JP7055013B2 - 塩化マグネシウム及び乳酸カリウムを含有する即席麺 - Google Patents
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Description
本発明に用いる原料について、詳細に説明する。
塩化マグネシウムとしては、純度の高い塩化マグネシウムに限らず、苦汁(にがり)等の塩化マグネシウムを主成分とする添加物を用いることができる。塩化マグネシウムは苦味の強い素材であるため、塩化ナトリウム使用量を減らしたことによる塩味の低下を、塩化マグネシウムのみで補おうとすると苦味が強く出てしまい、喫食に適さなくなってしまう。
乳酸カリウムは、単独では酸味や苦味が強いが、塩味増強効果があり、且つ上述の塩化マグネシウムとは苦味の質が異なるため、塩化マグネシウムと一定比率で併用することで、乳酸カリウム特有の酸味や苦味を抑えつつ塩味を強化することが可能である。さらに、原料粉がマスキング効果のある澱粉を含んでいるため、塩味、苦味、酸味が澱粉によってマスキングされて、より塩化ナトリウムとの差異が解りにくくなる。
本発明では、一定量の塩化ナトリウムを配合してもよい。塩化ナトリウムを過剰に摂取すると高血圧症や心疾患等のリスクが高まるといわれているが、塩味を誘起する最も一般的な物質であり、代替物(塩化マグネシウムや乳酸カリウム)の異味を緩和することができる。また、上述の通り、塩化ナトリウムは、グルテンに作用して麺線の弾性や伸展性を強化し、製麺性や食感を改善する。このため、本発明においても塩化ナトリウムを一定量配合することが好ましい。
原料粉としては、小麦粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉、トウモロコシ粉、小豆粉、大豆粉、ソバ粉及びキヌア粉等の穀粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉及びコーンスターチ等の澱粉、並びにアセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋デンプン等の加工澱粉などを使用することができる。
本発明では、必要に応じてかんすいを加えても良い。かんすいとは、中華麺の製造に用いるアルカリ塩のことを指し、具体的には、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸等のピロリン酸塩、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩、メタ燐酸カリウム、メタ燐酸ナトリウム等のメタリン酸塩、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩などが挙げられる。
(1)かんすいが有機物に作用し、ピロリジンやトリメチルアミン等のアルカリ臭が生じる。
(2)かんすい加えることで、小麦に含まれるグルテンが収斂し、コシや滑らかさが向上する。
(3)かんすいが小麦に含まれるフラボノイド系色素に作用し、中華麺特有の淡黄色に呈色する。
本発明では、必要に応じて、その他原料を添加することができる。例えば、塩化ナトリウムの塩味代替物として広く使用されている塩化カリウム、麺の食感を調整するために使用されるキサンタンガム、ペクチン等の増粘多糖類、麺の色相を調整するために使用される全卵(中華麺)やほうれん草(翡翠麺)、麺の風味を調整するために添加される香料等、麺の生産性を高めるための油脂等を使用できる。
次に即席麺の製造方法について例示するが、これに限定されるものではない。
原料粉に、かんすい、塩化ナトリウム等を含有する練水を給水し、これを混捏してドウを製造する。混捏時間には特に限定はないが、5~30分混捏するのが一般的である。また、混捏に使用するミキサーの種類には特に限定はなく、バッチ型ミキサーやフロージェットミキサー等を適宜使用できる。また、練水には、必須成分である還元糖や、増粘多糖類及びかんすい等の副原料を添加しても良い。
生麺線の製造方法としては、(ア)工程1で得られたドウを複合・圧延して所定の厚さの麺帯を製造し、切刃等を用いて切出す方法(切出麺)、(イ)ドウを所定のサイズの穴から押し出す方法(押出麺)、(ウ)ドウによりをかけながら延ばして麺状に成型する方法(手延麺)等が挙げられる。なお、切出麺としては中華麺、うどん等、押出麺としてはスパゲティー等、手延麺としては素麺等が例示できる。また、これらの方法を組み合わせても良く、例えば、押出によって麺帯を製造し、切出す方法(製法(ア)と製法(イ)の組合せ)等が利用できる。
本発明では、必要に応じて生麺線を蒸煮及び/又はボイルによってα化させる。小麦粉等に含まれる澱粉は、生澱粉と呼ばれ分子構造が緻密で消化が悪いが、水を加えて加熱すれば分子構造が崩れてα化澱粉となり消化しやすくなる。処理温度には特に制限はなく、常圧の水蒸気で蒸煮する場合やボイルする場合の処理温度は95~100℃、過熱水蒸気を用いる場合には100~350℃で処理するのが一般的である。
本発明では、必要に応じて着味工程を設ける。着味方法には特に限定はないが、麺線を着味液に浸漬させる浸漬方式や、着味液を麺線に吹付けるシャワー方式等を適宜用いることができる。なお、着味後、自然乾燥等で水分調整しても良い。なお、着味工程において、本発明の必須成分である塩化マグネシウム及び還元糖を添加しても良い。
切出麺の場合、麺線は着味工程までは連続してコンベヤ上を運ばれるのが通常であり、切出工程において一食分にとりまとめるために切断される。そして、切断された麺線はリテーナー(金属製型枠)に自動的に型詰される。なお、押出麺や手延麺の場合は切出・型詰工程を経ずに乾燥工程に移行するのが一般的である。
麺線を100℃以上で乾燥することによってメイラード反応が進行し、好ましい調理感や外観を実現できる。したがって、本発明では100℃以上で乾燥させる工程を設けることが好ましい。なお、乾燥温度としては100~200℃がより好ましい。
瞬間熱乾燥法とは、麺線を100~200℃の熱油に1~4分通過させることにより、麺線の水分を2~5重量%程度まで脱水乾燥させる方法である。なお、瞬間油熱乾燥法は切出麺は、型詰を要しない押出麺や手延麺には一般的には用いられない。
熱風乾燥法とは、麺線を50~170℃の熱風に10~180分晒すことにより、麺線の水分を8~15重量%程度まで乾燥させる方法である。熱風乾燥法では、麺線を型詰する必要が無いため、切出麺だけでなく押出麺や手延麺にも利用することができる。
小麦粉900g、タピオカアセチル化デンプン100部を紛体混合し、水345部、塩化ナトリウム15部、かんすい3部(炭酸カリウム:炭酸ナトリウム=3:2)からなる練り水を加え、バッチ型ミキサーで15分間ミキシングして麺生地(ドウ)を製造した。
α化麺線1を、水、塩化ナトリウム70部、塩化マグネシウム六水和物20部、乳酸カリウム(純度78%)5部からなる着味液(1000ml)に20秒間浸漬し、比較例1と同様の条件で乾燥させて水分が2重量%の即席麺11(実施例1)を製造した。
着味液を表1~3の通り変更して即席麺2~6(比較例2~6)、及び即席麺12~32(実施例2~22)を得た。各即席麺の塩化マグネシウム、乳酸カリウム及び塩化ナトリウムの濃度は表1~3に記載の通りである。
即席麺(66g/個)に熱湯300mlを注ぎ、蓋をして3分静置して麺を湯戻した。湯戻しした麺を箸でほぐした後、充分に湯切りしてから、パネラー10名により塩味、苦味及び酸味の感応評価試験を行った。
ポジティブコントロール(比較例1)とネガティブコントロール(比較例2)を基準に、以下の通り評価した。
×:比較例2と比較して塩味が同等、又塩味が弱いと評価したパネラーが9名以上
○:比較例1と比較して塩味が同等、又塩味が強い評価したパネラーが9名以上
△:上記以外(○と×の中間)の評価
ポジティブコントロール(比較例1)とネガティブコントロール(比較例3)を基準に、以下の通り評価した。
×:比較例3と比較して酸味が同等、又は酸味が強い(悪い)評価したパネラーが9名以上
○:比較例1と比較して酸味が同等、又は酸味を感じないと評価したパネラーが9名以上
△:上記以外(○と×の中間)の評価
ポジティブコントロール(比較例1)とネガティブコントロール(比較例5)を基準に、以下の通り評価した。
×:比較例5と比較して苦味が同等、又は苦味が強い(悪い)評価したパネラーが9名以上
○:比較例1と比較して苦味が同等、又は苦味を感じないと評価したパネラーが9名以上
△:上記以外(○と×の中間)の評価
乳酸カリウムの添加量を増やすと酸味が強まる傾向があるが、塩化マグネシウムと併用することで、酸味を抑制されることがわかった(比較例1、3、4、実施例1~6、12~17参照)。また、乳酸カリウムの添加量が少ない場合には塩味と苦味の評価が低い傾向だが、適正量添加することで塩味と苦味の評価が改善した(実施例1~3、12~14)。
Claims (3)
- 塩化マグネシウム、乳酸カリウム、塩化ナトリウム及び原料粉を含んでなる即席麺であって、
即席麺全量に対して、塩化マグネシウムを0.05~1.50重量%、乳酸カリウムを0.10~2.50重量%含有し、
且つ、塩化ナトリウム/塩味成分の重量比が0.55~0.80であることを特徴とする即席麺。
ただし、塩味成分とは即席麺に含まれる塩化マグネシウム、乳酸カリウム、及び塩化ナトリウムを指す。 - 即席麺全量に対して、塩化マグネシウムを0.10~0.70重量%含有することを特徴とする請求項1記載の即席麺。
- 即席麺全量に対して、乳酸カリウムを0.20~1.50重量%含有することを特徴とする請求項1又は2記載の即席麺。
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