JP6990153B2 - 二酸化バナジウムの製造方法 - Google Patents
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しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法は、煩雑な工程を必要とするため工業的に有利でない。
本発明に係る原料混合工程は、五酸化バナジウムと炭素材料源とを混合し原料混合物を調製する工程である。
この理由は、五酸化二バナジウムを還元する炭素材料源が上記の量より少ないと、反応性の優れた原料混合物が得られなくなり、後述する焼成温度で焼成を行った場合に、原料の五酸化二バナジウムが未反応で残存するからである。
また、未反応の炭素材料源は、目的とする二酸化バナジウムにそのまま残存する可能性があるので、高純度な二酸化バナジウムを得る観点から、五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する炭素材料源中の炭素原子のモル比(C/V)は、2.2~4.5であることが好ましく、2.4~4.0であることが更に好ましい。
原料溶解工程において、各原料を全溶解させるという観点から、五酸化二バナジウムの添加量は、水溶媒100質量部に対して10~40質量部であることが好ましく、15~30質量部であることが更に好ましい。また、原料溶解工程で用いる有機酸としては、五酸化二バナジウムを溶解する能力が高いという点で、カルボン酸が好ましく、シュウ酸が更に好ましい。また、原料溶解工程において、経済的観点から、五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する有機酸中の炭素原子のモル比(C/V)は、2.2~4.5とすることが好ましく、2.8~4.0とすることが更に好ましい。
焼成工程は、原料混合工程で得られた原料混合物を不活性ガス雰囲気中で所定の温度で焼成して焼成体を得る工程である。
この理由は、焼成温度が300℃未満では単斜晶の二酸化バナジウムが生成されず、一方、340℃以上では、V5O9及び/又はV4O7が生成し単斜晶の二酸化バナジウムは生成しないからである。より高純度な二酸化バナジウムを得る観点から、焼成温度は、320℃以上340℃未満であることが好ましい。
焼成時間は、特に制限されるものではなく、通常は1時間以上、好ましくは2~30時間で満足のいく焼成体が得られる。
V1-xMxO2 (1)
(式中、Mは、Cr、W、Mo、Nb、Ta、Os、Ir、Ru及びReの群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の副成分元素を示す。xは0≦x≦0.5を示す。)で表わされる単斜晶の二酸化バナジウムであることが好ましい。
V3O7の含有量は、線源としてCu-Kα線を用いて二酸化バナジウム試料をX線回折分析したときに、2θ=27.8°付近に現れる二酸化バナジウムのメインピーク(a)に対する2θ=24.9°に現れるV3O7のメインピーク(b)の高さ比((b)/(a))で0.3以下であることが好ましく、0.25以下であることが更に好ましい。
<X線回折分析>
X線回折分析は、Bruker社製のD8 Advance Sを用いて行った。線源としてCu-Kαを用いた。測定条件は、管電圧40kV、管電流40mA及び走査速度0.1°/secとした。
<原料混合工程>
容器に、V2O5300g、シュウ酸・2水塩581.3g及びイオン交換水1500gを室温下(20℃)で仕込み、次いで室温(20℃)で24時間撹拌して原料を水に溶解させて原料溶解液を調製した。
次いで、熱風入り口の温度を220℃、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に、原料溶解液を供給し噴霧乾燥して原料混合物を得た。得られた原料混合物をX線回折分析した結果を図1に示す。図1から分かるように、原料混合物はV2O5の回折ピークが観察されず、非結晶質であることが確認された。また、得られた原料混合物のSEM像を図2に示す。
原料混合工程で得られた原料混合物をアルミナるつぼに投入し、窒素ガス雰囲気の炉内で330℃で4時間焼成を行った。焼成後は、窒素ガス雰囲気中でそのまま室温(20℃)まで冷却した。次いで、焼成体をビーズ破砕装置で粉砕処理したものを二酸化バナジウム試料とした。
実施例1において、焼成工程における焼成温度を350℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして試料を作製した。
<原料混合工程>
容器に、V2O520g、シュウ酸・2水塩13.86g及びイオン交換水100gを室温下(25℃)で仕込み、次いで昇温して80℃で3時間加熱処理してV2O5が一部溶解した原料混合物のスラリーを得た。
次いで、熱風入り口の温度を220℃、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に、原料混合物のスラリーを供給し噴霧乾燥して反応前駆体を得た。得られた反応前駆体をX線回折分析した結果、V2O5の回折ピークが確認された。
原料混合工程で得られた反応前駆体をアルミナるつぼに投入し、窒素ガス雰囲気の炉内で330℃で4時間焼成を行った。焼成後は、窒素ガス雰囲気でそのまま室温(20℃)まで冷却した。次いで、焼成体をビーズ破砕装置で粉砕処理したものを試料とした。
<原料混合工程>
容器に、V2O5300g、シュウ酸・2水塩581.3g、イオン交換水1500g及びメタタングステン酸アンモニウム溶液(WO3換算50重量%)5gを室温下(20℃)で仕込み、次いで室温(20℃)で24時間撹拌して原料を水に溶解させて原料溶解液を調製した。なお、V2O5中のバナジウム原子に対するシュウ酸・2水塩中の炭素原子のモル比(C/V)は、2.8であった。
次いで、熱風入り口の温度を220℃、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に、原料溶解液を供給し噴霧乾燥して原料混合物を得た。得られた原料混合物をX線回折分析した結果、回折ピークが観察されず、非結晶質であることが確認された。
原料混合工程で得られた原料混合物をアルミナるつぼに投入し、窒素ガス雰囲気の炉内で330℃で4時間焼成を行った。焼成後は、窒素ガス雰囲気中でそのまま室温(20℃)まで冷却した。次いで、焼成体をビーズ破砕装置で粉砕処理したものをW原子として0.7質量%ドープした二酸化バナジウム試料とした。
実施例及び比較例で得られた各試料について、平均一次粒子径及びBET比表面積を測定した。その結果を表2に示す。また、各試料のX線回折分析の結果も表2に併記した。
Claims (9)
- 五酸化二バナジウムと炭素材料源とを混合し原料混合物を得る原料混合工程と、
前記原料混合物を不活性ガス雰囲気中で300℃以上340℃未満で焼成して焼成体を得る焼成工程と
を含み、
前記原料混合工程において、五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する炭素材料源中の炭素原子のモル比(C/V)が、2.2以上であることを特徴とする二酸化バナジウムの製造方法。 - 前記原料混合工程において、前記炭素材料源が有機酸であり、且つ前記原料混合工程が、五酸化二バナジウムと有機酸とを水溶媒中で混合し、各原料を溶解した原料溶解液を得、次いで前記原料溶解液を噴霧乾燥する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 前記原料混合工程において、五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する有機酸中の炭素原子のモル比(C/V)が、2.2~4.5であることを特徴とする請求項2に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 前記有機酸が、カルボン酸であることを特徴とする請求項2又は3に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 前記有機酸が、シュウ酸であることを特徴とする請求項2~4の何れか一項に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 前記原料混合工程は、副成分元素を添加する工程を更に含むことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 前記副成分元素が、Cr、W、Mo、Nb、Ta、Os、Ir、Ru及びReから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項6に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 製造される二酸化バナジウムの平均一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
- 前記焼成工程後に、焼成体を不活性ガス雰囲気中で室温まで冷却する工程を含むことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
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