した状態で待機するように指示する指示情報を第1通信部31からクライアント端末4に送信させる(S22)。クライアント端末4の制御部42は、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づいて対象移動体2Aを回転地点P1まで移動させる。そして、クライアント端末4の制御部42は、進行方向がカーブ区間CV1の終点(ノードNd13に対応する地点)を向くように対象移動体2Aをその場で90度回転させた状態で、対象移動体2Aを停止させる。すなわち、経路決定部32は、他移動体2Bがカーブ区間CV1の終点に存在する場合、移動経路を第2移動経路RT2に決定し、対象移動体2Aを回転地点P1まで移動させ回転地点P1で回転させた状態で停止させる。その後、経路決定部32は、他移動体2Bから定期的に取得する情報に基づいて他移動体2Bが対象区間A20の外に移動したと判断すると(S23:Yes)、カーブ区間CV1の終点(ノードNd13に対応する地点)に向かって直進移動するよう指示する指示情報を第1通信部31からクライアント端末4に送信させる(S24)。クライアント端末4の制御部42は、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づき第2移動経路RT2に沿って、回転地点P1からカーブ区間CV1の終点まで対象移動体2Aを直進移動させる。
以上のようにして、対象移動体2Aがカーブ区間CV1の終点の近傍に到達すると、経路決定部32は、カーブ区間CV1の終点から第2地点まで対象移動体2Aを直進移動させる指示情報を、第1通信部31からクライアント端末4に送信させる。ここで、経路決定部32は、Y軸方向においてカーブ区間CV1の終点と対象移動体2Aの中心との距離が長さL1よりも短くなり、対象移動体2Aの進行方向とY軸方向とのなす角度が±10度以下になると、対象移動体2Aが終点近くに到達したと判断する。クライアント端末4の制御部42は、サーバ装置3からの指示情報を第2通信部41を介して受信すると、指示情報に基づいて対象移動体2Aを第2地点に移動させる。これにより、移動体制御システム1は、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から第2地点(ノードNd2に対応する地点)まで対象移動体2Aを移動させることができる。
本実施形態において、経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を決定すると、対象移動体2Aの移動経路に基づいて、複数の領域A10のうち対象移動体2Aが移動する少なくとも1つの領域を、他移動体2Bの進入を制限する予約領域に設定している。ここで、経路決定部32は、対象移動体2Aの移動経路を決定する場合、所定エリアA1内の複数の領域A10のうち、予約領域に設定されていない領域A10を通るように、移動経路を決定する。したがって、複数の移動体2が互いに干渉しないように、複数の移動体2の各々について移動経路が決定される。
対象移動体2Aの移動経路が第2移動経路RT2に決定された場合、経路決定部32は、カーブ区間CV1の始点と終点との間で対象移動体2Aが通る領域、つまりノードNd11,Nd12,Nd13にそれぞれ対応する領域を予約領域RA2とする(図3参照)。
一方、対象移動体2Aの移動経路が第1移動経路に決定された場合、経路決定部32は、対象移動体2Aが移動するカーブ区間CV1に対応する領域と、カーブ区間CV1の内側に存在する領域とを、予約領域RA1とする(図3参照)。対象移動体2Aがカーブ区間CV1に沿って曲がる場合、対象移動体2Aがカーブ区間CV1の内側に存在する領域にはみ出す可能性があるので、カーブ区間CV1の内側に存在する領域に他移動体2Bが進入するのを制限する必要がある。したがって、経路決定部32は、カーブ区間CV1に対応する、ノードNd11,Nd12,Nd13にそれぞれ対応する領域と、カーブ区間CV1の内側に存在する、ノードNd10に対応する領域とを、予約領域RA1としている。
このように、経路決定部32は、対象移動体2Aが第1移動経路RT1を移動する場合の予約領域RA1と、対象移動体2Aが第2移動経路RT2を移動する場合の予約領域RA2とを異ならせている。経路決定部32は移動経路に応じた予約領域を設定しているので、無用な領域が予約領域に設定される可能性を低減でき、また対象移動体2Aが他移動体2Bと干渉する可能性を低減できる。また、回転地点で回転することで方向転換する第2移動経路RT2の場合の予約領域RA2は、第1移動経路RT1の場合の予約領域RA1に比べて範囲が狭いので、空間の利用効率が向上するという利点がある。
なお、本実施形態では、第1地点から第2地点までの移動経路に1箇所のカーブ区間CV1が含まれているが、対象移動体2Aの移動経路は適宜変更が可能である。第1地点から第2地点までの移動経路に複数箇所のカーブ区間が含まれていてもよい。例えば、図7に示すように、第1地点(ノードNd1に対応する地点)から第2地点(ノードNd2に対応する地点)までの移動経路に2箇所のカーブ区間CV1(CV11,CV12)が含まれていてもよい。ここで、カーブ区間CV11の始点は、ノードNd11に対応する地点となり、カーブ区間CV11の終点は、ノードNd12に対応する地点とNd13に対応する地点との中間地点となる。カーブ区間CV12の始点は、ノードNd12に対応する地点とNd13に対応する地点との中間地点となり、カーブ区間CV12の始点はノードNd14に対応する地点となる。この場合、経路決定部32は、カーブ区間CV11の手前で、対象移動体2Aの移動経路を、上記の判定条件に従って、カーブ区間CV11で曲がる第1移動経路と、回転地点P1で対象移動体2Aを回転させる第2移動経路とのいずれかに決定する。また、経路決定部32は、カーブ区間CV12の手前で、対象移動体2Aの移動経路を、上記の判定条件に従って、カーブ区間CV12で曲がる第1移動経路と、回転地点P1で対象移動体2Aを回転させる第2移動経路とのいずれかに決定する。
(4)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
上記実施形態に係る移動体制御システム1と同様の機能は、移動体制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る移動体制御方法は、所定エリアA1内を移動する移動体2を第1地点Nd1から第2地点Nd2に移動させる移動経路を決定する場合に、以下の処理を行う。移動体制御方法は、第2地点Nd2が第1地点Nd1から移動体2が直進する場合の直進コースCS1上に存在しない場合、移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路RT1と第2移動経路RT2とのいずれかに決定する。第1移動経路RT1は、第1地点Nd1から第2地点Nd2まで移動する途中に設定したカーブ区間CV1で曲がることによって方向転換する経路である。第2移動経路RT2は、第1地点Nd1から第2地点Nd2まで移動する途中で直進コースCS1上に設定した回転地点P1,P2で回転することによって方向転換する経路である。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、上記の移動体制御方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における移動体制御システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における移動体制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、移動体制御システム1における複数の構成要素(又は機能)が、1つの筐体内に集約されていることは移動体制御システム1に必須の構成ではない。移動体制御システム1の構成要素(又は機能)は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、移動体制御システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
反対に、上記実施形態において、複数の装置に分散されている移動体制御システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、サーバ装置3とクライアント端末4とに分散されている一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。サーバ装置3と情報端末6とに分散されている一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、クライアント端末4(移動体2)が経路決定部32の機能を備えていてもよい。この場合、各移動体2のクライアント端末4は、相互に通信を行って、他移動体2Bの情報を取得する。各移動体2のクライアント端末4に設けられた経路決定部は、他移動体2Bの情報等に基づいて、移動経路を第1移動経路RT1と第2移動経路RT2とのいずれかに決定する。
また、本開示にて、「略平行」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
また、本開示にて、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。また、2値の比較において、「以上」としているところは、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」であってもよい。
また、サーバ装置3は、所定エリアA1内に設置されていてもよい。さらに、通信端末5は、移動体制御システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。この場合に、サーバ装置3は、通信端末5を介さずに、移動体2と直接的に通信してもよい。
上記実施形態において、経路決定部32が対象移動体2Aの移動経路を決定する場合の判定条件が、対象移動体2Aの現在地点と回転地点P1との間の距離L10(図8参照)が所定の閾値Lth以下であるという条件を含んでいてもよい。閾値Lthは、移動体2の最小回転半径等に基づいて決定される。本実施形態では、例えば、隣接するノード間の距離(つまり領域A10の一辺の長さL1)が180cmであり、閾値Lthは50cmである。経路決定部32は、対象移動体2Aの現在地点を定期的に取得しており、対象移動体2Aの現在地点と回転地点P1との間の距離L10が閾値Lth以下であれば、移動経路を第2移動経路に決定する。このように、経路決定部32は、対象移動体2Aが、距離L10が閾値Lth以下となる地点まで回転地点P1に接近した場合には、対象移動体2Aの移動経路を第2移動経路RT2に決定している。これにより、対象移動体2Aが所定の曲率半径よりも小さい曲率半径で曲がる可能性を低減できる。ここにおいて、所定の曲率半径とは、距離L10が閾値Lthである地点から対象移動体2Aが曲がる場合の曲率半径であり、閾値Lthに略等しい値となる。
上記実施形態では、第1地点、第2地点、及び回転地点が、所定エリアA1に対応するマップM1上に設定したノードに対応する地点であったが、第1地点、第2地点、及び回転地点は所定エリアA1内の任意の地点であってもよい。上記実施形態において、第1地点は移動体2の出発地点であってもよいし、移動経路の途中の地点でもよい。同様に、第2地点は移動体2の到着地点であってもよいし、移動経路の途中の地点でもよい。
また、上記実施形態では、移動体2が回転地点において90度回転することで方向転換を行っているが、回転地点において180度又は270度回転することで方向転換を行ってもよいし、任意の角度で回転することで方向転換を行ってもよい。また、移動体2は上方から見た場合に左周りに回転するように方向転換を行っているが、上方から見た場合に右回りに回転するように方向転換を行ってもよい。また、上記実施形態では、カーブ区間CV1での回転半径が領域A10の一辺に相当する長さL1と等しいが、カーブ区間CV1での回転半径が、長さL1の整数倍であってもよいし、任意の値でもよい。
上記実施形態では、経路決定部32が、対象移動体2Aの移動経路を決定する場合の判定条件が他移動体2Bに関する条件であったが、判定条件は他移動体2Bに関する条件に限定されない。本実施形態の移動体制御システム1及び移動体システム10では、移動体2が、物体(搬送物92)を載せる搬送用移動体である。この場合に、移動経路を決定するための判定条件は、対象移動体2Aが載せている物体の状況を含んでもよい。すなわち、経路決定部32は、対象移動体2Aが載せている物体の状況に応じて、対象移動体2Aの移動経路を第1移動経路RT1及び第2移動経路RT2のいずれかに決定する。ここで、対象移動体2Aがカーブ区間に沿ってカーブ走行する第1移動経路RT1の方が、対象移動体2Aが回転地点で回転する第2移動経路RT2よりも、対象移動体2Aが載せている物体に加わる加速度が大きくなると想定される。経路決定部32は、対象移動体2Aが載せている物体の重量、重心バランス、安定度等に基づいて、載せている物体が倒れたり、落下したりすることなく曲がることが可能であれば、対象移動体2Aの移動経路を第1移動経路RT1に決定する。経路決定部32は、対象移動体2Aが載せている物体が倒れたり、落下したりすることなく曲がることが可能であれば、対象移動体2Aの移動経路を第1移動経路RT1に決定するので、対象移動体2Aの移動にかかる時間を短縮可能である。尚、移動体2は、搬送物92を載せる搬送用移動体に限定されず、人を乗せる移動体(例えば、人を運ぶカート、車両、電動車椅子、動力付きのストレッチャー等)でもよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る移動体制御システム(1)は、経路決定部(32)と、制御部(42)と、を備える。経路決定部(32)は、所定エリア(A1)内を移動する移動体(2)を第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)に移動させる移動経路を決定して移動体(2)に指示する。制御部(42)は、経路決定部(32)から指示された移動経路に沿って移動するように移動体(2)を制御する。経路決定部(32)は、第2地点(Nd2)が直進コース(CS1)上に存在しない場合に、移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路(RT1)と、第2移動経路(RT2)とのいずれかに決定する。直進コース(CS1)は、第1地点(Nd1)から移動体(2)が直進する場合のコースである。第1移動経路(RT1)は、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)まで移動する途中に設定したカーブ区間(CV1)で曲がることによって方向転換する経路である。第2移動経路(RT2)は、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)まで移動する途中で直進コース(CS1)上に設定した回転地点(P1,P2)で回転することによって方向転換する経路である。
この態様によれば、経路決定部(32)は、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)に移動させる移動経路を決定する場合に、移動体(2)の移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路(RT1)と第2移動経路(RT2)とのいずれかに決定する。移動体(2)の移動経路が第1移動経路(RT1)に決定された場合、第2移動経路(RT2)のように移動体(2)が回転地点(P1,P2)で停止して回転するという動作がなくなる。よって、移動体(2)の移動にかかる時間を短縮可能な移動体制御システム(1)を提供できる。
第2の態様に係る移動体制御システム(1)では、第1の態様において、移動体(2)が複数ある。複数の移動体(2)のうちの一の移動体(2)である対象移動体(2A)を第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)まで移動させる場合の判定条件が、複数の移動体(2)のうち対象移動体(2A)以外の移動体(2)である他移動体(2B)の移動状況を含む。
この態様によれば、経路決定部(32)は、他移動体(2B)の移動状況に基づいて対象移動体(2A)の移動経路を決定できる。
第3の態様に係る移動体制御システム(1)では、第2の態様において、移動状況は、移動経路における、他移動体(2B)の状況である。
この態様によれば、経路決定部(32)は、移動経路における他移動体(2B)の状況に基づいて対象移動体(2A)の移動経路を決定できる。
第4の態様に係る移動体制御システム(1)では、第3の態様において、経路決定部(32)は、所定のタイミングで、対象区間(A20)に、他移動体(2B)が存在しない場合は、移動経路を第1移動経路(RT1)に決定する。所定のタイミングは、対象移動体(2A)がカーブ区間(CV1)に進入するタイミングである。対象区間(A20)は、カーブ区間(CV1)の少なくとも一部を含む区間である。
この態様によれば、対象区間(A20)に他移動体(2B)が存在しない場合は、対象移動体(2A)が第1移動経路(RT1)に沿って移動したとしても、対象移動体(2A)が他移動体(2B)と干渉する可能性が低い。よって、対象移動体(2A)を第1移動経路(RT1)に沿って移動させることで、対象移動体(2A)の移動にかかる時間を短縮できる。
第5の態様に係る移動体制御システム(1)では、第2~4のいずれかの態様において、経路決定部(32)は、他移動体(2B)がカーブ区間(CV1)の終点に存在する場合、移動経路を第2移動経路(RT2)に決定する。経路決定部(32)は、対象移動体(2A)を回転地点(P1,P2)まで移動させ回転地点(P1,P2)で回転させた状態で停止させる。
この態様によれば、対象移動体(2A)を回転地点(P1,P2)まで移動させ回転地点(P1,P2)で回転させた状態で停止させることで、対象移動体(2A)が他移動体(2B)と干渉する可能性を低減できる。また、対象移動体(2A)をカーブ区間(CV1)の手前で待機させる場合に比べて、対象移動体(2A)を回転地点(P1,P2)まで進ませることができ、対象移動体(2A)の移動にかかる時間を短縮可能である。
第6の態様に係る移動体制御システム(1)では、第2~5のいずれかの態様において、経路決定部(32)は、所定エリア(A1)を複数の領域(A10)に分割する。経路決定部(32)は、複数の領域(A10)のうち対象移動体(2A)が移動する少なくとも1つの領域を、他移動体(2B)の進入を制限する予約領域に設定する。対象移動体(2A)が第1移動経路(RT1)を移動する場合の予約領域と、対象移動体(2A)が第2移動経路(RT2)を移動する場合の予約領域とが異なる。
この態様によれば、対象移動体(2A)が第1移動経路(RT1)を移動する場合と第2移動経路(RT2)を移動する場合とで予約領域が異なるので、移動経路に応じた予約領域を設定することで、無用な領域が予約領域に設定される可能性を低減できる。また、対象移動体(2A)が他移動体(2B)と干渉する可能性を低減できる。
第7の態様に係る移動体制御システム(1)では、第1~6のいずれかの態様において、判定条件は、移動体(2)の現在地点と回転地点(P1,P2)との間の距離(L10)が所定の閾値(Lth)以下であるという条件を含む。経路決定部(32)は、距離(L10)が閾値(Lth)以下であれば、移動体(2)の移動経路を第2移動経路(RT2)に決定する。
この態様によれば、距離(L10)が閾値(Lth)以下であれば、移動体(2)の移動経路が第2移動経路(RT2)に決定されるので、移動体(2)が所定の曲率半径よりも小さい曲率半径で曲がる可能性を低減できる。ここにおいて、所定の曲率半径とは、距離(L10)が閾値(Lth)である地点から移動体(2)が曲がる場合の曲率半径である。
第8の態様に係る移動体制御システム(1)では、第1~7のいずれかの態様において、経路決定部(32)は、移動体(2)がカーブ区間(CV1)に進入するまでは、移動体(2)に第2移動経路(RT2)を指示する。経路決定部(32)は、移動経路を第1移動経路(RT1)に決定した場合、移動体(2)がカーブ区間(CV1)に進入するタイミングで、移動体(2)に第1移動経路(RT1)を指示する。
この態様によれば、経路決定部(32)が制御部(42)に対して第1移動経路(RT1)の指示を伝達できない場合には、移動体(2)を第2移動経路(RT2)に沿って移動させることができる。
第9の態様に係る移動体制御システム(1)では、第1~8のいずれかの態様において、移動体(2)は、物体を載せる搬送用移動体であり、判定条件は、移動体(2)が載せる物体(92)の状況を含む。
この態様によれば、経路決定部(32)は、移動体(2)が載せている物体(92)の状況に基づいて移動経路を決定できる。
第10の態様に係る移動体システム(10)は、第1~9のいずれかの態様の移動体制御システム(1)と、移動体(2)と、を備える。
この態様によれば、経路決定部(32)は、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)に移動させる移動経路を決定する場合に、移動体(2)の移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路(RT1)と第2移動経路(RT2)とのいずれかに決定する。移動体(2)の移動経路が第1移動経路(RT1)に決定された場合、第2移動経路(RT2)のように移動体(2)が回転地点(P1,P2)で停止して回転するという動作がなくなる。よって、移動体(2)の移動にかかる時間を短縮可能な移動体システム(10)を提供できる。
第11の態様に係る移動体制御方法は、所定エリア(A1)内を移動する移動体(2)を第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)に移動させる移動経路を決定する場合に、以下の処理を行う。移動体制御方法は、第2地点(Nd2)が第1地点(Nd1)から移動体(2)が直進する場合の直進コース(CS1)上に存在しない場合、移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路(RT1)と第2移動経路(RT2)とのいずれかに決定する。第1移動経路(RT1)は、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)まで移動する途中に設定したカーブ区間(CV1)で曲がることによって方向転換する経路である。第2移動経路(RT2)は、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)まで移動する途中で直進コース(CS1)上に設定した回転地点(P1,P2)で回転することによって方向転換する経路である。
この態様によれば、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)に移動させる移動経路を決定する場合に、移動体(2)の移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路(RT1)と第2移動経路(RT2)とのいずれかに決定する。移動体(2)の移動経路が第1移動経路(RT1)に決定された場合、第2移動経路(RT2)のように移動体(2)が回転地点(P1,P2)で停止して回転するという動作がなくなる。よって、移動体(2)の移動にかかる時間を短縮可能な移動体制御方法を提供できる。
第12の態様に係るプログラムは、第11の態様に係る移動体制御方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、第1地点(Nd1)から第2地点(Nd2)に移動させる移動経路を決定する場合に、移動体(2)の移動経路を、所定の判定条件に従って、第1移動経路(RT1)と第2移動経路(RT2)とのいずれかに決定する。移動体(2)の移動経路が第1移動経路(RT1)に決定された場合、第2移動経路(RT2)のように移動体(2)が回転地点(P1,P2)で停止して回転するという動作がなくなる。よって、移動体(2)の移動にかかる時間を短縮可能なプログラムを提供できる。
上記態様に限らず、上記実施形態に係る移動体制御システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、移動体制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
第2~9の態様に係る構成については、移動体制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。