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JP7058568B2 - ガイドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ガイドワイヤに関する。
血管にカテーテル等の治療デバイスを挿入する際に用いられるガイドワイヤが知られている。このようなガイドワイヤでは、解離や穿孔といった血管の損傷を抑制すると共に、病変部に対する穿通力を有することが求められる。例えば、特許文献1及び特許文献2には、コアシャフト(コア部材、芯線)の先端側において、隣り合う素線間に隙間を設けたコイル状構造を有するガイドワイヤが開示されている。例えば、特許文献3には、コアシャフト(芯線)と、コアシャフトに巻回されたコイル体(コイルバネ)との先端側における形状を、先細り状としたガイドワイヤが開示されている。
国際公開第03/030982号パンフレット 特開2016-221249号公報 特開2007-319537号公報
ここで、ガイドワイヤの穿通力は、病変等を突き破る圧力の最大値を意味し、ガイドワイヤの先端荷重を、ガイドワイヤの先端部の面積で除することにより求められる。この点、特許文献1及び2に記載のガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端部(先端チップ、先端接合部)が細径に構成されていないため、穿通力に改善の余地があった。また、特許文献3に記載のガイドワイヤは、ガイドワイヤの先端側において、隣り合う素線間に隙間を有さない密巻きのコイル構造を有するため、血管壁に突き当たった際に血管穿孔のリスクがあった。
なお、このような課題は、血管系に限らず、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されるガイドワイヤに共通する。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、血管等の人体内部の損傷を抑制しつつ、穿通力の高いガイドワイヤを提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、ガイドワイヤが提供される。このガイドワイヤは、コアシャフトと、先端チップと、前記コアシャフトの先端部から前記ガイドワイヤの軸線方向に離間した位置で前記先端チップを保持し、前記軸線方向に伸縮することで前記コアシャフトの先端部と前記先端チップとの間の距離を変更可能とする伸縮部であって、基端側から先端側に向かって縮径している伸縮部とを備える。
この構成によれば、伸縮部は、コアシャフトの先端部からガイドワイヤの軸線方向に離間した位置で先端チップを保持し、軸線方向に伸縮することでコアシャフトの先端部と先端チップとの間の距離を変更可能とする。このため、例えばガイドワイヤの使用時において、ガイドワイヤの先端部に位置する先端チップが血管内壁に突き当たった場合、伸縮部が収縮することによる緩衝効果を得られる共に、先端チップに加わる力が最大となるまでの時間を、伸縮部を有さない構成と比較して長くすることができる。このように伸縮部が収縮している間に、ガイドワイヤを操作する術者は、手元部分に伝わる感触から「先端チップが血管内壁に突き当たった」ことを感知することができ、押し込み操作を止める又は緩めることができる。また、先端チップが血管内壁から離れた場合は、伸縮部が伸長することで、繰り返し緩衝効果を得ることができる。これらの結果、本構成のガイドワイヤでは、血管等の人体内部の損傷を抑制することができる。また、ガイドワイヤの穿通力は、病変等を突き破る圧力の最大値を意味し、ガイドワイヤの先端荷重を、ガイドワイヤの先端部の面積で除することにより求められる。本構成のガイドワイヤでは、伸縮部が、基端側から先端側に向かって縮径しているため、伸縮部が縮径していない構成と比較して、ガイドワイヤの穿通力を高めることができる。
(2)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記伸縮部は、基端側から先端側に向かいコイル径が徐々に小さくなるように素線を巻回した円錐コイル体であり、圧縮時において、n(nは自然数)番目のコイルの外側と、前記n番目のコイルの基端側のn+1番目のコイルの内側との間にはクリアランスが設けられていてもよい。この構成によれば、伸縮部は、収縮時(圧縮時)においてn番目のコイルの外側と、n番目のコイルの基端側のn+1番目のコイルの内側との間にクリアランスが設けられた円錐コイル体である。すなわち、伸縮部は、収縮時において、n番目のコイルがn+1番目のコイルの内側に入り込むように収納されるため、伸縮部の伸縮幅を大きくすることができる。
(3)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記素線の横断面は略矩形形状であり、前記伸縮部は、伸長時において、前記n番目のコイルの外側と、前記n+1番目のコイルの内側との少なくとも一部が重畳された竹の子ばね形状であってもよい。この構成によれば、伸縮部は、伸長時において、n番目のコイルの外側と、n+1番目のコイルの内側との少なくとも一部が重畳された竹の子ばね形状である。このため、例えばガイドワイヤの使用時において、従来生じていたコイルずれ現象(例えば、n番目のコイルがn+1番目のコイルに乗り上げる現象)の発生を抑制することができ、コイルずれ現象に伴うトルク伝達性の低下やトルク力の低下を抑制できる。また、本構成によれば、ガイドワイヤに回転操作を加えた場合であっても、n番目のコイルの外側がn+1番目のコイルの内側により支持されているため、竹の子ばね形状を維持することができる。さらに、本構成によれば、例えばガイドワイヤを閉塞病変等に進入させた場合であっても、n番目のコイルとn+1番目のコイルとの少なくとも一部が重畳された構成によって、各コイルの隙間における病変組織の噛み込み(挟み込み)を抑制することができ、ガイドワイヤが閉塞病変等でスタックすることを抑制できる。
(4)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記素線の横断面は略円形形状であり、前記伸縮部は、伸長時において、前記n番目のコイルと、前記n+1番目のコイルとが前記軸線方向に離間したコイルばね形状であってもよい。この構成によれば、伸縮部は、伸長時において、n番目のコイルと、n+1番目のコイルとがガイドワイヤの軸線方向に離間したコイルばね形状であるため、伸縮部の伸縮幅をより大きくすることができる。
(5)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記伸縮部は、エラストマーにより形成された管状部材であってもよい。この構成によれば、伸縮部は、エラストマーにより形成された管状部材であるため、例えばガイドワイヤを閉塞病変等に進入させた場合において、コイルの隙間における病変組織の噛み込み(挟み込み)を生じず、ガイドワイヤが閉塞病変等でスタックすることを抑制できる。
(6)上記形態のガイドワイヤにおいて、前記伸縮部は、前記軸線方向に伸縮する蛇腹形状であってもよい。この構成によれば、伸縮部は、ガイドワイヤの軸線方向に伸縮する蛇腹形状であるため、伸縮部の先端側が軸線方向からずれた方向に湾曲する軸ずれ現象の発生を抑制することができ、軸ずれ現象に伴うトルク伝達性の低下やトルク力の低下を抑制できる。
(7)上記形態のガイドワイヤでは、さらに、前記コアシャフトの先端部と、前記伸縮部の基端部とを固定する固定部を備えていてもよい。この構成によれば、固定部によって、コアシャフトの先端部と伸縮部の基端部とを固定することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、ガイドワイヤの先端に取り付けられる伸縮部材、伸縮部材の製造方法、ガイドワイヤの製造方法などの形態で実現することができる。
第1実施形態のガイドワイヤの全体構成を示す部分断面図である。 ガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 ガイドワイヤの使用時の一例を示す図である。 ガイドワイヤの使用時の他の例を示す図である。 第2実施形態のガイドワイヤの全体構成を示す部分断面図である。 第2実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第2実施形態のガイドワイヤの使用時の一例を示す図である。 第3実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第4実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第5実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第6実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第6実施形態のガイドワイヤの使用時の一例を示す図である。 第7実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第8実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第9実施形態のガイドワイヤの先端側の部分断面図である。 第10実施形態のガイドワイヤの全体構成を示す部分断面図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のガイドワイヤ1の全体構成を示す部分断面図である。ガイドワイヤ1は、例えば血管にカテーテルを挿入する際に用いられる医療器具であり、コアシャフト10と、コイル体20と、伸縮部30と、先端チップ51と、先端側固定部62と、中間固定部61と、基端側固定部52とを備えている。図1では、ガイドワイヤ1の中心に通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。以降の例では、コアシャフト10の中心を通る軸と、コイル体20の中心を通る軸と、伸縮部30の中心を通る軸とは、いずれも軸線Oと一致する。しかし、コアシャフト10、コイル体20、伸縮部30の各中心を通る軸は、それぞれ軸線Oとは相違していてもよい。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は、ガイドワイヤ1の軸線方向に対応し、Y軸は、ガイドワイヤ1の高さ方向に対応し、Z軸は、ガイドワイヤ1の幅方向に対応する。図1の左側(-X軸方向)をガイドワイヤ1及び各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)をガイドワイヤ1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、ガイドワイヤ1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端部」または単に「先端」と呼び、基端側に位置する端部を「基端部」または単に「基端」と呼ぶ。本実施形態において、先端側は「遠位側」に相当し、基端側は「近位側」に相当する。これらの点は、図1以降の全体構成を示す図においても共通する。
コアシャフト10は、基端側が太径で先端側が細径とされた、先細りした長尺状の部材である。コアシャフト10は、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金、ニッケルチタン(NiTi)合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金、タングステン等の材料で形成できる。コアシャフト10は、上記以外の公知の材料によって形成されていてもよい。コアシャフト10は、先端側から基端側に向かって順に、第1細径部11、第1縮径部12、第2細径部13、第2縮径部16、太径部17を有している。各部の外径や長さは任意に決定できる。
第1細径部11は、コアシャフト10の先端部に配置されている。第1細径部11は、コアシャフト10の外径が最小の部分であり、一定の外径を有する略円柱形状である。第1縮径部12は、第1細径部11と第2細径部13との間に配置されている。第1縮径部12は、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台形状である。第2細径部13は、第1縮径部12と第2縮径部16との間に配置されている。第2細径部13は、第1細径部11の外径よりも大きな一定の外径を有する略円柱形状である。第2縮径部16は、第2細径部13と太径部17との間に配置されている。第2縮径部16は、基端側から先端側に向かって外径が縮径した略円錐台形状である。太径部17は、コアシャフト10の基端部に配置されている。太径部17は、第2細径部13の外径よりも大きな一定の外径を有する略円柱形状である。
第1細径部11、第1縮径部12、第2細径部13の外側面は、後述するコイル体20によって覆われている。一方、第2縮径部16及び太径部17は、コイル体20によって覆われておらず、コイル体20から露出している。太径部17は、術者がガイドワイヤ1を把持する際に使用される。
コイル体20は、コアシャフト10に対して素線21を螺旋状に巻回して形成される略円筒形状である。コイル体20を形成する素線21は、1本の素線からなる単線でもよいし、複数の素線を撚り合せた撚線でもよい。素線21を単線とした場合、コイル体20は単コイルとして構成され、素線21を撚線とした場合、コイル体20は中空撚線コイルとして構成される。また、単コイルと中空撚線コイルとを組み合わせてコイル体20を構成してもよい。素線21の線径と、コイル体20におけるコイル平均径(コイル体20の外径と内径の平均径)とは、任意に決定できる。
素線21は、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成することができる。なお、素線21は、上記以外の公知の材料によって形成されてもよい。
図2は、ガイドワイヤ1の先端側の部分断面図である。図2では、上段にガイドワイヤ1の先端側の部分拡大図を図示し、下段に伸縮部30の破線枠部分の拡大図を図示する。図2上段に示すように、伸縮部30は、コアシャフト10の先端部10dから、軸線O方向に離間した位置で先端チップ51を保持する部材である。伸縮部30は、基端側から先端側に向かって外径が縮径した中空形状を有している。具体的には、伸縮部30は、基端側から先端側に向かってコイル径が徐々に小さくなるように素線31を巻回した円錐コイル体である。すなわち、伸縮部30の先端側の外径D1は、基端側の外径D2よりも小さい(D1<D2)。
本実施形態では、素線31は、略矩形形状の横断面を有する長尺状の平板部材である。図2下段に示すように、素線31の横断面形状は、軸線O方向(X軸方向)の長さL1が、軸線Oに直交するY軸方向の長さL2よりも長い(L1>L2)。なお、長さL1,L2は任意に定めることができ、L1=L2の関係でもよく、L1<L2の関係でもよい。なお、素線31の横断面形状は、角部にR面取り加工やC面取り加工を施した略矩形形状であってもよい。素線31は、コイル体20の素線21と同様の材料によって形成できる。素線31と素線21とは同じ材料が使用されてもよく、異なる材料が使用されてもよい。
伸縮部30は、伸長時において、n(nは自然数)番目のコイルの外側31oと、n+1番目の内側31iとの少なくとも一部が重畳された、いわゆる竹の子ばね形状である。すなわち、図2上段に示すように、伸縮部30では、1番目のコイル(n=1)の外側31oと、2番目のコイル(n=2)の内側31iとの少なくとも一部が重畳されている。同様に、2番目のコイル(n=2)の外側31oと、3番目のコイル(n=3)の内側31iとの少なくとも一部が重畳されている。3番目のコイル(n=3)の外側31oと、4番目のコイル(n=4)の内側31iとの少なくとも一部が重畳されている。
また、伸縮部30には、図2下段に示すように、n番目のコイルの外側31oと、n+1番目のコイルの内側31iとの間にクリアランスSPが設けられている。クリアランスSPは、伸縮部30の隣り合う各コイル間、すなわち、1番目のコイル(n=1)の外側31oと2番目のコイル(n=2)の内側31iとの間、2番目のコイル(n=2)の外側31oと3番目のコイル(n=3)の内側31iとの間、3番目のコイル(n=3)の外側31oと4番目のコイル(n=4)の内側31iとの間、にそれぞれ設けられている。クリアランスSPの大きさは、任意に定めることができる。1~4番目のコイルの各間におけるクリアランスSPの大きさは一定であってもよく、相違していてもよい。
また、伸縮部30では、図2に示すように、n番目のコイルの外径ODが、n+1番目のコイルの内径IDよりも小さい(OD<ID)。すなわち、伸縮部30では、1番目のコイル(n=1)の外径ODは、2番目のコイル(n=2)の内径IDよりも小さい。同様に、2番目のコイル(n=2)の外径ODは、3番目のコイル(n=3)の内径IDよりも小さい。3番目のコイル(n=3)の外径ODは、4番目のコイル(n=4)の内径IDよりも小さい。各外径OD及び各内径IDの大きさは、任意に定めることができる。
このような構成を有することにより、伸縮部30は、軸線O方向(図2上段:白抜き両矢印の方向)に伸縮することができ、コアシャフト10の先端部10dと、先端チップ51の先端部との間の距離D3を変更可能としている。なお、本実施形態では、距離D3を、コアシャフト10の先端部10dから先端チップ51の先端部までの距離として定義しているが、先端チップ51の基端部までの距離や、先端チップ51の中央部までの距離として定義してもよい。
先端チップ51は、ガイドワイヤ1の先端部に配置され、伸縮部30の先端部に固定されている。先端チップ51は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤によって形成できる。先端側固定部62は、コアシャフト10の先端部10dに配置され、伸縮部30の基端部と、コアシャフト10の先端部10d(第1細径部11の先端部)と、コイル体20の先端部とを一体的に保持している。先端側固定部62は、先端チップ51と同様に任意の接合剤によって形成できる。先端側固定部62と先端チップ51とは、同じ接合剤を用いてもよく、異なる接合剤を用いてもよい。なお、先端側固定部62は、コアシャフト10の先端部10dと伸縮部30の基端部とを固定する「固定部」として機能する。
図1に戻り説明を続ける。中間固定部61は、コイル体20の軸線O方向の中央部近傍において、コイル体20と、コアシャフト10とを一体的に保持している。中間固定部61は、先端チップ51と同様に任意の接合剤によって形成できる。中間固定部61と先端チップ51とは、同じ接合剤を用いてもよく、異なる接合剤を用いてもよい。なお、図1では、1つの中間固定部61について例示したが、ガイドワイヤ1には複数の中間固定部61を設けてもよい。基端側固定部52は、コアシャフト10の第2細径部13の基端部に配置され、コアシャフト10と、コイル体20の基端部とを一体的に保持している。基端側固定部52は、先端チップ51と同様に任意の接合剤によって形成できる。基端側固定部52と先端チップ51とは、同じ接合剤を用いてもよく、異なる接合剤を用いてもよい。
図3は、ガイドワイヤ1の使用時の一例を示す図である。図3では、上段に血管91に挿入されたガイドワイヤ1を図示し、下段にガイドワイヤ1の先端側の拡大図(破線枠部分の拡大図)を図示する。上述の通り、本実施形態のガイドワイヤ1において、伸縮部30は、コアシャフト10の先端部10dから、ガイドワイヤ1の軸線O方向に離間した位置で先端チップ51を保持し、軸線O方向に伸縮(図2上段:白抜き矢印)することで、コアシャフト10の先端部10dと先端チップ51との間の距離D3を変更可能とする。このため、ガイドワイヤ1の使用時において、ガイドワイヤ1の先端部に位置する先端チップ51が血管91の内壁91iに突き当たった場合、図3下段に示すように、伸縮部30が収縮する(換言すれば、距離D3が短くなる)ことにより、緩衝効果を得ることができる。
図4は、ガイドワイヤ1の使用時の他の例を示す図である。図4の上段及び下段の構成は、図3と同様である。図4に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、先端チップ51が血管91の内壁91iから離れた場合、伸縮部30は収縮した状態から、伸長した状態へと戻る(換言すれば、距離D3が長くなる)ため、伸縮部30による緩衝効果を、繰り返し得ることができる。このように、本実施形態のガイドワイヤ1では、血管91等の人体内部の損傷を抑制することができる。
また、図3に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1では、先端チップ51が内壁91iに突き当たってから、伸縮部30が収縮している間は、上述の緩衝効果によって先端チップ51から内壁91iに加わる力は最大とならない。伸縮部30が収縮後(図3下段に図示する状態となった後)、術者がさらにガイドワイヤ1を押し込む操作をした場合に、はじめて先端チップ51に加わる力が最大となる。このため、本実施形態のガイドワイヤ1では、先端チップ51に加わる力が最大となるまでの時間を、伸縮部30を有さない構成と比較して長くすることができる。このように伸縮部30が収縮している間に、ガイドワイヤ1を操作する術者は、手元部分(太径部17)に伝わる感触から「先端チップ51が血管91の内壁91iに突き当たった」ことを感知することができ、押し込み操作を止める又は緩めることができる。
また、ガイドワイヤ1の穿通力は、病変等を突き破る圧力の最大値を意味し、ガイドワイヤ1の先端荷重(先端チップ51にかかる荷重)を、ガイドワイヤ1の先端部の面積(先端チップ51の先端部の面積)で除することにより求められる。本実施形態のガイドワイヤ1では、伸縮部30が、基端側から先端側に向かって縮径している(図2上段:D1<D2)。このため、伸縮部30が縮径していない構成と比較して、ガイドワイヤ1の穿通力を高めることができる。
さらに、本実施形態のガイドワイヤ1では、伸縮部30は、n番目のコイルの外側31oと、n番目のコイルの基端側のn+1番目のコイルの内側31iとの間にクリアランスSPが設けられた円錐コイル体である(図2下段)。このため伸縮部30は、収縮時(圧縮時)において、図3下段に示すように、n番目のコイルがn+1番目のコイルの内側に入り込むように収納されるため、伸縮部30の伸縮幅(換言すれば、距離D3の最大値と最小値との間の幅)を大きくすることができる。
さらに、本実施形態のガイドワイヤ1では、伸縮部30は、伸長時において、n番目のコイルの外側と、n+1番目のコイルの内側との少なくとも一部が重畳された竹の子ばね形状である(図2上段)。このため、図3下段に示すように、ガイドワイヤ1の使用時において従来生じていたコイルずれ現象(例えば、n番目のコイルがn+1番目のコイルに乗り上げる現象)の発生を抑制することができ、コイルずれ現象に伴うトルク伝達性の低下やトルク力の低下を抑制できる。
さらに、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、ガイドワイヤ1に回転操作を加えた場合であっても、n番目のコイルの外側31oがn+1番目のコイルの内側31iにより支持されている(図2下段)ため、伸縮部30の竹の子ばね形状を維持することができる。さらに、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、例えばガイドワイヤ1を閉塞病変等に進入させた場合であっても、n番目のコイルとn+1番目のコイルとの少なくとも一部が重畳された構成(図2上段)によって、各コイルの隙間における病変組織の噛み込み(挟み込み)を抑制することができ、ガイドワイヤ1が閉塞病変等でスタックすることを抑制できる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態のガイドワイヤ1Aの全体構成を示す部分断面図である。図6は、第2実施形態のガイドワイヤ1Aの先端側の部分断面図である。図6の上段及び下段の構成は図2と同様である。第2実施形態のガイドワイヤ1Aは、第1実施形態とは異なる構成の伸縮部30Aを有する。
伸縮部30Aは、第1実施形態の伸縮部30と同様に、コアシャフト10の先端部10dから、軸線O方向に離間した位置で先端チップ51Aを保持し、基端側から先端側に向かって外径が縮径した中空形状を有する部材である。伸縮部30Aは、基端側から先端側に向かってコイル径が徐々に小さくなるように素線31Aを巻回した円錐コイル体であり、伸縮部30の先端側の外径D1は、基端側の外径D2よりも小さい(D1<D2)。なお、外径D1,D2は第1実施形態と同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。
第2実施形態の素線31Aは、略円形形状の横断面を有する長尺状の部材である。図6下段に示すように、素線31Aの横断面形状は、軸線O方向(X軸方向)の長さL1と、軸線O方向に直交するY軸方向の長さL2とが略同一である(L1=L2)。なお、長さL1,L2は任意に定めることができ、L1,L2のいずれか一方が他方と比べて大きくてもよい。長さL1,L2の一方が他方と比べて大きい場合、素線31Aの横断面形状は略楕円形形状となる。素線31Aは、第1実施形態の素線31と同様の材料によって形成できる。素線31Aと素線31とは同じ材料が使用されてもよく、異なる材料が使用されてもよい。なお、図6の例では、伸縮部30Aを構成する素線31Aの線径は、コイル体20を構成する素線21の線径よりも小さい。しかし、素線31の線径と素線21の線径とは略同一でもよく、素線21の線径が小さくてもよい。
第2実施形態の伸縮部30Aは、伸長時において、n番目のコイルと、n+1番目のコイルとが、ガイドワイヤ1Aの軸線O方向に離間したコイルばね形状である。すなわち、図6上段に示すように、伸縮部30Aでは、1番目のコイル(n=1)と、2番目のコイル(n=2)とが軸線O方向に隙間を空けて配置されている。同様に、2番目のコイル(n=2)及び3番目のコイル(n=3)、3番目のコイル(n=3)及び4番目のコイル(n=4)についても同様に、軸線O方向にそれぞれ隙間を空けて配置されている。1~4番目のコイルの各間における隙間の軸線O方向の長さは一定であってもよく、相違していてもよい。
伸縮部30Aは、第1実施形態の伸縮部30と同様に、n番目のコイルの外側31oと、n+1番目のコイルの内側31iとの間にクリアランスSPが設けられている。また、伸縮部30Aは、第1実施形態の伸縮部30と同様に、n番目のコイルの外径ODが、n+1番目のコイルの内径IDよりも小さい(OD<ID)。クリアランスSPの大きさ、各外径OD及び各内径IDの大きさは、第1実施形態と同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。このような構成を有することにより、伸縮部30Aは、第1実施形態の伸縮部30と同様に、軸線O方向(図6上段:白抜き両矢印の方向)に伸縮することができ、コアシャフト10の先端部10dと、先端チップ51Aの先端部との間の距離D3を変更可能としている。
なお、先端チップ51Aは、ガイドワイヤ1Aの先端部に配置され、伸縮部30Aの先端部に固定されている。また、先端側固定部62Aは、コアシャフト10の先端部10dに配置され、伸縮部30Aの基端部と、コアシャフト10の先端部10d(第1細径部11の先端部)と、コイル体20の先端部とを一体的に保持している。先端チップ51A及び先端側固定部62Aは、第1実施形態の先端チップ51と同様に任意の接合剤によって形成できる。先端側固定部62と先端チップ51とは、同じ接合剤を用いてもよく、異なる接合剤を用いてもよい。
図7は、第2実施形態のガイドワイヤ1Aの使用時の一例を示す図である。図示のように、第2実施形態のガイドワイヤ1Aにおいても、使用時にガイドワイヤ1Aの先端部に位置する先端チップ51Aが血管91の内壁91iに突き当たった場合、伸縮部30Aが収縮する(換言すれば、距離D3が短くなる)ことにより、緩衝効果を得ることができる。また、先端チップ51Aが内壁91iから離れた場合には、伸縮部30Aは収縮した状態から伸長した状態へと戻る(換言すれば、距離D3が長くなる)ため、伸縮部30Aによる緩衝効果を、繰り返し得ることができる。このように、伸縮部30Aは、竹の子ばね形状とは異なる円錐コイル体として構成されてもよい。第2実施形態のガイドワイヤ1Aにおいても、第1実施形態と同様に、血管91等の人体内部の損傷を抑制することができる。
また、第2実施形態のガイドワイヤ1Aでは、伸縮部30Aは、収縮時(圧縮時)においてn番目のコイルの外側31oと、n番目のコイルの基端側のn+1番目のコイルの内側31iとの間にクリアランスSP(図6下段)が設けられた円錐コイル体である。このため、伸縮部30Aの収縮時には、図7に示すように、n番目のコイルがn+1番目のコイルの内側に入り込むように収納されるため、伸縮部30Aの伸縮幅(換言すれば、距離D3の最大値と最小値との間の幅)を大きくすることができる。さらに、伸縮部30Aは、伸長時において、n番目のコイルと、n+1番目のコイルとがガイドワイヤ1Aの軸線O方向に離間したコイルばね形状(図6上段)であるため、伸縮部30Aの伸縮幅をより大きくすることができる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態のガイドワイヤ1Bの先端側の部分断面図である。第3実施形態のガイドワイヤ1Bは、第1実施形態の構成において、コアシャフト10Bの先端部10dが、先端側固定部62Bから先端側(-X軸方向)に向かって突出している。先端側固定部62Bは、コアシャフト10Bの先端側に配置され、伸縮部30の基端部と、コアシャフト10Bの先端側の一部分と、コイル体20の先端部とを一体的に保持している。先端側固定部62Bは、第1実施形態と同様の接合剤を用いて形成されてもよく、異なる接合剤を用いて形成されてもよい。このような第3実施形態の構成においても、伸縮部30が軸線O方向(図8:白抜き両矢印)に伸縮することで、コアシャフト10Bの先端部10dと、先端チップ51との間の距離D3を変更可能とできる。
このように、先端側固定部62Bは、コアシャフト10Bの先端部10dを固定していなくてもよい。第3実施形態のガイドワイヤ1Bによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第3実施形態のガイドワイヤ1Bでは、伸縮部30の収縮時に、コアシャフト10Bの先端側の端面と、先端チップ51の基端側の端面とが接触することで、収縮した状態の伸縮部30(円錐コイル体構造)を内部から支持することができる。このため、伸縮部30が収縮した状態でさらに押し込み操作が行われた場合等において、伸縮部30の円錐コイル体構造を崩れにくくできる。
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態のガイドワイヤ1Cの先端側の部分断面図である。第4実施形態のガイドワイヤ1Cは、第2実施形態の構成において、コアシャフト10Cの先端部10dが、先端側固定部62Cから先端側(-X軸方向)に向かって突出している。先端側固定部62Cは、コアシャフト10Cの先端側に配置され、伸縮部30Aの基端部と、コアシャフト10Cの先端側の一部分と、コイル体20の先端部とを一体的に保持している。先端側固定部62Cは、第1実施形態と同様の接合剤を用いて形成されてもよく、異なる接合剤を用いて形成されてもよい。このような第4実施形態の構成においても、伸縮部30Aが軸線O方向(図9:白抜き両矢印)に伸縮することで、コアシャフト10Cの先端部10dと、先端チップ51Aとの間の距離D3を変更可能とできる。
このように、先端側固定部62Cは、コアシャフト10Cの先端部10dを固定していなくてもよい。第4実施形態のガイドワイヤ1Cによっても、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、第4実施形態のガイドワイヤ1Cでは、伸縮部30Aの収縮時に、コアシャフト10Cの先端側の端面と、先端チップ51Aの基端側の端面とが接触することで、収縮した状態の伸縮部30A(円錐コイル体構造)を内部から支持することができる。このため、伸縮部30Aが収縮した状態でさらに押し込み操作が行われた場合等において、伸縮部30Aの円錐コイル体構造を崩れにくくできる。
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態のガイドワイヤ1Dの先端側の部分断面図である。第5実施形態のガイドワイヤ1Dは、第4実施形態と同様に、第2実施形態の構成において、コアシャフト10の先端部10dが、先端側固定部62Dから先端側(-X軸方向)に向かって突出している。第5実施形態では、先端側固定部62Dは、コアシャフト10の先端側に配置され、コアシャフト10の先端側の一部分と、コイル体20の先端側の一部分とを一体的に保持している。先端側固定部62Dは、第1実施形態と同様の接合剤を用いて形成されてもよく、異なる接合剤を用いて形成されてもよい。
第5実施形態では、伸縮部30Aの基端部と、コイル体20の先端部とは、図示しない接合部によって接合されている。この接合は、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤を使用して実施できる。
このように、先端側固定部62Dは、伸縮部30Aの基端部と、コアシャフト10の先端部10dと、コイル体20の先端部と、をそれぞれ固定していなくてもよい。第5実施形態の構成においても、伸縮部30Aが軸線O方向(図10:白抜き両矢印)に伸縮することで、コアシャフト10の先端部10dと、先端チップ51Aとの間の距離D3を変更可能とできる。このような第5実施形態のガイドワイヤ1Dにおいても、第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態のガイドワイヤ1Eの先端側の部分断面図である。第6実施形態のガイドワイヤ1Eは、第1実施形態とは異なる構成の伸縮部30Eを有する。
伸縮部30Eは、第1実施形態の伸縮部30と同様に、コアシャフト10の先端部10dから、軸線O方向に離間した位置で先端チップ51を保持し、基端側から先端側に向かって外径が縮径した中空形状を有する部材である。一方、第6実施形態の伸縮部30Eは、エラストマーにより形成された管状部材である。伸縮部30Eは、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の熱硬化性エラストマーを用いて形成されてもよく、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマーを用いて形成されてもよい。伸縮部30Eの先端側の外径D1は、基端側の外径D2よりも小さい(D1<D2)。なお、外径D1,D2は第1実施形態と同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。
図12は、第6実施形態のガイドワイヤ1Eの使用時の一例を示す図である。図示のように、第6実施形態のガイドワイヤ1Eにおいても、使用時にガイドワイヤ1Eの先端部に位置する先端チップ51が血管91の内壁91iに突き当たった場合、弾性を有する伸縮部30Eが収縮する(伸縮部30Eが変形して距離D3が短くなる)ことにより、緩衝効果を得ることができる。また、先端チップ51が内壁91iから離れた場合には、伸縮部30Eは収縮した状態から伸長した状態へと戻る(距離D3が長くなる)ため、伸縮部30Eによる緩衝効果を、繰り返し得ることができる。
このように、伸縮部30Eは、素線を巻回した円錐コイル体として構成されていなくてもよい。第6実施形態のガイドワイヤ1Eにおいても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、伸縮部30Eは、エラストマーにより形成された管状部材であるため、例えば、ガイドワイヤ1Eを閉塞病変等に進入させた場合においても、コイルの隙間における病変組織の噛み込み(挟み込み)を生じず、ガイドワイヤ1Eが閉塞病変等でスタックすることを抑制できる。
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態のガイドワイヤ1Fの先端側の部分断面図である。第7実施形態のガイドワイヤ1Fは、第6実施形態の構成において、軸線O方向に伸縮する蛇腹形状に形成された伸縮部30Fを有する。第7実施形態の構成においても、伸縮部30Fが軸線O方向(図13:白抜き両矢印)に伸縮することで、コアシャフト10の先端部10dと、先端チップ51との間の距離D3を変更可能とできる。
このような第7実施形態のガイドワイヤ1Fにおいても、第6実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、伸縮部30Fは、ガイドワイヤ1Aの軸線O方向に伸縮する蛇腹形状である。このため、伸縮部30Fの収縮時において、伸縮部30Fの先端側が軸線O方向からずれた方向(例えば、Y軸方向や、Z軸方向)に湾曲する軸ずれ現象の発生を抑制することができ、軸ずれ現象に伴うトルク伝達性の低下やトルク力の低下を抑制できる。
<第8実施形態>
図14は、第8実施形態のガイドワイヤ1Gの先端側の部分断面図である。第8実施形態のガイドワイヤ1Gは、第1実施形態の構成において、コイル体20に代えて、樹脂により形成された被覆層20Gを備えている。このように、ガイドワイヤ1Gは、コイル体20を備えていなくてもよい。第8実施形態のガイドワイヤ1Gによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第9実施形態>
図15は、第9実施形態のガイドワイヤ1Hの先端側の部分断面図である。第9実施形態のガイドワイヤ1Hは、第1実施形態の構成において、第1実施形態とは異なる構成の先端チップ51Hを有する。
先端チップ51Hには、先端部に、接触センサ60が埋め込まれている。接触センサ60は、接触に伴う圧力の変化、表面の変形、電気的変化等を検出することにより、接触センサ60の表面に対する血管内壁の接触を検出することができる。接触センサ60は、接触を検出した場合に、術者に対して接触を検出した旨を通知する。通知は、種々の手段を用いて実施できる。例えば、コアシャフト10の太径部17に埋め込まれたインジケータを点灯させてもよく、太径部17に埋め込まれた発音手段から警告音を発してもよく、ガイドワイヤ1Hに接続された医療デバイス(例えばコンピュータや、心電図等のモニタ装置)に警告を表示させてもよく、警告音を発生させてもよい。
このように、ガイドワイヤ1Hには、血管等の人体内部の損傷を抑制するための他のデバイスが組み込まれてもよい。第9実施形態のガイドワイヤ1Hによっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第10実施形態>
図16は、第10実施形態のガイドワイヤ1Jの全体構成を示す部分断面図である。第10実施形態のガイドワイヤ1Jは、第1実施形態の構成において、先端側固定部62を備えていない。第10実施形態では、伸縮部30の基端部と、コイル体20の先端部とは、図示しない接合部によって接合されている。この接合は、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤を使用して実施できる。このように、ガイドワイヤ1Jは、先端側固定部62を備えていなくてもよい。第10実施形態の構成においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
上記第1~10実施形態では、ガイドワイヤ1,1A~1Jの構成を例示した。しかし、ガイドワイヤの構成は種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態のガイドワイヤは、血管にカテーテルを挿入する際に使用される医療器具として説明したが、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官等、人体内の各器官に挿入されるガイドワイヤとして構成することもできる。例えば、ガイドワイヤは、第2縮径部16及び太径部17を備えず、コアシャフトの全体がコイル体に覆われた構成であってもよい。
[変形例2]
上記第1~10実施形態では、コアシャフト10,10B,10Cの構成を例示した。しかし、コアシャフトの構成は種々の変更が可能である。例えば、コアシャフトが、基端側に配置された第1コアシャフトと、先端側に配置された第2コアシャフト(リボンとも呼ぶ)とを備えており、第1コアシャフトと第2コアシャフトとが接合された構成であってもよい。この場合、伸縮部は、第2コアシャフトの先端部と、先端チップとの間の距離D3を変更可能な構成とすれば、上述した第1~10実施形態と同様の効果を奏することができる。
[変形例3]
上記第1~10実施形態では、コイル体20の構成の一例を示した。しかし、コイル体の構成は種々の変更が可能である。例えば、コイル体は、隣接する素線の間に隙間を有さない密巻きに構成されてもよく、隣接する素線の間に隙間を有する疎巻きに形成されてもよく、密巻きと疎巻きとが混合された構成であってもよい。また、コイル体は、例えば、疎水性を有する樹脂材料、親水性を有する樹脂材料、またはこれらの混合物によってコーティングされた樹脂層を備えていてもよい。例えば、コイル体の素線の横断面形状は、略円形でなくてもよい。
[変形例4]
上記第1~10実施形態では、伸縮部30,30A,30E,30Fの構成の一例を示した。しかし、伸縮部の構成は種々の変更が可能である。例えば、伸縮部を円錐コイル体として構成する場合、コアシャフトの周囲に巻回されているコイル体(20)と、伸縮部を構成する円錐コイル体(30)と、が1本の素線を用いて一連に形成されていてもよい。この場合、例えば、円錐コイル体を形成する素線を平板状にプレス加工すれば、第1実施形態等で説明した竹の子ばね形状を得ることができる。また、例えば、円錐コイル体を形成する素線を電解研磨して細径とすれば、第2実施形態等で説明したコイルばね形状を得ることができる。例えば、第1実施形態の構成において、伸縮部を形成する素線の横断面形状は略矩形形状でなくてもよい。また、第2実施形態の構成において、伸縮部を形成する素線の横断面形状は略円形でなくてもよい。
[変形例5]
上記第1~10実施形態のガイドワイヤ1,1A~1Jの構成、及び上記変形例1~4のガイドワイヤの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態のガイドワイヤ1A(図6)、第6実施形態のガイドワイヤ1E(図11)、及び第7実施形態のガイドワイヤ1F(図13)において、第9実施形態で説明した接触センサを備えていてもよく、第8実施形態で説明した被覆層を備えていてもよい。例えば、第6実施形態のガイドワイヤ1E(図11)や、第7実施形態のガイドワイヤ1F(図13)において、第3~第5実施形態で説明した配置の先端側固定部を備えていてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1,1A~1J…ガイドワイヤ
10,10B,10C…コアシャフト
11…第1細径部
12…第1縮径部
13…第2細径部
16…第2縮径部
17…太径部
20…コイル体
20G…被覆層
21…素線
30,30A,30E,30F…伸縮部
31,31A…素線
51,51A,51H…先端チップ
52…基端側固定部
60…接触センサ
61…中間固定部
62,62A~62D…先端側固定部

Claims (6)

  1. ガイドワイヤであって、
    コアシャフトと、
    先端チップと、
    前記コアシャフトの先端部から前記ガイドワイヤの軸線方向に離間した位置で前記先端チップを保持し、前記軸線方向に伸縮することで前記コアシャフトの先端部と前記先端チップとの間の距離を変更可能とする伸縮部であって、基端側から先端側に向かって縮径している伸縮部と、
    を備え
    前記伸縮部は、
    基端側から先端側に向かいコイル径が徐々に小さくなるように素線を巻回した円錐コイル体であり、
    圧縮時において、n(nは自然数)番目のコイルの外側と、前記n番目のコイルの基端側のn+1番目のコイルの内側との間にはクリアランスが設けられている、ガイドワイヤ。
  2. 請求項に記載のガイドワイヤであって、
    前記素線の横断面は略矩形形状であり、
    前記伸縮部は、伸長時において、前記n番目のコイルの外側と、前記n+1番目のコイルの内側との少なくとも一部が重畳された竹の子ばね形状である、ガイドワイヤ。
  3. 請求項に記載のガイドワイヤであって、
    前記素線の横断面は略円形形状であり、
    前記伸縮部は、伸長時において、前記n番目のコイルと、前記n+1番目のコイルとが前記軸線方向に離間したコイルばね形状である、ガイドワイヤ。
  4. イドワイヤであって、
    コアシャフトと、
    先端チップと、
    前記コアシャフトの先端部から前記ガイドワイヤの軸線方向に離間した位置で前記先端チップを保持し、前記軸線方向に伸縮することで前記コアシャフトの先端部と前記先端チップとの間の距離を変更可能とする伸縮部であって、基端側から先端側に向かって縮径している伸縮部と、
    を備え、
    前記伸縮部は、エラストマーにより形成された管状部材である、ガイドワイヤ。
  5. 請求項に記載のガイドワイヤであって、
    前記伸縮部は、前記軸線方向に伸縮する蛇腹形状である、ガイドワイヤ。
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載のガイドワイヤであって、さらに、
    前記コアシャフトの先端部と、前記伸縮部の基端部とを固定する固定部を備える、ガイドワイヤ。
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