JP6986483B2 - 光学透明粘着シート、積層シート、及び、積層体 - Google Patents
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Description
本発明の光学透明粘着シートは、第一の表面粘着剤層と、中間粘着剤層と、第二の表面粘着剤層とをこの順に有し、上記第一の表面粘着剤層及び上記第二の表面粘着剤層は、アクリル系樹脂を含有し、かつ、厚みが3〜100μmであり、上記中間粘着剤層は、ポリウレタンを含有し、85℃における上記中間粘着剤層の損失正接は、0.3〜0.8であることを特徴とする。
第一の表面粘着剤層11及び第二の表面粘着剤層13は、アクリル系樹脂を含有する。
上記アクリル系樹脂は、アクリル系樹脂組成物を硬化させたものである。上記アクリル系樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、又は、これらの共重合体(以下、(メタ)アクリル系共重合体ともいう)と、架橋剤とを含有するもの挙げられる。
上記ポリウレタンはポリウレタン組成物を硬化させたものである。上記ポリウレタン組成物としては、例えば、熱硬化性ポリウレタン組成物が挙げられる。上記熱硬化性ポリウレタン組成物としては、後述する中間粘着剤層12に用いる熱硬化性ポリウレタン組成物と同様のものを用いることができる。
上記厚みが3μm未満であると、中間粘着剤層12から発生するディレイバブルを充分に抑制することができない。一方で、上記厚みが100μmを超えると、段差に追従できる柔軟性(段差追従性)が損なわれる。また、ガラス基材と樹脂基材との貼り合わせに用いる場合には、環境変化による伸縮性が異なる基材同士の貼り合わせに用いた場合に、基材間の寸法変化に追従できず剥離する。
第一の表面粘着剤層11及び第二の表面粘着剤層13の厚みは、3〜40μmであることが好ましい。
中間粘着剤層12は、ポリウレタンを含有する。中間粘着剤層12がポリウレタンを含有し柔軟であるため、本発明の光学透明粘着シートは、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。また、中間粘着剤層12がポリウレタンを含有するため、誘電率が高く、本発明の光学透明粘着シートは、従来のアクリル系樹脂組成物からなる光学透明粘着シートよりも高い静電容量が得られる。このため、本発明の光学透明粘着シートは、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適に用いられる。更に、中間粘着剤層12がポリウレタンを含有することで、優れた透明性を確保し、かつ、高温・高湿環境下においても白化の発生を抑制することができる。
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するものが好ましい。すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されていることが好ましい。上記オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。上記ポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。上記ポリウレタンに用いられるポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を80モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができ、親水性ユニット(親水基)を有する親水性ポリイソシアネート、及び、親水性ユニットを有さない疎水性ポリイソシアネートのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。なお、上記親水性ポリイソシアネートは、イソシアヌレート構造やビウレット構造のようにイソシアネート基に由来する構造のみによって親水性を向上させたものではなく、親水性を高める官能基(親水基)が付加されたポリイソシアネートであることが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である上記。熱硬化性ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、熱硬化ポリウレタンを含有する中間粘着剤層12は、その両面において充分な粘着力を有する。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤としては、熱硬化ポリウレタンに柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
中間粘着剤層12のtanδ85℃のより好ましい下限は0.54を超え、より好ましい上限は0.7である。
本発明の光学透明粘着シート10は、85℃における損失正接(tanδ85℃)が、0.3〜0.8である。
光学透明粘着シート10の損失正接(tanδ85℃)が0.3未満であると、柔軟性(段差追従性)が不充分になる。一方、85℃における光学透明粘着シート10の損失正接(tanδ85℃)が0.8を超えると、中間粘着剤層12が溶解し、被着体と貼合することが困難になる。光学透明粘着シート10の損失正接(tanδ85℃)の好ましい下限は0.45であり、より好ましい下限は0.60であり、好ましい上限は0.75である。
本発明の光学透明粘着シートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。図2は、本発明の積層シートの一例を模式的に示した断面図である。本発明の光学透明粘着シート10と、光学透明粘着シート10の一方の面を覆う第一の離型フィルム21と、光学透明粘着シート10の他方の面を覆う第二の離型フィルム22とが積層された積層シート20もまた、本発明の一態様である。本発明の積層シートによれば、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムによって、本発明の光学透明粘着シートの両面を、被着体に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、本発明の光学透明粘着シートに対する、粘着性の低下、及び、異物の付着が防止される。また、本発明の光学透明粘着シートが被着体以外に貼り付いてしまうことも防止されるため、取り扱い性が高まる。
第一の表面粘着剤層11と、中間粘着剤層12と、第二の表面粘着剤層と13をこの順に積層する方法としては特に限定されず、例えば、第一の表面粘着剤層11、第二の表面粘着剤層13及び中間粘着剤層12を個別に作製した後、これらを貼り合わせる方法が挙げられる。
まず、ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」)75重量部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン社製の「デスモジュールI」)2.4重量部、エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)4.6重量部、タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP−100」)17重量部、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫)1重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比が1.60である熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。なお、熱硬化性ポリウレタン組成物において、IPDI系ポリイソシアネート(A)と変性ポリイソシアネート(B)との混合比(モル比)は、A:B=2:1であった。
アントンパール社(Anton Paar Germany GmbH)製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて、得られた光学透明粘着シートの損失正接を測定した。測定プレートは、PP12を用い、測定条件は、ひずみ0.1%、周波数1Hz、セル温度25℃〜100℃(昇温速度3℃/分)とした。その結果、85℃での光学透明粘着シートの損失正接は0.72であった。
図3に示した方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。具体的には、離型フィルム付き光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート10側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート10とスライドガラス31とを貼り合わせた。次に、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、図3(a)に示すように、光学透明粘着シート10のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、図3(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート10をスライドガラス31との界面で剥離させ、スライドガラス31に対する光学透明粘着シート10の粘着力を測定した。
下記表1に示したように第一の表面粘着剤層及び第二の表面粘着剤層の厚みと、中間粘着剤層の厚み及びα比を変更したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例2〜10及び比較例1〜4に係る離型フィルム付き光学透明粘着シートをそれぞれ作製した。また、表面粘着剤層を形成せず、中間粘着剤層の厚み及びα比を変更したことを除いて、実施例1と同様にして、比較例5及び6の離型フィルム付き光学透明粘着シートをそれぞれ作製した。
なお、実施例2〜10及び比較例1〜6に用いた中間粘着剤層の損失正接は、それぞれの中間粘着剤層を作製した後、実施例1と同様の方法により測定した。
実施例1〜10及び比較例1〜6に係る光学透明粘着シートを用いて、以下の方法により、ベゼルオン貼合構造を有する積層体を作製した。
液晶パネルの外縁上に枠状のベゼルを重ねて高さ50μmの段差を形成した後、液晶パネル及びベゼルで形成された段差を覆うように、光学透明粘着シートを液晶パネル上に100Paの減圧雰囲気下で貼合した。続いて、液晶パネル上に貼り付けた光学透明粘着シートの上に、厚み3mmのカバーガラスを100Paの減圧雰囲気下、200g/cm2の圧力で圧着した。以上のようにして、外縁上に枠状のベゼルを配置した液晶パネルとカバーガラスとを光学透明粘着シートによって貼り合わせてなる積層体を得た。
また、同様の方法により、ベゼルの厚み(段差高さ)を200μm、500μm、700μm、1000μm及び1300μmとした積層体(カバーガラス(CG)/光学透明粘着シート/液晶パネル)をそれぞれ作製した。
上記(3)ベゼルオン貼り合わせ試験で得られた各積層体について、日立製作所製のヒートショック試験装置(ES−56L)を用いてヒートサイクル試験を行った。上記ヒートサイクル試験は、−40℃で30分保持し、85℃で30分保持することを1サイクルとし、1000サイクル行った。剥がれ及び浮き(気泡)が発生しなかった場合を「○」、段差部付近の2mm以下の引き剥がれを保持できている場合を「△」、剥がれ及び浮きのいずれかが発生した場合、段差を追従できなかった場合を「×」と評価した。
85℃における光学透明粘着シートの損失正接が所定の範囲であり、所定の膜厚を有する表面粘着剤層を中間粘着剤層の両面に設けることにより、柔軟性に優れ、高温・高湿環境下における信頼性に優れることが確認された。
なお、実施例6及び7では、85℃における光学透明粘着シートの損失正接が0.58未満であったために、段差高さが1300μmでは、弾性率が高く段差追従性において僅かに劣っており、実施例8及び9では、85℃における光学透明粘着シートの損失正接が0.45未満であったために、段差高さが1000μmでは、弾性率が高く段差追従性において僅かに劣っており、段差高さ1300μmでは、段差を追従することができなかった。
一方で、比較例1では、85℃における光学透明粘着シートの損失正接が高いために、上記(4)ヒートサイクル試験後に中間粘着剤層が溶解して貼合することができなかった。また、比較例3では、85℃における光学透明粘着シートの損失正接が低いために、中間粘着剤層が硬すぎて、上段差高さが50μm以上では、段差を追従することができず、上記(4)ヒートサイクル試験において、段差50μm以上では光学透明粘着シートとベゼルとが剥離した。
また、比較例2では、表面粘着剤層が薄すぎたため、上記(4)ヒートサイクル試験後にディレイバブルが発生し、比較例4では、表面粘着剤層が厚すぎために、上記(3)ベゼルオン貼り合わせ試験において、段差高さが200μm以上では段差を追従することができず、上記(4)ヒートサイクル試験において、段差高さが50μm以上では光学透明粘着シートとベゼルとが剥離した。
また、表面粘着剤層を形成しなかった比較例5では、上記(3)ベゼルオン貼り合わせ試験では、段差高さが50μm以上において段差追従性に劣っており、段差高さが1000μm以上において粘着力不足で貼合することができなかった。また、上記(4)ヒートサイクル試験においても、段差高さが200μm以上では光学透明粘着シートとベゼルとが剥離した。
また、表面粘着剤層を形成しなかった比較例6においても、段差高さが1000μm以上において段差を追従することができず、上記(4)ヒートサイクル試験においても、段差高さ1000μm以上では光学透明粘着シートとベゼルとが剥離した。
11:第一の表面粘着剤層
12:中間粘着剤層
13:第二の表面粘着剤層
20:積層シート
21:第一の離型フィルム
22:第二の離型フィルム
31:スライドガラス
32:PETシート
41:上ベゼル(支持部材)
42:下ベゼル
50:積層体
51:第一の基材
52:第二の基材
52A:遮光部
Claims (9)
- 第一の表面粘着剤層と、中間粘着剤層と、第二の表面粘着剤層とをこの順に有し、
前記第一の表面粘着剤層及び前記第二の表面粘着剤層は、アクリル系樹脂を含有し、かつ、厚みが3〜100μmであり、
前記中間粘着剤層は、ポリウレタンを含有し、
85℃における損失正接は、0.3〜0.8であることを特徴とする光学透明粘着シート。 - 前記第一の表面粘着剤層及び前記第二の表面粘着剤層の厚みは、3〜40μmであることを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
- 85℃における損失正接は、0.6〜0.8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学透明粘着シート。
- 23℃における前記第一の表面粘着剤層及び前記第二の表面粘着剤層のガラスに対する粘着力は、7N/25mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学透明粘着シート。
- 前記中間粘着剤層の厚みは、100〜2000μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学透明粘着シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光学透明粘着シート及び支持部材を第一の基材と第二の基材との間に備える積層体であって、
前記支持部材は、前記第一の基材の外縁上に配置された段差形成部を有し、
前記光学透明粘着シートは、前記第一の基材と前記第二の基材とを接着する厚膜部と、前記段差形成部と前記第二の基材との間に挟み込まれた端部とを含むことを特徴とする積層体。 - 前記厚膜部の厚みが前記段差形成部の厚みの1.5倍以上であることを特徴とする請求項7に記載の積層体。
- 前記第一の基材は、前記光学透明粘着シートと接する面に、偏光板を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の積層体。
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