図1は、第一実施形態に係る運転支援システムの構成例を示すブロック図である。
図2は、自車両、第一他車両、第二他車両及び第三他車両と、自車線及び隣接車線とを説明する図である。
図3は、第一実施形態に係る運転支援システムの運転支援装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4は、第一実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。
図5は、第一実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図6は、第二実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。
図7は、第二実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図8は、第二実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。
図9は、第三実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。
図10は、第三実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図11は、第三実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。
図12は、第四実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。
図13は、第四実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図14は、第四実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。
図15は、第五実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。
図16は、第五実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図17は、第五実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。
図18は、第六実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。
図19は、第六実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図20は、第七実施形態に係る運転支援システムの構成例を示すブロック図である。
図21は、自車線と隣接車線との他に車線が存在する場合の一例を説明する図である。
図22は、自車線と隣接車線との他に車線が存在する場合の一例を説明する図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る運転支援装置30、運転支援システム1、運転支援方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る運転支援システムの構成例を示すブロック図である。運転支援システム1は、自車両Aに搭載されている。運転支援システム1は、自車両Aに載置されているものに加えて、可搬型で自車両Aにおいて利用可能な装置であってもよい。
図2を参照して、車両及び車線について説明する。図2は、自車両、第一他車両、第二他車両及び第三他車両と、自車線及び隣接車線とを説明する図である。自車両Aが走行している車線を自車線Lとし、自車線Lに隣接し第一他車両B1が走行している車線を隣接車線L1という。本実施形態では、隣接車線L1は、自車線Lの右側に位置する。第一他車両B1は、隣接車線L1を走行している車両である。本実施形態では、第一他車両B1は、隣接車線L1において自車両Aの前方を走行している。第一他車両B1は、後端部が自車両Aの前端部より前方に位置する。本実施形態では、第二他車両B2は、隣接車線L1において第一他車両B1の後方を走行している。第三他車両C1は、自車線Lにおいて自車両Aの前方を走行している。第三他車両C1は、前方走行車両である。
追い越しとは、第一車線に隣接する第二車線を走行している後続の車両が、車線変更して、第一車線を走行する車両の前方に出ることをいう。本実施形態では、追い越しとは、隣接車線L1の後方を走行する第二他車両B2が、車線変更して、自車線Lを走行する自車両Aの前方に出ることである。
図1に戻って、運転支援システム1について説明する。運転支援システム1は、自車両Aと隣接車線L1を走行する第一他車両B1との距離(車間距離)Dを、第二他車両B2が安全に追い越すことが可能な距離(以下、「安全追越距離」という。)以下となる状態が継続することを抑制するように、自車両Aの調整速度を運転者に報知する。運転支援システム1は、センサ群(検出部)10と、表示部(出力部)21と、スピーカ(出力部)22と、運転支援装置30とを有する。表示部21とスピーカ22とは、どちらかを備えていればよい。本実施形態では、表示部21とスピーカ22とを備えるものとする。
安全追越距離は、第二他車両B2が追い越しする際に、自車両Aと第一他車両B1と第二他車両B2とが安全な距離を保つことが可能な距離である。安全追越距離は、同一車線を走行する車両同士が保つべき距離、例えば、自車両Aと第三他車両C1とが保つべき距離D1より長い距離とする。安全追越距離は、自車両Aの速度が速くなるほど長くすることが好ましい。本実施形態では、例えば、自車両Aの速度が80km/hのとき、安全追越距離は100mである。なお、例えば、自車両Aの速度が80km/hのとき、自車両Aと第三他車両C1とが保つべき距離D1は80mである。
自車両Aと同一車線を走行する第三他車両C1との距離D1は、例えば、高速道路の場合、80mや100m、または、走行速度に応じて、速度が100km/hの走行であれば85mなどの距離などが目安とされている。これらは、ブレーキを踏んでから停止するまでの距離に基づいた目安であり、前方を走行する車両が急停止した場合に、安全に自車両Aを停止させることができる距離とされている。
自車両Aと、隣接車線L1を走行する前方車両である第一他車両B1との距離Dが短い場合については、一般的に並走状態がマナー違反、危険運転とされるに留まる。しかしながら、隣接車線L1の後方を走行する第二他車両B2が自車両Aを追越した後、自車両Aの走行車線Lに車線変更を行うことがある。自車両Aと第一他車両B1との距離Dが十分に取れていない場合、自車両Aの目前に第二他車両B2が割り込んでくる。このような安全を損なう状況になることを減らすためにも、自車両Aと第一他車両B1との距離Dは十分に開けておくことが望ましい。自車両Aと同一車線Lを走行中の前方車両C1との安全車間距離である、例えば、80mが、自車両Aと第一車両B1との距離であるときに、隣接車線L1の後方を走行する第二他車両B2が、自車両Aを追越し後に車線変更を行った場合、自車両Aと第二他車両B2の距離は安全車間距離の80m以下になり、非常に危険である。このため、自車両Aと第一車両B1との距離Dは、自車両Aと前方車両C1との安全車間距離よりも、より長い安全車間距離を確保することが好ましい。
また、このような隣接車線を走行中の他車両との安全車間距離は、自車両Aの隣接車線の後方を走行する第二他車両B2の存在がセンサ情報から検出された場合、確保されるものとしてもよい。この場合、第二他車両B2が自車両Aに接近してきた際に自車両Aの速度を下げて第一他車両B1との車間距離を広げることになる。このような自車両Aの動作は、第二他車両B2に対して、車線変更を伴う追越しを許可する印象を与える挙動となる。また、その際に、自車両Aが減速中であれば、より安全を確保することができる。
センサ群10は、自車両Aの周辺の車両を検出する。センサ群10は、自車両Aの周辺の車両の自車両Aに対する向きと自車両Aからの距離Dと自車両Aに対する相対速度とを検出可能である。センサ群10は、例えば、前方右センサと前方中央センサと前方左センサと後方右センサと後方中央センサと後方左センサとを有する。センサ群10は、前方右センサと前方中央センサと前方左センサと後方右センサと後方中央センサと後方左センサとによって、自車両Aの周辺の全方位の車両を検出する。各センサは同様に構成されているので、前方右センサについて説明し、他のセンサの説明は省略する。
前方右センサは、自車両Aの前方右側に配置され、自車両Aの前方右側に存在する車両を検出する。前方右センサは、鉛直方向視において、センサの中央部を中心とした、例えば、40°程度の範囲の車両を検出する。前方右センサの検出範囲は、前方中央センサの検出範囲の一部と重複していてもよい。前方右センサは、自車線Lが直線状に延びているとき、自車両Aの右前方に位置する車両を検出する。前方右センサは、センシング方式によっては数十mから数百mの距離までのセンシングが可能である。前方右センサは、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、ミリ波センサ、画像認識によるセンサ等、複数方式のセンサの組合せなど様々な方式が適用可能である。前方右センサは、検出結果を運転支援装置30の制御部40の他車両情報取得部42に出力する。
前方右センサ、前方中央センサ及び前方左センサは、自車両Aより前方の車両を検出する。後方右センサ、後方中央センサ及び後方左センサは、自車両Aより後方の車両を検出する。
表示部21は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイを含むディスプレイである。表示部21は、運転支援システム1の運転支援装置30から出力された映像信号に基づいて映像を表示する。表示部21は、運転支援システム1に専用のものであっても、例えば、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共同で使用するものであってもよい。表示部21は、運転者から視認容易な位置に配置されている。
スピーカ22は、一例としてはナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用した音声出力装置などである。スピーカ22は、運転支援装置30の制御部40の音声制御部452から出力された音声信号に基づき、調整速度を音声で出力する。
運転支援装置30は、制御部40と、記憶部50とを有する。
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や映像処理用プロセッサなどで構成された演算処理装置である。制御部40は、記憶部50に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御部40は、自車両情報取得部41と、他車両情報取得部42と、判定部43と、算出部44と、出力制御部45とを有する。制御部40には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは制御部40におけるデータの一時記憶などに用いられる。制御部40は、一または複数の装置で構成されていてもよい。
自車両情報取得部41は、自車両Aの速度を含む自車両情報を、CAN(Controller Area Network)や自車両Aの状態をセンシングする各種センサなどから取得する。自車両情報取得部41は、自車両情報として、GPS(Global Positioning System)受信機を使用して取得した自車両Aの現在地情報を取得する。自車両情報取得部41は、取得した自車両情報を判定部43と算出部44とに出力する。
自車両情報取得部41は、自車両Aの走行する自車線L及び隣接車線L1の情報を取得する。自車線L及び隣接車線L1の情報は、図示しないカメラで撮影した自車両Aの周辺映像に画像解析処理を行い取得してもよい。または、自車線L及び隣接車線L1の情報は、GPS受信機によって取得した自車両Aの現在地情報と図示しない地図情報とによって取得してもよい。または、自車線L及び隣接車線L1の情報は、例えば、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)を含む外部のシステムから取得してもよい。
他車両情報取得部42は、第一他車両B1の第一他車両情報を、センサ群10の検出結果によって取得する。他車両情報取得部42は、前方右センサ、前方中央センサ及び前方左センサの検出結果から、第一他車両B1について、自車両Aに対する向きと自車両Aからの距離Dと自車両Aに対する相対速度とを取得する。距離及び相対速度は、センサ群10の各センサが送信した送信信号と、第一他車両B1によって反射した受信信号との差分に基づいて公知の方法で算出する。
第一他車両B1は、自車線L及び隣接車線L1の延びる方向に応じて、前方または後方を検出範囲に含むセンサ群10の中で所定のセンサで検出される。本実施形態では、第一他車両B1は、自車線L及び隣接車線L1が直線状に延びているとき、前方右センサで検出される。
判定部43は、自車両情報取得部41が取得した自車両Aの自車両情報と、他車両情報取得部42が取得した第一他車両B1の第一他車両情報とに基づいて、自車両Aと第一他車両B1とが所定条件を満たすか否かを判定する。判定部43は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが閾値である安全追越距離以下の場合、所定条件を満たすと判定する。
判定部43は、所定条件を満たす状態が所定時間継続した場合、所定条件を満たすと判定してもよい。または、判定部43は、所定条件を満たす状態で所定距離走行した場合、所定条件を満たすと判定してもよい。
判定部43は、所定条件を満たしていても、以下の例外条件に該当する場合、所定条件を満たすと判定しないようにしてもよい。例えば、判定部43は、渋滞していると判定する場合、例外条件を満たすと判定してもよい。より詳しくは、例えば、車速が40km/h以下の場合、渋滞していると判定する。例えば、判定部43は、自車線L及び隣接車線L1の情報に基づいて、自車線Lに隣接車線L1がないと判定する場合、例外条件を満たすと判定してもよい。例えば、判定部43は、自車線L及び隣接車線L1の情報に基づいて、自車線L及び隣接車線L1の曲率半径が閾値以上である場合、例外条件を満たすと判定してもよい。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態が継続することを抑制するように、自車両Aの調整速度を算出する。調整速度は、自車両Aの調整後の速度である。
自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態が継続することを抑制するとは、安全追越距離を保つ、言い換えると、安全追越距離より近づかないようにすること、および、追い抜きしたり追い抜きされたりする際に一時的に安全追越距離以下となってもその状態の継続時間を低減する、言い換えると、その状態を早く解消するようにすることを含む。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定した場合、例えば、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを安全追越距離に保つように、自車両Aを減速する調整速度を算出する。このような場合、算出部44は、第一他車両B1の速度以下の調整速度を算出する。本実施形態では、算出部44は、第一他車両B1の速度を調整速度として算出する。
さらに、算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きしないと判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを安全追越距離に保つように、自車両Aを減速する調整速度を算出してもよい。
追い抜きとは、第一車線に隣接する第二車線を走行している後続の車両が、車線変更せずに、第一車線を走行する車両の前方に出ることをいう。本実施形態では、追い抜きとは、自車線Lを走行する自車両Aが、車線変更せずに、隣接車線L1の前方を走行する第一他車両B1の前方に出ることである。
本実施形態では、算出部44は、自車両Aの速度が第一他車両B1の速度より速く、かつ、自車両Aと第一他車両B1との相対速度が閾値速度以下である場合、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きしないと判定してもよい。本実施形態では、閾値速度は、自車両Aの速度の1/20程度が好ましい。
さらに、算出部44は、自車両Aが減速または加速したことにより、自車両Aと第一他車両B1との距離が安全追越距離以下となる場合、自車両Aを加速または減速する調整速度を算出してもよい。より詳しくは、算出部44は、自車両Aの速度または加速度を自車両情報取得部41が取得した自車両情報によって取得し、自車両Aの速度がそれまでの走行速度と比較して下がったこと、または、上がったことを検知する。そして、算出部44は、自車両Aの速度が下がった、または、上がった結果として、第一他車両B1との安全車間距離が保てなくなった場合、第一他車両B1との安全な車間距離を確保するように、自車両Aを加速または減速する速度を調整速度として算出する。
出力制御部45は、判定部43が所定条件を満たすと判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離D1が安全追越距離以下となる状態が継続することを抑制するように、自車両Aの速度を制御することを出力する。より詳しくは、出力制御部45は、判定部43が所定条件を満たすと判定した場合、算出部44で算出した調整速度、または、加減速を行うよう示唆する情報、または、アクセルやブレーキを制御するよう示唆する情報を出力する。ここで、自車両Aの速度を制御する制御信号とは、自車両Aの速度を制御することを表示または音声によって運転者に通知する制御信号指示と、自動運転制御技術のように自車両Aの速度を制御するための制御信号とを含む。本実施形態では、出力制御部45は、算出部44で算出した調整速度を表示部21とスピーカ22との少なくともどちらかで出力するものとして説明する。出力制御部45は、表示制御部451と音声制御部452とを有する。
表示制御部451は、算出部44の算出結果に基づいて、調整速度を文字情報として出力する映像信号を表示部21に対して出力する。例えば、表示制御部451は、「○○km/hまで減速」、「△△km/h減速」、「少し減速」のような文字情報を表示部21で出力する。
音声制御部452は、算出部44の算出結果に基づいて、調整速度を音声情報として出力する音声信号をスピーカ22に対して出力する。例えば、音声制御部452は、「○○km/hまで減速してください」、「△△km/h減速してください」、「少し減速してください」のような音声情報をスピーカ22で出力する。
記憶部50は、運転支援装置30における各種処理に要するデータおよび各種処理結果を記憶する。記憶部50は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記憶装置であってもよい。
次に、図3を用いて、運転支援システム1の運転支援装置30における処理の流れについて説明する。図3は、第一実施形態に係る運転支援システムの運転支援装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
運転支援システム1の起動中、制御部40は、自車両情報取得部41で自車両Aの自車両情報を取得する。制御部40は、他車両情報取得部42で第一他車両B1の第一他車両情報を取得する。
制御部40は、自車両Aと第一他車両B1とが所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS11)。制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である場合、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。制御部40は、判定部43で、所定条件を満たすと判定した場合(ステップS11でYes)、ステップS12に進む。制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きい場合、所定条件を満たしていないと判定する(ステップS11でNo)。制御部40は、判定部43で、所定条件を満たしていないと判定した場合(ステップS11でNo)、ステップS11の処理を再度実行する。
ステップS11で所定条件を満たすと判定した場合(ステップS11でYes)、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を算出する(ステップS12)。本実施形態では、制御部40は、算出部44で、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きしないと判定した場合、調整速度を算出する。制御部40は、算出部44で、自車両Aの速度を第一他車両B1の速度に合わせるように自車両Aの調整速度を算出する。制御部40は、ステップS13に進む。
制御部40は、出力制御部45で、調整速度情報を出力する(ステップS13)。制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する。
制御部40は、速度調整の終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS14)。速度調整の終了条件を満たすとは、速度調整を終了してもよいと判定する状態であることをいう。本実施形態では、制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きい場合、または、ステップS13で調整速度情報を出力してから所定時間が経過した場合、速度調整の終了条件を満たすと判定する(ステップS14でYes)。制御部40は、速度調整の終了条件を満たすと判定した場合(ステップS14でYes)、処理を終了する。制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である場合、または、ステップS13で調整速度情報を出力してから所定時間が経過していない場合、速度調整の終了条件を満たしていないと判定する(ステップS14でNo)。制御部40は、速度調整の終了条件を満たしていないと判定した場合(ステップS14でNo)、ステップS12の処理を再実行する。
ステップS14において、制御部40は、速度調整の終了条件を満たす状態が所定時間継続した場合、速度調整の終了条件を満たすと判定してもよい。または、判定部43は、速度調整の終了条件を満たす状態で所定距離走行した場合、速度調整の終了条件を満たすと判定してもよい。
ステップS14で速度調整の終了条件を満たすと判定した場合(ステップS14でYes)、制御部40は、表示制御部451で、速度調整の終了を文字情報として表示部21に表示し、音声制御部452で、速度調整の終了を音声情報としてスピーカ22で出力する。
図4、図5を用いて、運転支援システム1による運転支援の具体例について説明する。図4は、第一実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。図5は、第一実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。
図4に示すように、自車両Aが自車線Lを速度60km/hで走行し、第一他車両B1が隣接車線L1を速度58km/hで走行している。第一他車両B1は、自車両Aより距離D前方を走行している。距離Dは、安全追越距離とする。本実施形態では、閾値速度は、自車両Aの速度60km/hの1/20の速度である3km/hとする。自車両Aが第一他車両B1に追いついた状態である。
制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であるので、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を算出する(ステップS12)。制御部40は、算出部44で、自車両Aと第一他車両B1との相対速度2km/hが閾値速度3km/h以下であるため、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きしないと判定する。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を第一他車両B1の速度に合わせて58km/hと算出する。そして、制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する(ステップS13)。
運転者は、表示部21で表示された文字情報またはスピーカ22から出力された音声情報によって、調整速度を確認する。運転者は、確認した調整速度に合わせて、自車両Aの速度を60km/hから58km/hに減速する。自車両Aの速度が58km/hに減速された状態を図5に示す。
制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きい場合、速度調整の終了条件を満たすと判定する(ステップS14でYes)。このため、本実施形態では、第一他車両B1の速度が58km/hである間、速度調整を終了しない。第一他車両B1の速度が変化した場合、速度調整の終了条件を満たすと判定する。
このようにして、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である場合、自車両Aの調整速度を運転者に通知する。これにより、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを安全追越距離に保つことを支援する。
上述したように、本実施形態は、自車両Aと第一他車両B1とが所定条件を満たす場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離を保つように、自車両Aの調整速度を算出して運転者に通知する。より詳しくは、本実施形態は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であって、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きしないと判定する場合、自車両Aの速度を減速する調整速度を算出して運転者に通知する。このようにして、本実施形態によれば、自車両Aが第一他車両B1に近づくと、運転者が自車両Aを適切に減速して、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離を保つようにすることで、運転を支援することができる。
本実施形態によれば、定速走行を支援する運転支援技術または自動運転制御技術が普及して定速で走行する車両が増加することによって、自車線Lを走行する車両群と隣接車線L1を走行する車両群とが並走状態になることを未然に抑制することができる。本実施形態によれば、自車線Lを走行する車両群と隣接車線L1を走行する車両群とが並走状態になった場合でも、並走状態を適切に解消するための運転を支援することができる。
これに対して、並走状態が継続すると、自車線Lと隣接車線L1とを塞いでしまうことによって、第二他車両B2の円滑な走行を妨げるおそれがある。また、並走状態が継続すると、第一他車両B1の死角に自車両Aが位置した状態が継続するおそれがある。さらに、並走状態であると、障害物が存在した場合に、他車線へ車線変更する回避行動が制限されるおそれがある。
本実施形態は、自車線Lと隣接車線L1とにおける円滑な走行を可能とすることができる。また、本実施形態は、第一他車両B1の死角に自車両Aが位置した状態が継続することを抑制することができる。さらに、本実施形態は、障害物が存在した場合に、他車線に車線変更する退避行動が抑制される時間を低減することができる。
本実施形態は、自車両Aが減速または加速したことにより、自車両Aと第一他車両B1との距離が安全追越距離以下となる場合、自車両Aを加速または減速する調整速度を算出する。本実施形態は、このようにして算出した調整速度に基づいて、自車両Aの速度を上げたり、下げたりするよう運転者に警告することによって、第一他車両B1との安全な車間距離を常に確保することができる。
[第二実施形態]
図6ないし図8を参照しながら、本実施形態に係る運転支援システム1について説明する。図6は、第二実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。図7は、第二実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。図8は、第二実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。運転支援システム1は、基本的な構成は第一実施形態の運転支援システム1と同様である。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きすると判定した場合、短時間で第一他車両B1を追い抜いて自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように、自車両Aを加速する調整速度を算出する。例えば、調整速度は、自車両Aの調整前の速度を1/10程度加速した速度とすることが好ましい。
本実施形態では、算出部44は、自車両Aの速度が第一他車両B1の速度より速い場合、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きすると判定する。さらに、算出部44は、自車両Aと第一他車両B1との相対速度が閾値速度より大きい場合、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きすると判定してもよい。本実施形態では、閾値速度は、自車両Aの速度の1/20程度が好ましい。
図6ないし図8を用いて、運転支援システム1による運転支援の具体例について説明する。図6に示すように、第一他車両B1は、隣接車線L1の前方を速度52km/hで走行している。自車両Aは、自車線Lを速度60km/hで走行している。
制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であるので、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を算出する(ステップS12)。制御部40は、算出部44で、自車両Aと第一他車両B1との相対速度8km/hが閾値速度3km/hより大きいため、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きすると判定する。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を65km/hと算出する。そして、制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する(ステップS13)。
運転者は、自車両Aの速度を60km/hから65km/hに加速する。自車両Aの速度が65km/hに加速された状態を図7に示す。自車両Aが第一他車両B1を追い抜いて、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが拡大する。
制御部40は、自車両Aが第一他車両B1を追い抜く際に、自車両Aが加速している間、または、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である間、警告表示及び警告音を出力してもよい。
そして、制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなると、速度調整の終了条件を満たすと判定する(ステップS14でYes)。制御部40は、表示制御部451で、速度を復帰するよう指示する文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、速度を復帰するよう指示する音声情報をスピーカ22で出力する。
運転者は、表示部21で表示された文字情報またはスピーカ22から出力された音声情報によって、速度調整の終了を確認する。運転者は、自車両Aの速度を65km/hから60km/hに減速する。自車両Aの速度が60km/hに復帰した状態を図8に示す。
制御部40は、自車両Aが第一他車両B1を追い抜いて、自車両Aの速度が復帰し、かつ、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなると、警告表示及び警告音の出力を終了する。
このようにして、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きする際には、短時間で、第一他車両B1を追い抜いて自車両Aと第一他車両B1との距離Dを拡大可能な調整速度を運転者に通知する。これにより、第一他車両B1を追い抜いて自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大して、安全追越距離を確保することを支援する。
上述したように、本実施形態は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であって、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きすると判定する場合、自車両Aの速度を加速する調整速度を算出して運転者に通知する。このようにして、本実施形態は、自車両Aが第一他車両B1を追い抜きする際には、短時間で、第一他車両B1を追い抜いて自車両Aと第一他車両B1との距離Dを拡大可能な調整速度を運転者に通知する。このようにして、本実施形態によれば、短時間で第一他車両B1を追い抜いて自車両Aと第一他車両B1との距離Dを拡大して、安全追越距離を確保することを支援することができる。
[第三実施形態]
図9ないし図11を参照しながら、本実施形態に係る運転支援システム1について説明する。図9は、第三実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。図10は、第三実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。図11は、第三実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。運転支援システム1は、基本的な構成は第一実施形態の運転支援システム1と同様である。本実施形態では、第一他車両B1は、隣接車線において自車両Aの後方を走行している。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、第一他車両B1が自車両Aを追い抜きすると判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように、自車両Aを減速する調整速度を算出する。例えば、調整速度は、自車両Aの調整前の速度を1/10程度減速した速度とすることが好ましい。
本実施形態では、算出部44は、自車両Aの速度が第一他車両B1の速度より遅い場合、第一他車両B1が自車両Aを追い抜きすると判定する。
図9ないし図11を用いて、運転支援システム1による運転支援の具体例について説明する。図9に示すように、第一他車両B1は、自車両Aを追い抜きする車両である。自車両Aの速度は60km/hである。第一他車両B1の速度は62km/hである。
制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であるので、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を算出する(ステップS12)。制御部40は、算出部44で、自車両Aの速度が第一他車両B1の速度より遅いので、自車両Aが第一他車両B1に追い抜きされると判定し、自車両Aの調整速度を55km/hと算出する。そして、制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する(ステップS13)。
運転者は、自車両Aの速度を60km/hから55km/hに減速する。自車両Aの速度が55km/hに減速された状態を図10に示す。自車両Aの速度が減速されて、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが拡大する。
制御部40は、自車両Aが減速している間、または、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である間、警告表示及び警告音を出力してもよい。
そして、制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなると、速度調整の終了条件を満たすと判定する(ステップS14でYes)。制御部40は、表示制御部451で、速度を復帰するよう指示する文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、速度を復帰するよう指示する音声情報をスピーカ22で出力する。
運転者は、表示部21で表示された文字情報またはスピーカ22から出力された音声情報によって、速度調整の終了を確認する。運転者は、自車両Aの速度を55km/hから60km/hに加速する。自車両Aの速度が60km/hに復帰した状態を図11に示す。
制御部40は、自車両Aが第一他車両B1に追い抜かれて、自車両Aの速度が復帰し、かつ、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなると、警告表示及び警告音の出力を終了する。
このようにして、自車両Aを第一他車両B1が追い抜きする際には、短時間で、第一他車両B1が自車両Aを追い抜いて自車両Aと第一他車両B1との距離Dを拡大可能な調整速度を運転者に通知する。これにより、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大して、安全追越距離を確保することを支援する。
上述したように、本実施形態は、自車両Aを第一他車両B1が追い抜きする際には、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大可能な調整速度を運転者に通知する。このようにして、本実施形態によれば、自車両Aを第一他車両B1が追い抜きする際には、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大して、安全追越距離を確保することを支援することができる。
[第四実施形態]
図12ないし図14を参照しながら、本実施形態に係る運転支援システム1について説明する。図12は、第四実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。図13は、第四実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。図14は、第四実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。運転支援システム1は、基本的な構成は第一実施形態の運転支援システム1と同様である。本実施形態では、第一他車両B1は、隣接車線において自車両Aの後方を走行している。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、第一他車両B1が自車両Aを追い抜きしないと判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように、自車両Aを加速する調整速度を算出する。例えば、調整速度は、自車両Aの調整前の速度を1/10程度加速した速度とすることが好ましい。
本実施形態では、算出部44は、第一他車両B1の速度が自車両Aの速度より遅い場合、第一他車両B1が自車両Aを追い抜きしないと判定する。
図12を用いて、運転支援システム1による運転支援の具体例について説明する。自車両Aの速度は60km/hである。第一他車両B1の速度は58km/hである。
制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であるので、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を算出する(ステップS12)。制御部40は、算出部44で、第一他車両B1の速度が自車両Aの速度より遅いので、自車両Aが第一他車両B1に追い抜きされないと判定し、自車両Aの調整速度を65km/hと算出する。そして、制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する(ステップS13)。
運転者は、自車両Aの速度を60km/hから65km/hに加速する。自車両Aの速度が65km/hに加速された状態を図13に示す。自車両Aの速度が加速されて、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが拡大する。
制御部40は、自車両Aが加速している間、または、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である間、警告表示及び警告音を出力してもよい。
そして、制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなると、速度調整の終了条件を満たすと判定する(ステップS14でYes)。制御部40は、表示制御部451で、速度を復帰するよう指示する文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、速度を復帰するよう指示する音声情報をスピーカ22で出力する。
運転者は、表示部21で表示された文字情報またはスピーカ22から出力された音声情報によって、速度調整の終了を確認する。運転者は、自車両Aの速度を65km/hから60km/hに減速する。自車両Aの速度が60km/hに復帰した状態を図14に示す。
制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなり、かつ、自車両Aの速度が復帰すると、警告表示及び警告音の出力を終了する。
このようにして、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下になると、短時間で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大可能な調整速度を運転者に通知する。これにより、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大することを支援する。
上述したように、本実施形態は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下になると、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大可能な調整速度を運転者に通知する。このようにして、本実施形態によれば、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下になると、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを短時間で拡大して、安全追越距離を確保することを支援することができる。
[第五実施形態]
図15ないし図17を参照しながら、本実施形態に係る運転支援システム1について説明する。図15は、第五実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。図16は、第五実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。図17は、第五実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度調整を終了した状態を示す。運転支援システム1は、基本的な構成は第一実施形態及び第二実施形態の運転支援システム1と同様である。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定した場合、自車線Lが追越車線にいるか走行車線にいるかに応じて、自車両Aの速度を減速するか加速するかを判定して、自車両Aの調整速度を算出する。算出部44は、自車線Lが追越車線にいる場合、自車両Aを加速する調整速度を算出する。算出部44は、自車線Lが走行車線にいる場合、自車両Aを減速する調整速度を算出する。
追越車線と走行車線とは、国や地域ごとに規定されている。例えば、日本またはイギリスでは、右側の車線が追越車線であり、左側の車線が走行車線である。例えば、アメリカまたはイギリスを除く欧州では、左側の車線が追越車線であり、右側の車線が走行車線である。本実施形態では、国ごとの追越車線と走行車線との規定を記憶部に記憶している。そして、GPS受信機によって取得した自車両Aの現在位置情報に基づいて、自車両Aが走行している国または地域を取得して、当該国または地域の追越車線が右側であるか左側であるかを記憶部から取得可能である。または、ユーザの操作によって、追越車線が右側であるか左側であるかを設定し記憶してもよい。または、自車両Aが走行する国または地域が固定されている場合、追越車線が右側であるか左側であるかをあらかじめ設定し記憶してもよい。
算出部44は、自車線Lが隣接車線に対して右側にいるか左側にいるかによって、自車線Lが追越車線であるか走行車線であるかを判定する。算出部44は、自車線Lが直線状に延びているとき、前方右センサが第一他車両B1を検出した場合、自車線Lは隣接車線L1の左側に存在すると判定する。算出部44は、自車線Lが直線状に延びているとき、前方左センサが第一他車両B1を検出した場合、自車線Lは隣接車線L1の右側が存在すると判定する。算出部44は、車両の周囲を撮影するカメラで撮影された映像データに画像解析処理を行うことによって、自車線Lが隣接車線のどちら側に位置するかを判定してもよい。
図15ないし図17を用いて、運転支援システム1による運転支援の具体例について説明する。ここでは、右側の車線が追越車線であり、左側の車線が走行車線であるとして説明する。図15に示すように、自車線Lは、隣接車線L1の右側に位置している。自車線Lは、追越車線である。第一他車両B1は、隣接車線L1の前方を速度58km/hで走行している。自車両Aは、自車線Lを速度60km/hで走行している。
制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であるので、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。制御部40は、算出部44で、自車線Lが隣接車線L1の右側に位置し、追越車線であるので、自車両Aの調整速度を65km/hと算出する(ステップS12)。そして、制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する(ステップS13)。
運転者は、自車両Aの速度を60km/hから65km/hに加速する。自車両Aの速度が65km/hに加速された状態を図16に示す。自車両Aが第一他車両B1を追い抜いて、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが拡大する。
そして、制御部40は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離より大きくなると、速度調整の終了条件を満たすと判定する(ステップS14でYes)。制御部40は、表示制御部451で、速度を復帰するよう指示する文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、速度を復帰するよう指示する音声情報をスピーカ22で出力する。
運転者は、表示部21で表示された文字情報またはスピーカ22から出力された音声情報によって、速度調整の終了を確認する。運転者は、自車両Aの速度を65km/hから60km/hに減速する。自車両Aの速度が60km/hに復帰した状態を図17に示す。
このようにして、自車両Aの速度が第一他車両B1の速度より速い場合、自車線Lと隣接車線L1との位置関係に応じて、言い換えると、自車線Lが追越車線であるか走行車線であるかに応じて、自車両Aを加速する調整速度または減速する調整速度を運転者に通知する。
上述したように、本実施形態は、自車線Lが追越車線に位置する場合、自車両Aを加速する調整速度を運転者に通知する。本実施形態は、自車線Lが走行車線に位置する場合、自車両Aを減速する調整速度を運転者に通知する。このようにして、本実施形態によれば、自車線Lが隣接車線L1の左右どちらに位置するかに応じて、追越車線であるか走行車線であるかを判定して、自車両Aを加速または減速する調整速度を運転者に通知することができる。
[第六実施形態]
図18、図19を参照しながら、本実施形態に係る運転支援システム1について説明する。図18は、第六実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両と第一他車両とが所定条件を満たすと判定する状態を示す。図19は、第六実施形態における自車両と第一他車両との一例を示す図であり、自車両の速度を調整している状態を示す。運転支援システム1は、基本的な構成は第一実施形態の運転支援システム1と同様である。
他車両情報取得部42は、自車線Lの前方を走行する第三他車両C1の有無を取得する。より詳しくは、他車両情報取得部42は、自車線Lが直線状に延びているとき、前方中央センサが他車両を検出した場合、第三他車両C1ありとする。
算出部44は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、自車両Aに第三他車両C1が存在する場合、自車両Aを減速する調整速度を算出する。算出部44は、自車両Aの速度が第一他車両B1の速度より速い場合は、自車両Aを第一他車両B1の速度に合わせた調整速度を算出してもよい。
図18、図19を用いて、運転支援システム1による運転支援の具体例について説明する。図18に示すように、第一他車両B1は、隣接車線L1の前方を速度52km/hで走行している。自車両Aは、自車線Lを速度60km/hで走行している。第三他車両C1は、自車線Lの前方を速度55km/hで走行している。
制御部40は、判定部43で、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下であるので、所定条件を満たすと判定する(ステップS11でYes)。そして、制御部40は、算出部44で、自車両Aに自車両A以下の速度の第三他車両C1が存在するので、自車両Aを減速する調整速度を算出する(ステップS12)。制御部40は、算出部44で、自車両Aの調整速度を第一他車両B1の速度に合わせて52km/hと算出する。そして、制御部40は、表示制御部451で、調整速度の文字情報を表示部21に表示し、音声制御部452で、調整速度の音声情報をスピーカ22で出力する(ステップS13)。
運転者は、自車両Aの速度を60km/hから52km/hに減速する。自車両Aの速度が52km/hに減速された状態を図19に示す。
このようにして、自車両Aに第三他車両C1が存在する場合、自車両Aを減速する調整速度を運転者に通知する。
上述したように、本実施形態は、自車両Aに第三他車両C1が存在する場合、自車両Aを減速する調整速度を運転者に通知する。このようにして、本実施形態によれば、自車両Aに第三他車両C1が存在する場合、運転者が自車両Aを適切に減速して、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離を保つようにすることで、運転を支援することができる。
[第七実施形態]
図20を参照しながら、本実施形態に係る運転支援システム1Aについて説明する。図20は、第七実施形態に係る運転支援システムの構成例を示すブロック図である。運転支援システム1Aは、出力制御部として速度制御部46Aを備える点で第一実施形態の運転支援システム1と異なる。
速度制御部46Aは、算出部44が算出した調整速度を制御信号としてECU(Engine Control Unit)に出力する。言い換えると、速度制御部46Aは、ECUを介してアクチュエータを駆動して自車両Aの速度を調整速度に制御する。
上述したように、本実施形態は、自車両Aの速度を調整速度に制御することができる。このようにして、本実施形態によれば、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離を保つように自動で速度を調節し、運転を支援することができる。
さて、これまで本発明に係る運転支援システム1について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
図示した運転支援システム1の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
運転支援システム1の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
センサ群10によって、自車両Aの周辺の車両を検出するものとしたが、車両の検出はこれに限定されるものではない。例えば、車両の周囲を撮影するカメラで撮影した映像データに画像解析処理を行うことによって自車両Aの周辺の車両を検出してもよい。
図21、図22に示すように、自車線Lと隣接車線L1の他に、他車線L2または他車線L3が存在する片側3車線以上の道路の場合、図3に示すフローチャートの処理を行わないようにしてもよい。図21は、自車線と隣接車線との他に車線が存在する場合の一例を説明する図である。他車線L2は、隣接車線L1の右側に位置する。図22は、自車線と隣接車線との他に車線が存在する場合の一例を説明する図である。他車線L3は、自車線Lの左側に位置する。
算出部44は、第二他車両B2が存在する場合にのみ、調整速度を算出するようにしてもよい。第二他車両B2が存在しない場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを安全追越距離に保つ必要性がないためである。
第一実施形態ないし第六実施形態において、運転支援システム1の制御部40は算出部44を備えるものとして説明したが、算出部44を備えなくてもよい。算出部44を備えない場合、出力制御部45は、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下である場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態が継続することを抑制するように、自車両Aの速度を制御することを運転者に通知する。
より詳しくは、出力制御部45は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、自車両Aが隣接車線において自車両Aの前方を走行する第一他車両B1を追い抜きしないと判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dを安全追越距離に保つように、自車両Aを制御して減速させるよう運転者に通知してもよい。
出力制御部45は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、自車両Aが隣接車線において自車両Aの前方を走行する走行第一他車両B1を追い抜きすると判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように、自車両Aを制御して加速させるよう運転者に通知してもよい。
出力制御部45は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、隣接車線において自車両Aの後方を走行する第一他車両B1が自車両Aを追い抜きすると判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように、自車両Aを制御して減速させるよう運転者に通知してもよい。
出力制御部45は、判定部43が所定条件を満たすと判定し、かつ、隣接車線において自車両Aの後方を走行する第一他車両B1が自車両Aを追い抜きしないと判定した場合、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように、自車両Aを制御して加速させるよう運転者に通知してもよい。
第三実施形態では、算出部44は、さらに、第一他車両B1が自車両Aを追い抜きした後、自車両Aと第一他車両B1との距離Dが安全追越距離以下となる状態の継続時間を低減するように自車両Aを減速する調整速度を算出してもよい。