以下に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1に本発明に係る実施の形態1の無菌充填機を示す。容器を殺菌する無菌充填機であり、プリフォームの供給からプリフォームの加熱部、プリフォームから容器への成形部、成形された容器の検査部、容器を殺菌する容器殺菌部、殺菌された容器のエアリンス部、殺菌された容器に内容物殺菌装置により殺菌された内容物を無菌雰囲気で充填する充填部、内容物が充填された容器を殺菌された蓋材により無菌雰囲気で密封する密封部及び密封された容器を排出する排出部からなる無菌充填機の概要を図1により説明し、各部の詳細を図2、図3、図4及び図5により説明し、各部を遮蔽するチャンバー内のSOP処理の際に使用する無菌水供給装置について図6、図7及び図8により説明する。この実施の形態1によれば、無菌充填機の無菌雰囲気とすべきチャンバー内のCOP処理又はSOP処理のために使用する無菌水を、内容物を殺菌する内容物殺菌装置により供給することができるため、初期投資を抑制し、ランニング時のエネルギー消費も減少させることができる。
(実施の形態1の概要)
図1に示すように、実施の形態1に係る無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置4、プリフォーム1を容器2に成形する温度に加熱する加熱部6、加熱されたプリフォーム1を容器2に成形する成形部16、成形された容器を検査する検査ホイール23、成形された容器2を殺菌する容器殺菌部30、殺菌された容器2をエアリンスするエアリンス部34、エアリンスされた容器2に殺菌された内容物を無菌雰囲気で充填する充填部39、密封部材である蓋材3を殺菌する蓋材殺菌部52、内容部が充填された容器2を殺菌された蓋材3により無菌雰囲気で密封する密封部44、密封された容器2を排出コンベヤ50に載置する排出部47及び排出コンベヤ50により容器2を非無菌ゾーンに排出する出口部51を備える。ここで、検査ホイール23とエアリンス部34は備えなくても構わない。
加熱部6は加熱部チャンバー12、成形部16及び検査ホイール23は成形部チャンバー17、容器殺菌部30は容器殺菌部チャンバー33、エアリンス部34はエアリンス部チャンバー36、充填部39は充填部チャンバー41、密封部44は密封部チャンバー46、排出部47は排出部チャンバー49及び出口部51は出口部チャンバー53により各々遮蔽されている。容器殺菌部30で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が成形部16に流入しないように、成形部チャンバー17と容器殺菌部チャンバー33の間には雰囲気遮断チャンバー27が設けられている。容器殺菌部チャンバー33で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、雰囲気遮断チャンバー27が排気されることで、成形部チャンバー17内に流入することはない。ここで、加熱部6と成形部16は単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。また、蓋材殺菌部52と密封部44も単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。さらに、密封部44と排出部47も単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。
無菌充填機の稼働中には、容器殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53は、除菌フィルタにより無菌化された無菌エアが供給され、各チャンバー内の圧力を陽圧にすることで、無菌充填機の無菌性が維持される。陽圧に保持する圧力は、充填部チャンバー41内が最も高く、エアリンス部チャンバー36、容器殺菌部チャンバー33と上流に行くほど低く設定される。また、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49、出口部チャンバー53と下流に行くにほど低く設定される。雰囲気遮断チャンバー27が排気されることで、雰囲気遮断チャンバー27内の圧力は、大気圧とほぼ同一に保持される。例えば、充填部チャンバー41内の圧力を20Pa〜40Paとすると、他のチャンバー内の圧力は充填部チャンバー41内の圧力よりも低い。
無菌充填機稼働時に無菌雰囲気を保持しなければならない容器殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53内は無菌充填機の稼働前に殺菌される。すなわち、SOP処理が行われる。その後、無菌エアが供給されることにより各チャンバー内は無菌雰囲気に保持される。容器殺菌部チャンバー33は無菌充填機稼働中に殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が噴霧されるため、無菌充填機の稼働前に殺菌されなくても構わない。
実施の形態1はプリフォーム1を無菌充填機に供給し、無菌充填機内で容器2に成形しているが、成形された容器2を容器殺菌部30に供給する無菌充填機でも構わない。
(実施の形態1の詳細)
まず、図2(A)に示すプリフォーム1が、図1に示すプリフォーム供給装置4から、プリフォーム供給コンベヤ5により所望の速度で連続的に加熱部6に搬送される。
本実施形態におけるプリフォーム1は試験管状の有底筒状体であり、図2(D)に示した容器2と同様な口部1aがその成形当初に付与される。この口部1aにはプリフォーム1の成形と同時に雄ネジが形成される。また、プリフォーム1には口部1aの下部に搬送のためのサポートリング1bが形成される。プリフォーム1又は容器2はこのサポートリング1bを介してグリッパ22により把持され、無菌充填機内を走行する。プリフォーム1は射出成形、圧縮成形等によって成形される。プリフォーム1の材質はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなり、これらの樹脂単体又は混合物であっても構わないし、リサイクルされた熱可塑性樹脂を含んでも構わない。また、バリア性を付与するために、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メタキシリレンジアミンのような芳香族アミンをモノマーとするポリアミド等の熱可塑性樹脂を層として、又は混合物として含んでも構わない。
加熱部6に供給されたプリフォーム1は、一定ピッチで多数のグリッパ22が設けられたホイール7、8により搬送され、加熱部搬送ホイール9に達する。ここで、図2(B)のようにグリッパ22から解放され、プリフォーム1の口部1aにスピンドル19が挿入されて搬送される。
プリフォーム1は、図2(B)に示すように、赤外線ヒータ14又はその他の加熱手段によって、後のブロー成形に適した温度まで加熱される。この温度は90℃から130℃であると好適である。
なお、プリフォーム1の口部1aの温度は、変形等を防止するため70℃以下の温度に抑えられる。
プリフォーム1は図2(B)に示すように、口部1aにスピンドル19が挿入され、赤外線ヒータ14により加熱され、回転しながら無端チェーン13により搬送される。スピンドル19は無端チェーン13に一定間隔で設けられている。無端チェーン13はプーリ10及び11により回転する。スピンドル19に代えてマンドレルをプリフォーム1に挿入することにより、プリフォーム1を倒立状態で回転させつつ搬送することも可能である。
加熱されたプリフォーム1は、スピンドル19から解放され、グリッパ22に把持されて、ホイール15を経て、成形部16の成形ホイール18に搬送される。成形ホイール18に備えられた金型20により、図2(C)に示すように、プリフォーム1は容器2にブロー成形される。金型20及びブローノズル21は、成形ホイール18の回りに複数個配置され、成形ホイール18の回転とともに成形ホイール18の周りを一定速度で旋回する。加熱されたプリフォーム1が到来すると、金型20はプリフォーム1を挟み込む。続いてブローノズル21がプリフォーム1に接合され、図示しない延伸ロッドがブローノズル21に設けられた孔に導かれ、プリフォーム1内に挿入される。挿入される延伸ロッドがプリフォーム1の底部を伸ばすことによりプリフォーム1は縦延伸され、同時にブローノズル21からプリフォーム1内に空気等の気体が吹きこまれ横延伸される。プリフォーム1は金型20内で縦延伸及び横延伸され、容器2が成形される。成形された容器2は、図2(D)に示すように、金型20から取り出され、検査ホイール23に設けられたグリッパ22によりサポートリング1bを把持され、検査ホイール23に受け渡される。
成形された容器2は、検査ホイール23の周辺に備えられた検査機材24により、容器温度、容器胴部、サポートリング1b、容器口部天面、容器底部等が検査され、異常と判断された場合は、図示しない排出装置により、無菌充填機の外部に排出される。容器の検査は成形部チャンバー17内で行われるが、検査部として別個のチャンバーにより遮蔽されても構わない。
容器温度検査は、容器2の表面温度を検査して、容器2の良否を判断する。温度センサは、例えば赤外線放射温度計(赤外線放射カメラ)であるが、他の温度計を使用することも可能である。容器成形時の余熱が容器2に残存することが、容器2を適正に殺菌するために必要である。温度センサにより検出される温度は50℃以上であることが好ましい。
また、容器胴部、サポートリング1b、容器口部天面、容器底部はカメラにより撮像され、各箇所の状態が検査される。撮像された画像は画像処理装置により処理され、傷、異物、変形、変色等の異常の存否について判断される。許容範囲を超えた容器2は異常と判断される。
検査機材24による検査により異常と判断されなかった容器2は、容器殺菌部30で発生する殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が成形部16に流入しないように、成形部16と容器殺菌部30の間に設けられた雰囲気遮断チャンバー27内のホイール25、26を経て、容器殺菌部30に搬送される。
容器殺菌部30に搬送された容器2は、ホイール28において殺菌される。容器2を殺菌するための容器2への殺菌剤のガス吹き付け工程を図3(E−1)に示す。容器2に殺菌剤のガスを吹き付けるため、殺菌剤ガス吹き付けノズル31が設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31は、その先端のノズル孔が直下を走行する容器2の口部1aの開口に正対し得るように固定される。また、必要に応じて殺菌剤ガス吹き付けノズル31の下方に容器2の走行路に沿って、図3(E−1)に示すように殺菌剤ガス吹き付けトンネル32が設けられる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31は一本であっても複数本であっても構わない。容器2に吹き付けられた殺菌剤のガスが容器2の内部に流入し、容器2の内面を殺菌する。このとき、容器2が殺菌剤ガス吹き付けトンネル32内を走行することで、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が、容器2の外面にも流れて、容器2の外面が殺菌される。
また、図3(E−2)に示すように、殺菌剤ガス吹き付けノズル31を容器2の搬送に追従させ、殺菌剤吹き付けノズル31を容器2の内部に挿入して、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物を容器2の内面に直接吹き付けても構わない。容器2から溢れた出た殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、殺菌剤ガス吹き付けノズル31を囲繞して設けた案内部材31aに衝突し、容器2の外面に流れ容器2の外面に接触する。案内部材31aには殺菌剤ガス吹き付けノズル31と同軸のフランジ部とフランジ部から外周に突出する環状壁部が設けられている。
殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、図4に示す殺菌剤ガス生成器55によりガス化される殺菌剤又はガス化された殺菌剤が凝結したミスト又はこれらの混合物である。殺菌剤ガス生成器55は、殺菌剤を滴状にして供給する二流体スプレーノズルである殺菌剤供給部56と、この殺菌剤供給部56から供給された殺菌剤を分解温度以下に加熱して気化させる気化部57とを備える。殺菌剤供給部56は、殺菌剤供給路56a及び圧縮空気供給路56bからそれぞれ殺菌剤と圧縮空気を導入して殺菌剤を気化部57内に噴霧するようになっている。気化部57は、内外壁間にヒータ57aを挟み込んだパイプであり、このパイプ内に吹き込まれた殺菌剤を加熱し気化させる。気化した殺菌剤のガスは殺菌剤ガス吹き付けノズル31から気化部57外に噴出する。ヒータ57aに換えて誘電加熱により気化部57を加熱しても構わない。
殺菌剤供給部56の運転条件としては、例えば圧縮空気の圧力は0.05MPa〜0.6MPaの範囲で調整される。また、殺菌剤は重力落下であっても圧力を加えられても構わないし、供給量は自由に設定することができ、例えば殺菌剤は殺菌剤供給路56aに、1g/min.〜100g/min.の範囲で供給される。また、気化部57の内表面は140℃から450℃に加熱されることで噴霧された殺菌剤が気化する。
殺菌剤のガスは、図3(E)に示すように殺菌剤ガス吹き付けノズル31から容器2に吹き付けられる。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の吹き付け量は任意であるが、吹き付け量は、殺菌剤ガス生成器55に供給される殺菌剤の量と吹き付け時間により決まる。殺菌剤ガス生成器55は複数備えても構わない。吹き付け量は容器2の大きさによっても変動する。
殺菌剤は少なくとも過酸化水素を含有することが好ましい。その含有量は0.5質量%〜65質量%の範囲が適当である。0.5質量%未満では殺菌力が不足する場合があり、65質量%を超えると安全上、扱いが困難となる。また、さらに好適なのは0.5質量%〜40質量%であり、40質量%以下では扱いがより容易であり、低濃度となるために殺菌後の容器2への殺菌剤の残留量を低減できる。
殺菌剤を過酸化水素水とした場合、過酸化水素水のガスの吹き付け量は以下の通りとなる。殺菌剤ガス吹き付けノズル31から容器2の内面に吹き付けられる過酸化水素水のガスにより、容器2の内面に付着する過酸化水素の量は、過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水の量として、30μL/容器〜150μL/容器が好ましく、より好ましくは50μL/容器〜100μL/容器である。また、容器2に吹き付けられる過酸化水素水のガスの過酸化水素濃度は、2mg/L〜20mg/Lが好ましく、より好ましくは5mg/L〜10mg/Lである。
また、殺菌剤は水を含んでなるが、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、グリコールエーテル類等の1種又は2種以上を含んでも構わない。
さらに、殺菌剤は過酢酸、酢酸等の有機酸、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素化合物、オゾン等の殺菌効果を有する化合物、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、リン酸化合物等の添加剤を含んでも構わない。
容器殺菌部30で殺菌された容器2は図1に示すように、ホイール29を経て、エアリンス部34に搬送される。容器2は、図1に示すエアリンスホイール35において、図3(F−1)に示すようにエアリンスノズル38により正立状態の容器2に無菌エアが吹き付けられる。無菌エアは常温でも構わないが、加熱されることが好ましい。無菌エアは、容器2の内部に残存する殺菌剤を排出し、残存する殺菌剤を分解してさらに殺菌効果を高め、容器2の内部に異物が存在する場合は排除する効果もある。また、図3(F−2)に示すように容器2を倒立状態にして無菌エアを容器2内に吹き付けても構わない。この場合、異物の排除には正立状態よりも効果的である。さらに、図(E−2)の殺菌剤吹き付けノズル31と同様に、エアリンスノズル38を囲繞して案内部材を設けることで、容器2の内部に導入され、口部1aから溢れ出る無菌エアが案内部材に衝突し、口部1aの外周部もリンスすることとなり、口部1aの外周部の温度が上昇し、口部1aの外周部の殺菌効果が高まる。エアリンスノズル38は上下動可能として、無菌エアを容器2内に吹き込んでも構わない。
エアリンス部34でエアリンスされた容器2は図1に示すように、ホイール37を経て、充填部39に搬送される。充填部39では、図1に示す充填ホイール40にて、図3(G)に示す充填工程のように、充填ノズル42により容器2に内容物が充填される。内容物はあらかじめ殺菌されており、容器2と同期的に走行する充填ノズル42により、容器2内に一定量の飲料等の内容物が充填される。
図6に示すように、無菌充填機は、内容物の調合装置65と内容物を殺菌する内容物殺菌装置66を備え、内容物殺菌装置66と充填部39の充填ノズル42とは内容物供給系配管で結ばれている。
調合装置65は、例えば茶飲料、果実飲料等の飲料を各々所望の配合割合で調合するためのものであるが、公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。
充填部39は、多数の充填ノズル42を水平面内で高速回転する充填ホイール43の回りに配置してなるもので、充填ホイール43の回転と共に充填ノズル42を旋回運動させつつ、充填ノズル42の下を充填ホイール43の周速度に同調して走行する容器2に、充填ノズル42から飲料を定量充填する。
内容物殺菌装置66は、例えば複数個のシェル&チューブ式熱交換器を直列で連結してなる第1段加熱部で内容物を20℃から65℃まで加熱し、第1段加熱部より多くのシェル&チューブ式熱交換器を直列で連結してなる第2段加熱部で内容物を65℃から140℃まで加熱し、140℃に加熱された内容物をホールディングチューブで140℃に保持して殺菌する装置である。内容物は、さらに内容物殺菌装置66に備えられる冷却部で常温まで冷却される。
調合装置65で調合され、内容物殺菌装置66で殺菌された内容物は切換えバルブ69を経てサージタンク67に貯留され、さらに充填部39の近傍に備えられるヘッドタンク68に送液され、ヘッドタンク68から充填ノズル42に供給されて容器2に充填される。
内容物が充填された容器2は、図1に示す充填ホイール43を経て密封部44に搬送される。密封部44に設けられた密封ホイール45では、図3(H)に示す密封工程のように、蓋材殺菌部52により殺菌された密封部材である蓋材3が、殺菌蓋材搬送路54により蓋材供給ホイール54a及び蓋材受け取りホイール54bを経て、密封ホイール45に供給され、図示しないキャッパーにより、容器2の口部1aに巻き締められ、容器2は密封される。
密封された容器2は、密封ホイール45のグリッパ22から排出部47の排出ホイール48のグリッパ22に受け渡される。排出ホイール48に受け渡された容器2は排出コンベヤ50に載置される。排出コンベヤ50に載置された容器2は出口部チャンバー53内から無菌充填機の外部に排出される。
容器殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53内は無菌充填機の稼働前にSOP処理される。そのため、図5に示すように各チャンバーには殺菌剤吹き付けノズル58及び液体吹き付けノズル59が備えられる。前述のように容器殺菌部チャンバー33はSOP処理されなくても構わない。
殺菌剤吹き付けノズル58は、一流体スプレーまたは殺菌剤を圧縮エアと混合して噴霧する二流体スプレーが使用され、殺菌剤を殺菌が必要な各チャンバー内の全域に付着するように吹き付けられる。吹き付けられた殺菌剤により、各チャンバー内が殺菌される。殺菌剤吹き付けノズル58は各チャンバー内の全域に殺菌剤が付着するように配置される。殺菌剤は容器2を殺菌するために使用される殺菌剤と同様のものが使用でき、過酢酸や過酸化水素を含む殺菌剤を使用することが好ましい。殺菌剤の吹き付けは、異なる殺菌剤を複数回吹き付けても構わない。
殺菌剤として過酢酸を含む場合、過酢酸濃度を500ppm以上、好ましくは1000ppm以上とする。この場合の殺菌条件は、殺菌剤を40℃〜95℃、好ましくは50℃〜95℃に加温し、チャンバー内の装置及び壁の表面に過酢酸が0.01g/cm2、好
ましくは0.1g/cm2以上付着するようにチャンバー内に殺菌剤が噴霧される。噴霧
時間は30秒〜30分が好ましい。30分以上行っても構わないが、生産性が低下する。
殺菌剤吹き付けノズル58から殺菌剤を吹き付けた後に、液体吹き付けノズル59により、各チャンバー内の全域に無菌水が吹き付けられる。当該無菌水により、各チャンバー内に残存する殺菌剤が洗浄される。液体吹き付けノズル59は、液体が各チャンバー内の全域に吹き付けられるように配置される。無菌水とは、内容物殺菌装置66により121.1℃以上で4分以上加熱されることで無菌化された水である。各チャンバー内に液体吹き付けノズル59から吹き付けられる無菌水は20℃〜100℃、好ましくは60℃〜100℃に加熱されることが好ましい。60℃以上とすることで無菌水の洗浄能力が向上する。また、100℃を超えると液体吹き付けノズル59を損傷する場合があり好ましくない。また、供給する無菌水の一部が水蒸気となり脈動して供給が安定しないこともある。液体吹き付けノズル59としては、例えばスピンボールを用いたスプレーノズルが使用される。液体吹き付けノズル59を設けないで、殺菌剤吹き付けノズル58から無菌水を吹き付けても構わない。短時間で効率良く洗浄するために、液体吹き付けノズル59への送液圧力は、0.1MPa以上、好ましくは0.2MPa以上で無菌水を供給することが好ましい。無菌水により各チャンバー内を洗浄した後、無菌水をチャンバー内から排出する。無菌水が排出される非無菌エリアと各チャンバー内は水封機構により封止されることが好ましい。また、殺菌剤吹き付けノズル58と液体吹き付けノズル59は、容器2内への混入リスクを避けるために、容器2の口部上の搬送路から避けた位置に取り付けることが好ましい。
充填部チャンバー41は内容物がチャンバー内に飛散して汚染が激しいため、過酢酸等の殺菌剤又は苛性ソーダを主成分とするアルカリ溶液を殺菌剤として使用するSOP処理が行われる。しかし、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53は汚染が限定的であるため、過酸化水素のみのSOP処理を行うこともあり、この場合は無菌水による洗浄を行わなくても構わない。したがって、内容物殺菌装置66により製造される無菌水は少なくとも充填部チャンバー41に供給される。したがって、少なくとも充填部チャンバー41に、内容物殺菌装置66により製造される無菌水を供給する無菌水供給装置70が備えられる。
また、密封部チャンバー46内も内容物により汚染された場合は、過酢酸等の殺菌剤又は苛性ソーダを主成分とするアルカリ溶液を殺菌剤として使用するSOP処理が行われる。したがって、密封部チャンバー46内も内容物殺菌装置66により製造される無菌水が供給される。
無菌水は内容物殺菌装置66に水を供給し、供給された水を内容物殺菌装置66により加熱殺菌することにより製造される。製造された無菌水は図6に示すように、切換えバルブ69を経て、無菌水供給装置70により充填部チャンバー41に供給され、液体吹き付けノズル59からチャンバー内に吹き付けられる。また、充填部チャンバー41以外のチャンバーに供給されても構わない。無菌水は内容物殺菌装置66により水が加熱されて製造されるが、内容物殺菌装置66により冷却されるため、各チャンバー内に供給される無菌水の洗浄能力を向上させるために、供給される無菌水は加熱されることが好ましい。よって、切換えバルブ69を経て、充填部チャンバー41及び各チャンバーに供給されるまでにヒータ72により加熱される。無菌水は前述のように60℃〜100℃に加熱されることが好ましい。
また、図7に示すように、無菌水は無菌水貯留タンク71に貯留された後に各チャンバーに供給されることもある。無菌水供給装置70は切換えバルブ69から各チャンバーへの無菌水供給配管、無菌水貯留タンク71及びヒータ72を備える。さらに無菌水供給装置70は、無菌水を圧送するために無菌エアを供給する無菌エア供給装置を備えても構わない。また、無菌水供給装置70は、無菌水を各チャンバーに供給するための蒸気バリアを備えた無菌仕様のポンプを備えても構わない。各チャンバーへの無菌水の供給は、単一のチャンバー又は複数以上のチャンバーに同時に行っても構わない。
無菌水を各チャンバーに供給する前に、無菌水供給配管内は殺菌される。図6に示すように、切換えバルブ69から各チャンバーまでの配管は、無菌水を送液する前に殺菌剤(主に過酢酸か過酸化水素)により殺菌されることが好ましい。これは、液体吹き付けノズル59が熱により損傷を受けるおそれがあるため、加熱水蒸気による殺菌が好ましくないことによる。
各チャンバー内に無菌水を供給する無菌水供給配管内を過酢酸が主成分である殺菌剤により殺菌する場合は、過酢酸濃度を500ppm以上、好ましくは1000ppm〜5000ppmとして殺菌剤を無菌水供給配管内に送液することにより行う。このとき、殺菌剤を40℃〜95℃、好ましくは50℃〜95℃に加温し、配管内流速を1.0m/秒以
上として送液する。送液時間は30秒〜30分が好ましい。殺菌剤の過酢酸濃度を5000ppm以上とすることや、殺菌剤の送液を30分以上行っても構わないが、コストが増し、生産性が低下する。
過酸化水素を主成分とする殺菌剤により、無菌水供給配管内を殺菌する場合は、1.0〜20mg/Lの濃度で過酸化水素を含有する50〜100℃の温度の無菌エアを5分以上無菌水供給配管内に供給することで無菌水供給配管内を無菌化することが可能である。20mg/L以上の濃度の過酸化水素を含有する無菌エアの供給はコストが増し、生産性が低下する。
無菌水供給配管内の殺菌は、過酢酸を主成分とする殺菌剤及び過酸化水素を主成分とする殺菌剤の両方により殺菌しても構わない。その場合、過酢酸を主成分とする殺菌剤による殺菌を先に行い、殺菌効果の高い過酸化水素を主成分とする殺菌剤による殺菌を後に行うのが好適である。
図7に示すように、無菌水供給装置70が無菌水貯留タンク71を備える場合、無菌水供給配管内の殺菌剤による殺菌は、ヒータ72の上流の切換えバルブ72aに殺菌剤を供給し、切換えバルブ72aからヒータ72を経て、各チャンバーまでの無菌水供給配管を殺菌する。切換えバルブ69から切換えバルブ72aまでの無菌水供給配管内の殺菌は加熱水蒸気によることが好ましい。無菌水貯留タンク71を殺菌するために殺菌剤を使用する場合、殺菌剤の使用量が多量となるためである。
図7に示すように、無菌水貯留タンク71を設けることにより、内容物を変更する際に行う内容物殺菌装置66のCIP処理及びSIP処理終了後、内容物を充填部41に供給する内容物供給配管内のCIP処理又はSIP処理を行っているときに内容物殺菌装置66により無菌水を製造し、貯留することができる。無菌水を供給する容器殺菌部チャンバー33、エアリンス部チャンバー36、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53のうち、充填部チャンバー41は比較的大きなチャンバーであり、供給する無菌水が多量となるため、内容物殺菌装置66により無菌水を製造しながら供給するのでは無菌水が不足する場合がある。貯留タンク71に貯留する無菌水を使用することで、充填部チャンバー41及び他のチャンバーに必要量の無菌水を供給することができ、各チャンバーのSOP処理を短時間に完了することができる。
図8に示すように内容物殺菌装置66を複数設けても構わない。内容物殺菌装置66を複数設ける目的は異なる内容物の変更時間を短くするためである。内容物殺菌装置66の比較的高温となる部分は内容物によりコゲを生じる場合があり、内容物を変更する際の内容物殺菌装置66のCIP処理に長時間を要する場合がる。このとき、内容物殺菌装置66を複数設けておき、一方の内容物殺菌装置66により内容物を殺菌して充填しているときに、他方の内容物殺菌装置66のCIP処理及びSIP処理を完了しておくことで、内容物変更の際、即座に他方の内容物殺菌装置66を使用して次の内容物の殺菌を行い充填することができる。他方の内容物殺菌装置66のCIP処理及びSIP処理を完了した後、無菌水を製造し、無菌水貯留タンク71に無菌水を貯留することができ、各チャンバーへの無菌水供給も各チャンバーが無菌水を必要とするときに、直ちに供給することができる。
各チャンバー供給される無菌水は20℃〜100℃、好ましくは60℃〜100℃であるが、内容物殺菌装置66において加熱殺菌された無菌水を常温まで冷却せずに、60℃〜100℃まで冷却した状態で各チャンバーに供給することにより達成される。このとき、ヒータ72により無菌水を加熱する必要はない。無菌水の温度を60℃以上とすることにより、洗浄能力の向上以外にSOP処理に使用する殺菌剤である過酢酸やアルカリ等の薬剤で損傷した耐熱性カビや耐熱性酵母に対して、加温された無菌水による殺菌効果が期待される。
過酢酸やアルカリ溶液等の殺菌剤を用いずに、無菌水の温度を60℃〜100℃にすることで、細菌胞子以外のカビ、酵母、細菌の栄養細胞を殺菌することも可能である。無菌水の温度を60℃以上とすると洗浄効果も高いため、殺菌と洗浄を1工程で同時に行うことが可能である。加温無菌水による殺菌と洗浄を同時に行うことは、酸性飲料やミネラルウォーターを内容物とする無菌充填機のSOP処理として有効である。加熱された無菌水によるSOP処理は、製品液が飛散する充填部チャンバー41及び密封部チャンバー46以外の成形部チャンバー17及びキャップ殺菌部52で行っても構わない。
各チャンバー内には、殺菌剤を吹き付けた後に無菌水を吹き付けるが、殺菌剤を吹き付ける前に、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53内に内容物が飛散している場合は、液体吹き付けノズル59から洗浄用液体が吹き付けられ、各チャンバー内がCOP処理される。洗浄用液体は水又は酸性化合物若しくは塩基性化合物を含む水である。水はイオン交換水、蒸留水又は水道水等異物を含まない水であればどのようなものでも構わない。酸性化合物とは、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸又は酢酸、蟻酸、オクタン酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸等の有機酸である。また塩基性化合物とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物、又はエタノールアミン、ジエチルアミン等の有機塩基性化合物である。この他に、有機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸等の金属イオン封鎖剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等の非イオン界面活性剤、クメンスルホン酸ナトリウム等の可溶化剤、ポリアクリル酸等の酸系高分子又はこれらの金属塩、腐食抑制剤、防腐剤、酸化防止剤、分散剤、消泡剤などを含んでも構わない。また、これらの洗浄用液体を50℃以上に加温すると殺菌作用も有するため、チャンバー内を殺菌するための殺菌剤として洗浄用液体を利用しても構わない。
各チャンバーには図5に示すように、無菌エア供給装置60が備えられる。無菌エア供給装置60は各チャンバーの上部に接続される。無菌エア供給装置60はブロワ61、加熱装置62及び除菌フィルタ63を備える。ブロワ61によるエアが加熱装置62により加熱され、除菌フィルタ63により除菌された後に、無菌エアとなって各チャンバー内に供給される。図5に示すように、除菌フィルタ63をチャンバーの天面に対して垂直に設けているが、これは洗浄用液体及び殺菌剤が除菌フィルタ63の表面に付着するのを防止するためである。除菌フィルタ63はチャンバー面に平行に設けても構わない。
また、各チャンバーには排気装置64が備えられ、無菌エア供給装置60と連動して各チャンバー内の圧力を適正な値に保持する。
無菌エア供給装置60から供給される無菌エアにより、各チャンバー内に残存する液体吹き付けノズル59から吹き付けられた無菌水を気化させて除去する。この時、無菌エアが加熱されることで無菌水の気化による除去が迅速に行われる。また、無菌エア供給装置60は、無菌充填機稼働時に各チャンバー内の無菌性を維持するため、各チャンバー内に無菌エアを供給する。この場合、無菌エアは加熱されなくても構わない。
過酸化水素を主成分とする殺菌剤により各チャンバー内を殺菌する前に、チャンバー内を出来るだけ乾燥させることが好ましい。濡れた状態の場合、液体に過酸化水素が溶解し、気体として存在する過酸化水素の濃度が低下するため、殺菌能力が発揮できない。各チャンバー内に残存する無菌水を短時間で効率良く除去するために、各チャンバー内のホイールを回転させることが好ましい。充填部39のCIP処理又はSIP処理が行われているときは、充填部ホイール40のホイールのクラッチを切って、充填部ホイール40以外のホイールを回転させる。回転速度は、生産時の運転速度まで上げると良い。この高速回転による遠心力で密封部ホイール45、エアリンスホイール35、ホイール28等の充填部ホイール40以外のホイール、グリッパ22及び無菌充填機内の各部の蛇腹に付着した無菌水を除去することが可能である。この残水除去工程は無菌性が低下しないように、無菌エアを供給しながら行う。充填部39の残水除去は、充填部39のCIP処理が終了した後、SOP処理の前に行うことが好ましい。
無菌充填機稼働前の殺菌において、殺菌剤吹き付けノズル58により、殺菌剤が吹き付けられることにより、除菌フィルタ63の表面も殺菌することができる。除菌フィルタ63の表面の殺菌は過酸化水素水のガス若しくはミスト又はこれらの混合物により殺菌しても構わない。
内容物殺菌装置66から充填ノズル42に至る内容物供給系配管は内容物変更の際にはCIP処理及びSIP処理が行われる。これはCOP処理及びSOP処理と同時に行われても、順次行われても構わない。
図6に示すように、充填ノズル42から排出されるCIP処理のための洗浄用液体を循環させる循環用管路73が設けられる。充填ノズル42と循環用管路73との接続は、図示しないが、循環用管路73に設けられたカップがアクチュエータによって充填ノズル42の先端に被せられることによって行われる。
この循環用管路73にはバルブマニホールド74を介して洗浄液体等を循環路73に供給する導入管75が接続される。導入管75の上流側には、洗浄用液体、水、加熱水蒸気及び無菌エアの供給源が各々切換えバルブを介して接続される。循環用管路73や導入管75には、他の各種バルブ、ポンプ等が設けられるが、図示を省略する。バルブマニホールド74から内容物殺菌装置66の出口に接続される循環用配管路73a及びサージタンク67の上流に接続される循環用配管路73bが設けられる。さらに、循環路73aに殺菌装置循環路76が設けられる。すなわち、内容物殺菌装置66内を循環する循環路76、及び循環路73、73bを経てサージタンク67、ヘッドタンク68から充填ノズル42に至る循環路が形成される。これらの循環路に洗浄用液体及び水を導入管75から供給し、循環させることでCIP処理を行う。洗浄用液体及び水はCOP処理に使用するものと同様で構わない。
さらに、加熱水蒸気を内容物供給配管系に供給することでSIP処理を行う。SIP処理を行う加熱水蒸気は充填ノズル42にから吹き出すことで内容物供給系配管内のSIP処理を行う。SIP処理の後、内容物供給系配管内に無菌エアを導入し、内容物供給系配管内の無菌性を維持する。
実施の形態1は容器2を殺菌する無菌充填機であるが、容器2を殺菌する前にプリフォーム1を殺菌しても構わない。
(実施の形態2)
図9に本発明の実施の形態2を示す。実施の形態1は容器2を殺菌する無菌充填機であるが、実施の形態2はプリフォーム1を殺菌し、容器2を殺菌しない無菌充填機である。以下に、プリフォーム1を殺菌するプリフォーム殺菌部77を備える無菌充填機について説明する。
(実施の形態2の概要)
図9に示すように、実施の形態2に係る無菌充填機は、プリフォーム1を供給するプリフォーム供給装置4、プリフォーム1を殺菌するプリフォーム殺菌部77、プリフォーム1を容器2に成形する温度に加熱する加熱部6、加熱したプリフォーム1を容器2に成形する成形部16、成形された容器2を検査する検査部78、検査により正常と判断された容器2に殺菌された内容物を充填する充填部39、密封部材である蓋材3を殺菌する蓋材殺菌部52、内容部が充填された容器2を殺菌された蓋材3により密封する密封部44、密封された容器2を排出コンベヤ50に載置する排出部47及び排出コンベヤ50により容器2を非無菌ゾーンに排出する出口部51を備える。検査部78は備えなくても構わない。
プリフォーム殺菌部77はプリフォーム殺菌部チャンバー79、加熱部6は加熱部チャンバー12、成形部16は成形部チャンバー17、検査部78は検査部チャンバー80、充填部39は充填部チャンバー41、密封部44は密封部チャンバー46、排出部47は排出部チャンバー49及び出口部51は出口部チャンバー53により各々遮蔽されている。実施の形態1と異なり、成形部16と検査部78が同一チャンバー内になく、各々成形部チャンバー17、検査部チャンバー80により遮蔽されていても構わない。ここで、蓋材殺菌部52と密封部44は単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。また、密封部44と排出部47も単一のチャンバーにより遮蔽されても構わない。
加熱部チャンバー12、成形部チャンバー17、検査部チャンバー80、充填部チャンバー41、密封部チャンバー46、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53には、無菌充填機の稼働中に除菌フィルタにより無菌化された無菌エアが供給され、各チャンバー内部の圧力を陽圧にすることで、無菌充填機の無菌性が維持される。陽圧にする圧力は、充填部チャンバー41内が最も高く、上流又は下流に行くにほど低く設定される。例えば、充填部チャンバー41内の圧力を20Pa〜40Paとすると、他のチャンバー内の圧力は充填部チャンバー41内の圧力よりも低い。
プリフォーム殺菌部チャンバー79はプリフォーム殺菌部チャンバー79内のエア中の殺菌剤を分解するフィルタ81とブロワ82からなる排気手段が連結される。無菌充填機の稼働中にプリフォーム殺菌部チャンバー79内のエアが排気されることにより、隣接する加熱部6への殺菌剤の流入を防止することができる。従って、無菌充填機稼働中はプリフォーム殺菌部チャンバー79内の圧力はほぼ大気圧と同等か陰圧である。
(実施の形態2の詳細)
プリフォーム1が、図9に示すプリフォーム供給装置4により、所望の速度でプリフォーム供給コンベヤ5により連続的にプリフォーム殺菌部77に搬送される。プリフォーム1は実施の形態1と同様である。
プリフォーム1は、プリフォーム供給コンベヤ5からホイール7に一定間隔で設けられたグリッパ22に把持され、図10(I)に示すようにホイール7に設けられたプリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83により、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物が吹き付けられる。
図10(I)に示すように、殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、プリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83内で二手に分かれて流れ、その一方のノズル83aからプリフォーム1の内部に向かって吹き付けられ、他方のノズル83bからプリフォーム1の外面に向かって吹き付けられる。殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、プリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83から出た後、ガス状態のままで、若しくはミスト又はこれらの混合物となって、プリフォーム1の内部に流入し、あるいはプリフォーム1の外面に接触する。
プリフォーム1の内部に向かって吹き付けられる殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物は、プリフォーム1内に流入した後、プリフォーム1の口部1aから溢れ出るが、溢れ出た殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物の流れは、案内部材84に衝突し、案内部材84の内面に導かれて、プリフォーム1の外面へと向かって流れを変え、プリフォーム1の外面に接触する。案内部材84に環状溝84aが設けられると、溢れ出た殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物はプリフォーム1の外面に沿って流れる。
このように殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がプリフォーム1の内外面に接触し、付着することにより、プリフォーム1の表面に付着した菌等が殺菌される。
図10(I)に示すプリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83は一個のみならず、複数個をプリフォーム1の走行路に沿って配置し、これらのプリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83から殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物をプリフォーム1に向かって吹き付けるようにしても構わない。また、プリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83、ノズル83a又はノズル83bの径やノズル83bに設けられた殺菌剤ガス吹き出し口の径及び個数を変化させることにより、プリフォーム1の内面と外面への殺菌剤の付着量を各々調整することが可能である。
なお、プリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83、ノズル83a,ノズル83bには、これらの途中から、常温又は加熱された無菌エアを供給して、無菌エアにより希釈された殺菌剤のガス若しくはミスト又はこれらの混合物がプリフォーム1に吹き付けられても構わない。
なお、図10(I)に示したプリフォーム1への殺菌剤のガスの吹き付けの直前に、プリフォーム1に熱風を吹き付ける等して、プリフォーム1を予備加熱してもよい。この予備加熱によりプリフォーム1の殺菌効果をさらに高めることができる。
殺菌剤は実施の形態1と同様のものが使用される。また、殺菌剤のガス化は実施の形態1と同様の殺菌剤ガス生成器55による。殺菌剤のガスの吹き付け量は任意であるが、殺菌剤が過酸化水素水の場合、プリフォーム1への過酸化水素の付着量は、35質量%の過酸化水素を含む過酸化水素水の量として0.001μL/cm2〜0.5μL/cm2が好ましい。付着量が0.001μL/cm2よりも少ない場合は、十分な殺菌効果を得るこ
とができない。また、この付着量が0.5μL/cm2を超えると、プリフォーム1をボ
トル2にブロー成形した場合に、容器2に白化、斑点、皺、変形の成形不良が発生し、容器2の過酸化水素の残留が多くなる。
殺菌剤のガスが吹き付けられたれたプリフォーム1は、図10(J)に示すように、グリッパ22により把持され、搬送されつつエア吹き付けノズル85により無菌エアが吹き付けられても構わない。殺菌剤の種類や量により、無菌エアの吹き付けは行われなくても構わない。
無菌エアの吹き付けにより、プリフォーム1の表面に付着した殺菌剤が活性化され、プリフォーム1の内外面の菌等が殺菌される。また、無菌エアの吹き付けによって、プリフォーム1に付着した殺菌剤は、プリフォーム1の表面から速やかに除去される。プリフォーム1に付着した殺菌剤は、加熱される前に無菌エアの吹き付けによりプリフォーム1から除去される。また、無菌エアのプリフォーム1への吹き付けにより、プリフォーム1内の異物も除去される。
無菌エアは常温でも構わないが、加熱されて無菌ホットエアとすることで、殺菌効果が高まり、殺菌剤が過酸化水素を含有する場合は、過酸化水素のプリフォーム1への残留も減少する。無菌エアの加熱は、プリフォーム1に吹き付けられる無菌ホットエアの温度が40℃から140℃となるようにすることが好ましい。40℃未満では加熱による効果が少なく、プリフォーム1の温度が70℃を超えるとプリフォーム1の口部1aの変形などの不都合を生じるため、無菌ホットエアの温度は140℃を超えないことが好ましい。
図10(J)に示すように、無菌エアはエア吹き付けノズル85の主体をなす箱状のマニホルド85bに形成したスリット状の吹出口85aから吹き出すようになっている。また、エア吹き付けノズル85をプリフォーム1に追従させてプリフォーム1に無菌エアを吹き付けても構わない。さらに、エア吹き付けノズル85を棒状として、プリフォーム1に挿入して、プリフォーム1内の異物除去を兼ねて、プリフォーム1内への無菌エア吹き付けを行っても構わない。
図10(I)に示すプリフォーム1への殺菌剤ガス吹き付けは、図9に示すようにホイール7に設けたプリフォーム殺菌剤ガス吹き付けノズル83で行い、図10(J)に示すプリフォーム1への無菌エアの吹き付けは、図9に示すようにホイール8に設けたエア吹き付けノズル85で行う。しかし、いずれの工程もホイール7又はホイール8で行っても構わない。
加熱部6に供給されたプリフォーム1は、図9に示す加熱部搬送ホイール9に達する。この後、プリフォーム1の加熱工程は実施の形態1と同様である。加熱されたプリフォーム1は図9に示すように、ホイール15を経て成形部16に搬送される。ホイール15における搬送路には、図9に示すようにプリフォーム1の搬送路を囲むプリフォームトンネル86が設けられる。プリフォームトンネル86はプリフォーム1の口部1aをその上方から覆い、天井部分は、傾斜面を有する屋根状に形成される。また、天井部分には、無菌エアをプリフォーム1の口部1aに向かって吹き出すノズルが、パイプの列状又はスリット状に設けられる。これにより、無菌エアがプリフォーム1へと効率的に供給され、プリフォーム1は無菌性を維持しつつ成形部16の成形ホイール18に受け渡される。
成形ホイール18に受け渡されたプリフォーム1の成形工程は実施の形態1と同様である。
成形された容器2はホイール23を経て検査部78に搬送されるが、ホイール23における搬送路には、図9に示すように容器2の搬送路を囲む容器トンネル87が設けられる。容器トンネル87は、容器2の口部1aをその上方から覆い、天井部分は、傾斜面を有する屋根状に形成される。また、天井部分には、無菌エアを容器2の口部1aに向かって吹き出すノズルが、パイプの列状又はスリット状に設けられる。これにより、無菌エアが容器2へと効率的に供給され、容器2は成形部チャンバー17内にあって無菌性を維持しつつ走行することができる。
容器2はホイール23を経て検査部78の検査ホイール88に受け渡される。検査により不良がないことが確認された容器2だけが、さらに充填部39に搬送される。成形不良などによる異常な容器2を使用して不適正な製品を生産しないように、容器2を検査部78で検査することが好ましい。検査により異常が発見された場合、その容器は図9に示す不良容器の排出装置89により無菌充填機の外部に排出される。検査部の検査ホイール88及び90に沿って、容器2を検査する検査機材24が設けられる。
検査部チャンバー80内は稼働前に殺菌され、稼働時には無菌エアが供給され、無菌雰囲気が維持される。無菌充填機の稼働前の殺菌において、容器2を検査する検査機材24が殺菌剤と接触しないように、検査機材24は密閉された容器に収納される。検査機材24が殺菌剤に接触して、腐食等が生じないようにするためである。すなわち、検査部78は密閉された容器に収納された検査機材24を備える。検査項目や検査の工程は実施の形態1と同様であるが、容器2は既に殺菌されているため、温度測定は行わなくても構わない。
検査により異常と判断された容器2は排出ホイール91に設けられ排出装置89により、無菌充填機の外部に排出されるが、正常と判断された容器2はホイール92を経て充填部39に搬送される。充填部39、密封部44及び排出部47における工程は実施の形態1と同様である。
無菌充填機の稼働前に、加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17内は、殺菌される。例えば、殺菌方法の一つとして、20mg/L以下の濃度で過酸化水素を含有するエアで加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17内をガス殺菌する。この場合、加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17には実施の形態1と同様に、図5に示すような殺菌剤吹き付けノズル58が設けられる。また、プリフォーム1や容器2が接触する部位をUVランプで照射(紫外線殺菌)しても構わない。また、液状の殺菌剤を滴下等の方法により、プリフォーム1の内部に導入し、殺菌剤がプリフォーム1の内部に残留した状態のまま、プリフォーム1内にブローノズル21から空気等を吹き込み、殺菌剤を成形部チャンバー17内に拡散させることにより、成形部チャンバー17内を殺菌しても構わない。過酸化水素による加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17内の殺菌では、殺菌剤が残留する可能性が低いことから、無菌水によるチャンバー内のリンスは行わなくも構わない。
無菌充填機の稼働時に加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17内の無菌性を維持するために、加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17内に無菌エアを供給する。実施の形態1と同様に、加熱部チャンバー12及び成形部チャンバー17は無菌エア供給装置60を備える。
検査部チャンバー80は図5に示す実施の形態1と同様に、殺菌剤吹き付けノズル58、液体吹き付けノズル59及び無菌エア供給装置60を備える。無菌充填機稼働前の検査部チャンバー80内の殺菌は、実施の形態1における各チャンバーと同様に行う。
充填部チャンバー41、密封部チャンバー44、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53内の洗浄や殺菌は実施の形態1と同様である。充填部チャンバー41は内容物がチャンバー内に飛散して汚染が激しいため、過酢酸又はアルカリ溶液を殺菌剤として使用するSOP処理が行われるため、無菌水による洗浄が必要である。しかし、検査部チャンバー80、排出部チャンバー49及び出口部チャンバー53は汚染が限定的であるため、過酸化水素のみのSOP処理を行うこともあり、この場合は無菌水による洗浄を行わなくても構わない。したがって、内容物殺菌装置66により製造される無菌水は少なくとも充填部チャンバー41に供給される。また、少なくとも充填部チャンバー41に内容物殺菌装置66により製造される無菌水を供給する無菌水供給装置70が備えられる。
また、密封部チャンバー46内も内容物により汚染された場合は、過酢酸等の殺菌剤又は苛性ソーダを主成分とするアルカリ溶液を殺菌剤として使用するSOP処理が行われる。したがって、密封部チャンバー46内も内容物殺菌装置66により製造される無菌水が供給される。
少なくとも、充填部チャンバー41は無菌充填機の稼働前にSOP処理される際、各チャンバーに殺菌剤が噴霧された後、無菌水供給装置70から各チャンバーに無菌水が供給され、殺菌剤が洗い流される。
本願に係る実施の形態について、プリフォーム1を容器2に成形する無菌充填機により説明したが、プリフォーム成形する容器以外に、カップ、液体紙容器、フィルム包装の無菌充填機にも適用可能である。