<画像形成装置の全体の構成>
図1に示す本実施形態に係る画像形成装置1は、モノクロ複写機として構成されたものである。この画像形成装置1は、装置本体1Aの上部に、図示していない原稿を1枚ずつ分離した状態で搬送する自動原稿搬送装置2と、自動原稿搬送装置2によって搬送される原稿及び図示していないプラテンガラス上に載せられる原稿の画像を読み取る画像読取装置3と、を備えている。また、画像形成装置1は、装置本体1Aの内部に、現像剤G(図2を参照)に含まれるトナーで現像されるトナー像を形成する作像装置10と、作像装置10で形成されたトナー像を被転写体及び記録媒体の一例としての記録用紙Pに転写する転写装置15と、転写装置15の転写位置に供給すべき記録用紙Pを収容して搬送する給紙装置50と、転写装置15で転写された記録用紙P上のトナー像を定着させる定着装置40と、を備えている。
作像装置10は、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のようなトナー像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を予め定めた電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を現像剤Gのトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、そのトナー像を記録用紙Pに転写する転写手段の一例としての転写装置15と、転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理された円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示していない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。また、帯電装置12には、その表面を清掃する清掃ロール121が接触するよう配置されている。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
露光装置13は、画像読取装置3で読み取られた原稿の画像情報又は外部のパーソナルコンピュータ等から入力される画像情報に応じて構成される光を、帯電された後の感光体ドラム11の周面に照射して静電潜像を形成するものである。
本実施形態の露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドである。
転写装置15は、感光体ドラム11の周囲に接触し回転するとともに転写用電圧が供給される転写ロールを備えた接触型の転写装置である。転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示していない電源装置から供給される。
定着装置40は、表面温度が予め定めた温度に保持されるように加熱手段によって加熱されるベルト形態又はロール形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向に略沿う状態で予め定めた圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42と、を含んで構成されている。
給紙装置50は、作像装置10の下方側の位置に配置されている。給紙装置50は、記録用紙Pを積載した状態で収容する用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置52、53と、で主に構成されている。記録用紙Pとしては、例えば、普通紙、OHPシート及びトレーシングペーパー等が挙げられる。
給紙装置50と転写装置15との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙Pを転写位置まで搬送する用紙搬送ロール対54、55及び図示しない搬送ガイド等で構成される給紙搬送路56が設けられている。用紙搬送ロール対55は、例えば記録用紙Pの搬送時期を調整するロール(レジストロール)である。また、転写装置15と定着装置40との間には、転写装置15から送り出された転写後の記録用紙Pを定着装置40まで搬送する用紙搬送路57が設けられている。更に、記録用紙Pの排出口に近い部分には、定着装置40の出口ロール43から送り出される定着後の記録用紙Pを装置本体1Aの上部に設けられた用紙排出部58に排出する用紙排出ロール対59が配置されている。
定着装置40と用紙排出ロール対59との間には、用紙搬送路を切り替える図示していない切替ゲートを備えている。用紙排出ロール対59は、その回転方向が正転方向(排出方向)と逆転方向に切り替え可能に構成されている。そして、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合には、片面に画像が形成された記録用紙Pの後端が図示していない切替ゲートを通過した後、用紙排出ロール対59の回転方向を正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対59によって逆転方向に搬送される記録用紙Pは、図示していない切替ゲートによって搬送経路が切り替えられ、装置本体1Aの側面に沿って略鉛直方向に沿うように形成された両面用搬送経路60へと搬送される。両面用搬送経路60は、表裏を反転させた状態で記録用紙Pを用紙搬送ロール対55へと搬送する複数の用紙搬送ロール対61と図示していない搬送ガイド等を備えている。
また、定着装置40の上部には、定着装置40の出口ロール43から送り出される定着後の記録用紙Pを、用紙搬送ロール対62を介して装置本体1Aの上部に設けられたフェイスダウン排出用の第2の用紙排出部63に排出する用紙排出ロール対64と、切替ゲート65により搬送方向を切り替えて定着後の記録用紙Pを装置本体1Aの上部側面に設けられたフェイスアップ排出用の第3の用紙排出部66に排出する用紙排出ロール対67と、が設けられている。
なお、図1中の符号70は、画像形成装置1の装置本体1Aの左側面に開閉自在に設けられた手差しトレイを示している。手差しトレイ70と用紙搬送ロール対54との間には、手差しトレイ70に収容された記録用紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置71と、送出装置71により送り出された記録用紙Pを1枚ずつ分離する分離ロール72と、が配置されている。
また、図1中の符号145は、紙面に直交する方向に沿って配列され、現像装置14に供給する現像剤Gを収容したトナーカートリッジである。符号159は、トナーカートリッジ145から現像剤Gを現像容器140に搬送するトナー搬送部材である。
また、図1中の符号100は、画像形成装置1の各種動作を統括的に制御する制御装置である。制御装置100は、図示していないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、これらCPUやROM等を接続するバス及び通信インターフェイス等を備えている。
制御装置100は、後述するトナー濃度センサー170によって検出された検出値(電圧)に基づいて、現像剤Gのトナー濃度を求め、求められたトナー濃度に基づいて、適宜トナー搬送部材159を制御してトナーカートリッジ145からトナーを現像容器140に搬送し供給する。
図2に示すように、現像装置14は、現像剤Gの収容室が形成された現像容器140の内部に、現像剤Gを保持し感光体ドラム11と対向する現像領域まで搬送する現像剤保持体の一例としての現像ロール141と、現像剤Gを撹拌しながら現像ロール141に供給するスクリューオーガー等の供給搬送部材142と、供給搬送部材142との間で現像剤Gを受け渡しつつ撹拌しながら搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材143と、現像ロール141に保持される現像剤Gの量(層厚)を規制する層厚規制部材144と、が設けられている。本実施形態の現像剤Gは、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤である。なお、現像装置14については、後述する。
ドラム清掃装置16は、下端面の一部が開口する容器状の本体160と、転写後の感光体ドラム11の周面に予め定めた圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して現像装置14及び図示していない回収システムに送り出すように搬送するスクリューオーガー等の送出部材162と、を含んで構成されている。なお、本実施形態では、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収し、図示していない再利用装置を介して現像装置14に送り出すように構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばクリーニングブレード)が使用される。
なお、図示していない再利用装置とは、ドラム清掃装置16の清掃板161により除去され、スクリューオーガー等の送出部材162により感光体ドラム11の軸方向に沿った一方の端部へと搬送されるトナー等の付着物を、現像装置14へと搬送して再度現像に利用する再利用手段である。
<画像形成動作>
次に、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、作像装置10、転写装置15及び定着装置40等が始動する。また、画像形成動作に伴って必要に応じ、自動原稿搬送装置2によって搬送される図示していない原稿の画像やプラテンガラス上に置かれた図示しない原稿の画像が画像読取装置3により読み取られる。
作像装置10では、まず感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電装置12が感光体ドラム11の表面を予め定めた極性(本実施形態ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像読取装置3で読み取られた原稿の画像情報又は画像形成装置1に入力された画像の情報を白黒成分に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に静電潜像を形成する。
続いて、現像装置14が、感光体ドラム11に形成された静電潜像に対し、予め定めた極性(本実施形態ではマイナス極性)に帯電されたトナーを現像ロール141から供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、ブラック色のトナーで現像されたモノクロのトナー像として顕像化される。
続いて、作像装置10の感光体ドラム11上に形成されたトナー像が転写位置まで搬送されると、転写装置15が、そのトナー像を記録用紙Pに転写させる。
また、転写が終了した作像装置10では、ドラム清掃装置16がトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。ドラム清掃装置16で掻き取られたトナー等は、再利用装置180によって現像装置14へと搬送され、再度現像に利用される。
一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて記録用紙Pを給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対55が記録用紙Pを転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給する。
続いて、感光体ドラム11からトナー像が転写された記録用紙Pは、図示していない搬送ガイドを介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に転写後の記録用紙Pを導入して通過させることにより、定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙Pに定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙Pは、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、用紙排出ロール対59等により、装置本体1Aの上部に設置された用紙排出部58等に排出される。
また、記録用紙Pの両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙Pを用紙排出ロール対59により用紙排出部58に排出せず、用紙排出ロール対59が記録用紙Pの後端を保持している間に当該用紙排出ロール対59の回転方向を逆転方向に切り替える。用紙排出ロール対59により逆転方向に搬送される記録用紙Pは、図示していない切替ゲートを通過した後、用紙搬送ロール対61又は図示しない搬送ガイド等を備えた両面用搬送経路60を介して表裏が反転された状態で用紙搬送ロール対55へと再度搬送される。用紙搬送ロール対55は、記録用紙Pを転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給し、記録用紙Pの裏面に画像を形成して、用紙排出ロール対59等により装置本体1Aの上部に設置された用紙排出部58などに排出する。
以上の画像形成動作により、モノクロの画像が形成された記録用紙Pが出力される。
<現像装置の構成>
図3に示すように、現像装置14を構成する現像容器140は、現像容器140の下部を構成する下部ハウジング140Aと、現像容器140の上部を構成する上部ハウジング140Bと、を含んで構成されている。
現像容器140の内部には、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分の現像剤Gを収容する現像剤収容室151が形成されている。現像容器140における感光体ドラム11と対向する領域には、開口部152が設けられている。現像容器140の内部には、現像剤保持体の一例としての現像ロール141が開口部152に一部が露出すると共に矢印B方向に回転駆動するように設けられている。現像ロール141は、複数の磁極が配置されたマグネットロール141Aと、マグネットロール141Aの外周に矢印方向に沿って回転可能に配置される現像スリーブ141Bと、含んで構成されえいる。現像スリーブ141Bは、アルミニウムや非磁性ステンレス等からなる非磁性材料により円筒形状に形成されている。
現像ロール141のX方向の外側には、当該現像ロール141に保持される現像剤Gの層厚を規制する円柱状の層厚規制部材144が配置されている。
現像容器140の内部には、現像剤収容室151内に収容された現像剤Gを現像ロール141に供給するスクリューオーガー(サプライオーガー)等からなる供給搬送部材142が、現像ロール141の斜め下方に配置されている。供給搬送部材142は、図示していない駆動装置により矢印K1方向に回転駆動される。
また、現像容器140の内部には、当該現像容器140の内部に供給される現像剤Gを撹拌しつつ搬送するスクリューオーガー(アドミックスオーガー)等からなる撹拌搬送部材143が、供給搬送部材142の背面側に配置されている。撹拌搬送部材143は、図示していない駆動装置によって矢印K2方向に回転駆動される。
なお、本実施形態では、小型化及び低コスト等のために、供給搬送部材142と撹拌搬送部材143との間にアイドルギアを設けていないので、前述のように供給搬送部材142と撹拌搬送部材143とは回転方向が逆方向に回転する構造となっている。
供給搬送部材142及び撹拌搬送部材143は、同様の構成とされている。ここでは、代表して撹拌搬送部材143の構成について説明する。
図4に示すように、撹拌搬送部材143は、円柱形状に形成された回転軸143Aと、回転軸143Aの外周に螺旋状に一体的に設けられた搬送羽根143Bとを備えている。なお、搬送羽根143Bは二重螺旋になっている。
撹拌搬送部材143には、現像剤G(図2参照)の搬送方向(矢印S方向)の下流側の端部には、当該撹拌搬送部材143によって搬送された現像剤Gを搬送方向(矢印S方向)の上流側に押し戻すための逆送用の図示していない搬送羽根が、2~3ピッチ程度、設けられている。なお、羽部材173及び磁石200についての説明は、後述する。
図3に示すように、下部ハウジング140Aには、供給搬送部材142を収容する断面略半円筒形状に形成された第一収容部153と、撹拌搬送部材143を収容する容器本体の一例としての第二収容部154と、が設けられている。第一収容部153及び第二収容部154は、下部ハウジング140Aに設けられた仕切壁155により仕切られている。
第二収容部154の回転軸143Aの軸方向に沿った一方の端部には、図示していない供給部が突出するように設けられている。この図示していない供給部から前述したトナーカートリッジ145(図1参照)からトナー搬送部材159(図1参照)を介して搬送された現像剤Gが第二収容部154に供給される。
第一収容部153と第二収容部154とを仕切る仕切壁155の長手方向の両端部には、供給搬送部材142と撹拌搬送部材143との間で現像剤Gの受け渡しを行う図示していない第一通路部及び第二通路部がそれぞれ設けられている。
第二収容部154を撹拌搬送部材143によって回転軸143Aの軸方向の端部まで搬送された現像剤Gは、前述の図示していない第一通路部を介して第一収容部153へと搬送され、供給搬送部材142によって撹拌されつつ搬送される間に現像ロール141へ供給される。また、第一収容部153を供給搬送部材142によって回転軸142Aの軸方向の端部まで搬送された現像剤Gは、前述の図示していない第二通路部を介して第二収容部154へと搬送される。つまり、現像剤Gは、第一収容部153と第二収容部154とを循環移動する。
また、前述した図示していない供給部から第二収容部154に供給されたトナーは、撹拌搬送部材143によって搬送される間に、現像容器140に収容された現像剤Gと撹拌され、混合する。
(現像容器の要部)
次に現像容器140の要部について説明する。
図3に示すように、現像容器140には、当該現像容器140の第二収容部154に検出部材の一例としてのトナー濃度センサー170が設けられている。トナー濃度センサー170は、非磁性トナーと磁性キャリアからなる現像剤Gの透磁率を検出することにより現像剤Gのトナー濃度を検出するセンサーである。トナー濃度センサー170は、第二収容部154の内部における撹拌搬送部材143の現像剤Gの搬送方向に沿った下流側の端部寄りの位置における前述の図示していない第一通路の上流側に隣接して配置されている。
図4に示すように、トナー濃度センサー170は、扁平な略直方体形状のセンサー本体171と、センサー本体171の側面から突出する円柱状の検出部172と、を有している。
図3及び図4に示すように、トナー濃度センサー170の検出部172は、下部ハウジング140Aの第二収容部154の壁154Bに設けられた開口部154Aに嵌め込まれている。よって、検出部172の端面である検出面172Aが第二収容部154に露出している。
図4に示すように、トナー濃度センサー170は、回転軸143Aに沿った方向から見た場合、回転軸14Aを通る鉛直方向上側を0°すると、回転方向下流側に90°以上且つ180°以下の範囲に検出面172Aが露出するように取り付けられている。
図3及び図4に示すように、撹拌搬送部材143の回転軸143Aには、径方向外側に張り出す板状の羽部材173が設けられている。
図4に示すように、羽部材173は、撹拌搬送部材143の二重螺旋の搬送羽根143Bの隣り合う(対向する)部分に、回転軸143Aの軸方向に沿って設けられている。
図3及び図4に示すように、板状の羽部材173の幅方向は、回転軸143Aに沿った方向である。
図3~図5に示すように、羽部材173は、撹拌搬送部材143(図3及び図4参照)の矢印K2方向(図3及び図5参照)の回転に伴って、先端部173Aがトナー濃度センサー170の検出部172の検出面172Aに間隔をあけて上側から下側に通過する。
図4に示すように、撹拌搬送部材143の搬送羽根143BのピッチLは、トナー濃度センサー170の検出部172の検出面172Aの回転軸143Aの軸方向に沿った幅D(本実施形態では直径と同じ)よりも小さく、且つ回転軸143Aの軸方向に沿った幅Dの1/2以上に設定されている。よって、羽部材173の先端部173Aの回転軸方向に沿った幅dも、トナー濃度センサー170の検出部172の検出面172Aの幅Dよりも小さく、且つ幅Dの1/2以上に設定されている。なお、検出面172Aの幅方向の中心と先端部173Aの幅方向の中心とは一致している。
図3~図5に示すように、板状の羽部材173の回転方向上流側の側面である取付面175には、磁石200が取り付けられている。なお、この磁石200は、S極であるS面202(図5参照)が取付面175に取り付けられている。また、磁石200は、羽部材173の先端部173Aよりも径方向内側に取り付けられている。更に、磁石200の回転軸143Aの軸方向に沿った幅も羽部材173の先端部173Aの回転軸方向に沿った幅dと同じ又は略同じである。よって、磁石200の回転軸143Aの軸方向に沿った幅もトナー濃度センサー170の検出部172の検出面172Aの幅Dよりも小さく、且つ幅Dの1/2以上に設定されている。なお、本実施形態では、磁石200の幅は、検出面172Aの約90%となっている。また、磁石200は、磁気ブラシによる検出面172Aの清掃機能及び攪拌機能を有している。
図3及び図5に示すように、板状の羽部材173を回転軸143A(図3参照)の軸方向から見た形状は、先端部173Aに向かうに従って板厚が薄くなる先細の楔形状となっている。
具体的には、図5に示すように、羽部材173の先端部173Aがトナー濃度センサー170の検出面172Aに最接近した状態において、羽部材173の回転方向下流側の側面177は検出面172Aに直交する仮想線Hと平行又は略平行になっており、羽部材173の回転方向上流側の側面である取付面175は、仮想線Hに対して角度θ1を持っている。また、この角度θ1は、20°以上で90°未満の範囲に設定されている。
別の観点から説明すると、羽部材173の先端部173Aが検出面172Aに最接近した状態において、磁石200の磁極方向GAに直交する仮想線GBは、検出面172Aに直交する仮想線Hに対して角度θ2を持っている。また、この角度θ2は、20°以上で90°未満の範囲に設定されている。
なお、本実施形態では、前述の角度θ1及び角度θ2は、同じ又は略同じになるように構成され、角度θ1及び角度θ2は、28.6°±3°に設定されている。また、羽部材173の先端部173Aがトナー濃度センサー170の検出面172Aに最接近した状態とは、先端部173Aの板厚方向の中心位置173Bが、検出面172Aに最接近した状態である。
<現像剤のトナー濃度制御>
次に、現像剤のトナー濃度制御について説明する。
現像装置14の現像容器140の内部に収容された現像剤Gは、感光体ドラム11の周面に形成された静電潜像に現像ロール141からトナーを供給して静電的に付着させる現像工程に伴ってトナーが消費される。現像容器140の内部に収容された現像剤Gのトナー濃度は、第二収容部154に設けられたトナー濃度センサー170により検出される。
制御装置100は、トナー濃度センサー170により検出された現像剤Gのトナー濃度が予め定めた下限値未満と判定、或いは画像情報から要求されるトナー濃度よりも下回ったと判定すると、トナーカートリッジ145からトナー搬送部材159を制御して現像容器140にトナーの供給を開始し、予め定めた上限値よりも大きくなったと判定、或いは、要求されるトナー濃度を上回った判定すると供給を停止する。
つまり、制御装置100は、トナー濃度センサー170から出力された出力値(電圧)に基づいて、現像剤Gのトナー濃度を検出し、検出したトナー濃度に基づいて、適宜トナー搬送部材159を制御してトナーカートリッジ145から現像剤Gを現像容器140に供給する。
現像容器140に供給されたトナーは、撹拌搬送部材143により搬送されることで、現像容器140に収容された現像剤Gと撹拌される。
図6(A)の(1)~(5)は、撹拌搬送部材143に回転に伴う羽部材173の先端部173A及び磁石200の位置を示している。なお、具体的には、最左図である(1)は、羽部材173の先端部173Aが検出面172Aに近接し、磁石200が検出面172Aに対向した状態である。その右横の図である(2)は、(1)の状態からK2方向に1/4回転した状態の図であり、更にその右横の図である(3)は、(2)の状態から更にK2方向に1/4回転した状態の図であり、更にその右横の図である(4)は、(3)の状態から更にK2方向に1/4回転した状態の図である。そして、その右横で最右図である(5)は、(4)の状態から更にK2方向に1/4回転した状態の図であり、最左図(1)と同じ羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向した状態である。
図6(B)は、図6(A)の(1)~(5)の羽部材173の先端部173A及び磁石200の位置に対応したトナー濃度センサー170の電圧の出力波形である。出力波形における最大値(ピーク値)PQは、図6(A)の(2)~(4)の羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向していない状態であり、更に(3)と(4)との間である。そして、制御装置100は、トナー濃度センサー170の出力波形の最大値(ピーク値)PQを用いて現像剤Gのトナー濃度を検出している。
なお、前述したように、磁石200は、磁気ブラシによる検出面172Aの清掃機能及び攪拌機能を有している。よって、磁石200を設けることで、検出面172Aの周囲の現像剤Gの滞留が抑制され、トナー濃度の検出精度が高くなる。
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
まず、本発明が適用されていない比較例の現像容器について説明する。
図7(A)に示すように、比較例の現像容器は、羽部材173の回転方向下流側の側面177(図5も参照)に磁石200が取り付けられている。
図7(A)の(1)~(5)は、比較例の現像容器における撹拌搬送部材143の回転に伴う羽部材173の先端部173A及び磁石200の位置を示し、それぞれ前述した図6(A)に対応している。
図7(B)は、図7(A)の(1)~(5)の比較例の羽部材173の先端部173A及び磁石200の位置に対応したトナー濃度センサー170の電圧の出力波形であり、前述した図6(B)に対応している。
出力波形における最大値(ピーク値)PQは、図7(A)の(1)及び(5)の羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向した状態である。
図8のグラフの横軸は、図6(B)及び図7(B)に示すトナー濃度センサー170の出力波形の最大値PQに基づいて、制御装置100が検出した現像剤Gのトナー濃度検出値である。
図8のグラフの縦軸は、この制御装置100が検出した現像剤Gのトナー濃度検出値と、現像容器140(図3参照)から現像剤Gを取り出して別途測定器でトナー濃度を精密に測定した実測値と、の差を百分率(%)で示したものである。そして、その差を±1%内(一点鎖線で囲った囲み部J)に収めることが本実施形態の仕様である。
本実施形態の画像形成装置1においては、現像容器140の現像剤Gのトナー濃度検出値が6.0以上で11.0以下の範囲に収まるように、制御装置100がトナー搬送部材159を制御してトナーカートリッジ145から現像剤Gを現像容器140に供給し、トナー量を制御している。なお、トナー濃度検出値(横軸)は、現像剤G中にトナーがしめる重量比(wt%)である。
図8のグラフにおける●印は本実施形態の現像容器140の場合であり、▲印は比較例の現像容器の場合である。
そして、本実施形態の現像容器140では、トナー濃度センサー170の出力波形の最大値PQに基づいて制御装置100が検出したトナー濃度検出値と、実測値との差は、トナー濃度検出値が6.0以上で11.0以下の範囲において、±1%内に収まっている。
しかし、比較例の現像容器では、トナー濃度センサー170の出力波形の最大値PQに基づいて制御装置100が検出したトナー濃度検出値と、実測値との差は、トナー濃度検出値が6.0以上で11.0以下の範囲において、±1%内に収まっていない。特に、トナー濃度検出値が高くなるに従ってトナー濃度検出値と実測値との差が大きくなる。
このように、本実施形態の羽部材173の回転方向の上流側の側面である取付面175に磁石200を取り付けることで、羽部材173の回転方向の下流側の側面177に磁石200が取り付けられた比較例と比較し、トナー濃度センサー170による現像剤Gのトナー濃度の検出精度が高くなる。
つぎに、羽部材173の先端部173Aがトナー濃度センサー170の検出面172Aに最接近した状態において、羽部材173の回転方向上流側の側面である取付面175の仮想線Hに対する角度θ1及び磁石200の磁極方向GAに直交する仮想線GBの仮想線Hに対する角度θ2と、検出精度との関係について説明する。なお、磁極方向GAに直交する仮想線GBは、回転軸143Aの軸方向から見た場合の線である。
図9の表は、角度θ1及び角度θ2と、検出精度との関係を示している。検出精度は、図8のグラフで説明したように、現像容器140の現像剤Gのトナー濃度検出値が6.0以上で11.0以下の範囲で、トナー濃度検出値と実測値との差が1%以内に収まっているか否かについて評価した。△印は、両者の差が±1%以内に収まっていない場合もあるが図8の比較例▲よりも検出精度が良いことを示している。○印は、図8の本実施形態の●印と同様に両者の差が±1%以内に収まっていることを示している。×印は、図8の比較例▲と同等以下の検出精度であることを示している。
この図9の表から、比較例の現像容器よりも検出精度が高くなり、トナー濃度検出値と実測値との差が±1%内に収まる角度θ1及び角度θ2は、20°以上で45°以下であること判る。
なお、角度θ1及び角度θ2は、20°以上で45°以下の場合は、図6に示す出力波形における最大値(ピーク値)PQは、図6(A)の(2)~(4)の羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向していない状態のときに生じる。
これに対して、角度θ1及び角度θ2が20°未満又は45°よりも大きい場合は、トナー濃度検出値が小さい場合、出力波形における最大値(ピーク値)PQは図6(A)の(2)~(4)の羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向していない状態のときに生じる。しかし、トナー濃度検出値が大きくなると、羽部材173の下流側の側面177に磁石200を取り付けたときと同様に、図6(A)の(1)及び(5)の羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向した状態のときに最大値(ピーク値)PQが生じる。このように出力波形における最大値(ピーク値)PQが変わるため、検出精度が低下すると考えられる。
ここで、前述のように羽部材173の回転方向(K2方向)の下流側の側面177に磁石200が取り付けられた場合、羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向したときに、磁石200により現像剤Gが検出面172Aに押し付けられて圧縮され、嵩密度が高くなる。よって、羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向したときにトナー濃度検出値が高くなる。そして、トナー濃度が高くなるに従って嵩密度が高くなりトナー濃度検出値が高くなる。よって、トナー濃度が高くなるに従って出力波形における最大値(ピーク値)PQの増加幅が大きくなる。つまり、トナー濃度検出値の増加幅は実測値の増加幅よりも大きくなり、トナー濃度検出値が実測値から乖離していく。このため、図7のグラフのようにトナー濃度検出値と、別途測定した実測値のトナー濃度との差が、±1%よりも大きくなると考えられる。
これに対して本実施形態のように、羽部材173の回転方向(K2方向)の上流側の側面である取付面175に磁石200が取り付けられた場合、羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向したときの、磁石200による検出面172Aの現像剤Gの圧縮が少なく、嵩密度が高くなること抑制される。よって、羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向したときに、トナー濃度検出値も高くならない。このため、羽部材173の先端部173A及び磁石200が検出面172Aに対向していない状態で、出力波形における最大値(ピーク値)PQとなる。このため、図7のグラフのようにトナー濃度検出値と、別途測定した実測値のトナー濃度との差が、±1%に収まると考えられる。
つまり、羽部材173の回転方向(K2方向)の上流側の側面である取付面175に磁石200が取り付けられることで、磁石200は、現像剤Gの検出面172Aへの圧縮作用が低減し、磁気ブラシによる検出面172Aの清掃機能及び攪拌機能に特化すると考えられる。更に、前述したように、角度θ1及び角度θ2は、20°以上且つ45°以下にすることで、更に現像剤Gの検出面172Aの圧縮作用が更に低減し、検出精度が高くなると考えられる。
これを別の観点から説明すると、羽部材173の回転方向上流側の側面である取付面175の仮想線Hに対する角度θ1及び磁石200の磁極方向GAに直交する仮想線GBの仮想線Hに対する角度θ2は、磁石200が検出面172Aに対向していない状態で出力波形が最大値(ピーク値)PQとなるように設定すればよいと言える。或いは、磁石200が検出面172Aに対向していない場合のトナー濃度の値(出力波形における最大値(ピーク値)PQ)が、磁石200が検出面172Aに対向している場合のトナー濃度の値(出力波形における最大値(ピーク値)PQ)よりも大きくなるように、角度θ1及角度θ2を設定すればよいと言える。
また、磁石200が羽部材173の先端部173Aよりも径方向外側に張り出していると、現像剤Gの検出面172Aの圧縮作用が増加し嵩密度が高くなり、トナー濃度の検出精度が低下する。よって、磁石200が羽部材173の先端部173Aよりも径方向内側に取り付けることで、トナー濃度の検出精度が高くなる。
なお、磁石200の回転軸143Aの軸方向に沿った幅を、トナー濃度センサー170の検出部172の検出面172Aの幅Dより幅Dの1/2まで狭くしても、トナー濃度検出値と実測値との差が±1%内に収まることが、別途実験によって確認されている。
(まとめ)
このように、羽部材173の回転方向(K2方向)の上流側の側面である取付面175に磁石200が取り付けられることで、羽部材173の回転方向(K2方向)の下流側の側面177に磁石200が取り付けられた場合と比較し、トナー濃度センサー170による現像剤Gのトナー濃度の検出精度が高くなる。
また、磁石200が取り付けられている羽部材173の上流側の取付面175及び磁石200の磁極方向GAと直交する方向の仮想線GBが、トナー濃度センサー170の検出面172Aに直交する仮想線Hに対して鋭角の角度θ1及び角度θ2を持っている。よって、取付面175及び仮想線GAが仮想線Hと平行である場合と比較し、トナー濃度センサー170によるトナー濃度の検出精度が高くなる。
また、角度θ1及び角度θ2が20°未満である場合と比較し、トナー濃度の検出精度が高くなる。
また、角度θ1及び角度θ2が45°よりも大きい場合と比較し、トナー濃度の検出精度が高くなる。
或いは、磁石200が検出面172Aに対向していない状態で出力波形が最大値(ピーク値)PQとなるので、磁石200が検出面172Aに対向している状態で出力波形が最大値(ピーク値)PQとなる場合と比較し、トナー濃度の検出精度が高くなる。
また、磁石200が羽部材173の先端部173Aよりも径方向内側に取り付けられているので。先端部173Aよりも張り出している場合と比較し、トナー濃度の検出精度が高くなる。
また、回転軸143Aに沿った方向から見た場合、回転軸143Aを通る鉛直方向上側を0°すると、90°未満(高い位置)の場合は、現像剤Gが検出面172Aに接触する面積が少なくなりトナー濃度の検出精度が低下する。しかし、本実施形態では、90°以上且つ180°以下の範囲に検出面172Aが設けられているので、90°未満の場合よりもトナー濃度の検出精度が高くなる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、現像容器140を用いているので、トナー搬送部材159による現像容器140へのトナーの供給精度が高くなる。よって、現像容器140へのトナー供給過多又はトナー供給過小による画像濃度ムラ等の画像品質の低下が抑制される。或いは、トナー供給過多による現像容器140から現像剤Gが溢れることが防止される。
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
上記実施形態では、磁石200が取り付けられている羽部材173の上流側の取付面175がトナー濃度センサー170の検出面172Aに直交する仮想線Hに対する角度θ1と、磁石200の磁極方向GAと直交する方向の仮想線GBがトナー濃度センサー170の検出面172Aに直交する仮想線Hに対する角度θ2と、の両方を、鋭角、20°以上及び45°以下に設定した。しかし、角度θ1及び角度θ2のいずれか一方のみを用いて設定してもよい。また、角度θ1及び角度θ2の両方が検出面172Aに直交する仮想線Hに平行であってもよい。つまり、少なくとも羽部材173の回転方向K2の上流側の取付面175に磁石200が取り付けられていればよい。
また、例えば、画像形成装置の構成としては、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。例えば、本実施形態の画像形成装置1は、モノクロ複写機として構成されたものであったが、これに限定されない。複写機能を有しないプリンターであってよいし、カラー複写機又はカラープリンターであってもってよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。