JP7070013B2 - 摩擦締結装置 - Google Patents
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Description
本発明は自動車の自動変速機におけるクラッチ、ブレーキに適用される摩擦締結装置に関する。
従来、自動車の自動変速機のクラッチ、ブレーキ等の摩擦締結装置は、油圧ポンプによる油圧により駆動されるので、駆動抵抗が大きいうえ、自動変速機の重量を増大し、大型化していた。摩擦締結装置の駆動抵抗の低減、自動変速機の軽量化及びコンパクト化を図るには、電気的アクチュエータを用いることにより油圧レスとすることが有効である。
従来、特許文献1には、導電性高分子チューブを束ねて螺旋状に巻回したアクチュエータエレメントを円筒状のシリンダと円筒状のピストンとで区画される空間に収納した高分子アクチュエータを用いたクラッチ装置が提案されている。しかし、導電性高分子チューブの伸縮力をアクチュエータの作動力に効果的に変換することが難しいうえ、部品点数が増加し、構造が複雑であるとう問題がある。
特許文献2、3には、ゲル状の電場応答性体積相転移高分子と電解質が封入された弾性容器をシリンダとピストンとの間に収納した高分子アクチュエータを用いたクラッチ装置が提案されている。しかし、このものはゲル状の高分子と電解質を弾性容器に封入しているため、耐久性に欠けるという問題がある。
このような従来の問題から、摩擦締結装置への電気的アクチュエータの利用は実用化されていない。電気的アクチュエータには、圧電式(圧電セラミック)と誘電式(高分子アクチュエータ)とがある。圧電式は、押力は大きいが、変位が少なく、誘電式は、変位量が大きいが、押力は小さいという欠点がある。このため、クラッチやブレーキ等の摩擦締結装置に適用するには、圧電式アクチュエータには変位を拡大する機構が要求され、誘電式アクチュエータには倍力機構が要求される。
本発明は前述の従来の問題に鑑みてなされたもので、変位は大きいが押圧力が小さい高分子アクチュエータの押圧力の増大を確保し、駆動抵抗の低減、軽量化及びコンパクト化を図ることができる摩擦締結装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を講じている。
請求項1の発明は、ドラムとハブの間に設けられ、前記ドラムと前記ハブに交互に係合する複数の摩擦板と、該複数の摩擦板を押圧して互いに締結させるピストンとを備えた摩擦締結装置であって、前記ピストンに軸方向に複数の押圧部が設けられるとともに、前記ドラムと前記ピストンの間に軸方向に複数の高分子アクチュエータが設けられ、前記複数の高分子アクチュエータのそれぞれの一側が前記ドラムの複数の結合部の一つに結合され、他側が前記複数の押圧部の一つに結合されている。
請求項2の発明は、前記複数の高分子アクチュエータのそれぞれは、環状の2つの電極板と、該2つの電極板の間に介在される高分子部材とからなり、一側の電極板の外周縁が前記ドラムの複数の結合部の一つに結合され、他側の電極板の内周縁が前記複数の押圧部の一つに結合されている。
請求項3の発明は、前記ドラムの複数の結合部と前記ピストンの複数の押圧部との少なくともいずれかは、反摩擦板側に向かって広がる階段状に形成されている。
請求項4の発明は、前記高分子アクチュエータに電圧を印加することによる収縮動作によって前記ピストンの複数の押圧部を押圧して前記ピストンを作動させるように構成されている。
請求項1の発明によれば、軸方向に配置された複数の高分子アクチュエータによりピストンの複数の押圧部を押圧するので、変位は大きいが押圧力が小さい高分子アクチュエータの押圧力の増大を確保することができる。これにより、摩擦締結装置を油圧レスとすることができ、駆動抵抗の低減、軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
請求項2の発明によれば、ドラムとピストンの間に複数の高分子アクチュエータを軸方向に並べて配置することができ、構造が簡単で、組み付けが容易になる。
請求項3の発明によれば、ドラムの複数の結合部とピストンの複数の押圧部とが反摩擦板側に向かって広がっているので、複数の高分子アクチュエータを順次組み付けることができ、組立が容易になる。また、反摩擦板方向に離れるにしたがって複数の高分子アクチュエータの高分子部材を増大することができ、ピストンの押圧力をさらに増大することができる。
請求項4の発明によれば、高分子アクチュエータが発生する力が大きい収縮動作によってピストンに大きな押圧力を作用させることができ、ピストンの押圧力をさらに増大することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
<自動変速機の構成>
まず、本発明の摩擦締結装置が用いられる一例の自動変速機の構成を図1に基づいて説明する。この自動変速機1は、フロントエンジンフロントドライブ車等のエンジン横置き式自動車に適用されるもので、主たる構成要素として、エンジン出力軸2に取り付けられたトルクコンバータ3と、該トルクコンバータ3の出力回転が入力軸4を介して入力される変速機構5とを有し、該変速機構5が入力軸4の軸心上に配置された状態で、変速機ケース6に収納されている。
まず、本発明の摩擦締結装置が用いられる一例の自動変速機の構成を図1に基づいて説明する。この自動変速機1は、フロントエンジンフロントドライブ車等のエンジン横置き式自動車に適用されるもので、主たる構成要素として、エンジン出力軸2に取り付けられたトルクコンバータ3と、該トルクコンバータ3の出力回転が入力軸4を介して入力される変速機構5とを有し、該変速機構5が入力軸4の軸心上に配置された状態で、変速機ケース6に収納されている。
そして、該変速機構5の出力回転が、同じく入力軸4の軸心上において該入力軸4の中間部に配置された出力ギヤ7からカウンタドライブ機構8を介して差動装置9に伝達され、左右の車軸9a、9bが駆動されるようになっている。
前記トルクコンバータ3は、エンジン出力軸2に連結されたケース3aと、該ケース3a内に固設されたポンプ3bと、該ポンプ3bに対向配置されて該ポンプ3bにより作動油を介して駆動されるタービン3cと、該ポンプ3bとタービン3cとの間に介設され、かつ、前記変速機ケース6にワンウェイクラッチ3dを介して支持されてトルク増大作用を行うステータ3eと、前記ケース3aとタービン3cとの間に設けられ、該ケース3aを介してエンジン出力軸2とタービン3cとを直結するロックアップクラッチ3fとで構成されている。そして、タービン3cの回転が前記入力軸4を介して変速機構5に伝達されるようになっている。
一方、変速機構5は、第1、第2、第3プラネタリギヤセット(以下、単に「第1、第2、第3ギヤセット」という)10、20、30を有し、これらが変速機ケース6内における前記出力ギヤ7の反トルクコンバータ側において、トルクコンバータ側から順に配置されている。
また、変速機構5を構成する摩擦要素として、前記出力ギヤ7のトルクコンバータ側に、第1クラッチ40及び第2クラッチ50が配置されていると共に、出力ギヤ7の反トルクコンバータ側には、第1ブレーキ60、第2ブレーキ70及び第3ブレーキ80がトルクコンバータ側から順に配置されており、さらに、第1ブレーキ60に並列にワンウェイクラッチ90が配置されている。
前記第1、第2、第3ギヤセット10、20、30は、いずれもシングルピニオン型のプラネタリギヤセットであって、サンギヤ11、21、31と、これらのサンギヤ11、21、31にそれぞれ噛み合った各複数のピニオン12、22、32と、これらのピニオン12、22、32をそれぞれ支持するキャリヤ13、23、33と、ピニオン12、22、32にそれぞれ噛み合ったリングギヤ14、24、34とで構成されている。
そして、前記入力軸4が第3ギヤセット30のサンギヤ31に連結されていると共に、第1ギヤセット10のサンギヤ11と第2ギヤセット20のサンギヤ21、第1ギヤセット10のリングギヤ14と第2ギヤセット20のキャリヤ23、第2ギヤセット20のリングギヤ24と第3ギヤセット30のキャリヤ33が、それぞれ連結されている。そして、第1ギヤセット10のキャリヤ13に前記出力ギヤ7が連結されている。
また、第1ギヤセット10のサンギヤ11及び第2ギヤセット20のサンギヤ21は、前記第1クラッチ40を介して入力軸4に断接可能に連結されており、第2ギヤセット20のキャリヤ23は、前記第2クラッチ50を介して入力軸4に断接可能に連結されている。
さらに、第1ギヤセット10のリングギヤ14及び第2ギヤセット20のキャリヤ23は、並列に配置された前記第1ブレーキ60及びワンウェイクラッチ90を介して変速機ケース6に断接可能に連結されており、第2ギヤセット20のリングギヤ24及び第3ギヤセット30のキャリヤ33は、前記第2ブレーキ70を介して変速機ケース6に断接可能に連結されており、さらに、第3ギヤセット30のリングギヤ34は、前記第3ブレーキ80を介して変速機ケース6に断接可能に連結されている。
以上の構成により、この変速機構5によれば、第1、第2クラッチ40、50及び第1、第2、第3ブレーキ60、70、80の締結状態の組み合わせにより、前進6速と後退速とが得られるようになっている。なお、第1ブレーキ60はエンジンブレーキを作動させる1速でのみ締結され、エンジンブレーキを作動させない1速では、ワンウェイクラッチ90がロックすることにより1速を形成する。
<摩擦締結装置の第1実施形態>
続いて、前記自動変速機1の第1クラッチ40、第2クラッチ50に適用される摩擦締結装置100Aの実施形態について説明する。第1クラッチ40、第2クラッチ50に適用される摩擦締結装置100Aは基本的に同じ構造であるため、第1クラッチ40に適用される摩擦締結装置100Aを図2に基づいて説明する。
続いて、前記自動変速機1の第1クラッチ40、第2クラッチ50に適用される摩擦締結装置100Aの実施形態について説明する。第1クラッチ40、第2クラッチ50に適用される摩擦締結装置100Aは基本的に同じ構造であるため、第1クラッチ40に適用される摩擦締結装置100Aを図2に基づいて説明する。
第1クラッチ40は、ドラム41とハブ42とを有する。ドラム41は、入力軸4に連結された軸部41aを有し、該入力軸4と一体に回転する。ハブ42は、ドラム41より小径で、ドラム41の内側に該ドラム41と同心に配置されている。ハブ42は、第1ギヤセット10、第2ギヤセット20のサンギヤ11、21に連結された軸部42aを有し、サンギヤ11、21と一体に回転する。
ドラム41とハブ42の間には、摩擦締結装置100Aが設けられている。摩擦締結装置100Aは、複数の摩擦板101a、101bと、該摩擦板101a、101bを押圧するピストン102と、該ピストン102を駆動する第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cとで構成されている。
複数の摩擦板101a、101bのうち、ドラム41の内側に配設された複数の摩擦板101aは、ドラム41にスプライン結合されて軸方向に移動可能に、且つドラム41と一体に回転可能に配置されている。ハブ42の外側に配設された複数の摩擦板101bは、ハブ42にスプライン結合されて軸方向に移動可能に、且つハブ42と一体に回転可能に配置されている。ドラム41の摩擦板101aとハブ42の摩擦板101bは、交互に配置され、ハブ42の摩擦板101bの両面に設けられたフェーシング材101cを介して、互いに対向している。
ピストン102は、図3に示すように、円筒形状を有し、ドラム41の内側に配設されている。ピストン102の摩擦板側の端部には、摩擦板101a、101bを押圧するリング状の押圧板102aを有する。ピストン102の反摩擦板側の端部には軸部102bを有し、該軸部102bはドラム41の軸部41aにスプライン結合によって軸方向に移動可能に、且つドラム41と一体に回転可能に配置されている。ピストン102の外周面には、反摩擦板側に向かって広がる階段状に設けられることにより、複数の押圧部102cが軸方向に所定間隔で形成されている。一方、ピストン102の外周面と対向するドラム41の内周面にも、反摩擦板側に向かって広がる階段状に設けられることにより、複数の結合部41bが軸方向に所定間隔で形成されている。
第1高分子アクチュエータ103aについて説明すると、該第1高分子アクチュエータ103aは、図3に示すように、支持板104と、可動板105と、高分子部材106とで構成されている。
支持板104は、環状の形状を有し、図4に示すように、高分子部材106と対向する面には第1電極板104aが一体に設けられている。支持板104と第1電極板104aとの間は電気的に絶縁されている。支持板104の外周縁は、ドラム41の結合部41aに適宜手段により結合されている。支持板104の内周縁は、ピストン102の押圧板102aと第1押圧部102cの間の外周面よりも大きい内径を有している。第1電極板104aは、支持板104の外周面に設けた第1端子104bに導電部104cを介して電気的に接続されている。第1端子104bは、ドラム41の内面に設けた第1接点107と接続されている。
可動板105は、環状の形状を有し、高分子部材106と対向する面には第2電極板105aが一体に設けられている。可動板105と第2電極板105aとの間は電気的に絶縁されている。可動板105の外周縁は、ドラム41の第1結合部41bと第2結合部41bの間の内面より小さい外径を有している。可動板105の内周縁は、支持板104の内径より小さい内径を有し、ピストン102の第1押圧部102cを押圧できるようになっている。また、可動板105の内周縁は、軸方向に移動しないように第1押圧部102cに適宜手段により結合されている。第2電極板105bは、可動板105の外周面に設けた第2端子105bに導電部105cを介して電気的に接続されている。第2端子105bは、ピストン102の内面に設けた第2接点110と接続されている。
高分子部材106は、環状の形状を有し、一方の端面は支持板104の第1電極板104aに接合され、他方の端面は可動板105の第2電極板105aに接続されている。高分子部材106は、高い誘電率と弾性を有するアクリル、シリコン等のエラストマー106aと中間電極106bとを軸方向に積層したものである。対向する中間電極106bの一方は支持板104の第1電極板104aに接続され、他方は可動板105の第2電極板105aに接続されている。第1電極板104aと第2電極板105aの間に電圧を印加すると、図4(a)の状態から、図4(b)に示すように厚み方向に収縮するとともに面方向に伸長し、電圧を解放すると、固有の弾性により図4(a)の状態に復帰する。
高分子部材106の必要な変位量は、(クラッチクリアランス+クラッチ摩耗量)×摩擦板枚数で計算される。クラッチクリアランスを0.3mm、クラッチ摩耗量を0.1mm、摩擦板枚数を4枚とすると、高分子部材の必要な変位量は1.2mmとなる。
高分子部材106の電圧印加時の発生力は、材料の比誘電率×真空の誘電率×(電圧/膜厚)2で求められ、変位量は、材料の比誘電率×真空の誘電率×(電圧/膜厚)2/弾性係数で求められるので、膜厚が小さい程大きい発生力と変位量が得られる。このため、高分子材料は、できるだけ薄いエラストマーをできるだけ多数積層して必要な変位量が得られるようにすることが好ましい。また、複数の高分子アクチュエータを設けることで、1つの高分子アクチュエータで得られる発生力を高分子アクチュエータの数だけ倍増することができる。
高分子部材106の電圧印加時の発生力は、材料の比誘電率×真空の誘電率×(電圧/膜厚)2で求められ、変位量は、材料の比誘電率×真空の誘電率×(電圧/膜厚)2/弾性係数で求められるので、膜厚が小さい程大きい発生力と変位量が得られる。このため、高分子材料は、できるだけ薄いエラストマーをできるだけ多数積層して必要な変位量が得られるようにすることが好ましい。また、複数の高分子アクチュエータを設けることで、1つの高分子アクチュエータで得られる発生力を高分子アクチュエータの数だけ倍増することができる。
第2高分子アクチュエータ103b、第3高分子アクチュエータ103cは、第1高分子アクチュエータ103aと同じ構成であるが、図2に示すように、第1アクチュエータ103aよりも、面積の大きい支持板104、可動板105、高分子部材106が使用されている。
第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの支持板104の第1電極板104aは、ドラム41の内部を経て、入力軸4を支持する変速機ケース6の軸受6aに設けたブラシ等の接続部品108を介して、変速機ケース6の外部に設けた電源109の一方の電極に接続されている。同様に、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの可動板105の第2電極板105aは、ピストン102の内部、ピストン102の軸部102b、ドラム41の軸部41aを経て、変速機ケース6の軸受6aに設けたブラシ等の接続部品111を通り、電源109の他方の電極に、図示しない制御装置によりオンオフされるスイッチ112を介して、接続されている。
なお、図5に示すように、可動板105の内周縁に少なくとも3個の突起105dを等間隔に設けて、この複数の突起105dによりピストン102の第1押圧部102cを押圧するようにしてもよい。また、高分子部材106は、図5に示すように、周方向に複数に分割したセグメント状のものでもよい。
次に、摩擦締結装置100Aを用いた第1クラッチ40の動作について説明する。
図2(a)を参照すると、第1クラッチ40の非締結時には、ドラム41及びその摩擦板101a、ピストン102、及び高分子アクチュエータ103a、103b、103cは、入力軸4とともに回転し、ハブ42及びその摩擦板101bは停止している。第1クラッチ40の締結指令によりスイッチ112がオンすると、電源109の電圧が第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cに印加される。これにより、図2(b)に示すように、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの高分子部材106が軸方向に収縮し、可動部材105がピストン102の第1、第2、第3押圧部102cを押圧する。この結果、ピストン102が摩擦板側に向かって移動し、ピストン102の押圧板102aがドラム41の摩擦板101a及びハブ42の摩擦板101bを押圧するので、第1クラッチ40が締結され、ハブ42及びその摩擦板101bは、ドラム41及びその摩擦板101aとともに回転し、ドラム41の回転力がハブ42を介して第1、第2ギヤセット10、20のサンギヤ11、21に伝達される。
第1クラッチ40の解放指令によりスイッチ112がオフすると、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cへの電圧の印加が解消され、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの高分子部材106が固有の弾性により復帰し、可動部材105がピストン102の第1、第2、第3押圧部102cを引き戻す。この結果、ピストン102が反摩擦板側に向かって移動し、図2(a)の状態に復帰する。これにより、ドラム41の摩擦板101a及びハブ42の摩擦板101bの押圧が無くなるので、第1クラッチ40が解放され、ハブ42及びその摩擦板101bは、その回転を停止し、ドラム41からハブ42への回転力が遮断される。
前記実施形態の摩擦締結装置100Aでは、軸方向に配置された複数の高分子アクチュエータ103a、103b、103cによりピストン102の複数の押圧部102cを押圧するので、変位は大きいが押圧力が小さい高分子アクチュエータの押圧力の増大を確保することができる。これにより、摩擦締結装置100Aを油圧レスとすることができ、駆動抵抗の低減、自動変速機1の軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
また、複数の高分子アクチュエータ103a、103b、103cは、それぞれ、支持板104の外周縁がドラム41の複数の結合部41bの一つに結合され、可動板105の内周縁が複数の押圧部102cの一つに結合されているので、ドラム41とピストン102の間に複数の高分子アクチュエータ103a、103b、103cを軸方向に並べて配置することができ、構造が簡単で、組み付けが容易になる。
ドラム41の複数の結合部41bとピストン102の複数の押圧部102cとは、反摩擦板側に向かって広がっているので、複数の高分子アクチュエータ103a、103b、103cを順次組み付けることができ、組立が容易になる。また、反摩擦板方向に離れるにしたがって複数の高分子アクチュエータ103a、103b、103cの高分子部材106を増大することができ、ピストン102の押圧力をさらに増大することができる。
高分子アクチュエータ103a、103b、103cは、電圧を印加することによる収縮動作によってピストン102の複数の押圧部102cを押圧してピストン102を作動させるように構成されているので、ピストンに大きな押圧力を作用させることができ、ピストンの押圧力をさらに増大することができる。
<摩擦締結装置の第2実施形態>
次に、第1ブレーキ60、第2ブレーキ70、第3ブレーキ80に適用される摩擦締結装置100Bの実施形態について説明する。第1ブレーキ60、第2ブレーキ70、第3ブレーキ80の摩擦締結装置100Bは基本的に同じ構造であるため、第1ブレーキ60の摩擦締結装置100Bを図6に基づいて説明する。
次に、第1ブレーキ60、第2ブレーキ70、第3ブレーキ80に適用される摩擦締結装置100Bの実施形態について説明する。第1ブレーキ60、第2ブレーキ70、第3ブレーキ80の摩擦締結装置100Bは基本的に同じ構造であるため、第1ブレーキ60の摩擦締結装置100Bを図6に基づいて説明する。
第1ブレーキ60は、ドラム61が変速機ケース6と一体で回転しないこと、ハブ62が第1ギヤセット10のリングギヤ14であること、ピストン102が変速機ケース6の支持部6bに、軸方向に移動可能に支持されている点を除いて、前述した第1クラッチ40と同様の構成を有している。また、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの支持板104の第1端子104bは、変速機ケース6の内部を経て、変速機ケース6の外部に設けた電源109の一方の電極に接続されている。第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの可動板105の第2端子105bは、ピストン102の内部、変速機ケース6の支持部6bを経て、電源109の他方の電極に、図示しない制御装置によりオンオフされるスイッチ112を介して、接続されている。
摩擦締結装置100Bの他の構成は、第1クラッチ40の摩擦締結装置100Aと同様であるので、同一符号を附して構成の説明を省略し、以下その動作を説明する。
図6(a)を参照すると、第1ブレーキ60の非締結時には、ドラム61及びその摩擦板101a、ピストン102、及び高分子アクチュエータ103a、103b、103cは静止し、ハブ62及びその摩擦板101bは回転している。第1ブレーキ60の締結指令によりスイッチ112がオンすると、電源109の電圧が第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cに印加される。これにより、図6(b)に示すように、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの高分子部材106が軸方向に収縮し、可動部材105がピストン102の第1、第2、第3押圧部102cを押圧する。この結果、ピストン102が摩擦板側に向かって移動し、ピストン102の押圧板102aがドラム61の摩擦板101a及びハブ62の摩擦板101bを押圧するので、第1ブレーキ60が締結され、ハブ62及びその摩擦板101bは、その回転を停止する。
第1ブレーキ60の解放指令によりスイッチ112がオフすると、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cへの電圧の印加が解消され、第1、第2、第3高分子アクチュエータ103a、103b、103cの高分子部材106がその弾性により復帰し、可動部材105がピストン102の第1、第2、第3押圧部102cを引き戻す。この結果、ピストン102が反摩擦板側に向かって移動し、図6(a)の状態に復帰する。これにより、ドラム61の摩擦板101a及びハブ61の摩擦板101bに対する押圧が無くなるので、第1ブレーキ60が解放され、ハブ62及びその摩擦板101bは、その回転を再開する。
図7は、高分子アクチュエータ103a、103b、103cの変形例である。図7の高分子アクチュエータ103aの支持板104と可動板105は、図4の高分子アクチュエータ103aと逆に配置され、すなわち、摩擦板に支持板105、反摩擦板側に支持板104が配置されている。また、高分子部材106は、図4の高分子アクチュエータ106のようにエラストマー106aと中間電極106bとを軸方向に積層するのではなく、エラストマー106aと中間電極106bと半径方向に積層したものである。第1電極板104aと第2電極板105aに電圧を印加すると、高分子部材106は、半径方向に収縮し、軸方向に伸張するので、この軸方向に伸張するときの力により可動板105がピストン102の押圧部102cを押圧する。
本発明は前記実施形態に限るものではなく、種々変更することができる。例えば、ブレーキに適用する場合、前記実施形態では、ギアセットのリングギアをハブとしたが、ピニオンのキャリアをハブとしてもよい。また、高分子アクチュエータの高分子部材の形状としては、前記実施形態では環状又はそのセグメント状に形成したが、小円形の高分子部材を環状の支持板と可動板の間に周方向に配設してもよい。
以上のように、本発明に係る摩擦締結装置は、自動車の変速機のクラッチ、ブレーキに
好適に利用される可能性がある。
好適に利用される可能性がある。
1 自動変速機
41 ドラム
41b 結合部
42 ハブ
61 ドラム
61b 結合部
62 ハブ
100A,100B 摩擦締結装置
101a,101b 摩擦板
102 ピストン
102c 押圧部
103a,103b,103c 高分子アクチュエータ
104 支持板
105 可動板
106 高分子部材
41 ドラム
41b 結合部
42 ハブ
61 ドラム
61b 結合部
62 ハブ
100A,100B 摩擦締結装置
101a,101b 摩擦板
102 ピストン
102c 押圧部
103a,103b,103c 高分子アクチュエータ
104 支持板
105 可動板
106 高分子部材
Claims (4)
- ドラムとハブの間に設けられ、前記ドラムと前記ハブに交互に係合する複数の摩擦板と、該複数の摩擦板を押圧して互いに締結させるピストンとを備えた摩擦締結装置であって、前記ピストンに軸方向に複数の押圧部が設けられるとともに、前記ドラムと前記ピストンの間に軸方向に複数の高分子アクチュエータが設けられ、前記複数の高分子アクチュエータのそれぞれの一側が前記ドラムの複数の結合部の一つに結合され、他側が前記複数の押圧部の一つに結合されている摩擦締結装置。
- 前記複数の高分子アクチュエータのそれぞれは、環状の2つの電極板と、該2つの電極板の間に介在される高分子部材とからなり、一側の電極板の外周縁が前記ドラムの複数の結合部の一つに結合され、他側の電極板の内周縁が前記複数の押圧部の一つに結合されている請求項1に記載の摩擦締結装置。
- 前記ドラムの複数の結合部と前記ピストンの複数の押圧部との少なくともいずれかは、反摩擦板側に向かって広がる階段状に形成されている請求項1又は2に記載の摩擦締結装置。
- 前記高分子アクチュエータに電圧を印加することによる収縮動作によって前記ピストンの複数の押圧部を押圧して前記ピストンを作動させるように構成されている請求項1から3のいずれかに記載の摩擦締結装置。
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JP2018079163A JP7070013B2 (ja) | 2018-04-17 | 2018-04-17 | 摩擦締結装置 |
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JP2018079163A JP7070013B2 (ja) | 2018-04-17 | 2018-04-17 | 摩擦締結装置 |
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JP2019184035A JP2019184035A (ja) | 2019-10-24 |
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-
2018
- 2018-04-17 JP JP2018079163A patent/JP7070013B2/ja active Active
Patent Citations (4)
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