以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施形態の画像投射装置を例示する模式図である。図1に示すように、画像投射装置1は、画像形成ユニット100と、投射光学部200とを有している。
画像形成ユニット100は、光源101と、レンズ102と、レンズ103と、波長選択偏光分離素子104と、1/4波長板105と、レンズ群106とを有している。
また画像形成ユニット100は、蛍光体ホイール107と、レンズ108と、カラーホイール109と、ライトトンネル110と、レンズ群111と、ミラー群112と、画像形成素子113とを有している。
画像形成ユニット100は、ライトトンネル110から時分割で順次出射される光を、画像形成素子113により画素毎で階調制御して画像を形成し、形成された画像を投射光学部200に照射するユニットである。
画像形成ユニット100において、光源101は、直線偏光成分を有する光を出射する。本実施形態では、一例として、光源101が、P偏光成分を有する(P波である)波長λBの青色レーザ光を出射するレーザダイオードであるとして以降の説明を行う。波長λBは、例えば、400nm<λB<470nmとすることができる。
但し、これには限定されず、光源101として青色光を発する発光ダイオード(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro Luminescence)素子を用いてもよいし、これらを複合した光源を用いてもよい。或いは、紫外域の波長領域の光を出射するレーザダイオード、発光ダイオード、有機EL素子等を用いてもよいし、これらを複合した光源を用いてもよい。
又、光源101は1つであってもよいし、複数であってもよい。又、光源101とレンズ102との間に、光源101から出射されたレーザ光を略平行光束としてレンズ102に導くカップリングレンズを設けてもよい。
光源101の出射する青色レーザ光は、第1の光の一例である。又、光源101の出射する青色レーザ光は、蛍光体ホイール107において蛍光を生じさせる励起光として使用される。
光源101の出射する青色レーザ光は、レンズ102、レンズ103を経由して略平行光束として波長選択偏光分離素子104に入射する。波長選択偏光分離素子104は、例えば、図2に示す分光透過率特性を有する光路切替手段である。
波長選択偏光分離素子104は、光源101の波長λBにおいて、P波を透過させ、S波は透過させない(S波を反射させる)特性を有している。なお、図2の分光透過率特性からわかるように、大よそ500nm以上の波長の光は、P波であるかS波であるかにかかわらず(偏光特性にかかわらず)、波長選択偏光分離素子104で反射される。波長選択偏光分離素子104としては、例えば、偏光ビームスプリッタを用いることができる。
図1に戻り、波長選択偏光分離素子104に入射したP波の青色レーザ光は、波長選択偏光分離素子104を透過し、直線偏光と円偏光を相互に変換する偏光変換手段である1/4波長板105に導かれる。1/4波長板105を透過した光はP波(P偏光)から円偏光となり、レンズ群106を経由して蛍光体ホイール107に入射する。
なお、偏光変換手段は1/4波長板には限定されず、例えば、レンズ群106を構成する何れかのレンズの入射面にTa2O5等の斜め蒸着膜を成膜したもの等を用いてもよい。ここで、斜め蒸着膜とは、蒸着物質が飛来する方向(蒸着源の方向)に対して、被蒸着対象物を斜めに設置し、被蒸着対象物の所定面の法線に対して蒸着物質を斜めに堆積形成させたものである。
レンズ群106は、例えば両凸レンズや平凸レンズ等を適宜組み合わせて構成でき、略平行光束を蛍光体ホイール107にスポット状に集光させる機能と、蛍光体ホイール107からの発散光を平行化して略平行光束に変換する機能とを有する。
図3は、第1の実施の形態で用いる蛍光体ホイールを例示する拡大平面図であって、蛍光体ホイールを入射光側から見た図である。図3に示すように、本実施の形態で用いる蛍光体ホイール107は、円盤状の部材、すなわち回転体が、異なる蛍光を発する複数の扇状の領域(セグメント)に分割された構成である。波長選択偏光分離素子104からの光が照射される領域が順次変化するように回転駆動される。
具体的には、蛍光体ホイール107は、周方向において、黄色の蛍光を発する黄色(Y)蛍光体が形成された黄色(Y)蛍光体領域1071、緑色の蛍光を発する緑色(G)蛍光体が形成された緑色(G)蛍光体領域1072、入射光を反射させる反射面が形成された反射面領域1073の3つの扇状の領域(セグメント)に分割されている。
黄色(Y)蛍光体領域1071は、青色レーザ光を励起光として、青色レーザ光よりも長波長の黄色の蛍光を発生する。緑色(G)蛍光体領域1072は、青色レーザ光を励起光として、青色レーザ光よりも長波長の緑色の蛍光を発生する。反射面領域1073は、入射された青色レーザ光をそのまま青色の光として反射する。
蛍光体ホイール107は、レンズ群106からの光の入射位置に配置されるセグメントを、回転により切り替えることで、黄色の蛍光、緑色の蛍光、及び青色レーザ光の反射光を取り出す。
但し、上記では、青色の光を第2の光とする領域に、反射面領域1073を用いる例を示したが、これに限定されない。例えば透明領域、穴が開いた領域、又は拡散領域を用いて、青色の光を取り出すようにしてもよい。
透明領域は、例えば透明なガラスであり、青色のレーザ光を透過する。穴が開いた領域では、青色のレーザ光がそのまま通過する。拡散領域では、青色のレーザ光を拡散する。拡散領域は、例えば、表面に大きさの異なる凹凸構造が多数形成された構造とすることができる。
また、蛍光体領域として、黄色と緑色の蛍光体領域を用いる例を示したが、何れか1つであってもよく、他の色の蛍光体領域を、置換、又は追加で設けてもよい。
さらに、光源として青色レーザの他に、例えば赤色のレーザダイオード等の光源を別に設けてもよい。
蛍光体ホイール107は、「第1の光変換手段」の一例である。黄色(Y)蛍光体領域1071、及び緑色(G)蛍光体領域1072は、それぞれ「蛍光体領域」の一例である。黄色(Y)蛍光体領域1071、及び緑色(G)蛍光体領域1072で発生られる蛍光は、「蛍光光」の一例である。反射面領域1073は、「蛍光体を備えない領域」の一例である。黄色(Y)蛍光体領域1071、緑色(G)蛍光体領域1072、及び反射面領域1073が設けられた回転体は、「第1の回転体」の一例である。
図1に戻り、蛍光体ホイール107の軸心には、蛍光体ホイール107を回転させるステッピングモータ等の駆動部107mが設けられている。蛍光体ホイール107が駆動部107mの駆動により所定のタイミングで回転することで、レンズ群106からの光の入射位置が、黄色(Y)蛍光体領域1071、緑色(G)蛍光体領域1072、及び反射面領域1073の3つの何れかのセグメントに切替わる。また駆動部107mの駆動による蛍光体ホイール107の回転数は、駆動部107mを制御し、変更することができる。
黄色(Y)蛍光体領域1071、又は緑色(G)蛍光体領域1072から発生した黄色、又は緑色の蛍光は、レンズ群106、及び1/4波長板105を往きとは逆向きに通過し、波長選択偏光分離素子104に入射する。なお、このときの黄色、又は緑色の蛍光は、ランダム偏光の状態である。
波長選択偏光分離素子104は、上述したように、大よそ500nm以上の波長の光は、偏光特性にかかわらず反射する。そのため、蛍光体ホイール107で発生した黄色、及び緑色の蛍光は、波長選択偏光分離素子104により反射され、レンズ108を通ってカラーホイール109に入射される。
一方、蛍光体ホイール107の反射面領域1073で反射された光は、レンズ群106、及び1/4波長板105を往きとは逆向きに通過する。ここで、反射面領域1073に入射する円偏光は、反射後も円偏光が維持されるが、反射により入射光とは逆方向に回転する円偏光になる。例えば入射の時に時計回りの円偏光だった光は、反射後は反時計回りの円偏光になる。そして1/4波長板105を通過することで、往きとは偏光方向が直交する直線偏光になる。そのため、波長選択偏光分離素子104で反射され、レンズ108を通ってカラーホイール109に入射される。
図4は、第1の実施の形態で用いるカラーホイールを例示する拡大平面図であって、カラーホイールを入射光側から見た図である。図4に示すように、本実施の形態で用いるカラーホイール109は、円盤状の部材、すなわち回転体が、複数の扇状の領域(セグメント)に分割された構成である。具体的には、カラーホイール109は、周方向において、赤色(R)領域1091、緑色(G)領域1092、透明領域1093、及び拡散領域1094の4つの扇状の領域(セグメント)に分割されている。
カラーホイール109における赤色(R)領域1091は、赤色光を透過するダイクロイックフィルタが形成された領域であり、大よそ600nm以上の波長範囲の光が透過し、それ以外の波長範囲の光が反射する。緑色(G)領域1092は、緑色光を透過するダイクロイックフィルタが形成された領域であり、大よそ500nm〜580nm程度の波長範囲の光が透過し、それ以外の波長範囲の光が反射する。
透明領域1093では、全ての波長範囲の光がそのまま透過する。透明領域1093は、透明なガラス等としてもよいし、穴が開いた構成としてもよい。拡散領域1094は、全ての波長範囲の光が拡散して透過する。例えば、表面に大きさの異なる凹凸構造が多数形成された構造とすることができる。
カラーホイール109は、レンズ108からの光の入射位置に配置されるセグメントを、回転により切り替えることで、赤色、緑色、黄色及び青色の光を取り出す。
透明領域1093、及び拡散領域1094は、それぞれ第2の光を光変換するための領域の一例である。
このように、波長を変えずに光を取り出す領域として、反射面領域を用いてもよい。
また、第2の光を光変換する構成として、赤色と緑色の光を透過するダイクロイックフィルタが形成された領域の例を示したが、これに限定されない。何れか1つのダイクロイックフィルタを形成してもよいし、他の色のダイクロイックフィルタを、置換、又は追加で形成してもよい。
さらに、光源として青色レーザの他に、例えば赤色のレーザダイオード等の光源を別に設けてもよい。
カラーホイール109は、第2の光変換手段の一例である。赤色(R)領域1091、及び緑色(G)領域1092は、それぞれ「波長選択領域」の一例である。赤色(R)領域1091、及び緑色(G)領域1092を通過した光は、「波長選択光」の一例である。透明領域1093は、「波長選択機能を備えない領域」の一例である。赤色(R)領域1091、緑色(G)領域1092、及び透明領域1093が設けられた回転体は、「第2の回転体」の一例である。
図1に戻り、カラーホイール109の軸心には、カラーホイール109を回転させるステッピングモータ等の駆動部109mが設けられている。カラーホイール109が駆動部109mの駆動により所定のタイミングで回転することで、レンズ108からの光の入射位置が、赤色(R)領域1091、緑色(G)領域1092、透明領域1093、及び拡散領域1094の4つの何れかのセグメントに切替わる。すなわち、青色レーザ光及び蛍光の光路上に、何れかのセグメントが時間的に交互に配置される。また駆動部109mの駆動による蛍光体ホイール107の回転数は、駆動部109mを制御し、変更することができる。
青色の光は、レンズ108からの光の入射位置に、拡散領域1094が配置されたタイミングで、カラーホイール109に入射する。拡散領域1094を通過することで、青色の光は拡散される。これにより青色の光、すなわちレーザ光のコヒーレンス性が失われ、スクリーン等に現れるムラやスペックルが低減される。拡散領域1094を通過した光は、青色の照明光となる。
黄色の蛍光は、レンズ108からの光の入射位置に、透明領域1093、又は赤色(R)領域1091が配置されたタイミングで、カラーホイール109に入射する。透明領域1093が配置されたタイミングでは、最大限の明るさで黄色の光が得られる。通過した光は黄色の照明光となる。また赤色(R)領域1091が配置されたタイミングでは、赤色の光が得られる。通過した光は赤色の照明光となる。
緑色の蛍光は、レンズ108からの光の入射位置に、緑色(G)領域1092が配置されたタイミングで、カラーホイール109に入射する。これにより緑色の純度が調整され、緑色の照明光となる。
カラーホイール109の各領域を通過した光は、ライトトンネル110に入射する。
ライトトンネル110は、内部を中空とする筒状の部材である。ライトトンネル110へ入射する各照明光は、ライトトンネル110の内部で反射を繰り返すことにより、ライトトンネル110の出口では照度分布が均一となる。すなわち、ライトトンネル110は、各照明光の光量むらを低減する照度均一化手段としての機能を有している。なお、ライトトンネル110に代えて、フライアイレンズ等の他の照度均一化手段を採用してもよい。
ライトトンネル110を経て照度分布が均一化された各照明光は、レンズ群111によりリレーされ、ミラー群112で反射されて画像形成素子113に照射される。
画像形成素子113は、各照明光を、画素毎に階調制御することでカラー投影画像を形成する素子である。画像形成素子113は、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)で構成することができる。DMDでは、画素単位のマイクロミラーを有し、各マイクロミラーが異なる2つの角度の何れかの状態を維持することができる。
すなわち、DMDの各マイクロミラーは、各照明光を投射光学部200へ向けて反射する角度(ON状態)と、各照明光を内部の吸収体へ向けて反射して外部に出射させない角度(OFF状態)との何れかの状態となる。これにより、表示する画素毎に、投射光学部200に照射する光を制御することができる。又、DMDでは、パルス幅変調方式(PWM方式)により各マイクロミラーのON状態の時間比率を調整することで、表示する画素毎における階調表現を行うことができる。
なお、画像形成素子113はDMDには限定されず、照明光を画素毎に階調制御してカラー投射画像を形成できる素子であれば、例えば、液晶等を用いてもよい。
本実施形態の画像投射装置1では、画像形成素子113による画像形成のタイミングに同期して、黄色、赤色、緑色、及び青色の各照明光は時分割で画像形成素子113に入射する。そして画像形成素子113で表示画素毎に階調制御された後、投射光学部200によりスクリーン等に投射される。目の残像現象により、スクリーン等でカラー画像が視認可能となる。
なお、画像形成素子113は、ライトトンネル110、レンズ群111、及びミラー群112が定める光学経路上に配置されている。
ここで、図5のタイミングチャートを参照して、画像形成ユニット100による画像形成方法の一例を説明する。
図5では、左端の列に項目が示されている。項目として、「光源出力の比」と、「蛍光体ホイールのセグメント」と、「カラーホイールのセグメント」と、「画像形成素子における色」と、「画像の色」とが示されている。
横軸の矢印は、時間軸を表している。図5は、画像のフレームレート(fps:frame per second)の1周期内で、各色の画像が形成される推移を示している。例えばフレームレートが120fpsであれば、1周期に該当する8.3msの期間での推移が示されている。
「光源出力の比」は、投射される画像の色毎での光源101の出力の大きさを示している。但し、「光源出力の比」の単位は%であり、光源出力の代表値に対する比率である。従って光源出力の代表値に「光源出力の比」を乗じた値が、光源から出射される光の出力である。光源出力の代表値の単位は、例えばワットである。
「光源出力の比」は、画像形成ユニット100により形成される画像の色に応じて切り替えられる。
また「光源出力の比」は、形成される画像の色合い等の設定によっても異なる。例えば、ユーザーが画像投射装置1の操作部を介して色合い等を調整した場合、調整結果に応じ、画像の色毎での「光源出力の比」は異なる値となる。
「蛍光体ホイールのセグメント」は、レンズ群106からの光の入射位置に配置する蛍光体ホイール107のセグメントの種類を示している。
「カラーホイールのセグメント」は、レンズ108からの光の入射位置に配置するカラーホイール109のセグメントの種類を示している。
「画像形成素子における色」は、画像形成素子113で階調制御する画像に対応する色を示している。
「画像の色」は、画像形成ユニット100で形成される画像の色を示している。なお、黄色、赤色、青色、及び緑色の各画像を時分割で取り出す期間は、光源101は点灯状態(ON)となっている。
図5において、黄色の画像を形成するタイミングでは、光源101は100%の出力で、光を出射している。光源101からの光が蛍光体ホイール107に入射する際には、レンズ群106からの光の入射位置に黄色(Y)蛍光体領域1071が配置される。これにより、青色レーザ光により励起された黄色の蛍光が発せられる。
黄色の蛍光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由して、カラーホイール109に入射する。黄色の蛍光がカラーホイール109に入射する際には、レンズ108からの光の入射位置に、透明領域1093が配置される。黄色の蛍光は、透明領域1093を通過して黄色の照明光として取り出され、ライトトンネル110に入射する。
黄色の照明光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由し、黄色の画像が形成される期間に、画像形成素子113に入射する。これにより黄色の画像が形成され、投射光学部200に照射される。
赤色の画像を形成するタイミングでは、光源101は90%の出力で、光を出射している。光源101からの光が蛍光体ホイール107に入射する際には、レンズ群106からの光の入射位置に黄色(Y)蛍光体領域1071が配置される。これにより、青色レーザ光により励起された黄色の蛍光が発せられる。
黄色の蛍光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由して、カラーホイール109に入射する。黄色の蛍光がカラーホイール109に入射する際に、レンズ108からの光の入射位置に、赤色(R)領域1091が配置される。黄色の蛍光は、赤色(R)領域1091を通過して赤色の照明光として取り出され、ライトトンネル110に入射する。
赤色の照明光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由し、赤色の画像が生成される期間に、画像形成素子113に入射する。これにより赤色の画像が形成され、投射光学部200に照射される。
青色の画像を形成するタイミングでは、光源101は70%の出力で、光を出射している。光源101からの光が蛍光体ホイール107に入射する際には、レンズ群106からの光の入射位置に反射面領域1073が配置される。
反射された青色の光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由して、カラーホイール109に入射する。青色の光がカラーホイール109に入射する際に、レンズ108からの光の入射位置に、拡散領域1094が配置される。青色の光は、拡散領域1094で拡散され、青色の照明光として取り出され、ライトトンネル110に入射する。
青色の照明光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由し、青色の画像が形成される期間に、画像形成素子113に入射する。これにより青色の画像が形成され、投射光学部200に照射される。
緑色の画像を形成するタイミングでは、光源101は80%の出力で、光を出射している。光源101からの光が蛍光体ホイール107に入射する際には、レンズ群106からの光の入射位置に緑色(G)蛍光体領域1072が配置される。これにより、青色レーザ光により励起された緑色の蛍光が発せられる。
緑色の蛍光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由して、カラーホイール109に入射する。緑色の蛍光がカラーホイール109に入射する際に、レンズ108からの光の入射位置に、緑色(G)領域1092が配置される。緑色の蛍光は、緑色(G)領域1092を通過して緑色の純度が調整され、緑色の照明光として取り出される。そしてライトトンネル110に入射する。
緑色の照明光は、図1を参照して説明した所定の光学系を経由し、緑色の画像が形成される期間に、画像形成素子113に入射する。これにより緑色の画像が形成され、投射光学部200に照射される。
以上の動作が時系列で順次繰り返され、各色の画像が投射光学部200によりスクリーン等に投射される。
なお、図5では、一例として、黄色、赤色、青色、及び緑色の4色を、時系列で順次高速に切り替えて画像を形成する例を説明したが、3色や5色の場合でも同様である。またカラーホイール109を用いず、蛍光体ホイール107のみで、各色の画像を得る場合にも同様の方法を適用できる。
光源101や蛍光体ホイール107、カラーホイール109、画像形成素子113等の制御は、例えば、画像投射装置1の外部に設けられた制御装置300により行うことができる。
制御装置300のハードウェアは、例えば、CPU(中央処理ユニット;Central Processing Unit)、ROM(リードオンリーメモリ;Read Only Memory)、RAM(ランダムアクセスメモリ;Random Access Memory)等を有して構成される。制御装置300は、ROMに予め記憶されているプログラムに従って、RAMをワークメモリとして用いて、光源101や蛍光体ホイール107、カラーホイール109、画像形成素子113の制御を行うことができる。なお、制御装置300を画像投射装置1の内部に設けてもよい。また、CPUで行う制御処理の一部、又は全部を、電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
制御装置300は、CPUの命令により、次に説明する機能構成を実現することができる。
本実施形態の画像投射装置1の有する制御装置300の機能構成の一例を、図6を参照して説明する。図6において、制御装置300は、出力モード設定部301と、出力モード検知部302と、蛍光体ホイール制御部303と、蛍光体ホイール同期検知部304と、カラーホイール同期制御部305と、画像形成素子同期制御部306と、画像制御部307とを有している。
出力モード設定部301は、画像投射装置1による画像の投射モード等に応じて、光源101の出力モードを設定する。投射モードとしては、例えば画像の明るさを重視する高輝度モード、画像の色味を重視する色味モード、又は消費電力を重視するエコモード等がある。投射モードは、操作部308を介して画像投射装置1のユーザーにより設定され、RAMに記憶される。
出力モード設定部301は、RAMを参照して投射モードを検知し、例えば、高輝度モードの場合、出力モードを光源101の出力が大きい第1モードに設定する。また色味モードやエコモードの場合、第1モードと比較して、光源101の出力を抑制した第2モードに設定する。なお、投射モードは、ユーザーによる設定に限定されず、画像投射装置1の周囲の明るさに応じて自動設定される構成等であってもよい。
出力モード検知部302は、出力モード設定部301により設定された出力モードを検知する。具体的には、出力モード設定部301は、出力モードをRAMに記憶し、出力モード検知部302は、RAMを参照して出力モードを検知する。出力モード検知部302は、出力モード検知手段の一例である。
蛍光体ホイール制御部303は、検知された出力モードに応じて、蛍光体ホイール107の駆動部107mを制御する。具体的には、駆動部107mによる蛍光体ホイール107の回転数を設定、又は変更する。蛍光体ホイール制御部303は、「第1の光変換手段の回転数を変化させる回転数制御手段」の一例である。また、蛍光体ホイール107の回転数は、「第1の回転体の回転数」の一例である。
蛍光体ホイール同期検知部304は、蛍光体ホイール107の回転のタイミングを検知する。具体的には、例えば、駆動部107mによる蛍光体ホイール107の回転原点のタイミング、及び回転数を検知する。
例えば、蛍光体ホイール同期検知部304は、蛍光体ホイール107が回転している時の駆動部107mの駆動パルス数を監視し、蛍光体ホイール107の回転原点のタイミングを検知する。例えば駆動部107mの1回転当たりのパルス数が3600パルスの場合、駆動パルス数が3600パルスの倍数になる時が回転原点のタイミングである。
但し、これに限定されず、回転原点のタイミングの検知は、駆動部107mに設けた原点センサにより行う構成でもよい。また蛍光体ホイール107の周方向の一部にマークを設け、マークに光を照射した時の反射光を検出して、回転原点を検知してもよい。マークに代えて切欠きを設け、切欠きに光を照射した時の透過光を検出してもよい。さらに、駆動部107mにロータリーエンコーダ等の角度センサを設け、ロータリーエンコーダ出力により検知してもよい。
また、蛍光体ホイール同期検知部304は、蛍光体ホイール制御部303から蛍光体ホイール107の回転数データを受信し、蛍光体ホイール107の回転数を検知する。
回転原点に対する蛍光体ホイール107の各セグメントのタイミングは、回転原点と各セグメントの配置から既知である。そのため、蛍光体ホイール107の回転原点のタイミング、及び回転数を検知することで、蛍光体ホイール107による光変換のタイミングを検知することができる。蛍光体ホイール同期検知部304は、「第1の回転体の回転のタイミングを検知する手段」の一例である。蛍光体ホイール107の回転原点の検出は、「第1の回転体の所定位置の検出」の一例である。
カラーホイール同期制御部305は、カラーホイール109の回転のタイミングを制御し、蛍光体ホイール107の回転に、カラーホイール109の回転を同期させる。具体的には、例えば、駆動部109mによるカラーホイール109の回転原点のタイミング、及び回転数を制御し、カラーホイール109と蛍光体ホイール107の回転原点のタイミング、及び回転数を一致させる。
例えば、カラーホイール同期制御部305は、蛍光体ホイール同期検知部304から蛍光体ホイール107の回転原点のタイミングを表す信号を受信する。また、カラーホイール同期制御部305は、カラーホイール109が回転している時の駆動部109mの駆動パルス数を監視し、カラーホイール109の回転原点のタイミングを検知する。例えば駆動部109mの1回転当たりのパルス数が3600パルスの場合、駆動パルス数が3600パルスの倍数になる時が回転原点のタイミングである。そしてカラーホイール109の回転原点のタイミングを調整し、カラーホイール109と蛍光体ホイール107の回転原点のタイミングを一致させる。
但し、カラーホイール109の回転原点のタイミングの検知は、上記に限定されない。駆動部109mに設けた原点センサにより行う構成にしてもよい。またカラーホイール109の周方向の一部にマークを設け、マークに光を照射した時の反射光を検出して、回転原点を検知してもよい。マークに代えて切欠きを設け、切欠きに光を照射した時の透過光を検出してもよい。さらに、駆動部109mにエンコーダ等の角度センサを設け、エンコーダの出力により検知してもよい。
また、カラーホイール同期制御部305は、蛍光体ホイール制御部303から蛍光体ホイール107の回転数データを受信し、これにカラーホイール109の回転数を一致させる。
回転原点に対するカラーホイール109の各セグメントのタイミングは、回転原点と各セグメントの配置から既知である。そのため、カラーホイール109の回転原点のタイミング、及び回転数を制御することで、蛍光体ホイール107による光変換に、カラーホイール109による光変換を同期させることができる。カラーホイール同期制御部305は、「第1の回転体の回転と、第2の回転体の回転とを同期させる第2の同期手段」の一例である。
画像形成素子同期制御部306は、画像形成素子113により各色の画像形成のタイミングを制御し、蛍光体ホイール107の回転に、画像形成素子113による画像形成を同期させる。具体的には、例えば、画像形成素子113による画像形成の開始タイミング、及びフレームレートを制御し、駆動部107mの回転原点と、画像形成素子113による画像形成の開始のタイミングを一致させる。
例えば、画像形成素子同期制御部306は、蛍光体ホイール同期検知部304から蛍光体ホイールの回転原点のタイミングを表す信号を受信する。これに合わせて画像形成を開始することで、蛍光体ホイール107の回転原点と画像形成の開始のタイミングを一致させる。
また、画像形成素子同期制御部306は、蛍光体ホイール制御部303から蛍光体ホイール107の回転数データを受信し、これに画像形成素子113のフレームレートを一致させる。フレームレートの調整は、例えばCPUのクロック数とクロック周期から時間を計測し、フレームレートの逆数に該当する時間、すなわちフレーム周期が所定値になるように、画像形成の画素クロック周期を変化させることで行う。
これにより、蛍光体ホイール107による光変換に、画像形成素子113による画像形成を同期させることができる。画像形成素子同期制御部306は、「第1の回転体の回転と、画像形成素子による画像形成とを同期させる第1の同期手段」の一例である。
画像制御部307は、外部I/F等から画像データを取得し、画像データに応じて画像形成素子113を画素毎で階調制御して画像を形成する。
本実施形態の制御装置300による処理の一例を、図7を参照して説明する。
まず、ステップS701において、出力モード設定部301は、投射モードを検知し、出力モードを設定する。
続いて、ステップS703において、出力モード検知部302は、設定された出力モードを検知する。
続いて、ステップS705において、検知された出力モードに応じて、蛍光体ホイール制御部303は、蛍光体ホイール107の回転数を設定、又は変更する。
続いて、ステップS707において、蛍光体ホイール107は、設定、又は変更された回転数により回転する。
続いて、ステップS709において、蛍光体ホイール同期検知部304は、蛍光体ホイール107の回転のタイミングを検知する。
続いて、ステップS711において、カラーホイール同期制御部305は、蛍光体ホイール同期検知部304で検知されたタイミングに基づき、蛍光体ホイール107の回転に同期させてカラーホイール109を回転させる。
続いて、ステップS713において、画像形成素子同期制御部306は、蛍光体ホイール同期検知部304で検知されたタイミングに基づき、蛍光体ホイール107の回転に同期させて、画像形成素子113による画像形成を開始させる。
続いて、ステップS715において、画像形成素子113は、画像データに応じ、画素毎で階調制御して画像を形成する。
続いて、ステップS717において、投射光学部200は、スクリーン等に所定の色の画像を投射する。
以上に例示した機能構成と処理フローの作用、及び効果について説明する。
光源101の出力が大きいと、蛍光体ホイール107に設けられた蛍光体が、励起光による発熱等でダメージを受ける場合がある。そのため、例えば出力モードが、光源101の出力が高い第1モードの場合、蛍光体ホイール制御部303は、蛍光体ホイール107を高速で回転させるように、回転数を設定する。蛍光体ホイール107を高速に回転させることで、励起光が蛍光体に当たっている期間が短くなるため、励起光による蛍光体のダメージが抑制される。これにより、蛍光体の破損や、蛍光の発光効率の低下を防止することができる。
また例えば、出力モードが光源101の出力が抑制される第2モードの場合、蛍光体ホイール制御部303は、蛍光体ホイール107を第1モードに比較して低速で回転させるように、回転数を設定する。これにより、蛍光体ホイール107の回転に伴う消費電力や騒音が抑制される。
一方で、光源101から出射する光の出力を検知し、検知した出力に応じて蛍光体ホイール107の回転数を変更するようにしてもよい。例えば光源101から出射された光の一部をハーフミラー等で取り出し、取り出した光をPD(Photo Diode)で受光することで、光源101から出射する光の出力を検知する。なお、ハーフミラー等で取り出した光は、光源101から出射する光の一部であるため、検知された出力は、光源101から出射された光の出力をそのままでは示さない。しかし、両者はほぼ線形の関係を有するため、予めこの関係を把握しておくことで、PDの出力から光源101の出力を検知することができる。
また、光源101から出射する光の出力を、光源101を発光させるために印加する電流値、又は電圧値を参照することで、検知するようにしてもよい。
上記のように光源101から出射する光の出力を検知し、光源101の出力が高いほど蛍光体ホイール107を高速で回転させるように、蛍光体ホイール制御部303は、蛍光体ホイール107の回転数を変更する。蛍光体ホイール107を高速に回転させることで、励起光が蛍光体に当たっている期間が短くなるため、励起光による蛍光体のダメージが抑制される。これにより、蛍光体の破損や、蛍光の発光効率の低下を防止することができる。
さらに、上記に限定されず、光源101からの光を蛍光体ホイール107の蛍光体に照射した時の蛍光体の周辺の空気の温度変化を検知して、検知した出力に応じて蛍光体ホイール107の回転数を変更するようにしてもよい。例えば蛍光体ホイール107の近傍に温度センサを設け、光源101からの光を蛍光体ホイール107の蛍光体に照射したことに伴う蛍光体ホイール107の周辺の空気の温度変化を検知する。なお、「蛍光体の周辺」は「蛍光体ホイール107の周辺」と同義である。また「蛍光体の周辺」は、「光源101からの蛍光体への光の照射に起因した空気の温度変化を検知可能な範囲の空間」である。上記の空気の温度変化を検知可能であれば、蛍光体ホイール107の近傍に限られず、蛍光体ホイール107から離れた位置に温度センサを設けた構成としてもよい。
蛍光体ホイール107の周辺の温度変化を検知し、温度変化が大きいほど蛍光体ホイール107を高速で回転させるように、蛍光体ホイール制御部303は、蛍光体ホイール107の回転数を変更する。蛍光体ホイール107が高速に回転することで、励起光が蛍光体に当たっている期間が短くなるため、励起光による蛍光体の温度上昇が抑えられ、蛍光体のダメージが抑制される。これにより、蛍光体の破損や、蛍光の発光効率の低下を防止することができる。
一方、上記のように光源101の出力モード等に応じて、蛍光体ホイール107の回転数が変更された場合、蛍光体ホイール107により光を光変換するタイミングが変わる。これにより、蛍光体ホイール107により光変換された光が入射するタイミングで、カラーホイール109の所定のセグメントが、レンズ108からの光の入射位置に配置されない場合がある。そうすると、蛍光体ホイール107のセグメントと、カラーホイール109のセグメントが所望の組み合わせにならず、所望の色味の照明光が得られなくなる。
また、蛍光体ホイール107の回転数が変更された場合、画像形成素子113に照明される光の色と、画像形成素子113により形成される画像とが合致しなくなり、所望の色味の画像が得られなくなる。
本実施形態においては、上述したように、蛍光体ホイール同期検知部304で検知したタイミングに基づき、蛍光体ホイール107の回転に、カラーホイール109の回転を同期させている。言い換えると、蛍光体ホイール107による光変換と、カラーホイール109による光変換とを同期させている。
また、蛍光体ホイール同期検知部304で検知したタイミングに基づき、蛍光体ホイール107の回転に、画像形成素子113による画像形成を同期させている。言い換えると、蛍光体ホイール107による光変換と、画像形成素子113による画像形成とを同期させている。
これらにより、蛍光体ホイールのセグメントと、カラーホイール109のセグメントを所望の組み合わせにでき、所望の色味の光を画像形成素子113に照明することができる。また画像形成素子113は、照明された光の色に合った画像を形成し、投射光学部200に照射することができる。
従って、蛍光体ホイール107の回転数の変更により、蛍光体ホイール107の破損や蛍光の発光効率の低下を防止し、また蛍光体ホイール107の回転に伴う消費電力や騒音が抑制しながら、所望の色味の画像を得ることができる。言い換えると、形成される画像を乱すことなく、励起光による蛍光体の破壊や蛍光効率の低下を防止することができる。
図8は、本実施形態における画像投射装置1の動作仕様の一例を示している。図8は、「光源出力モード」に応じた「光源出力モード」、「光源出力」、「蛍光体ホイール回転数」、「カラーホイール回転数」、「ファン回転数」、及び「騒音」の仕様の一例を示している。
図8において、「光源出力モード」は出力モード設定部301により設定される項目である。例えば、第1モードは高輝度モードで、第2モードは色味を重視するモードである。
「光源出力」は、「光源出力モード」に対応した光源101の出力である。第1モードは高輝度が要求されるため、第2モードに対して大きい出力が設定されている。
この「光源出力」は代表値であり、単位はワットである。この「光源出力」に、図5の「光源出力の比」の項目に示した比率が乗じられたものが、実際に得られる光源101の出力となる。なお、第1モードにおいても第2モードにおいても、画像の色合い等の設定に応じて、「光源出力の比」は時系列に切り替えられる。
「蛍光体ホイール回転数」は、蛍光体ホイール107の回転数である。第1モードは光源出力が大きいため、蛍光体ホイール107の回転数が高く設定されている。
「カラーホイール回転数」は、カラーホイール109の回転数であり、蛍光体ホイール107の回転数と一致している。上述では、蛍光体ホイール107の回転数のデータを受信し、カラーホイール109の回転数を一致させる方法を示したが、このように「光源出力モード」に応じ、カラーホイール109の回転数を予め決めておいてもよい。
画像形成素子113による画像形成のフレームレートは、上述したように、蛍光体ホイール107の回転数のデータを受信し、フレームレートを一致させる。但し、「光源出力モード」に応じ、フレームレートを予め決めておいてもよい。例えば、第1モードでは120fpsで、第2モードでは60fpsである。
「ファン回転数」は、光源101、蛍光体ホイール107、又はカラーホイール109を冷却するためのファンの回転数である。「ファン回転数」の詳細については後述する。
「騒音」は、蛍光体ホイール107、カラーホイール109、又はファンの回転により発生する音の大きさの許容値である。第1モードは、蛍光体ホイール107等を高速に回転させるため、第2モードと比較して大きい騒音を許容している。
なお上記では、投射モードとして高輝度モード、色味モード、及びエコモードを示したが、これに限定されず、更に多くのモードを設定してもよい。また光源出力モードとして、第1、及び第2モードを示したが、さらに多くの出力モードを設けてもよい。
〈第2の実施の形態〉
次に、第2の実施形態における画像投射装置の一例を、図9〜11を用いて説明する。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図9は、第2の実施形態の画像投射装置1aを例示する模式図である。画像投射装置1aは、第1の実施形態の装置構成に加え、光センサ114を有している。
光センサ114は、レンズ103からの略平行光束の一部が、波長選択偏光分離素子104により反射された光を受光可能な位置に設けられている。光センサ114は、波長選択偏光分離素子104による反射光の強度を検出する。光センサ114の出力に基づき、光源101の出力が検出される。なお、波長選択偏光分離素子104による反射光は、レンズ103からの略平行光束の一部の光であるため、検出された出力は、光源101から出射された光の出力をそのままでは示さない。しかし両者はほぼ線形の関係を有するため、予めこの関係を把握しておくことで、光センサ114の出力から光源101の出力を検出することができる。
光センサ114は、例えばPDである。光センサ114の出力はA/D(Analog/Digital)変換されて、制御装置300aに入力される。
制御装置300aの機能構成の一例を、図10を参照して説明する。制御装置300aは、制御装置300の機能構成に加え、光源出力検出部309と、記憶部310とを有している。また制御装置300aは、制御装置300における蛍光体ホイール制御部303に、一部の機能を追加した蛍光体ホイール制御部303aを有している。
光源出力検出部309は、例えば光センサ114により実現される。記憶部310は、例えば、ROMやUSB(Universal Serial Bus)等の外部記憶装置により実現される。蛍光体ホイール制御部303aは、例えば、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで実現される。
光源出力検出部309は、光源101の出力を検出し、検出した光源出力データを蛍光体ホイール制御部303aに出力する。光源出力検出部309は、「第1の光の出力を検出する出力モード検知手段」の一例である。
記憶部310は、光源101の出力と蛍光体ホイール107の回転数との関係を示すデータを記憶している。この関係は、蛍光体ホイール107の蛍光体が、励起光により破損や蛍光の発光効率低下を起こさないような、光源101の出力と蛍光体ホイール107の回転数の関係である。予め実験、又はシミュレーションにより求められ、記憶部310に記憶されている。
蛍光体ホイール制御部303aは、光源出力検出部309からの光源出力データを受け、記憶部310を参照する。そして光源出力データに応じた蛍光体ホイール107の回転数を取得し、蛍光体ホイール107の回転数を設定、又は変更する。
本実施形態の制御装置300aによる処理の一例を、図11に示す。
まず、ステップS1101において、光源出力検出部309は、光源101の出力を検出し、光源出力データを蛍光体ホイール制御部303aに出力する。
続いて、ステップS1103において、蛍光体ホイール制御部303aは、記憶部310を参照し、光源出力データに応じた蛍光体ホイール107の回転数を取得する。
続いて、ステップS1105において、蛍光体ホイール制御部303aは、蛍光体ホイール107の回転数を設定、又は変更する。
続いて、ステップS1107において、蛍光体ホイール107は、設定、又は変更された回転数により回転する。
続いて、ステップS1109において、蛍光体ホイール同期検知部304は、蛍光体ホイール107の回転のタイミングを検知する。
続いて、ステップS1111において、カラーホイール同期制御部305は、蛍光体ホイール同期検知部304で検知されたタイミングに基づき、蛍光体ホイール107の回転に同期させてカラーホイール109を回転させる。
続いて、ステップS1113において、画像形成素子同期制御部306は、蛍光体ホイール同期検知部304で検知されたタイミングに基づき、蛍光体ホイール107の回転に同期させて画像形成素子113に画像形成を開始させる。
続いて、ステップS1115において、画像形成素子113は、画像データに応じ、画素毎で階調制御して画像を形成する。
続いて、ステップS1117において、投射光学部200は、スクリーン等に所定の色の画像を投射する。
本実施形態によれば、光源101の出力に応じて蛍光体ホイール107の回転数を、より詳細に制御することが可能となる。これにより、形成される画像を乱すことなく、励起光による蛍光体の破壊や蛍光効率の低下を防止し、騒音、及び消費電力を抑制するための制御を、より詳細に行うことができる。なお、これ以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。
また、上記では記憶部310に、光源101の出力と蛍光体ホイール107の回転数との関係を示すデータを記憶させたが、これに限定されない。例えば、上述した出力モードを第1モード、又は第2モードに切り替えるための光源出力の閾値を、予め求めておき、記憶部310に記憶させてもよい。この場合は、蛍光体ホイール制御部303aは、記憶部310を参照して、検出した光源出力に基づき出力モードを取得する。そして出力モードに応じて、蛍光体ホイール107の回転数を設定、又は変更する。
また上記では、レンズ103からの略平行光束の一部が、波長選択偏光分離素子104により反射された光を受光可能な位置に光センサ114を設け、光源101の出力を検出したが、これに限定されない。光源101の出力を直接、又は間接的に検出可能であれば、光センサ114を設置する位置は任意で構わない。
さらに上記では、光源出力検出部309を光センサ114により実現する例を示したが、光源101の駆動電圧、又は駆動電流を、光源101の制御信号から把握することで、光源出力検出部309を実現してもよい。
〈第3の実施の形態〉
次に、第3の実施形態における画像投射装置の一例を、図12〜14を用いて説明する。なお、第1〜2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図12は、第3の実施形態の画像投射装置1bを例示する模式図である。画像投射装置1bは、第2の実施形態の装置構成に加え、ファン101aを有している。
ファン101aは、内部に備えられた羽根車が回転することで空気を流れさせる装置である。以降では羽根車の回転を、単にファンの回転として表示する。ファン101aの軸心には、ファン101aを回転させるステッピングモータ等の駆動部101amが設けられている。ファン101aは駆動部101amの駆動により所定の回転数で回転する。
ファン101aの回転に伴う送風により、光源101近傍の空気に流れを与え、空気を媒体にした熱交換により、光源101を冷却する。ファン101aによる送風量は、その回転数により制御することができる。
ここで、光源101は、出射される光の出力に応じて発熱量が変化する。発熱量が大きくなると、光源101から出射される光の出力を不安定になったり、画像投射装置1bの内部の温度が上がり、蛍光体ホイール107の蛍光体が破損等しやすくなったりする場合がある。ファン101aは、発熱した光源101を送風により冷却し、これらの不具合を防止する機能を有している。
画像投射装置1bを制御する制御装置300bの機能構成の一例を、図13を参照して説明する。制御装置300bは、制御装置300aの機能構成に加え、ファン制御部311と、記憶部312とを有している。
記憶部312は、例えば、ROMやUSB等の外部記憶装置により実現される。ファン制御部311は、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで実現される。
記憶部312は、光源101の出力とファン101aの回転数との関係を示すデータを記憶している。この関係は、光源101から出射される光の出力の不安定性や蛍光体ホイール107の蛍光体の破損等を起こさないような、光源101の出力とファン101aの回転数の関係である。予め実験、又はシミュレーションにより求められ、記憶部312に記憶されている。
ファン制御部311は、光源出力検出部309からの光源出力データを受け、記憶部312を参照する。そして光源出力データに応じたファン101aの回転数を取得し、ファン101aの回転数を設定、又は変更する。
本実施形態の制御装置300bによる処理の一例を、図14に示す。
まず、ステップS1401において、光源出力検出部309は、光源101の出力を検出し、光源出力データをファン制御部311に出力する。
続いて、ステップS1403において、ファン制御部311は、記憶部312を参照し、光源出力データに応じたファン101aの回転数を取得する。
続いて、ステップS1405において、ファン制御部311は、ファン101aの回転数を設定、又は変更する。
続いて、ステップS1407において、ファン101aは、設定、又は変更された回転数で回転する。
本実施形態によれば、光源101の出力に応じてファン101aの回転数を制御し、光源101を適切に冷却することで、光源101から出射される光の出力が不安定になったり、蛍光体ホイール107の蛍光体が破損等しやすくなったりする不具合を防止することができる。なお、これ以外の効果は、第1〜2の実施形態で説明したものと同様である。
また、上記では、光源101を冷却するファン101aを一例として示したが、蛍光体ホイール107やカラーホイール109を冷却するファンを設けてもよい。蛍光体ホイール107やカラーホイール109も回転により発熱する。これにより画像投射装置1bの内部の温度が上がり、蛍光体ホイール107の蛍光体が破損等しやすくなる場合がある。蛍光体ホイール107やカラーホイール109をファンで適切に冷却することで、このような不具合を防止できる。
ここで、図15〜16は、光源101から出射される光の出力、蛍光体ホイール107の回転数、及びファン101aの回転数の関係の一例を示したものである。横軸は光源101の出力を示しており、左側の出力が大きく、右側に向かうほど出力が小さくなっている。
二点鎖線は、光源101の出力に応じ、蛍光体ホイール107の回転数を線形に変化させた場合を示している。一方、実線は、光源101の出力に応じ、蛍光体ホイール107の回転数を非線形、すなわち不連続に段階的に変化させた場合を示している。実際の制御においては、蛍光体ホイールの107の回転数の変更は段階的になる場合が多いため、光源101の出力と、蛍光体ホイール107の回転数との関係は、実線のように非線形、すなわち不連続に段階的になる場合が多い。点線は、ファンの回転数を示している。
図15において、光源101の出力に対し、ファン101aの回転数を線形に変化させると、二点鎖線より実線が上(回転数が高い)になる部分では、蛍光体ホイール107を冷やし過ぎの状態になる。また、二点鎖線より実線が下(回転数が低い)になる部分では、蛍光体ホイール107を冷却不足の状態になる。
図16は、光源101の出力に対し、ファン101aの回転数を、不連続に鋸歯状に変化させた場合を示している。このようにファン101aの回転数を、不連続に鋸歯状に変化させることで、蛍光体ホイール107が冷やし過ぎ、或いは冷却不足になる場合を防ぐことができる。これにより、蛍光体ホイール107を適切に冷却するとともに、冷やし過ぎの状態における消費電力や騒音の増大を防ぐことができる。
〈第4の実施の形態〉
次に、第4の実施形態における画像投射装置の一例を、図17〜20を用いて説明する。なお、第1〜3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
第4の実施形態における画像投射装置1cは、画像形成ユニットの周辺の温度を検出する温度センサを有している。
図17は、第4の実施形態の画像投射装置1cを外側から観察した様子を示す模式図である。図17において、画像投射装置1cは、スクリーンSに画像Pを投射している。画像投射装置1cは、画像投射装置1cを構成する筐体115の外側に温度センサ116を有している。温度センサ116は、画像投射装置1cの有する画像形成ユニットの周辺の温度を検出する。温度センサ116は、「温度検出手段」の一例である。
図18は、第4の実施形態の画像投射装置1cを例示する模式図である。画像投射装置1cは、第3の実施形態の装置構成に加え、ファン107aを有している。
ファン107aは、ファン101aと同様に、内部に備えられた羽根車が回転することで空気を流れさせる装置である。ステッピングモータ等の駆動部107amの駆動により、所定の回転数で回転する。ファン107aの回転に伴う送風により、蛍光体ホイール107近傍の空気に流れを与え、空気を媒体にした熱交換により、蛍光体ホイール107を冷却する。
ところで、画像投射装置1cの内部の温度は、画像形成ユニットの周辺の温度に応じて変化する。そのため、画像形成ユニットの周辺温度の上昇により、蛍光体ホイール107の蛍光体が破損等しやすくなる場合がある。本実施形態では、温度センサ116により、画像形成ユニットの周辺の温度を検出し、検出した温度に応じてファン107aの回転数を変化させている。これにより蛍光体ホイール107を適切に冷却し、上記の不具合を防いでいる。
画像投射装置1cを制御する制御装置300cの機能構成の一例を、図19を参照して説明する。制御装置300cは、制御装置300bの機能構成に加え、温度検出部313と、記憶部314と、を有している。また制御装置300cは、制御装置300bにおけるファン制御部311に、一部の機能を追加したファン制御部311aを有している。
記憶部314は、例えば、ROMやUSB等の外部記憶装置により実現される。ファン制御部311aは、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで実現される。
記憶部314は、温度センサ116の出力とファン101aの回転数との関係を示すデータを記憶している。この関係は、蛍光体ホイール107の蛍光体の破損等を起こさないような、温度センサ116の出力とファン101aの回転数の関係である。予め実験、又はシミュレーションにより求められ、記憶部314に記憶されている。
ファン制御部311aは、温度検出部313からの温度データを受け、記憶部314を参照する。そして温度データに応じ、上記の条件を満たすファン107aの回転数を取得し、ファン107aの回転数を設定、又は変更する。
本実施形態の制御装置300cによる処理の一例を、図20に示す。
まず、ステップS2001において、温度検出部313は、画像形成ユニットの周辺の温度を検出し、温度データをファン制御部311aに出力する。
続いて、ステップS2003において、ファン制御部311aは、記憶部314を参照し、温度データに応じたファン107aの回転数を取得する。
続いて、ステップS2005において、ファン制御部311aは、ファン107aの回転数を設定、又は変更する。
続いて、ステップS2007において、ファン107aは、設定、又は変更された回転数で回転する。
本実施形態によれば、温度センサ116で検出した画像形成ユニットの周辺の温度に応じてファン107aの回転数を制御し、蛍光体ホイール107を適切に冷却することで、蛍光体ホイール107の蛍光体が破損等しやすくなったりする不具合を防止することができる。なお、これ以外の効果は、第1〜3の実施形態で説明したものと同様である。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
各実施形態の画像形成ユニットは、画像投射装置の一例であるプロジェクタに使用できるが、これには限定されず、例えば、ヘッドアップディスプレイやヘッドマウントディスプレイ等に使用してもよい。