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JP7036024B2 - 有機化合物の異性化方法及び有機化合物の異性体の製造方法 - Google Patents

有機化合物の異性化方法及び有機化合物の異性体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はハロゲン原子を有する有機化合物の異性化方法に係り、特に、所定の特性を有するアルミナを選定した後、フッ素化処理により得られるフッ素化アルミナを触媒として用いる有機化合物の異性化方法に関する。
従来、化学式:CHClで表わされるジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC-225)類を製造する方法として、様々な方法が提案されている。例えば、改質された塩化アルミニウム触媒の存在下でジクロロフルオロメタンをテトラフルオロエチレンと接触させることで、ジクロロペンタフルオロプロパンを得る方法が提案されており、この方法で得られたジクロロペンタフルオロプロパンの各種の異性体混合物に対して、異性化を行なう技術が開示されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)。
このジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC-225)類の中でも、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFCF=CH;HFO-1234yf)を合成するための出発物質になりうるHCFC-225caに本出願人は注目している。すなわち、近年、オゾン破壊係数等が小さいHFO-1234yfは、その冷媒としての使用が検討されており、HFO-1234yfの原料である1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFCF=CCl;CFO-1214ya)を得るための出発物質として、HCFC-225caの有用性が高まっている。
このような状況の中、HCFC-225caを効率的に得るために、所定の原料を、部分的にフッ素化されたフッ素化アルミナにより異性化反応させることで、HCFC-225caを効率的に得る方法を見出している(特許文献2参照)。
また、上記化合物に限らず、所望の化合物を得るために、塩素原子やフッ素原子を含有する有機化合物を原料として、置換基を転位させて異性化する種々の方法が知られている。このとき異性化反応の触媒として、アルミナを部分的にフッ素化したフッ素化アルミナが有用であることが知られている(例えば、特許文献3,4等参照。)。
米国特許第51557171号明細書 特許第5598333号公報 特開平02-108639号公報 特開平07-241474号公報
Applied Catalysis A:General,348,p236-240(2008)
異性化反応の触媒においては、触媒活性の良好な化合物を得るために、フッ素化した後の組成や、フッ素化前の触媒原料となるアルミナの比表面積や細孔容積等の物性値等が検討されてきた。これらの組成、特性等によって、ある程度の触媒活性を有するフッ素化アルミナを得るための指針はあるが、どのようなフッ素化アルミナが触媒活性を有するかの判断方法は確立されておらず、触媒活性の良好なフッ素化アルミナを得るには種々のフッ素化アルミナを検討する試行錯誤に頼らざるを得ない。
そこで、本発明は、触媒活性の良好な部分フッ素化アルミナを効率良く得るために、有用な評価方法を見出し、その評価方法を適用することで、所望の異性化反応において転化率の良い有機化合物の異性化方法及び有機化合物の異性体の製造方法の提供を目的とする。
本発明の有機化合物の異性化方法は、アンモニア昇温脱離法により脱離温度300℃以上におけるアンモニア脱離量から算出された酸量が0.10mmol/g以上0.25mmol/g以下であるアルミナを選定する工程と、選定されたアルミナをフッ素化剤によりフッ素化して部分フッ素化アルミナを得る工程と、得られた部分フッ素化アルミナを用いて、隣接する炭素原子の少なくとも一方にフッ素原子が一つ以上結合し他方に塩素原子及び/又は水素原子が一つ以上結合している、炭素数2以上の有機化合物を異性化する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の有機化合物の異性体の製造方法は、上記有機化合物の異性化方法により、前記有機化合物のフッ素原子が転位した有機化合物の異性体を製造することを特徴とする。
本発明の有機化合物の異性化方法によれば、触媒活性の良好な部分フッ素化アルミナを効率良く得ることができ、この部分フッ素化アルミナを異性化反応の触媒として用いることで試行錯誤に頼らずに転化率の良い異性化反応を行うことができる。この異性化方法を用いることで、有機化合物の異性体を効率よく得ることができる。
触媒活性の良好な部分フッ素化アルミナを効率良く得ることにより、副反応を抑制可能な温度領域で異性化反応を実施できるため、所望の有機化合物の異性体を収率良く得ることができる。
本発明の異性化方法を用いることで、所望の有機化合物を効率よく製造でき、製造コストを低減することができる。
アルミナの酸量と、異性化した有機化合物の転化率の関係を示すグラフ。
本発明の有機化合物の異性化方法及び有機化合物の異性体の製造方法について、以下、実施形態を参照しながら説明する。
本実施形態の有機化合物の異性化方法は、アルミナを選定する工程と、該アルミナをフッ素化して部分フッ素化アルミナを得る工程と、得られた部分フッ素化アルミナを用いて、フッ素原子を含有する所定の有機化合物を異性化する工程と、を有する。以下、本実施形態を構成する各工程について詳細に説明する。
[有機化合物の異性化方法]
(アルミナを選定する工程)
アルミナを選定する工程で、後述する部分フッ素化アルミナの原料となるアルミナを選定する。部分フッ素化アルミナは、後述する有機化合物を異性化する工程において、異性化反応の触媒として用いられる。ここで、所定の特性を有するアルミナを選定することで、後述する処理において異性化反応に対する触媒活性の良好な部分フッ素化アルミナを得ることができる。
ここで選定されるアルミナは、アンモニア昇温脱離法により脱離温度300℃以上におけるアンモニア脱離量から算出された酸量が0.10mmol/g以上0.25mmol/g以下のものであり、0.15mmol/g以上0.25mmol/g以下が好ましい。この酸量を0.10mmol/g以上とすることで、後述する異性化反応における転化率の良好な部分フッ素化アルミナを作成しやすくなり、0.25mmol/g以下とすることで、反応温度を抑制することにより副反応を抑制でき、所望の有機化合物の異性体の収率が向上する。0.15mmol/g以上0.25mmol/g以下であれば特に部分フッ素化アルミナを作成しやすく、かつ、副反応を抑制し異性体の収率が向上する。
ここで、アンモニア昇温脱離法(NH-TPD)は、測定サンプルに対しアンモニア(NH)を吸着させた後、一定の速度で昇温させたときのアンモニアの脱離量を測定し、温度に対するアンモニア脱離量の相関関係を得て、脱離量から測定サンプルの酸量、脱離温度から酸強度を評価する方法である。
この方法において、アンモニアのアルミナ表面に吸着する形態によってアンモニアの脱離温度が異なる。すなわち、アルミナ表面において、酸強度の低い活性点に吸着したアンモニアは低温側で脱離し、酸強度の高い活性点に吸着したアンモニアは高温側で脱離する。したがって、低温側でのアンモニア脱離量及び高温側でのアンモニア脱離量をそれぞれ測定、分析することで、測定サンプルの特性を判定することができる。
このアンモニア昇温脱離法は、例えば、昇温速度1℃/分~20℃/分の速度で、連続的に室温~1000℃程度まで加熱し、アンモニア脱離量と脱離温度とを測定することで行われる。
アルミナにおいては、200℃付近に現れる第1ピークと300℃以上の温度で現れる第2ピークとの、二つのアンモニア脱離量のピークがある。ここで第1ピークが上記酸強度の低い活性点からの脱離、第2ピークが上記酸強度の高い活性点からの脱離であり、本明細書においては、第2ピークで表されるアンモニア脱離量をそのまま酸量とし、これを触媒活性として評価する。酸量が高いほど、後述するフッ素化して得られる部分フッ素化アルミナの異性化反応における触媒能が高いものと考えられる。
なお、実際には、低温側と高温側での脱離量は、一部重複して測定され、また、それ以外にも水や溶媒等の影響による測定値の変動がある。そのため、得られるグラフを所定の解析ソフトで分析解析して、低温側及び高温側のアンモニア脱離量を算出し、この値(アンモニア脱離量)を基に酸量を決定する。
アンモニア脱離量は、以下に記載のアンモニア昇温脱離法により算出できる。
このアンモニア昇温脱離法は、例えば、分析装置として触媒分析装置(マイクロトラック・ベル社製、 BELCATII)、キャリアーガスとしてHe(ヘリウム)、検出器としてTCD(熱伝導型検出器)、を用いて次のように行うことができる。
(前処理)
まず、TPD測定用セル内に0.10g精秤したγ-アルミナを、50mL/minでのヘリウム流通下、500℃まで10℃/minで昇温し、500℃で1時間保持して脱水する。
(NH処理)
脱水後のγ-アルミナを100℃に降温し、100mL/minでの0.5%NH/He流通下、30分間保持し、NHを吸着する。
(後処理)
NH吸着処理後のγ-アルミナを、50mL/minでのヘリウム流通下、100℃で30分間保持し、TPD測定用セル内で物理吸着しているNHを脱離させる。
(TPD測定)
前処理したγ-アルミナへ100℃、50mL/minでのヘリウム流通下、昇温速度10℃/minで810℃まで昇温する。
酸点の量は、ZSM-5型ゼオライト(エクソンモービルカタリスト社製、商品名: JRC-Z5-25H)のhighピーク(観測される2種のピークのうち、高温側のピーク)を0.99mmol/gとしてこれに対する相対的な量として決定する。
(解析方法)
本実施形態では、測定開始から脱離温度300℃までの温度範囲におけるアンモニア脱離量を弱酸量、脱離温度300℃以上におけるアンモニア脱離量を強酸量とし、得られた測定データからそれぞれのピークを正規分布に従うと仮定して非線形最小二乗法で波形分離し、それぞれのアンモニア脱離量を算出し、酸量を決定する。
また、アルミナはその結晶構造によって種々の種類があるが、ここで原料として用いるアルミナは、いわゆる活性アルミナと呼ばれる触媒活性の高いアルミナであり、本明細書においては上記酸量を満たす酸性の活性アルミナである。この活性アルミナの結晶型としては、特に限定されないが、一般的に活性の良好なγ-アルミナ、η-アルミナ等が好ましいものとして挙げられ、この中でもγ-Al構造を有するアルミナであるγ-アルミナがより好ましい。
結晶構造は、XRD(X-Ray Diffractometer、リガク社製、商品名:SmartLab)で測定した回折パターンにより、d=1.40、1.99、2.4Åの回折ピークから主生成物をγーアルミナと同定できる。
また、アルミナの比表面積、細孔容積はマイクロメトリックス社製、3Flexによって窒素吸着法により測定すればよい。
(部分フッ素化アルミナを得る工程)
本実施形態における部分フッ素化アルミナを得る工程は、上記工程で選定された所定の特性を有するアルミナを、フッ素化剤と接触、反応させて部分的にフッ素化させる工程である。ここで、フッ素化は、例えば、原料となるアルミナを高温下でフッ素化剤と気相で接触させることにより、アルミナのアルミニウム原子にフッ素原子を結合させて行うことができる。また、その他の公知のフッ素化処理によってフッ素化アルミナとしてもよい。
ここで用いるフッ素化剤は、アルミナをフッ素化できるフッ素源を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、フッ化水素(HF)、SF,SOF,COF等のフッ素原子を含有する無機化合物が挙げられ、また、フッ素原子を含有する置換基を有する炭素化合物が挙げられる。フッ素原子を含有する置換基を有する炭素化合物としては、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、等のフルオロカーボン類が挙げられる。
ここで、フッ素化剤としては、アルミナをフッ素化できればよく、次工程で説明する異性化の対象となる有機化合物を用いてもよい。すなわち、その場合には、フッ素化剤と異性化の原料化合物とが同一のものとなり、使用する原材料の種類を少なくでき(フッ素化剤を別に用意する必要がなく)、また、それに伴い装置の構造等も簡素化できるため、異性化方法の実施コストを低減できる。
コークの析出が低減できる観点からは、フッ素化剤としては、フッ化水素及びフッ素原子を含有する置換基を有する炭素数1~3の炭素化合物が好ましく、炭素数2以上の有機化合物がより好ましい。次工程で説明する異性化の対象となる有機化合物を用いない場合、フッ素化剤は前記炭素数2以上の有機化合物とは異なるフッ素化合物またはフッ化水素が好ましい。
(有機化合物を異性化する工程)
本実施形態におけるフッ素を含有する有機化合物を異性化する工程は、異性化対象となる有機化合物として、隣接する炭素原子の少なくとも一方にフッ素原子が一つ以上結合し他方に塩素原子及び/又は水素原子が一つ以上結合している、炭素数2以上の有機化合物を用いるものである。
ここで用いる有機化合物としては、上記構造を有する有機化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロクロロカーボン、ハイドロフルオロカーボン等のフルオロカーボンが挙げられる。
クロロフルオロカーボン(CFC)としては、例えば、トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)、モノクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)等が挙げられる。
ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、例えば、ジクロロトリフルオロエタン(HCFC-123)、クロロテトラフルオロエタン(HCFC-124)、ジクロロフルオロエタン(HCFC-141)、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC-225)等が挙げられる。
ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、ジフルオロエタン(HFC-152)、トリフルオロエタン(HFC-143)、テトラフルオロエタン(HFC-134)、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、ペンタフルオロプロパン(HFC-245)、ヘキサフルオロプロパン(HFC-236)、ヘプタフルオロプロパン(HFC-227)、ペンタフルオロブタン(HFC-365)、ヘプタフルオロシクロペンタン(HFC-c447)等が挙げられる。
この有機化合物としては、ハイドロフルオロクロロプロパンが好ましく、特に、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)や2,2-ジクロロ-1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225aa)が好ましいものとして挙げられ、これらを単独で又は混合した原料として用いた場合、異性化して得られる有機化合物の異性体は3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)である。HCFC-225caは、HFO-1234yfの合成原料となるCFO-1214yaを得るための出発物質として用いることができる。
このような所定の有機化合物を、上記で得られた部分フッ素化アルミナと接触させて、有機化合物を異性化させる。このとき、有機化合物は、そのフッ素原子の炭素原子との結合位置が隣接する炭素原子等に転位する。すなわち、得られる異性化後の有機化合物は、原料となる有機化合物とはフッ素原子と塩素原子又は水素原子との位置が入れ替わったもので、互いに異性体の関係を有する。
また、このような反応が連続して起こることで、フッ素原子が元々結合していた炭素原子とは2つ以上離れた炭素原子にフッ素原子が移動する場合もある。
この異性化反応においては、部分フッ素化アルミナに対して原料となる有機化合物を気相接触させることで異性化することが好ましい。この異性化反応にあたっては、その反応温度として150℃以上500℃以下の加熱下で行うことができる。
使用する原料化合物や、その化合物の種類、比率等によって、好適な反応温度が変化するため、所望の有機化合物の異性体が得られるように、反応条件を設定すればよい。一般に、反応温度が高くなると異性体化合物の間で不均化反応が進行して副生成物が生成するため、本実施形態における反応温度は、150~500℃が好ましく、200~450℃がより好ましい。使用する原料化合物は、前記反応温度において分解することなく、気体として存在する化合物が好ましい。本実施形態においては、触媒活性の良好な部分フッ素化アルミナを用いているため、上記のような低温加熱でも反応を進行させることができる。
[有機化合物の異性体の製造方法]
また、本実施形態の有機化合物の異性体の製造方法は、上記説明した有機化合物の異性化方法を用いて、原料の有機化合物に対して、そのフッ素原子を転位させて(異性化させて)、有機化合物の異性体を製造する。
この有機化合物の異性体の製造方法は、上記有機化合物の異性化方法を用いており、生成化合物側から表現したものであるため、実質的な内容は同一である。そのため、この発明の内容は上記した記載により説明されているため、詳細な説明を省略する。
以下に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
ベーマイトを焼成することにより調製したγ-Al 比表面積 229m/g、全細孔容積 0.69mL/gのアルミナ(以下、アルミナ1と称する)を用意した。
このアルミナ1の0.10gをサンプルとして採取し、NH-TPDにて酸点の測定を行った。得られた測定データから弱酸点、強酸点それぞれのピークが正規分布に従うと仮定し、非線形最小二乗法で波形分離して酸量を算出した。その結果、アルミナ1の強酸点の脱離温度(酸強度)は321℃、酸量は0.132mmol/gであった。
このアルミナ1を25mL秤量し、内径1.09cm、長さ350cmのSUS-316製反応管に充填し、管状電気炉内に設置し、窒素を流通しながら触媒充填部を管状炉で250℃に加熱して触媒を脱水した。その後400℃に昇温し、窒素/HCFC-225cbの2/1(モル/モル)混合ガスを接触時間20秒で流通することで、アルミナ触媒のフッ素化を行いつつ4時間流通させてHCFC-225caへの異性化反応を実施した。原料の転化率は反応器出口より取り出したガスをガスクロマトグラフで分析し、得られたGCチャートのArea%より算出することで行った。
このとき、原料に含まれるHCFC-225cbの量に対して、異性化処理後に含まれるHCFC-225cbの量から、転化率を算出した。
なお、本例で用いた原料組成物は、アサヒクリンAK-225G(HCFC-225cb、旭硝子社製)を用いた。
(実施例2~9)
使用するアルミナを以下に示したアルミナに変更した以外は、実施例1と同様の操作により、アルミナの酸量を測定した後、部分フッ素化アルミナを作成し、これを用いて有機化合物の異性化反応を行った。使用したアルミナは、以下の通りである。これらの物性と、異性化反応における転化率は実施例1と同様に表1にまとめて示した。
なお、使用したアルミナは以下の通りである。
アルミナ2:商品名 SAS-200(BASF製;比表面積 200m/g、全細孔容積 0.50mL/g)
アルミナ3:商品名 F-200(BASF製)をAir雰囲気下で600℃で10時間焼成し、γ-Al構造とした触媒(比表面積 184m/g、全細孔容積 0.23mL/g)
アルミナ4:商品名 Axsorb AB(日本軽金属製)をAir雰囲気下で600℃で10時間焼成し、γ-Al構造とした触媒(比表面積 177m/g、全細孔容積 0.48mL/g)
アルミナ5:ベーマイトを焼成することにより調製したγ-Al(比表面積 178m/g、全細孔容積 0.72mL/g)
アルミナ6:ベーマイトを焼成することにより調製したγ-Al(比表面積 180m/g、全細孔容積 0.73mL/g)
アルミナ7:ベーマイトを焼成することにより調製したγ-Al(比表面積 172m/g、全細孔容積 0.78mL/g)
アルミナ8:ベーマイトを焼成することにより調製したγ-Al(比表面積 188m/g、全細孔容積 0.81mL/g)
アルミナ9:ベーマイトを焼成することにより調製したγ-Al(比表面積 175m/g、全細孔容積 0.78mL/g)
(比較例1)
使用するアルミナをアルミナC1:商品名 selexsorb COS(BASF製、比表面積 150m/g、全細孔容積 0.46mL/g)に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、有機化合物の異性化反応を行った。使用したアルミナの物性と、異性化反応における転化率は実施例1と同様に表1に示した。
(参考例1)
異性化反応の触媒としてゼオライト:商品名 HSZ-330H(東ソー株式会社製;比表面積 269m/g、全細孔容積 0.18mL/g)を用い、これをそのまま用いて実施例1と同様の操作により、有機化合物の異性化反応を行った。使用したゼオライトの物性と、異性化反応における転化率は実施例1と同様に表1に示した。
Figure 0007036024000001
[比表面積]:マイクロメトリックス社製、3Flexによって窒素吸着法により測定した。
[全細孔容積]:マイクロメトリックス社製、3Flexによって窒素吸着法により測定した。
[酸量(アンモニア脱離量)]:触媒分析装置 BEACT II(マイクロトラック・ベル社製、商品名)を用い、各例に用いるアルミナを、昇温速度10℃/分で室温から810℃まで加熱し、アンモニアの脱離温度に対して脱離量を測定した。得られたグラフから脱離温度300℃以上におけるアンモニア脱離量を算出し、これをアルミナの酸量とした。
[転化率]:転化率の算出は、次の式により行った。
ガスクロマトグラフ分析によるガス組成のArea%より、[原料中のHCFC-225cbの含有量-異性化処理後のHCFC-225cbの含有量]で算出した。
また、上記実施例及び比較例における、使用したアルミナ及びゼオライトの酸量(アンモニア脱離量)と異性化反応の転化率との関係を図1に示した。図1から、酸量の高いアルミナを部分フッ素化することにより、転化率の高い触媒が得られる傾向があることがわかった。
本発明の有機化合物の異性化方法によれば、所定の特性のアルミナを選定することにより、転化率の良好な部分フッ素化アルミナを得ることができる。これにより試行錯誤に頼らずに転化率の良い異性化反応を行うことができる。この異性化方法を用いることで、有機化合物の異性体を効率よく得ることができる。

Claims (10)

  1. アンモニア昇温脱離法により脱離温度300℃以上におけるアンモニア脱離量から算出された酸量が0.10mmol/g以上0.25mmol/g以下であるアルミナを選定する工程と、
    選定されたアルミナをフッ素化剤によりフッ素化して部分フッ素化アルミナを得る工程と、
    得られた部分フッ素化アルミナを用いて、隣接する炭素原子の少なくとも一方にフッ素原子が一つ以上結合し他方に塩素原子及び/又は水素原子が一つ以上結合している、炭素数2以上の有機化合物を異性化する工程と、
    を有することを特徴とする有機化合物の異性化方法。
  2. アンモニア昇温脱離法により脱離温度300℃以上におけるアンモニア脱離量から算出される酸量が0.10mmol/g以上0.25mmol/g以下であるアルミナを、フッ素化剤によりフッ素化して、部分フッ素化アルミナを得る工程と、
    得られた部分フッ素化アルミナを用いて、隣接する炭素原子の少なくとも一方にフッ素原子が一つ以上結合し他方に塩素原子及び/又は水素原子が一つ以上結合している、炭素数2以上の有機化合物を異性化する工程と、
    を有することを特徴とする有機化合物の異性化方法。
  3. 前記アルミナがγ-Al構造を有するアルミナである請求項1または2に記載の有機化合物の異性化方法。
  4. 前記フッ素化剤が、前記炭素数2以上の有機化合物である請求項1~3のいずれか一項に記載の有機化合物の異性化方法。
  5. 前記フッ素化剤が、前記炭素数2以上の有機化合物とは異なるフッ素化合物またはフッ化水素である請求項1~3のいずれか一項に記載の有機化合物の異性化方法。
  6. 気相において、前記アルミナを、前記フッ素化剤によりフッ素化して部分フッ素化アルミナを得る請求項1~のいずれか一項に記載の有機化合物の異性化方法。
  7. 前記酸量が0.15mmol/g以上0.25mmol/g以下である請求項1~のいずれか1項に記載の有機化合物の異性化方法。
  8. 前記有機化合物が、ハイドロフルオロクロロプロパンである請求項1~のいずれか1項に記載の有機化合物の異性化方法。
  9. 前記ハイドロフルオロクロロプロパンが、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンを含み、異性化により3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを得る請求項に記載の有機化合物の異性化方法。
  10. 請求項1~のいずれか1項記載の有機化合物の異性化方法により、前記有機化合物のフッ素原子が転位した有機化合物の異性体を製造することを特徴とする有機化合物の異性体の製造方法。
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