以下、本発明の実施の形態に係る作業機械として油圧ショベルを例に挙げ、図面を参照して説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る油圧ショベルの側面図である。
図1に示すように、油圧ショベル100は、走行体1と、この走行体1上に旋回装置8を介して旋回可能に搭載された旋回体2と、この旋回体2の前側に上下方向に回動可能に連結されたフロント作業機110とを備えている。
旋回体2は、基礎下部構造をなす旋回フレーム2aを有する。旋回フレーム2aの前側には、フロント作業機110が上下方向に回動可能に連結されている。旋回フレーム2aの後側には、フロント作業機110との重量バランスを取るためのカウンタウェイト3が取り付けられている。旋回フレーム2aの左側前部には、運転室4が設けられている。運転室4内には、フロント作業機110および旋回体2を操作するための操作装置としての左右の操作レバー装置15L,15R(図2に示す)等が配置されている。旋回フレーム2a上には、原動機としてのエンジン(図示せず)、エンジンによって駆動される1つまたは複数の油圧ポンプからなるポンプ装置9、旋回装置8を駆動する旋回モータ8a、ポンプ装置9から旋回モータ8aおよび後述するブームシリンダ5a、アームシリンダ6a、バケットシリンダ7aを含む複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数の方向制御弁からなるコントロールバルブユニット10等が搭載されている。
フロント作業機110は、基端部が旋回フレーム2aの右側前部に上下方向に回動可能に連結されたブーム5と、このブーム5の先端部に上下、前後方向に回動可能に連結され、ブーム5によって昇降されるアーム6と、このアーム6の先端部に上下、前後方向に回動可能に連結され、ブーム5またはアーム6によって昇降される作業具としてのバケット7と、ブーム5を駆動するブームシリンダ5aと、アーム6を駆動するアームシリンダ6aと、バケット7を駆動するバケットシリンダ7aとを備えている。ブーム5、アーム、バケット7には、角度センサ11a,11b,11cがそれぞれ取り付けられている。角度センサ11a~11cは、フロント作業機110の姿勢およびバケット7の爪先位置を測定する姿勢位置測定装置を構成している。
図2は、油圧ショベル100に搭載される油圧制御システムの概略構成図である。
図2に示すように、油圧制御システム200は、コントローラ20と、施工対象の目標形状を示す設計面を設定するための施工目標設定装置21と、コントローラ20から出力される情報を表示する表示装置22と、油圧ショベル100の動作をコントローラ20に指示するための左右の操作レバー装置15L,15Rと、作業機姿勢位置測定装置11a~11cと、油圧装置23とを備えている。
左右の操作レバー装置15L,15Rは、操縦者によるレバー操作に応じた操作信号をコントローラ20に出力する。
コントローラ20は、左右の操作レバー装置15L,15Rから入力される操作信号と、施工目標設定装置21から入力される設計面情報と、作業機姿勢位置測定装置11a~11cから入力される作業機姿勢位置情報とを基に、アクチュエータ5a,6a,7a,8aに対する動作指令を生成し、油圧装置23に出力する。
油圧装置23は、コントローラ20からの動作指令に応じて、ブームシリンダ5a、アームシリンダ6a、バケットシリンダ7a、旋回モータ8aに圧油を供給し、ブーム5、アーム6、バケット7、旋回装置8を駆動する。
図3は、コントローラ20の機能ブロック図である。
図3に示すように、コントローラ20は、動作指令部30と、アクチュエータ役割決定部31と、アクチュエータ動作制限判定部32と、半自動制御部33とを有する。
動作指令部30は、左右の操作レバー装置15L,15Rから入力される操作信号(左右のレバー操作量)を基に、アクチュエータ5a,6a,7aの目標動作速度を決定し、目標速度に相当する動作指令を半自動制御部33に出力する。
アクチュエータ役割決定部31には、作業機姿勢位置測定装置11a~11cから作業機姿勢位置情報が入力され、施工目標設定装置21から施工目標情報が入力される。アクチュエータ役割決定部31は、作業機姿勢位置情報と施工目標情報とを基に、掘削を担当するアクチュエータ(掘削用アクチュエータ)とバケット7の位置決めを担当するアクチュエータ(位置決め用アクチュエータ)とを決定し、その結果をアクチュエータ役割情報としてアクチュエータ動作制限判定部32に出力する。
アクチュエータ動作制限判定部32には、作業機姿勢位置測定装置11a~11cから作業機姿勢位置情報が入力され、施工目標設定装置21から施工目標情報が入力され、アクチュエータ役割決定部31からアクチュエータ役割情報が入力される。アクチュエータ動作制限判定部32は、作業機姿勢位置情報と施工目標情報とアクチュエータ役割情報とを基に、各アクチュエータの動作を制限するか否かを決定し、その結果を動作制限情報として半自動制御部33に出力する。
半自動制御部33には、動作指令部30から動作指令が入力され、作業機姿勢位置測定装置11a~11cから作業機姿勢位置情報が入力され、施工目標設定装置21から施工目標情報が入力され、アクチュエータ動作制限判定部32から動作制限情報が入力される。半自動制御部33は、バケット7による掘り過ぎを防止するため、施工目標情報に含まれる設計面とバケット爪先位置との偏差が小さくなるほどアクチュエータの目標速度が制限されるように、作業機姿勢位置情報と施工目標情報と動作制限情報とを基に動作指令を補正し、油圧装置23に出力する。
図4は、アクチュエータ動作制限判定部32の演算ロジックを示す図である。
図4に示すように、アクチュエータ動作制限判定部32は、偏差演算部41と、時間微分部42と、ブーム動作制限決定部43と、アーム動作制限決定部44とを有する。
偏差演算部41には、施工目標設定装置21から施工目標情報が入力され、作業機姿勢位置測定装置11a~11cから作業機姿勢位置情報が入力される。偏差演算部41は、施工目標情報に含まれる設計面と作業機姿勢位置情報に含まれるバケット爪先位置との偏差であるバケット爪先距離Dbを演算し、時間微分部42とブーム動作制限決定部43とアーム動作制限決定部44とに出力する。
時間微分部42は、偏差演算部41から入力されるバケット爪先距離Dbを時間微分し、その結果をバケット爪先速度Vbとしてブーム動作制限決定部43とアーム動作制限決定部44とに出力する。
ブーム動作制限決定部43には、アクチュエータ役割決定部31からブームシリンダ役割情報が入力され、偏差演算部41からバケット爪先距離Dbが入力され、時間微分部42からバケット爪先速度Vbが入力される。ブーム動作制限決定部43は、ブームシリンダ役割情報とバケット爪先距離Dbとバケット爪先速度Vbとを基に、ブームシリンダ5aの動作を制限するか否かを決定し、半自動制御部33にする。具体的には、ブームシリンダ5aが掘削用アクチュエータの場合、ブームシリンダ5aが位置決め用アクチュエータでかつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dtよりも大きい(バケット爪先が設計面から大きく離れている)場合、または、ブームシリンダ5aが位置決め用アクチュエータでかつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dt以下(バケット爪先が設計面の近くまたは下側に位置する)でかつバケット爪先速度Vbが正の値である(バケット爪先が設計面から離れる方向に移動する)場合は、ブームシリンダ5aの動作を制限しないことを決定し、ブームシリンダ5aが位置決め用アクチュエータでかつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dt以下で(バケット爪先が設計面の近くまたは下側に位置し)かつバケット爪先速度Vbが0以下の値である(バケット爪先が設計面に近づく方向に移動する)場合は、ブームシリンダ5aの動作を制限することを決定する。
アーム動作制限決定部44には、アクチュエータ役割決定部31からアーム役割情報が入力され、偏差演算部41からバケット爪先距離Dbが入力され、時間微分部42からバケット爪先速度Vbが入力される。アーム動作制限決定部44は、アームシリンダ役割情報とバケット爪先距離Dbとバケット爪先速度Vbとを基に、アームシリンダ6aの動作を制限するか否かを決定し、半自動制御部33に出力する。具体的には、アームシリンダ6aが掘削用アクチュエータの場合、アームシリンダ6aが位置決め用アクチュエータでかつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dtよりも大きい(バケット爪先が設計面から大きく離れている)場合、または、アームシリンダ6aが位置決め用アクチュエータでかつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dt以下で(バケット爪先が設計面の近くまたは下側に位置し)かつバケット爪先速度Vbが正の値である(バケット爪先が設計面から離れる方向に移動する)場合は、アームシリンダ6aの動作を制限しないことを決定し、アームシリンダ6aが位置決め用アクチュエータでかつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dt以下で(バケット爪先が設計面の近くまたは下側に位置し)かつバケット爪先速度Vbが0以下の値である(バケット爪先が設計面に近づく方向に移動する)場合は、アームシリンダ6aの動作を制限することを決定する。
図5は、半自動制御部33のブームシリンダ5aの動作に関する演算ロジックを示す図である。
図5に示すように、半自動制御部33は、制限係数決定部50と、乗算部51と、偏差演算部52と、ブーム目標速度決定部53と、制限係数決定部54と、乗算部55と、加算部56を有する。
制限係数決定部50は、ブーム動作制限決定部43から出力されるブーム動作制限情報を基に制限係数を決定し、乗算部51に出力する。具体的には、ブーム動作制限を行う場合は0を出力し、ブーム動作制限を行わない場合は1を出力する。
乗算部51は、動作指令部30から入力されるブーム目標速度(動作指令に含まれる)と制限係数決定部50から入力される制限係数とを掛け合わせ、加算部56に出力する。
偏差演算部52は、21から入力される設計面(施工目標情報に含まれる)と作業機姿勢位置測定装置11a~11cから入力されるバケット爪先位置(作業機姿勢位置情報に含まれる)の偏差であるバケット爪差距離Dbを演算し、ブーム目標速度決定部53に出力する。
ブーム目標速度決定部53は、偏差演算部52から入力されるバケット爪差距離Dbが正(バケット爪先が設計面より上側)であればブーム下げ側のブーム目標速度を乗算部55に出力し、バケット爪差距離Dbが負(バケット爪先が設計面より下側)であればブーム上げ側のブーム目標速度を乗算部55に出力する。
制限係数決定部54は、アクチュエータ動作制限判定部32から入力されるブーム動作制限情報を基に制限係数を決定し、乗算部55に出力する。具体的には、ブーム動作制限を行う場合は1を出力し、ブーム動作制限を行わない場合は0を出力する。
乗算部55は、ブーム目標速度決定部53から入力されるブーム目標速度と制限係数決定部54から入力される制限係数とを掛け合わせ、加算部56に出力する。
加算部56は、乗算部51の出力と乗算部55の出力とを足し合わせ、油圧装置に出力する。
図6は、半自動制御部33のアームシリンダ6aの動作に関する演算ロジックを示す図である。
図6に示すように、半自動制御部33は、制限係数決定部60と、乗算部61と、偏差演算部62と、アーム目標速度決定部63と、制限係数決定部64と、乗算部65、加算部66とを有する。図6に示すアームシリンダ6aの動作に関する演算ロジックは、図5に示すブームシリンダ5aの動作に関する演算ロジックと同様であるため、説明は省略する。
以上のように構成したコントローラ20によって実現されるフロント作業機110の動作を図7を用いて説明する。
図7(a)は、アーム6が掘削を担当する作業部材(掘削用作業部材)であり、アーム操作が行われ、かつブーム操作が行われなかった場合の動作を示している。図7(a)において、コントローラ20は、レバー操作に応じてアーム6を駆動し(アーム6の動作を制限せず)、バケット爪先が設計面に沿うようにブーム5を上げ方向に駆動する。
図7(b)は、アーム6が掘削用作業部材であり、アーム操作が行われず、かつブーム操作が行われた場合の動作を示している。図7(b)において、コントローラ20は、ブーム上げ操作が行われた場合は、レバー操作に応じてブーム5を駆動し(ブーム5の動作を制限せず)、ブーム下げ操作が行われ、かつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dt以下である(バケット爪先が設計面に近い)場合は、ブーム下げ動作を制限する。
図7(c)は、ブーム5が掘削用作業部材であり、アーム操作が行われず、かつブーム操作が行われた場合の動作を示している。図7(c)において、コントローラ20は、レバー操作に応じてブーム5を駆動し(ブーム5の動作を制限せず)、バケット爪先が設計面に沿うようにアーム6を巻込み方向または押出方向に駆動する。
図7(d)は、ブーム5が掘削用作業部材であり、アーム操作が行われ、かつブーム操作が行われなかった場合の動作を示している。図7(d)において、コントローラ20は、アーム巻込み操作が行われた場合は、レバー操作に応じてアーム6を巻込み側に駆動し(アーム6の動作を制限せず)、アーム押出操作が行われ、かつバケット爪先距離Dbが所定の距離閾値Dt以下である(バケット爪先が設計面に近い)場合は、アーム押出動作を制限する。
本実施例では、作業具7と複数の作業部材5,6とを有する多関節型の作業機110と、作業機110を駆動する複数のアクチュエータ5a,6a,7aと、作業機110を操作するための操作装置15L,15Rと、操作装置15L,15Rから出力される操作信号に応じて作業機110の動作を制御するコントローラ20と、施工対象の目標形状を示す設計面を設定するための施工目標設定装置21と、作業機110の姿勢および作業具7の位置を測定する作業機姿勢位置測定装置11a~11cとを備え、コントローラ20は、操作装置15L,15Rから出力される操作信号に基づいて複数のアクチュエータ5a,6a,7aの目標速度を決定し、施工目標設定装置21で設定された設計面と前記作業機の姿勢に基づいて前記目標速度を補正する作業機械100において、コントローラ20は、施工目標設定装置21で設定された設計面と作業機姿勢位置測定装置11a~11cで測定された作業機110の姿勢とに基づいて、複数のアクチュエータ5a,6a,7aのうち掘削動作を担う掘削用アクチュエータと作業具7の位置決め動作を担う位置決め用アクチュエータとを決定し、前記掘削用アクチュエータの目標速度を操作装置15L,15Rから出力される操作信号に基づいて決定し、前記位置決め用アクチュエータの目標速度を作業具7が前記設計面に近づく方向において制限する。
以上のように構成した本実施例によれば、施工対象の目標形状を示す設計面と作業機110の姿勢とに基づいて、複数のアクチュエータ5a,6a,7aのうち掘削動作を担う掘削用アクチュエータと作業具7の位置決め動作を担う位置決め用アクチュエータとが決定され、掘削用アクチュエータの目標速度を操作装置15L,15Rから出力される操作信号に基づいて決定され、位置決め用アクチュエータの目標速度を作業具7が設計面に近づく方向において制限される。これにより、設計面の角度や作業機110の姿勢に関わらず、作業具が設計面に沿って移動するように操縦者の操作を補助することが可能となる。
本発明の第2の実施例について、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
図8は、アクチュエータ役割決定部31の演算ロジックを示す図である。
図8において、アクチュエータ役割決定部31は、設計面角度判定部70と、掘削角度演算部71と、掘削角度判定部72と、掘削状態判定部73と、アクチュエータ役割判定部74とを有する。
設計面角度判定部70は、施工目標設定装置21から入力される設計面角度θd(施工目標情報に含まれる)を基に設計面角度θdの大小を判定し、その結果を設計面角度判定情報として掘削状態判定部73に出力する。具体的には、設計面角度θdが所定の角度閾値θt(例えば70度)よりも大きい(設計面の傾斜が急峻である)場合は1を出力し、設計面角度θdが所定の角度閾値θt以下である(設計面の傾斜が急峻でない)場合は0を出力する。
掘削角度演算部71には、施工目標設定装置21から設計面角度θd(施工目標情報に含まれる)が入力され、作業機姿勢位置測定装置11a~11cからアーム角度θa(作業機姿勢位置情報に含まれる)が入力される。掘削角度演算部71は、設計面角度θdとアーム角度θaとの偏差である掘削角度θeを演算し、掘削角度判定部72に出力する。ここで、掘削角度θaは、アーム6の回動支点とバケット爪先とを結んだ線が設計面に対してなす角度である。
掘削角度判定部72は、掘削角度演算部71から入力される掘削角度θeを基に設計面に対する掘削角度θeの大小を判定し、その結果を掘削角度判定情報として掘削状態判定部73に出力する。具体的には、掘削角度θeが90度よりも小さい場合は0を出力し、掘削角度θeが90度以上である場合は1を出力する。
掘削状態判定部73は、設計面角度判定部70から入力される設計面角度判定情報と掘削角度判定部72から入力される掘削角度判定情報とを基に掘削状態を判定し、その結果を掘削状態判定情報としてアクチュエータ役割判定部74に出力する。具体的には、設計面角度判定情報が1でかつ掘削角度判定情報が1の場合はAを出力し、設計面角度判定情報が1でかつ掘削角度判定情報が0の場合はBを出力し、設計面傾斜情報が0の場合はCを出力する。
アクチュエータ役割判定部74は、掘削状態判定部73から入力される掘削状態判定情報を基にアームシリンダ6aおよびブームシリンダ5aの役割を決定し、その結果をアクチュエータ役割情報としてアクチュエータ動作制限判定部32に出力する。具体的には、掘削状態判定情報がAの場合は、ブームシリンダ5aを掘削用アクチュエータに決定し、かつアームシリンダ6aを位置決め用アクチュエータに決定する。一方、掘削状態判定情報がBまたはCの場合は、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定する。
以上のように構成したコントローラ20によって実現されるフロント作業機110の動作を図9を用いて説明する。
図9(a)は、設計面角度θdが0度で、アーム巻込み操作が行われ、ブーム操作は行われず、かつ掘削角度θeが90度より小さい場合の動作を示している。図9(a)において、コントローラ20は、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定する。これにより、レバー操作に応じてアーム6が巻込み方向に駆動され(アームシリンダ6aの動作は制限されず)、バケット爪先が設計面に沿うように自動でブーム5が上げ方向に駆動される。
図9(b)は、設計面角度θdが0度で、アーム巻込み操作が行われ、ブーム操作は行われず、かつ掘削角度θeが90度より大きい場合の動作を示している。図9(b)において、コントローラ20は、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定する。これにより、レバー操作に応じてアーム6が巻込み方向に駆動され(アーム6の動作は制限されず)、バケット爪先が設計面に沿うように自動でブーム5が下げ方向に駆動される。
図9(c)は、設計面角度θdが90度で、アーム巻込み操作が行われ、ブーム操作は行われず、かつ掘削角度θeが90度より小さい場合の動作を示している。図9(c)において、コントローラ20は、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定する。これにより、レバー操作に応じてアーム6が巻込み方向に駆動され(アーム6の動作は制限されず)、バケット爪先が設計面に沿うように自動でブーム5が上げ方向に駆動される。
図9(d)は、設計面角度θdが90度で、アーム操作は行われず、ブーム下げ操作が行われ、かつ掘削角度θeが90度より大きい場合の動作を示している。図9(d)において、コントローラ20は、ブームシリンダ5aを掘削用アクチュエータに決定し、アームシリンダ6aを位置決め用アクチュエータに決定する。これにより、レバー操作に応じてブーム5が下げ方向に駆動され(ブーム5の動作は制限されず)、バケット爪先が設計面に沿うように自動でアーム6が巻込み方向に駆動される。
図9(e)は、設計面角度θdが90度で、アーム操作が行われず、ブーム下げ操作が行われ、かつ掘削角度θeが90度より大きい場合の動作を示している。図9(e)において、コントローラ20は、ブームシリンダ5aを掘削用アクチュエータに決定し、アームシリンダ6aを位置決め用アクチュエータに決定する。これにより、レバー操作に応じてブーム5が下げ方向に駆動され(ブーム5の動作は制限されず)、バケット爪先が設計面に沿うように自動でアーム6が押出方向に駆動される。
本実施例におけるコントローラ20は、設計面が水平面に対してなす角度である設計面角度θdが0度から90度の間に設定された所定の角度閾値θt以下である場合、または、アーム6の回動支点とバケット7の爪先とを結んだ線が設計面に対してなす角度である掘削角度θeが90度より小さい場合に、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定し、設計面角度θdが所定の角度閾値θtよりも大きく、かつ掘削角度θeが90度以上である場合に、ブームシリンダ5aを掘削用アクチュエータに決定し、アームシリンダ6aを位置決め用アクチュエータに決定する。
以上のように構成した本実施例によれば、ブーム5とアーム6とを有するフロント作業機110を備えた油圧ショベル100において、設計面の角度やフロント作業機110の姿勢に関わらず、操縦者の意図に沿った掘削動作を補助することが可能となる。
本発明の第3の実施例について、第1の実施例との相違点を中心に説明する。
図10は、本実施例におけるコントローラ20の機能ブロック図である。
図10において、コントローラ20は、表示指令部34を更に有する。表示指令部34は、作業機姿勢位置測定装置11a~11cから入力される作業機姿勢位置情報と施工目標設定装置21から入力される施工目標情報とアクチュエータ役割決定部31から入力されるアクチュエータ役割情報とを基に、操縦者の掘削操作を補助するための情報(操作補助情報)を生成し、表示装置22に出力する。
図11は、表示装置22に表示される操作補助情報の一例を示す図である。
図11において、表示装置22には、掘削動作を行う際に操縦者が操作すべき作業部材とその操作方向が表示される。
図11(a)は、設計面角度θdが0度でかつ掘削角度θeが90度より小さい場合の表示例を示している。図11(a)において、コントローラ20は、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定し、アーム6を巻込み方向(矢印方向)に操作するように指示する。
図11(b)は、設計面角度θdが90度でかつ掘削角度θeが90度より大きい場合の表示例を示している。図11(b)において、コントローラ20は、ブームシリンダ5aを掘削用アクチュエータに決定し、アームシリンダ6aを位置決め用アクチュエータに決定し、ブーム5を下げ方向(矢印方向)に操作するように指示する。
図11(c)は、設計面角度θdが所定の角度閾値θt(例えば70度)より僅かに小さく、かつ掘削角度θeが90度より大きい場合の表示例を示している。図11(c)において、コントローラ20は、アームシリンダ6aを掘削用アクチュエータに決定し、ブームシリンダ5aを位置決め用アクチュエータに決定し、アーム6を巻込み方向(矢印方向)に操作するように指示する。
図11(d)は、設計面角度θdが所定の角度閾値θt(例えば70度)より僅かに大きく、かつ掘削角度θeが90度より大きい場合の表示例を示している。図11(d)において、コントローラ20は、ブームシリンダ5aを掘削用アクチュエータに決定し、アームシリンダ6aを位置決め用アクチュエータに決定し、ブーム5を下げ方向(矢印方向)に操作するように指示する。
本実施例におけるコントローラ20は、複数の作業部材5,6のうち掘削用アクチュエータによって駆動される作業部材およびその操作方向を指示する情報を生成し、設計面の情報および作業機110の姿勢情報と合わせて表示装置22に出力する。これにより、油圧ショベル100の操縦者は、掘削作業を行う際に複数の作業部材5,6のうちいずれの作業部材を操作すべきかを容易に把握することができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成の一部を加えることも可能であり、ある実施例の構成の一部を削除し、あるいは、他の実施例の一部と置き換えることも可能である。