以下、発明の好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。本実施形態の装置は、自動車等の車両に設けられた通信システムに外部機器を接続するためのインターフェースであり、通信システムに設けられた診断用コネクタを故障診断機のために解放した状態とするものである。なお、本発明は以下に説明する実施形態において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
1.通信システムの構成
図1は、OBD2コネクタに接続するタイプのインターフェース(以下「OBD2接続型インターフェース」ともいう。)を適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。図2および図3は、第一の実施形態に係る装置(インターフェース)を適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。図3では、本願出願当初の特許請求の範囲に対応する発明に係るインターフェース(以下、「本インターフェース」または単に「インターフェース」という。)を構成する部分を太線で示している(以下、図6、図10、図12、図16、図18、図19および図21において同様)。例えば、手続補正や分割出願において、この部分の一部、この部分とは異なる部分、またはこの部分と本明細書に記載の部分を含む部分についても、出願人は権利化する意思を有する。図1に示す通信システムと、図2および図3に示す通信システムとでは、後述するゲートウェイECUおよびオプションコネクタの有無の点で異なるが、いずれも本インターフェースを適用することができる。
通信システム10は、車両の制御を行うものであり、工場から出荷される車両にすでに設けられており、車両の一部をなす。通信システム10は、通信路12と、電子制御機器であるECU14と、診断用コネクタであるOBD2コネクタ16とを備える。ECU14は、複数設けられ、エンジンECU14a、ハイブリッドECU14b、ABSECU14c、ボディECU14d、メータECU14eおよびトランスミッションECU14fを備える。以下、単に「ECU14」と表記した場合、これらのECUを総称したものとする。なお、図1ではトランスミッションECU14fを省略している。図2ではABSECU14cおよびトランスミッションECU14fを省略している(以下、図7~図9、図11、図13~図15、図17および図20において同様)。図3ではハイブリッドECU14b、ABSECU14cおよびメータECU14eを省略している(以下、図6、図10、図12、図16、図18、図19および図21において同様)。通信システム10は、これら以外の構成要素(例えばコネクタや電子制御機器、センサ等)を備えてもよい。
通信路12には、ECU14と、OBD2コネクタ16とが接続され、CANを構成する。通信路12には、ECU14から出力された情報を含む信号が流れる。OBD2コネクタ16からは、通信路12を流れる信号を取得することができる。また、通信路12には、OBD2コネクタ16に接続された外部機器から出力された情報を含む信号も流れる。
エンジンECU14aには、スロットルセンサ、エンジン回転数センサ、水温センサ等のエンジン系の制御に必要な、図示しないセンサや装置が接続されている。ハイブリッドECU14bは、ハイブリッド制御ECU(HV ECU)とも呼ばれ、ハイブリッドシステムの制御を行う。ABSECU14cには、車両の速度を検出する車速センサ18が接続されている。ボディECU14dには、図3に示すようにドアロック制御装置22、ハザード点灯制御装置24、その他図示しない装置が接続されている。トランスミッションECU14fには、図3に示すようにシフトレバーの位置を検出するシフトポジション検出センサ20と、その他図示しない装置が接続されている。これらのECU14は、接続された装置を動作させるとともに、接続された装置やセンサから取得した情報に基づいて生成した信号を通信路12に出力する。
なお、通信路12には、ECU14の外に、その他の機能を備えるECU等の電子制御機器が接続されていてもよい。図1および図2のエンジンECU14aとハイブリッドECU14bとの間の破線およびボディECU14dとメータECU14eとの間の破線は、さらに電子制御機器が接続されていてもよいことを示す(以下、図7~図9、図11、図13~図15、図17および図20において同様)。
図2および図3に示す通信システム10では、通信路12のうち、ECU14が接続された部分と、OBD2コネクタ16が接続された部分との間に、ゲートウェイECU26が設けられている。すなわち、通信路12のうちECU14が接続された部分と、通信路12のうちOBD2コネクタ16が接続された部分とは、ゲートウェイECU26により間接的に接続されている。以下では、通信路12のうちECU14が接続された部分を「ゲートウェイECU26の内側」、通信路12のうちOBD2コネクタ16が接続された部分を「ゲートウェイECU26の外側」ともいう。なお、ゲートウェイECU26はECUであるものの、エンジンECU14a等を総称したECU14には含まれない。
図2および図3に示す通信システム10では、ECU14から通信路12に出力された情報の信号がゲートウェイECU26によって取捨選択もしくは変換され、又はそのままOBD2コネクタ16側に出力される。通信路12のゲートウェイECU26の内側に流れる情報の信号は、その一部はゲートウェイECU26の外側には流れ、また別の一部はゲートウェイECU26の外側には流れない。また、OBD2コネクタ16に接続された外部機器から出力された情報の信号は、OBD2コネクタ16から通信路12のゲートウェイECU26の外側に流れ、ゲートウェイECU26によって取捨選択もしくは変換され、又はそのまま通信路12のゲートウェイECU26の内側に出力される。例えば実施形態の車両においては、ECU14間でのみ利用される情報はゲートウェイECU26によってOBD2コネクタ16側(内側から外側)に出力されないようブロックされる一方、OBD2コネクタ16側からの情報は内側でのみ利用される情報と同じ情報はブロックされ、それ以外の情報は外側から内側へ中継されこれに対するECU14からの応答の情報も内側から外側へ中継される。
ゲートウェイECU26には、通信路12を介してオプションコネクタ28が接続されている。オプションコネクタ28は、車両のいわゆるインパネの内部にあらかじめ設けられているコネクタである。オプションコネクタ28は、本来はカーディーラーのディーラーオプションであるカーナビゲーション装置を接続するためのものである。オプションコネクタ28に接続されたカーナビゲーション装置では、オプションコネクタ28を介してCANから車速の信号等を取得し、取得した信号はナビゲーション処理に利用される。オプションコネクタ28には、ECU14や、図2および図3に示さない、通信路12のゲートウェイECU26の内側に接続された電子制御機器から通信路12に出力された情報の信号が流れ、後述するレーダー探知機40の動作に必要な信号が得られる。
通信路12と、ECU14と、ゲートウェイECU26と、オプションコネクタ28は、いわゆるインパネ等の車両構成部材30によって車室から隔てられた車室外(車両の外観にも車室内にも現れない部分(例えばダッシュボードの内部やボンネットの内部など)。図1および図2では車両構成部材30を表す破線の左側の部分として表されている(以下、図7~図9、図11、図13~図15、図17および図20において同様)。図3では車両構成部材30を表す矩形に囲まれた部分として表されている(以下、図6、図10、図12、図16、図18、図19および図21において同様)。)の空間に配置される。
OBD2コネクタ16は、車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置され、車室内から故障診断機70に配線72を介して設けられたコネクタ74を接続することができる。図3には、OBD2コネクタ16とコネクタ74とを接続することにより故障診断機70を通信システム10に接続した状態を示す。故障診断機70は、カーディーラー等で車両の点検に使用する機器であり、そのコネクタ74をOBD2コネクタ16に挿入して接続することにより、通信システム10が備えるECU14から出力される故障診断用の情報等を取得して表示する。このように、一般に故障診断機70は故障した車両がユーザから持ち込まれたディーラー等によって通信システム10に接続され、通常の車両の使用時には接続されない。
通信システム10に後述するレーダー探知機40や故障診断機70等の外部機器を直接または間接的に接続すると、当該外部機器が、ECU14その他図1、図2および図3に示さない電子制御機器と通信可能となる。
なお、図1には、OBD2コネクタ16にOBD2用インターフェース100を接続し、OBD2用インターフェース100にレーダー探知機40を接続した状態を示すが、OBD2コネクタ16は、原則として故障診断機70用のコネクタである。図中の「RD」はレーダー探知機を意味する(以下同様)。OBD2用インターフェース100は、OBD2コネクタ16に接続可能な接続部100aと、レーダー探知機40の配線48の端部に設けられたコネクタ50に接続可能な接続部100bとを備える。
従来、レーダー探知機40等の外部機器において通信路12を流れる信号を利用する場合には、図1に示すように、OBD2コネクタ16にOBD2用インターフェース100を接続し、OBD2用インターフェース100にレーダー探知機40等の外部機器を接続していた。本発明に係る装置(インターフェース80)を用いることにより、OBD2コネクタ16を開放した状態で、外部機器において通信路12を流れる信号を利用することができる。
図4は、OBD2コネクタの配置を示す車室の概略図である。OBD2コネクタ16は、車種によって異なる位置に設けられており、同図に円で示した部分のいずれかまたはその近傍に設けられている。円で示した部分を具体的に説明すると、アクセルペダル脇(a)、運転席足元右側(b)、運転席足元中央(c)、運転席足元左側(d)、センターコンソール右脇(e)、助手席足元右側(f)、ステアリング右脇パネル裏側(g)、助手席足元左側(h)、センターコンソール左脇(i)およびセンターコンソール下(j)である。括弧内の文字は、同図に示す円の中に記載された文字に対応する。例えば実施形態の車両では図4に示すようにセンターコンソール右脇(e)に設けられている。
2.第一の実施形態
第一の実施形態に係る装置であるインターフェース80は、図2および図3に示すように(図3では太線で示している)、伝送線82と外部機器側コネクタ84と車両側コネクタ86とを備え、外部機器側コネクタ84と車両側コネクタ86は伝送線82に接続される。外部機器側コネクタ84は、信号の送受信や制御を行うマイコン等の制御部材を内蔵している。車両側コネクタ86は通信システム10のオプションコネクタ28に接続される。外部機器側コネクタ84は、どこに配置しても構わないが、図2および図3に示すように車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置するとよい。外部機器側コネクタ84をこのように配置するため、インパネまたはその他の車両構成部材30には、外部機器側コネクタ84を嵌めるための孔が車両の購入後、事後的に設けられ、外部機器側コネクタ84がこの孔に取り付けられる。
インターフェース80の通信システム10への接続は次のようにして行う。まず、車両構成部材30の一部(インパネ)を取り外してオプションコネクタ28を露出させてアクセス可能とした上で、車両側コネクタ86をオプションコネクタ28に接続する。外部機器側コネクタ84を車両構成部材30に設けられた孔に嵌め込んで、車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置する。その後、再びインパネを元の位置に取り付ける。
図5は、オプションコネクタと車両側コネクタを接続した状態を示す模式図である。オプションコネクタ28は、車両側コネクタ86に接続される端子部28aと端子部28aから垂直な方向(図の矢印x方向)に伸びる本体部28bを備える。本体部28bは、端子部28aの反対側で通信路12に接続される。
車両側コネクタ86は、オプションコネクタ28に接続される端子部86aと端子部86aから垂直な方向(図の矢印-x方向)に伸びる本体部86bと本体部86bの端子部86a側から本体部86bと反対方向(図の矢印x方向)に伸びる2本のアーム86cとを備える。本体部86bは、端子部86aの反対側で伝送線82に接続される。アーム86cの先端は内側方向に突出している。アーム86c同士の間隔は、先端を除いてオプションコネクタ28の本体部86bの幅(図の矢印y方向の長さ)とほぼ等しく、アーム86cの先端の突出部を除いた部分の長さはオプションコネクタ28の本体部86bの端子部86aに垂直な方向(図の矢印x方向)の長さとほぼ等しい。
オプションコネクタ28と車両側コネクタ86とを接続する際には、まずアーム86cの先端がオプションコネクタ28の本体部28bに接触してアーム86cが外側方向にしなる。その後端子部86aと端子部28aとが接続すると、アーム86cの先端がオプションコネクタ28の本体部28bを超えた位置となり、アーム86cのしなりが元に戻るとともに、アーム86cによってオプションコネクタ28がいわば抱え込まれた状態となる。オプションコネクタ28と車両側コネクタ86とを分離する際には、オプションコネクタ28のアーム86cを手で外側方向にしならせる必要があり、勝手に分離してしまう可能性は非常に低い。オプションコネクタ28と車両側コネクタ86は、例えば金属製とするとよく、特に樹脂製とするとよい。車両側コネクタ86は雄側のコネクタであり、オプションコネクタ28は車両側コネクタ86とはめ合う雌型のコネクタである。
レーダー探知機40は、車両の周囲から発せられるマイクロ波を受信したことの情報や、現在の車両についての情報、その他の情報を表示部42に表示するものである。一般に、レーダー探知機40は、車両の購入後にユーザが自動車用品店等で入手するものであり、図4に示すようにダッシュボード上に固定される。レーダー探知機40は、図3および図4に示すように、タッチパネル式の液晶画面からなる表示部42と複数のボタンを有する操作部44と電源スイッチ46を備える。さらに、図2~図4に示すように、内部から引き出された配線48を備え、内部から引き出された配線48には端部にコネクタ50が設けられている。レーダー探知機40のコネクタ50は、インターフェース80の外部機器側コネクタ84に着脱可能に接続される。これにより、レーダー探知機40は通信システム10にインターフェース80を介して間接的に接続され、ECU14と通信可能となる。
外部機器側コネクタ84に内蔵されるマイコン等の制御部材は、CANポートとUARTポートとを備える。CANポートは、伝送線82側に接続され、UARTポートは配線48側(コネクタ50側)に接続されている。外部機器側コネクタ84に内蔵されるマイコン等の制御部材は、伝送線82側から取得したCANのパケットのデータを配線48側にシリアルデータとして送信する機能と、配線48側から受信したシリアルデータを伝送線82側にCANのパケットとして送信する機能等を備える。
レーダー探知機40は、インターフェース80を介して通信路12から取得した信号に基づいて後述する56項目の情報を生成し、ユーザに対して表示部42から出力する。
レーダー探知機40は、インターフェース80を介して通信路12から取得する信号に含まれる車両情報を0.5秒おきに取得する。この車両情報としては、例えば、車速、エンジン回転数、エンジン負荷率、スロットル度、点火時期、残り燃料の割合、インテークマニホールドの圧力、吸入空気量(MAF)、インジェクション開時間、エンジン冷却水の温度(冷却水温度)、エンジンに吸気される空気の温度(吸気温度)、車外の気温(外気温度)、燃料タンクの残り燃料の量(残燃料量)、燃料流量、瞬間燃費、アクセル開度、ウインカー情報(左右のウインカーの動作(ON/OFF))、ブレーキ開度、ハンドルの回転操舵角情報等がある。
レーダー探知機40が取得した車両情報に基づき以下の56項目の情報を生成し、この中からユーザが選択した情報を出力する。
出力可能な56項目は、「速度」「平均速度」「最高速度」「5秒速度」「平均5秒速度」「最高5秒速度」「回転数」「平均回転数」「最高回転数」「エンジン負荷」「平均負荷」「最大負荷」「スロットル開度」「平均スロットル開度」「最大スロットル開度」「点火時期」「燃料レベル」「インマニ圧」「MAF」「INJ」「冷却水温度」「吸気温度」「外気温度」「残燃料」「燃料流量」「消費燃料」「生涯消費燃料」「瞬間燃費」「今回燃費」「生涯燃費」「平均燃費」「平均燃費一般道」「平均燃費高速道」「運転時間」「走行時間」「アイドル時間」「アイドル比率」「走行距離」「生涯走行距離」「0-20km/h加速時間」「0-20km/h平均加速」「0-20km/h最短加速」「0-40km/h加速時間」「0-40km/h平均加速」「0-40km/h最短加速」「0-60km/h加速時間」「0-60km/h平均加速」「0-60km/h最短加速」「0-80km/h加速時間」「0-80km/h平均加速」「0-80km/h最短加速」「0-20km/h走行時間」「20-40km/h走行時間」「40-60km/h走行時間」「60-80km/h走行時間」「80km/h以上走行時間」である。
「速度」は、車両側から取得した現在の車速をkm/hの単位で表示する。「平均速度」は、車両側からレーダー探知機40の電源オンから現在までに取得した車速の平均の車速をkm/hの単位で表示する。「最高速度」は、車両側からレーダー探知機40の電源オンから現在までに取得した中での最高の車速をkm/hの単位で表示する。「5秒速度」は、5秒前から現在までに車両側から取得した車速の平均の車速をkm/hの単位で表示する。「平均5秒速度」は、車両側から取得した車速の電源ONからの5秒ごとの平均速度をkm/hの単位で表示する。「最高5秒速度」は、車両側から取得した車速の電源ONからの5秒ごとの最高速度をkm/hの単位で表示する。「回転数」は、車両側から取得した現在のエンジン回転数をrpmの単位で表示する。「平均回転数」は、電源オンから現在までに車両側から取得したエンジン回転数の平均値をrpmの単位で表示する。「最高回転数」は、電源オンから現在までに車両側から取得したエンジン回転数の最高値をrpmの単位で表示する。「エンジン負荷」は、車両側から取得した現在のエンジン負荷率を%の単位で表示する。「平均負荷」は、電源オンから現在までに車両側から取得したエンジン負荷率の平均値を%の単位で表示する。「平均負荷」は、電源オンから現在までに車両側から取得したエンジン負荷率の平均値を%の単位で表示する。「最大負荷」は、電源オンから現在までに車両側から取得したエンジン負荷率の最大値を%の単位で表示する。「スロットル開度」は、車両側から取得した現在のスロットル開度を%の単位で表示する。「平均スロットル開度」は、電源オンから現在までに車両側から取得したスロットル開度の平均値を%の単位で表示する。「最大スロットル開度」は、電源オンから現在までに車両側から取得したスロットル開度の最大値を%の単位で表示する。「点火時期」は、車両側から取得した現在の点火時期を°の単位で表示する。「平均スロットル開度」は、電源オンから現在までに車両側から取得したスロットル開度の平均値を%の単位で表示する。「最大スロットル開度」は、電源オンから現在までに車両側から取得したスロットル開度の最大値を%の単位で表示する。「燃料レベル」は車両側から取得した現在の残り燃料の割合を%の単位で表示する。「インマニ圧」は車両側から取得した現在のインテークマニホールドの圧力をkPaの単位で表示する。「MAF」は車両側から取得した現在のエンジンに吸入される空気量(吸入空気量(MAF))をg/sの単位で表示する。「INJ」は車両側から取得したインジェクタにより燃料が一定時間に噴射される時間(インジェクション開時間)をmsの単位で表示する。「冷却水温度」は車両側から取得した現在のエンジン冷却水の温度(冷却水温度)を℃の単位で表示する。「吸気温度」は車両側から取得した現在のエンジンに吸気される空気の温度(吸気温度)を℃の単位で表示する。「外気温度」」は車両側から取得した現在の車外の気温(外気温度)を℃の単位で表示する。「残燃料」は車両側から取得した現在の燃料タンクの残り燃料の量(残燃料量)をLの単位で表示する。「燃料流量」は車両側から取得した現在の燃料流量をml/mの単位で表示する。「消費燃料」は、電源オン時に車両側から取得した残燃料量と現在の残燃料量との差を消費燃料としてmlの単位で表示する。「生涯消費燃料」はレーダー探知機40を最初に取り付けてからまたはリセットしてからの消費燃料の累計値をLの単位で表示する。「瞬間燃費」は車両側から取得した現在の瞬間燃費をkm/lの単位で表示する。「今回燃費」は電源オンから現在までに車両側から取得した瞬間燃費に基づいて算出した今回の走行等による燃費をkm/lの単位で表示する。「生涯燃費」はレーダー探知機40を最初に取り付けてからまたは設定画面でオールリセットをしてから現在までの瞬間燃料に基づいて算出したこの間の燃費をkm/lの単位で表示する。「平均燃費」は、レーダー探知機40を最初に取り付けてからまたは設定画面で平均燃費のリセットをしてから現在までの瞬間燃料に基づいて算出したこの間の燃費をkm/lの単位で表示する。「平均燃費一般道」はレーダー探知機40に設けられたデータベースに記憶された地図データとレーダー探知機40に設けられたGPS受信器によって取得した現在位置とに基づき現在位置が一般道の位置に相当するかを判定し、一般道の位置で車両側から取得された瞬間燃費に基づいてレーダー探知機40を最初に取り付けてからまたは設定画面で平均燃費のリセットをしてから現在までの一般道での平均燃費をkm/lの単位で表示する。同様に、「平均燃費高速道」は、高速道での平均燃費をkm/lの単位で表示する。「運転時間」は電源オンから現在までの時間を時:分:秒の形式で表示する。「走行時間」は電源オンから現在までの時間のうち車両側から取得した車速が0を超えていた時間を時:分:秒の形式で表示する。「アイドル時間」は電源オンから現在までの時間のうち停車していた時間すなわち車両側から取得した車速が0の時間を時:分:秒の形式で表示する。「アイドル比率」は電源オンから現在までの時間のうち走行していた時間すなわち車速が0を超えていた時間(走行時間)と、停車していた時間すなわち車両側から取得した車速が0の時間(停車時間)との比率%の単位で表示する。「走行距離」は電源オンから現在までに車両側から取得した車速と経過時間から求めた走行距離をkmの単位で表示する。「生涯走行距離」はレーダー探知機40を最初に取り付けてからまたはリセットしてからの走行距離の累計値をkmの単位で表示する。「0-20km/h加速時間」は、直近の停車状態から時速20km/hまでにかかった時間を秒の単位で表示する。「0-20km/h平均加速」は、停車状態から時速20km/hまでにかかった平均時間を秒の単位で表示する。「0-20km/h最短加速」は、停車状態から時速20km/hまでにかかった最短時間を秒の単位で表示する。「0-40km/h加速時間」は、直近の停車状態から時速40km/hまでにかかった時間を秒の単位で表示する。「0-40km/h平均加速」は、停車状態から時速40km/hまでにかかった平均時間を秒の単位で表示する。「0-40km/h最短加速」は、停車状態から時速40km/hまでにかかった最短時間を秒の単位で表示する。「0-60km/h加速時間」は、直近の停車状態から時速60km/hまでにかかった時間を秒の単位で表示する。「0-60km/h平均加速」は、停車状態から時速60km/hまでにかかった平均時間を秒の単位で表示する。「0-60km/h最短加速」は、停車状態から時速60km/hまでにかかった最短時間を秒の単位で表示する。「0-80km/h加速時間」は直近の停車状態から時速80km/hまでにかかった時間を秒の単位で表示する。「0-80km/h平均加速」は停車状態から時速80km/hまでにかかった平均時間を秒の単位で表示する。「0-80km/h最短加速」は停車状態から時速80km/hまでにかかった最短時間を秒の単位で表示する。「0-20km/h走行時間」は停車状態から時速20km/hで走行していた時間の合計を時:分:秒の形式で表示する。「20-40km/h走行時間」は時速20km/hから40km/hで走行していた時間の合計を時:分:秒の形式で表示する。「40-60km/h走行時間」は時速40km/hから60km/hで走行していた時間の合計を時:分:秒の形式で表示する。「60-80km/h走行時間」は時速60km/hから80km/hで走行していた時間の合計を時:分:秒の形式で表示する。「80km/h以上走行時間」は時速80km/h以上で走行していた時間の合計を時:分:秒の形式で表示する。
3.第二の実施形態
図6~図11は、第二の実施形態に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェースは、通信制限器が設けられていること以外は図2および図3に示すインターフェースと同様の構成であり、実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
第二の実施形態は、具体的な実施の態様として、以下の実施態様2-1~実施態様2-7等がある。
・実施態様2-1:通信制限器88に配線90を介してスイッチ92が接続され、スイッチ92の操作により通信制限器88による通信の制限を行う。
・実施態様2-2:インターフェース80に有線接続されたレーダー探知機40の電源スイッチ46の操作により通信制限器88による通信の制限を行う。
・実施態様2-3:インターフェース80に有線接続されたレーダー探知機40の表示部42に表示されたメニューの操作によりソフトウェア的に通信制限器88による通信の制限を行う。
・実施態様2-4:インターフェース80に無線接続されたレーダー探知機40の制御により通信制限器88による通信の制限を行う。
・実施態様2-5:車両内IDまたはインターフェース80自身が送信するデータ以外のデータを検出したときに通信制限器88による通信の制限を行う。
・実施態様2-6:車両の操作により通信制限器88による通信の制限を行う。
3-1.実施態様2-1
図6は、実施態様2-1に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェース80は、伝送線82の途中に通信制限器88が配置されている。通信制限器88は、マイコンを含む集積回路等で構成されたものであり、基板上に配置される。通信制限器88は、図示しないCANポートを2つ備えており、一方のポートは外部機器側コネクタ84側で伝送線82に接続されており、他方のポートは車両側コネクタ86側で伝送線82に接続されている。通信制限器88には、配線90を介してスイッチ92が接続されており、スイッチ92は車室内の運転席から手の届く範囲に配置される。
図7は、実施態様2-1の変形例に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェース80は、外部機器側コネクタ84に内蔵されたマイコンが通信制限器88として動作する(図8、図9および図11において同様)。図7に示すインターフェース80は、外部機器側コネクタ84に内蔵された通信制限器88として動作するマイコンに、配線90を介してスイッチ92が接続されている。なお、図7に示す通信システム10は、オプションコネクタが設けられておらず、後述する図17のように、伝送線82の車両側接続部82aが半田付け等によりゲートウェイECU26の内側で通信路12と直接結線されている(図8、図9および図11において同様)。
本実施態様では、通信制限器88による通信の制限の実行および停止は、ユーザが手動で行う。すなわち、図6および図7に示す通信制限器88に接続されたスイッチ92をオフにすることによって通信の制限を実行し、スイッチ92をオンにすることによって通信の制限を停止する。
通信制限器88による「通信の制限」は、OBD2コネクタ16に故障診断機70が接続され、インターフェース80の外部機器側コネクタ84にレーダー探知機40が接続されている場合において、故障診断機70による通信を優先するよう、レーダー探知機40による通信路12を介した通信を制限することで行う。具体的には、通信制限器88による通信の制限は、故障診断機70の動作に干渉する信号をインターフェース80から通信システム10へ送信しないようにすること、インターフェース80を通信システム10にアクセスできないようにすること、および車両側コネクタ86側から外部機器側コネクタ84側またはその逆方向のパケットの伝送を遮断することのいずれかの方法(制御)により行う。なお、通信の制限を行わない時、すなわち通常時には、通信制限器88は、全てのパケットを車両側コネクタ86側から外部機器側コネクタ84側またはその逆方向に、双方向に通過させる。
3-2.実施態様2-2
図8は、実施態様2-2に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェース80は、通信制限器88が、レーダー探知機40の電源スイッチ46のオン、オフを検知する機能を備える。
本実施態様では、通信制限器88による通信の制限の実行および停止は、ユーザが手動で行う。すなわち、図8に示すレーダー探知機40の電源スイッチ46をオフにすると、これに連動して通信制限器88が通信の制限を実行する。また、スイッチ92をオンにすると、これに連動して通信制限器88が通信の制限を停止する。具体的には、例えばレーダー探知機40の電源スイッチ46と図7のスイッチ92の機能とを兼用するスイッチとして構成してもよい。また別の構成として、レーダー探知機40から通信制限器88に定期的に信号を送信し、レーダー探知機40の電源がオフにされることにより、この定期的な信号が通信制限器88で受信なされなくなった場合に通信制限器88による通信の制限を実行するようにしてもよい。
なお、上述した図6に示すインターフェース80の通信制限器88を、レーダー探知機40の電源スイッチ46のオン、オフを検知可能なものとしてもよく、このようにすれば通信制限器88に接続されたスイッチ92の操作だけでなく、レーダー探知機40の電源スイッチ46の操作によっても通信制限器88による通信の制限の実行および停止を行うことができる。
3-3.実施態様2-3
図9は、実施態様2-3に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェース80は、通信制限器88が、レーダー探知機40の信号を受信可能なものである。
本実施態様では、通信制限器88による通信の制限の実行および停止の操作は、ユーザのレーダー探知機40の操作部への操作に応じて行う。すなわち、ユーザが表示部42に触れ、レーダー探知機40の操作部(図9には図示していない)または表示部42に表示させた操作メニュー42aの通信制限のオンまたはオフの操作に応じて、通信の制限の実行または停止のいずれかを選択する。このオンまたはオフに応じて、レーダー探知機40に内蔵されたソフトウェアの動作によって、レーダー探知機40は通信制限器88にこのオンまたはオフの信号を送信し、この信号を受信した通信制限器88はその信号に応じて通信の制限の実行または停止を行う。
図9に示す表示部42に表示される操作メニュー42aでは、「通信の制限を実行する場合」を、インターフェース80を通信システム10のCANにアクセスできないようにするという意味で「off」と表示し、「通信の制限を停止する場合」を、インターフェース80を通信システム10のCANにアクセスできるようにするという意味で「on」と表示する。同図には、操作メニュー42aで「off」が選択され、通信の制限を実行している状態を示す。
3-4.実施態様2-4
図10は、実施態様2-4に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェース80は、通信制限器88が、レーダー探知機40の信号を受信可能なものである。
図10に示すレーダー探知機40は、インターフェース80と無線で接続される。同図に示す外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40のそれぞれには無線通信用のチップが設けられ、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40とはBluetooth(登録商標)による無線通信により接続される。
本実施態様では、通信制限器88による通信の制限の実行および停止は、ユーザが手動で行う。すなわち、実施態様2-3と同様にユーザが表示部42または操作部44に触れてレーダー探知機40の表示部42に操作メニュー42aを表示させ、通信の制限の実行または停止のいずれかを選択する。すると、レーダー探知機40に内蔵されたソフトウェアの動作によって、レーダー探知機40から通信制限器88に信号が送信され、この信号を受信した通信制限器88による通信の制限の実行または停止が行われる。さらに、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40との無線通信が電波状況等何らかの理由によりできなくなった場合にも通信の制限が実行される。また、無線通信ができないことにより通信の制限が実行された場合、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40との無線通信が回復した場合には、通信の制限が停止される。
3-5.実施態様2-5
図11は、実施態様2-5に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図と動作の説明図である。同図に示すインターフェース80は、通信制限器88が、レーダー探知機40の信号を受信可能なものである。
図11(a)には、OBD2コネクタ16にOBD2用インターフェース100を接続し、OBD2用インターフェース100に故障診断機70のコネクタ74が接続された状態を示す。故障診断機70は、診断を行いたいECU14に対してIDを指定してリクエストメッセージを送信する。リクエストメッセージを受信し、自身に対応するIDであることを認識したECU14は、リターンメッセージを通信路12に送信し、故障診断機70はこのリターンメッセージを受信し、リターンメッセージに基づく診断情報を表示する。
同様に、レーダー探知機40も、情報を得たいECU14に対してIDを指定してリクエストメッセージをインターフェース80を介して送信する。リクエストメッセージを受信し、自身に対応するIDであることを認識したECU14は、リターンメッセージを通信路12に送信し、レーダー探知機40はインターフェース80を介してこのリターンメッセージを受信し、リターンメッセージに基づく情報を表示する。
本実施態様では、故障診断機70から送信されたリクエストメッセージのIDとレーダー探知機40からインターフェース80を介して送信されたリクエストメッセージのIDのバッティングにより故障診断機70が異常を検出してアクセスを停止するのを防止するため、以下の2通りの場合に通信制限器88による通信の制限を実施する。
(1)インターフェース80が信号を送信する前(実際には数秒程度の監視時間が必要)に、故障診断機70から送信されたリクエストメッセージとレーダー探知機40から送信されたリクエストメッセージとが同じ宛先(アクセス先のID。図11(a)には「7E0」の場合を示す。)であること、または同じ宛先からのリターンメッセージ(図11(a)には「7E8」の場合を示す。)を通信制限器88が検出した場合。
(2)インターフェース80がアクセス中の場合において、同じ宛先の違う項目の要求またはリターンを検出したとき。
例えば、故障診断機70からエンジンの回転数の要求を出している時に、インターフェース80から車速の要求があった場合には、図11(b)および図11(c)に示すように動作する。この動作は以下の通りである。まず、故障診断機70がファンクションリクエストのCAN ID(この場合「エンジンの回転数」)で信号S1を送信する。続いて、フィジカルリクエストのCAN ID(この場合「車速」)で信号S2を送信する。
次に、エンジンECU14aから信号S1に対してエンジン回転数情報S3がリターンされ、さらにエンジンECU14aから信号S2に対して車速情報S4がリターンされる。なお、ファンクションリクエストである信号S1を受信したECU14のうち、「エンジンの回転数」を出力できるエンジンECU14a以外のECUは、信号S1に対して応答しない。フィジカルリクエストである信号S2は、エンジンECU14aを対象とするものであるため、信号S2を受信したECU14のうち、エンジンECU14a以外のECUは、信号S1を無視する。なお、図11(b)では、信号S1~S4を、省略してそれぞれ「7DF YY‥」、「7E0 XX‥」、「7E8 XX‥」、「7E8 YY‥」と記載している。
ここで、インターフェース80は、車速の要求S2を出したのに対して要求に合わないエンジン回転数情報S3がリターンされたため、以降の送信は停止される。すなわち、通信制限器88による通信制限が行われる。その後、「7E8 XX…」信号のリターンが一定時間なければインターフェース80からの送信が再開される。すなわち、通信制限器88による通信の制限が解除される。
3-6.実施態様2-6
本実施態様では、図6~図11に記載されたインターフェース80の通信制限器88が、車両に設けられたイグニッションスイッチの操作を検知可能なものである。
本実施態様では、通信制限器88による通信の制限の実行および停止は、ユーザが手動で行う。すなわち、通信制限器88による通信の制限の実行は、車両に設けられた図示しないイグニッションスイッチのオフからオンへの切り替えを1秒間に3回(初期状態をオフとし、オフ→オン→オフ→オン→オフ→オンで終了する手順)行い、通信システム10のECUを介して通信路12にこのようなイグニッションスイッチの操作が行われたことによる信号が流れたことを通信制限器88が検出した場合に行う。また、通信制限器88による通信の制限の停止は、通信の制限が実行されている際に、同様のイグニッションスイッチの操作が行われたことによる信号が流れたことを通信制限器88が検出した場合に行う。
4.第三の実施形態
図12は、第三の実施形態に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示す第三の実施形態に係るインターフェースは、信号変換器が設けられていること以外は図3に示すインターフェースと同様の構成であり、実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図12に示すように、インターフェース80は、伝送線82の途中に信号変換器94が設けられている。信号変換器94は、マイコンを含む集積回路等で構成されたものであり、基板上に配置される。
信号変換器94は、ECU14から送信された信号をレーダー探知機40で使用できる形式に変換し、レーダー探知機40から送信された信号をECU14で使用できる形式に変換する。
信号の形式の変換の一例について説明する。図12に示すように、レーダー探知機40から送信されるリクエストメッセージの形式を「7E0**」、レーダー探知機40で認識可能なレスポンスメッセージの形式を「7E8**」とし、ECU14で認識可能なリクエストメッセージの形式を「700##」、ECU14から送信されるレスポンスメッセージの形式を「708##」とする。
この場合、レーダー探知機40が「7E0**」なるリクエストメッセージを送信する。「7E0**」なるリクエストメッセージは、信号変換器94側と直接通信路12側の両方に流れる。「7E0**」なるリクエストメッセージを受信した信号変換器94は「700##」の形式にリクエストメッセージを変換して、通信システム10の通信路12に直ちに送信する。そのため、信号変換器94が送信したリクエストメッセージ「700##」は、レーダー探知機40が送信したリクエストメッセージ「7E0**」の後に、大きく遅れることなく通信路12側に流れる。
ECU14は通信路12を流れるリクエストメッセージ「700##」を受信し、各ECU14のうち自身に対するリクエストメッセージであると認識したECU14は、レスポンスメッセージ「708##」を通信路に送信する。また、ECU14は、通信路12を流れるリクエストメッセージ「7E0**」を受信しても、このメッセージを認識しない(無視する)ため、何らの動作も行わない。
ECU14が送信したレスポンスメッセージ「708##」は、オプションコネクタ28を経て信号変換器94側と直接レーダー探知機40側の両方に流れる。レスポンスメッセージ「708##」を受信した信号変換器94は「7E8**」にレスポンスメッセージを形式変換して、レーダー探知機40に送信する。レスポンスメッセージ「7E8##」を受信したレーダー探知機40は、このレスポンスメッセージに対応する情報を表示部42に表示する。また、レーダー探知機40は、リクエストメッセージ「708##」を受信しても、このメッセージを認識しない(無視する)ため、何らの動作も行わない。
ここで、「**」および「##」は要求または応答の内容を示すデータである。図12では、リクエストメッセージの流れを実線、レスポンスメッセージの流れを破線で示した。
レーダー探知機40がリクエストメッセージに対するレスポンスメッセージを例えば100ミリ秒以内に受信できなかった場合には、再度リクエストメッセージを送信するリトライを行う。リトライは例えば3回行い、3回リトライを行ってもレスポンスメッセージを受信できなかった場合はエラーとし、エラーが生じた旨を表示部42に表示する。
4-1.第三の実施形態の別の態様
図13~図15を用いて第三の実施形態の別の態様について説明する。図13~図15では、通信システム10が新型自動車に搭載されたものであり、レーダー探知機40がモデルチェンジ前の旧型自動車対応機であって第一の実施形態で説明した56項目の表示が可能な構成であるがモデルチェンジ後の新型自動車には非対応である機器(以下「新型自動車非対応機」という。)である場合について示す。図13~図15では、外部機器側コネクタ84に内蔵されているマイコンが信号変換器94として動作する例を示す。なお、図13~図15に示す通信システム10は、オプションコネクタが設けられておらず、後述する図17のように、伝送線82の車両側接続部82aが半田付け等によりゲートウェイECU26の内側で通信路12と直接結線されている。
4-1-1.第一の別態様
図13は、OBD2コネクタ16にOBD2用インターフェース100を接続し、OBD2用インターフェース100にレーダー探知機40のコネクタ50を接続し、外部機器側コネクタ84には何も接続されていない状態を示す。
図13は、エンジンECU14aに対してリクエストメッセージを送信する場合について示す。図13に示すように、新型自動車非対応機であるレーダー探知機40から送信されるリクエストメッセージの形式は「7E0 XX‥」、レーダー探知機40で認識可能なレスポンスメッセージの形式は「7E8 XX‥」である。新型自動車に搭載されたECU14で認識可能なリクエストメッセージの形式は「700 YY‥」、ECU14から送信されるレスポンスメッセージの形式は「708 YY‥」である。これらの信号の形式(CAN ID)は、図12に示す場合と同様である。レーダー探知機40から送信されるリクエストメッセージおよびレスポンスメッセージの形式は、旧型自動車に搭載されたECUに対応するものである。
このゲートウェイECU26では、特定のCAN ID(この場合、故障診断機70で使用されるIDである「7xx」)は通過することができ、それ以外のCAN ID(例えば「B4」)はブロックされる。
レーダー探知機40から送信された旧形式のリクエストメッセージ「7E0 XX‥」は、OBD2コネクタ16を経てゲートウェイECU26の内側においてECU14側と外部機器側コネクタ84側の両方に流れる。外部機器側コネクタ84に内蔵された信号変換器94は、旧形式のリクエストメッセージ「7E0 XX‥」を検出すると、新形式の「700 YY‥」に変換して送信する。「700 YY…」を受信したエンジンECU14aは、新形式のレスポンスメッセージ「708 YY‥」を送信する。エンジンECU14aは、旧形式のリクエストメッセージを受信しても、このメッセージを認識しない(無視する)ため、何らの動作も行わない。また、エンジンECU14a以外のECU14は、旧形式のリクエストメッセージまたはエンジンECU14aを宛先とする新形式のリクエストメッセージ「7E0 XX‥」を受信しても、このメッセージを認識しないため、何らの動作も行わない。
エンジンECU14aから送信された新形式のレスポンスメッセージ「708 YY‥」は、外部機器側コネクタ84側と、OBD2コネクタ16を経てレーダー探知機40側の両方に流れる。外部機器側コネクタ84に内蔵された信号変換器94は、新形式のレスポンスメッセージ「708 YY‥」を検出すると、旧形式の「7E8 XX‥」に変換して送信する。レスポンスメッセージ「7E8 XX‥」を受信したレーダー探知機40は、このレスポンスメッセージに対応する情報を表示部(図13には図示していない)に表示する。また、レーダー探知機40は、新形式のレスポンスメッセージ「708 YY‥」を受信しても、このメッセージを認識しない(無視する)ため、何らの動作も行わない。
4-1-2.第二の別態様
図14は、インターフェース80の外部機器側コネクタ84にアダプタ102、OBD2用インターフェース100およびレーダー探知機40のコネクタ50を順に接続し、OBD2コネクタ16には何も接続されていない状態を示す。アダプタ102は、配線104の一方の端部に第一コネクタ106が設けられ、配線104のもう一方の端部に第二コネクタ108が設けられている。第一コネクタ106はインターフェース80の外部機器側コネクタ84に接続される。第二コネクタ108は、OBD2コネクタ16と同じ形式のコネクタであり、OBD2用インターフェース100の接続部100aに接続される。レーダー探知機40のコネクタ50は、OBD2用インターフェース100の接続部100bに接続される。
図14には、ハイブリッドECU14bに対してリクエストメッセージを送信する場合について示す。レーダー探知機40から送信された旧形式のリクエストメッセージ「7E2 XX‥」は、外部機器側コネクタ84に内蔵された信号変換器94で新形式の「7D2 YY‥」に変換され、ECU14側に送信される。「7D2 YY‥」を受信したハイブリッドECU14bは、新形式のレスポンスメッセージ「7DA YY‥」を送信する。ハイブリッドECU14b以外のECU14は、ハイブリッドECU14b宛先とする新形式のリクエストメッセージ「7D2 YY‥」を受信しても、このメッセージを認識しないため、何らの動作も行わない。
ハイブリッドECU14bから出力された新形式のレスポンスメッセージ「7DA YY‥」は、外部機器側コネクタ84側とOBD2コネクタ16側の両方に流れる。外部機器側コネクタ84に内蔵された信号変換器94は、新形式のレスポンスメッセージ「7DA YY‥」を検出すると、旧形式の「7EA XX‥」に変換してレーダー探知機40側に送信する。レスポンスメッセージ「7EA XX‥」を受信したレーダー探知機40は、このレスポンスメッセージに対応する情報を表示部(図14には図示していない)に表示する。
また、レーダー探知機40をインターフェース80を介して通信システム10に接続する場合、ゲートウェイECU26の内側のIDも外部機器に出力される。図14には、通信路12を流れる「B4」というIDを含む信号がインターフェース80を通過してレーダー探知機40に出力される状態を示す。
4-1-3.第三の別態様
図15は、図14に示すブロック図において、インターフェース80とレーダー探知機40とを無線で接続した状態を示す図である。同図に示す外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40のそれぞれには無線通信用のチップが設けられ、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40とはBluetooth(登録商標)による無線通信により接続される。
この場合、レーダー探知機40から送信される旧形式のリクエストメッセージ「7E2 XX‥」は無線通信で外部機器側コネクタに送信され、外部機器側コネクタ84に内蔵された信号変換器94で新形式の「7D2 YY‥」に変換される。また、ハイブリッドECU14bから出力された新形式のレスポンスメッセージ「7DA YY‥」は、旧形式の「7EA XX‥」に変換され、無線通信でレーダー探知機40に送信される。また、通信路12を流れる「B4」というIDを含む信号も、無線通信でレーダー探知機40に送信される。それ以外の信号の流れは上述の第二の別態様と同様である。
5.第四の実施形態
図16は、第四の実施形態に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示すインターフェースは、第二外部機器側コネクタが設けられていること以外は図3に示すインターフェースと同様の構成であり、実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図16に示すように、インターフェース80は、伝送線82が二股に分岐しており、伝送線82の3つの端部のそれぞれには、外部機器側コネクタ84および車両側コネクタ86に加えて第二外部機器側コネクタ96が設けられている。
車両側コネクタ86は他の実施形態と同様にオプションコネクタ28に接続されている。車両側コネクタ86、外部機器側コネクタ84および第二外部機器側コネクタ96のいずれも、車両構成部材30の内側の車室からは見えない位置に配置される。
外部機器側コネクタ84は、オプションコネクタ28と同型式のコネクタであり、カーナビゲーション装置52に配線58を介して設けられたコネクタ60と接続される。カーナビゲーション装置52は、ディーラーで車両のオプションとして選択されたり、車両の購入後に別途自動車用品店で購入されたりする装置であり、本来オプションコネクタ28に接続されるものである。カーナビゲーション装置52は、表示部54および操作部56を車室に露出させた状態で車両構成部材30のインパネのセンターコンソール部分に埋め込まれる。カーナビゲーション装置52のコネクタ60は、背面から引き出された配線58の端部に設けられており、車室からはこれらの配線58およびコネクタ60は見ることができない。
第二外部機器側コネクタ96は、レーダー探知機40のコネクタ50に接続される。レーダー探知機40の配線48は、インパネとその他の部分との隙間を通過するように配置する。なお、第二外部機器側コネクタ96は、車室内に配置してもよいし、車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置してもよい。車室内に配置する場合には、伝送線82が車両構成部材30のインパネとその他の部分との隙間を通過するように配置する。車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置する場合には、車両構成部材30に孔を設け、その孔に第二外部機器側コネクタ96を嵌め込む。
6.上記実施形態に係るインターフェースの変形例
上述の実施形態に係るインターフェースは、以下のように変形してもよい。また、上述の実施形態に係るインターフェースは、例えば以下のような通信システムに適用することも可能である。
6-1.第一の変形例
図17および図18は、第一の変形例に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。図17および図18に示すインターフェースは、車両側コネクタが設けられていないこと以外はそれぞれ図2および図3に示すインターフェースと同様の構成であり、また図18に示す通信システムは、ゲートウェイECUおよびオプションコネクタがないこと以外は図3に示す通信システムおよびインターフェースと同様の構成であり、それぞれ実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図18に示す通信システム10は、図3に示すものとは異なりゲートウェイECU26がなく、通信路12のうち、ECU14が接続された部分と、OBD2コネクタ16が接続された部分とが直接接続されている。
図17および図18に示すように、インターフェース80は、伝送線82の一方の端部に外部機器側コネクタ84が設けられており、もう一方の端部である車両側接続部82aにはコネクタは設けられていない。インターフェース80は、伝送線82の車両側接続部82aが半田付け等により、通信路12に直接結線される。図17に示すように、ゲートウェイECU26が設けられている場合には、ゲートウェイECU26の内側で通信路12と直接結線されている。
この場合、インターフェース80の通信システム10への接続は次のようにして行う。まず、車両構成部材30の一部(インパネ)を取り外して通信路12を露出させてアクセス可能とした上で、車両側接続部82aを半田付け等により通信路12に接続する。外部機器側コネクタ84を車両構成部材30に設けられた孔に嵌め込んで、車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置する。その後、再びインパネを元の位置に取り付ける。
6-2.第二の変形例
図19は、第二の変形例に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示す通信システムおよびインターフェースは、オプションコネクタ、車両側コネクタおよび外部機器側コネクタが設けられていないこと以外は図3に示す通信システムおよびインターフェースと同様の構成であり、実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図19に示すインターフェース80は、伝送線82の一方の端部である外部機器側接続部82bともう一方の端部である車両側接続部82aのいずれにもコネクタは設けられていない。インターフェース80は、伝送線82の外部機器側接続部82bが半田付け等によりレーダー探知機40と直接結線され、車両側接続部82aが半田付け等により、通信路12のゲートウェイECU26の内側で直接結線される。
この場合、インターフェース80の通信システム10への接続は次のようにして行う。まず、車両構成部材30の一部(インパネ)を取り外して通信路12を露出させてアクセス可能とした上で、車両側接続部82aを半田付け等により通信路12に接続する。伝送線82を車室側に引き出し、外部機器側接続部82bを半田付け等によりレーダー探知機40に接続する。その後、レーダー探知機40をインパネ上の所定の位置に配置し、インパネを元の位置に取り付ける。この際、伝送線82は車両構成部材30において、インパネとその他の部材との隙間を通過するように配置する。
6-3.第三の変形例
図20は、第三の変形例に係るインターフェースを適用した通信システムの構成例の概略を示すブロック図である。同図に示す通信システムおよびインターフェースにおいて図2に示す通信システムおよびインターフェースと実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図20に示す通信システム10と、図2に示す通信システム10との相違点は、エンジンECU14aおよびハイブリッドECU14bが接続された通信路12と、ボディECU14dおよびメータECU14eが接続された通信路12とが独立していること、ミリ波ECU14gおよびITS(intelligent transport systems、高度道路交通システム)コネクトECU14hが接続された通信路12が追加されていることにある。
通信路12と、ECU14と、ゲートウェイECU26と、オプションコネクタ28は、いわゆるインパネ等の車両構成部材30によって車室から隔てられた車室外(車両の外観にも車室内にも現れない部分)の空間に配置される。OBD2コネクタ16は、車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置され、車室内から故障診断機70に設けられたコネクタ74を接続することができる。
インターフェース80は、4本の伝送線82と、外部機器側コネクタ84と、車両側コネクタ86とを備え、4本の伝送線82はいずれも外部機器側コネクタ84に接続される。また、伝送線82のうち1本は、外部機器側コネクタ84に接続されていない方の端部に車両側コネクタ86が設けられている。図20には、外部機器側コネクタ84にレーダー探知機40のコネクタ50を接続した状態を示す。
外部機器側コネクタ84に内蔵されるマイコン等の制御部材は、4つのCANポートとUARTポートとを備える。4つのCANポートは、ぞれぞれの伝送線82側に接続され、UARTポートは配線48側(コネクタ50側)に接続されている。外部機器側コネクタ84に内蔵されるマイコン等の制御部材は、伝送線82側から取得したCANのパケットのデータを配線48側にシリアルデータとして送信する機能と、配線48側から受信したシリアルデータを伝送線82側にCANのパケットとして送信する機能等を備える。
車両側コネクタ86が設けられていない3本の伝送線82は、車両側接続部82aでそれぞれ、エンジンECU14aおよびハイブリッドECU14bが接続された通信路12、ボディECU14dおよびメータECU14eが接続された通信路12、およびミリ波ECU14gおよびITSコネクトECU14hが接続された通信路12に、半田付け等により直接結線される。これにより、外部機器側コネクタ84から全てのECU14から出力される信号を受信することができ、外部機器側コネクタ84に接続されたレーダー探知機40は、動作に必要な信号を受信することができる。
〈第三の変形例の別の態様〉
図21を用いて第三の変形例の別の態様について説明する。同図に示す通信システムおよびインターフェースは、ECUが接続された通信路が複数設けられていること以外は図3に示す通信システムおよびインターフェースと同様の構成であり、実質的に同一の部分には同一の符号を付している。
図21に示す通信システム10は、5本の通信路12と、複数のECU14と、ゲートウェイECU26と、OBD2コネクタ16とを備える。通信システム10は、これら以外の構成要素(例えばコネクタや電子制御機器等)を備えてもよい。
5本の通信路12は全てゲートウェイECU26に接続されており、そのうち1本はエンジンECU14aおよびハイブリッドECU14b、別の1本はボディECU14dおよびメータECU14e、また別の1本はミリ波ECU14gおよびITSコネクトECU14hが接続されており、また別の1本はオプションコネクタ28に、残りの1本はOBD2コネクタ16に接続されている。すなわち、全ての通信路12はゲートウェイECU26を介して間接的に接続されている。
通信路12と、ECU14と、ゲートウェイECU26と、オプションコネクタ28は、いわゆるインパネ等の車両構成部材30によって車室から隔てられた車室外(車両の外観にも車室内にも現れない部分)の空間に配置される。OBD2コネクタ16は、車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置され、車室内から故障診断機70に設けられたコネクタ74を接続することができる。図21には、オプションコネクタ28にカーナビゲーション装置52のコネクタ60が接続され、OBD2コネクタ16に故障診断機70のコネクタ74が接続された状態を示す。
インターフェース80は、4本の伝送線82と、外部機器側コネクタ84とを備え、4本の伝送線82はいずれも外部機器側コネクタ84に接続される。図21には、外部機器側コネクタ84にレーダー探知機40のコネクタ50を接続した状態を示す。
4本の伝送線82は、車両側接続部82aでそれぞれECU14またはオプションコネクタ28が直接接続された通信路12に、半田付け等により直接結線される。これにより、外部機器側コネクタ84から全てのECU14から出力される信号およびオプションコネクタ28に接続された外部機器(この場合カーナビゲーション装置52)から出力される信号を受信することができ、外部機器側コネクタ84に接続されたレーダー探知機40は、動作に必要な信号を受信することができる。
外部機器側コネクタ84は、どこに配置しても構わないが、図21には車両構成部材30の表面に端子が露出するように配置された状態を示す。インパネまたはその他の車両構成部材30には、外部機器側コネクタ84を嵌めることが可能な孔が設けられている。また、4本の伝送線82の車両側接続部82aとこれらに対応する通信路12のそれぞれにコネクタを設け、車両側接続部82aと通信路12とをコネクタを介して接続してもよい。
6-4.その他の変形例
上記実施形態および変形例で説明した本発明に係るインターフェース80は、外部機器側コネクタ84と車両側コネクタ86とを伝送線82で接続する代わりに、外部機器側コネクタ84と車両側コネクタ86のそれぞれに無線通信用のチップを設け、外部機器側コネクタ84と車両側コネクタ86とをBluetooth(登録商標)による無線通信で接続してもよい。
上記実施形態では、図2、図3等に示したように、オプションコネクタ28とインターフェース80の車両側コネクタ86とを直接接続する構成として説明したが、図22に示すように、オプションコネクタ28とインターフェース80の車両側コネクタ86との間にT型ハーネス110を配置してもよい。T型ハーネス110は、二股に分岐した配線112と、配線112の3箇所の端部のそれぞれに設けられた第一コネクタ114、第二コネクタ116および第三コネクタ118とを備える。第一コネクタ114は、インターフェース80の車両側コネクタ86と同じ形式のコネクタであり、オプションコネクタ28と接続される。第二コネクタ116は、オプションコネクタ28と同じ形式のコネクタであり、車両側コネクタ86と接続される。第三コネクタ118はオプションコネクタ28と同じ形式のコネクタである。第三コネクタ118には、図示しない、本来オプションコネクタ28に接続されるディーラーオプションの外部機器が接続される。T型ハーネス110を用いることにより、インターフェース80を使用しても、ディーラーオプションの外部機器や、その他の外部機器を使用することができる。
2個のT型ハーネス110を用意し、一方のT型ハーネス110の第一コネクタ114をオプションコネクタ28、他方のT型ハーネス110の第二コネクタ116を車両側コネクタ86に接続し、一方のT型ハーネス110の第二コネクタ116と他方のT型ハーネス110の第一コネクタ114とを接続してもよい。これにより、2個の第三コネクタ118を使用可能とすることができ、接続可能な外部機器を増加させることができる。T型ハーネス110は、3個以上接続してもよい。第三コネクタ118の形式は、オプションコネクタ28と同じ形式でなくてもよい。
上記実施形態では、インターフェース80は伝送線82を備える構成として説明したが、図23に示すように、インターフェース80を、外部機器側コネクタ84と車両側コネクタ86とを一体化し、伝送線82がないものとしてもよい。この場合、例えば同図に示すように、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40のコネクタ50とを接続し、車両側コネクタ86と上述のT型ハーネス110の第二コネクタ116とを接続し、T型ハーネス110の第一コネクタ114とオプションコネクタ28とを接続する。
上記実施形態では、信号の送受信や制御を行うマイコン等の制御部材を、外部機器側コネクタ84に内蔵する構成として説明したが、当該制御部材を車両側コネクタ86に内蔵する構成としてもよい。また、当該制御部材は、上記実施形態で説明した通信制限器88および信号変換器94のいずれか一方または両方として動作するものとしてもよい。
上記実施形態では、車両側コネクタ86を雄側のコネクタ、オプションコネクタ28を雌側のコネクタとする構成として説明したが、車両側コネクタ86を雌側のコネクタとし、オプションコネクタ28をこれにはめ合う雄側のコネクタとする構成としてもよい。
上記実施形態では、レーダー探知機40について、内部から引き出された配線48の端部にコネクタ50を設け、コネクタ50とインターフェース80の外部機器側コネクタ84とを接続する構成とした。しかし、レーダー探知機40の本体に本体側コネクタを設けた上で、配線48に代えて、この本体側コネクタにはめ合うコネクタとコネクタ50とをつなぐ配線を用い、この配線でレーダー探知機40の本体とインターフェース80の外部機器側コネクタ84とを接続するようにしてもよい。
上記実施形態では、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40との間は、UARTで通信する構成としたが、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40との間の通信方式はこれに限らず、例えばUSART、USB、その他のシリアル通信としてもよいし、イーサネット(登録商標)、CAN等のネットワークとしてもよい。
レーダー探知機40は、車両情報を0.5秒おきに取得する構成としたが、車両情報を取得するサイクルは0.2秒や0.25秒のように0.5秒よりも早くしてもよく、ユーザが設定する表示項目や取得する項目の数により可変としてもよい。例えば、「回転数」や「インマニ圧」等のように素早いレスポンスが要求される場合にはサイクルを早くし(例えば0.1秒等)、逆に「冷却水温度」や「外気温度」のように素早いレスポンスが要求されない場合にはサイクルを遅くして(例えば10秒等)、項目ごとに分けて車両情報を取得するとよい。
上記実施形態では、レーダー探知機40が出力可能な情報は56項目としたが、これらの56項目以外にも情報を生成し、出力可能としてもよい。例えば、ハイブリッド車において、「HVバッテリー充放電電流」、「電池容量」、「エンジン走行比率」、「ガソリン消費量」等の情報を出力可能としてもよい。「HVバッテリー充放電電流」および「電池容量」はら車両から直接取得することができる。
「エンジン走行比率」は、ハイブリッド車の全走行距離に対するエンジンで走行した距離の比の値であり、その値が低いほど燃費が良好である。「エンジン走行比率」によれば、エンジンでの走行距離が分かるため、エンジンオイルの交換時期の目安となる。例えば、トリップメーターでは全走行距離が5000kmであり、レーダー探知機40に表示された「エンジン走行比率」が50%であった場合には、エンジンでの走行距離が2500kmに過ぎないため、ユーザはまだオイル交換の必要がないと判断することができる。
また、「ガソリン消費量」は次のような場合に有効である。例えば、冬場にヒーターをオンにすると、本来エンジンが停止するはずの場面(例えば下り坂や信号待ち)でも、室内を暖めるだけのためにエンジンを始動させることとなり、ガソリンが使用され、燃費が悪くなる。このときにレーダー探知機40に「ガソリン消費量」を表示させることにより、ユーザは燃費について注意を払うことができる。特に、タコメーター(エンジン回転速度計)を備えていない車両では、ユーザがエンジンの動作の程度を把握しにくいため、「ガソリン消費量」の表示はユーザの燃費に対する関心を高めるのに有効である。
第二の実施形態の実施態様2-1では、図6に示すように通信制限器88を伝送線82の途中に配置する構成としたが、通信制限器88は、図24に示すように、伝送線82の途中に接続した配線82cに接続する構成としてもよい。
第二の実施形態の実施態様2-4では、無線接続されたレーダー探知機40の表示部42に表示された操作メニューの選択により通信制限器88による通信の制限の実行および停止を行う構成としたが、実施態様2-2のようにレーダー探知機40の電源スイッチ46のオン、オフによって通信制限器88による通信の制限の実行および停止を行う構成としてもよい。
第二の実施形態の実施態様2-5では、CAN IDのバッティングを通信制限器88が検知した場合に通信制限器88による通信の制限が実行される構成としたが、通信制限器88が、レーダー探知機40から送信される信号以外の信号が通信システム10に送信されたことを検知した場合に実行される構成としてもよい。
通信制限器88による通信の制限の実行および停止は、第二の実施形態で説明した方法以外に、通信制限器88が、通信路12および伝送線82を介して故障診断機70およびレーダー探知機40が接続されたことを検知した場合にも行うようにしてもよい。さらに、図25に示すように、通信路12のゲートウェイECU26とOBD2コネクタ16との間の部分に電流計98を配置し、電流計98でOBD2コネクタ16に接続された故障診断機70の消費電流を検知した場合に、通信制限器88による通信の制限の実行および停止を行うようにしてもよい。電流計98は、通信制限器88と配線82dで接続される。電流計98は、例えばクランプ電流計とするとよい。
第二の実施形態では、実施態様2-1~実施態様2-6を示したが、これらの実施態様を組み合わせてもよい。例えば、実施態様2-1を、実施態様2-2~実施態様2-6と組み合わせることにより、実施態様2-2~実施態様2-6での通信制限器88による通信の制限の実行および停止が不安定である場合に、スイッチ92の操作により確実に通信の制限の実行および停止を行うことができる。
レーダー探知機40は、操作部44がレーダー探知機40の本体に設けられている構成としたが、操作部44は、レーダー探知機40の本体に有線または無線で接続されたリモコンとしてもよく、本体に設けられているものとリモコンを併用するものとしてもよい。
第三の実施形態では、図12~図15に示すインターフェース80が信号変換器94を備える構成について説明した。これらの図に示すインターフェース80に、信号変換器94に加えて図6等に示す通信制限器88を設けてもよい。これにより、信号変換器94による信号の変換のみならず、第二の実施形態で説明した通信制限器88による通信の制限も行うことができる。信号変換器94および通信制限器88は、外部機器側コネクタ84または車両側コネクタ86に内蔵される、信号の送受信や制御を行うマイコン等の制御部材を、通信制限器88および信号変換器94として動作するものとしてもよい。
また、第三の実施形態では、ECU14が「7E0**」なるリクエストメッセージを認識しない構成について説明したが、ECU14がリクエストメッセージ「7E0**」を認識するかしないかに関わらず、ゲートウェイECU26がリクエストメッセージ「7E0**」をブロックするものであり、ゲートウェイECU26の内側にはリクエストメッセージ「7E0**」が流れないものであってもよい。
外部機器側コネクタ84、第二外部機器側コネクタ96は、図5に示す車両側コネクタ86と同様の構成としてもよい。
第三の変形例では、図20を用いて外部機器側コネクタ84と配線48側との送受信がUARTポートを介して行われる構成について説明したが、このUARTポートを他の形式のポートとしてもよく、例えば、CANポートとするとよい。CANポートとした場合、インターフェース80は、4本のCANライン(4本の通信路12)を1本のCANライン(1本の配線48)にまとめることとなる。すなわち、この場合のインターフェース80は、複数ラインを1本にする機能を発揮する。このインターフェース80を使用することにより、ゲートウェイECU26がない旧型の車両と同等の構成となり、ゲートウェイECU26が内側に流れる信号をブロックしてゲートウェイECU26の外側のOBD2コネクタ16に情報の一部が流れない構成である場合であっても、旧型車両用の外部機器やインターフェースの使用が可能となる。
7.本発明に係るインターフェースを用いた通信システムのデータを収集するシステム
次に、本発明に係るインターフェースを用いた通信システムのデータを収集するシステムについて説明する。
7-1.従来技術および背景
上述の各実施形態で説明したインターフェース80では、外部機器側コネクタ84または車両側コネクタ86に内蔵されたマイコンや伝送線82に接続されたマイコンにプログラムを内蔵させることにより、このマイコンを用いて、通信システム10のCANを監視したり、CANに対してデータを送信するなどして、車両の制御を行う車両のECU間の情報のやりとりをするパケットを監視したり、車両のECUに対して問い合わせパケットを送信してその応答のパケットの内容を取得したりすることができる。こうした監視や取得によって得られたパケット内に含まれるエンジン回転数等のデータから、レーダー探知機やナビ用のデータを生成して送信することができる。
しかしながら、このパケットの形式は車両によってまちまちで、車両メーカーにとっては車両の制御ができれば十分であり、第三者に開示する必要がない情報であるので、インターフェースのメーカーは、新車が出るたびに、解析をする必要がある。そのため毎度車両を調達する必要がある。また、新しい項目の情報を表示しようとすると、旧型の車両であっても再度調達して解析をしなおす必要があり、コストがかかるという課題がある。
一方で、ビッグデータの時代では、価値あるデータをとにかく集めているものが、利益を得ることができる。例えばCANのような車内ネットワークから得られるデータ、例えばOBD2コネクタを介して得られるデータは宝の山であり、このデータを取得して、サーバに集めることが極めて有用である。
7-2.課題解決手段
上記の課題などについて本発明者らが検討した結果、解決手段として以下の(1)から(9)までに掲げる構成等に想到した。上述の各実施形態で説明した、図2等に示すインターフェース80の外部機器側コネクタ84に内蔵されるマイコンで行われる処理、通信制限器88の処理、信号変換器94の処理に、替えてまたは加えて、これらの手順からなる処理を行うとよい。以下では、通信システム10が構成する車内ネットワークがCANである場合について説明するが、CAN以外のネットワークにも適用できる。
(1)例えば無線LANまたはLTE等の通信機能を備え、インターフェース80で取得したCAN等のパケットをサーバに無線送信して、蓄積する機能を備える。
(2)インターフェース80に接続された外部機器(レーダー探知機40や、PND(portable navigation device、ポータブルカーナビゲーションシステム)等)の画面に、自己の車種(車検証に記載の型式等)、安全装備の種類と各種類の安全装備の有無等を設定する画面を表示し、設定する機能を備える。
(3)上記(1)の情報に上記(2)の情報を加えて送信し、CANパケットと車種の対応関係、CANパケットと搭載されている安全装備の種類との対応関係、または、CANパケットと車種及び搭載されている安全装備の対応関係を、サーバに蓄積する。これにより、これらの対応関係から車種別に流れるCANパケットの内容を解析することが可能となる。したがって、インターフェース80のメーカーは車両を自前で調達し、自前でパケットを収集して通信制限器の制限するパケットや信号変換器の変換するパケットの内容を決定する必要がなくなり、ユーザ同士の同じ車種についてどのようなデータがどのようなときに流れているかを解析することで通信制限器の制限するパケットや信号変換器の変換するパケットの内容を決定することができる。また異なる車種間でのデータの違いを対比することで新たな知見を得ることが容易になる。例えば、信号変換器の変換するパケットの内容を決定することが容易になる。
(4)インターフェース80が、何をトリガとして、どこまでの範囲のパケットを取得して送信するかはあらかじめ設定しておき、その設定された範囲のパケットを取得してそのトリガの種類を示す情報とともに送信するようにするとよく、これらは特にサーバ側から無線通信を介して、この範囲を設定する構成とするとよい。このようにすればまたサーバ側では、この種類のトリガのときにはこのようなパケットのパターンで情報がCANに流れるということを多数の蓄積されたこれらのデータから特定することができる。このような特定処理は自動的に多数のデータを比較したり、機械学習等によって自動的に行うようにするとよい。トリガの種類の例を以下の(4-1)から(4-3)までに挙げる。
(4-1)例えば、車両に設けられたイグニッションスイッチの操作によるACCオンやエンジン始動の電源ノイズ等を検知してそれをトリガにその前後の数秒(例えば5秒)の情報をパケットキャプチャしてサーバへ送信する。
(4-2)例えば、CANから得られる既知のパケットのIDとデータのパターンをトリガとする。例えばISOで規定されるパケットのIDとデータをトリガとする。当該データは、例えば、「エンジン回転数がxxx回転未満となっている間送信する」、「水温がxxx℃以上のとき送信する」などとすることができる。このようにすれば、配線を要さずにトリガを設定できる。
(4-3)例えば、エンジンスタータやカーセキュリティのように、車両のセンサやアクチュエータへの信号線の分岐や、直接センサやアクチュエータにセンサを取り付けるなどしている場合には、その信号を、インターフェース80(あるいはそれが接続されたレーダー探知機40や、PND等の外部機器)に入力する。そして、トリガとして、これらのセンサ等の状態が所望の状態となったときとする。例えば「ドア開」センサが「ドア開」になる1秒前から「ドア閉」になった1秒後までのパケットを送信するなど。このようにすれば、より確実にドア開とパケットの内容との因果関係を特定でき、また複数のユーザの同一の車種や異なる車種の間で対比することも容易となる。
(5)図20および図21に示した通信システム10では、CANは車両に複数設けられており、それら複数のCANライン(通信路12)はゲートウェイECU26で接続される。そこで複数のCANラインから情報を取得し、その取得した情報のそれぞれにタイムスタンプを付与してサーバへ送信する。サーバではどのCANラインにどのパケットがきたとき、他のCANラインにどういうパケットが送出されるかを解析することができる。これにより、どのCANラインに当社機器を接続すれば適切な情報が得られるのかの解析が容易になる。(下記(6)の手法と同様の手法で複数のCANライン間のデータパケットの相関を発見するようにしてもよい。)
(5-1)ネットワークはCANだけに限定されず、CANとイーサネット(登録商標)の双方に接続して相関をもとめてもよいし、CANとCANFD(CAN with Flexible Data Rate)との相関を1つのネットワーク内でとるようにしてもよい。
(6)取得したデータを機械学習やディープラーニングで、どのようなトリガを入れるとどのようなパケットが出てくるかを、導き出す。例えば教師なし学習で行うようにしてもよいし、既知のパケットが送出される既知のトリガを教師として教師あり学習にて、未知の車種の既知のトリガに対するそのパケットの示す情報を導き出すようにしてもよい。この処理はマイコンで行うと、通信コストを必要とせずに行うことができる。またサーバ側で行うと多数の車両からの情報を加味してより的確に行うことができる。
(7)ユーザに対しては、蓄積したCANから得られるデータに基づく有益な情報をサーバからWeb等で提供する。例えば通信インターフェース80はそれぞれに固有の個体識別情報を記憶し、上述したマイコンは上述したCANパケットとともに個体識別情報をサーバへ送信する。識別情報は工場出荷時にマイコンに記憶しておいてもよいが、接続されたレーダー探知機40等で入力されたユーザID等を個体識別情報として記憶する構成としてもよい。サーバは個体識別情報ごとに設けたページにその個体識別情報に関連づけて記憶されたCANパケットの内容に基づいて、その車の燃費や、故障診断情報、各種のログ等を表示する。例えば、通信インターフェース80のメーカーがWeb上に開設した各ユーザ専用ページからみられる構成とするとよい。
(7-1)レーダー探知機40やレーダー探知機40と同様にインターフェース80に接続されたPNDのコンテンツと関連づけた情報や、レーダー探知機40と同様にインターフェース80に接続されたセキュリティやエンジンスタータ等の操作情報などもこれらの機器からインターフェース80の上述したマイコンに送信し、上述と同様にサーバへ送信して、サーバに蓄積してユーザに対してWeb等を介して提供するようにするとよい。特に時系列にユーザの操作を表示する機能を備えるとよい。
(8)ユーザには、データを提供することのメリットを説明する画面をレーダー探知機40やPND等の画面に表示し、情報の提供を許諾するか否かの選択画面をOBD2コネクタ16への最初の接続時等に表示する。この設定にしたがってCANから得られる情報を送信するかどうかを決定する
(9)インターフェースは、ISOなどどの車でも取得できるものを取得してRD等に表示させる機能を内蔵して全車種対応として販売する。以後、上記(1)から(8)の仕組みで解析したパケットと情報との関係の解析が完了したら、サーバから上述したマイコンへソフトウェアアップデートの開始指示を送信し、マイコンはソフトウェアアップデートの処理を行う。これにより自動的にその車で取得可能な固有の情報も随時表示できるようになる。
8.車載ネットワークに対する外部攻撃への対応
例えば新型車両等において、旧型車両用のレーダー探知機40のような外部機器を本発明に係るインターフェース80を介して接続した場合に、情報の信号として外部機器やインターフェース80から送信したパケットが、新型車両に対応しておらず、外部機器やインターフェース80を使用できない可能性がある。また、車載ネットワーク(通信システム10)に対して外部から攻撃を受ける可能性もある。このような場合においては、上述の各実施形態で説明したインターフェース80の外部機器側コネクタ84または車両側コネクタ86に内蔵されたマイコンや伝送線82に接続されたマイコンにプログラムを内蔵させ、このマイコン(以下、「インターフェース80のマイコン」ともいう。)を用いて例えば以下の(a)~(h)に示す対応をするとよい。
(a)インターフェース80のマイコンに、通信システム10における通信を監視する機能を与えてもよい。インターフェース80から情報の信号であるパケットを送出した後、車載の通信システム10において警告ログの通信が発生した場合、異常発生として検出されてしまったものと判定し、そのパケットは設計変更の対象とするとよい。
特に、そのパケットの伝送バイト数を監視し、伝送バイト数が通常時から逸脱する場合には異常発生として検出されてしまったものと判定するとよい。また、警告ログの送信間隔の時間を監視し、送信間隔の時間が通常と異なるものを異常発生として検出されてしまったものと判定してもよい。
異常発生と判定されてしまった場合には、その判定の前にインターフェース80から送ったパケットは異常と判定されるものとして、そのパケットは設計変更の対象とするとよい。
機械学習(例えばディープラーニング)によって、インターフェース80から送出したパケットとログデータのパケットとの関係を学習させて、異常パケットとみなされるか否かの弁別用のモデルを生成してもよい。
機械学習は、例えばインターフェース80のマイコン自体で行うとよい。また、インターフェース80に通信機能を設け、この通信機能によってインターフェース80と無線で接続された外部のサーバに、インターフェース80から送出したパケットとログデータのパケットを送信することによって行うとよい。
(b)近年、インターネット通信機能を有する自動車、いわゆるコネクテッドカーの開発が進められている。コネクテッドカーにおいては、車載の通信システムに対して外部から攻撃されるおそれがある。想定される攻撃としては、例えば統計的な攻撃、メッセージレベルの攻撃、タイミング攻撃がある。
「統計的な攻撃」とは、例えばトラフィックの状態が攻撃を検出されにくい状態である時を見計らって攻撃者がデータを送信する攻撃や、例えば権限のない者が車両に仕掛けるサービス拒否攻撃である。サービス拒否攻撃は、例えばCAN-BUS等の通信バス(通信路)を大量のデータで機能不全にして、ECUからCAN-BUSへのアクセスを阻害する。
「メッセージレベルの攻撃」とは、例えば悪質なメッセージが挿入される攻撃である。これらのメッセージには例えば異なる形式や異常なコンテンツが含まれる場合がある。
「タイミング攻撃」とは、例えば挿入された悪質なメッセージが通常のコンテンツとメッセージレーティングであるように装いながら、実際には自動車内でそのようなメッセージの正常なタイミングシーケンスに違反する攻撃である。
(b-1)「統計的な攻撃」への対策としては、インターフェース80のマイコンによって、ネットワークのトラフィックのパターンを学習し、当該トラフィックのパターンに沿うように、データを送出するようデータ送出タイミングを調節する。
(b-2)「メッセージレベルの攻撃」および「タイミング攻撃」への対策として、ネットワークパケットの送出内容および送出タイミングを学習する。送出内容としては、特に一部のパケットのフィールド間の対応関係を学習するとよい。例えば、IDとデータの両フィールドの対応関係を学習する。
当該学習したIDとデータの関係から外れるパケットを送出してみて、上記(a)で説明した異常判定されるかどうかを判定して異常判定されないものを採用するパケットとする。特にIDとして使用されていないもの中から異常判定されないものを採用するとよい。「当該学習したIDとデータの関係から外れるパケット」とは、例えばあるパケットについてIDはこれまでの学習内容に存在しているものの、そのデータがその学習内容になかったパケット等が該当する。
タイミングについてはネットワークに送出されているパケット間の時間と両パケットを説明変数として、その後に変化したアクチュエータ等の状態または既知のOBDデータを目的変数として学習するとよい。学習結果からどのパケットがどのアクチュエータまたは既知のOBDデータの変更を行うのかが分かる。
(c)インターフェース80は、マイコンで異常を検知した場合、およびシステムの状態についての情報を知らせる場合に警告を発するとよい。以下では、ネットワークにおける異常を検知した場合の警告を「異常警告」、ソフトウェアシステムの状態についての情報を知らせる場合の警告を「システム警告」という。警告は、インターフェース80に接続されたカーナビ、レーダー探知機40等の外部機器の表示部やスピーカーから発するとよい。
「異常警告」は、インターフェース80のマイコンでの学習段階で作成された基準から逸脱した状態となった場合に発せられる。異常の警告が発せられる項目は、例えば「無効なCAN ID」、「CANタイミング警告」、「無効なペイロード長」、「無効なペイロード値」、「サービス拒否攻撃」、「無効なシーケンス」等とするとよい。
「無効なCAN ID」は、アプリケーションでDBC(データベースCAN)ファイルを使用して無効なCAN IDを特定した場合に発せられる。DBCファイルはOEMまたはベンダーが提供することとするとよい。「CANタイミング警告」は、アプリケーションで挿入されたメッセージを検出した場合に発せられる。「無効なペイロード長」は、アプリケーションでCAN IDの無効なペイロード長に基づいて悪質なペイロードを検出した場合に発せられる。「無効なペイロード値」は、アプリケーションで悪質なペイロードを検出した場合に発せられる。「サービス拒否攻撃」は、アプリケーションで、例えばシステムの応答を待たずにデータを連続してネットワークに流してフラッド状態(洪水状態)にさせてしまう等のサービス拒否攻撃を検出した場合に発せられる。「無効なシーケンス」は、アプリケーションで状態パターンの違反を検出した場合に発せられる。状態パターンは、製品の学習段階で作成された基準の一部とするとよい。
「システム警告」は、例えば「メモリ使用率上昇の警告」、「入力検証の警告」、「監査ログ」、「CANデータの読み込み」等とするとよい。
「メモリ使用率上昇の警告」は、アプリケーションのメモリ使用率が想定より高くなった場合に発せられる。「入力検証の警告」は、メッセージタイムスタンプ、ペイロード長など、特定のデータで入力検証が失敗した場合に発せられる。「監査ログ」は、データログ開始またはデータログ終了などの監査ログである。「CANデータの読み込み」は、CANデータ読み込み開始/停止の警告である。
異常警告とシステム警告とのうち、特に重要なのは異常警告であるので、システム警告か異常警告かの判定を行い、異常警告のあったパケットのみ変更の対象とするとよい。
(d)インターフェース80で発せられる「異常警告」には、上述した「無効なCAN ID」、「CAN タイミング警告」、「無効なペイロード長」、「無効なペイロード値」、「サービス拒否攻撃」に加え、「警告の重大度」、「問題が生じたバスが高速バスから低速バスかを示す情報」等の項目がある。ログを読み、これらの異常警告のうち、異常検知されたパケットに関する情報をインターフェース80のメーカーが開設したシステムにおけるパケットの学習の教師データから除外して学習するとよい。特に、「無効なCAN ID」、「無効なペイロード長」、「無効なペイロード値」は無効なものとして使用しないように調整する機能を備えるとよい。さらに、教師データは、有効であるデータと無効になったデータとを区分して含むものとするとよい。
(e)ECU14のソフトウェアのバージョンの変更(いわゆるアップデート)をインターフェース80のマイコンで検出し、アップデート前のネットワークパケットと、アップデート後のネットワークパケットとの変化(相違点)を検出する。そして、(e1)当該変化を無線でクラウドに送信する。(e2)特にインターフェース80に接続されたカーナビ等の外部機器またはインターフェース80で使用しているアドレスのパケットが流れなくなった場合(アドレス変更、データフィールドの内容変更)、その旨の通知と、新たに流れ出したアドレスや新たなパケットの情報もクラウドへ送信する。クラウドでは機械学習等により、どのアップデート前のどのパケットがアップデート後のどのパケットに対応するかの情報を出力する。ECU14のソフトウェアのアップデートは、OBD2コネクタ16に接続された故障診断機70からアップデートされたソフトウェアを送り込む構成とするよく、さらに、ワイヤレスで行えるようにするとよい。
なおアップデートの検出は例えば後述する「9」の(A-1)~(A-4)を検知するようにするとよい。
(f)(故障診断機70等からの)ECU14へのリクエストメッセージと、そのリクエストメッセージに対するECU14からのレスポンスメッセージを監視し記録する。レスポンスメッセージが「指示を実行したことと、その結果」を示すポジティブレスポンスメッセージであるか、それとも「指示を実行できないこととその理由」を示すネガティブレスポンスメッセージかを監視し記録する。ソフトウェアアップデート後に、ポジティブからネガティブに変わったものはクラウド上にその情報をアップロードする。
(g)故障診断機も車両のアップデートに対応してアップデートが求められる。しかし、故障診断機と車両とでアップデートの要求が同時に行われるとは限らない。そこで、例えば、アップデートがかかっても診断機が出すパケットを優先して出すようにするとよい。特に、例えば、車種間で共通性があるISOで規定されているパケットを優先して出すようにするとよい。
(h)メッセージの宛先タイプがフィジカルアドレッシングが否かを学習の説明変数とするとよい。
9.ソフトウェアのアップデートに関連する動作について
上記「8」の(e)で説明したECU14のソフトウェアのアップデートに関連して、例えば以下の動作をするとよい。
(A-1)ソフトウェアのアップデートを検出した場合、アップデートが必要な旨の報知を、以下のように行うとよい。報知は、インターフェース80に接続されたカーナビ、レーダー探知機40等の外部機器の表示部やスピーカーを用いて行うとよい。
・アップデートが必要な旨の報知は、車両が走行していないときに行う。
・アップデートが必要な旨の報知を受けたユーザが承諾した場合にアップデートを行う。・アップデートを行うためにユーザに報知が必要な状況か、それともユーザへの報知は不要な状況かを判定する。
・アップデートを行う部分が現在の状況に影響を与えない部分であれば、自動的にアップデートを行うようにしてもよい。
(A-2)アップデートが必要な状況になった場合、以下に掲げる項目の報知を行う。
・アップデートを行う前に車を安全な場所に止める旨の指示。
・アップデートを行うのに必要な時間。
・アップデートを行っている間は、車は動かせないこと。
・アップデート中に自動的にエンジンが切れたりかかったりすること。
・アップデート中には車両のドアロックがかかること。
・車内に人を残さないようにする旨の指示。
・車から離れる旨の指示。
なお、運転席には、上記項目の報知とは逆に、アップデート中は人がいるように指示する報知を行う。
(A-3)アップデート終了後に特定のユーザ操作を要求する報知を行う。例えば、「エンジンを掛けてみてください」といった報知を行う。
(A-4)アップデート前後のバージョンチェックシーケンスを、例えば次のようにするとよい。
・ネットワークを流れる情報に変更を加える場合、複数のECU14を同時期にアップデートする必要がある。まとめて更新が必要なECU14のIDを、テーブルに記憶しておき、そのテーブルに記憶された内容にしたがって問い合わせる。
・問い合わせに対して帰ってきた各ECU14のバージョンがテーブルに記憶された組み合わせのものと異なる場合には、各ECU14を更新する。
・更新後に再度問い合わせを行い、テーブルに記憶されたバージョンと一致するか確認する。
なおインターフェース80では、バージョンチェックシーケンスまたは/およびバージョン書き換えシーケンスを監視し、これがあったか否かで、アップデートが行われたかを判定するとよい。
例えば上述したマイコン等には次のような機能を備えるとよい。
(ア)車両のACCオン等の電源投入を検知し、当該電源投入時にCANパケットをキャプチャする機能を備えるとよい。特に電源投入の前後に渡ってCANパケットをキャプチャするとよい。電源投入時にキャプチャしたパケットと、車両走行時にキャプチャしたパケットとの違いに基づいて、電源投入時に特徴的なパケットを抽出し、そのパケットに基づいて車両内部のECU14間の認証情報を推定し、ECU14とこのマイコンとの通信に当該認証情報を利用する処理を行うとよい。ECU間の通信を行う場合に、最初にECU間で認証を行う機能を備える車両では、認証はECUへの電源投入後、通信を開始する際に行われる可能性が高いがこのような構成によりより確実に認証情報を推定することができる。
(イ)上述したマイコンにはCANポートを2つ以上備え、ゲートウェイECUの内側の通信路に第一のCANポートが接続され、ゲートウェイECUの外側の通信路に第二のCANポートが接続され、第二のCANポートから既知の「侵入」と検知されるパケットを送出し、第一のCANポートに当該既知の「侵入」と検知されるパケットが通過するか否かに基づいて、当該ゲートウェイECUが侵入検知システム(IDS)を備えるか否かを判定する機能を備え、IDSを備える場合と備えない場合とで、ゲートウェイの外側に接続されたマイコンのCANポートから送出するパケットの内容を変更する機能を備えるとよい。この判定はマイコンの起動時に常に行うようにしてもよいが、当該マイコンを備える機器(例えば、上述の各実施形態で説明したインターフェース80)を販売店の整備士が初めて車両に取り付けたことを検出した際に行い、その結果を記憶しておき、以後はユーザのもとでは当該記憶した結果に基づいて、ゲートウェイの外側に接続されたマイコンのCANポートから送出するパケットの内容を変更する機能を備えるとよい。
また第二のCANポートから既知の「侵入」と検知されるパケットを送出し、それに対応するパケットが第一のCANポートで検出された場合、その対応するパケットを「侵入時に発生するパケット」として判定したり、記憶しておき、当該パケットが第二のCANポートから既知の「侵入」と検知されるパケットを送出していないときに検知された場合には、侵入があったと当該マイコンで判定するとよい。
例えば、車載用のIDSで既知の「侵入」と検知されるパケットをこのマイコンを有するインターフェース80等の設置者(量販店や専門店の整備士など)がインターフェース80を設置した際(セットアップの際)に送出して、このパケットに対して、運転者への報知を担当するECUへの信号と、外部へのLTE等での通信を行うECUへの信号として、通常とは異なる信号が送出されるかをマイコンの処理で確認する。通常とは異なる信号が検出された場合にはその信号の内容を記憶しておき、セットアップ後の実際のユーザの使用時に、実際の侵入があったか否かをこれらの記憶した信号を検出した否かに基づいて判定する。これによりIDSで異常が検知されたことを、CANバスに接続された当該マイコンを備えるアフター製品から検知することができる。
(ウ)車両のECU14に残された情報は犯罪捜査等に活用されている。例えばエアバッグECUの動作の前後数十秒の通信路に流れたCANのパケットなどがECU14に蓄積されている。またインフォテイメント用のECU14などには、無線接続されたスマートフォンからの発信記録や、音声認識の結果などが残されている。車両のユーザは車両にどのような情報が蓄積されているか知ることができないものがある。これは気持ち悪いと感じるユーザもいるとおもわれる。そこで通信路に接続された上述したマイコンで取得した情報に基づいて何を車両が記憶しているかを判別したり、報知する機能を備えるとよい。特にユーザの行動を推定可能な情報、個人情報等が記憶されているかを表示する機能を当該マイコンまたは当該マイコンに接続された機器に備えるとよい。
また、ECU14には、捜査のために必要な情報と、車両の動作(例えば故障診断)のために必要な情報を分けて外部から取得できるようリクエストの種別に応じて送信する機能を備えるとよい。
(エ)マイコン等またはマイコン等に接続されたレーダー探知機、ドライブレコーダ、PND等の機器に無線LAN接続機能(Wi-Fi)を備え、通常のサーバとの通信のほかに、Wi-Fiのパケットキャプチャを行う機能を備えるとよい。ユーザに対して車両の純正スマホアプリを操作するように指示をして、操作時のWi-FiパケットとCANパケットをキャプチャして記憶しておき、操作時のWi-Fiパケットと異なるパケットであるがCANパケットに同様の流れが生じた場合、非純正のアプリからのWi-Fi接続によるものと判断する。そのような通信があった旨の警告をCAN接続されたレーダー探知機、ドライブレコーダ、PND等の機器から報知する機能を備えるとよい。
(オ)上述したマイコン等には、車両の自動運転のレベルを判定する機能を備え、上述したマイコン等に接続されたレーダー探知機、ドライブレコーダ、PND等の機器から、そのレベルに応じた報知を行う機能を備えるとよい。例えば、車両が自動運転車か否かを判定し、自動運転車である場合には、警報報知を行わないよう制御するとよい。車両が自動運転車である場合に、自動運転モードにあるか、非自動運転モードにあるかを判定し、自動運転モードである場合には、警報報知を行わない(エンタテイメントなどその他の報知は行う)よう制御するとよい。
(カ)各ECU14へ接続された電源供給線を電流クランプ等ではさみ、当該電流クランプとマイコンを接続し、各ECU14へ流れる電流を測定して、ECU14の消費電力に応じてパケットを流し込むタイミングを決定するとよい。例えば各ECU14動作時における消費電力の最大値と最小値を継続的に測定しておき、それぞれのECU14の電流量についてそれぞれ最頻値になっているときに、そのECU14にデータを流し込むことで、流し込むパケットがネットワーク内あるいはそのECU14内で目立ってしまったり、そのECU14がオーバーロード状態になってしまったりすることを抑えることができる。特に各ECU14が宛先となっているパケットの量と各ECUの消費電力との関係性を記憶しておき、その関係性に基づいてそのECU14へのパケットと消費電力の状況に応じてそのECU14へパケットを流し込むタイミングを決定するとよい。このようにすればそのECU14がネットワーク処理によりオーバーロード状態になってしまったりすることを抑えることができる。またネットワークを監視するECU14がネットワークに異常が発生していると判定する可能性を小さくしつつ、後付したマイコンからデータを流しこむことができる。
(キ)車内LAN(例えばCAN)に接続するアフター製品に、整備工場に入ったかの判定手段(例えばGPSにあるディーラー位置、車検工場位置にある場合に電源がオンされたことで判定)を設け、整備工場内でアフター製品の電源がオンにされた場合(ACCオンになった場合)、車内LANからの信号を受け付けないようにする(例えば、製品自体の動作を停止している旨の表示を行う)とよい。このようにすれば悪意をもった者が整備工場にてマイコンのプログラムを改変等する可能性を低減できる。ECU14にこの機能を備えるようにしてもよい。
(ク)例えばメータECU14eのようにオープンソース・ソフトウェアを組み込んだECUが増えている。ECU14には、特定の認証されたコンピュータからだけ、オープンソース・ソフトウェアなどのソフトウェアの各ECU14での利用情報(バージョン情報等)を、車内LANに接続されたマイコン等の外部からの要求に応じて送信する機能を備えるとよい。オープンソース・ソフトウェアのライフサイクルは2年程度だが、車のライフサイクルは20年程度であり、これらのソフトウェアの脆弱性をアップデートしていく必要がある。このときアップデートに必要なソフトウェアの利用情報を安全に外部から取得することできる。
(ケ)マイコンには、特定の地域では車内LANへのアクセスを停止する機能を備え、停止中は、その他の機能だけを動作させるようにするとよい。このようにすれば、地域によって車内LANへのアフター製品のアクセスが禁止されている場合に当該地域においてのみ車内LANへのアクセスを禁止させることも可能となる。
(コ)車両メーカーは車両のOBDコネクタに接続されたものが正規の故障診断機である場合にECU14が応答するよう構成するとよい。ただし、排ガス基準に対応するため、従来の故障診断はできる必要がある。そこで、車両メーカーは認証の取れた故障診断機がOBDコネクタに接続された場合には、ISOで規定された情報以外のその車両に独自の情報を出力する一方、認証の取れていない(本願のインターフェース80のような)機器はISOで規定された情報しか出力しないようにゲートウェイECU等を構築するとよい。このとき認証としては、情報(鍵(共通鍵や公開鍵暗号など))を使った方法でもよいが、車両のOBDコネクタにNFC(Near Field Communication)読み取り部を設け、故障診断機にNFCタグを設けてNFCタグが正規のものであるか否かに応じて認証するかしないかを判定するようにしてもよい。このような構成の場合、ゲートウェイECUの内側に本願のマイコンを接続する構成を採るとよい。
以上のようなインターフェース80は、図2および図3に示したように、情報を含む信号が流れる通信路12に対して、ECU14と、故障診断機70が接続されるOBD2コネクタ16とが接続されてなる通信システム10であって、外部機器を直接または間接的に接続することにより当該外部機器がこれらのECUと通信可能となる通信システム10が設けられた車両において、通信システム10と、車両の車室内に配置されたレーダー探知機40とに接続される。それとともに、レーダー探知機40に接続される外部機器側コネクタ84と、通信システム10に接続される車両側コネクタ86とを備え、外部機器側コネクタ84が車室内に配置され、車両側コネクタ86が、通信システム10におけるOBD2コネクタ16以外の箇所であってレーダー探知機40の動作に必要な信号が得られる通信システム10における箇所に接続される。
そのため、ユーザは、例えばレーダー探知機40を使用する際においてもOBD2コネクタ16を故障診断機70のために解放した状態とすることができる。また、レーダー探知機40は、動作に必要な信号を取得し、この信号に基づいて動作を行うことができる。
一方、車両のディーラーは、ユーザから持ち込まれた車両に対して故障診断機70を使用する際に、OBD2コネクタ16から外部機器を取り外す作業や、車両の点検、修理後に再び外部機器をOBD2コネクタ16に接続する作業を行う必要がなくなる。特に、ディーラーは、別途発生した工賃はユーザに対して請求しづらいものであるが、取り外し等のための追加工賃を請求する必要もなくなり、請求にともなうユーザとのトラブルの発生も防止することができる。
「情報を含む信号が流れる通信路12」は、情報を含む信号を伝送可能であればどのような通信路でもよい。例えば、1本の通信路であってもよく、複数の通信路が直接または間接的に接続されているものであってもよい。間接的に接続されている場合としては、例えば信号を中継する部材を介して複数の通信路が接続されているものとするとよい。当該信号を中継する部材は、例えばコネクタのように物理的に直接中継するものとしてもよいし、例えばゲートウェイのように、一旦ある通信路から信号を受信して何らかの制御を行い、別の通信路に出力するものとしてもよい。「情報を含む信号」は例えばパケットにより構成されるものとするとよい。
また、「通信路12」は、例えば1対1の通信路としてもよい。さらに、例えば複数のECU等の電子制御機器が接続されたネットワークとするとよく、このようにすれば、複数の電子制御機器から得られた情報を故障診断機70およびレーダー探知機40において利用することができる。特に、電子制御機器が自動車のECUである場合には、通信路12を、例えばCAN等の車載LANやKライン等とするとよい。通信路12を流れる情報は、例えば車両の制御を行う電子制御機器から出力された情報に基づく車両の状態に関する情報とするとよい。
ECU14の外に、通信路12に接続される「車両の制御を行う電子制御機器」は、例えば車両に設けられたモータや、アクチュエータを動作させる等、車両自体を動かすような電子制御機器としてもよいし、例えばこのような制御は行わずに、あるいはこのような制御を行うとともに、車両に設けられたセンサ等から情報を取得し、当該取得した情報に基づく情報を通信路12に対して出力する制御を行う電子制御機器としてもよく、例えばECU等とするとよい。
「故障診断機70」は、例えば電子制御機器で収集された車両各部の状態の情報に基づき車両の状態を診断する機器等とするとよく、特に、一般に広く診断のために用いられる機器とするとよい。また、故障診断機70は、例えば診断用の信号の発信のみを行う発信機器を別途通信システム10に接続し、当該発信機器から発信された信号に対して電子制御機器から応答して発信された信号に基づいて診断を行う機器としてもよい。
「OBD2コネクタ16」は、多くの車両で共通して車両の診断を行うことができるコネクタである。また、車両のメーカーではなく、市中の整備工場で、一般に広く診断のために故障診断機70によって接続可能なコネクタでもある。上述のECU等、車両の制御を行う電子制御機器と、OBD2コネクタ16とは、通信路12を介して接続されている。
また、「OBD2コネクタ16」は、例えば車室内に配置されているものとするとよく、特に、運転席のもしくは助手席の足元またはセンターコンソールの右脇もしくは左脇に配置されているものとするとよく、さらに、運転席から直接には見づらいまたは見えない位置に露出するように配置されているものとするとよい。このようにすれば、故障診断機70を使用する者は、OBD2コネクタ16に接続した故障診断機70を操作しながら、あるいは故障診断機70が表示部を備えるものであれば当該表示を視認しながら運転操作をした際の、通信路12を流れる情報の状態を確認することができる。
「外部機器」は、信号発信装置のように信号の送信のみを行う機器であっても、信号の受信のみを行う機器であってもよく、信号の送受信を行う機器であってもよい。外部機器と通信システム10との接続について「直接」は、例えば通信システム10と外部機器との間に他の部材を介することなく接続することとするとよく、「間接的に」は、例えば通信システム10と外部機器との間に他の部材を介して接続することとするとよい。「部材」は、例えばコネクタとしてもよく、他の装置としてもよい。
「通信」は、例えば信号の送信、受信のいずれか一方または双方を含む概念とするとよい。
「通信システム10」は通信可能な系全般を指し、例えば、通信路12とECU等の電子制御機器とOBD2コネクタ16とからなるものとしてもよいし、また、これらに加えて例えばゲートウェイECU等の他の構成要素を含んでいてもよい。通信システム10は、車両内部に配置するとよい。通信システム10を配置する「車両内部」は、例えば車両の外観にも車室内にも現れない部分とするとよく、特に、車両構成部材30の一部を取り去らなければアクセスできない場所とするとよい。車両構成部材30の一部は、例えば車室の内と外(車両の外観にも車室内にも現れない部分)とを隔てる部材とするとよく、いわゆるインパネとするとよい。
「レーダー探知機40」は、信号の受信のみを行う機器であってもよく、信号の送受信を行う機器であってもよい。また、通信システム10におけるOBD2コネクタ16以外の箇所であってレーダー探知機40の動作に必要な信号が得られる通信システム10における箇所で取得した信号に基づく情報を、ユーザに対して出力する動作を行う機能を有する機器とするとよい。特に、例えば通信システム10の車両側コネクタ86が接続された部分で得られた情報を表示可能なディスプレイ等の表示装置や、例えばこれらの情報を表示するレーダー探知機やカーナビゲーション装置とするとよい。または、通信システム10の車両側コネクタ86が接続された部分で得られた情報に基づき警報を発することのできる簡易セキュリティ装置等とするとよい。
「車両の車室」は、例えば車両の乗員の居住空間とするとよい。車室は必ずしも閉鎖された空間でなくてもよく、例えば屋根のないいわゆるオープンカーのように解放された空間としてもよいし、また、例えば屋根付きの自動車のように閉鎖された空間としてもよい。
「外部機器側コネクタ84」は、外部機器側接続部が備える接続手段であり、レーダー探知機40に設けられたコネクタと嵌め合うことができる。外部機器側接続部は、コネクタに代えて、例えば半田付け等によりレーダー探知機40と直接結線するもの等とすることもできる。この「外部機器側接続部」と接続されるレーダー探知機40が備える接続部は、例えば半田付け等により内部部品と接続された配線としてもよく、また例えばこの配線の端部または途中の部分に設けられたコネクタとしてもよい。このコネクタは、例えば筐体から配線により引き出されたものとするとよく、特に、例えば筐体表面に配置されたものとするとよい。
「車両側コネクタ86」は、車両側接続部に設けられた接続手段であり、通信システム10に設けられたコネクタに嵌め合うことができる。車両側接続部は、コネクタに代えて、例えば半田付け等により通信路12と直接結線するもの等とすることもできる。車両側接続部は、通信システム10に設けられたOBD2コネクタ16以外の接続手段に接続可能とするとよく、例えばエレクトロタップとするとよく、また上述のコネクタとするとよい。通信システム10に設けられたコネクタは、使用されず空いているコネクタまたは空いている可能性が高いコネクタとするとよい。例えば車両の製造時にのみ機器が接続され、製造後は機器が接続されないようなコネクタとするとよい。また、例えば、ディーラーで提供される車両のオプション機器が接続されるオプションコネクタ28とするとよい。
また、「車両側接続部」は、例えば通信システム10に接続する際において車両構成部材30の一部を取り去った状態とし、接続した後当該車両構成部材30の一部を再び車両に取り付けるものとするとよい。このようにすれば、例えばユーザが車両側接続部を誤って通信システム10から外してしまう等の無用のトラブルの発生を抑制することができる。
インターフェース80において、外部機器側接続部と車両側接続部とは、外部機器側接続部と車両側接続部にそれぞれ設けられた無線通信部材を用いた無線通信によって情報の信号を伝送可能に接続するようにしてもよいが、特に伝送線82によって情報の信号を伝送可能に接続するとよい。
外部機器側接続部と車両側接続部とを伝送線82で接続する場合、車両側接続部を車両構成部材30の一部を取り去った状態で通信システム10に接続し、接続した後車両構成部材30の一部を再び車両に取り付けた状態で、伝送線82が、車両側接続部とレーダー探知機40との間で車両の状態に関する情報を伝送するものとするとよい。伝送線82は、車両構成部材30の一部を再び車両に取り付けると、当該部材の一部とその他の部分との隙間を通過するように配置するとよい。このようにすれば、伝送線82は、車室内の空間と、車両構成部材30によって車室から隔てられた車室外(車両の外観にも車室内にも現れない部分)の空間とを通過することができる。特に、伝送線82は、例えばインパネを取り付けた状態でも、ダッシュボード上に配置されたレーダー探知機40に接続する外部機器側接続部と、インパネによって車室から隔てられた車両内部に配置された車両側接続部とを接続することができる。
「通信システム10におけるOBD2コネクタ16以外の箇所であってレーダー探知機40の動作に必要な信号が得られる通信システム10における箇所」は、レーダー探知機40の動作に必要な信号が得られる箇所であればどのような箇所でもよいが、例えば通信路12に流れる情報の信号を変換や取捨選択するゲートウェイECU26が通信システム10に設けられている場合において、通信路12のうちゲートウェイECU26によって信号が変換や取捨選択されていない部分とするとよい。このようにすれば、変換や取捨選択されていない信号を取得することができる。
「レーダー探知機40の動作に必要な信号」は、例えば通信路12に接続されたECU等の電子制御機器から出力される、当該電子制御機器が生成した信号とするとよい。
通信システム10から動作に必要な信号を得たレーダー探知機40の「動作」は、例えば、上述のようにユーザに対する当該必要な信号に基づく情報の出力とするとよい。このようにすれば、ユーザは、通常では車室内に配置された外部機器からは取得できない情報を、レーダー探知機40から取得可能とすることができる。この情報は、例えば、電子制御機器から出力される情報に基づく車両の状態に関する情報とするとよい。また、情報の出力は、レーダー探知機40の表示部42に文字や画像として出力してもよいし、例えばレーダー探知機40の内部にスピーカーを設け、音声で出力してもよい。
上記実施形態では、外部機器側接続部は、レーダー探知機40に設けられたコネクタ50と着脱可能な外部機器側コネクタ84とする。
そのため、本発明に係るインターフェース80が、例えば車両構成部材30の一部を取り去った状態としなければ車両に取り付けられないものである場合や取り付け作業に半田付けが必要である場合のように取り付けに技術を要するものであっても、一旦、販売店の作業員等によってインターフェース80を車両に取り付けてもらいさえすれば、ユーザはインターフェース80に対してレーダー探知機40の着脱を容易に行うことができるようになる。インターフェース80に設けられる外部機器側コネクタ84は、車室内に伝送線82で引き出されるものとするとよく、特に、例えばインパネの表面で車室側に露出するように配置されるものとするとよい。レーダー探知機40に設けられたコネクタ50は、例えば筐体から配線により引き出されたものとするとよく、特に、例えば筐体表面に配置されたものとするとよい。インターフェース80に設けられる外部機器側コネクタ84と、レーダー探知機40に設けられたコネクタとは、例えば2個のコネクタが設けられたケーブルを介して接続してもよい。
従来のOBD2コネクタであれば、外部機器の取り付け、取り外しには、特に技術は必要はではなかった。一方、本発明に係るインターフェース80は、例えば、外部機器側接続部とレーダー探知機40とが半田付け等により接続されている場合には、一旦車両に取り付けられると、レーダー探知機40を容易には取り付け、取り外しができないことがある。しかし、外部機器側接続部を、レーダー探知機40のコネクタ50との間で着脱可能な接続手段(外部機器側コネクタ84)とすることにより、ユーザはレーダー探知機40を本発明に係るインターフェース80に対して容易に着脱することができる。
例えば、レーダー探知機40を取り付けて1週間もしないうちに初期不良で壊れてしまったような場合には、取り付け作業後短期間のうちにまた取り付け作業を行った店舗等に車両ごと修理に持っていかなければならないという面倒な事態となる。ところが、外部機器側接続部を着脱可能な接続手段(外部機器側コネクタ84)とすることにより、車両やレーダー探知機40をばらすことなく、容易にレーダー探知機40だけを取り外して修理に出したり、代替品とすぐに交換したりすることもできる。
上記実施形態では、図2および図3に示すように、通信路12にOBD2コネクタ16以外のコネクタ(オプションコネクタ28)が設けられており、車両側コネクタ86とオプションコネクタ28とを接続することにより、車両側コネクタ86と通信システム10とを接続する。
そのため、ユーザまたはインターフェース80の取付け作業を行う者(例えば販売店の作業員)は、直接結線する場合と比べて容易にインターフェース80を通信システム10に接続することができ、配線の接続の煩わしさから解放される。また、インターフェース80を外す場合にも、作業者の負担を軽減することができる。
オプションコネクタ28は、例えば将来的にユーザの選択によって車両に対してオプション機器を接続することが可能なコネクタであり、インパネの内側に配置される。また、このオプション機器は、ディーラーで車両のオプションとして選択可能な機器(カーナビゲーション装置52)であり、図16を用いて説明したように、表示部54または操作部56を車室に露出させた状態でインパネのセンターコンソール部分に組み込みまたは埋め込みが可能である。さらに、インパネの内部に埋め込まれた部分に設けられたコネクタ60でオプションコネクタ28と接続可能である。
「オプションコネクタ28」は、通信システム10におけるOBD2コネクタ16以外であって、レーダー探知機40の動作に必要な信号が得られる箇所に接続されるものとするとよく、通信システム10にゲートウェイECU26が配置されている場合にはゲートウェイECU26のうち、変換または取捨選択されていない信号を出力可能な箇所に接続されるものとするとよい。
上記実施形態では、通信システム10において、通信路12にゲートウェイECU26を含めて複数のECUが配置され、ゲートウェイECU26が、通信路12のうちゲートウェイECU26以外の電子制御機器(ECU14)が接続された部分とOBD2コネクタ16が接続された部分との間に配置され、車両側コネクタ86が、通信路12のうちゲートウェイECU以外の電子制御機器が接続された部分に接続される。
そのため、ユーザは、ゲートウェイECU26によってOBD2コネクタ16に送信される信号が、ゲートウェイECU26以外の電子制御機器から送信された信号が他の信号に変換されたものまたは一部が取捨選択されたものとされる場合であっても、確実にゲートウェイECU26以外の各電子制御機器との間で信号の送受信をすることができる。上記実施形態では、ゲートウェイECU26は、通信路12のうちゲートウェイECU26以外の全ての電子制御機器が接続された部分とOBD2コネクタ16が接続された部分の間に配置される。
上記第二の実施形態では、図6等に示すように、通信システム10に対してOBD2コネクタ16を介して故障診断機70(第二の外部機器)が接続されることを条件として、故障診断機70による通信を優先するよう、インターフェース80およびレーダー探知機40の少なくとも一方による通信路12を介した通信を制限可能な通信制限器88を備えている。
そのため、ユーザおよびユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、第二の外部機器である故障診断機70から発せられる信号とインターフェース80自体または第一の外部機器であるレーダー探知機40から発せられる信号とのバッティング等の故障診断機70の誤作動につながる無用なトラブルの発生を抑制することができる。また、インターフェース80またはレーダー探知機40を通信システム10から取り外す作業や、車両の点検、修理後に再び取り付ける作業を行う必要をなくすことができ、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
インターフェース80は、例えば、通信システム10において、レーダー探知機40による通信が生じると、故障診断機70による通信に支障が生じるものである場合に好適である。
「故障診断機70による通信を優先するよう、インターフェース80およびレーダー探知機40の少なくとも一方による通信路12を介した通信を制限可能」という概念は、例えば故障診断機70による通信のために、インターフェース80またはレーダー探知機40による通信を完全遮断にするだけでなく、故障診断機70の通信に問題のない範囲でレーダー探知機40による通信を許容するように制限する等の態様も含む概念とするとよい。
「通信の制限」は、故障診断機70の通信信号とレーダー探知機40の通信信号とがバッティングや干渉をしないよう、信号の送受信制御を行うものとする。
インターフェース80における「通信の制限」は、「可能」であるため、例えば故障診断機70が通信システム10に接続されても即座に通信の制限を行わなくてもよい。つまり、故障診断機70の接続を、例えば通信制限のために設けられた複数の条件の全てとしてもよいし、条件の一部としてもよい。
「通信制限器88による通信の制限」は、例えば、通信制限器88が通信路12等を介して故障診断機70が接続されたことを検知し、故障診断機70の動作に干渉する信号をインターフェース80から送信しないようにすることによって行うとよく、例えばユーザがスイッチを用いてレーダー探知機40への通電をオフにすることによって行うとよく、例えばインターフェース80を通信システム10にアクセスできないようにすること等によって行うとよい。
「通信制限器88」は、基板に設けられたマイコンを含む集積回路のチップである。図6では、通信制限器88は、伝送線82の途中に設けられているが、通信制限器88のチップは例えば、図7等に示すように外部機器側接続部(外部機器側コネクタ84)に設けてもよいし、車両側接続部(車両側コネクタ86)に設けてもよい。
上記第二の実施形態では、図6および図7に示すように、車室内に配置されたスイッチ92(第一のスイッチ)を備え、通信制限器88は、スイッチ92をオフにすることにより、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うことができる。
そのため、ユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、車両に対して故障診断機70を使用する際に、第二の外部機器である故障診断機70と、インターフェース80および第一の外部機器であるレーダー探知機40の少なくとも一方との間で信号のバッティングが生じたとしても、インターフェース80に設けられたスイッチ92をオフにするだけでバッティングを解消し、故障診断機70を使用可能とすることができる。そのため、インターフェース80またはレーダー探知機40を通信システム10から取り外す作業等をなくすことができ、ユーザとディーラーは、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
「スイッチ92」は、例えば電源スイッチ等とするとよい。「スイッチ92」は、配線90を介して車室内に配置されるが、特に、ユーザの手が届きやすい場所、例えばいわゆるダッシュボードやインパネ、センターコンソールまたはその周辺等の運転席に座って手が届く場所に配置するとよい。
上記第二の実施形態では、図6および図8に示すように、レーダー探知機40が電源スイッチ46(第二のスイッチ)を備え、通信制限器88は、外部機器側コネクタ84にレーダー探知機40を接続した状態において、レーダー探知機40の電源スイッチ46をオフにすることにより、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うことができる。
そのため、ユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、車両に対して故障診断機70を使用する際に、故障診断機70と、インターフェース80およびレーダー探知機40の少なくとも一方との間で信号のバッティングが生じたとしても、レーダー探知機40に設けられた電源スイッチ46をオフにするだけでバッティングを解消し、故障診断機70を使用可能とすることができる。そのため、インターフェース80またはレーダー探知機40を通信システム10から取り外す作業等をなくすことができ、ユーザとディーラーは、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
レーダー探知機40は、いわゆるダッシュボード上のユーザの手に届きやすい場所に配置するとよい。
上記第二の実施形態では、図6に示すように、レーダー探知機40が操作部44を備え、外部機器側コネクタ84にレーダー探知機40を接続した状態において、レーダー探知機40の操作部44を用いて通信制限器88の操作が可能であり、通信制限器88は、レーダー探知機40の操作部44を用いて通信制限器88を操作することにより、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うことができる。
そのため、ユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、車両に対して故障診断機70を使用する際に、故障診断機70と、インターフェース80およびレーダー探知機40の少なくとも一方との間で信号のバッティングが生じたとしても、レーダー探知機40の操作部44を操作するだけでバッティングを解消し、故障診断機70を使用可能とすることができる。そのため、インターフェース80またはレーダー探知機40を通信システム10から取り外す作業等をなくすことができ、ユーザとディーラーは、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
レーダー探知機40の操作部44は、図6に示すレーダー探知機40の筐体に設けられたボタンの外に、スイッチやダイヤル等を備えるものとしてもよい。また、レーダー探知機40の表示部42に表示された設定画面に基づいて筐体に設けられたボタン等で設定可能なものとするとよい。また、操作部は、ボタン等に代えて、レーダー探知機40の表示部42をタッチパネル式の液晶画面等からなるものとし、表示部42に表示された設定画面に直接触れて設定可能なものとすることができる。また、レーダー探知機40の操作部は、電波や赤外線等を用いた無線で操作できるリモートコントローラーとすることができる。
レーダー探知機40は、いわゆるダッシュボード上のユーザの手に届きやすい場所に配置される機器とするとよく、レーダー探知機40の表示部42は、例えば設定メニューとして「通信システムへのアクセス停止/再開」の選択を表示するとよい。
上記第二の実施形態では、図10に示すように、レーダー探知機40が操作部44を備え、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40とが無線通信により接続され、外部機器側コネクタ84にレーダー探知機40を接続した状態において、レーダー探知機40の操作部44を用いて通信制限器88の操作が可能であり、通信制限器88は、レーダー探知機40の操作部44を用いて通信制限器88を操作することにより、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うとともに、外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40との無線通信ができなくなると、通信制限器88は、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うことができる。
そのため、ユーザは、インターフェース80の配線が手に引っ掛かる等のトラブルを防止することができるとともに、レーダー探知機40を自由に配置することができる。また、ユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、車両に対して故障診断機70を使用する際に、故障診断機70と、インターフェース80およびレーダー探知機40の少なくとも一方との間で信号のバッティングが生じたとしても、レーダー探知機40の操作部44を操作するだけでバッティングを解消し、故障診断機70を使用可能とすることができる。さらに、レーダー探知機40の操作部44によるインターフェース80の通信制限器88の操作ができなくなった場合であっても、故障診断機70を確実に使用可能とすることができる。そのため、インターフェース80を通信システム10から取り外す作業等をなくすことができ、ユーザとディーラーは、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40との「無線通信」は、例えば外部機器側コネクタ84とレーダー探知機40とに無線通信が可能なチップが設けられ、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等により行われる。
レーダー探知機40は、いわゆるダッシュボード上のユーザの手に届きやすい場所に配置される機器とするとよく、レーダー探知機40の表示部42は、例えば設定メニューとして「通信システムへのアクセス停止/再開」の選択を表示するとよい。
上記第二の実施形態では、通信制限器88は、レーダー探知機40から送信される信号以外の信号が送信されたことを検知すると、ECU14等の電子制御機器へのアクセスを停止し、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うことができる。
そのため、ユーザおよびユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、故障診断機70から発せられる信号とインターフェース80自体またはレーダー探知機40から発せられる信号とのバッティング等の故障診断機70の誤作動につながる無用なトラブルの発生を抑制することができる。また、インターフェース80またはレーダー探知機40を通信システム10から取り外す作業や、車両の点検、修理後に再び取り付ける作業を行う必要をなくすことができ、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
通信制限器88が検知して、ECU14等の電子制御機器へのアクセスを停止することとなる「レーダー探知機40から送信される信号以外の信号」は、故障診断機70から送信される信号とすることかできる。
上記第二の実施形態では、通信制限器88は、通信路12に所定の信号が流れるのを検出すると、故障診断機70による通信を優先する通信制限を行うことができる。
そのため、ユーザから車両が持ち込まれたディーラーは、車両に対して故障診断機70を使用する際に、故障診断機70と、インターフェース80およびレーダー探知機40の少なくとも一方との間で信号のバッティングが生じたとしても、通信路12に所定の信号が流れる状態とするだけでバッティングを解消し、故障診断機70を使用可能とすることができる。そのため、インターフェース80またはレーダー探知機40を通信システム10から取り外す作業等をなくすことができ、ユーザとディーラーは、このような作業に対する追加工賃の請求にともなうトラブル等の発生にわずらわされることがなくなる。
通信路12を流れる「所定の信号」は、ECU14等の電子制御機器が通信路12に出力する信号であって、車両にもともと設けられている車両操作用スイッチ等の状態に関する信号とする。
当該「車両操作用スイッチ」は、上述の「イグニッションスイッチ」の外に、「ライトの電源スイッチ」、または「ブレーキペダル」等とするとよい。当該「イグニッションスイッチ」は、例えば鍵をキーシリンダーに挿入して操作するものとするとよく、ボタン式のものとするとよい。当該「ライトの電源スイッチ」は、例えば「室内灯の電源スイッチ」、「前照灯の電源スイッチ」とするとよい。
車両操作用スイッチの「所定の状態」は、例えば車両操作用スイッチを用いて所定の操作を行った状態とするとよく、特に、例えば車両操作用スイッチのオンとオフとの切り替えを所定の回数繰り返した状態とするとよい。この「車両操作用スイッチのオンとオフとの切り替え」は、「イグニッションスイッチのオンとオフとの切り替えを所定時間内に所定回数(例えば1秒間に3回)繰り返すこと」とするとよく、また、例えば「前照灯のオンとオフの切り替えとブレーキのオンとオフの切り替えとを同時に行うこと」とするとよい。
さらに、所定の信号を検出したことによって故障診断機70による通信を優先させた後、同様の信号を再度検出した場合に、故障診断機70による通信の優先を解除できることとするとよい。このようにすれば、ユーザとディーラーは容易に故障診断機70による通信の優先を解除することができる。
通信制限器88による通信制限は、上述した方法のうち、少なくとも一つによって行うことが可能であればよい。そのため、通信制限器88に接続されたスイッチ92は必ずしも必要ではない。
上記第三の実施形態では、図12に示すように、ECU14等の電子制御機器から送信された信号をレーダー探知機40で使用できる形式に変換し、前記レーダー探知機40から送信された信号を電子制御機器で使用できる形式に変換する信号変換器94を備えている。
そのため、ユーザは、通信システム10のECU14等の電子制御機器で使用される信号とレーダー探知機40で使用される信号との間の対応関係を気にすることなくレーダー探知機40を使用することができる。
「信号変換器94」は、基板に設けられた集積回路のチップである。信号変換器94は、伝送線82の途中に設けられているが、信号変換器94のチップは例えば外部機器側接続部(外部機器側コネクタ84)に設けてもよいし、車両側接続部(車両側コネクタ86)に設けてもよい。
信号の形式の変換は、図12に示すように、一例として以下のようにできる。レーダー探知機40から送信されるリクエストメッセージの形式が「7E0**」、レーダー探知機40で認識可能なレスポンスメッセージの形式が「7E8**」であり、通信システム10の電子制御機器で認識可能なリクエストメッセージの形式が「700##」、通信システム10の電子制御機器から送信されるレスポンスメッセージの形式が「708##」である場合について説明する。
この場合、レーダー探知機40が「7E0**」を送信し、「7E0**」を受信したインターフェース80はこの信号を信号変換器94で「700##」に変換して、通信システム10の通信路12に送信する。通信路12を流れる「700##」を受信し、認識した通信システム10の電子制御機器は「708##」を通信路12に送信する。「708##」を受信した信号変換器94は「7E8**」に変換して、レーダー探知機40に送信する。ここで、「**」および「##」は要求または応答の内容を示す任意の数字または記号であり、例えば16進数とするとよい。
リクエストメッセージは、例えば「他の機器への指示」を伝えるものとするとよく、レスポンスメッセージは、例えば「指示に対する他の機器からの応答」を伝えるものとするとよい。また、レスポンスメッセージは、例えば「指示を実行したことと、その結果」を示すポジティブレスポンスメッセージと、「指示を実行できないことと、その理由」を示すネガティブレスポンスメッセージとにするとよい。
上記実施形態では、インターフェース80から通信システム10に信号を送信した後、所定の期間、通信システム10における車両側接続部(車両側コネクタ86)が接続される箇所を流れる信号を記録するとよい。
このようにすれば、トラブルが発生したインターフェース80をユーザから持ち込まれたメーカーは、この記録に基づいて、当該トラブルの原因を特定するとともに、トラブルの原因となったインターフェース80が発生した信号を容易に特定し、この信号を修正することができる。また、トラブルが発生したインターフェース80のユーザは、メーカーに信号が修正されたインターフェース80を継続して使用することができる。
信号の記録は、例えばインターフェース80から信号を送信した後、所定の期間とするとよい。所定の期間が経過した後は、例えば記録を削除してもよく、また、例えば記憶部の容量が許す限り残しておいてもよい。また、例えば、インターフェース80の動作中に常に一定量の最新の記録を、いわゆる上書き保存等により記憶部に更新しながら保存し続け、通信異常が発生したら、更新を停止してもよいし、また、その発生時点前の一定の時間分(例えば10秒)の記録を別の記録ファイルとして記憶部に保存することとするとよい。これにより、記憶部に保存された記録にトラブルの原因となった信号が含まれることとなり、トラブルの原因の特定に利用することができる。記憶部は、例えばインターフェース80と通信可能な外部サーバ等としてもよいし、例えばインターフェース80に設けてもよい。
上記実施形態では、ECU14等の電子制御機器が外部のサーバとの通信が可能であり、電子制御機器が、前記サーバから電子制御機器で使用されるソフトウェアのアップデート情報を受信すると、ソフトウェアのアップデートを行い、アップデート前後の通信路12を流れる信号の相違点を記録する。
そのため、トラブルが発生したインターフェース80をユーザから持ち込まれたメーカーは、この記録に基づいて、当該トラブルがアップデートにともなって通信路12を流れる信号が変化したことに起因することを特定するとともに、トラブルの原因を容易に特定し、この原因を修正することができる。また、トラブルが発生したインターフェース80のユーザは、メーカーにトラブルの原因が修正されたインターフェース80を継続して使用することができる。
アップデート前後の通信路12を流れる信号の相違点は、例えば、アップデート前に通信路12を流れる信号を記憶部に予め記録しておき、アップデート後に通信路12を流れる信号を新たに記憶部に記録し、これらの記録を比較することにより見つけ出すとよい。記憶部は、例えばインターフェース80と通信可能な外部サーバ等としてもよいし、例えばインターフェース80に設けてもよい。
電子制御機器と外部のサーバとの通信は、例えばLTE、3G等の無線通信とするとよい。
上記実施形態では、外部のサーバとの通信を可能とし、ECU14等の電子制御機器から受信した信号を前記サーバに送信することが可能をとする。
そのため、インターフェース80をユーザから持ち込まれたメーカーは、サーバに蓄積された記録を参照して、インターフェース80の改善を行うことができる。また、インターフェース80をメーカーに持ち込んだユーザは、改善されたインターフェース80を使用することができる。
インターフェース80と外部のサーバとの通信は、例えばLTE、3G等の無線通信とするとよい。
以上、本発明の様々な側面を実施形態および変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、願書に添付した特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらの構成の発明についても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。