JP6954732B2 - 酸凝固性の乳食品用の乳タンパク濃縮物の製造方法及び酸凝固性の乳食品の製造方法 - Google Patents
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1.酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法であって、次の工程:
(a)原料乳を提供する工程;
(b)前記原料乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;及び
(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程
を含む前記製造方法。
2.さらに、次の工程:
(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程
を含む、1に記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
3.前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、1又は2に記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
4.前記工程(b)を10℃以下で行う、1〜3のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
5.前記工程(c)において、分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いる、1〜4のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク濃縮物の製造方法。
6.酸凝固性の乳食品の製造方法であって、次の工程:
(a)原料乳を提供する工程;
(b)前記原料乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;
(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;
(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程;
(e)前記乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する工程;及び
(f)前記調合乳を酸凝固させて、酸凝固性の乳食品を製造する工程
を含む、酸凝固性の乳食品の製造方法。
7.前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、6に記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
8.前記工程(b)を10℃以下で行う、6又は7に記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
9.前記工程(c)において、分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いる、6〜8のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
10.前記工程(f)において、有機酸を用いる、6〜9のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
11.前記工程(f)において、乳酸菌を用いる、6〜10のいずれかに記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
12.前記酸凝固性の乳食品が発酵乳である、11に記載の酸凝固性の乳食品の製造方法。
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法は、次の工程:(a)脱脂乳を提供する工程;(b)前記脱脂乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;及び(c)前記脱脂乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程を含むことを特徴とする。
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、工程(a)において、原料乳を提供する。原料乳は、例えば、生乳(全脂乳)、脱脂乳であり、生乳を遠心分離処理や膜分離処理することにより提供される脱脂乳であることが好ましい。遠心分離処理や膜分離処理の条件は、特に限定されず、適宜決定することができる。ここで、遠心分離処理では、例えば、生乳を50℃〜60℃に保ちながら、重量加速度を1500〜6000Gに設定すると、脱脂乳とクリームを安定的に分離しやすくて好ましい。また、膜分離処理では、例えば、生乳を5℃〜10℃に保ちながら、セラミック製の精密濾過(MF)膜を用いると、脱脂乳とクリームを安定的に分離しやすくて好ましい。なお、遠心分離処理や膜分離処理した後には、脱脂乳の品質を保持する観点から、脱脂乳を1〜5℃に保つことが好ましい。
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、工程(a)に続いて、工程(b)において、原料乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する。工程(b)において、原料乳のpHを、5.5〜6.0に調整することが好ましく、5.5〜5.8に調整することがより好ましい。
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、工程(b)に続いて、工程(c)において、原料乳を限外濾過(UF)処理して、乳タンパク質濃縮物を得る。原料乳を限外濾過処理することにより、原料乳の乳タンパク質(成分)と乳糖、ミネラル等を分離し、乳タンパク質(成分)を濃縮できる。
本発明の酸凝固性の乳食品用の乳タンパク質濃縮物の製造方法では、さらに次の工程:(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程を含むことが好ましい。乳タンパク質濃縮物のpHを、6.3〜7の特定の中性域に調整することにより、乳タンパク質濃縮物の品質を安定化して、熱安定性にすぐれた状態を維持できる。
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法は、次の工程:(a)原料乳を提供する工程;(b)前記原料乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程;(e)前記乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する工程;及び(f)前記調合乳を酸凝固させて、酸凝固性の乳食品を製造する工程を含むことを特徴とする。
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法では、工程(d)に続いて、工程(e)において、乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する。これにより、酸凝固性の乳食品を製造するための原材料である調合乳が提供される。
本発明の酸凝固性の乳食品の製造方法では、工程(e)に続いて、工程(f)において、原料乳を酸凝固させて、酸凝固性の乳食品を製造する。調合乳の酸凝固では、有機酸を用いることによって行ってもよく、又は、乳酸菌等の微生物を用いることによって行ってもよい。
(熱安定性)
乳タンパク濃縮物の熱安定性は、試料4mlを14ml容の丸底バイアル瓶に入れ密封し、130℃の油浴中で振とうしながら、目視で凝固が始まるまでの時間(熱凝固時間)を測定して評価した。
発酵乳(ヨーグルト)の強度(硬度)は、カードメーターマックスME−500(Ltechno Engineering社製)により、400gの重りを用いて、カードテンション(CT)[g]を測定した。
生乳を50℃にて遠心分離処理し、脂肪分を除去して脱脂乳を調製した。この脱脂乳を5℃に冷却し、クエン酸水溶液(70重量%)を用いて、pHを5.6に調整し、2時間保持した。限外濾過膜(スパイラル型膜、Koch Membrane Systems社、HpHT 3838−K131−NYV、分画分子量:10,000Da、膜面積:6.1m2)2本を並列に用いて、この脱脂乳を限外濾過処理することにより、濃縮倍率を4倍に濃縮し、乳タンパク質濃縮物を調製した。2Nの水酸化ナトリウム(NaOH)と2Nの水酸化カリウム(KOH)を3:7の比率で混合した水溶液を用いて、この乳タンパク質濃縮物について、pHを6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0に調整した試料を調製し、熱凝固時間を測定した。
脱脂乳について、pHを調整する際に、クエン酸水溶液ではなく、塩酸を用いたことを除いて、実施例1と同様にして、乳タンパク質濃縮物を調製した。この乳タンパク質濃縮物について、pHを6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0に調整した試料を調製し、熱凝固時間を測定した。
実施例1で得られた乳タンパク質濃縮物(pHが6.7)から、固形分濃度が15重量%、タンパク質濃度が10重量%、pHが6.7の調合乳(ヨーグルトミックス)を調製し、加熱殺菌した。加熱殺菌は、ジャケット付きのタンクを用いて回分式に95℃・達温で行うか、あるいは、プレート式熱交換機(Powerpoint International社製)を用いて、連続式に、110℃・2秒間、120℃・2秒間、又は130℃・2秒間で行った。加熱殺菌した原料乳を43℃に冷却し、乳酸菌スターター(株式会社明治製「明治ブルガリアフルーツヨーグルト」から分離した)を2重量%の量で添加してから、酸度が1.3〜1.5%になるように、43℃・5.5時間で発酵させて、発酵乳(ヨーグルト)を製造した。このヨーグルトについて、強度を評価した。結果を図1に示す。
比較例1で得られた乳タンパク質濃縮物(pHが6.7)から、固形分濃度が15重量%、タンパク質濃度が10重量%、pHが6.7の調合乳(ヨーグルトミックス)を調製し、実施例1と同様にして、加熱殺菌した。加熱殺菌した原料乳を43℃に冷却し、乳酸菌スターター(株式会社明治製「明治ブルガリアフルーツヨーグルト」から分離した)を2重量%の量で添加してから、酸度が1.3〜1.5%なるように、43℃・5時間で発酵させて、ヨーグルト(発酵乳)を製造した。このヨーグルトについて、強度を評価した。結果を図1に示す。
Claims (8)
- 酸凝固性のヨーグルト用の乳タンパク質濃縮物の製造方法であって、次の工程:
(a)原料乳を提供する工程;
(b)前記原料乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;
(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;及び
(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程
を含み、
前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、前記製造方法。 - 前記工程(b)を10℃以下で行う、請求項1に記載の酸凝固性のヨーグルト用の乳タンパク質濃縮物の製造方法。
- 前記工程(c)において、分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いる、請求項1又は2に記載の酸凝固性のヨーグルト用の乳タンパク濃縮物の製造方法。
- 酸凝固性のヨーグルトの製造方法であって、次の工程:
(a)原料乳を提供する工程;
(b)前記原料乳のpHを、クエン酸及びクエン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を用いて、5.5〜6.2に調整する工程;
(c)前記原料乳を限外濾過処理して、乳タンパク質濃縮物を得る工程;
(d)前記乳タンパク質濃縮物のpHを6.3〜7に調整する工程;
(e)前記乳タンパク質濃縮物を用いて、調合乳を調製する工程;及び
(f)前記調合乳を酸凝固させて、酸凝固性のヨーグルトを製造する工程
を含む、酸凝固性のヨーグルトの製造方法。 - 前記工程(a)において、原料乳として、生乳を遠心分離処理して、脱脂乳を提供する、請求項4に記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
- 前記工程(b)を10℃以下で行う、請求項4又は5に記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
- 前記工程(c)において、分画分子量が8〜12kDaの限外濾過膜を用いる、請求項4〜6のいずれかに記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
- 前記工程(f)において、乳酸菌を用いる、請求項4〜7のいずれかに記載の酸凝固性のヨーグルトの製造方法。
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