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JP7081152B2 - 半芳香族ポリアミド樹脂 - Google Patents

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JP7081152B2 JP2017543399A JP2017543399A JP7081152B2 JP 7081152 B2 JP7081152 B2 JP 7081152B2 JP 2017543399 A JP2017543399 A JP 2017543399A JP 2017543399 A JP2017543399 A JP 2017543399A JP 7081152 B2 JP7081152 B2 JP 7081152B2
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Description

本発明はアミノカルボン酸またはラクタムから構成される単位、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンから構成される単位、末端封鎖剤から構成される単位からなる半芳香族ポリアミド樹脂で、成形性、耐熱性が向上した半芳香族ポリアミド樹脂に関する。
従来、半芳香族ポリアミドにおいて、末端アミノ基、カルボン酸基、不活性末端基を制御することにより、満足すべき特性を有する生成物を得ようとする技術が知られていた(特許文献1)。しかし、かかる従来技術は成形時の結晶化速度が遅く、成形サイクルが長いという問題点があった。また、成形時に着色するという耐熱性の点で問題点があった。
末端封鎖剤の分子量を140以上とし、低分子量のポリマーの生成を抑制することにより吸水性を抑制するという技術が知られていた(特許文献2)。しかし、かかる従来技術は低分子量成分が少ないことで、低分子量成分による可塑化効果が失われ、結晶化が遅くなり、成形時のサイクルタイムが長いという問題点があった。
テレフタル酸とジアミン成分とを含み、ジアミン成分が1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンのいずれかとしたポリアミド樹脂で過冷却度が40℃以下とすることにより機械特性、成形性を向上するという技術が知られていた(特許文献3)。しかし、かかる従来技術は、成形性は向上したが、実用的には不十分という問題点があった。
国際公開WO10/015785パンフレット 特開2014-177582号公報 特開2013-28798号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、成形性、耐熱性が向上した半芳香族ポリアミドを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
[1] 炭素数6~12のラクタムおよび/またはアミノカルボン酸からなる構成単位10~30モル%、芳香族ジカルボン酸と炭素数8~12の脂肪族ジアミンからなる構成単位70~90モル%を構成成分とし、分子量140以下の末端封鎖剤による不活性末端基が、80~180eq/tonであり、ΔT(融点[Tm]-降温結晶化温度[Tc2])が20~30℃であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂。
[2] 半芳香族ポリアミド樹脂の質量に対して、リン化合物をリン元素として300~2500ppm含有する[1]記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
[3] アミノ末端基、カルボン酸末端基及び不活性末端基の合計(総末端基)の50~90%が、不活性末端基である[1]または[2]に記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
[4] アミノ末端基及びカルボン酸末端基の合計数が、100eq/ton以下である[1]~[3]のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
[5] アミノ末端基が10~60eq/ton、カルボン酸末端基が10~60eq/tonである[1]~[4]のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
本発明においては、「末端基」と記載した場合でも、「末端基濃度」を意味することがある。
本発明により、成形性、耐熱性に優れる半芳香族ポリアミド樹脂が得られる。つまり、上記ポリアミド組成とし、P量、末端基組成を上記の範囲とすることで融点と降温結晶化温度の差が30℃以下と低く抑えられ、成形サイクルが向上し、耐熱性(成形時の着色が抑えられる)に優れる半芳香族ポリアミド樹脂が得られる。
以下、本発明を詳述する。
本発明において、「半芳香族ポリアミド樹脂」とは、後記する重合触媒化合物を含むものである。「半芳香族ポリアミド」と言う化学物質以外のものを含む点では、一種の「組成物」とも言えるが、重合触媒化合物の量は微量であることから、本発明においては、「半芳香族ポリアミド樹脂」と表す。なお、「半芳香族ポリアミド」と言う化学物質を説明する場合でも、「半芳香族ポリアミド樹脂」と称することもある。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、炭素数6~12のアミノカルボン酸および/または炭素数6~12のラクタムから構成される単位A、芳香族ジカルボン酸と炭素数8~12の脂肪族ジアミンから構成される単位B、分子量140以下の末端封鎖剤から構成される単位Cを構成成分として含む。
構成単位Aと構成単位Bの比率は、構成単位Aと構成単位Bの合計を100モル%としたとき、モル比で10~30:70~90である。このモル比は、10~20:80~90が好ましい。構成単位Cは、半芳香族ポリアミド樹脂の質量を基準にして、分子量140以下の末端封鎖剤による不活性末端基が80~180eq/tonを満足する比率であり、この比率は100~170eq/tonが好ましく、100~150eq/tonがより好ましい。別の尺度で考えると、構成単位Aと構成単位Bの合計100モル%に対して、構成単位Cは2.5~5.0モル%が好ましく、2.8~4.5モル%がより好ましく、2.8~4.2モル%がさらに好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、各構成単位のモル比によって設定することができる。つまり、目標融点に合わせて各構成単位のモル比を設定することができる。
本発明において、構成単位Aで使用される炭素数6~12のアミノカルボン酸としては、炭素数6~12の直鎖脂肪族のアミノカルボン酸が好ましく、炭素数9~12の直鎖脂肪族のアミノカルボン酸がより好ましい。例えば、1,9-アミノノナン酸、1,11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸などがあげられ、1,11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が好ましく、1,11-アミノウンデカン酸が特に好ましい。降温時結晶化を促進するために、構成単位Bの脂肪族ジアミンと直鎖アルキレン基の炭素数を合せるのが好ましい。
本発明において、構成単位Aで使用される炭素数6~12のラクタムとしては、炭素数6~12の直鎖脂肪族のラクタムが好ましく、炭素数9~12の直鎖脂肪族のラクタムがより好ましい。例えば、デカノラクタム、ウンデカノラクタム、ラウリルラクタムなどがあげられ、ウンデカノラクタム、ラウリルラクタムが好ましく、ウンデカノラクタムが特に好ましい。降温時結晶化を促進するために、構成単位Bの脂肪族ジアミンと直鎖アルキレン基の炭素数を合せるのが好ましい。
本発明において、構成単位Aで使用される炭素数6~12のアミノカルボン酸および/またはラクタムは、降温結晶化温度に影響しない範囲であれば複数種のアミノカルボン酸および/またはラクタムを混合して用いても良い。
本発明において、構成単位Bで使用される芳香族ジカルボン酸は、特に制限されるものではなく、ポリアミドの原料として使用できる全ての芳香族ジカルボン酸を用いることができる、具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸などがあり、特に好ましいのはテレフタル酸である。
また、本発明において、構成単位Bで使用される芳香族ジカルボン酸は降温結晶化温度に影響しない範囲であれば複数種の芳香族ジカルボン酸を混合して用いてもよい。
また、芳香族ジカルボン酸は降温結晶化温度、融点に影響しない範囲で分岐、側鎖を含んでも構わない。
本発明において、構成単位Bで使用される脂肪族ジアミンは、炭素数が8~12であること以外は特に制限されるものではなく、ポリアミドの原料として使用できる全ての脂肪族ジアミンを用いることができる。中でも、炭素数が8~12である直鎖脂肪族の脂肪族ジアミンが好ましい。具体的には、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンなどがあげられ、1,10-デカンジアミンが特に好ましい。降温時結晶化を促進するために、構成単位Aの炭素数6~12のアミノカルボン酸および/またはラクタムと直鎖アルキレン基の炭素数を合せたものを用いるのが好ましい。
また、本発明において、構成単位Bで使用される脂肪族ジアミンは、降温結晶化温度、融点に影響しない範囲で分岐、側鎖を含んでも構わない。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、再生可能な原料に由来するモノマーすなわちバイオマスに由来し、ASTM D6866に規定されている有機炭素から成るものとすることができる。このようなバイオマス由来の原料としては、1,10-デカンジアミン、アミノウンデカン酸などが挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂、または用いられるモノマーは、部分的に分岐状や不飽和構造を有してもよいが、好ましいのは全体の構造が線状かつ飽和構造である。分岐構造や不飽和構造であると、副反応や分解が起こり成形性、耐熱性に影響する可能性がある。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、末端を構成する単位を除いた構成単位として、構成単位A及び構成単位Bを有するが、降温結晶化温度に影響しない範囲であれば、構成単位A、構成単位B以外の構成単位を含んでも良い。末端を構成する単位を除いた構成単位を100モル%としたとき、構成単位A及び構成単位Bの合計で80モル%以上を占めることが好ましく、90モル%以上を占めることがより好ましく、95モル%以上を占めることが更に好ましい。構成単位A及び構成単位Bの合計で100モル%であっても良い。
本発明において、不活性末端基とは、反応性末端基(アミノ末端基やカルボン酸末端基が挙げられる)を、末端封鎖剤(モノカルボン酸やモノアミン、もしくは片末端のみが反応性末端基である化合物)と反応させることによって封鎖したものであり、ポリアミドの末端の反応性、特に重縮合反応を停止できるものである。末端封鎖剤は、分子量140以下の化合物であり、これらを用いることで不活性末端基による半芳香族ポリアミド樹脂の結晶性の阻害を低減することができ、成形性が向上する。末端封鎖剤の分子量は、135以下が好ましく、130以下がより好ましい。
反応性末端基と反応するのに適した末端封鎖剤としては、アミノ末端基がカルボン酸末端基よりも副反応が起こりやすいため、アミノ末端基と反応する化合物を用いるのが好ましい。
アミン末端基と反応するのに適した化合物としては、モノカルボン酸、酸無水物、モノハロゲン化酸、モノエステル、モノイソシアネートを用いることができる。
好ましくはモノカルボン酸であり、具体的には酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバル酸などの脂肪族モノカルボン酸、安息香酸などの芳香族モノカルボン酸ならびにそれらの組み合わせが上げられる。中でも、酢酸、プロピオン酸、乳酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸などの分子量140以下のモノカルボン酸を用いることが重要であり、特に分子量140以下の脂肪族モノカルボン酸が好ましい。これらを用いることで不活性末端基による半芳香族ポリアミド樹脂の結晶性の阻害を低減することができ、成形性が向上する。
カルボン酸末端基と反応するのに適した化合物としては、モノアミン、モノアルコール、モノイソシアネートが挙げられる。
好ましくはモノアミンであり、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ステアリンアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンのような脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミンおよびジシクロヘキシルアミンのような脂環族モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミンおよびナフチルアミンといった芳香族モノアミンならびにそれらの組み合わせが上げられる。中でも、分子量140以下のモノアミンを用いることが重要である。これらを用いることで不活性末端基による半芳香族ポリアミド樹脂の結晶性の阻害を低減することができ、成形性が向上する。
不活性末端基の割合により、半芳香族ポリアミド樹脂の分子量を制御することができる。また、反応性末端基が不活性末端基となることで、ゲル化や分解などを抑制することができる。
不活性末端基の割合は、総末端基(アミノ末端基+カルボン酸末端基+不活性末端基)の50~90%とすることが好ましい。より好ましくは60~90%であり、さらに好ましくは60~80%である。50%未満だとゲル化や分解などの副反応が起こる可能性が高くなる。また、90%を超えると、さらなる高分子量化が望まれる場合、所望の分子量の半芳香族ポリアミド樹脂を得ることが困難となる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂を得るために、重合触媒を用いる。重合触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの塩などが挙げられ、半芳香族ポリアミド樹脂中の重合触媒の残存量としては、質量換算で、リン元素(リン原子)として300~2500ppmであることが好ましい。より好ましくは、350~2000ppmである。重合触媒の残存量が300ppm未満だと重合効率が悪くなり、2500ppmを超えると重合反応に加え分解、副反応が起こりゲル化することがある。重合触媒は、重合中の減圧条件下に置かれる際、その条件により仕込み量の一部(約5~20%)が系外に除去される。そこで、実際は、数回の試行実験を行い、重合触媒の残留率を見極めた上で、仕込み量を決定する必要がある。
重合触媒を多量に入れることで、分解、ゲル化などの副反応が起こる可能性が高くなるが、アミン末端基やカルボン酸末端基を不活性末端基とすることで副反応を抑制することができる。アミン末端基、カルボン酸末端基としては、アミノ末端基とカルボン酸末端基の和が、100eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは20~90eq/tonであり、さらに好ましくは50~85eq/tonである。アミノ末端基とカルボン酸末端基の和が100eq/tonを超えると、分解、ゲル化などの副反応が起こる可能性が高くなり、20eq/ton未満だと、製造過程で高分子量化するにしたがって重合速度が遅くなり、所望の分子量の半芳香族ポリアミド樹脂を得ることが困難となる。
アミノ末端基は10~60eq/tonであることが好ましく、20~50eq/tonであることがより好ましく、30~50eq/tonであることがさらに好ましい。アミノ末端基が10eq/ton未満の場合、製造過程で高分子量化するにしたがって重合速度が遅くなり、所望の分子量を得ることが困難となり、60eq/tonを超えた場合、溶融成形工程で着色が起こりやすい。
カルボン酸末端基は10~60eq/tonであることが好ましく、20~55eq/tonであることがより好ましく、25~50eq/tonであることがさらに好ましい。カルボン酸末端基が10eq/ton未満の場合、製造過程で高分子量化するにしたがって重合速度が遅くなり、所望の分子量を得ることが困難となり、60eq/tonを超えた場合、溶融成形工程で酸末端による分解反応が起こりやすい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は結晶化速度を速め、成形性を向上させることを目的としているため、結晶化速度が特定の範囲に制御されている必要がある。本発明の結晶化速度は、示差走査熱量計(以下、DSC)を用いて測定したΔTで評価することができる。本発明では、ΔTは20~30℃である。この範囲に制御することで、成形サイクルを短縮することができる。そのため、成形機内で溶融した樹脂の滞留時間を短くすることができ、劣化物や分解ガスの発生、色調の悪化を抑制し、良好な成形品を得ることができる。ΔTが30℃を超えると、成形サイクルを短縮することができなかったり、金型からの離型性が損なわれ、成形時の連続生産性が低下したりすることがある。ΔTが20℃未満であると、樹脂が融点以下となるとただちに結晶化が起こり、成形不良となる。好ましいΔTは、21~29℃であり、より好ましくは、22~29℃である。
本発明において、ΔTは当該半芳香族ポリアミド樹脂の融点(以下、Tm)と降温結晶化温度(以下、Tc2)との差(ΔT=Tm-Tc2)と定義される。
上記式において、DSCを用いて、不活性ガス雰囲気下、当該半芳香族ポリアミド樹脂を溶融状態から液体窒素などを用いて急冷した後、20℃/分で昇温した際に観測される吸熱ピークの温度をTmとする。また、同様に溶融状態から20℃/分の降温速度で25℃まで降温した際に観測される発熱ピークの温度をTc2とする。このΔTが小さいほど、当該半芳香族ポリアミド樹脂の融点以下への冷却時の結晶化速度が速い。
ΔTを20~30℃とする方法としては、一般的には結晶核剤、可塑剤の添加などがあり、特に限定されるものではないが、本発明では重合触媒であるリン化合物をリン元素として300~2500ppmとすることで結晶核剤の代替とし、これを達成した。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂の相対粘度(RV)は、1.5~3.0dL/gであることが好ましい。1.5dL/g未満であると、末端基による副反応が起こったり、成形時の溶融流動性が低下する傾向があり、3.0dL/gを超えると、重合過程で大きな熱履歴を必要とするため劣化反応が進行する傾向がある。RVは、下記実施例の項に記載の方法で、測定されるものであり、1.7~2.8dL/gであることがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、耐熱性が高く、大気下、260℃、10分間、熱処理した前後のカラーb値の変化量(ΔCo-b)が、4以下である。ΔCo-bは、下記実施例の項に記載の方法で、測定されるものである。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂には、必要に応じて他の充填剤、安定剤等の添加剤を加えてもよい。添加の方法はポリアミドの重合時に添加する、または得られたポリアミド樹脂に溶融混練することが挙げられる。添加剤としては、酸化防止剤、繊維状強化剤、充填剤(タルク膨潤性粘度鉱物、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、グラファイトなど)、顔料(酸化チタン、カーボンブラックなど)、難燃剤、帯電防止剤など周知の添加剤が挙げられる。
本発明に係る半芳香族ポリアミド樹脂の製造方法としては、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法、固相重合法を用いることができる。以下に、バッチ式重合装置から比較的低分子量の半芳香族ポリアミド樹脂を得た後、固相重合を行うことで所定の分子量まで反応を進める方法を説明するが、この製造方法に限定されるものではない。
以下、本発明の製造方法の具体例を示す。
耐圧反応缶に、炭素数6~12のラクタム(またはアミノカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸、及び炭素数8~12の脂肪族ジアミンをそれぞれ所定量、投入する。同時に、原料の溶解温度を下げるために、原料濃度が40質量%となるように水を加え、重合触媒であるリン化合物、分子量140以下の末端封鎖剤を仕込む。
末端封鎖剤としてモノカルボン酸を用いる場合、芳香族ジカルボン酸と炭素数8~12の脂肪族ジアミンを等量仕込むと、カルボン酸末端が極端に多い半芳香族ポリアミド樹脂となってしまう。これを避けるため、芳香族ジカルボン酸、炭素数8~12の脂肪族ジアミン、モノカルボン酸の仕込み量をそれぞれ、aモル、bモル、cモルとした場合、「b=a+c/2」となるように炭素数8~12の脂肪族ジアミンを若干過剰に仕込む。本発明では、前記構成単位Bは過剰分を無視して、aモルであると考える。末端封鎖剤としてモノアミンを用いる場合、同様に考えて、芳香族ジカルボン酸を若干過剰に仕込む。
耐圧反応缶中で窒素置換を行い、原料が溶解し均一化するように、120~150℃に加熱撹拌する。
原料が溶解し均一化したことを確認した後、溶液温度を240~260℃まで加熱し、オリゴマーを得る。
その後、融点以上の温度まで加熱し、さらに反応系中の圧力を放圧することで系中の水(仕込み時の水、縮合反応で生成する水)を系外に留去し重縮合反応を進行させる。所定量の水が留去されたことを確認した後、反応缶からプレポリマーを取り出す。
所定の分子量まで重縮合反応を進行させるため、得られたプレポリマーを真空乾燥機で減圧下、160~240℃で固相重合を行い、半芳香族ポリアミド樹脂を得る。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、成形用途において特に好ましく用いられ、成形体とすることができる。本発明の半芳香族ポリアミド樹脂、または本発明の半芳香族ポリアミド樹脂を含む組成物から成形体を製造するには、通常の成形加工方法が用いられる。成形加工方法としては例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、焼結成形等の熱溶融成形法が挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、DSCを用いて測定したΔTが30℃以下の範囲を満たし、結晶化速度が速いため、成形体の加工時、特に射出成形において成形サイクルを短縮することができ、成形コストの低減に寄与することができる。成形サイクルとは同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。成形サイクルの短縮とは上記1つの成形体を成形するのに要する時間中、特に冷却時間の短縮を意味する。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例で用いた測定方法、評価方法を以下に示す。
(相対粘度(RV))
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1.0g/dLのサンプル溶液を調整した。サンプル溶液をオストワルド粘度管に入れ、20℃の恒温槽中で流下時間を測定し、硫酸溶媒の流下時間との比較により相対粘度(RV)を求めた。
(融点、降温結晶化温度、ΔT)
樹脂を350℃、3分間溶融した後、液体窒素で急冷した後、TAインスツルメンツ社製示差走査型熱量計を用いて、昇温速度20℃/分で330℃まで加熱した際の吸熱ピークのトップを与える温度を融点[Tm]とした。さらに330℃で3分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで冷却した際の発熱ピークのトップを与える温度を降温結晶化温度[Tc2]とし、融点と降温結晶化温度Tc2の差(Tm-Tc2)をΔTとした。
(色調(Co-b))
樹脂を粉砕ミルで粉末状にし、口径2mmの粒径をふるいで揃えた後、色差計を用いて色調を評価した。
(ゲル化物の有無)
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dLのサンプルを調整し、ガラスフィルターにてろ過、フィルター上に不溶物(ゲル)があるか目視で確認した。
(耐熱性評価(ΔCo-b))
ポリアミド樹脂を粉砕し、260℃、10分間、大気下で加熱した。加熱処理後の試料の色調を、色差計を用いて測定し、次式にて評価した。
ΔCo-b=(加熱処理後のCo-b値)-(加熱処理前のCo-b値)
(末端基濃度)
樹脂の末端基濃度の定量は、共鳴周波数500MHzのH-NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はBRUKER社製NMR装置AVANCE-500用い、測定液の調製方法は以下の通りに行った。
試料10~20mgを重クロロホルム/1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール=1/1(体積比)0.6mlに溶解後、重蟻酸を2滴加え、よく撹拌した後、その溶液をNMRチューブに充填し、H-NMR測定を行った。
ロック溶媒には重クロロホルムを用い、積算回数は128回とした。
末端基濃度の定量は以下の通り実施した。
樹脂の主鎖(末端で無い)由来のテレフタル酸の芳香環に結合した水素のピーク(A)、樹脂の主鎖由来のアミノウンデカン酸のカルボキシル基に隣接するメチレン基の水素のピーク(B)、樹脂の主鎖由来のアミノウンデカン酸および脂肪族ジアミンのアミノ基に隣接するメチレン基の水素のピーク(C)、テレフタル酸末端由来の芳香環に結合した水素の内のカルボン酸末端基に隣接する水素のピーク(D)、アミノウンデカン酸末端由来のカルボン酸末端基に隣接するメチレン基の水素のピーク(E)、アミン末端由来のアミノ末端基に隣接するメチレン基の水素のピーク(F)、不活性末端基由来のメチル基の水素のピーク(G)をケミカルシフトから同定した。
(A)~(G)を各ピークの積分値とした際、各末端基濃度を以下の式によって求めた。
X=A×132/4+B×183/2+(C-B)×(脂肪族ジアミンの分子量-2)/4とした時
カルボン酸末端基(CEG):(D+E)×500000/X(eq/ton)
アミノ末端基(AEG):F×500000/X(eq/ton)
不活性末端基:G×333333/X(eq/ton)
(リン量)
試料を白金るつぼに秤量後、5%硝酸イットリウム溶液5mlを添加した。その後、徐々に加熱しながら、試料の炭化・灰化処理を実施した。灰化後、残渣に1.2N塩酸を加え20mlに定容し試料溶液を調整した。試料溶液をICP発光分析法により分析した。リン量は下記式に従って計算した。
試料中リン濃度(ppm)=ICP発光により測定した試料溶液の濃度(mg/l)×20ml/サンプリング量(g)
(成形性評価)
SODICK社製射出成形機LA-40を用い、シリンダー温度を樹脂の融点+20℃、金型温度を140℃に設定し、実施例、比較例に記載のポリアミド樹脂にて、長さ40mm、幅40mm、厚さ0.5mmのプレート状の成形品を作製した。このとき、同じ射出条件で連続して成形した際の1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間を成形サイクルと定義し、射出した樹脂を金型内にて冷却する時間(冷却時間)を段階的に短くしていくことで、良好な成形品の得られる成形サイクルの短縮効果を評価した。成形サイクルの基準は、参考例のポリアミド樹脂を用いた場合とした。成形サイクルの短縮効果があったものを○、短縮効果がなかったものを△とした。また、離型性が悪いものや表面の粗さなど成形品の品位が悪いものといった成形不良となったものを×とした。
実施例、比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸成分:テレフタル酸(TPA)
(2)脂肪族ジアミン成分:1,10-デカンジアミン(DDA)、1,9-ノナンジアミン(NDA)、1,6-ヘキサメチレンジアミン(HMDA)
(3)アミノカルボン酸/ラクタム成分:アミノウンデカン酸(AUA)
(4)末端封鎖剤:酢酸、ヘプタン酸、ラウリン酸
(5)触媒:次亜リン酸ナトリウム
実施例1
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
実施例2
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として1000ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
実施例3
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として2000ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例1
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として100ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例2
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として3000ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
実施例4
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は2.8モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
実施例5
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は4.5モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例3
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は5.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例4
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、酢酸は0.9モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例5
[工程i] ジアミン成分として1,9-ノナンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はNDA/TPA=100/100[モル%]であり、酢酸は3.9モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例6
[工程i] ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はDDA/TPA=100/100[モル%]であり、酢酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
実施例6
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤としてヘプタン酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、ヘプタン酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
比較例7
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,10-デカンジアミン、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤としてラウリン酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/DDA/TPA=15/85/85[モル%]であり、ラウリン酸は3.7モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmであった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基濃度、成形性の評価を行った。
参考例
[工程i] アミノカルボン酸成分としてアミノウンデカン酸、ジアミン成分として1,6-ヘキサメチレンジアミン,ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、末端封鎖剤として酢酸、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物を反応缶に仕込み、135℃に加熱撹拌した。原料モノマーのモル比はAUA/HMDA/TPA=35/65/65[モル%]であり、酢酸は2.9モル%、次亜リン酸ナトリウム一水和物は、得られるポリアミド樹脂の質量に対してリン原子として400ppmあった。この混合物を260℃まで昇温し、その後330℃で1時間加熱した。反応により生じた水蒸気を系外に留去した後、得られた反応物を取り出した。
[工程ii] [工程i]で得られた反応物を粉砕後、乾燥機中、減圧下(1torr以下)、230℃で10時間加熱して重合し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂について、相対粘度、融点、降温結晶化温度、カラー、ゲルの有無、耐熱性評価、末端基数・末端封鎖量、成形性の評価を行った。成形性の評価は、他の例の基準とした。
各実施例、比較例で得られた樹脂の品質、評価結果を表1に示す。
Figure 0007081152000001
実施例1~6は、ΔTが20~30℃であり、ゲル化物も無く、熱処理後のカラーb値の変化量(ΔCo-b)も小さかった。そのため成形性にも優れていた。
比較例1では、リン量が少ないため、ΔTが大きく、耐熱性(ΔCo-b)も悪かった。
比較例2では、リン量が多いため、ゲル化物が発生し、ΔTが小さく、成形性が悪化した。
比較例3では、末端封鎖量が多く、他の実施例、比較例よりも高分子量化しなかった。そのため、成形性も悪かった。
比較例4では、末端封鎖量が少なく、アミン末端基数が多いため、ゲル化物が発生し、耐熱性(ΔCo-b)も悪化した。また、成形性についても成形板にスジが入り各実施例と比較して悪かった。
比較例5、6は、アミノカルボン酸構成単位を含まず、結晶化速度が遅く成形サイクルの短縮効果が確認されなかった。
比較例7では、末端封鎖剤としてラウリン酸を用いたことで降温時結晶化が阻害され、ΔTが大きくなった。そのため、成形サイクルの短縮効果が確認されなかった。
本発明のポリアミド樹脂は、従来から有する機械強度に加えて、成形性に優れるため、自動車部品、電気電子部品、雑貨部品、土木建築用品等の広範な用途に使用できる。

Claims (5)

  1. 炭素数9~12の直鎖脂肪族のラクタムおよび/またはアミノカルボン酸からなる構成単位10~30モル%、芳香族ジカルボン酸と、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミンまたは1,11-ウンデカンジアミンである脂肪族ジアミンからなる構成単位70~90モル%を構成成分とし、前記炭素数9~12の直鎖脂肪族のラクタムとは開環した時に炭素数9~12の直鎖脂肪族のアミド構成単位となるラクタムであり、前記炭素数9~12の直鎖脂肪族のラクタムおよび/またはアミノカルボン酸の直鎖アルキレン基の炭素数と、前記脂肪族ジアミンの直鎖アルキレン基の炭素数が同じであり、前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸であり、分子量140以下の末端封鎖剤による不活性末端基が、80~180eq/tonであり、ΔT(融点[Tm]-降温結晶化温度[Tc2])が20~30℃であることを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂。
  2. 半芳香族ポリアミド樹脂の質量に対して、リン化合物をリン元素として300~2500ppm含有する請求項1記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
  3. アミノ末端基、カルボン酸末端基及び不活性末端基の合計(総末端基)の50~90%が、不活性末端基である請求項1または2に記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
  4. アミノ末端基及びカルボン酸末端基の合計数が、100eq/ton以下である請求項1~3のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
  5. アミノ末端基が10~60eq/ton、カルボン酸末端基が10~60eq/tonである請求項1~4のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
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