以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、例えばパイプ材やアングル材などの長尺のワークの加工を行う加工機の一例としてのレーザ加工装置に適用した場合について説明する。長尺のワークのレーザ加工を行うレーザ加工装置の構成は、例えば前記特許文献1,2に記載されているように公知である。しかし、理解を容易にするために、先ず、レーザ加工装置(レーザ加工システム)の全体的構成について概略的に説明する。
図1に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ加工機3を備えている。このレーザ加工機3における加工機本体5には、例えばパイプ材やアングル材などの長尺のワーク(図1には図示省略)を把持して回転自在な回転チャック7が左右方向(X軸方向)の軸心回りに回転自在に備えられている。さらに、前記加工機本体5には、レーザ加工ヘッド9が前後方向(Y軸方向)へ移動自在かつ上下方向(Z軸方向)へ移動自在に備えられている。前記レーザ加工ヘッド9は、前記回転チャック7に把持されて回転されるワークへレーザ光を照射してワークのレーザ加工を行うものである。
なお、上述のごときレーザ加工機3の構成は、例えば前記特許文献1,2に記載されているように、既に公知であるから、レーザ加工機3の全体的構成についての詳細な説明は省略する。
前記レーザ加工機3における前記レーザ加工ヘッド9によるレーザ加工位置のX軸方向(左右方向)の一側(図1においての右側)には、前記レーザ加工位置に対して長尺のワークを長手方向に搬入するワーク搬入装置11が配置してある。そして、前記レーザ加工位置のX軸方向の他側(図1においての左側)には、レーザ加工後の長い製品(図1には図示省略)を支持するコンベア装置13が備えられている。
前記レーザ加工位置と前記コンベア装置13との間には、ワークシュータ15がY軸方向(前後方向)へ移動自在に備えられている。このワークシュータ15は、前記レーザ加工位置で加工された短い製品(図示省略)又は排棄されるスクラップ(図示省略)を支持するものである。そして、このワークシュータ15のY軸方向の前方には、前記ワークシュータ15から落下される製品又はスクラップを収納自在な製品ボックス17が配置してある。
さらに、前記レーザ加工位置のX軸方向の他側方であって、前記コンベア装置13を間にして前記レーザ加工位置の反対側には、搬出コンベア19が備えられている。この搬出コンベア19は、前記コンベア装置13から移送された製品を排出する作用をなすものであって、この搬出コンベア19のY軸方向の一側(前側)には、複数の製品ストッカ21がX軸方向に適宜間隔に備えられている。
以上のごとき概略的な説明から理解されるように、長尺のワークは、ワーク搬入装置11によってX軸方向(ワークの長手方向)の一端側から他端側に搬送(移送)されて、レーザ加工機3における回転チャック7内に搬入される。上述のように、ワークの先端部が前記回転チャック7に搬入され、レーザ加工ヘッド9によるレーザ加工位置からワークの先端部がX軸方向の他端側へ適宜に突出して位置決めされると、前記回転チャック7によってワークの把持が行われる。
そして、前記レーザ加工ヘッド9からワークへレーザ光を照射すると共に、後述するチャック装置25と前記回転チャック7によってワークを長手方向(X軸方向)の軸心回りに回転し、チャック装置25によってX軸方向に移動することにより、ワークのレーザ加工が行われる。この際、ワークから切断分離される製品が比較的短い場合には、前記レーザ加工ヘッド9によってレーザ加工される短い製品に対応した位置にワークシュータ15が位置決めされて、当該ワークシュータ15によって短い製品を受け取るものである。そして、ワークシュータ15に受け止められた製品は、製品ボックス17内へ落下収納されるものである。
製品が比較的長い場合には、前記レーザ加工位置からX軸方向の他端側へ突出したワークの先端側を、コンベア装置13によって支持するものである。したがって、ワークの先端側が自重でもって大きく撓むことが抑制されると共に、ワークの軸心回りの回転時における振れが抑制されるものである。そして、ワークから長い製品が切断分離されると、当該製品はコンベア装置13上から搬出コンベア19上へ搬出される。上記搬出コンベア19上の製品は、所望の製品ストッカ21上に落下搬出されて、製品ストッカ21上に整列されるものである。
以上のごとき概略的な説明から理解されるように、本実施形態においては、X軸方向の一端側から他端側へワークを移動(移送)するものである。したがって、ワークの移動方向に見ると、X軸方向の一端側を上流側と称することができ、X軸方向の他端側を下流側と称することができるものである。
前記ワーク搬入装置11には、図1に示すように、前記レーザ加工機3における加工機本体5からX軸方向の一端側へ直線状に延伸したガイドフレーム23が備えられている。このガイドフレーム23は、前記レーザ加工機3における前記回転チャック7に対してワークをX軸方向に搬入するワーク搬入路Pの一部を構成するものである。このガイドフレーム23には、ワークのX軸方向の一端側である後端側を把持自在なチャック装置25がX軸方向へ移動自在に備えられている。
上記チャック装置25は、ワークの後端部を把持して回転自在かつ前記レーザ加工機3の回転チャック7に対して接近離反する方向(X軸方向)に移動位置決め自在に構成してある。なお、このチャック装置25がワークを把持して回転するX軸方向の軸心(回転中心)は、前記レーザ加工機3における前記回転チャック7の軸心(回転中心)と一致してある。したがって、前述したように、回転チャック7がワークを把持して回転しつつワークのレーザ加工を行う際には、ワークの後端部を支持(把持)した前記チャック装置25は、前記回転チャック7と同期して回転されるものである。
より詳細には、前記チャック装置25は、前記ガイドフレーム23に備えたX軸方向のガイドレール23Lに案内されて移動自在なチャック本体27(図2参照)を備えている。このチャック本体27には、X軸方向の軸心回りに回転自在な回転フレーム29が備えられている。図2(A)の平面図及び図2(B)の正面図に示すように、前記回転フレーム29は、前記チャック本体27のX軸方向の他端面側(前記レーザ加工機3側)において水平な軸心回りに回転自在に備えられている。そして、前記回転フレーム29には、ワークの端部(後端部)を四方向から把持自在な複数の把持爪(把持部材)31が、回転中心に対して接近離反する放射方向に移動自在に備えられている。
なお、複数の把持爪31が放射方向に移動する構成は、例えば前記特許文献1に記載のごとき構成、又は特開2011−104642号公報に記載のごとき構成を採用することができる。すなわち、複数の把持爪31が放射方向に移動する構成は公知の構成でよいものであるから、前記把持爪31を放射方向に移動するための構成についての詳細な説明は省略する。
前記チャック装置25における前記チャック本体27には、走行用サーボモータ33が備えられている。この走行用サーボモータ33は、前記ガイドレール23Lに沿ってチャック装置25をX軸方向に移動位置決めする作用をなすものである。すなわち、前記走行用サーボモータ33の回転軸には、例えばピニオン(図示省略)が連動連結してある。そして、上記ピニオンは、例えば前記ガイドレール23Lに備えたX軸方向のラック(図示省略)と噛合してある。
したがって、前記走行用サーボモータ33を駆動することにより、チャック装置25をX軸方向に移動することができるものである。そして、X軸方向の基準位置からのチャック装置25の移動位置は、例えば、走行用サーボモータ33に備えたロータリーエンコーダ等の位置検出手段によって検出することができるものである。よって、前記走行用サーボモータ33の駆動を、制御装置(図示省略)によって制御することにより、前記チャック装置25のX軸方向の移動位置を制御することができるものである。
さらに、前記チャック本体27には、前記回転フレーム29を回転位置決めする回転用サーボモータ35が装着してある。そして、この回転用サーボモータ35の回転軸には小径ギア(図示省略)が連動連結してあり、この小径ギアは、前記回転フレーム29に備えた大径ギア(図示省略)と噛合してある。したがって、前記回転用サーボモータ35の回転を制御することにより、前記回転フレーム29の回転を制御することができるものである。なお、回転用サーボモータ35と回転フレーム29とを連動する構成としては、タイミングベルトを用いた構成とすることも可能である。
ところで、回転基準位置に対する回転フレーム29の回転位置は、回転用サーボモータ35に備えたロータリーエンコーダ等の位置検出手段によって検出することができるものである。したがって、制御装置の制御の下に前記回転用サーボモータ35を回転駆動することにより、前記回転フレーム29の回転位置を制御することができるものである。
さらに、前記チャック装置25における前記チャック本体27にはワークを検出するための光学センサ37が備えられていると共に、前記走行用サーボモータ33や回転用サーボモータ35等に接続する可動ケーブル等を保護支持するためのケーブル保護チェーン39が接続してある。
前記光学センサ37は、光軸が回転フレーム29の回転中心位置を通過する向きに備えられている。すなわち、本実施形態においては、前記チャック本体27のY軸方向の側面には、前記回転フレーム29の回転中心と同一高さ位置においてX軸方向に長いハウジング41が備えられている。そして、このハウジング41には、前記光学センサ37がX軸方向に移動自在に備えられている。
すなわち、前記ハウジング41内には、例えばエアシリンダなどのごとき往復動用アクチュエータ(図示省略)が備えられており、この往復動用アクチュエータに備えたピストンロッド等のごとき往復作動部材43(図3参照)に、前記光学センサ37が連結されている。そして、X軸方向に水平に移動するように、前記光学センサ37は、前記ハウジング41に水平に移動自在に備えられた複数のガイドロッド45の先端部に一体的に支持されている。
前記構成により、前記往復動用アクチュエータを作動すると、前記光学センサ37は、前記回転フレーム29の回転中心と同一高さ位置においてX軸方向に往復動されるものである。前記光学センサ37は、前記ハウジング41から突出するように移動されると、図3に示すように、前記把持爪31を越えた所定位置までX軸方向の他端側へ移動するものである。したがって、突出するように移動された所定位置(突出位置)においては、前記光学センサ37によってワークWの有無を検出することができるものである。
ここで、前記光学センサ37を、例えばレーザー距離センサなどのごとき光学距離センサとすることにより、光学センサ37からワークWまでの距離を検出することができる。したがって、前記把持爪31によってワークWを把持した状態において、回転フレーム29を回転しつつ光学センサ37からワークWまでの距離を検出することにより、ワークWの形状、寸法を検出することができるものである。
すなわち、ワークWのレーザ加工を行う前に、ワークWの形状、寸法を検出することが可能であり、加工プログラムに記載されたワークの縦、横寸法と一致するか確認でき、さらに形状(丸、四角、アングル、チャンネルなど)も一致するか確認できる。
また、チャック装置25によってワークWの一端部を把持しようとするとき、前述したように、前記光学センサ37を突出位置に位置決めした状態において、チャック装置25をワークWの端部に接近するように移動すると、前記光学センサ37によってワークWの端部を検出することができる。したがって、ワークWに対するチャック装置25の接近移動時に、光学センサ37がワークWの端部を検出したときに、チャック装置25の接近動作を一時停止することができる。よって、ワークWに対するチャック装置25の接近動作時に、ワークWにチャック装置25が不用意に衝突することを防止でき、爪で確実にチャックでき、安全性の向上を図ることができるものである。
図2(A),(B)に示すように、前記ハウジング41に対して前記光学センサ37が引き込まれるように移動されると、光学センサ37は、前記把持爪31を保持した爪ホルダ31Aに対応した位置(引込み位置)に位置決めされるものである。したがって、光学センサ37が光学距離センサである場合には、光学センサ37から爪ホルダ31Aまでの距離を検出することができる。よって、光学センサ37から爪ホルダ31Aまでの距離を検出したときに、ワークWの大きさ(例えば径)に対応して予め設定された所定の距離と比較することにより、所定の大きさのワークであるか否かを確認することができる。
すなわち、例えばセットしたワークWの大きさが誤った場合には、ワークセットの誤りを検出することができる。また、光学センサ37から爪ホルダ31Aまでの距離を検出することにより、前記各把持爪31によってワークWを正確に把持することができたか否かを確認することができる。したがって、チャック装置25がワークWを把持しない状態でもって移動することを防止でき、安全性の向上を図ることができる。
図1を再び参照するに、前記ガイドフレーム23のY軸方向の前側には、前記チャック装置25がX軸方向に移動するところのワーク搬入路Pに対してワークWの搬送を行うワーク搬送装置45が配置してある。前記ワーク搬送装置45は、図1に示すように、複数のワーク搬送コンベア47をX軸方向に適宜間隔に配置することによって構成してある。前記ワーク搬送装置45は、前記ガイドフレーム23と平行状態に載置保持された長尺のワーク(図1には図示省略)を、当該ワークの長手方向に対して直交するY軸方向(後方向)に搬送し、前記ワーク搬入路Pへワークを搬送する作用をなすものである。
前記ワーク搬送コンベア47は、図1に示す実施形態においては、X軸方向に3台配置した場合について例示してある。しかし、ワーク搬送コンベア47の数は、対象とする長尺のワークを支持して、ワークの長手方向に対して直交する方向に搬送することができればよいものであり、任意の数とすることができる。なお、ワーク搬送コンベア47をX軸方向に移動調節可能な構成として、ワークの長さに対応してワーク搬送コンベア47のX軸方向の間隔を調節可能な構成とすることも可能である。
前記ワーク搬送コンベア47は、図4に示すように、架台フレーム49を備えている。この架台フレーム49には、X軸方向に長いワーク(図4には図示省略)を支持してY軸方向に搬送(移送)するエンドレス状の搬送チェーン(移送チェーン)51が備えられている。なお、架台フレーム49にエンドレス状の搬送チェーン51を回転自在(走行自在)に備えたワーク搬送コンベア47の全体的構成は、例えば前記特許文献1,2等に記載されているように公知である。したがって、ワーク搬送コンベア47の全体的構成についての詳細な説明は省略し、特徴的な構成のみについて説明することとする。
図4を参照するに、前記ワーク搬送コンベア47における架台フレーム49の上部には、Y軸方向に走行自在な前記搬送チェーン51が備えられている。この搬送チェーン51は、前記架台フレーム49に備えたサーボモータ(図示省略)によって回転駆動されるものである。この搬送チェーン51は、例えば丸パイプ材や角パイプ等を安定して支持可能に構成してある。
すなわち、前記搬送チェーン51には、図5に示すように、例えば丸パイプWPなどのように外周面が曲面を呈するワークを支持する曲面支持チェーンリンク53が備えられている。この曲面支持チェーンリンク53の長手方向の中央部には、種々の径の丸パイプWPに対応して丸パイプWPの曲面を支持するV形状の曲面支持部55が形成してある。そして、前記曲面支持チェーンリンク53の両端側には転動規制チェーンリンク57がヒンジピン59を介して枢支連結してある。
前記転動規制チェーンリンク57は、図5に示すように、前記曲面支持チェーンリンク53の前記曲面支持部55に支持された比較的径の大きな丸パイプWPの外周面に当接して当該丸パイプWPの転動を規制する転動規制部61を備えている。換言すれば、前記転動規制チェーンリンク57の高さ寸法は、前記曲面支持チェーンリンク53の高さ寸法よりも高く形成してあり、両端側の前記転動規制チェーンリンク57同士は同一高さに形成してある。
そして、前記各転動規制チェーンリンク57には、当該転動規制チェーンリンク57と同一高さ、同一形状のチェーンリンク63がヒンジピン59を介して枢支連結してある。すなわち、前記各転動規制チェーンリンク57及び各チェーンリンク63は同一高さに形成してあるので、各転動規制チェーンリンク57及び各チェーンリンク63の上面は、図6に示すように、例えば角パイプWAの平面部WFやアングル材(図示省略)等の平面部を支持するものであって、平面支持部65を構成するものである。
前記平面支持部65に、例えば角パイプWAの平面部WFを支持したときに、前記角パイプWAの位置を規制するための位置規制チェーンリンク67が、前記各チェーンリンク63にヒンジピン59を介して枢支連結してある。前記位置規制チェーンリンク67の高さ寸法は、前記転動規制チェーンリンク57、チェーンリンク63の高さ寸法よりも大きく形成してある。そして、各位置規制チェーンリンク67は、前記曲面支持チェーンリンク53から等距離の位置に備えられている。すなわち、前記曲面支持チェーンリンク53及び前記位置規制チェーンリンク67のそれぞれは、前記搬送チェーン51にそれぞれ等間隔に備えられているものである。
既に理解されるように、前記搬送チェーン51においては、例えば丸パイプWP及び角パイプWAを支持することができるものである。すなわち、丸パイプWPは、曲面支持チェーンリンク53における曲面支持部55に支持されるものである。そして、角パイプWAは、平面支持部65に支持され、図6に示すように、位置規制チェーンリンク67に当接することによって、搬送チェーン51による搬送方向の後側の位置規制チェーンリンク67に当接した位置(図6において右側の位置規制チェーンリンク67の位置)に位置規制されるものである。したがって、径の異なる丸パイプWPや大きさの異なる角パイプWAが混在するような場合であっても、各パイプ材をY軸方向に安定した状態でもって搬送することができるものである。
前記ワーク搬送コンベア47における搬送チェーン51によって、前記ワーク搬入路P側に搬送されたワークWを、前記ワーク搬入路Pへ搬送するために、前記搬送チェーン51上のワークWを持上げ自在かつ前記ワーク搬入路Pへ搬送自在なワーク搬送手段69(図4参照)が備えられている。換言すれば、前記ワーク搬送手段69は、前記ワーク搬送コンベア47からワークWを取り出し自在である。
すなわち、図4に示すように、前記ワーク搬送コンベア47における前記架台フレーム49には、Y軸方向に長いガイドレール71(図4参照)が備えられている。そして、このガイドレール71には、Y軸方向に長いスライド部材73がY軸方向に移動自在に支持されている。このスライド部材73の前記ワーク搬入路P側の端部付近に前記ワーク搬送手段69が備えられている。
より詳細には、図4に示すように、前記スライド部材73のワーク搬入路P側の端部付近にはケーシング75が備えられている。そして、このケーシング75内には、例えば流体圧シリンダ等のごとき上下動用アクチュエータ77が備えられており、この上下動用アクチュエータ77におけるピストンロッド等のごとき昇降ロッド77Rには、ワークWを支持するワーク支持部79が支持されている。また、前記ワーク支持部79は、前記ケーシング75に上下動自在に支持された複数のガイドバー81の上端部に支持されている。
前記ワーク支持部79は、前記丸パイプWP及び角パイプWA等を支持可能に構成してある。すなわち、ワーク支持部79には、丸パイプWPに対応するV形状の曲面支持部83が備えられている。そして、上記曲面支持部83のY軸方向の両側には、平面支持部85が備えられている。さらに、前記ワーク支持部79には、前記搬送チェーン51上の角パイプWAを、前記平面支持部に案内する傾斜ガイド87が備えられている。上記傾斜ガイド87は、図7に示すように、先端側(上端側)が、前記位置規制チェーンリンク67の間隔寸法にほぼ等しい間隔に開いた構成である。
前記ワーク搬送手段69における前記ワーク支持部79は、常態においては搬送待機状態にある。すなわち、ワーク支持部79は、前記ワーク支持コンベア47における前記搬送チェーン51の搬送終端付近に位置し、かつ図7に示すように、前記搬送チェーン51においてワークWを搬送するワーク搬送面よりも下側に没入した状態の位置にある。そして、搬送チェーン51によってワークWの搬送が行われ、搬送チェーン51に備えた曲面支持チェーンリンク53の、ワークWを支持した曲面支持部55が、前記ワーク支持部79における曲面支持部83の上方位置に移動すると、搬送チェーン51の搬送が停止される。
上述のように、搬送チェーン51の搬送動作が停止されると、ワーク搬送手段69における上下動用アクチュエータ77によってワーク支持部79が前記搬送チェーン51よりも高く上昇される(図4参照)。したがって、搬送チェーン51における曲面支持チェーンリンク53の曲面支持部55に丸パイプWPが載置支持されている場合には、丸パイプWPは、ワーク支持部79の曲面支持部83に支持されることになる。
また、前記搬送チェーン51に角パイプWAが支持されていた場合には、前述のごとくワーク支持部79を上昇すると、角パイプWAは、傾斜ガイド87によってワーク支持部79における平面支持部85側に移動されて、平面支持部85に支持されることになる。
前述のごとく、ワーク搬送手段69のワーク支持部79が搬送チェーン51より高く上昇されて、ワーク支持部79でもってワークを支持すると、ワーク搬送手段69は、図4に想像線で示すように、前記ワーク搬入路Pに対応した位置(搬入路対応位置)に移動されることになる。すなわち、前記ガイドレール71に沿って前記スライド部材73を往復動するための流体圧シリンダやエンドレスの回転チェーン等の往復作動手段(図示省略)の駆動によって、前記スライド部材73の端部は、前記搬入路対応位置Pへ突出移動されるものである。なお、ワーク搬入路Pと搬入路対応位置は、同一位置であっても僅かに位置ずれした位置であってもよいものである。したがって、理解を容易にするために、符号「P」は、ワーク搬入路及び搬入路対応位置の両所に付することとする。
ところで、前記ワーク搬入路Pと平行な長尺のワークWは、各ワーク搬送コンベア47に備えた各搬送チェーン51に亘って載置支持されているものである。したがって、前述のごとく前記スライド部材73を前記搬入路対応位置Pへ突出移動する際には、各ワーク搬送コンベア47における各搬送チェーン51に対応して備えられた各スライド部材73を、ワーク搬入路P方向へ同期して突出作動するものである。
前記各ワーク搬送コンベア47における搬送チェーン51は、三相モータもしくはサーボモータによって所定ピッチ(例えば、搬送チェーン51を掛回したスプロケットの1回転)毎回転されるものである。すなわち、前記搬送チェーン51に備えた曲面支持チェーンリンク53が前記ワーク支持部79の上方位置に一時的に停止するように、前記搬送チェーン51を所定ピッチ毎に間欠的に回転するものである。そして搬送チェーン51が停止したときに、前記ワーク支持部79の上方位置にワークWが有るか否かの検出が行われるものである。
すなわち、前記各ワーク搬送コンベア47に備えた前記搬送チェーン51の搬送終端付近には、ブラケット91(図7参照)が備えられており、このブラケット91にワークWの検出を行うためのワーク検出センサ89が備えられている。このワーク検出センサ89は、例えば距離センサから成るもので、前記搬送チェーン51によって前記ワーク支持部79の上方に搬送されたワークWを光学的に検出するものである。
したがって、ワーク搬送コンベア47によって搬送された最前の曲面支持チェーンリンク53又は転動規制チェーンリンク57等に支持されたワークWが、各搬送チェーン51に対応して備えたワーク検出センサ89によって検出される。よって、ワークWを検出した各ワーク検出センサ89間の距離を加算することにより、ワークWの長さは、上記加算した距離より長いことが検出できる。すなわち、概略的なワークWの長さを検出できることになる。したがって、ワークWが予め設定したワークWよりも非常に短い場合や、非常に長い場合には、前記レーザ加工機3へワークを搬入する前に、ワーク寸法の誤りを検知できるものである。
また、ワークWが正常にセットされておらず傾いて載置されている場合もワーク検出センサ89で検出することができる。ワーク寸法の誤りや傾きを検知した場合、アラート停止させることができる。
前述のごとく、各ワーク搬送コンベア47に備えた各ワーク支持部79によって長尺のワークWをワーク搬入路すなわち搬入路対応位置Pへ搬送すると、この搬入路対応位置Pのワークは、複数のワークサポート装置93(図8参照)に備えたそれぞれのワーク受取り部95(図9参照)によって受け取られるものである。前記ワークサポート装置93は、前記ワーク搬入路Pの長手方向に対して直交する方向の一側方に、すなわち、前記ガイドフレーム23を間にして前記ワーク搬送装置45の反対側(Y軸方向の後側)に配置してある。なお、前記各ワークサポート装置93は、X軸方向へ個別に移動自在に備えられている。
より詳細には、前記各ワークサポート装置93は、図8に示すように、左右方向(X軸方向)に長い前記ガイドフレーム23におけるY軸方向の後面に備えたX軸方向のガイドレール97に沿って左右方向へ個別に移動自在のスライド本体99を備えている。このスライド本体99は、当該スライド本体99に備えたサーボモータ101の駆動によって、ガイドレール97に沿って往復動されるものである。なお、前記スライド本体99のX軸方向への移動は、前記サーボモータ101によって回転されるピニオン(図示省略)がX軸方向に長いラック(図示省略)に噛合した構成によって行われるものである。
前記スライド本体99には、上下方向(Z軸方向)のガイド支柱103(図9参照)が備えられている。そして、ガイド支柱103には上下方向のガイドレール103Aが備えられており、このガイドレールには昇降部材105が上下動自在に案内支持されている。前記昇降部材105の上下動は、前記ガイド支柱103に備えたサーボモータ107によって回転駆動されるボールネジによって行われるものである。前記昇降部材105は前後方向に長く構成してあり、この昇降部材105には、前後方向に長いスライド部材107が前後動自在に支持されている。なお、前記スライド部材107の前後方向への移動は、例えば流体圧シリンダなどのごとき前後動用アクチュエータ(図示省略)によって行われるものである。前記スライド部材107におけるY軸方向の一端側(前端側)に前記ワーク受取り部95が備えられている。
前記ワーク受取り部95は、前記ワーク搬送コンベア47のワーク支持部79によって前記搬入路対応位置Pに搬送されたワークWを支持する作用をなすものである。そして、前記ワーク受取り部材95は、前記スライド本体99がガイドレール97に沿って左右方向に移動し、昇降部材105が上下動すると共に、前記スライド部材107が前後動することにより、左右、上下及び前後方向に移動位置決め自在なものである。
そして、前記ワーク受取り部95は、前記ワーク搬送コンベア47の前記ワーク支持部79から長尺のワークWを受け取ると、ワークWの長手方向の軸心を、前記チャック装置25における回転フレーム29の軸心に一致させるセンタリング機能を奏するものである。また、前記ワーク受取り部95は、ワークが加工中に、前記チャック装置25における複数の前記把持爪31によって端部を把持されて回転されるときに、Y軸、Z軸方向へのワークWの振れを抑制する機能を奏するものである。
すなわち、前記ワーク受取り部95には、前記スライド部材107のY軸方向の前端部に一体的に取付けたベースプレート109(図10参照)が備えられている。このベースプレート109はY軸方向に長く形成してあって、Y軸方向の両端側には、支持ブラケット111が立設してある。この支持ブラケット111には、X軸方向に離隔して水平に備えた二本の支持ローラ113のY軸方向の両端側が回転自在に支持されている。なお、支持ローラ113は、一本あるいは三本以上でもよいものである。
そして、前記支持ローラ113の間には、ワークWを挟み込み自在な一対のクランプ部材115が同期して互にY軸方向に接近離反自在に備えられている。すなわち、前記ベースプレート109にはY軸方向のガイド部材(図示せず)が備えられている。このガイド部材には、Y軸方向に長いガイド部がX軸方向に離隔して備えられている。そして、このガイド部には、ラック部材119がX軸方向に対向してY軸方向に移動自在に支持されている。このラック部材119の対向面にはそれぞれラック119Rが形成してある。そして、対向した前記ラック119Rには、前記ベースプレート109に装着したシリンダ(アクチュエータ)117によって回転されるピニオン(図示省略)が噛合してある。そして、前記各ラック部材119には、Y軸方向に対向した前記クランプ部材115が一体的に立設してある。
上記構成により、シリンダによって前記ピニオンを正逆回転することにより、一対の前記クランプ部材115は、同期してY軸方向に互に接近離反するものである。したがって、前記支持ローラ113上に載置したワークWを、一対のクランプ部材115によってY軸方向から挟み込むことにより、ワークWのY軸方向のセンタリングを行うことができるものである。なお、Z軸方向(上下方向)のセンタリングは昇降部材105が上下することによって行われるものである。
さらに、前記ワークサポート装置93の前記ワーク受取部95には、振れ止め部材121が備えられている。この振れ止め部材121は、前記ワーク受取部95に支持されたワークWを下側から支持して、ワークWの振れを抑制する機能を奏するものである。より詳細には、前記ワーク受取部95には、前記ベースプレート109に取付けた支持ベース123が水平に備えられている。そして、上記支持ベース123には、当該支持ベース123に装着した流体圧シリンダなどのごとき上下動用アクチュエータ125によって上下動される昇降ベース127が上下動自在に備えられている。
前記昇降ベース127は、Y軸方向に長く形成してある。この昇降ベース127のY軸方向の両端側には、前記ベースプレート109に備えたガイド部によって上下方向に案内されるガイドロッド129が垂直に取付けてある。そして、前記昇降ベース127上には、前記振れ止め部材121が備えられている。この振れ止め部材121には、ワーク受取部95に支持されたワークWの軸心回りの回転時に、当該ワークWの上下方向及び水平方向の振れを抑制するための円弧状の凹曲面131が形成してある。
前記振れ止め部材121は、図10(A),(B)に示すように、前記支持ローラ113に対して出没自在に備えられており、ワークWを支持するときには、図10(A)に示すように、前記支持ローラ113から上方に突出した状態において支持するものである。この際、ワークWは、振れ止め部材121の凹曲面131によって支持されるものであるから、上下方向の振れが抑制されると共に、水平方向(Y軸方向)の振れも抑制されるものである。前記凹曲面131はワークの外接周が接する高さに位置決めされものである。
前述のごとき構成において、前記ワーク搬送装置45から、前記チャック装置25がX軸方向に往復動するワーク搬入路PへワークWを搬送する動作は次のように行われる。
すなわち、レーザ加工を行おうとする長尺のワークWを、ワーク搬送装置45における各搬送コンベア47における搬送チェーン51上に載置する。この際、前記レーザ加工機3に最接近したワーク搬送コンベア47上において、ワークWのX軸方向の他端側(先端側)を、例えば位置決めプレート(図示省略)に当接して、X軸方向の所定位置に揃えて位置決めする。そして、複数のワーク搬送コンベア47に亘って、X軸方向に平行に載置するものである。
なお、前記ワークWが丸パイプの場合には、各搬送チェーン51における曲面支持チェーンリンク53の曲面支持部55上に載置するものである。また、ワークWが、例えば角パイプの場合には、各搬送チェーン51における平面支持部65上に載置し、かつ位置規制チェーンリンク67に当接した状態に載置するものである。既に理解されるように、ワークWは、各搬送チェーン51における位置規制チェーンリンク67の間に1本毎載置されるものである。したがって、長尺のワークWとして、例えば各種サイズの丸パイプや角パイプ等が混在する場合であっても、各ワークWを、X軸方向に平行な状態に保持して各搬送チェーン51に亘って載置することができるものである。
前述のごとく、各ワーク搬送コンベア47上にワークWを載置した後、各搬送チェーン51を駆動して、ワークWをワーク搬入路P側に搬送する。そして、搬送待機状態に位置するワーク支持部79の上方に、ワークWが移送されると、前記搬送チェーン51の駆動が停止される。その後、ワーク支持部79がワークWを持上げ、スライド部材73がY軸方向の後側へ移動することにより、ワーク支持部79に支持されたワークWは搬入路対応位置Pへ搬送されるものである。
前述のごとく、ワーク支持部79によってワークWを搬入路対応位置Pへ搬送するに際しては、図11(A)に示すように、搬送されるワークWのX軸方向の長さに対応して、前記チャック装置25は、ワークWと干渉しない、X軸方向に離間した位置に予め退避されるものである。そして、ワークサポート装置93は、ワークWの両端側を支持すべく、ワークWの長さに対応した位置に予め位置決めされるものである。なお、図11〜14において、それぞれのワーク搬送コンベア47は、搬送チェーン51を1本のみ備えた場合の構成でもって簡略化して例示してある。
そして、図11(B)に示すように、ワーク搬送コンベア47上のワークWがワーク支持部79に対応した位置に搬送されると、ワークWはワーク支持部79によって持上げられる。その後、ワークWは、図12(A)に示すように、前記ワーク支持部79によって搬入路対応位置Pへ搬送される。この際、ワークサポート装置93におけるワーク受取り部95は、前記ワーク支持部79からワークWを受け取る位置に予め位置決めされるものである。
すなわち、図12(A)に示すように、ワーク支持部79によってワークWがワークサポート装置93におけるワーク受取部95の上方位置に搬送されると、ワーク受取部95が上昇し、前記ワーク支持部79が下降して、ワーク受取部95にワークWの受け渡しが行われる。その後、前記ワーク支持部79は元の搬送待機状態の位置に復帰されるものである。そして、ワークWを支持したワークサポート装置93のワーク受取部95においては、一対のクランプ部材115によるワークWの挟み込みが行われ、ワークWのY軸方向のセンタリングが行われる。また、前記ワーク受取部95の上下動が行われて、ワークWの軸心(回転中心)がチャック装置25の回転中心と一致するように位置決め(Z軸方向のセンタリングが)される。
上述のように、ワークWの軸心とチャック装置25の回転中心が一致すると、チャック装置25がワークWの端部に近接するように移動して、チャック装置25における複数の把持爪(把持部材)31によって、ワークWの把持が行われるものである(図12(B)参照)。この場合、チャック装置25に備えた光学センサ37を、図3に示すように、把持爪31に対してX軸方向に突出した状態において、チャック装置25をワークWの端部に近接する方向に移動すると、前記光学センサ37によってワークWの端部を検出することになる。
上述のように、光学センサ37によってワークWの端部を検出した後、この検出位置からチャック装置25を同方向へ所定距離移動し、この移動位置においてチャック装置25に備えた爪部材(把持部材)31によってワークWの端部付近を把持することができる。したがって、ワークWにチャック装置25が不用意に衝突することを防止でき、爪で確実にチャックでき、安全性の向上を図ることができるものである。
また、チャック装置25に備えた複数の把持爪31によってワークWの端部を把持する動作としては、次のように行うことも可能である。すなわち、チャック装置25に備えた光学センサ37がワークWの端部を検出するまで、又は、予め長さが既知であるワークWの端部に近接した位置まで、ワークWに対するチャック装置の接近動作を早送りで行う。そして、ワークWの端部に近接した位置から、前記光学センサ37がワークWの端部を検出するまで接近動作を中速又は低速で行う。
そして、前述のように、光学センサ37によってワークWの端部を検出した後に、前記チャック装置25を所定距離戻す動作を行う。この戻り動作の停止位置からチャック装置25を、ワークWに接近する方向に低速で移動する。この場合、このように動作を行うことによりワークWの端部に対する把持位置をより高精度に位置決め可能である。
前述のごとく、チャック装置25によってワークWの端部(後端部)を把持した後、チャック装置25を、前記レーザ加工機3に接近する方向(X軸方向)へ移動することにより、ワークWの先端部を、前記レーザ加工機3における回転チャック7内へ搬入することができるものである。上述のように、ワークWの先端部が回転チャック7内に搬入されると、ワークWは、前記チャック装置25によって把持されると共に、前記回転チャック7によって把持されるものである。そして、ワークWを軸心回りに回転するときには、前記チャック装置25の回転と回転チャック7の回転は同期して行われるものである。
前述のごとく、チャック装置25と回転チャック7とによってワークWを把持してレーザ加工機3によってレーザ加工を行っているとき、前記ワークサポート装置93を使用しない場合には、図13(B)に示すように、すべてのワークサポート装置93を、前記チャック装置25が往復動するワーク搬入路Pから退避する。なお、使用しないときは両方とも加工開始する前に退避するものである。
レーザ加工中に前記ワークサポート装置93を使用する場合には、図14(A),(B)に示すように、チャック装置25と回転チャック7との間にワークサポート装置93を適宜間隔に配置する。そして、ワークサポート装置93におけるワーク受取部95の振れ止め部材(振動抑制部材)121を上昇し、この振動抑制部材(振れ止め部材)121の凹曲面131によってワークWを回転自在に支持するものである。
なお、前記ワークサポート装置93は、ワークWのレーザ加工が進行して、前記チャック装置25がレーザ加工機3に次第に接近移動すると、チャック装置25の接近移動に対応して、レーザ加工機3側へ次第に移動してワークWの中間位置を支持するものである。そして、図14(B)に示すように、チャック装置25がレーザ加工機3に近接すると、前記ワークサポート装置93はワークWの支持を中止して、前記チャック装置25と干渉しない位置に退避するものである。
以上のごとき説明から理解されるように、ワークWの中央部が撓み易い場合には、ワークサポート装置93によってワークWの長手方向の中央部を支持することができるものである。したがって、ワークWを軸心回りに回転してレーザ加工を行うとき、ワークWの撓みに起因する振れを抑制することができるものである。よって、ワークWをより高精度にレーザ加工することができるものである。
ところで、前記チャック装置25によってワークWをレーザ加工機3の回転チャック7に搬入するとき、レーザ加工機3におけるレーザ加工ヘッド9によるレーザ加工位置へワークWの先端部が達したことを検出するワーク先端部検出手段133(図15参照)が備えられている。より詳細には、前記レーザ加工機3における前記レーザ加工ヘッド9は、加工機本体5にY軸方向(前記回転チャック7の軸心に対して直交する方向)へ移動自在かつ上下動自在に備えられている。そして、前記レーザ加工ヘッド9は、前記回転チャック7に対してX軸方向の他端側に僅かに離反した位置においてレーザ加工を行うものである。
換言すれば、レーザ加工ヘッド9によるレーザ加工位置は、X軸方向において前記回転チャック7から前記コンベア装置13側へ僅かに偏倚した位置に設定してある。したがって、前記回転チャック7に把持されたワークWを軸心回りに回転位置決めすると共に、ワークWの後端部を把持した前記チャック装置25によってワークをX軸方向に移動位置決めする。そして、前記レーザ加工ヘッド9からワークへレーザ光を照射することによって、ワークWのレーザ加工を行うことができるものである。
前述のごとくワークWのレーザ加工を行うに際しては、レーザ加工位置に対してワークWを正確に位置決めする必要がある。そこで、ワークWの先端部の位置をレーザ加工位置において検出すべく、前記ワーク先端部検出手段133が備えられている。より詳細には、前記ワーク先端部検出手段133は、レーザ加工機3の加工機本体5に装着したレーザ投光器135A(加工機本体5に対する取付け構造は図示省略)と反射板135BとをY軸方向に対向して備えた構成である。
前記レーザ投光器135Aは、回帰反射型(なお、回帰反射型のみならず透過型、反射型でもよい。)のセンサであって、前記レーザ加工ヘッド9の垂直下方位置において、前記回転チャック7の回転中心と直交するY軸方向にレーザ光を水平に照射するように配置してある。したがって、レーザ加工ヘッド9によるレーザ加工位置にワークWの先端部を正確に位置決めしたことを検出することができるものである。よって、ワーク先端部検出手段133がワークWの先端部を検出した後、直ちにワークWのレーザ加工を開始することができるものである。
ところで、チャック装置25側で検出したワークWの後端位置と、回転チャック7側で検出したときの、チャック装置25の移動距離から実際のワーク長さが正確にわかることになる。このワークの長さ検出結果と加工プログラムとの差があればアラームを出して、加工を中止することもできる。
既に理解されるように、長尺のワークWのレーザ加工を行う場合、ワーク搬送コンベア47上からワーク搬入路PへワークWを搬送する。そして、複数のワークサポート装置93におけるワーク受取部95によってワークWをワーク搬入路Pに支持する。このワーク受取部95に支持されたワークWの後端部を、チャック装置25によって把持し、レーザ加工機3の回転チャック7に搬入する。そして、回転チャック7によってワークWを把持し、軸心回りに回転しつつレーザ加工ヘッド9によってレーザ加工を行うものである。上述のように、ワークWのレーザ加工を行うとき、前記回転チャック7からX軸方向の他端側、すなわちワークWの搬入方向に見ての下流側に突出した部分は、前記コンベア装置13によって支持されるものである。
ところで、主要部分を示した図16を参照するに、前記コンベア装置13は、前記レーザ加工機3からX軸方向の他端側に離隔してある。そして、前記レーザ加工機3とコンベア装置13との間には、前記ワークシュータ15がY軸方向に出入自在に備えられている。
より詳細には、図17にワークシュータ15の主要な構成を示すように、前記レーザ加工機3における回転チャック7のX軸方向の他端側には、架台137が配置してある。そして、この架台137のY軸方向の後側には、案内架台139(図18参照)が一体的に備えられている。この案内架台139上にはスライド架台141がY軸方向に移動自在に案内支持されている。そして、このスライド架台141のY軸方向の前端側には、前記ワークシュータ15が傾斜自在に備えられている。
より詳細には、前記スライド架台141は、流体圧シリンダ又はラック・ピニオン等のごときアクチュエータ(図示省略)の作用によってY軸方向に往復動されるものである。そして、前記ワークシュータ15は、前記スライド架台141に装着した流体圧シリンダなどのごときアクチュエータ143(図20参照)の作動によって傾斜されるものである。
すなわち、前記ワークシュータ15は、図17に示すように、常態においては、レーザ加工機3におけるレーザ加工位置からY軸方向の後側の位置に退避した状態にある。そして、レーザ加工位置において短い製品WGがワークWから切断分離されるときには、図18に示すように、Y軸方向の前側へ移動される。
この際、ワークシュータ15は、図19に示すように、Y軸方向の前側が低くなるように傾斜されて、切断分離された短い製品WGは傾斜ワークシュータ上を落下し排出が行われるものである。なお、小さいスクラップは、前記架台137内に配置してあるスクラップボックス(図示省略)に落下されるものである。
また、落下による傷をつけたくない短い製品WGを切断分離する際は、ワークシュータ15は、短い製品WGを支持するように、水平な状態に保持され、機械は停止する。作業者は、ワークを取り出した後、再スタートして加工を続行する。
したがって、例えば短い製品WGを次々に加工する場合、短い製品WGを長手方向に搬送する動作が不要であり、能率よく加工できるものである。
ところで、前記レーザ加工機3における前記回転チャック7からワークWの先端部をX軸方向の他端側へ大きく突出してレーザ加工を行う場合には、前記コンベア装置13は、ワークWの先端側を支持する作用をなすものである。したがって、前記コンベア装置13は、図16に示すように、前記ワークシュータ15がY軸方向に往復動する領域を間にして、前記レーザ加工機3からX軸方向の他端側(ワークWの移動方向に見て下流側)に離反して配置してある。
ワークWのX軸方向へ大きく突出した先端側を支持するために、前記コンベア装置13は、次のように構成してある。
すなわち、コンベア装置13は、図21に示すように、箱形状の本体フレーム145を備えている。この本体フレーム145上には、昇降部材147が上下動自在に備えられている。この昇降部材147は、例えばサーボモータによって回転されるボールネジ機構やサーボシリンダなどの昇降作動装置(図示省略)によって上下動されるものである。そして、前記昇降部材147は、レーザ加工機3においてレーザ加工されるワークWの径等の大きさに対応して所望高さ位置に位置決めされるものである。
前記昇降部材147には、前記レーザ加工位置においてレーザ加工される製品(加工品)WGを支持自在な支持テーブル149がX軸方向に移動自在、すなわち前記レーザ加工位置に対して接近離反する方向へ移動自在に支持されている。なお、上記支持テーブル149のX軸方向への移動は、例えば流体圧シリンダなどのごとき往復作動装置(図示省略)によって行われるものである。
前記支持テーブル149は、製品WGを支持する複数の支持ローラ151を回転自在に備えた構成である。そして、前記支持テーブル149には、当該支持テーブル149上の製品WGがY軸方向に脱落することを防止する壁部材153が備えられている。より詳細には、前記壁部材153は、前記支持ローラ151のY軸方向の両側において、前記支持テーブル149上に立設してある。したがって、前記支持テーブル149の支持ローラ151上に支持された製品は、前記支持ローラ151上からY軸方向に脱落するようなことはないものである。
前記支持テーブル149において、X軸方向の一端側すなわち前記レーザ加工位置に近接した端部側には、支持テーブル149上の製品WGを把持自在な一対の製品クランプ155がY軸方向に互に接近離反自在に備えられている。また、前記支持テーブル149のX軸方向のほぼ中央位置には、製品WGのレーザ加工時に、製品WGの振れを抑制する一対の振れ止め部材157がY軸方向に互に接近離反自在に備えられている。
より詳細には、前記支持テーブル149のX軸方向のほぼ中央部には、当該支持テーブル149をY軸方向に横切る箱状のガイドフレーム159(図22参照)が備えられている。
このガイドフレーム159には、一対のスライドブロック161がY軸方向に互に接近離反自在に案内支持されている。そして、この一対のスライドブロック161には、前記振れ止め部材157としての一対の竪ローラを回転自在に支持したローラ支持部材163が一体的に立設してある。一対の前記振れ止め部材157をY軸方向に互に接近離反するために、前記ガイドフレーム159にはブレーキ付きのサーボモータ165が装着してある。そして、前記ガイドフレーム159内には、前記サーボモータ165によって回転される減速機167の出力軸に連動連結した中間ギア173が回転自在に備えられている。
前記中間ギア173と噛合したピニオン169には、一方のスライドブロック161からY軸方向に長く延設したラック171Aが噛合してある。前記中間ギア173には、他方のスライドブロック161に備えたY軸方向のラック171Bと噛合したピニオン(図示省略)を回転するための中間ギア(図示省略)が一体的に備えられている。したがって、前記サーボモータ165を正逆回転駆動すると、前記中間ギア173が正逆回転される。よって、一対の振れ止め部材157は、同期してY軸方向に互に接近離反するものである。
上述のごとき説明より理解されるように、一対の振れ止め部材157は、支持テーブル149上の長尺のワークWをY軸方向から挟み込むことができる。また、一対の振れ止め部材157は、支持テーブル149上のワークWからY軸方向に適宜に離れた状態に位置決めすることができるものである。このように、ワークWからY軸方向に適宜に離れた状態に位置決めすることにより、支持テーブル149上のワークWがY軸方向に大きく振れることを防止できるものである。
なお、前記一対の製品クランプ155がY軸方向に互に接近離反する構成は、前記振れ止め部材157が互にY軸方向に接近離反する構成と同一の構成であってもよいものである。また、製品クランプ155をY軸方向に互に接近離反する構成としては、各製品クランプ155を、例えばエアシリンダなどのごとき流体圧シリンダによってそれぞれ同期駆動する構成としてもよいものである。さらには、例えばエンドレスチェーンの反対側の走行部に各製品クランプ155を連結して、互に接近離反する方向へ同期して移動する構成とすることも可能である。すなわち、一対の製品クランプ155をY軸方向に互に接近離反する構成としては種々の構成を採用することができるものである。
ところで、前記コンベア装置13における支持テーブル149は、常態においては、図23に示すように、本体フレーム145の上方に位置して、レーザ加工機3から離れた状態の待機位置に位置している。このように、支持テーブル149が待機位置に位置する場合には、前記ワークシュータ15がY軸方向に移動する際に、ワークシュータ15と干渉するようなことはないものである。
したがって、前記支持テーブル149が待機位置に位置する場合には、スクラップは下に落下させ、短い製品WGは、ワークシュータ15によって搬出することができる。
前記レーザ加工機3によって比較的長い製品WGのレーザ加工を行う場合には、前記支持テーブル149は、図24に示すように、前記待機位置からレーザ加工機3に接近するように移動される。すなわち、前記支持テーブル149は、前記ワークシュータ15がY軸方向に移動する領域に突出移動される。そして、支持テーブル149は、この突出移動位置においてワークWの振れを抑制すべく支持するものである。
すなわち、前記レーザ加工機3においてワークWを把持し回転する回転チャック7の回転中心の位置は常に一定高さである。ここで、例えば径の異なる丸パイプを前記回転チャック7によって把持すると、回転チャック7の回転中心と丸パイプの軸心は一致することになる。したがって、種々の径の丸パイプを回転チャック7によって把持すると、各丸パイプの最下位置は上下に変動することになる。ところで、ワークが丸パイプの場合には、前記コンベア装置13における支持テーブル149によってワークを支持した状態でもって丸パイプを支持することができる。
しかし、ワークWが、例えば角パイプWAのように、断面形状が非円形状のワークの場合には、前記支持テーブル149によってワークを載置支持した状態でもって、ワークを軸心回りに回転することは不可能である。そこで、ワークWの断面の形状、寸法および長手方向の軸心回りの回転角に対応して、前記コンベア装置13における支持テーブル149の上下動作位置は制御されている。
より詳細には、ワークWを例えば、1辺が200mmの角パイプWAとしたとき、図25(A)に示すように、外接円C1を設定する。そして、前記外接円C1の中心を0とする。この場合、角パイプWAにおける断面形状の中心は、各角部A1,A2,A3,A4の対角線が交差する位置であって、前記中心0と一致することになる。
ここで、前記各角部A1,A2,A3,A4の初期状態の位置は、図25(A)に示すごとき状態にあり、角部A3とA4の間の平面が支持テーブル149に支持されているものとする。そして、前記中心0を中心として、角パイプWAを反時計回り方向に回転したときにおける各角部A1,A2,A3,Aと回転角との関係を示すと、図25(B)に示すようになる。
すなわち、回転角が0°〜90°の範囲においては、角部A3が最下位置(最下部)を示すことになる。したがって、支持テーブル149は、図25(C)に示すように、角部A3の上下動位置に追従して上下動されるものである。次に、角部A2,A1,A4の上下動位置に追従して上下動されるものである。この際、支持テーブル149の上下動位置は、角パイプWAと常に接触するように制御することが可能である。
したがって、角パイプWAと支持テーブル149との上下方向の間隔寸法を常にほぼ一定の間隔に保持して、前記支持テーブル149を上下動することが可能である。よって、角パイプWAが上下方向に振れると、支持テーブル149の支持部149Fに接触することとなり、上下方向の振れを抑制することができるものである。
なお、同様に制御することで角パイプのみならず、例えばチャンネル材やアングル材等のように、断面形状が非円形状の異形材を長手方向の軸心回りに回転してレーザ加工を行う際の、上下方向の振れを抑制することもできるものである。
そして、支持テーブル149の支持部149F(図25,26参照)の初期における高さ位置が設定される。そして、ワークWの外接円C1と前記振れ止め防止部材157との間隔寸法L(図26参照)に保持される。
したがって、ワークWを中心0の回りに回転してレーザ加工を行う際の、上下方向の振れは支持テーブル149の支持部149Fに当接することによって抑制される。また、ワークWの長手方向に対して直交する水平方向(Y軸方向)の振れは、振れ止め部材157に当接することによって制御される。よって、ワークWの先端側の振れを抑制してのレーザ加工が可能であり、精度のよいレーザ加工が可能なものである。
ところで、前記支持テーブル149には、一対の振れ止め部材157(図21参照)が備えられているので、前記振れ止め部材157の間隔を、支持テーブル149の上下方向の振れ止め動作と同様に角パイプに常に接するように位置決めして、ワークWの振れを防止することも可能である。この場合、支持テーブル149の上下方向の振れ止めと一対の振れ止め部材157による左右方向の振れ止めとの2ヶ所において振れ止めを行い得るものである。したがって、ワークWの振れ止めをより効果的に行い得るものである。
前述のごとく、レーザ加工機3によってワークWのレーザ加工が行われ、製品WGがワークWから切断分離されると、上記製品WGは、コンベア装置13における支持テーブル149の支持ローラ151上に載置される。そして、支持テーブル149に備えた前記製品クランプ155によって製品WGが把持される。その後、支持テーブル149を待機位置(図23に示す位置)に移動することにより、製品WGは、レーザ加工位置から下流側へ搬送される。
上述のように、支持テーブル149を待機位置に移動した後、当該支持テーブル149上の製品WGを、下流側の前記搬出コンベア19上に移載するためのワークプッシャ装置189(図27参照)が備えられている。すなわち、前記支持テーブル149のY軸方向の側方位置には、支持テーブル149に近接して、X軸方向(支持テーブル149の移動方向)に平行なガイドフレーム191が備えられている。このガイドフレーム191は、前記レーザ加工機3(図27には図示省略)に近接した位置から、前記コンベア装置13におけるX軸方向の他端側付近に亘って長く形成してある(図16参照)。
前記ガイドフレーム191には、スライダ193がX軸方向に移動自在に支持されている。このスライダ193は、前記ガイドフレーム191に装着した3相モータ195によって回転駆動されるタイミングベルト機構やエンドレスチェーン機構などのごとき適宜のスライド駆動機構の駆動の下に、X軸方向に移動位置決めされるものである。上記スライダ193は、前記コンベア装置13における前記支持テーブル149の上方位置に延伸した延伸部を有する。この延伸部の先端側には上下方向の昇降ガイド197が備えられている。なお、モータは3相モータに限らずサーボモータ等でもよいものである。
そして、この昇降ガイド197には、製品移動部材199が上下動自在に備えられている。この製品移動部材199は、前記支持テーブル149上の製品WGの後端部を前記搬出コンベア19側へ押進移動する作用をなすものである。換言すれば、前記製品移動部材199は、コンベア装置13における前記支持テーブル149上の製品WGを、前記レーザ加工機3からX軸方向に離間する方向へ移動する作用をなすものである。
したがって、前記製品移動部材199は、例えば矩形のプレート状であって、前記支持テーブル149に製品WGが移動自在に支持される移動領域に上方向から出入自在に備えられている。すなわち、製品移動部材199は、前記コンベア装置13における支持テーブル149の上方位置をX軸方向に移動自在かつ上下動自在に備えられているものである。そして、下降したときには、支持テーブル149における支持ローラ151に近接して、製品WGの後端部を押進する作用をなすものである。
前記昇降ガイド197に沿って前記製品移動部材199を上下動するために、前記昇降ガイド197には、流体圧シリンダ等のごとき昇降用アクチュエータ201が備えられている。したがって、前記製品移動部材199は、前記昇降用アクチュエータ201の作動によって、製品WGの端部に当接して押進する下降位置と、上昇した待機位置とに位置決め自在なものである。
したがって、前述したように、コンベア装置13の支持テーブル149上に製品WGが位置し、かつ支持テーブル149がレーザ加工機3から離隔するように移動した状態にあるとき、前記製品WGの後端部を押進するように、製品WGとレーザ加工機3との間において、製品移動部材199を、前記支持テーブル149上の製品WGを押進する高さ位置に下降することができる(図28参照)。
そして、前記スライダ193をX軸方向であってレーザ加工機3から離隔する方向へ移動することにより、図29に示すように、前記製品WGを、搬出コンベア19(図29には図示省略)上へ搬出することができるものである。上述のように、製品移動部材199によって製品WGを搬出コンベア19上に搬出した後は、前記製品移動部材199は元の待機位置に復帰されるものである。
ところで、前記レーザ加工機3において長いワークWのレーザ加工を行うときには、ワークWの先端側を前記搬出コンベア19上に搬入する場合がある。したがって、搬出コンベア19は、前記コンベア装置13における支持テーブル149と同様に上下動可能に構成してある。
より詳細には、前記搬出コンベア19は、図30,31に示すように、X軸方向に長い枠体構成のベース架台203が備えられている。このベース架台203上には、製品WGを支持する複数の支持ローラ205(図32参照)を備えた複数のローラユニット207A,207B,207Cが上下動自在に備えられている。上記各ローラユニット207A〜207Bは、パンタグラフ機構209A,209B,209Cによって上下動されるものである。前記各パンタグラフ機構209A〜209Cは、同一構成でもってY軸方向に対をなすパンタグラフ機構を備えた構成である。
前記パンタグラフ機構209A〜209Cは、同一長さの一対の作動リンク211A,211Bの中央部を、枢軸213を介してX字形状に枢着した構成である。このパンタグラフ機構209A〜209Cにおける一方の作動リンク211Aの下端部は、前記ベース架台203におけるベースフレーム215上に固定した固定ブラケット217に枢着してある。そして、他方の作動リンク211Bの下端部は、前記ベースフレーム215上にX軸方向へ移動自在に備えたスライドブラケット219(図32参照)に枢着してある。
前記各パンタグラフ機構209A〜209Cにおける前記他方の作動リンク211Bの上端部は、前記ローラユニット207A〜207Cにおける昇降フレーム221に枢着してある。前記昇降フレーム221に対する他方の作動リンク211Bの枢着位置は、前記固定ブラケット217に対する一方の作動リンク211Aの下端部の枢着位置の垂直上方位置である。そして、前記一方の作動リンク211Aの上端部は、前記スライドブラケット219の上方位置において、前記昇降フレーム221を相対的にX軸方向へ移動自在に支持している。したがって、前記各ローラユニット207A〜207Cは、常に水平を保持して上下動されるものである。
前記各パンタグラフ機構209A〜209Cを介して、各ローラユニット207A〜207Cを同期して上下動するために、前記各パンタグラフ機構209A〜209Cを同期して作動するパンタグラフ作動装置223(図32参照)が備えられている。より詳細には、前記ベースフレーム215上には、サーボモータ225によって回転される減速機227が装着してある。そして、この減速機227の出力軸には、X軸方向に長いボールネジ229が連動連結してある。このボールネジ229には、ナット部材231がX軸方向に移動自在に螺合してある。
前記ナット部材231は、前記ベースフレーム215にX軸方向へ移動自在に支持されたスライダ233に装着してある。このスライダ233と前記スライダブラケット219は、緩衝手段235を介して連結してある。より詳細には、上記緩衝手段235は、出入自在なピストンロッド237を備えたエアダンパなどから構成してある。そして、前記ピストンロッド237は、前記スライドブラケット219に連結してある。
したがって、前記サーボモータ225を駆動して前記ボールネジ229を回転すると、当該ボールネジ229と前記ナット部材231との螺合関係によって、スライダ233がX軸方向に移動される。前記スライダ233がX軸方向に移動されると、緩衝手段235を介してスライダブラケット219がX軸方向に移動される。よって、パンタグラフ機構209Aを介してローラユニット207Aが上下動されることになる。
前記ローラユニット207B,207Cを上下動するために、前記緩衝手段235と同一構成の緩衝手段(符号省略)を備えたスライダ233B,233Cが前記ベースフレーム215にX軸方向へ移動自在に備えられている。そして、上記各緩衝手段に備えたピストンロッド237は、パンタグラフ機構209B,209Cに連動連結してある。なお、前記ピストンロッド237とパンタグラフ機構209B,209Cとの連結構造は、前記パンタグラフ機構209Aに対する連結構造と同一である。
そして、前記各ローラユニット207A,207B,207Cを同期して上下動するために、前記スライダ233とスライダ233B、及びスライダ233Bとスライダ233Cは、それぞれ連結ロッド239を介して一体的に連結してある。したがって、前記サーボモータ225を適宜に回転駆動すると、各ローラユニット207A,207B,207Cは同期連動して上下動されるものである。
既に理解されるように、前記搬出コンベア19における各ローラユニット207A〜207Cは、サーボモータ225を制御回転することによって同時に上下動されるものである。したがって、前記サーボモータ225の回転動作を適宜に制御することにより、前記コンベア装置13における前記支持テーブル149と同期して上下動することも可能である。
また、前記構成により、例えば角パイプWAを軸心回りに回転してのレーザ加工時に、上記角パイプWAの角部が各ローラユニット207A〜207Cに衝撃的に作用して過負荷が生じた場合、上記衝撃を緩和することができるものである。すなわち、前記各ローラユニット207A〜207Cに上下方向の負荷が急激に作用したとき、緩衝手段235としてのエアーダンパが衝撃を吸収するものである。したがって、ボールネジ229とナット部材231との螺合部に衝撃的な負荷が作用することを防止でき、安全性の向上を図ることができるものである。
前述したように、製品WGが長い場合には、前記搬出コンベア19におけるローラユニット207A〜207C上にワークを搬入してレーザ加工を行うことがある。したがって、ワークWの水平方向(Y軸方向)の振れを抑制するために、前記ベース架台203上には、前記振れ止め部材157と同様構成の複数の振れ止め部材241が備えられている。前記各振れ止め防止部材241は、図30,31に示すように、X軸方向に適宜に離隔して備えられている。
前記搬出コンベア19上の製品を、当該搬出コンベア19のY軸方向の前側に備えた前記製品ストッカ21上に排出するために、前記搬出コンベア19には、製品プッシャ243A,234B,243CがY軸方向へ移動自在に備えられている。より詳細には、前記各製品プッシャ243A〜243Cは、図30,31に示すように、各ローラユニット207A〜207Cに備えられている。したがって、各製品プッシャ243A〜243Cは、前記パンタグラフ機構209A〜209Cによって、各ローラユニット207A〜207Cと一体的に上下動されるものである。
前記各ローラユニット207A〜207Cが上昇されたときには、各ローラユニット207A〜207Cに備えた支持ローラ205は、図31に示すように、前記振れ止め部材241よりも高く上昇されるものである。このように、支持ローラ205を、前記振れ止め部材241よりも高く上昇した状態において、前記各製品プッシャ243A〜243CをY軸方向の前側へ移動するために、前記昇降フレーム221には、例えば流体圧シリンダなどのごとき往復動用アクチュエータ245A,245B,245Cが備えられている。
したがって、前記ローラユニット207A〜207Cにおける上昇フレーム221を上昇した状態にあるとき、往復動用アクチュエータ245A〜245Cによって各製品プッシャ243A〜243CをY軸方向の前側へ移動することにより、各ローラユニット207A〜207C上の製品を、製品ストッカ21上に排出することができるものである。
以上のごとき説明から理解されるように、本実施形態においては、左右方向(X軸方向)に長いワーク搬入路PのY軸方向の前側に配置したワーク搬送装置45によって、左右方向に長いワークWを前記ワーク搬入路Pに搬送する。ワークWがワーク搬入路Pに搬送されると、前記ワーク搬入路PのY軸方向の後側に配置した複数のワークサポート装置93によって支持される。
上記各ワークサポート装置93は、それぞれ左右方向に位置決め自在であるから、ワークWの長さに対応してワークWの所望の位置を支持することができる。上述のように、ワークWが各ワークサポート装置93によって支持されると、前記ワーク搬入路Pに左右方向へ往復動自在に備えたチャック装置25によってワークWのX軸方向の一端側(ワークの後端側)が把持される。そして、当該チャック装置25によってワークWがレーザ加工機3における回転チャック7内に搬入される。そして、前記回転チャック7、チャック装置25によってワークWが軸心回りに回転位置決めされると共に、レーザ加工機3に備えたレーザ加工ヘッド9からレーザ光が照射されて、ワークWのレーザ加工が行われる。
この際、前記チャック装置25のX軸方向への移動に対応して、前記ワークサポート装置93をX軸方向の所望位置へ移動することができる。したがって、前記チャック装置25とレーザ加工機3との間において、ワークWの中間位置をワークサポート装置93によって支持することができる。よって、ワークWの中間位置に撓みが生じることに起因する振れの発生を抑制して、精度のよいレーザ加工が行われるものである。
前述のごとくレーザ加工機3によってレーザ加工を行い、ワークWから切断分離される製品WGが比較的短い場合には、ワークシュータ15によって受けられる。そして、ワークシュータ15に受けられた製品は、製品ボックス17へ落下排出されるものである。
ワークWから切断分離される製品WGが比較的長い場合には、コンベア装置13における支持テーブル149がレーザ加工機3に近接するように突出作動してワークWの先端側を支持するものである。前記支持テーブル149は、上下動自在であって、ワークWが例えば角パイプWAなどの場合には、ワークWの回転角に対応して上下動するものである。
すなわち、支持テーブル149はワークWを常に支持するようにして、ワークWの撓みに起因する振れを抑制するものである。また、前記支持テーブル149には、当該テーブル149上のワークWを前後方向(Y軸方向)から挟み込み可能な振れ止め部材157によって、前後方向の振れを抑制できるものである。
したがって、レーザ加工機3から左右方向の他端側へ大きく突出した長い製品WGの部分のレーザ加工を行うとき、振れを抑制することができる。よって、精度のよいレーザ加工を行い得るものである。なお、長い製品WGの先端側が、搬出コンベア19に達する場合には、排出コンベア19における支持ローラ205の高さ位置を、前記製品WGの外接円C1に対応して支持する高さ位置に予め位置決めできる。また、搬出コンベア19におけるローラユニット207A〜207Cには、振れ止め部材241が備えられているので、長い製品WGの先端側の振れを抑制することができるものである。
そして、製品WGの切断分離が行われると製品WGは、支持テーブル149により、製品クランプ155によってクランプされた状態で前記搬出コンベア19側へ移送される。その後、前記支持テーブル149上の製品WGは、ワークプッシャ装置189における製品移動部材199によって前記搬出コンベア19上に押進移送されるものである。そして、排出コンベア19に移載された製品WGは、当該搬出コンベア19のY軸方向の前側に配置した製品ストッカ21上に排出落下されるものである。
以上のごとき説明から理解されるように、本実施形態によれば、ワーク搬入路Pに沿って往復動自在なチャック装置25に備えたセンサ37によってワークWの後端部を検出するものであるから、ワークWの後端部に対するチャック装置25の当接を防止することができると共に、ワークWの後端部から所定の位置を正確に把持することができるものである。
また、前記センサ37が光学距離センサであることにより、ワークWをチャック装置25に把持して軸心回りに回転することにより、ワークWの外形形状及び寸法を検出することが可能である。したがって、予め設定した形状、寸法と検出した形状、寸法を比較することができ、例えばセットしたワークの誤りを事前に検出することができるものである。
なお、前記説明においては、チャック装置25によってワークWの後端部を把持する場合について説明した。しかし、チャック装置によってワークWの前端部を把持し、チャック装置によってワークWを引っ張る場合にも適用することができるものである。