JP7032687B1 - はんだ合金、はんだペースト、はんだボール、はんだプリフォーム、およびはんだ継手 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの知見により得られた本発明は以下のとおりである。
1.00≦(Bi+In)/Ag≦1.66 (2)
上記(1)式および(2)式中、Ag、Cu、Bi、およびInは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
4.48≦Ag×Cu×Bi×In≦7.7 (3)
上記(3)式中、Ag、Cu、Bi、およびInは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
はんだペースト。
(1) Ag:2.5~3.7%
Agは、含有量がSnAgCu共晶組成に近いと溶融温度の上昇を回避することができる。また、Ag3Snを粒状に析出させるため、はんだ合金の析出強化を図ることができる。Agの含有量が2.5%未満であるとSnAgCu亜共晶によりはんだ合金の溶融温度が上昇する。また、化合物の析出量が少なく強度が向上しない。Ag含有量の下限は2.5%以上であり、好ましくは2.8%以上であり、より好ましくは2.9%以上である。
Cuは、CuとAgの含有量がともにSnAgCu共晶組成に近いほど、はんだ合金の溶融温度を下げることができる。Cuの含有量が0.25%未満であるとSnAgCu亜共晶によりはんだ合金の溶融温度が上昇する。Cu含有量の下限は0.25%以上であり、好ましくは0.45%以上であり、より好ましくは0.55%以上である。
Biは、溶融温度の上昇を回避し、また、Snの固溶強化によりはんだ合金の強度を向上させることができる。Biの含有量が3.0%未満であると、Biの固溶量が少なく強度が十分に向上しない。また、はんだ合金の溶融温度が下がらない。Biの含有量の下限は3.0%以上であり、好ましくは3.1%以上であり、より好ましくは3.2%以上である。
Inは、溶融温度の上昇を回避し、また、Snの固溶強化によりはんだ合金の強度を向上させることができる。Inの含有量が0.5%未満であると、Inの固溶量が少なく強度が十分に向上しない。また、はんだ合金の溶融温度が下がらない。Inの含有量の下限は0.5%以上であり、好ましくは0.7%以上であり、より好ましくは0.9%以上であり、さらに好ましくは1.0%以上である。
8.1≦Ag+2Cu+Bi+In≦11.5 (1)
1.00≦(Bi+In)/Ag≦1.66 (2)
上記(1)式および(2)式中、Ag、Cu、Bi、およびInは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
本発明に係るはんだ合金の残部はSnである。前述の元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、前述の効果に影響することはない。なお、CoおよびNiは溶融温度を上昇させてしまうため、本発明に係るはんだ合金では含有しない方がよい。
4.48≦Ag×Cu×Bi×In≦7.7 (3)
上記(3)式中、Ag、Cu、Bi、およびInは、各々合金組成の含有量(質量%)を表す。
本発明に係るはんだ合金は、例えばステップソルダリングによりはんだ付けを2回行う場合には、2回目のはんだ付けに使用されることが好ましい。このような使用形態では、2回目に使用されるはんだ合金の溶融温度は、1回目に使用されるはんだ合金の固相線温度より低いことが好ましい。例えば1回目のはんだ付けにおいて245℃の溶融温度で溶融するSn-10Sbはんだ合金を用いる場合、熱容量の大きい部品を用いる場合における十分な温度マージンが考慮される。本発明に係るはんだ合金の溶融温度は211~220であることが好ましく、211~214℃であることが特に好ましい。
本発明に係るはんだペーストは、上述の合金組成からなるはんだ粉末とフラックスとの混合物である。本発明において使用するフラックスは、常法によりはんだ付けが可能であれば特に制限されない。したがって、一般的に用いられるロジン、有機酸、活性剤、そして溶剤を適宜配合したものを使用すればよい。本発明において金属粉末成分とフラックス成分との配合割合は特に制限されないが、好ましくは、金属粉末成分:80~90質量%、フラックス成分:10~20質量%である。
本発明に係るはんだ合金は、はんだボールとして使用することができる。本発明に係るはんだボールは、BGA(ボールグリッドアレイ)などの半導体パッケージの電極や基板のバンプ形成に用いられる。本発明に係るはんだボールの直径は1~1000μmの範囲内が好ましい。はんだボールは、一般的なはんだボールの製造法により製造することができる。
本発明に係るはんだプリフォームの形状は、特に限定されるものではなく、板状、リング形状、円筒形状、リボン形状、スクエア形状、ディスク形状、ワッシャ形状、チップ形状、ワイヤ形状などの形態で使用することができる。はんだプリフォームは、融点がはんだ合金よりも高く、溶融はんだに濡れやすい高融点金属粒(たとえばNi粒やCu粒及び、NiやCuを主成分とする合金粉)を内部に含有してもよい。
本発明に係るはんだ継手は、少なくとも2つ以上の被接合部材の接合に好適に使用される。被接合部材とは、例えば、素子、基板、電子部品、プリント基板、絶縁基板、ヒートシンク、リードフレーム、電極端子等を用いる半導体及び、パワーモジュール、インバーター製品など、本発明に係るはんだ合金を用いて電気的に接続されるものであれば特に限定されない。
本発明に係るはんだ合金は、その原材料として低α線量材を使用することにより低α線量合金を製造することができる。このような低α線量合金は、メモリ周辺のはんだバンプの形成に用いられるとソフトエラーを抑制することが可能となる。
本発明の効果を立証するため、表1に記載のはんだ合金を用いて、溶融温度、引張強度、シェア強度、ボイドの面積率、酸化被膜の厚さを測定した。
表1に記載した各合金組成を有するはんだ合金について、DSC曲線から各々の温度を求めた。DSC曲線は、株式会社日立ハイテクサイエンス社製のDSC(型番:EXSTAR6000)により、大気中で5℃/minで昇温して得られた。得られたDSC曲線から液相線温度を求め、溶融温度とした。また、DSC曲線から固相線温度も評価した。
引張強度はJISZ3198-2に準じて測定された。表1に記載の各はんだ合金について、金型に鋳込み、ゲージ長が30mm、直径8mmの試験片が作製された。作製された試験片は、Instron社製のType5966により、室温で、6mm/minのストロークで引っ張られ、試験片が破断したときの強度が計測された。本発明では、引張強度が67MPa以上である場合には十分な強度であるため「◎」と評価した。引張強度が67MPa未満、63MPa以上である場合には実用上問題ない強度であるため「〇」と評価した。引張強度が63MPa未満である場合には「×」と評価した。
平均粒径が20μmである表1に記載のはんだ合金組成を有するはんだ合金粉末を作製し、作製したはんだ合金粉末と公知のロジン系フラックスを89質量%:11質量%の割合で混和して、各はんだ合金のはんだペーストを作製した。はんだペーストは、厚さが0.8mmのプリント基板(材質:FR-4)に厚さが120μmのメタルマスクでCu電極に印刷した後、チップ抵抗部品をマウンターで実装して、最高温度235℃、保持時間60秒の条件でリフローはんだ付けをし、試験基板を作製した。
「シェア強度」で作製した試験基板を、東芝FAシステムエンジニアリング株式会社製TOSMICRON-6090FPを用いて30倍のX線平面写真をモニタに表示し、表示された画像からボイドを検出して面積率を求めた。検出に使用した画像解析ソフトはSoft imaging system製scandiumである。画像上、ボイドとそれ以外の部分はコントラストが異なるため、画像解析により識別可能であり、ボイドのみを検出することで測定を行った。測定したボイドの面積率が、シリコンチップの面積に対して3.2%以下の場合、ボイドは「◎」と評価し、3.2%超え4.1%以下の場合、ボイドは「〇」と評価し、4.1%を超える場合、ボイドは「×」とした。
表1に記載のはんだ合金を厚さが0.1mmのリボン状のプリフォームに加工して、10mm四方のプリフォームに裁断し、150℃の恒温槽で120分、加熱処理を行った。得られたプリフォームの酸化膜厚をFE-AES(電界放射型オージェ電子分光法)にて酸化被膜の厚さを測定した。酸化被膜の膜厚は、以下の装置及び条件で測定された。なお、酸化被膜の厚さの測定値はSiO2換算により求めた。酸化被膜の厚さが1.8nm以下である場合には、十分に酸化被膜の形成が抑制されているため「◎」と評価した。酸化被膜の厚さが1.8nm超え2.8nm以下である場合には、問題なく実装することができるため「〇」と評価した。酸化被膜の厚さが2.8nm超えである場合には「×」と評価した。
測定条件:Beam Voltage:10kV, 試料電流:10nA(Arイオン銃を用いたスパッタ深さの測定方法は、ISO/TR 15969に準拠。)
評価結果を表1および表2に示す。
Claims (6)
- 質量%で、Ag:2.5~3.7%、Cu:0.25~0.95%、Bi:3.0~3.9%、In:0.5~2.3%、および残部がSnからなる合金組成を有し、前記合金組成は下記(1)式および(2)式を満たすことを特徴とするはんだ合金。
8.1≦Ag+2Cu+Bi+In≦11.5 (1)
1.00≦(Bi+In)/Ag≦1.66 (2)
上記(1)式および(2)式中、Ag、Cu、Bi、およびInは、各々前記合金組成の含有量(質量%)を表す。 - 上記合金組成は下記(3)式を満たす、請求項1に記載のはんだ合金。
4.48≦Ag×Cu×Bi×In≦7.7 (3)
上記(3)式中、Ag、Cu、Bi、およびInは、各々前記合金組成の含有量(質量%)を表す。 - 請求項1または2に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末を有するはんだペースト。
- 請求項1または2に記載のはんだ合金からなるはんだボール。
- 請求項1または2に記載のはんだ合金からなるはんだプリフォーム。
- 請求項1または2に記載のはんだ合金を有するはんだ継手。
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