JP7047417B2 - レンズシートユニット、撮像モジュール、撮像装置 - Google Patents
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Description
前述のように撮像レンズは、複数枚のレンズにより構成されるため、大型であり、ライトフィールドカメラの小型化、薄型化が困難であった。また、隔壁シートを配置する場合には、隔壁とマイクロレンズアレイとの位置合わせが困難であるという問題があった。
第1の発明は、撮像モジュール(20)において撮像素子部(21)よりも光の入射側に配置されるレンズシートユニットであって、第1単位レンズ形状(112)を有し、シート面に沿って一方向に延在し、延在する方向と交差する方向に複数配列された第1光透過部(111)、及び、隣り合う前記第1光透過部の間に設けられた第1光吸収部(113)を備える第1レンズシート(11)と、前記第1レンズシートよりも撮像素子部側に配置され、第2単位レンズ形状(122)を有し、シート面に沿って一方向に延在し、延在する方向と交差する方向に複数配列された第2光透過部(121)、及び、隣り合う前記第2光透過部の間に設けられた第2光吸収部(123)を備える第2レンズシート(12)と、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートを接合する接合部(101)と、を備え、前記第1光透過部の配列方向(R11)と、前記第2光透過部の配列方向(12)とは、光軸方向から見て交差しており、前記接合部は、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの端面の少なくとも一部を被覆するように設けられること、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第2の発明は、第1の発明のレンズシートユニットにおいて、前記接合部(101)は、樹脂製であり、前記第1レンズシート(11)及び前記第2レンズシート(12)の少なくとも一方には、前記接合部の近傍に、前記接合部を形成する樹脂が、該レンズシートユニットにおいて光が透過する領域である有効領域へ流出することを抑止する流出抑止部(125)が形成されていること、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のレンズシートユニットにおいて、該レンズシートユニットの厚み方向における前記第1単位レンズ形状(112)の頂点と前記第2単位レンズ形状(122)の頂点との間の距離は、0~3μmであること、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかのレンズシートユニットにおいて、前記第1レンズシート(11)の前記第2レンズシート(12)とは反対側、及び、前記第2レンズシートの前記第1レンズシートとは反対側の少なくとも一方には、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの平面性を維持する支持部材(13)が接合されていること、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第5の発明は、第4の発明のレンズシートユニットにおいて、前記支持部材は、記第1レンズシートの前記第2レンズシートとは反対側に接合され、所定の領域の赤外線を遮蔽する機能を有する赤外線遮蔽シート(13)であること、を特徴とするレンズシートユニット(10)である。
第6の発明は、入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部(21)と、前記撮像素子部よりも光の入射側に設けられた第1の発明から第5の発明までのいずれかのレンズシートユニット(10)と、を備える撮像モジュール(20)である。
第7の発明は、第6の発明の撮像モジュールにおいて、前記レンズシートユニット(10)と前記撮像素子部(21)とは一体に接合されていること、を特徴とする撮像モジュール(20)である。
第8の発明は、第6の発明又は第7の発明の撮像モジュール(20)を備える撮像装置(1)である。
第9の発明は、第1単位レンズ形状(11)を有し、シート面に沿って一方向に延在し、延在する方向と交差する方向に複数配列された第1光透過部(111)、及び、隣り合う前記第1光透過部の間に設けられた第1光吸収部(113)を備える第1レンズシート(11)と、前記第1レンズシートの一方の面に対向するように配置され、第2単位レンズ形状(122)を有し、シート面に沿って一方向に延在し、延在する方向と交差する方向に複数配列された第2光透過部(121)、及び、隣り合う前記第2光透過部の間に設けられた第2光吸収部(123)を備える第2レンズシート(12)と、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートを接合する接合部(101)と、を備えるレンズシートユニット(10)の製造方法であって、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートを形成するレンズシート形成工程と、前記第1レンズシートと前記第2レンズシートを厚み方向に積層して加圧しながら前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの端面の少なくとも一部を被覆するように接合部(101)を設ける接合部形成工程と、を備えること、を特徴とするレンズシートユニットの製造方法である。
第10の発明は、第9の発明のレンズシートユニットの製造方法において、前記レンズシート形成工程では、前記第1レンズシート(11)及び前記第2レンズシート(12)の少なくとも一方に、そのレンズシートの光透過部の配列方向に直交する方向に沿って、接合部(101)の流出を抑止する流出抑止部(125)を形成する流出抑止部形成工程を備え、前記接合部形成工程において、前記接合部として樹脂を前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの端面の少なくとも一部に塗付して硬化させること、を特徴とするレンズシートユニットの製造方法である。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
また、本明細書中において、シート面とは、シート状の部材において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
図1は、第1実施形態のカメラ1を説明する図である。
図2は、第1実施形態の撮像モジュール20を説明する図である。
図1を含め、以下に示す各図において、理解を容易にするために、XYZ直交座標系を適宜設けて示している。この座標系では、撮影者が、光軸Oを水平として画像を撮影するとき、水平方向(左右方向)をX方向、鉛直方向(上下方向)をY方向とし、撮影者側から見て左側(被写体側から見て右側)に向かう方向を+X方向、鉛直方向上側に向かう方向を+Y方向、光軸O方向をZ方向とし、被写体側に向かう方向を+Z方向とする。
カメラ1は、スマートフォン等の携帯電話やタブレット端末等の携帯端末に用いられる撮像装置であり、この筐体30は、ここでは携帯端末本体の筐体に相当する。このカメラ1は、さらに、不図示の制御部、記憶部等を備えている。これに限らず、カメラ1は、筐体30をカメラ本体の筐体として備える、一般的な撮像装置としてもよい。この場合、カメラ1は、前述の制御部、記憶部等に加えて、不図示のシャッタ部、シャッタ駆動部等を備える。
カバーシート32は、透光性を有するガラス又は樹脂により形成されたシート状の部材であり、筐体30の開口部31を塞ぐように配置されている。被写体側からの光は、このカバーシート32を透過して、撮像モジュール20へ入射する。
この撮像モジュール20は、不図示の支持部材により支持され、カメラ1内の所定の位置に固定されている。
レンズシートユニット10及びイメージセンサ21は、矩形状の平板状の部材である。光軸Oは、レンズシートユニット10の有効領域(光が透過する領域)及びイメージセンサ21の受光領域の幾何学的中心に直交している。
図4は、第1レンズシート11の光透過部111及び第2レンズシート12の光透過部121の配列方向を説明する図である。
なお、前述の図2及びこの図3,図4等において、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、理解を容易にするために、略正方形形状である例を示しているが、これに限らず、例えば、長方形形状等であってもよい。
図6は、第2レンズシート12を説明する図である。図6では、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向及び第2レンズシート12の厚み方向に平行な断面の一部を拡大して示している。
図7は、第2レンズシート12に設けられた流出抑止部となる溝部125を説明する図である。図7(a)は、第2レンズシート12を平面視した図であり、図7(b)は、図7(a)に示す矢印A1-A2での第2レンズシート12の断面の一部を拡大して示す図である。
赤外線遮蔽シート13は、例えば、所定の波長域(700~1100nm)の赤外線を吸収することにより遮蔽するシートとしてもよいし、所定の波長域(700~1100nm)の赤外線を反射することにより遮蔽するシートとしてもよい。
また、所定の波長域の赤外線を吸収することにより遮蔽する赤外線遮蔽シート13は、PET樹脂やPC樹脂等の樹脂、又は、ガラス粉末に、赤外線吸収特性を有する材料を含有させ、シート状に溶融形成し、硬化させる等によっても形成可能である。
この反射防止層は、例えば、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
本実施形態では、赤外線遮蔽シート13の被写体側の面は、レンズシートユニット10への光の入射面である。従って、赤外線遮蔽シート13の被写体側の面に、反射防止層を形成することにより、赤外線遮蔽シート13と空気との界面での反射を抑制し、入射光量の増加を図ることができる。
赤外線遮蔽シート13は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12よりも剛性が高いことが、レンズシートユニット10の平面性を向上させる観点から好ましい。
この接合層は、接着剤又は粘着剤により形成され、光透過性を有している。また、この接合層は、後述する第1レンズシート11の光透過部111や赤外線遮蔽シート13との屈折率差が可能な限り小さいことが好ましい。
光透過部111は、光を透過する部分であり、イメージセンサ21側(-Z側)に、凸形状の単位レンズ形状112を有している。第1レンズシート11のイメージセンサ21側の面は、単位レンズ形状112が複数配列されたレンズ形状面11aとなっている。
単位レンズ形状112は、イメージセンサ21の受光面(+Z側の面)上が焦点となるように光を集光する機能を有しており、その曲率半径Rや屈折率(光透過部の屈折率)N1は、イメージセンサ21の受光面上が焦点となるように設定されている。
本実施形態の光透過部111は、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、紫外線成形法により形成されている。
なお、これに限らず、光透過部111は、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。また、光透過部111は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形法等により形成してもよいし、ガラスにより形成してもよい。
また、単位レンズ形状112の表面には、反射防止機能を有する不図示の層がコーティングされている。この反射防止機能を有する層は、反射防止機能を有する材料(例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、二酸化ケイ素(SiO2)、フッ素系光学用コーティング剤等)を所定の膜厚でコーティングする等により形成することができる。
光吸収部113は、その配列方向及び第1レンズシート11の厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。
光吸収部113は、光透過部111内を進む光のうち、隣接する他の光透過部111側へ向かうような迷光を吸収する機能を有する。
光吸収部113に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材が好適である。このような部材としては、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等が挙げられる。
光吸収材としては、カーボンブラック等と上記のような着色された樹脂粒子と組み合わせて用いてもよい。
光吸収材を含有する樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
本実施形態の光吸収部113は、カーボンブラックを含有するアクリル系樹脂により形成されている。
光透過部111(単位レンズ形状112)の配列ピッチPは、約20~230μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112の曲率半径Rは、約10~180μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ開口幅D1は、光透過部111の配列方向において、光透過部111のレンズ形状面11a側の寸法(光透過部111と光吸収部113の最もレンズ形状面11a側端部との境界となる点t1~点t2間の寸法)であり、約20~200μmとすることが好ましい。
単位レンズ形状112のレンズ高さH1は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)において、光吸収部113のレンズ形状面11a側の面から単位レンズ形状112の最も凸となる点t3までの寸法であり、約2~40μmとすることが好ましい。
光吸収部113の幅D2は、光透過部111の配列方向における、光吸収部113の最もレンズ形状面11a側の寸法であり、約1~30μmとすることが好ましい。
光吸収部113の高さH2は、第1レンズシート11の厚み方向(Z方向)における光吸収部113の寸法であり、約20~470μmとすることが好ましい。
ランド厚D3は、ランド部114の厚さであり、第1レンズシート11の厚み方向において、光吸収部113の裏面11b側先端から第1レンズシート11の裏面11bまでの寸法であり、約1~50μmとすることが、迷光や、所定の光透過部111(単位レンズ形状112)に入射した光が、隣接する他の光透過部111(単位レンズ形状112)側へ進んでしまうことを抑制する観点から好ましい。第1レンズシート11が不図示の基材層を裏面11b側に備えている場合には、このランド厚D3は、約1~180μmとすることが、上述の理由から好ましい。
光吸収部113と光透過部111との界面がシート面の法線方向となす角度θは、0~10°程度とすることが好ましい。
第1レンズシート11は、上記寸法範囲で形成されることによって、その焦点距離が約24~300μm(空気中の換算値)となる。
第2レンズシート12は、前述の第1レンズシート11と同様の形状であり、単位レンズ形状122を有する光透過部121、光吸収部123等を有しているが、レンズ形状面12aの位置、及び、光透過部121及び光吸収部123の配列方向が、第1レンズシート11とは異なる。さらに、本実施形態では、一部に溝部125が形成されている。
また、図4に示すように、第2レンズシート12では、光透過部121及び光吸収部123の配列方向R12は、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111及び光吸収部113の配列方向R11と交差し、角度αをなしている。本実施形態では、この角度α=90°であり、第2レンズシート12の光透過部121(単位レンズ形状122)は、配列方向が左右方向(X方向)であり、長手方向が上下方向(Y方向)に延在している。
本実施形態の第2レンズシート12は、第1レンズシート11と同様の材料を用いて形成されている。
これにより、レンズシートユニット10としてのハンドリングが向上し、撮像モジュール120の組み立てを容易に行うことができる。また、樹脂製である第1レンズシート11及び第2レンズシート12が、これらよりも剛性の高い赤外線遮蔽シート13に一体に接合されることにより、温度や湿度等の環境の変化等による第1レンズシート11及び第2レンズシート12の反り等の変形を抑制し、レンズシートユニット10の平面性を維持かつ向上でき、より鮮明な画像を得ることができる。
接合部101の材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂や、熱硬化型樹脂、二液硬化型樹脂等が好適であり、本実施形態では、紫外線硬化型樹脂を用いている。この接合部101は、光透過性を有していてもよいし、光透過性を有していなくてもよい。
この溝部125は、光透過部121の配列方向に平行な方向(即ち、光透過部121の長手方向に対して直交する方向、X方向)に延在し、接合部101が設けられる端面側(Y方向の両端近傍)に形成されている。
なお、図7では、溝部125は、その断面形状が底を頂点とする三角形形状である例を示したが、これに限らず、矩形状や台形状、円弧状や楕円の一部形状等としてもよい。
この溝部125は、接合部101を形成する硬化前の樹脂が、シートの有効領域に流れ出し、レンズシートユニット10の光学性能を低下させることを抑制するためのものである。
また、本実施形態では、接合部101は、光軸O方向から見て対向する2辺に相当する端面に設けられる例を示したが、これに限らず、4辺すべてに設けてもよい。この場合、溝部125は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の両方に設けられることが好ましい。さらに、接合部101は、レンズシートユニット10の4つの角部に設けてもよい。
また、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間には、空気が位置する形態となっている。
イメージセンサ21とレンズシートユニット10とを接合する接合層は、粘着剤又は接着剤により形成され、光透過性を有している。この接合層の屈折率は、第2レンズシート12の光透過部121の屈折率N1と等しいことが好ましい。
また、イメージセンサ21は、駆動時に発熱し、約40℃前後まで表面温度が上昇するため、イメージセンサ21の発熱による第2レンズシート12等の変形を抑制する観点から、この接合層は、耐熱性を有することが好ましい。
このような接合層としては、エポキシ樹脂製、ウレタン樹脂製等の粘着剤、接着剤が好適である。
なお、この接合層は、その屈折率が光透過部121の屈折率N1よりも小さいものも適用可能であり、例えば、シリコーン系粘着剤等を用いて形成してもよい。
イメージセンサ21を構成する複数の画素は、イメージセンサ21の受光面である被写体側の表面に、2次元方向に配列されている。本実施形態では、イメージセンサ21の画素は、左右方向及び上下方向(X方向及びY方向)に複数配列されているものとする。
このようなイメージセンサ21としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等が好適に用いられる。
本実施形態では、イメージセンサ21として、CMOSが用いられている。
まず、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の製造方法について説明する。ここでは、第1レンズシート11を例に挙げて、その製造方法の一例を以下に示す。
まず、光透過部111を賦形する凹形状を有し、光吸収部113となる部分が溝状に賦形されるように凸形状に形成された成形型を用い、紫外線成形法により、光透過部111を形成する。
次に、光透過部111間の溝状の部分に、光吸収部113を形成する材料をワイピング(スキージング)して充填し、硬化させる。その後、所定の大きさに裁断して整える等により、第1レンズシート11が作製される(レンズシート形成工程)。
第2レンズシート12も、上記の第1レンズシート11の製造方法と同様の製造方法により製造される(レンズシート形成工程)。そして、本実施形態では、第2レンズシート12は、所定の大きさに裁断する際に、ダイシングソー等により、溝部125を形成する(流出抑止部形成工程)。なお、溝部125の形成方向は、これに限らず、例えば、レーザー等で形成してもよいし、光透過部121等の賦形時に成形型等で形成してもよい。
まず、図8(a)に示すように、上述の製造方法で製造された第1レンズシート11と、予め用意した赤外線遮蔽シート13とを不図示の接合層により、一体に接合する。
次に、図8(b)に示すように、第1レンズシート11及び赤外線遮蔽シート13の積層体を台座71の上に載置し、第1レンズシート11の上に、光透過部111,121の配列方向R11,R12が所定の角度をなすように第2レンズシート12を配置し、その上にさらに適当な重さの錘72を載置して厚み方向に加圧しながら、赤外線遮蔽シート13、第1レンズシート11、第2レンズシート12を固定する。このように、厚み方向に加圧することにより、第1レンズシート11と第2レンズシート12との間の距離(単位レンズ形状112,122の頂点t3間の距離)を、0~3μm以内と小さく、かつ、均一にすることができる。
なお、加圧する際に単位レンズ形状112,122が接触して潰れる場合があるが、光透過部111,121は樹脂製であり、接合部101形成後に錘72を外すと、所定の形状に戻る。
この時、接合部101となる硬化前の樹脂が単位レンズ形状122間の谷部に沿って第2レンズシート12の有効領域へ流出する場合があるが、溝部125にそのような樹脂が留まることにより、流出が抑制される。
このように製造したレンズシートユニット10を、その第2レンズシート12側の面とイメージセンサ21とを接合層で接合することにより、撮像モジュール20となる。
開口部31から撮像モジュール20内に進んだ光は、レンズシートユニット10に入射し、第1レンズシート11及び第2レンズシート12を透過する。このとき、レンズシートユニット10内を透過する光は、第1レンズシート11の単位レンズ形状112により、その配列方向であるY方向(上下方向)において集光され、また、第2レンズシート12の単位レンズ形状122により、その配列方向であるX方向(左右方向)において集光される。また、第1レンズシート11及び第2レンズシート12において、光透過部111,121内を光軸O方向に対して大きな角度をなす方向へ進む光の一部は、光吸収部113,123に入射して吸収される。そして、レンズシートユニット10を透過した光は、イメージセンサ21の受光面で焦点を結ぶ。
そして、イメージセンサ21の受光面上には、この疑似的なマイクロレンズにより結像された像が、それぞれ重なることなく形成される(後述の図9(a)参照)。
撮影時、撮像モジュール20により得られた、各画素が検出した入射光の強度及び入射方向の情報は、記憶部に記憶され、また、制御部により各種演算等が行われることにより、その焦点距離や被写界深度等を変更した(リフォーカス処理を行った)画像データとして生成可能である。
一般的に、ライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイの1つのマイクロレンズに対して所定の領域内に位置する複数個の画素が対応している。そして、それぞれのマイクロレンズによる像が、対応する領域内の複数個の画素に投影されることが重要である。
このとき、例えば、図9(b)に示すように、各マイクロレンズの像が隣の領域に投影され、像が重なると、被写体面上で異なる位置と角度を有する光が同一の画素211に入射するクロストークという現象が生じ、光の入射方向や強度を分解できなくなる。これを解消するために、従来のライトフィールドカメラでは、マイクロレンズアレイよりも被写体側に設けられた撮像レンズの絞りを利用したり、マイクロレンズアレイの単位レンズに対応した隔壁を有する隔壁シートをマイクロレンズアレイシートのイメージセンサ側等に別体で用意したりする必要があった。
さらに、本実施形態によれば、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、これらよりも剛性の高い赤外線遮蔽シート13と接合されているので、環境の変化等による反り等の変形が抑制され、レンズシートユニット10としてより高い平面性を維持することができ、撮像モジュール20として、より鮮明な画像を得ることができる。
さらに、従来のライトフィールドカメラは、撮像レンズや、マイクロレンズアレイとは別体の光線分割用の隔壁シート等が必要である。しかし、本実施形態によれば、いずれも不要であるので、ライトフィールドカメラとしても、薄型化及び軽量化、生産コストの低減等を図ることができる。
図10は、第2実施形態の撮像モジュール20及びレンズシートユニット10を説明する図である。
図10は、第1実施形態の撮像モジュール20を説明する図2と同様の断面を示している。
第2実施形態の撮像モジュール20及びレンズシートユニット10は、レンズシートユニット10が赤外線遮蔽シート13を備えておらず、第1レンズシート11及び第2レンズシート12のみを備えている点が前述の第1実施形態とは異なる以外は、同様の形態である。したがって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態のレンズシートユニット10及びこれを備える撮像モジュール20は、第1実施形態と同様に、カメラ1に用いられる。
なお、第2実施形態では、赤外線遮蔽機能を有する層を、カバーシート32に積層して設けてもよいし、カバーシート32と第1実施形態に示したような赤外線遮蔽シート13を、積層して開口部31等に配置してもよい。また、赤外線遮蔽シート13は、撮像モジュール20に設けられるが、レンズシートユニット10とは接合されず、別体として配置される形態としてもよい。
以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、第2レンズシート12の像側(-Z側)に、光透過性が高く第2レンズシート12よりも剛性の高い透明基板等を設けてもよい。この透明基板は、例えば、ガラス製の板等が好適である。また、透明基板と第2レンズシート12の光透過部121との屈折率差は、可能な限り小さいことが好ましい。
このような透明基板を第2レンズシート12の像側に設けることにより、製造過程等での温度や湿度等の変化による第2レンズシート12の反り等の変形を抑制し、レンズシートユニット10としての平面性を維持、向上することができる。また、これにより、より鮮明な画像を得ることができる。
図11は、レンズシートユニット10の変形形態を示す図である。図11では、第1レンズシート11及び第2レンズシート12は、その形状を簡略化して示している。
図11(a)に示すように、第1レンズシート11が第2レンズシート12よりも大きい形態としてもよいし、図11(b),(c)に示すように、第2レンズシート12が第1レンズシート11よりも大きい形態としてもよい。
図11(a)に示すように、第1レンズシート11が第2レンズシート12よりも大きい場合には、例えば、接合部101は、第2レンズシート12の端面と第1レンズシート11の像側の面とに接するように設けてもよい。
図11(c)に示すように、第2レンズシート12が第1レンズシート11よりも大きく、第2実施形態のように、レンズシートユニット10が赤外線遮蔽シート13を備えていない場合には、接合部101は、第1レンズシート11の端面と第2レンズシート12の被写体側の面と接するように設ければよい。
図12は、流出抑止部の変形形態を説明する図である。図12では、一例として、前述の第1実施形態と同様に、第2レンズシート12を挙げて説明する。図12(a)は、流出抑止部である壁部126が設けられた位置での断面図を示し、図12(b)は、流出抑止部である壁部126が設けられた位置での平面視を示している。
図12に示すように、流出抑止部として、光透過部121の配列方向(X方向)に沿って設けられ、単位レンズ形状122の高さ以下となる高さを有する壁部126としてもよい。このような形態としても、接合部101を形成する樹脂の有効領域への流出を抑制することができる。
また、各実施形態において、光透過部111,121と光吸収部113,123との界面は、複数の平面からなる折れ面状となっていてもよいし、複数の平面と曲面とが複数組み合わされている形態としてもよい。
図13は、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の変形形態を示す図である。図13(a)は、第1レンズシート11の変形形態を示し、図13(b)は、第2レンズシート12の変形形態を示している。図13では、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向及び厚み方向に平行な断面の一部を示している。
同様に、変形形態の第2レンズシート12は、図23(b)に示すように、光吸収部123が、裏面12bからレンズ形状面12aの手前まで、厚み方向に沿って延びるようにして形成されている。図13に示す断面において、光吸収部113,123は、レンズ形状面11a,12a側の寸法が裏面11b,12b側の寸法に比べて小さい台形形状に形成されている。
また、このような形態とすることにより、第1レンズシート11及び第2レンズシート12の製造過程において、平坦な面となる各レンズシートの裏面11b,12b側から、光吸収部113,123を形成する材料をワイピング等して光吸収部113,123を作製することができる。したがって、このような形態とすることにより、前述の実施形態に示す形態に比して、より容易に第1レンズシート11及び第2レンズシート12を製造することができる。
図14は、レンズシートユニット10の第1レンズシート11及び第2レンズシート12の光透過部111,121の配列方向とイメージセンサ21の画素の配列方向との関係を示す図である。
前述の各実施形態では、図14(a)に示すように、イメージセンサ21の画素が光軸O方向(Z方向)に対して直交する2方向G1,G2(Y方向及びX方向)に配列され、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11は、画素の配列方向の1つの方向G1(Y方向)に平行であり、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12は、画素の配列方向のもう1つの方向G2(X方向)に平行である例を示した。
このとき、光軸O方向(Z方向)から見て、第1レンズシート11の光透過部111の配列方向R11と画素の配列方向の1つの方向G1となす角度β、第2レンズシート12の光透過部121の配列方向R12が画素の配列方向のもう1つの方向G2となす角度γは、いずれも0°である。
なお、図14(b)では、画素の配列方向G1,G2は、Y方向及びX方向に平行である例を示しているが、これに限らず、光透過部111,121の配列方向R11,R12がY方向及びX方向に平行であり、画素の配列方向G1,G2とそれぞれ角度β,γをなす形態としてもよいし、画素の配列方向G1,G2及び光透過部111,121の配列方向R11,R12が、角度β,γをなし、かつ、いずれもY方向及びX方向に平行でない形態としてもよい。
また、レンズシートユニット10の配置や組み立てを容易にするために、アライメントマークを第1レンズシート11及び第2レンズシート12に設けてもよい。
また、例えば、23.6×15.8mm、36×24mm、43.8×32.8mm等の大きな受光面を有するイメージセンサ21を使用することにより、ノイズの低減や取得する焦点距離や被写界深度等の情報の精度や情報量の向上を図り、画質のさらなる向上や、カメラの性能向上を図ってもよい。
10 レンズシートユニット
11 第1レンズシート
12 第2レンズシート
111,121 光透過部
112,122 単位レンズ形状
113,123 光吸収部
13 赤外線遮蔽シート
20 撮像モジュール
21 イメージセンサ
211 画素
30 筐体
31 開口部
32 カバーシート
Claims (9)
- 撮像モジュールにおいて撮像素子部よりも光の入射側に配置されるレンズシートユニットであって、
第1単位レンズ形状を有し、シート面に沿って一方向に延在し、延在する方向と交差する方向に複数配列された第1光透過部、及び、隣り合う前記第1光透過部の間に設けられた第1光吸収部を備える第1レンズシートと、
前記第1レンズシートよりも撮像素子部側に配置され、第2単位レンズ形状を有し、シート面に沿って一方向に延在し、延在する方向と交差する方向に複数配列された第2光透過部、及び、隣り合う前記第2光透過部の間に設けられた第2光吸収部を備える第2レンズシートと、
前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートを接合する樹脂製の接合部と、
を備え、
前記第1光透過部の配列方向と、前記第2光透過部の配列方向とは、光軸方向から見て交差しており、
前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートは、前記第1単位レンズ形状が配列された面と前記第2単位レンズ形状が配列された面とが対向するように配置され、
前記接合部は、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの端面の少なくとも一部を被覆するように設けられ、
前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの少なくとも一方には、前記接合部の近傍に、前記接合部を形成する樹脂が、該レンズシートユニットにおいて光が透過する領域である有効領域へ流出することを抑止する流出抑止部が形成されており、
前記流出抑止部は、
前記接合部が少なくとも一部を被覆する前記端面の近傍であって、かつ、
前記流出抑止部が前記第1レンズシートに設けられる場合、前記第1単位レンズ形状が形成された面の前記有効領域の外側に、前記第1光透過部の長手方向に対して90度又は90度近傍の角度で交差する方向に沿って設けられ、
前記流出抑止部が前記第2レンズシートに設けられる場合、前記第2単位レンズ形状が形成された面の前記有効領域の外側に、前記第2光透過部の長手方向に対して90度又は90度近傍の角度で交差する方向に沿って設けられていること、
を特徴とするレンズシートユニット。 - 請求項1に記載のレンズシートユニットにおいて、
前記流出抑止部は、溝状であり、各前記単位レンズ形状の頂点から前記溝状の底までの寸法が、各前記単位レンズ形状の高さよりも大きいこと、
を特徴とするレンズシートユニット。 - 請求項1に記載のレンズシートユニットにおいて、
前記流出抑止部は、壁状であり、その高さが各前記単位レンズ形状の高さよりも小さいこと、
を特徴とするレンズシートユニット。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載のレンズシートユニットにおいて、
該レンズシートユニットの厚み方向における前記第1単位レンズ形状の頂点と前記第2単位レンズ形状の頂点との間の距離は、0~3μmであること、
を特徴とするレンズシートユニット。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズシートユニットにおいて、
前記第1レンズシートの前記第2レンズシートとは反対側、及び、前記第2レンズシートの前記第1レンズシートとは反対側の少なくとも一方には、前記第1レンズシート及び前記第2レンズシートの平面性を維持する支持部材が接合されていること、
を特徴とするレンズシートユニット。 - 請求項5に記載のレンズシートユニットにおいて、
前記支持部材は、記第1レンズシートの前記第2レンズシートとは反対側に接合され、所定の領域の赤外線を遮蔽する機能を有する赤外線遮蔽シートであること、
を特徴とするレンズシートユニット。 - 入射する光を電気信号に変換する複数の画素が2次元配列された撮像素子部と、
前記撮像素子部よりも光の入射側に設けられた請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のレンズシートユニットと、
を備える撮像モジュール。 - 請求項7に記載の撮像モジュールにおいて、
前記レンズシートユニットと前記撮像素子部とは一体に接合されていること、
を特徴とする撮像モジュール。 - 請求項7又は請求項8に記載の撮像モジュールを備える撮像装置。
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