以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、内燃機関としてのエンジン200を駆動源として走行する車両において、当該車両の各種機器に電力を供給する車載電源システム100に適用される制御装置を具体化するものとしている。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付している。
(第1実施形態)
図1に示すように、車載電源システム100は、第1蓄電池としてのリチウムイオン蓄電池11と、第2蓄電池としての鉛蓄電池12と、を有する2電源システムであり、各蓄電池11,12からは各種電気負荷への給電が可能となっている。
鉛蓄電池12は周知の汎用蓄電池である。これに対し、リチウムイオン蓄電池11は、鉛蓄電池12に比べて、充放電における電力損失が少なく、出力密度、及びエネルギ密度の高い高密度蓄電池である。リチウムイオン蓄電池11は、鉛蓄電池12に比べて充放電時のエネルギ効率が高い蓄電池であるとよい。また、鉛蓄電池12は、リチウムイオン蓄電池11よりも蓄電容量が大きい蓄電池である。また、リチウムイオン蓄電池11は、鉛蓄電池12と比較して、内部抵抗の小さい蓄電池である。なお、エネルギ効率が高い場合、一般的に内部抵抗が小さくなる傾向がある。また、リチウムイオン蓄電池11は、それぞれ複数の単電池を有してなる組電池として構成されている。これら各蓄電池11,12の定格電圧はいずれも同じであり、例えば12Vである。
図示による具体的な説明は割愛するが、リチウムイオン蓄電池11は、収容ケースに収容されて基板一体の電池ユニットUとして構成されている。図1では、電池ユニットUを破線で囲んで示す。電池ユニットUは、外部端子P1,P2を有しており、このうち外部端子P1に、鉛蓄電池12、第2電気負荷14、及びオルタネータ20が接続され、外部端子P2に第1電気負荷13が接続されている。
第1電気負荷13には、供給電力の電圧が一定、又は所定範囲内で変動することが要求される定電圧負荷が含まれる。定電圧負荷は被保護負荷ともいえる。定電圧負荷の具体例としては、ナビゲーション装置やオーディオ装置、メータ装置、エンジンECU等の各種ECUが挙げられる。この場合、供給電力の電圧変動が抑えられることで、上記各装置において不要なリセット等が生じることが抑制され、安定動作が実現可能となっている。第1電気負荷13として、電動ステアリング装置やブレーキ装置等の走行系アクチュエータが含まれていてもよい。なお、第1電気負荷13には、定電圧負荷以外の一般的な電気負荷が含まれていてもよい。また、第1電気負荷13へ供給される電圧は、各蓄電池11,12の定格電圧以下である。
一方、第2電気負荷14には、一般的な電気負荷が含まれている。例えば、スタータや、シートヒータ、デフォッガ、リヤウインドウのデフロスタ用ヒータ等が挙げられる。また、第2電気負荷14には、ヘッドライトなどの照明装置や、送風のために用いられるブロワモータのように、駆動状態により、要求電圧が異なるものがある。
例えば、ブロワモータにおいて、その回転数は、ブロワモータに印加される電圧に依存し、印加電圧によって、回転数が変動する。ブロワモータの回転数が小さくなると、それに伴い風量も小さくなる。ヘッドライトなどの照明装置も同様に、印加電圧により、動作が不安定となる場合がある。このため、照明装置や、ブロワモータ等は、所定の要求電圧を印加させる必要がある電気負荷に相当する。これらの電気負荷を適切に動かすために必要な電圧は、駆動状態によって異なる。つまり、ブロワモータにおいては、オンオフされているか否か、及び風量などによって異なる。照明装置においては、オンオフされているか否か、及び輝度(明るさ)などによって異なる。
発電機としてのオルタネータ20は、エンジン200のエンジン出力軸と機械的に連結されている。オルタネータ20は、エンジン出力軸の駆動エネルギによる発電(燃料発電)を行う発電機能を備えている。また、オルタネータ20は、車軸の回転エネルギ(車両の運動エネルギ)による発電(回生発電)を実行可能に構成されている。つまり、オルタネータ20は、車両の制動トルクを利用する発電(回生発電)を実行可能に構成されている。なお、発電機として、オルタネータ20の代わりに、回転電機を採用してもよい。回転電機としては、例えば、3相交流モータや電力変換装置としてのインバータを有するモータ機能付き発電機、具体的には、機電一体型のISG(Integrated Starter Generator)を採用してもよい。
次に、電池ユニットUについて説明する。電池ユニットUには、ユニット内電気経路として、各外部端子P1,P2を繋ぐ電気経路L1と、電気経路L1上の接続点N1とリチウムイオン蓄電池11とを繋ぐ電気経路L2とが設けられている。このうち電気経路L1に第2スイッチとしてのスイッチSW2が設けられ、電気経路L2に第1スイッチとしてのスイッチSW1が設けられている。
図1に示すように、車載電源システム100では、オルタネータ20に対して、リチウムイオン蓄電池11と、鉛蓄電池12と、第1電気負荷13と、第2電気負荷14とが並列に接続されている。また、電気経路L3において、オルタネータ20が接続される第1接続点としての接続点N2よりも、リチウムイオン蓄電池11の側にスイッチSW1,SW2が設けられている。電気経路L3は、リチウムイオン蓄電池11と、鉛蓄電池12と、第1電気負荷13と、第2電気負荷14とが並列に接続されている電気経路である。
また、オルタネータ20は、鉛蓄電池12に対して常時通電可能に構成されており、オルタネータ20と鉛蓄電池12との間の通電が遮断されることはない。つまり、オルタネータ20と鉛蓄電池12との間にスイッチが設けられていない。同様に、オルタネータ20は、第2電気負荷14に対して常時通電可能に構成されており、オルタネータ20と第2電気負荷14との間の通電が遮断されることはない。
一方、オルタネータ20と第1電気負荷13との間には、スイッチSW2が設けられている。スイッチSW2は、電気経路L3において、オルタネータ20の接続点N2と、第1電気負荷13との第2接続点としての接続点N3(外部端子P2)との間であって、かつ、リチウムイオン蓄電池11の接続点N1よりもオルタネータ20の側に設けられている。つまり、リチウムイオン蓄電池11に対して、第1電気負荷13と、オルタネータ20とが並列に接続されており、リチウムイオン蓄電池11の接続点N1よりもオルタネータ20の側にスイッチSW2が設けられており、接続点N1よりもリチウムイオン蓄電池11の側にスイッチSW1が設けられている。
また、車載電源システム100は、制御装置としてのECU50を備えている。ECU50は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる周知のマイクロコンピュータを備えた電子制御装置である。このECU50は、各種情報を取得可能に構成されている。例えば、ECU50は、アクセル操作量を検出するアクセルセンサや、ブレーキペダルのブレーキ操作量を検出するブレーキセンサなど、各種センサからドライバ操作情報を取得(入力)する。また、ECU50は、車速センサなどの各種センサから、車両に関する情報(車速など)を取得する。また、ECU50は、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサから、エンジン水温を取得する。また、ECU50は、各蓄電池11,12の蓄電量を示すSOC(State Of Charge)を取得する。
また、ECU50は、オルタネータ20の発電電圧を検出する電圧検出回路21aから検出された発電電圧を取得する。本実施形態において、電圧検出回路21aの一端は、鉛蓄電池12とオルタネータ20との間に接続され、他端は接地されている。つまり、電圧検出回路21aは、電気経路L3上における電圧を検出し、また、鉛蓄電池12の端子電圧を検出しているともいえる。なお、オルタネータ20の発電電圧を検出することができるのであれば、電圧検出回路21aをどこに接続してもよい。例えば、電気経路L3上のいずれかに接続してもよい。
また、ECU50は、オルタネータ20の発電電流を検出する電流検出回路21bから検出された発電電流を取得する。電流検出回路21bは、スイッチSW2と並列となるように接続されており、スイッチSW2を通過する電流、すなわち電気経路L1を流れる電流が検出されるようになっている。なお、オルタネータ20の発電電流を検出することができるのであれば、電流検出回路21bをどこに接続してもよい。例えば、スイッチSW2がオン状態である場合のみ検出するのであれば、スイッチSW1に並列に接続してもよい。
そして、ECU50は、取得した各種情報に基づき、各種制御を実行する。例えば、ECU50は、各蓄電池11,12のSOCに基づき、スイッチSW1~SW2の状態(オン、オフ)について制御する。また、例えば、ECU50は、取得した発電電圧及び発電電流などに基づいて、オルタネータ20を制御する。また、ECU50は、車速やドライバ操作情報などに基づいて、エンジン200を制御する。
ところで、エンジン200の冷間駆動時において、暖機を速やかに完了させる必要がある。暖機を速やかに完了させるには、エンジン負荷を大きくして、エンジン200の出力トルクを増加させればよい。出力トルクを増加させる際、余剰となる出力トルク(車両走行等に利用されない出力トルク)は、オルタネータ20の発電に利用すればよい。すなわち、オルタネータ20を制御することにより、オルタネータ20による負荷を増加させて、発電電流を増加させればよい。
この発電電力は、蓄電池11,12に充電される、若しくは電気負荷13,14等に供給されるため、余剰となる出力トルクは、無駄にならない。なお、以下では、エンジン200の出力トルクのうち、オルタネータ20の発電に利用される出力トルクを発電トルクと示し、それ以外の出力トルク、例えば、車両を適切に駆動させるために必要とされるトルク等をまとめて駆動トルクと示す。駆動トルクには、走行に利用される(すなわち、車軸に伝達される)トルクのみならず、コンプレッサなどに利用されるトルクなども含まれる。
暖機を速やかに完了させるためには、エンジン負荷をなるべく大きくすることが望ましい。そこで、図1に示すように、ECU50に、発電機制御部51、電源制御部52及び負荷制御部53としての機能を備えた。各種機能は、CPUが、各種メモリ等に記憶されたプログラムを実行することにより実現する。なお、これらの機能は、ハードウェアである電子回路によって実現されてもよく、あるいは、少なくとも一部をソフトウェア、すなわちコンピュータ上で実行される処理によって実現されてもよい。以下、これらの機能について詳しく説明する。
発電機制御部51としてのECU50は、エンジン200の駆動中であって、エンジン200の温度が所定温度以下である場合、エンジン200の出力トルクを利用して発電を実施させるように、オルタネータ20を制御する。すなわち、ECU50は、エンジン200の冷間駆動中、エンジン200の出力トルクを利用して発電を実施させるように、オルタネータ20を制御する。エンジン200の温度が所定温度以下であるか否かは、水温センサから取得したエンジン冷却水温度に基づいてECU50により判定される。
ところで、発電トルクを増加させるためには、オルタネータ20の発電電流を増加させる必要がある。そして、本実施形態のように、車載電源システム100の電気回路において、オルタネータ20に対してリチウムイオン蓄電池11が通電されている場合、オルタネータ20とリチウムイオン蓄電池11との間における通電が遮断され、かつ、オルタネータ20と鉛蓄電池12との間のみが通電されている場合と比較して、電気回路における合成抵抗が低くなる。つまり、内部抵抗が鉛蓄電池12よりも低いリチウムイオン蓄電池11と、鉛蓄電池12とが、オルタネータ20に対して電気的に並列に接続されている場合の方が、鉛蓄電池12のみがオルタネータ20に対して接続されている場合と比較して、合成抵抗が低くなる。
そして、車載電源システム100の電気回路の合成抵抗を低くすることにより、オルタネータ20から発電電流が流れやすくなる。すなわち、ECU50は、発電電流を増加させて発電トルクを大きくすることができる。なお、車載電源システム100の電気回路における合成抵抗は、蓄電池11,12の内部抵抗、各電気負荷13,14における抵抗により決定される。
そこで、電源制御部52としてのECU50は、エンジン200の冷間駆動中、少なくともオルタネータ20とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させるように、スイッチSW1,SW2を制御する。つまり、エンジン200の冷間駆動中、図2(a)に示すように、スイッチSW1,SW2を共にオン状態として、オルタネータ20とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させる。これにより、オルタネータ20の発電電流が、リチウムイオン蓄電池11に供給される。この状態では、リチウムイオン蓄電池11よりも内部抵抗が高い鉛蓄電池12のみに発電電流が供給される場合と比較して、発電電流を大きくすることができる。なお、図2では、電流の流れを一点鎖線で示す。
そして、発電機制御部51としてのECU50は、発電電流に応じて、オルタネータ20に利用される発電トルクを大きくするように、オルタネータ20を制御する。また、ECU50は、発電トルクが大きくなること(エンジン負荷が大きくなること)に応じて、出力トルクが大きくなるように、エンジン200を制御する。
ところで、リチウムイオン蓄電池11のSOCが、所定のSOCより多くなった場合、充電が不要となる。例えば、SOCが満充電に近い状態となった場合には、充電は不要となる。また、回生発電により発生した電力を無駄なく利用するため、回生発電により発生した回生発電量を充電するための容量を残しておくことが望ましい。
そこで、発電機制御部51としてのECU50は、冷間駆動時、リチウムイオン蓄電池11のSOCが、所定のSOCより多くなった(大きくなった)場合、発電を停止させるようにオルタネータ20を制御する。所定のSOCは、例えば、満充電を示すSOCに基づいて決定すればよい。また、例えば、ECU50が回生発電量を予測し、満充電を示すSOC及び予測された回生発電量に基づき、ECU50が所定のSOCを決定してもよい。本実施形態において、ECU50は、満充電を示すSOCから、予測した回生発電量分のSOCを減算して算出されたSOCを、所定のSOCとして決定する。
なお、回生発電量の予測方法としては、例えば、ECU50がリチウムイオン蓄電池11のSOCの履歴をRAM等の記憶装置に記憶しておき、SOCの履歴に基づき、ECU50が予測すればよい。具体的には、リチウムイオン蓄電池11におけるSOCの履歴から、周期性を特定し、周期性に基づき、回生発電量を予測してもよい。また、例えば、ECU50は、車両状態として車速を取得し、車速に基づき、回生発電が行われる減速期間を予測し、当該減速期間に基づき回生発電量を予測してもよい。また、走行履歴に基づき、回生発電が行われる減速期間を予測し、当該減速期間に基づき回生発電量を予測してもよい。また、ナビゲーション装置により走行ルート、渋滞情報、信号情報、及び周辺車両情報(車間距離等)などの周辺交通情報を取得し、これらの周辺交通情報に基づいて将来の走行パターンを予測し、予測された走行パターンに基づき、回生発電量を予測してもよい。回生発電量の予測方法は、これらの方法に限られず、任意の方法を採用すればよい。また、所定のSOCを、以下では、第1閾値と示す。以上により、本実施形態のECU50は、回生発電量を予測する予測部としての機能を備える。また、ECU50は、所定の蓄電量を、回生発電量に応じて決定する決定部としての機能を備える。
そして、電源制御部52としてのECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが、第1閾値より多くなって発電が停止された場合、リチウムイオン蓄電池11と第1電気負荷13との間を通電させるとともに、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させるように、スイッチSW1,SW2を制御している。つまり、図2(b)に示すように、スイッチSW1,SW2を共にオン状態としている。これにより、発電停止後、リチウムイオン蓄電池11から、第1電気負荷13及び第2電気負荷14へ電力が供給されることとなる。なお、鉛蓄電池12も第1電気負荷13及び第2電気負荷14に対して通電状態となっているが、鉛蓄電池12よりも内部抵抗が低いリチウムイオン蓄電池11から主に電力が出力される。
そして、発電機制御部51としてのECU50は、冷間駆動中、発電の停止後、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第2閾値以下となった場合、発電を再開させるようにオルタネータ20を制御する。第2閾値は、第1閾値に基づいて、第1閾値よりも小さい値が設定される。例えば、第1閾値よりも数パーセント(例えば、10パーセント)低い値が第2閾値として設定される。これにより、リチウムイオン蓄電池11の充電が再開され、発電トルクが増加する。すなわち、エンジン負荷が増加することとなる。
また、電源制御部52としてのECU50は、暖機中、発電を停止した場合、第2電気負荷14の駆動状態及びリチウムイオン蓄電池11の状態に基づき、スイッチSW2を制御する。すなわち、ECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値よりも多くなった場合、第2電気負荷14の駆動状態及びリチウムイオン蓄電池11の状態に基づき、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間の通電及び通電遮断を切り替えるようにスイッチSW2を制御する。
より詳しく説明すると、第2電気負荷14の中には、前述したブロワモータのように、その駆動状態により、要求電圧が異なるものが含まれている。一方、リチウムイオン蓄電池11は、その状態により、放電電圧(端子電圧)が異なる。例えば、低温状態である場合には、高温状態である場合と比較して、リチウムイオン蓄電池11の放電電圧が低くなる。また、SOCが低い場合には、高い場合と比較して、放電電圧が低くなる。そして、第2電気負荷14の要求電圧が、リチウムイオン蓄電池11の放電電圧が高くなる場合もあり、この場合、第2電気負荷14の動作が不安定となる虞がある。
そこで、ECU50は、第2電気負荷14の駆動状態に基づき要求電圧を特定するとともに、リチウムイオン蓄電池11の状態に基づき放電電圧を特定する。そして、ECU50は、要求電圧が放電電圧よりも高い場合には、スイッチSW2をオフ状態とする。すなわち、図2(c)に示すように、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間の通電を遮断させる。一方、要求電圧が放電電圧以下の場合には、図2(b)に示すように、スイッチSW2をオン状態とする。すなわち、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させる。
また、負荷制御部53としてのECU50は、エンジン200の冷間駆動中、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値よりも多い場合、電気負荷13,14のうち、予め決められた特定の電気負荷における負荷を増大させるように、電気負荷13,14の駆動状態を制御する。駆動状態を変更させることができる特定の電気負荷は予め決められており、印加電圧の変更により、動作が変更してもドライバに不快感を与えない(ドライバが気づきにくい)ものである。具体的には、デフォッガや、シートヒータなど、温度を変化させるものである。なお、印加電圧の変更により、ドライバに不快感を与える電気負荷としては、例えば、ブロワモータや、ランプなどである。
ここで、ECU50により実行される暖機制御処理について図3に示すフローチャートを用いてより詳しく説明する。暖機制御処理は、エンジン200の始動後、所定の周期ごとに実行される。
ECU50は、発電トルクが所定範囲内となるように制限する必要があるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、ECU50は、駆動トルクが所定トルクよりも大きいか否かを判定し、この判定結果が肯定の場合には、ステップS101の判定結果を肯定にする。つまり、駆動トルクが大きく、発電トルクに回ることができる余地が少ない場合、ステップS101の判定結果を肯定にする。また、ECU50は、出力トルクが制限される状態、例えば、触媒暖機の実行中であり、エンジン200の出力トルクが制限されている場合(出力トルクを高くすることができない場合)、ステップS101の判定結果を肯定にする。また、駆動トルクをすぐに上げることができるように(つまり余力を残すように)、所定の走行モードが設定されている場合、ステップS101の判定結果を肯定にする。
ステップS101の判定結果が肯定の場合、ECU50は、発電トルクが所定範囲内となるように制限する(ステップS102)。また、ステップS101の判定結果が否定の場合、又はステップS102の処理後、ECU50は、第1閾値及び第2閾値を決定する(ステップS103)。ステップS103では、前述したように、ECU50は、回生発電量を予測し、満充電であることを示すSOC及び予測された回生発電量に基づき第1閾値を決定し、第1閾値に応じて第2閾値を決定する。このステップS103により、ECU50は、予測部及び決定部としての機能を備えることとなる。
次に、ECU50は、エンジン200の温度が所定の温度以下であるか否かを判定する(ステップS104)。つまり、エンジン200の冷間駆動中であるか否かを判定する。この判定結果が否定の場合、暖機制御処理を終了する。
一方、ステップS104の判定結果が肯定の場合、ECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS105)。この判定結果が肯定の場合、ECU50は、オルタネータ20とリチウムイオン蓄電池11との間の通電を行う(ステップS106)。つまり、図2(a)に示すように、スイッチSW1,SW2を共にオン状態とする。
そして、ECU50は、オルタネータ20に発電を実施させる(ステップS107)。ステップS107において、ECU50は、発電電圧及び発電電流に基づいて発電トルクを決定し、当該発電トルクとなるようにオルタネータ20を制御する。その際、ECU50は、発電トルク及び駆動トルクに応じた出力トルクとなるように、エンジン200を制御する。そして、所定時間経過後、再び、ステップS104の処理を実行する。
なお、ステップS101で発電トルクが所定範囲内で制限されていた場合、ステップS107において、ECU50は、所定範囲内で発電トルクを決定する。所定範囲内で発電トルクが決定された場合に、発電電圧が第2電気負荷14の要求電圧に満たない場合、スイッチSW2をオフ状態とする。これにより、内部抵抗の低いリチウムイオン蓄電池11への発電電流が遮断されるため、発電電圧を高くすることができる。ちなみに、スイッチSW2をオフ状態としても、発電電圧が第2電気負荷14の要求電圧に満たない場合、所定範囲を超えて、発電トルクを増加させる。
一方、ステップS105の判定結果が肯定の場合、ECU50は、発電を停止させるようにオルタネータ20を制御する(ステップS108)。そして、ECU50は、第2電気負荷14の駆動状態に基づき、要求電圧を特定するとともに、リチウムイオン蓄電池11の状態に基づき、放電電圧を特定する(ステップS109)。
そして、ECU50は、要求電圧が放電電圧よりも高いか否かを判定する(ステップS110)。この判定結果が肯定の場合、ECU50は、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間における通電を遮断させるように、スイッチSW1,SW2を制御する(ステップS111)。つまり、図2(c)に示すように、スイッチSW1をオン状態にし、スイッチSW2をオフ状態にする。
一方、ステップS110の判定結果が否定の場合、ECU50は、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させるように、スイッチSW1,SW2を制御する(ステップS112)。つまり、図2(b)に示すように、スイッチSW1をオン状態にし、スイッチSW2をオン状態にする。
また、ECU50は、電気負荷13,14のうち、予め決められた特定の電気負荷における抵抗(負荷)を増大させるように、電気負荷13,14の駆動状態を制御する(ステップS113)。なお、ステップS113を実行する際、ECU50は、電気負荷13,14のうち、予め決められた特定の電気負荷の要求電圧が、リチウムイオン蓄電池11の放電電圧よりも高くならないように、電気負荷13,14の駆動状態を制御する。具体的には、放電電圧よりも所定値だけ低い要求電圧となるように、特定の電気負荷の駆動状態を制御する。
ステップS111又はステップS113の処理を実行してから所定時間経過後、ECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第2閾値以下となったか否かを判定する(ステップS114)。この判定結果が肯定の場合、ステップS104の処理へ移行する。一方、ステップS114の判定結果が否定の場合、ECU50は、エンジン200の冷間駆動中であるか否かを判定する(ステップS115)。この判定結果が否定の場合、ECU50は、暖機制御処理を終了する。一方、ステップS115の判定結果が肯定の場合、ECU50は、所定時間経過後、再びステップS114の処理を実行する。
上記暖機制御処理を実行した場合における作用について図4に基づいて説明する。図4において、時点T0では、エンジン200の冷間駆動中、蓄電池11,12に対して充電していることを前提として説明する。また、図4では、常に電気負荷13,14の要求電圧が、リチウムイオン蓄電池11の放電電圧以下であることを前提として説明する。また、時点T0では、図2(a)に示すように、スイッチSW1,SW2がオン状態となっており、オルタネータ20に対して各蓄電池11,12が通電している状態であることを前提として説明する。
時点T0では、蓄電池11,12が共に充電状態であるため、鉛蓄電池12のみ充電している場合と比較して、オルタネータ20の発電電流が増加し、発電トルクが上昇する。このため、エンジン負荷を大きくして、エンジン200の出力トルクを大きくすることができる。すなわち、エンジン200の温度(すなわち、エンジン冷却水の温度)の上昇率を高くすることができる。
そして、時点T1において、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値に達するため、発電が停止する。このため、エンジン負荷が小さくなり、エンジン200の出力トルクを大きくすることができない。すなわち、エンジン200の温度の上昇率が低くなる。
時点T1~T2において、スイッチSW1,SW2が共にオン状態となり、リチウムイオン蓄電池11は、第1電気負荷13及び第2電気負荷14に対して電力を供給する。このため、リチウムイオン蓄電池11のSOCが低下する。
時点T2において、リチウムイオン蓄電池11のSOCが、第2閾値以下となるまで低下すると、再び発電が開始され、蓄電池11,12が共に充電状態となる。これにより、鉛蓄電池12のみ充電している場合と比較して、オルタネータ20の発電電流が増加し、発電トルクが上昇する。したがって、エンジン負荷を大きくして、エンジン200の出力トルクを大きくすることができる。すなわち、エンジン200の温度(すなわち、エンジン冷却水の温度)の上昇率を高くすることができる。その後、時点T3で、エンジン200の温度が所定温度に達する。
リチウムイオン蓄電池11が充放電する際、電力損失が生じる。このため、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値に達した以降、リチウムイオン蓄電池11を充放電しない場合と比較して、リチウムイオン蓄電池11を充放電した場合の方が、エンジン負荷を大きくすることができる。つまり、早期に暖機を完了させることが可能となっている。なお、図3において、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値に達した以降、リチウムイオン蓄電池11を充放電しない場合におけるSOC、発電トルク及びエンジン200の温度の変化を一点鎖線で示す。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
内部抵抗の低いリチウムイオン蓄電池11を充電する場合、内部抵抗の高い鉛蓄電池12のみを充電する場合と比較して、電気回路における合成抵抗が低くなり、オルタネータ20からの発電電流が多くなる。そこで、ECU50は、エンジン200の冷間駆動中、エンジン200の出力トルクを利用して発電を実施させるように、オルタネータ20を制御するとともに、オルタネータ20とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させるように、スイッチSW1,SW2を制御することとした。これにより、発電トルク(発電による負荷)を大きくすることができる。このため、エンジン200の温度が所定温度以下である場合、エンジン200の負荷をより大きくして、出力トルクを増加させることができ、暖機を素早く完了させることができる。また、リチウムイオン蓄電池11は、鉛蓄電池12と比較してエネルギ効率が良いため、発電トルクを増加させても、無駄を少なくすることができ、燃費を向上することができる。
ECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値よりも多い場合には、発電を停止させるようにオルタネータ20を制御し、リチウムイオン蓄電池11への充電を停止した。その際、ECU50は、リチウムイオン蓄電池11と第1電気負荷13との間を通電させるとともに、リチウムイオン蓄電池11と第2電気負荷14との間を通電させるように、スイッチSW1,SW2を制御することとしている。
すなわち、スイッチSW1,SW2を共にオン状態にし、第1電気負荷13だけでなく、第2電気負荷14に対してもリチウムイオン蓄電池11から電力供給を行うようにしている。
これにより、充電を停止した際(つまり、発電を停止した際)に、リチウムイオン蓄電池11から第2電気負荷14及び第1電気負荷13への放電を行わせて、第1電気負荷13に対してのみ放電させている場合と比較して、リチウムイオン蓄電池11のSOCを早期に減らすことができる。したがって、暖機中、早期にリチウムイオン蓄電池11への充電を再開させることができる。これにより、発電トルクが一旦ゼロとしたとしても、早期に暖機を完了させることができる。また、内部抵抗の低いリチウムイオン蓄電池11を主に充放電させるため、鉛蓄電池12を充放電させる場合と比較して、エネルギ効率が良くなり、燃費を良くすることができる。
ECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値よりも多い場合、第2電気負荷14の駆動状態及びリチウムイオン蓄電池11の状態に基づき、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間の通電及び通電遮断を切り替えるように、スイッチSW2を制御することとした。具体的には、第2電気負荷14の駆動状態及びリチウムイオン蓄電池11の状態によって、要求電圧に対して放電電圧が低くなった場合、第2電気負荷14の動作が不安定となるため、スイッチSW2をオフ状態にして、第2電気負荷14への電力供給を停止することとした。これにより、鉛蓄電池12から第2電気負荷14へ電力が供給されるため、第2電気負荷14を安定動作させることができる。
ECU50は、暖機中において発電を停止させ、リチウムイオン蓄電池11を放電させる場合、第2電気負荷14のうち、特定の電気負荷における負荷を増大させるように、特定の電気負荷の駆動状態を制御する。これにより、リチウムイオン蓄電池11の放電量を多くすることができ、早期に充電を再開させて、暖機を早期に完了させることができる。なお、特定の電気負荷は、空気の温度や湿度を調整する装置であるため、照明装置や、音声出力装置、送風装置等の駆動状態を変化させる場合と比較して、気づかれにくく、ドライバに不快感を与えない。
回生発電した電力を高効率のリチウムイオン蓄電池11に充電できない場合、電力が無駄となったり、効率が悪くなったりする虞がある。そこで、ECU50は、回生発電量を予測する予測部と、第1閾値を、予測された回生発電量に応じて決定する決定部と、を備えた。これにより、暖機完了時に、予測される回生発電量をリチウムイオン蓄電池11に充電が可能となるようにSOCを調整することができる。したがって、燃費を向上させることができる。
ECU50は、SOCの履歴等に基づいて回生発電量を予測する。これにより、回生発電量を適切に予測することができ、リチウムイオン蓄電池11を過不足なく充電することができる。
ECU50は、駆動トルクが所定トルクよりも大きい場合、又は出力トルクが制限される場合等には、発電トルクが所定範囲内となるように制限する(ステップS101,S102)。これにより、暖機を行う際、発電トルクが大きくなって駆動トルクが少なくなることを防止し、車両を適切に駆動させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の制御装置について説明する。第2実施形態では、第1実施形態におけるECU50の機能の一部及び暖機制御処理を変更している。例えば、第2実施形態において、ECU50は、エンジン200の冷間駆動中、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値より多くなった場合において、発電を停止せず、スイッチSW2をオフ状態とする。また、エンジン200の冷間駆動中、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値より多くなった場合に、特定の電気負荷における要求電圧を増加させるように、その駆動状態を変更しない。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
第2実施形態における暖機制御処理について図5に基づき説明する。暖機制御処理は、エンジン200の始動後、所定の周期ごとに実行される。第2実施形態の暖機制御処理におけるステップS101~S107の処理は、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
ステップS105の判定結果が肯定の場合、ECU50は、第2電気負荷14とリチウムイオン蓄電池11との間における通電を遮断させるように、スイッチSW1,SW2を制御する(ステップS208)。つまり、図6に示すように、スイッチSW1をオン状態にし、スイッチSW2をオフ状態にする。これにより、オルタネータ20の発電電流は、鉛蓄電池12及び第2電気負荷14に供給される。一方、リチウムイオン蓄電池11から、第1電気負荷13へ電力が供給される。
ステップS208の処理を実行してから所定時間経過後、ECU50は、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第2閾値以下となったか否かを判定する(ステップS209)。この判定結果が肯定の場合、ステップS104の処理へ移行する。一方、ステップS209の判定結果が否定の場合、ECU50は、エンジン200の冷間駆動中であるか否かを判定する(ステップS210)。この判定結果が否定の場合、ECU50は、暖機制御処理を終了する。一方、ステップS210の判定結果が肯定の場合、ECU50は、所定時間経過後、再びステップS209の処理を実行する。
上記暖機制御処理を実行した場合における作用について図7に基づいて説明する。図7において、時点T10では、エンジン200の冷間駆動中、蓄電池11,12に対して充電していることを前提として説明する。また、時点T10では、図2(a)に示すように、スイッチSW1,SW2がオン状態となっており、オルタネータ20に対して各蓄電池11,12が通電している状態であることを前提として説明する。
時点T10では、蓄電池11,12が共に充電状態であるため、鉛蓄電池12のみ充電している場合と比較して、オルタネータ20の発電電流が増加し、発電トルクが上昇する。このため、エンジン負荷を大きくして、エンジン200の出力トルクを大きくすることができる。すなわち、エンジン200の温度(すなわち、エンジン冷却水の温度)の上昇率を高くすることができる。
そして、時点T11において、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値に達した場合、スイッチSW1がオン状態となり、スイッチSW2がオフ状態となる。これにより、図6に示すように、オルタネータ20の発電電流は、鉛蓄電池12及び第2電気負荷14に供給される。その一方、リチウムイオン蓄電池11から、第1電気負荷13へ電力が供給される。したがって、エンジン負荷が小さくなり、エンジン200の出力トルクを大きくすることができない。すなわち、エンジン200の温度の上昇率が低くなる。
時点T11~T12において、スイッチSW1がオン状態となり、スイッチSW2がオフ状態となるため、リチウムイオン蓄電池11は、第1電気負荷13に対して電力を供給する。このため、リチウムイオン蓄電池11のSOCが低下する。なお、鉛蓄電池12へは充電が継続される。
時点T12において、リチウムイオン蓄電池11のSOCが、第2閾値以下となるまで低下すると、再び発電が開始され、蓄電池11,12が共に充電状態となる。これにより、鉛蓄電池12のみ充電している場合と比較して、オルタネータ20の発電電流が増加し、発電トルクが上昇する。したがって、エンジン負荷を大きくして、エンジン200の出力トルクを大きくすることができる。すなわち、エンジン200の温度(すなわち、エンジン冷却水の温度)の上昇率を高くすることができる。その後、時点T13で、エンジン200の温度が所定温度に達する。
以上詳述した第2実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
リチウムイオン蓄電池11のSOCが、第1閾値よりも多い場合、充電が不要となるので充電を停止する。そして、スイッチSW2をオフ状態として、充電を停止した際に、第1電気負荷13とリチウムイオン蓄電池11との間を通電させて(つまり、スイッチSW1をオン状態として)、第1電気負荷13への放電を行うようにしている。これにより、リチウムイオン蓄電池11のSOCを減らすため、暖機中に、再び充電させることができる。したがって、暖機を早期に完了させることができる。
また、スイッチSW2をオフ状態として、リチウムイオン蓄電池11への充電を停止させた場合であっても、鉛蓄電池12に充電する電力をオルタネータ20に発電させている。このため、発電トルクを発生させて、エンジン負荷を増加させることができ、早期に暖機を完了させることができる。
(他の実施形態)
上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・上記第1実施形態において、エンジン200の冷間駆動中、リチウムイオン蓄電池11のSOCが第1閾値よりも多くなり、発電を停止した場合において、特定の電気負荷の要求電圧を増加させるように、その駆動状態を変更しなくてもよい。すなわち、ステップS113の処理を省略してもよい。
・上記第1実施形態において、発電中、特定の電気負荷の要求電圧を増加させるように、その駆動状態を変更してもよい。これにより、発電トルク及び出力トルクをより大きくすることができる。
・上記実施形態において、リチウムイオン蓄電池11の放電後、そのSOCが第2閾値以下となった場合、再びステップS104の処理に移行させ、充電を再開させたが、所定時間経過後に、リチウムイオン蓄電池11への充電を再開させてもよい。
・上記実施形態において、第2閾値の決定方法を任意に変更してもよい。例えば、ECU50は、第1閾値及びエンジン200の温度に基づき、第2閾値を決定してもよい。より詳しくは、暖機完了までの温度と、現時点のエンジン200の温度との間における差が小さい場合には、差が大きい場合と比較して、第2閾値として大きな値を決定してもよい。つまり、第1閾値と第2閾値との差を小さくして、第1閾値に近い値を第2閾値として決定してもよい。この場合、所定時間ごとに、第2閾値を決定し直すことが望ましい。これにより、暖機完了時において、リチウムイオン蓄電池11のSOCを、第1閾値に近づけることができる。このため、暖機を早めるとともに、回生発電により得られた電力をリチウムイオン蓄電池11に対して過不足なく充電することができる。
・上記第1実施形態において、発電を停止させた場合に、常にスイッチSW1をオン状態とするとともに、スイッチSW2をオフ状態としてもよい。これにより、第2電気負荷14へは鉛蓄電池12から電力が供給されることとなる。
・上記実施形態においては、発電トルクを制限しなくてもよい。すなわち、ステップS101,S102を省略してもよい。
・上記実施形態において、満充電を示すSOCを第1閾値としてもよい。
・上記実施形態において、所定の要求電圧を印加させる必要がある電気負荷として、ブロワモータ以外の装置を採用してもよい。例えば、ヘッドライトなど、電圧によって輝度が変化する照明装置であってもよい。例えば、空調装置であってもよい。
・上記実施形態において、ECU50の機能を、複数のECUに分けて備えさせてもよい。例えば、発電機制御部51と、電源制御部52と、負荷制御部53と、をそれぞれ別のECUに備えてもよい。この場合、各ECUは、互いに通信を行って、情報を授受する必要がある。
・上記実施形態において、電池ユニットUの構成を変更してもよい。例えば、図8に示すように、電気経路L1,L2に並列となる電気経路L4を設け、電気経路L4にスイッチSW3,SW4を設けてもよい。そして、スイッチSW3とスイッチSW4との間に接続された外部端子P3に第1電気負荷13を接続し、外部端子P1に第2電気負荷14及び鉛蓄電池12を接続し、外部端子P2にオルタネータ20等の発電機を接続してもよい。これにより、蓄電池11,12を選択的に充放電することができる。