Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP6950365B2 - 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6950365B2
JP6950365B2 JP2017165669A JP2017165669A JP6950365B2 JP 6950365 B2 JP6950365 B2 JP 6950365B2 JP 2017165669 A JP2017165669 A JP 2017165669A JP 2017165669 A JP2017165669 A JP 2017165669A JP 6950365 B2 JP6950365 B2 JP 6950365B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
component
water
lead
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017165669A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019046573A (ja
Inventor
耕二 木暮
耕二 木暮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Resonac Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd, Resonac Corp filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2017165669A priority Critical patent/JP6950365B2/ja
Publication of JP2019046573A publication Critical patent/JP2019046573A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6950365B2 publication Critical patent/JP6950365B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法に関する。
鉛蓄電池は、産業用に広く用いられており、例えば自動車のバッテリー、バックアップ用電源、及び電動車の主電源に用いられる。近年では、炭酸ガス排出規制対策、低燃費化等を目的として、発電制御、信号待ち等の際にエンジンを停止するシステムを搭載したアイドリングストップシステム車(以下「ISS車」という)の検討が行われている。ISS車では、オルタネータによる発電量が少なくなり、鉛蓄電池の充電が間欠的に行われるため充電が不充分となりやすい。
このような問題に対し、鉛蓄電池の負極に、フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂(防縮剤とも呼ばれる)及び炭素材料を添加することが検討されている。例えば特許文献1には、負極活物質中の添加剤として、分子量が1.7万〜2.0万の合成リグニンスルホン酸又はその塩(ビスフェノールスルホン酸ポリマー縮合物)と、比表面積が150〜300m/g、見掛け密度が0.2〜0.35g/cmである重油を原料としたカーボンブラックとを組み合わせたことを特徴とした鉛蓄電池により、鉛蓄電池の充電受入れ性が向上することが開示されている。
特開2006−196191号公報
しかし、鉛蓄電池の充電受入性能には、未だ改善の余地がある。また、鉛蓄電池においては、充電受入性に加えて、放電性能にも優れていることが求められる。
そこで、本発明は、充電受入性能及び放電性能の両方に優れる鉛蓄電池及びその製造方法、並びに、該鉛蓄電池に用いる負極材ペースト、負極及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、一態様において、鉛粉と、炭素材料と、フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂と、水とを混合する工程を備える、負極材ペーストの製造方法であって、炭素材料及び樹脂の少なくとも一方は、予め水と混合された混合物として工程に供される、製造方法である。
上記製造方法においては、炭素材料が、予め水と混合された混合物として工程に供されてもよく、樹脂が、予め水と混合された混合物として工程に供されてもよく、炭素材料及び樹脂の両方が、それぞれ予め水と混合された混合物として工程に供されてもよい。
本発明は、他の一態様において、上記の負極材ペーストの製造方法により得られた負極材ペーストを集電体上に保持させる工程を備える、負極の製造方法である。
本発明は、他の一態様において、上記の負極の製造方法により得られた負極を用いて鉛蓄電池を得る、鉛蓄電池の製造方法である。
本発明は、他の一態様において、上記の負極材ペースト又は負極の製造方法によって得られた負極材ペースト又は負極であり、また、該負極を備える鉛蓄電池である。
本発明によれば、充電受入性能及び放電性能の両方に優れる鉛蓄電池及びその製造方法、並びに、該鉛蓄電池に用いる負極材ペースト、負極及びそれらの製造方法を提供することが可能となる。
一実施形態に係る鉛蓄電池の全体構成及び内部構造を示す斜視図である。 一実施形態に係る鉛蓄電池の電極群を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る鉛蓄電池の全体構成及び内部構造を示す斜視図である。図1に示すように、鉛蓄電池1は、上面が開口している電槽2と、電槽2の開口を閉じる蓋3とを備える液式鉛蓄電池である。電槽2及び蓋3は、例えばポリプロピレンで形成されている。蓋3には、負極端子4と、正極端子5と、蓋3に設けられた注液口を閉塞する液口栓6とが設けられている。
電槽2の内部には、電極群7と、電極群7を負極端子4に接続する負極柱8と、電極群7を正極端子5に接続する正極柱(図示せず)と、希硫酸等の電解液とが収容されている。
図2は、電極群7を示す斜視図である。図2に示すように、電極群7は、板状の負極(負極板)9と、板状の正極(正極板)10と、負極9と正極10との間に配置されたセパレータ11と、を備えている。負極9は、集電体(負極集電体)と、当該集電体に保持された負極材と、を有している。正極10は、集電体(正極集電体)と、当該集電体に保持された正極材と、を有している。
電極群7は、複数の正極10と負極9とが、セパレータ11を介して、電槽2の開口面と略平行方向に交互に積層された構造を有している。すなわち、正極10及び負極9は、それらの主面が電槽2の開口面と垂直方向に広がるように配置されている。電極群7において、複数の負極9の耳部9a同士は、負極側ストラップ12で集合溶接されている。同様に、複数の正極10の耳部10a同士は、正極側ストラップ13で集合溶接されている。負極側ストラップ12及び正極側ストラップ13のそれぞれは、負極柱8及び正極柱を介して負極端子4及び正極端子5に接続されている。
以上説明した鉛蓄電池1の製造方法について、以下で説明する。一実施形態に係る鉛蓄電池1の製造方法は、電極(負極9及び正極10)を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立てて鉛蓄電池1を得る組立工程とを備えている。
電極製造工程では、例えば、負極9及び正極10のそれぞれについて、電極材ペースト(負極材ペースト及び正極材ペースト)を集電体に保持させた(充填した)後に、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の電極を得る。
集電体は、鋳造方式で得られる鋳造格子体、エキスパンド方式で得られるエキスパンド格子体等であってよい。集電体は、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金、鉛−アンチモン系合金等で形成されていてよく、これらの合金にセレン、銀、ビスマス等が微量添加されていてもよい。負極9及び正極10の集電体は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
正極材ペーストは、例えば、正極活物質の原料に添加剤(補強用短繊維等)及び水を加え、次いで、希硫酸を加えた後、混練することにより得られる。正極活物質の原料は、鉛粉、鉛丹(Pb)等であってよい。
この正極材ペーストを集電体に保持させた(充填した)後に、例えば、温度35〜85℃、湿度50〜98RH%の雰囲気で15〜60時間熟成し、温度45〜80℃で15〜30時間乾燥することにより、未化成の正極が得られる。
負極材ペーストは、例えば、負極活物質の原料である鉛粉と、炭素材料と、フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂(以下「フェノール系樹脂」ともいう)と、水とを混合することにより得られる。
鉛粉は、例えば、ボールミル式鉛粉製造機又はバートンポット式鉛粉製造機によって製造される鉛粉(ボールミル式鉛粉製造機においては、主成分PbOの粉体と鱗片状金属鉛との混合物)であってよい。炭素材料は、例えば、カーボンブラック、黒鉛等であってよい。カーボンブラックは、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等であってよい。
フェノール系樹脂は、フェノール系化合物に由来する構造単位を有していればよい。フェノール系樹脂は、好ましくは、スルホン酸基(スルホ基)又はスルホン酸塩基を更に有している。この場合、スルホン酸基又はスルホン酸塩基は、フェノール系化合物に由来する構造単位中に含まれていてもよく、フェノール系化合物に由来する構造単位とは別の構造単位中に含まれていてもよい。
フェノール系樹脂は、一実施形態において、フェノール系化合物に由来する構造単位と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基を有する構造単位とを有している。このようなフェノール系樹脂は、例えば、スルホン酸基又はスルホン酸塩基を含むビスフェノール系樹脂(以下「ビスフェノール系樹脂」ともいう)、リグニンスルホン酸又はその塩(以下「リグニンスルホン酸(塩)」ともいう)等であってよい。
ビスフェノール系樹脂は、フェノール系化合物に由来する構造単位として、ビスフェノール系化合物に由来する構造単位を有している。ビスフェノール系樹脂は、例えば、(a)ビスフェノール系化合物(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)スルホン酸基(スルホ基)を有する化合物(以下「(b)成分」ともいう)と、の反応において、必要に応じてスルホン酸基の水素原子を例えば金属原子で置換することにより得ることができる。(a)成分及び(b)成分の反応において、(c)ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下「(c)成分」ともいう)を更に反応させてもよい。
(a)成分としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」ともいう)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及び、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(以下「ビスフェノールS」ともいう)が挙げられる。(a)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(a)成分は、充電受入性に更に優れる観点からは好ましくはビスフェノールAであり、放電特性に更に優れる観点からは好ましくはビスフェノールSである。
(a)成分としては、充電受入性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールAとビスフェノールSとを併用することが好ましい。この場合、ビスフェノール系樹脂を得るための反応におけるビスフェノールAの含有量は、充電受入性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールSの合計量を基準として、好ましくは70モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。ビスフェノールAの含有量は、充電受入性、放電特性及びサイクル特性がバランス良く向上する観点から、ビスフェノールA及びビスフェノールSの合計量を基準として、好ましくは99モル%以下、より好ましくは98モル%以下、更に好ましくは97モル%以下である。
(b)成分は、アミノ基及びスルホン酸基を有する化合物であってよい。アミノ基及びスルホン酸基を有する化合物としては、例えば、4−アミノベンゼンスルホン酸(別名スルファニル酸)、アミノエチルスルホン酸(別名タウリン)、及び、5−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(別名ローレント酸)が挙げられる。
(b)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(b)成分は、充電受入性が更に向上する観点から、好ましくは4−アミノベンゼンスルホン酸である。
ビスフェノール系樹脂を得るための反応における(b)成分の含有量は、放電特性が更に向上する観点から、(a)成分1モルに対して、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは0.6モル以上、更に好ましくは0.7モル以上、特に好ましくは0.8モル以上である。(b)成分の含有量は、放電特性及びサイクル特性が更に向上しやすい観点から、(a)成分1モルに対して、好ましくは2.0モル以下、より好ましくは1.5モル以下、更に好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.0モル以下である。
(c)成分であるホルムアルデヒドとしては、ホルマリン(例えばホルムアルデヒド37質量%の水溶液)中のホルムアルデヒドを用いてもよい。ホルムアルデヒド誘導体としては、例えば、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン及びトリオキサンが挙げられる。(c)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(c)成分として、ホルムアルデヒドとホルムアルデヒド誘導体とを併用してもよい。
(c)成分は、優れたサイクル特性が得られやすい観点から、好ましくはホルムアルデヒド誘導体、より好ましくはパラホルムアルデヒドである。パラホルムアルデヒドは、例えば、下記式(1)で表される構造を有する。
HO(CHO)n1H …(1)
式(1)中、n1は、2〜100の整数を示す。
ビスフェノール系樹脂を得るための反応における(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(b)成分の反応性が向上する観点から、(a)成分1モルに対して、好ましくは2モル以上、より好ましくは2.2モル以上、更に好ましくは2.4モル以上である。(c)成分のホルムアルデヒド換算の配合量は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応により得られると共にベンゾオキサジン環を有する構造単位を低減しやすい観点から、(a)成分1モルに対して、好ましくは3.5モル以下、より好ましくは3.2モル以下、更に好ましくは3モル以下、特に好ましくは2.8モル未満、極めて好ましくは2.5モル以下である。
ビスフェノール系樹脂は、好ましくは、下記式(I)で表される構造単位、及び、下記式(II)で表される構造単位の少なくとも一方を有する。
Figure 0006950365

式(I)中、Xは2価の基を示し、Yは、2価の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を示し、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、金属原子又は水素原子を示し、n11は、1〜300の整数を示し、n12は、1〜3の整数を示す。ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。
Figure 0006950365

式(II)中、Xは2価の基を示し、Yは、2価の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を示し、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、金属原子又は水素原子を示し、n21は、1〜300の整数を示し、n22は、1〜3の整数を示す。ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。
式(I)で表される構造単位、及び、式(II)で表される構造単位の比率は、特に制限はなく、合成条件等によって変化し得る。ビスフェノール系樹脂としては、式(I)で表される構造単位、及び、式(II)で表される構造単位のいずれか一方のみを有する樹脂を用いてもよい。
及びXとしては、アルキリデン基(例えばメチリデン基、エチリデン基、イソプロピリデン基及びsec−ブチリデン基)、シクロアルキリデン基(例えばシクロヘキシリデン基)、フェニルアルキリデン基(例えばジフェニルメチリデン基及びフェニルエチリデン基)等の有機基;スルホニル基などが挙げられる。X及びXとしては、充電受入性に更に優れる観点からはイソプロピリデン基(−C(CH−)基が好ましく、放電特性に更に優れる観点からはスルホニル基(−SO−)が好ましい。X及びXは、フッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。X又はXがシクロアルキリデン基である場合、炭化水素環はアルキル基等により置換されていてもよい。
又はYで表される2価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニレン基及びナフチレン基、2価の脂肪族炭化水素基としては、例えばエチレン基及びトリメチレン基、2価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロヘキシリデン基がそれぞれ挙げられる。Y及びYは、充電受入性に更に優れる観点から、好ましくはフェニレン基又はナフチレン基である。Y及びYで表される2価の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基は、それぞれフッ素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
11、R12、R13、R21、R22又はR23で表される金属原子は、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子、マグネシウム原子又はカルシウム原子である。
ビスフェノール系樹脂は、例えば、下記式(III)〜(VI)で表される構造単位を有していてもよい。式(III)〜(VI)で表される構造単位が生成する理由は、(a)成分のベンゼン環にホルムアルデヒド成分が付加反応をするためと推測される。
Figure 0006950365

Figure 0006950365

Figure 0006950365

Figure 0006950365
、X、X及びXは、それぞれX及びXと同義であり、R31、R32、R33、R41、R42、R43、R51、R52、R61及びR62は、それぞれ独立にR21、R22及びR23と同義であり、n31、n41、n51及びn61は、それぞれ独立にn11及びn21と同義であり、n32及びn42は、それぞれ独立にn12及びn22と同義である。ベンゼン環を構成する炭素原子に直接結合している水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい。
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、サイクル特性が更に向上する観点から、好ましくは20000以上、より好ましくは30000以上、更に好ましくは40000以上、特に好ましくは50000以上である。ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、サイクル特性が更に向上する観点から、好ましくは80000以下、より好ましくは70000以下、更に好ましくは60000以下である。これらの観点から、ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは20000〜80000、より好ましくは30000〜70000、更に好ましくは40000〜60000、特に好ましくは50000〜60000である。
ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量は、例えば、下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定することができる。
(GPC条件)
装置:高速液体クロマトグラフ LC−2200 Plus(日本分光株式会社製)
ポンプ:PU−2080
示差屈折率計:RI−2031
検出器:紫外可視吸光光度計UV−2075(λ:254nm)
カラムオーブン:CO−2065
カラム:TSKgel SuperAW(4000)、TSKgel SuperAW(3000)、TSKgel SuperAW(2500)(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶離液:LiBr(10mM)及びトリエチルアミン(200mM)を含有するメタノール溶液
流速:0.6mL/分
分子量標準試料:ポリエチレングリコール(分子量:1.10×10、5.80×10、2.55×10、1.46×10、1.01×10、4.49×10、2.70×10、2.10×10;東ソー株式会社製)、ジエチレングリコール(分子量:1.06×10;キシダ化学株式会社製)、ジブチルヒドロキシトルエン(分子量:2.20×10;キシダ化学株式会社製)
ビスフェノール系樹脂の製造方法は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応させてビスフェノール系樹脂を得る樹脂製造工程を備えている。ビスフェノール系樹脂は、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を反応溶媒中で反応させることにより得ることができる。反応溶媒は、好ましくは水(例えばイオン交換水)である。本工程では、反応を促進させるために、有機溶媒、触媒、添加剤等を用いてもよい。
樹脂製造工程は、サイクル特性が更に向上する観点から、(b)成分の配合量が(a)成分1モルに対して0.5〜2.0モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜3.5モルである態様が好ましく、(b)成分の配合量が(a)成分1モルに対して0.5〜2.0モルであり、且つ、(c)成分の配合量が(a)成分1モルに対してホルムアルデヒド換算で2〜2.5モルである態様がより好ましい。(b)成分及び(c)成分の好ましい配合量は、(b)成分及び(c)成分の配合量のそれぞれについて上述した範囲である。
ビスフェノール系樹脂は、充分量のビスフェノール系樹脂が得られやすい観点から、好ましくは、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を塩基性条件(アルカリ性条件)で反応させることにより得られる。塩基性条件に調整するためには、塩基性化合物を用いてもよい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化カリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。塩基性化合物は、反応性に優れる観点から、好ましくは水酸化カリウムである。
反応時の反応溶液が中性(pH=7)である場合、ビスフェノール系樹脂の生成反応が進行しにくい場合があり、反応溶液が酸性(pH<7)である場合、副反応(例えば、ベンゾオキサジン環を有する構造単位の生成反応)が進行する場合がある。そのため、反応時の反応溶液のpHは、ビスフェノール系樹脂の生成反応を進行させつつ副反応が進行することを抑制しやすい観点から、好ましくはアルカリ性であり(7を超え)、より好ましくは7.1以上、更に好ましくは7.2以上である。反応溶液のpHは、ビスフェノール系樹脂における(b)成分に由来する基の加水分解が進行することを抑制する観点から、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下である。反応溶液のpHは、例えば株式会社堀場製作所製のツインpHメーター AS−212で測定することができる。pHは、25℃におけるpHとして定義される。
上記のようなpHに調整しやすいことから、強塩基性化合物の配合量は、(b)成分1モルに対して、好ましくは1.01モル以上、より好ましくは1.02モル以上、更に好ましくは1.03モル以上である。同様の観点から、強塩基性化合物の配合量は、(b)成分1モルに対して、好ましくは1.1モル以下、より好ましくは1.08モル以下、更に好ましくは1.07モル以下である。強塩基性化合物としては、例えば、水酸化カリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。
ビスフェノール系樹脂の合成反応では、(a)成分、(b)成分及び(c)成分が反応してビスフェノール系樹脂が得られればよく、例えば、(a)成分、(b)成分及び(c)成分を同時に反応させてもよく、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のうちの2成分を反応させた後に残りの1成分を反応させてもよい。
ビスフェノール系樹脂の合成反応は、好ましくは次のように二段階で行われる。第一段階の反応では、例えば、(b)成分、溶媒(水等)及び塩基性化合物を仕込んだ後に撹拌し、(b)成分におけるスルホ基の水素原子をカリウム原子等の金属原子で置換して(b)成分のカリウム塩等の金属塩を得る。これにより、後述の縮合反応において副反応を抑制しやすい。反応系の温度は、(b)成分の溶媒(水等)への溶解性に優れる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは25℃以上である。反応系の温度は、副反応を抑制しやすい観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下である。反応時間は、例えば30分間である。
第二段階の反応では、例えば、第一段階で得られた反応物に(a)成分及び(c)成分を加えて縮合反応させることによりビスフェノール系樹脂を得る。反応系の温度は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の反応性に優れる観点、及び、副反応生成物が低減される観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは92℃以上である。反応系の温度は、副反応を抑制しやすい観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは98℃以下、更に好ましくは96℃以下である。反応時間は、例えば5〜20時間である。
リグニンスルホン酸(塩)は、リグニン分解物の一部がスルホン化されたリグニンスルホン酸又はその塩である。リグニンスルホン酸(塩)は、フェノール系化合物に由来する構造単位としてリグニンに由来する構造単位を有すると共に、スルホン酸基又はスルホン酸塩基を有している。リグニンスルホン酸(塩)は、例えば、フェニレン基に隣接したα位の炭素原子にスルホン酸基又はスルホン酸塩基が結合した構造を有している。リグニンスルホン酸(塩)は、例えば、下記式(2)で表される構造を有している。
Figure 0006950365

式(2)中、Rは、金属原子又は水素原子を示す。該金属原子は、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子、マグネシウム原子又はカルシウム原子である。
リグニンスルホン酸(塩)は、例えば、木材チップを蒸解してセルロースを取り出した後に残った黒液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等によって中和することにより得ることができる。
リグニンスルホン酸(塩)の重量平均分子量は、鉛蓄電池において電極からリグニンスルホン酸(塩)が電解液に溶出することが抑制されて更に優れたサイクル特性が得られる観点から、好ましくは3000以上、より好ましくは7000以上、更に好ましくは8000以上である。リグニンスルホン酸(塩)の重量平均分子量は、電極活物質の分散性に優れる観点から、好ましくは70000以下、より好ましくは50000以下、更に好ましくは40000以下、特に好ましくは30000以下、極めて好ましくは20000以下である。これらの観点から、リグニンスルホン酸(塩)の重量平均分子量は、好ましくは3000〜70000、より好ましくは3000〜50000、更に好ましくは3000〜40000、特に好ましくは7000〜30000、極めて好ましくは8000〜20000である。リグニンスルホン酸(塩)の重量平均分子量は、ビスフェノール系樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定することができる。
負極材ペーストは、硫酸バリウム、補強用短繊維(アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等)などのその他の添加剤を更に含有していてもよく、希硫酸を含有していてもよい。
この負極材ペーストを集電体に保持させた(充填した)後に、例えば、温度45〜65℃、湿度70〜98RH%の雰囲気で15〜30時間熟成し、温度45〜60℃で15〜30時間乾燥することにより、未化成の負極が得られる。すなわち、一実施形態に係る負極の製造方法は、負極材ペーストを集電体に保持させる(充填する)工程と、該工程に続いて、熟成及び乾燥を行うことにより未化成の負極を得る工程とを備えている。
組立工程では、例えば、未化成の負極及び未化成の正極を、セパレータ11を介して交互に積層し、負極9の耳部9a同士及び正極10の耳部10a同士をそれぞれストラップで連結(溶接等)させて電極群7を得る。この電極群7を電槽2内に配置して未化成の電池を作製する。次に、未化成の電池に電解液(希硫酸等)を注入した後、直流電流を通電して電槽化成する。化成後の電解液の比重を適切な比重に調整して鉛蓄電池1が得られる。
化成条件及び硫酸の比重は、電極活物質の性状に応じて調整することができる。化成処理は、組立工程後に実施される代わりに、電極製造工程における熟成及び乾燥後の多数の電極をまとめて化成槽に浸漬して実施されてもよい(タンク化成)。
以下、負極材ペーストの製造方法について、より詳細に説明する。一実施形態に係る負極材ペーストの製造方法は、鉛粉と、炭素材料と、フェノール系樹脂と、水とを混合する工程(混合工程)を備えている。炭素材料の配合量は、炭素材料の種類(例えば比表面積)に応じて適宜選択すればよく、例えば、鉛粉100質量部に対して0.1〜8.0質量部であってよい。フェノール系樹脂の配合量は、例えば、鉛粉100質量部に対して、樹脂固形分換算で、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、更に好ましくは0.05〜1質量部、特に好ましくは0.05〜0.5質量部、極めて好ましくは0.07〜0.5質量部、非常に好ましくは0.1〜0.5質量部、より一層好ましくは0.1〜0.3質量部である。水は、例えばイオン交換水であってよい(以下、他の工程で用いられる水についても同様)。
負極材ペーストの製造方法は、混合工程の前に、炭素材料を水と予め混合して第1の混合物を得る工程(第1の予備混合工程)、及び/又は、フェノール系樹脂を水と予め混合して第2の混合物を得る工程(第2の予備混合工程)を備えている。すなわち、この負極材ペーストの製造方法では、炭素材料及びフェノール系樹脂の少なくとも一方は、予め水と混合された混合物として混合工程に供される。
負極材ペーストの製造方法は、混合工程の前に、第1及び第2の予備混合工程のうち、第1の予備混合工程のみを備えていてもよく、第2の予備混合工程のみを備えていてもよく、第1の予備混合工程及び第2の予備混合工程の両方を備えていてもよい。すなわち、負極材ペーストの製造方法では、予め水と混合された混合物として混合工程に供される材料(原料)が、炭素材料のみであってもよく、フェノール系樹脂のみであってもよく、炭素材料及びフェノール系樹脂の両方であってもよい。負極材ペーストの製造方法が第1の予備混合工程及び第2の予備混合工程の両方を備えている場合、第1の予備混合工程及び第2の予備混合工程を実施する順序は、相互に入れ替え可能である。
第1の予備混合工程では、炭素材料を水に浸す(浸水させる)ことにより、炭素材料と水とを含有する第1の混合物を得る。炭素材料としては、水との親和性に優れる観点から、好ましくは親水性の炭素材料を用いる。本工程では、炭素材料と同体積の水を混合して練り(固練り)、凝集状態をほぐした状態にした後、例えば5〜15質量%(好ましくは約10質量%)の濃度の分散液に希釈することが好ましい。少量の水で固練りすることで、粘度の高いものほどせん断力が高くなるため、粉体の凝集をほどきやすくなる。
浸水の時間は、炭素の親水性により異なるが、例えば30分間〜3時間であってよい。炭素材料を浸水させる際に、浸水の時間を短縮する目的で、混合物を攪拌してもよく、混合物に加圧してもよい。特に、炭素材料が疎水性の炭素材料である場合、混合物に加圧することで、浸水の時間を好適に短縮できる。本工程により、炭素材料の細孔内が一様に水で満たされる。本工程では、炭素材料の浸水後に、水で更に希釈して第1の混合物を得てもよい。
第2の予備混合工程では、フェノール系樹脂を水に溶解させることにより、フェノール系樹脂と水とを含有する第2の混合物(水溶液)を得る。本工程では、フェノール系樹脂の凝集を抑制する観点から、攪拌している水の中にフェノール系樹脂を少量ずつ溶解させることが好ましい。フェノール系樹脂の配合量は、水溶液の粘度上昇に伴う分散性の低下を抑制する観点から、好ましくは、水100質量部に対して30質量部以下である。フェノール系樹脂の配合量は、例えば、水100質量部に対して10質量部以上であってよい。本工程では、フェノール系樹脂が変質しないことを条件に、溶解させるための攪拌時間は長いほどよく、24時間以上攪拌すること好ましく、1週間程度攪拌することがより好ましい。
混合工程では、一実施形態(第1実施形態)において、鉛粉(予め水と混合されていない)と、炭素材料及び水を含有する第1の混合物と、フェノール系樹脂(予め水と混合されていない)とを混合する。具体的には、例えば、まず、鉛粉と、フェノール系樹脂と、必要に応じて添加されるその他の添加剤(硫酸バリウム、補強用短繊維等)とを混練し、次いで、得られた混合物に対し、炭素材料及び水を含有する第1の混合物を更に混練する。
混合工程では、他の一実施形態(第2実施形態)において、鉛粉(予め水と混合されていない)と、炭素材料(予め水と混合されていない)と、フェノール系樹脂及び水を含有する第2の混合物とを混合する。具体的には、例えば、まず、鉛粉と、フェノール系樹脂及び水を含有する第2の混合物と、必要に応じて添加されるその他の添加剤(硫酸バリウム、補強用短繊維等)とを混練し、次いで、得られた混合物に対し、炭素材料を更に混練する。
混合工程では、他の一実施形態(第3実施形態)において、鉛粉(予め水と混合されていない)と、炭素材料及び水を含有する第1の混合物と、フェノール系樹脂及び水を含有する第2の混合物とを混合する。具体的には、例えば、まず、鉛粉と、フェノール系樹脂及び水を含有する第2の混合物と、必要に応じて添加されるその他の添加剤(硫酸バリウム、補強用短繊維等)とを混練し、次いで、得られた混合物に対し、炭素材料及び水を含有する第1の混合物を更に混練する。
この負極材ペーストの製造方法は、混合工程の前に、第1の予備混合工程及び第2の予備混合工程の少なくとも一方を備えていることにより、これらの予備混合工程を備えずに、予め水と混合されていない炭素材料及びフェノール系樹脂を鉛粉と混合する製造方法に比べて、充電受入性能及び放電性能の両方に優れる鉛蓄電池の製造を可能にする。上記の第1〜3実施形態のいずれであってもこのような効果が得られるが、充電受入性能及び放電性能の点でより高水準に優れた鉛蓄電池を得る観点からは、第3実施形態が好適である。充電受入性能及び放電性能に加えて、サイクル性能にも優れる鉛蓄電池を得る観点からは、第1実施形態及び第3実施形態が好適であり、第1実施形態が更に好適である。すなわち、第1実施形態及び第3実施形態(特に第1実施形態)の場合、充電受入性能及び放電性能に加えて、PSOC(Partial State Of Charge;部分充電状態)での耐久性も求められるISS車用の鉛蓄電池に好適に用いることができる。
本発明者は、第1の予備混合工程を実施することによって得られる負極材ペーストの構造、物性等を特定できていないが、第1の予備混合工程による作用効果を以下のように推察している。第1の予備混合工程において、炭素材料を浸水させることにより、炭素材料の細孔内が予め水で満たされるため、混合工程において、炭素材料をフェノール系樹脂と混合した際に、フェノール系樹脂が炭素材料の細孔内に侵入することを抑制できる。その結果、フェノール系樹脂は、炭素材料に吸着する場合でも炭素材料の表面にとどまり、炭素材料の細孔内に侵入した場合に比べて、本来の機能を好適に発揮できる。
また、フェノール系樹脂が炭素材料の細孔内に侵入すると、本来の機能を発揮できないだけでなく、鉛蓄電池の完成後に電解液へ溶出して、正極の泥状化又は極柱の腐食を加速する要因となり得るため、第1の予備混合工程により、これらの点を改善できる。加えて、第1の予備混合工程により、炭素材料が好適に分散した状態で鉛粉(負極活物質)と混合されるため、負極活物質内での導電性向上効果が高まり、放電により生成する硫酸鉛の生成を抑制し、また、硫酸鉛の溶解を促進する。
本発明者は、第2の予備混合工程を実施することによって得られる負極材ペーストの構造、物性等を特定できていないが、第2の予備混合工程による作用効果を以下のように推察している。フェノール系樹脂は分子内に親水性部と疎水性部を合わせ持っており、粉体の状態(水に溶解されていない状態)で存在していると、粉体内のもともと含まれている水を中心に、親水性部を内側に疎水性部を外側にした会合体を形成する。このような会合体はミセルと呼ばれ、ミセル化した状態では、事後的に水と混合しても十分に溶解せず、鉛粉に吸着しにくくなる場合があり、フェノール系樹脂の機能が十分に発揮されないおそれがあるところ、第2の予備混合工程により、これらの点を改善できる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(負極板の作製)
第1の予備混合工程として、平均一次粒子径が50nm以下であるオイルファーネスブラック(バルカンXC72、キャボット社製)100体積部に水100体積部を混合して固練りを施し、更に水を追加して10%の分散液(第1の混合物)とした。このときに使用した水はイオン交換水であり、後述のペースト練合時に使用する水と同じものを使用した。
続いて、平均一次粒子径1μmの鉛粉100質量部に対してリグニンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を混練し、次いで、上記の第1の混合物、鉛粉100質量部に対して1.0質量部の硫酸バリウム、及び水を配合して更に混練した。第1の混合物は、炭素材料の配合量が鉛粉100質量部に対して0.2質量部となるように配合した。
次に、希硫酸(比重1.26(20℃換算))及び水を加えながら更に混練して、負極材ペーストを作製した。厚さ1.0mmのエキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫系合金)に負極材ペーストを充填して負極板を作製した。負極板を、温度50℃、湿度95%の雰囲気下で20時間熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成負極板を得た。
(正極板の作製)
平均粒径1μmの鉛粉に対して、鉛粉の全質量を基準として0.1質量%の補強用短繊維(アクリル繊維)を添加した後に乾式混合した。次に、希硫酸(比重1.28(20℃換算))及び水を加えて混練して、正極材ペーストを作製した。エキスパンド集電体(鉛−カルシウム−錫系合金)に正極材ペーストを充填して、温度50℃、湿度95%の雰囲気下で20時間熟成した後、温度50℃の雰囲気下で乾燥して未化成正極板を得た。
(鉛蓄電池の組立)
未化成の負極板及び未化成の正極板が交互に積層されるように、ポリエチレン製のセパレータを介して6枚の未化成負極板及び5枚の未化成正極板を積層した後に、同極性の集電部同士をストラップで溶接させて極板群を作製した。極板群を電槽に挿入して2V単セル電池を組み立てた。この電池に希硫酸(比重1.26(20℃換算))を注液した後に、40℃の水槽中、通電電流10.0Aで15時間の条件で化成した。化成終了後、1.28(20℃換算)の希硫酸となるように調整して実施例1の鉛蓄電池を得た。
<実施例2>
第1の予備混合工程を実施せずに、第2の予備混合工程として、水を撹拌しながら、リグニンスルホン酸ナトリウムを混合して、10質量%水溶液(第2の混合物)を予め作製する工程を実施した。すなわち、実施例1において、第1の混合物の代わりに水と混合していないオイルファーネスブラックを使用し、水と混合していないリグニンスルホン酸ナトリウムの代わりに第2の混合物を使用した。これ以外は、実施例1と同様に負極材ペーストを作製し、また、負極板及び正極板の作製、並びに鉛蓄電池の組立を行った。
<実施例3>
第1の予備混合工程に加えて、実施例2と同じ第2の予備混合工程を実施した。すなわち、実施例1において、水と混合していないリグニンスルホン酸ナトリウムの代わりに第2の混合物を使用した。これ以外は、実施例1と同様に負極材ペーストを作製し、また、負極板及び正極板の作製、並びに鉛蓄電池の組立を行った。
<比較例1>
第1の予備混合工程を実施しなかった。すなわち、実施例1において、第1の混合物の代わりに水と混合していないオイルファーネスブラックを使用した。これ以外は、実施例1と同様に負極材ペーストを作製し、また、負極板及び正極板の作製、並びに鉛蓄電池の組立を行った。
[充電受入性能の評価]
実施例1〜3及び比較例1の各鉛蓄電池について、充電受入性能を評価した。具体的には、充電受入性能として、電池の充電状態(SOC:State of charge)が90%になった状態(つまり、満充電状態から電池容量の10%を放電し、2.33Vで定電圧充電した状態)の充電開始5秒後の充電容量を測定した。5秒後の充電容量が大きいほど、充電受入性が良い電池である。比較例1の鉛蓄電池の充電受入性能を100としたときの相対値を表1に示す。
[放電性能の評価]
実施例1〜3及び比較例1の各鉛蓄電池について、放電性能を評価した。具体的には、放電性能として、−15℃において5Cで定電流放電し、電池電圧が1.0Vに達するまでの放電持続時間を測定した。放電持続時間が長いほど放電特性に優れる電池である。なお、前記Cとは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を1C、2時間で放電させることができる電流を0.5Cと表現する。比較例1の鉛蓄電池の充電受入性能を100としたときの相対値を表1に示す。
[サイクル性能の評価]
充電受入性能及び放電性能に優れていた実施例1〜3の各鉛蓄電池について、サイクル性能を更に評価した。具体的には、サイクル性能として、日本電池工業会規格(SBAS 0101)のアイドリングストップ寿命試験に準じた方法でサイクル数を評価した。サイクル数が大きいほど、サイクル性能(アイドリングストップ耐久性)が高い電池である。実施例2の鉛蓄電池のサイクル性能を100としたときの相対値を表1に示す。
Figure 0006950365
1…鉛蓄電池、2…電槽、3…蓋、4…負極端子、5…正極端子、6…液口栓、7…電極群、8…負極柱、9…負極、10…正極、11…セパレータ、12…負極側ストラップ、13…正極側ストラップ。

Claims (3)

  1. 鉛粉と、炭素材料と、フェノール系化合物に由来する構造単位を有する樹脂と、水とを混合する工程を備える、負極材ペーストの製造方法であって、
    前記炭素材料及び前記樹脂の両方が、それぞれ予め水と混合された混合物として前記工程に供される、製造方法。
  2. 請求項に記載の製造方法により得られた負極材ペーストを集電体に保持させる工程を備える、負極の製造方法。
  3. 請求項に記載の製造方法により得られた負極を用いて鉛蓄電池を得る、鉛蓄電池の製造方法。
JP2017165669A 2017-08-30 2017-08-30 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法 Active JP6950365B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017165669A JP6950365B2 (ja) 2017-08-30 2017-08-30 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017165669A JP6950365B2 (ja) 2017-08-30 2017-08-30 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019046573A JP2019046573A (ja) 2019-03-22
JP6950365B2 true JP6950365B2 (ja) 2021-10-13

Family

ID=65814507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017165669A Active JP6950365B2 (ja) 2017-08-30 2017-08-30 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6950365B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021131033A1 (ja) * 2019-12-27 2021-07-01 昭和電工マテリアルズ株式会社 系統電力安定化用又は負荷平準化用の鉛蓄電池用負極材及びその製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TR201908697T4 (tr) * 2012-09-28 2019-07-22 Cabot Corp Yüksek yüzey alanlı karbonlu maddeler içeren aktif madde bileşimlerin yapımı için usul.
JP6015427B2 (ja) * 2012-12-21 2016-10-26 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池用負極板及びその製造方法
JP6056454B2 (ja) * 2012-12-21 2017-01-11 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池
JP2014207198A (ja) * 2013-04-16 2014-10-30 新神戸電機株式会社 制御弁式鉛蓄電池
JP6153072B2 (ja) * 2013-08-02 2017-06-28 株式会社Gsユアサ 液式鉛蓄電池
JP6528436B2 (ja) * 2015-02-12 2019-06-12 株式会社Gsユアサ 鉛蓄電池とその負極板及び鉛蓄電池の製造方法
JP6628070B2 (ja) * 2015-03-03 2020-01-08 日立化成株式会社 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019046573A (ja) 2019-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6635189B2 (ja) 鉛蓄電池、マイクロハイブリッド車及びアイドリングストップシステム車
WO2017149871A1 (ja) 鉛蓄電池用樹脂、電極、鉛蓄電池及び自動車
WO2015064445A1 (ja) 樹脂組成物、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法
JP6172384B2 (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物
JP6724781B2 (ja) 鉛蓄電池
JPWO2016114316A1 (ja) 鉛蓄電池、マイクロハイブリッド車及びアイドリングストップシステム車
JP6354855B2 (ja) 電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法
JP6950365B2 (ja) 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法
JP2018116843A (ja) 電極及び鉛蓄電池
JP6638241B2 (ja) 鉛蓄電池
JP6582637B2 (ja) 鉛蓄電池
JP6384639B2 (ja) 電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法
JP2017160326A (ja) フェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに樹脂組成物
JP6870207B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2015174872A (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物
JP2019204702A (ja) 鉛蓄電池
JP2017160304A (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物
US9997782B2 (en) Bisphenol-based resin, electrode, lead storage battery, production methods for these, and resin composition
JP6953874B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2015137331A (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物
JP6856113B2 (ja) 鉛蓄電池
JP7015613B2 (ja) 耳痩せ抑制剤、耳痩せを抑制する方法、及び耳痩せ抑制剤への使用
JP2015137330A (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法、並びに、樹脂組成物
JP7075072B2 (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法
JP2019131639A (ja) ビスフェノール系樹脂、電極、鉛蓄電池及びこれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200731

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210706

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210824

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210906

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6950365

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350