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JP7058408B2 - ブラッシング動作のシミュレーション方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 1.平成28年度 機械システム工学専攻 修士論文審査会 前刷原稿(表題:口腔ケアスキルの最適化を目的としたブラッシング動作シミュレーション),国立大学法人岩手大学 2.平成28年度 機械システム工学専攻 修士論文審査会にて発表(表題:口腔ケアスキルの最適化を目的としたブラッシング動作シミュレーション)
本発明は、最適な口腔ケアスキルを導出・提示することができるブラッシング動作のシミュレーション方法に関する。
口腔内の常在菌により形成されるデンタルプラークは、う蝕や歯周病の原因である他、菌が歯周ポケットを通じ日常的に体内へ侵入することで心内膜炎や狭心症のリスクを高め、さらにその炎症因子によって糖尿病等の生活習慣病を助長することが知られている。加えて、高齢者がデンタルプラークによる誤嚥性肺炎で死に至るなど、全身への感染リスクが見過ごせないものとなっている。デンタルプラークは強固に歯面に粘着しており、機械的なブラッシングによる除去が不可欠である。
ブラッシングの位置、姿勢、部位、時間、回数、周期、力など、ブラッシングの状態を検出し、確認できる装置が提案されている(例えば特許文献1から3)。
特開2005-152217号公報 特開2017-060661号公報 特開2017-060662号公報
しかし、ブラッシングスキルを正確に評価する装置や、エビデンスに基づいた最適なブラッシング手技を獲得する方法が確立されていない。
ここで、最適なブラッシングとは、例えば、歯ブラシによる歯表面(歯面)の摩耗や歯肉の損傷を可及的に減じるために、歯面に対して歯ブラシから加わる力、すなわちブラッシング力を最小にしつつ、プラーク除去率を最大化するような歯ブラシの動かし方と定義できる。あるいはこれとは逆に、ブラッシング力を最大にしつつ、プラーク除去率を最小化するような悪条件に最も適した歯ブラシの動かし方を避けること、とも定義することもできる。歯面や歯肉へ為害作用を及ぼさない範囲内を条件に付与することもできる。
本発明は、このような目的に対して、最適なブラッシング動作をコンピュータシミュレーションにより導出し、可視化し、これをフィードバックすることができるブラッシング動作のシミュレーション方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の実施の形態によるブラッシング動作のシミュレーション方法は、歯ブラシを用いて特定の口腔部位に対しブラッシング動作を行わせるブラッシングステップと、次いで計測ステップとして、ブラッシングステップにおける歯ブラシの位置と姿勢を計測するブラッシング計測ステップ、ブラッシングステップにおける口腔部位に対する負荷パラメータを計測する負荷パラメータ計測ステップ、ブラッシングステップの後における口腔部位に対する評価パラメータを計測する評価パラメータ計測ステップがまず存在する。さらに計算ステップとして、ブラッシング計測ステップで計測した計測データを1ストローク毎に正規化する正規化処理ステップ、正規化処理ステップで処理した正規化データに対して主成分分析を行う主成分分析ステップ、主成分分析ステップで抽出された主成分の中から一部又は全ての主成分を解析対象として抽出する主成分抽出ステップと、主成分抽出ステップで抽出した主成分の主成分得点から、負荷パラメータと評価パラメータを予測するための重回帰分析を行う重回帰分析ステップ、重回帰分析ステップで得られた重回帰式を用いて目的関数を設定し、目的関数を最大化又は最小化する主成分得点を導出する最適化処理ステップ、最適化処理ステップで導出された主成分得点から、最適ブラッシング動作を再構築するブラッシング動作生成ステップがあり、最後に、ブラッシング動作生成ステップで再構築された最適ブラッシング動作を表示する可視化ステップとを有し、口腔部位を歯面又は歯肉とし、負荷パラメータを、歯ブラシを介して歯面又は歯肉に作用させるブラッシング力とし、評価パラメータを、ブラッシングステップの前後における歯垢等のデンタルプラークや歯石の除去効果を評価するプラーク等除去率とし、可視化ステップでは、1ストロークを複数段階又は一定時間に分けて、それぞれの段階又は一定時間での歯ブラシの位置と姿勢について、ブラッシング動作生成ステップで再構築された最適ブラッシング動作と被験者のブラッシング動作とを表示するものである。
本実施の形態によれば、ブラッシングステップでは、例えばブラッシングの位置、角度、力、速度、振幅、部位、被験者などを変えることで、様々なブラッシングを計測することができる。そして、ブラッシング計測ステップにおける計測データを正規化し、正規化した複数の条件の正規化データに対して、主成分分析ステップで運動の分解を行い、分解した運動(主成分得点)を変数として、負荷パラメータと評価パラメータを予測する重回帰式をそれぞれ求め、最適化処理ステップで目的関数を設定し、その目的を満足する最適な変数(主成分得点)を最適計算で求め、得られた最適値から、動作の再構築と可視化を行うことにより、予め計測した計測データとは異なる最適なブラッシング動作を生成することができる。また、歯面や歯肉への障害にもなり得るブラッシング力を最少にしつつ、プラーク等除去率を最大化にできるブラッシング動作を生成することができる。
本発明のブラッシング動作のシミュレーション方法によれば、最適なブラッシング動作をコンピュータシミュレーションにより導出し、可視化することができる。
本発明の一実施例によるブラッシング動作のシミュレーション方法を示す概念図 本実施例に用いた上顎歯列模型、模型歯、及び歯ブラシを示す図 磨き方パターンを示す図 プラークの付着状態を示す写真 正規化処理を示すグラフ 主成分分析結果を示す図 シミュレーションでFzmeanとEを用いて最適化したブラッシング動作(実線)と被験者のブラッシング動作(破線)との比較を可視化した図 シミュレーションでFzmeanとEを用いて最適化した動作と、最悪化した動作を再現して可視化した図
以下本発明の実施例について図面とともに説明する。
図1は本発明の一実施例によるブラッシング動作のシミュレーション方法を示す概念図である。
本実施例によるブラッシング動作のシミュレーション方法は、以下の処理手順で行う。
まず、測定空間内に基準座標系(xyz座標の原点と向き)を定め、その測定空間に、歯ブラシと歯列模型を設置する。測定データは、基準座標系を原点として、歯ブラシの位置と姿勢、及び歯列模型の位置と姿勢を計測する。なお、本実施例では、歯列模型はテーブルに固定され、静止状態にあるが、実際のブラッシング指導の際には、対象者の歯列の位置と姿勢が変化するため、その位置と姿勢に応じて、導出した最適な歯ブラシの位置と姿勢を座標変換してから可視化する必要がある。
歯ブラシを用いて特定の口腔部位である歯面や歯肉に対しブラッシング動作を行わせ(ブラッシングステップ1)、ブラッシングステップ1における歯ブラシの位置と姿勢を計測するとともに(ブラッシング計測ステップ2)、口腔部位である歯面や歯肉に対する負荷パラメータ(ブラッシング力)を計測する(負荷パラメータ計測ステップ3)。ブラッシングステップ1における計測は、対象者の歯型をとり(印象採得し),作成した歯列模型を用いることが好ましい。
また、ブラッシングステップ1の後における口腔部位に対する評価パラメータ(プラーク除去率)を計測する(評価パラメータ計測ステップ4)。ブラッシングステップ1において歯列模型でなく対象者の実際の口腔部位をブラッシングの対象とする場合は,評価パラメータ計測ステップ4では、例えば、対象者の口腔部位に対して,実際に歯垢染色剤で着色し、この着色の除去率を数値化し、又はUVなどを用いてブラッシングステップ1の前後における実際の歯垢や歯石を計測する。すなわち、評価パラメータ計測ステップ4では、ブラッシングステップ1の前後における歯垢等のデンタルプラークや歯石の除去効果を評価する。
ブラッシング計測ステップ2で計測した計測データは、1ストローク毎に正規化する(正規化処理ステップ5)。
正規化処理ステップ5で処理した正規化データに対して主成分分析を行う(主成分分析ステップ6)。主成分分析ステップ6で抽出された主成分の中から累積寄与率が所定値以上を満たす主成分を解析対象として抽出する(主成分抽出ステップ7)。なお、本実施例では、主成分の中から累積寄与率が所定値以上を満たす主成分を解析対象として抽出したが、全ての主成分を解析対象としてもよく、又は例えばブラッシング力及びプラーク等除去率の少なくとも一方と相関のある主成分のみを抽出、すなわち累積寄与率ではなく一部の主成分を抽出してもよい。
主成分抽出ステップ7で抽出した主成分の主成分得点から、負荷パラメータと評価パラメータを予測するための重回帰分析を行う(重回帰分析ステップ8)。
重回帰分析ステップ8で得られた重回帰式を用いて目的関数を設定し、目的関数を最大化又は最小化する主成分得点を導出する(最適化処理ステップ9)。なお、本実施例では、重回帰分析を用いたが、重回帰分析に代えて、予測式を作成できる他の多変量解析を用いることもできる。
最適化処理ステップ9で導出された主成分得点から、最適ブラッシング動作を再構築する(ブラッシング動作生成ステップ10)。
ブラッシング動作生成ステップ10で再構築された最適ブラッシング動作を表示する(可視化ステップ11)。
正規化処理ステップ5から可視化ステップ11は、コンピュータによって行わせることができる。
以下に、負荷パラメータを、歯ブラシを介して歯面又は歯肉に作用させるブラッシング力とし、評価パラメータを、プラーク除去率として本発明の実施例を説明する。
図2は、本実施例に用いた上顎歯列模型、模型歯、及び歯ブラシを示している。
図2(a)に示すように、上顎歯列模型1の模型歯2の左側中切歯唇側を被験歯面とした。歯ブラシ3の歯ブラシヘッド部3aには、ブラッシング力を計測する力覚センサ4を設けている。なお、歯ブラシ3の位置と姿勢(3次元運動)は、磁気式3次元位置・姿勢計測システムで計測した(図示を省略)。ブラッシング力は、歯ブラシヘッド部3aを加工し、許容値 FX=FY=±2.ON、FZ=2.ONの小型3軸力覚センサ(SP22-FFC15、Touchence Inc.)を2個組み込むことで、ブラッシング時の合力ベクトルFと作用点Lを計測した(図2(b))。
3名を被験者とし、実験には図2に示す上顎歯列模型1、模型歯2、そして人工プラークを用いた。
まず、人工プラークの付着量に差が生じないようにエタノールで模型歯2を拭き、歯面の前面に均一に塗布した。
次に、できるだけ多くのブラッシングパターンをデータベース化するために、力や振幅、速さ、磨く部位などが異なる種類の磨き方を被験者に指示した。
図3は、磨き方パターンを示している。歯頚部については、磨き方のパターンの中に動作を繰り返させることで複数回計測した。これは、人のブラッシング動作がある程度ばらつくことが予測されること、そして、歯頚部のプラーク除去率に焦点を当てて、後に最適化計算を行うためである。
ストローク回数は各磨き方に対して16回と設定した。ブラッシング後はプラーク除去率を求めるために歯面の撮影を行った。撮影は一定の環境で行うために、LEDライトが固定された遮光BOXの中で、デジタルカメラと被写体との位置を105mm、ISO感度を80、画素数を1410万画素で行った。写真には画像処理ソフト(ImageJ)を用いて画像処理を行うことでプラーク除去率を算出した。
図4はプラークの付着状態を示す写真である。
図4(a)に示すように、プラーク除去率は、歯頚部と、中央部と、それらの合計との3種類とした。図4(b)はブラッシング後のプラークの付着状態を示している。
図5は正規化処理を示している。
変数は、歯ブラシの座標(x、y、z)、角度(α、β、γ)、座標と角度を微分し求めた速度(x’、y’、z’)、加速度(x’’、y’’、z’’)、角速度(α’、β’、γ’)、角加速度(α’’、β’’、γ’’)の18パラメータ、ブラッシング時間(t)の1パラメータからなる合計19パラメータとし、これらを1ストロークごとに切り出して平均化を行い、0から100%まで1%刻み(101フレーム)で表示できるように正規化を行い、主成分分析を行った。
1919変数(19パラメータ×101フレーム)全てについて、式(1)を用いて平均0、分散1となるように正規化した。
Figure 0007058408000001
ここで、Zは正規化された値、Xは実測値、μは加算平均、σは標準偏差である。
主成分分析ステップ6では、正規化処理ステップ5で処理した正規化データから68試行×1919変数(19パラメータ×101フレーム)の行列(この行列が後述する[データベースの値]に相当する)を作成し主成分分析を行った。主成分分析によって、ブラッシング運動を、別の視点で表現している。なお、図3に示す25種類×3名=75試行のデータのうち、16ストローク以上磨いてしまい解析対象から外れたデータを除く68試行を分析対象データとして用いた。
図6は、主成分分析結果を示し、主成分分析の寄与率、累積寄与率、また、各主成分(PCV)毎のブラッシング力と除去率のそれぞれと主成分得点の相関を示している。
主成分の個数は累積寄与率>95%を満たす範囲とすると、主成分分析の結果より、18個の主成分でブラッシングを表すことができる。
主成分分析を行うことで、任意の被験者データ(座標、角度、ブラッシング力など)から固有ベクトル行列を介してその被験者の主成分得点を求めることができる。また逆に、主成分得点から固有ベクトル行列を介してある被験者データ(座標、角度、ブラッシング力など)を求めることもできる。この特性を用いて最適な主成分得点を求めることで、最適なブラッシングを導き出せる。すなわち、[主成分得点]=[固有ベクトル行列][データベースの値]の関係であり、実際に測定したデータベースに含まれていないブラッシング動作も導き出すことができる。
次に重回帰分析ステップ8と最適化処理ステップ9について説明する。
主成分分析によって得た主成分得点と、ブラッシング力、プラーク除去率に重回帰分析を行い、それぞれの重回帰係数を求める。
重回帰分析を用いて、主成分得点からZ方向のブラッシング力の平均Fzmeanと歯頚部のプラーク除去率Eを求めた(式2)。なお、負荷パラメータには、合力の大きさ、歯ブラシヘッド部に垂直な力の成分、接線方向成分,あるいは1ストロークにおける各成分の最大値、平均値、積算値などが考えられるが、今回はこのうちの垂直に押し付ける力の平均値を選択した。またプラーク除去率も、歯頚部、中央部、全体(それから隣接部)などがあるが、今回は歯頚部を選択した。
Figure 0007058408000002
ここで、Eはプラーク除去率、Fはブラッシング力、 PCSは主成分得点、Aはブラッシング力の重回帰係数、Bはプラーク除去率の重回帰係数、kは主成分数(k=1、2、・・・N)、N=18,C0及びD0は定数項である。なお、N=18は累積寄与率>95%を満たす主成分数である。
ブラッシング力が大きすぎると摩耗し歯のエナメル質や象牙質が侵食され、結果として欠損を生じる要因となる。そのため、歯面や歯肉へ為害作用を及ぼさないようにブラッシング力はできるだけ小さくしたい。また、プラーク除去率は高いほうがいい。
そこで目的関数に用いる式を式3とし、これを最大にするPCSを求めること、すなわち、単位ブラッシング力あたりのプラーク除去率を最大化することを目的とする。また、比較対象として式3が最小となる条件も検討する。
Figure 0007058408000003
次に、目的関数の制約条件について述べる。ブラッシング力Fに関しては、実測値のFzmeanの最大値、最小値を探索範囲とし、プラーク除去率Eに関しては実測値のEの最大値、最小値の範囲とした。また、求めるPCSにもPCVごとの最大値、最小値を制約条件として適用した。
次に可視化ステップ11について説明する。
最適化処理ステップ9で導出された主成分得点から、最適ブラッシング動作を再構築することで、最適ブラッシング動作を表示できる。すなわち、[最適ブラッシング動作] =[固有ベクトル行列]-1 [導出された主成分得点]の関係となる。
図7は、最適化したブラッシング動作(実線)と被験者のブラッシング動作(破線)との比較を可視化した図である。図7では、1ストロークを100%として、歯ブラシ3の位置と姿勢を示している。従って、図7は、1ストロークを6段階に分けて、それぞれの段階での歯ブラシ3の位置と姿勢について、最適化したブラッシング動作と被験者のブラッシング動作とを示している。また,最適化シミュレーションでは,最適化したブラッシング動作を実施する最適な1ストロークの時間も同時に得られるため,図7の描写をストロークの段階ごとではなく,一定時間ごとに描写することで,ブラッシングのスピードの可視化とそれによる比較も可能である。
zmeanと除去率Eで最適化をした場合、元の動作よりもブラッシング動作が+X方向に移動していることから、歯ブラシ3の中央部で磨いていて、歯ブラシ3が歯頚部側に傾いているのが分かる。また、歯ブラシ3が歯頚部側に移動していることが確認された。これは、歯頚部の除去率で最適化を行ったために歯頚部をより磨こうと移動したと考えられる。
図8では、シミュレーションで上記式2によるFzmeanとEを用いて最適化した動作と、最悪化した動作を再現して可視化した。
このように、主成分分析ステップ6と、重回帰分析ステップ8と、最適化処理ステップ9とによってブラッシングの最適化シミュレーションを行える。
このように、本実施例では、1ストロークを複数の段階に分け、各段階での歯ブラシ3の位置と姿勢とを表示して、歯ブラシ3の位置と姿勢の変化の様子を任意視点で可視化することで、最適化前後の歯ブラシ3の動かし方の違いを視覚的に確認することができる。更に最適化した動作、最悪化した動作、及び実際の動作を比較して描写することもできる。
また、時間経過に伴う歯ブラシ3の動きを任意視点における動画像として描写することで、実時間におけるブラッシングの様子やスピードを可視化することができる。更に異なる目的関数を用いて最適化した複数のブラッシング動作の比較も同様である。
なお、可視化にあたっては、理想的な歯ブラシ3の動きと力ベクトルに加えて、実際の動きから予想される力ベクトルの推定値を可視化するか、又は力センサを内蔵した歯ブラシ3を用いて実際の力ベクトルを可視化することもでき、歯ブラシ3の動きと力を視覚的にフィードバックしながら個々の患者に適したブラッシング指導を行え、また個々の患者が各自で最適化したブラッシングを行うことができる。
本発明によれば、従来には出来なかった個々人に最適な歯磨き方法、すなわち歯面や歯肉に為害作用を及ぼさない範囲でプラーク除去を確実に行える最適なブラッシング力を使用者に提示でき、適切な口腔ケアを可能にするシステムを提供できる。
また本発明によれば、事前に作られた多種な磨き方のデータベースと、力覚センサ4付きの歯ブラシ3にてブラッシングしたデータを基に、その人に合った磨き方を最適化計算により導出し提示できる。
また、本発明によれば、歯ブラシ毎に事前にデータベースを作成しておけば、各歯ブラシの特徴やその最適な使い方、個人に適した歯ブラシの選定、実際に使用している歯ブラシに最適なブラッシング方法などを提示することができる。
また、ブラッシング力やプラーク等除去率を有限要素解析などでコンピュータシミュレーションした結果データを実測値と置き換えることもできる。
なお、本実施例ではプラーク除去率を評価パラメータとしたが、歯石の除去率、歯周病菌の除去率、歯茎のマッサージ効果などを評価パラメータとしてもよく、また歯ブラシを動かす距離やスピード、振動数(周期)などの動きの要素を負荷パラメータに加えてもよく、最適化計算に用いる負荷パラメータ、評価パラメータ、及び目的関数は自由に設定することができる。また、本実施例では、歯ブラシヘッド部に作用するブラッシング力を用いたが、歯ブラシのネック部やグリップ部を測定対象とすることもできる。
本発明は、個人に対してだけではなく、歯科医療従事者や口腔ケアに携わる介助者などに対しても、ブラッシングスキルの評価や改善に適している。
1 上顎歯列模型
2 模型歯
3 歯ブラシ
3a 歯ブラシヘッド部
4 力覚センサ
ステップ1 ブラッシングステップ
ステップ2 ブラッシング計測ステップ
ステップ3 負荷パラメータ計測ステップ
ステップ4 評価パラメータ計測ステップ
ステップ5 正規化処理ステップ
ステップ6 主成分分析ステップ
ステップ7 主成分抽出ステップ
ステップ8 重回帰分析ステップ
ステップ9 最適化処理ステップ
ステップ10 ブラッシング動作生成ステップ
ステップ11 可視化ステップ

Claims (1)

  1. 歯ブラシを用いて特定の口腔部位に対しブラッシング動作を行わせるブラッシングステップと、
    前記ブラッシングステップにおける前記歯ブラシの位置と姿勢を計測するブラッシング計測ステップと、
    前記ブラッシングステップにおける前記口腔部位に対する負荷パラメータを計測する負荷パラメータ計測ステップと、
    前記ブラッシングステップの後における前記口腔部位に対する評価パラメータを計測する評価パラメータ計測ステップと、
    前記ブラッシング計測ステップで計測した計測データを1ストローク毎に正規化する正規化処理ステップと、
    前記正規化処理ステップで処理した正規化データに対して主成分分析を行う主成分分析ステップと、
    前記主成分分析ステップで抽出された主成分の中から一部又は全ての前記主成分を解析対象として抽出する主成分抽出ステップと、
    前記主成分抽出ステップで抽出した前記主成分の主成分得点から、前記負荷パラメータと前記評価パラメータを予測するための重回帰分析を行う重回帰分析ステップと、
    前記重回帰分析ステップで得られた重回帰式を用いて目的関数を設定し、前記目的関数を最大化又は最小化する主成分得点を導出する最適化処理ステップと、
    前記最適化処理ステップで導出された前記主成分得点から、最適ブラッシング動作を再構築するブラッシング動作生成ステップと、
    前記ブラッシング動作生成ステップで再構築された前記最適ブラッシング動作を表示する可視化ステップと
    を有し、
    前記口腔部位を歯面又は歯肉とし、
    前記負荷パラメータを、前記歯ブラシを介して前記歯面又は前記歯肉に作用させるブラッシング力とし、前記評価パラメータを、前記ブラッシングステップの前後における歯垢等のデンタルプラークや歯石の除去効果を評価するプラーク等除去率とし、
    前記可視化ステップでは、1ストロークを複数段階又は一定時間に分けて、それぞれの前記段階又は前記一定時間での前記歯ブラシの位置と姿勢について、前記ブラッシング動作生成ステップで再構築された前記最適ブラッシング動作と被験者の前記ブラッシング動作とを表示する
    ことを特徴とするブラッシング動作のシミュレーション方法。
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