JP7027221B2 - 造形データ生成システム及び造形データ生成方法 - Google Patents
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造形データ生成装置10は、目的物の設計情報である三次元形状データ及び要求仕様データを受信する。三次元形状データは、目的物の三次元形状に関する設計情報(例えば3D-CADデータ)を含んでいる。要求仕様データは、目的物が達成すべき品質目標に関する設計情報を含んでおり、例えば、寸法精度に係る品質目標(第1の品質目標値)及び材料物性に係る品質目標(第2の品質目標値)を含む。
造形データ生成装置10の備える前処理部11は、受信した三次元形状データに基づいて、目的物を造形する際に付加製造装置30に入力可能な中間形状データを生成する。なお、中間形状データを生成する際に、要求仕様データを考慮しても良い。付加製造装置30で造形しようとする目的物の形状によっては、例えば、造形姿勢を変更したり、目的物を下支えする支持部材(サポート)を追加したりする必要がある。前処理部11は、このような造形姿勢の設定や支持部材の範囲及び構成に関する設定を考慮して、中間形状データを生成する。なお、前処理部11は、目的物の立体形状を複数の積層断面に分割したスライスデータを生成し、このスライスデータを中間形状データに含めても良い。
造形データ生成装置10の備える加熱計画部12は、目的物を造形する際の加熱計画を作成する。加熱計画は、例えば、目的物が造形中にどのような温度変化を経るかを経時的に表す熱履歴データに関する情報や目的物に対するエネルギー投入量に関する情報を含む。加熱計画部12は、目的物の造形に使用する材料の材料特性及び受信した要求仕様データの少なくとも一方に基づいて加熱計画を生成しているため、材料の材料特性又は要求仕様データが異なれば、加熱計画も異なるものになる。熱履歴データに係る温度変化としては、レーザ照射中における粉末202の焼結又は溶融固化に関する情報だけでなく、造形前の予備加熱、造形後の熱間等方圧加圧(HIP)等、目的物の最終形状に影響を与える全ての熱工程を考慮することができる。
造形データ生成装置10の備える加熱計画部12は、ステップS3で作成した加熱計画を採用した際に得られる目的物の材料物性を、熱履歴データから予測される充填率や微細構造等に基づいて推定する。加熱計画部12は更に、加熱計画から推定された目的物の材料物性が、要求仕様データで規定された材料物性に係る品質目標値(第2の品質目標値)を満たすか否か判断する。例えば、使用する材料を様々な条件下で加熱したときの理論特性や実験特性を示すデータベースやシミュレーション結果等を造形データ生成装置10に記憶しておき、これらの情報を参照することにより品質目標値を満たすかどうか評価すれば良い。
加熱計画から推定された目的物の材料物性が、要求仕様データで規定された材料物性に係る品質目標値を満たす場合、加熱計画部12は、ステップS3で作成した加熱計画に対応する施工条件データを生成する。具体的には、加熱計画部12は、加熱計画に含まれる熱履歴データで規定される目的物の温度変化を実現するために必要な付加製造装置30の各種制御パラメータを導出する。例えば、レーザ照射装置103の出力、走査速度、走査パターン等の加熱領域に関連する付加製造装置30の制御パラメータを生成する。
造形データ生成装置10の備える解析部14は、加熱計画部12で作成された加熱計画及び前処理部11で生成した中間形状データに基づいて熱応力解析を実施し、当該加熱計画を採用した場合に造形される目的物の形状を表す予測形状データを生成する。熱応力解析を行うことにより、造形中の目的物に加わる熱応力によって、前処理部11が生成した中間形状データが表す三次元形状がどのように変化するのか予測する。即ち、加熱計画及び中間形状データを用いて、付加製造装置30で造形する目的物がどのような最終形状となるのかを予測している。ここで、予測形状データは、前処理に伴う造形姿勢の調整や支持部材の追加に関する影響を除外したものであり、後述するステップにおいて三次元形状データと直接比較が可能な設計情報を含むものとする。
造形データ生成装置10の備える形状評価部15は、受信した三次元形状データと、解析部14で生成した予測形状データ(前処理に伴う造形姿勢の調整や支持部材の追加に関する影響を除外したもの)とを比較し、その差異が寸法精度に係る品質条件(第1の品質目標値)満たすか否かを判断する。即ち、三次元形状データが表す設計形状と、解析部14で生成した予測形状とを比較し、両者が一致するかどうか判断する。なお、一致するか否かの判断は、完全一致に限らず、寸法精度に係る品質条件が定める所定の許容範囲を持って判断しても良い。例えば、研磨や切削等により造形後の形状修正が可能な場合には、所定の許容範囲を持って、一致すると判断しても良い。また、造形後の形状修正が不可能な場合、例えば、設計形状よりも凹んでいる(陥没している又は窪んでいる等)といった場合には、一致しないと判断しても良い。
形状が一致しないと判断した場合、造形データ生成装置10の備える逆解析部16は、解析部14で生成した予測形状データが設計形状である三次元形状データに一致するように逆解析を行い、この逆解析結果に基づいて、前処理部11で生成した中間形状データを補正(調整・修正・変更)する。例えば、逆解析部16において、設計形状である三次元形状データと解析部14で生成した予測形状データとの差分を求め、求めた差分が小さくなるように(予測形状データと三次元形状データとが一致するように)シミュレーションを実施し、中間形状データを補正すれば良い。この中間形状データの補正後、上述したステップS6へ戻る。
三次元形状データと予測形状データとの差異が寸法精度に係る品質条件を満たす場合、即ち、設計形状と熱応力解析による予測形状とが実質的に一致する場合、形状評価部15は、一致したときの中間形状データを、付加製造装置30が施工条件データに従って実際に目的物を造形する際に用いられる入力形状データとして設定する。
造形データ生成装置10の備える総合評価部17は、加熱計画部12で生成された施工条件データと形状評価部15で生成された入力形状データとを含む造形データに関して、総合評価を実施する。具体的には、付加製造装置30に入力される造形データが、寸法精度に係る品質条件(第1の品質目標値)及び材料物性に係る品質条件(第2の品質目標値)の両方を満たすか否か、造形データに基づいて付加製造装置30が目的物を造形する際の生産性(生産コスト、生産スループット等)は許容範囲にあるか否か、及び標準化/規格化団体の定める所定の品質仕様を満たすか否か等の複数の判断基準の少なくとも一つに関して評価を行えば良い。
総合評価部17は、上述した総合評価の結果が所定の基準(総合評価基準)を満たしているか否か判断する。総合評価の結果が所定の基準を満たしている場合は、ステップS12へ進む。総合評価の結果が所定の基準を満たしていない場合は、ステップS2へ戻り、前処理から条件を見直す(施工条件データや中間形状データを変更し、再度総合評価を実施する)。
総合評価が所定の基準を満たしていると判断した場合、造形データ生成装置10の備える送信部18は、加熱計画部12で生成された施工条件データと形状評価部15で生成された入力形状データとを造形データの少なくとも一部として付加製造装置30に送信することで、造形開始の指示を行う。なお、送信部18は、入力形状データに基づき、支持部材を含み所定の造形姿勢が設定された目的物を複数の積層断面に分割したスライスデータを生成し、このスライスデータを造形データに含めても良い。なお、このスライスデータの生成は、ステップ1で上述した通り、前処理部11が行っても良い。
11 前処理部
12 加熱計画部
13 入力形状設定部
14 解析部
15 形状評価部
16 逆解析部
17 総合評価部
18 送信部
20 ネットワーク
30 付加製造装置
101 造形プラットフォーム
102 金属フレーム
103 レーザ照射装置
104 集光レンズ
105 発光装置
106 リコータ
Claims (18)
- 付加製造装置で利用可能な造形データを生成する造形データ生成システムであって、
前記付加製造装置で造形する目的物の品質に関する要求仕様データに基づいて、前記目的物を造形する際の加熱計画を作成し、当該加熱計画に対応する施工条件データを生成する加熱計画部と、
前記加熱計画部で前記加熱計画を作成した後、前記加熱計画に基づいて、前記付加製造装置が前記施工条件データに従って前記目的物を造形する際に用いられる入力形状データを生成する入力形状設定部と、
前記施工条件データと前記入力形状データとを、前記造形データの少なくとも一部として、前記付加製造装置に送信する送信部と、
前記付加製造装置で造形する目的物の形状に関する三次元形状データに基づいて、前記目的物を造形する際に前記付加製造装置に入力可能な中間形状データを生成する前処理部と、
を有し、
前記入力形状設定部は、前記中間形状データ及び前記加熱計画に基づいて、前記目的物の予測形状データを生成し、前記予測形状データと前記三次元形状データとが一致するように前記中間形状データを補正することで、前記入力形状データを生成することを特徴とする造形データ生成システム。 - 付加製造装置で利用可能な造形データを生成する造形データ生成システムであって、
前記付加製造装置で造形する目的物の品質に関する要求仕様データに基づいて、前記目的物を造形する際の加熱計画を作成し、当該加熱計画に対応する施工条件データを生成する加熱計画部と、
前記加熱計画部で前記加熱計画を作成した後、前記加熱計画に基づいて、前記付加製造装置が前記施工条件データに従って前記目的物を造形する際に用いられる入力形状データを生成する入力形状設定部と、
前記施工条件データと前記入力形状データとを、前記造形データの少なくとも一部として、前記付加製造装置に送信する送信部と、
を有し、
前記要求仕様データは、前記目的物の寸法精度に係る第1の品質目標値と、前記目的物の材料物性に係る第2の品質目標値とを含み、
前記加熱計画部は、前記加熱計画を作成する際に、前記第1の品質目標値よりも前記第2の品質目標値を優先することを特徴とする造形データ生成システム。 - 前記加熱計画部は、前記加熱計画を作成する際に、前記第1の品質目標値を考慮しないことを特徴とする請求項2に記載の造形データ生成システム。
- 前記加熱計画部は、
前記加熱計画を採用した際に前記目的物が前記第2の品質目標値を満たすか判断し、
前記第2の品質目標値を満たさないと判断した場合、前記目的物を造形する際に前記付加製造装置に入力可能な中間形状データ又は前記加熱計画の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の造形データ生成システム。 - 前記加熱計画部は、前記目的物の組成、強度、充填率、微細構造、表面粗さ、耐食性、及び耐熱性の少なくとも一つが、前記第2の品質目標値を満たすように、前記加熱計画におけるエネルギー投入量を決定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の造形データ生成システム。
- 前記入力形状設定部は、
前記加熱計画に対応する前記施工条件データに基づいて、前記中間形状データに対する熱応力解析を行うことで、前記予測形状データを生成する解析部と、
前記三次元形状データと前記予測形状データとの差分を検出することで、前記加熱計画に起因する前記目的物の形状変化が許容範囲内であるか否かを判断する形状評価部と、
前記目的物の形状変化が許容範囲内でない場合に、前記予測形状データが前記三次元形状データに近付くように逆解析を行い、前記中間形状データを補正する逆解析部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の造形データ生成システム。 - 前記前処理部は、前記三次元形状データに基づいて、前記目的物の造形姿勢を設定し、当該造形姿勢に基づいて、前記中間形状データを生成することを特徴とする請求項1に記載の造形データ生成システム。
- 前記前処理部は、前記三次元形状データに基づいて、前記目的物の造形に必要な支持部材を設定し、当該支持部材に関する情報に基づいて、前記中間形状データを生成することを特徴とする請求項1に記載の造形データ生成システム。
- 前記造形データが前記第1の品質目標値及び前記第2の品質目標値及び前記目的物の生産性に関する条件の少なくとも一方を含む総合評価基準を満たすか否かを判断する総合評価部を更に有し、前記総合評価部は、前記総合評価基準を満たす場合には前記送信部に前記造形データの送信を許可し、前記総合評価基準を満たさない場合は、前記目的物を造形する際に前記付加製造装置に入力可能な中間形状データ又は前記加熱計画の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項2に記載の造形データ生成システム。
- 付加製造装置で利用可能な造形データを生成するためのコンピュータが実行する造形データ生成方法であって、
前記付加製造装置で造形する目的物の品質に関する要求仕様データに基づいて前記目的物を造形する際の加熱計画を作成し、前記加熱計画に対応する施工条件データを生成する加熱計画工程と、
前記加熱計画を作成した後、前記加熱計画に基づいて、前記付加製造装置が前記施工条件データに従って前記目的物を造形する際に用いられる入力形状データを生成する入力形状設定工程と、
前記施工条件データと前記入力形状データとを、前記造形データの少なくとも一部として、前記付加製造装置に送信する送信工程と、
前記付加製造装置で造形する目的物の形状に関する三次元形状データに基づいて、前記目的物を造形する際に前記付加製造装置に入力可能な中間形状データを生成する前処理工程と、
を有し、
前記入力形状設定工程は、前記中間形状データ及び前記加熱計画に基づいて、前記目的物の予測形状データを生成し、前記予測形状データと前記三次元形状データとが一致するように前記中間形状データを補正することで、前記入力形状データを生成することを特徴とする造形データ生成方法。 - 付加製造装置で利用可能な造形データを生成するためのコンピュータが実行する造形データ生成方法であって、
前記付加製造装置で造形する目的物の品質に関する要求仕様データに基づいて前記目的物を造形する際の加熱計画を作成し、前記加熱計画に対応する施工条件データを生成する加熱計画工程と、
前記加熱計画を作成した後、前記加熱計画に基づいて、前記付加製造装置が前記施工条件データに従って前記目的物を造形する際に用いられる入力形状データを生成する入力形状設定工程と、
前記施工条件データと前記入力形状データとを、前記造形データの少なくとも一部として、前記付加製造装置に送信する送信工程と、
を有し、
前記要求仕様データは、前記目的物の寸法精度に関する第1の品質目標値と、前記目的物の材料物性に関する第2の品質目標値とを含み、
前記加熱計画工程では、前記加熱計画を作成する際に、前記第1の品質目標値よりも前記第2の品質目標値を優先することを特徴とする造形データ生成方法。 - 前記加熱計画工程は、前記加熱計画を作成する際に、前記第1の品質目標値を考慮しないことを特徴とする請求項11に記載の造形データ生成方法。
- 前記加熱計画工程は、
前記加熱計画を採用した際に前記目的物が前記第2の品質目標値を満たすか判断し、
前記第2の品質目標値を満たさないと判断した場合、前記目的物を造形する際に前記付加製造装置に入力可能な中間形状データ又は前記加熱計画の少なくとも一方を変更する、ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の造形データ生成方法。 - 前記加熱計画工程は、前記目的物の組成、強度、充填率、微細構造、表面粗さ、耐食性、及び耐熱性の少なくとも一つが、前記第2の品質目標値を満たすように、前記加熱計画におけるエネルギー投入量を決定する、ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の造形データ生成方法。
- 前記入力形状設定工程は、
前記加熱計画に対応する前記施工条件データに基づいて、前記中間形状データに対する熱応力解析を行うことで、前記予測形状データを生成する解析工程と、
前記三次元形状データと前記予測形状データとの差分を検出することで、前記加熱計画に起因する前記目的物の形状変化が許容範囲内であるか否かを判断する形状評価工程と、
前記目的物の形状変化が許容範囲内でない場合に、前記予測形状データが前記三次元形状データに近付くように逆解析を行い、前記中間形状データを補正する逆解析工程と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の造形データ生成方法。 - 前記前処理工程は、前記三次元形状データに基づいて、前記目的物の造形姿勢を設定し、当該造形姿勢に基づいて、前記中間形状データを生成することを特徴とする請求項10に記載の造形データ生成方法。
- 前記前処理工程は、前記三次元形状データに基づいて、前記目的物の造形に必要な支持部材を設定し、当該支持部材に関する情報に基づいて、前記中間形状データを生成することを特徴とする請求項10に記載の造形データ生成方法。
- 前記造形データが前記第1の品質目標値及び前記第2の品質目標値及び前記目的物の生産性に関する条件の少なくとも一方を含む総合評価基準を満たすか否かを判断する総合評価工程を更に有し、前記総合評価工程は、前記総合評価基準を満たす場合には前記造形データの送信を許可し、前記総合評価基準を満たさない場合は、前記目的物を造形する際に前記付加製造装置に入力可能な中間形状データ又は前記加熱計画の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項11に記載の造形データ生成方法。
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