JP6829567B2 - 揮発成分を除去した重合体を製造する方法 - Google Patents
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Description
[1] 揮発成分を含む重合体の液状物を製造容器内に準備する工程、
製造容器内に、110℃以上の過熱水蒸気を供給する工程、および
過熱水蒸気を液状物に接触させ、製造容器の全圧が700〜800torrの圧力範囲となる条件で揮発成分を除去する工程、を含む
精製重合体を製造する方法;
[2]揮発成分が残留溶媒、残留モノマー、重合開始剤系の残留成分、およびその分解生成物から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の精製重合体を製造する方法;
[3]揮発成分の沸点が250℃を超える、[1]または[2]に記載の精製重合体を製造する方法;
[4]揮発成分が2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである、[1]〜[3]のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法;
[5]過熱水蒸気を供給する際の液状物の温度が110℃以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法;
[6]過熱水蒸気を液状物100質量部に対して20〜3000質量部供給する、[1]〜[5]のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法;
[7]重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体である、[1]〜[6]のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法;
を提供することにより達成される。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは「メタクリル」と「アクリル」との総称を意味し、後述する「(メタ)アクリロイル」は「メタクリロイル」と「アクリロイル」との総称を意味し、後述する「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート」と「アクリレート」との総称を意味する。
本発明の原料として用いられる重合体は特に制限はないが、本発明重合体は、通常、室温で固体状または半固体状の重合体である。かかる重合体は、溶融または溶解−再沈処理などをすることなく揮発成分を除去することは困難である。重合体の種類については特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル系重合体;イソプレン系重合体、ブタジエン系重合体等の共役ジエン系重合体及びその水素添加物;スチレン系重合体ブロックとブタジエン系重合体ブロックとを含むブロック共重合体、スチレン系重合体ブロックとイソプレン系重合体ブロックとを含むブロック共重合体、スチレン系重合体ブロックとイソプレン/ブタジエン共重合体ブロックとを含むブロック共重合体等、芳香族ビニル系重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックとを含むブロック共重合体及びその水素添加物;等を挙げることができる。なかでも、透明性等がその特徴のひとつである(メタ)アクリル系重合体は、単純な加熱による揮発成分の除去をすると、透明性等の本来有する特性が損なわれる危険性がある。そのため、原料として用いられる重合体としては、(メタ)アクリル系重合体は好適な重合体の一例である。(メタ)アクリル系重合体は主として(典型的には50〜100質量%)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を含む重合体であり、該アクリル系重合体としては、アクリル系単独重合体、アクリル系ランダム共重合体、(メタ)アクリル系ブロック共重合体などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)には、重合体ブロック(a1)が2つ以上含まれてもよいが、その場合、それら重合体ブロック(a1)は、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロック(a2)のガラス転移温度が上記範囲内であると、低温領域でも柔軟性等の特性に優れる(メタ)アクリル系ブロック共重合体が得られる。重合体ブロック(a2)のガラス転移温度が上記好適範囲内となり、入手が容易である点からは、上記アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチルが好ましい。
(A−B)n
(A−B)n−A
B−(A−B)n
(A−B)n−Z
(B−A)n−Z
(式中、nは1〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。また、上記nの値は、1〜15であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。上記の構造の中でも、(A−B)n、(A−B)n−A、B−(A−B)nで表される直鎖状のブロック共重合体が好ましく、A−Bで表されるジブロック共重合体またはA−B−Aで表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
このようにして得られた精製重合体は、揮発成分の量が十分に低減されている。例えば、精製重合体中に含まれる沸点が250℃を超える揮発成分の割合は、精製重合体中、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下まで低減させることができる。また、精製重合体中に含まれる水分量は、精製重合体中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
後述の実施例で用いた(メタ)アクリル系ブロック共重合体は以下の合成例によって重合したものを使用した。合成例において、原料は常法により乾燥精製し、窒素にて脱気したものを使用し、移送および供給は窒素雰囲気下にて行った。
下記合成例における、重合後の各単量体の消費率は、反応液0.5mLを採取してメタノール0.5mL中に入れて混合後、該混合液から0.1mLを採取して、重クロロホルム0.5mLに溶解させて1H−NMR測定を下記の測定条件にて行い、単量体として用いた(メタ)アクリル酸エステルの炭素−炭素二重結合に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値5.79〜6.37ppm)および溶媒として用いたトルエンの芳香環に直結するプロトンに由来するピーク(化学シフト値7.00〜7.38ppm)の積分値の比率の変化から算出した。
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置 「JNM−ECX400」
温度:25℃
(メタ)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー)測定を下記の測定条件にて行い、標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)の値を算出することにより求めた。
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8220GPC」
分離カラム:東ソー株式会社製 「TSKgel SuperMultiporeHZ−M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
(メタ)アクリル系ブロック共重合体中のBHT含有率の測定は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体および内部標準としてテトラデカンあるいはトリデカンを精秤し、テトラヒドロフランあるいはクロロホルムに溶解し、ガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製 GC−2010Plus、あるいはGC−2014)を用い、BHTおよび内部標準のピーク面積比を算出し、事前に作製した検量線(横軸にピーク面積比(BHT/内部標準)、縦軸に重量比(BHT/内部標準)をプロットし、計算式を算出)を用いてBHT重量を算出することで行った。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体の水分率の評価は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体をテトラヒドロフランに溶解し、カールフィッシャー水分測定装置(株式会社三菱化学アナリティック製 KF−200)を用いて、溶液および溶媒の水分率を算出することで行った。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体のUV硬化速度の評価は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体に0.01重量部の開始剤(イルガキュア184)を混合し、粘度・粘弾性測定装置(英弘精機株式会社製 HAAKE MARS III)を用いて、測定治具;P20 CS L ER(φ=20mmパラレルプレート)、膜厚;0.15mm、測定温度;25℃、測定周波数;5Hz、UV照射強度;150mW/cm2の条件にて貯蔵弾性率(Pa)G'を測定し、UV照射開始時の貯蔵弾性率をG'min、UV照射終了時の貯蔵弾性率をG'max、UV照射量時間(秒)のときの貯蔵弾性率をG'Sとしたとき、(G'S−G'min)/(G'max−G'min)×100=90(%)となるようなUV照射量時間T(G'90%)を算出することで行った。
耐熱性試験は、下記[試験片作製]項で得られる試験片を95℃環境下にて静置し、500時間経過後の試験片のYI値をカラーメーター(日本電色工業株式会社製 SD5000)により測定することで実施した。なおこの時、基準は試験片作製に用いたガラス板で行った。
耐光性試験は、下記[試験片作製]項で得られる試験片をキセノンウェザーメータ(株式会社東洋精機製作所製 アトラス・ウエザオメータCi4000)を用いて、照度(340nm):0.35W/m2、ブラックパネル温度:63℃、庫内温度:40℃、湿度:10%の条件下にて静置し、500時間経過後の試験片のYI値をカラーメーター(日本電色工業株式会社製 SD5000)により測定することで実施した。なおこの時、基準は試験片作製に用いたガラス板で行った。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体に0.01重量部の開始剤(イルガキュア184)を混合し、膜厚100μmとなるようにクリアランスをつけた2枚のガラス板で挟み込み、メタルハライドランプにより、積算照射量1000 mJ/cm2となるように紫外線を照射して硬化させ、試験片を作製した。
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した3Lのフラスコにトルエン1.36kgを添加した後、攪拌しながら、さらに、ルイス塩基として1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン1.58g(6.87mmol)、および有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26.4質量%含むトルエン溶液21.4g(10.8mmol)を順次添加して、−20℃に冷却した。これに有機リチウム化合物としてsec−ブチルリチウムを9.90質量%含むシクロヘキサン溶液4.24g(6.55mmol)を加え、その後、単量体としてメタクリル酸メチル2.62g(26.2mmol)を添加し、アニオン重合を開始した。メタクリル酸メチルの添加終了後から15分後に反応液をサンプリングし、メタクリル酸メチルの消費率が100%であることを確認した後、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート4.23g(17.6mmol)とメタクリル酸メチル3.52g(35.2mmol)との混合物7.75gを一括で添加した。混合物の添加終了後から150分後に反応液は当初の黄色から無色に変わった。さらに20分撹拌後に反応液をサンプリングした。
引き続き反応液を−20℃で撹拌しつつ、有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26.4質量%含むトルエン溶液を15.6g(7.85mmol)加え、その1分後に単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシル426g(2.31mol)を7g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
工程(2)におけるアクリル酸2−エチルヘキシルの消費率は100%であった。また、得られた重合体のMnは85,900、Mw/Mnは1.15であった。
引き続き反応液を−20℃で撹拌しつつ、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート3.86g(16.1mmol)とメタクリル酸メチル3.22g(3.22mmol)との混合物7.08gを一括で添加したのち、2℃/分の速度で20℃に昇温した。上記混合物の添加から60分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)における1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメタクリル酸メチルの消費率は100%であった。
引き続き反応液を20℃で攪拌しつつ、50質量%酢酸水を37.8g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(A)−(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)−メタクリル系重合体ブロック(A)(A−B−A)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック重合体のMnは87,900、Mw/Mnは1.08であった。
次いで得られた溶液を窒素流動下、90℃で攪拌しつつ、90分加熱することで触媒金属の酢酸塩を形成させた。該溶液を25℃まで冷却した後、遠心分離機(日立工機株式会社製、himacCR22GII)を用いて18,800Gの遠心力で30分間遠心分離して酢酸塩を沈殿させ、上澄み液を回収した。回収した上澄み液からエバポレータを用いて60℃にて溶媒を除去した後、さらに100℃、30Paで乾燥して440gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(1)」と称する)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(1)のBHT含有率は1.5wt%であった。
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した3Lのフラスコにトルエン1.47kgを添加した後、攪拌しながら、さらに、ルイス塩基として1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン1.75g(7.59mmol)、および有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26.4質量%含むトルエン溶液23.6g(11.9mmol)を順次添加して、−20℃に冷却した。これに有機リチウム化合物としてsec−ブチルリチウムを9.40質量%含むシクロヘキサン溶液4.93g(7.23mmol)を加え、その後、単量体としてメタクリル酸メチル2.90g(29.0mmol)を添加し、アニオン重合を開始した。メタクリル酸メチルの添加終了後から15分後に反応液をサンプリングし、メタクリル酸メチルの消費率が100%であることを確認した後、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート4.92g(20.5mmol)とメタクリル酸メチル4.10g(41.0mmol)との混合物9.02gを一括で添加した。混合物の添加終了後から150分後に反応液は当初の黄色から無色に変わった。さらに20分撹拌後に反応液をサンプリングした。
引き続き反応液を−20℃で撹拌しつつ、有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26.4質量%含むトルエン溶液を17.2g(8.68mmol)加え、その1分後に単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシル248g(1.35mol)とアクリル酸2−メトキシエチル248g(1.91mol)の混合物496gを8g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
引き続き反応液を−20℃で撹拌しつつ、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート4.52g(18.8mmol)とメタクリル酸メチル3.76g(37.6mmol)との混合物8.28gを一括で添加したのち、2℃/分の速度で20℃に昇温した。上記混合物の添加から150分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)における1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメタクリル酸メチルの消費率は100%であった。
引き続き反応液を20℃で攪拌しつつ、50質量%酢酸水を41.8g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(A)−(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)−メタクリル系重合体ブロック(A)(A−B−A)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック重合体のMnは94,800、Mw/Mnは1.10であった。
次いで得られた溶液を窒素流動下、90℃で攪拌しつつ、90分加熱することで触媒金属の酢酸塩を形成させた。該溶液を25℃まで冷却した後、遠心分離機(日立工機株式会社製、himacCR22GII)を用いて18,800Gの遠心力で30分間遠心分離して酢酸塩を沈殿させ、上澄み液を回収した。回収した上澄み液からエバポレータを用いて60℃にて溶媒を除去した後、さらに100℃、30Paで乾燥して510gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(2)」と称する)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(2)のBHT含有率は1.7wt%であった。
容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン870g、1,2−ジメトキシエタン44.0gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20.7mmolを含有するトルエン溶液30.9gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム5.17mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.99gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル21.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル288.4gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール3.5gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈殿物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、ジブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3) 」と称する)310.0gを得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3) のMnは51,000、Mw/Mnは1.33、BHT含有率は1.5wt%であった。
(工程(1))
内部を乾燥し窒素置換した3Lのフラスコにトルエン1.39kgを添加した後、攪拌しながら、さらに、ルイス塩基として1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン1.53g(6.62mmol)、および有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26.4質量%含むトルエン溶液20.6g(10.4mmol)を順次添加して、−20℃に冷却した。これに有機リチウム化合物としてsec−ブチルリチウムを9.90質量%含むシクロヘキサン溶液4.08g(6.31mmol)を加え、その後、単量体としてメタクリル酸メチル2.53g(25.2mmol)を添加し、アニオン重合を開始した。メタクリル酸メチルの添加終了後から15分後に反応液をサンプリングし、メタクリル酸メチルの消費率が100%であることを確認した後、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート4.33g(18.0mmol)とメタクリル酸メチル22.9g(22.9mmol)との混合物27.23gを一括で添加した。混合物の添加終了後から260分後に反応液は当初の黄色から無色に変わった。さらに20分撹拌後に反応液をサンプリングした。
引き続き反応液を−20℃で撹拌しつつ、有機アルミニウム化合物としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを26.4質量%含むトルエン溶液を8.74g(4.41mmol)加え、その1分後に単量体としてアクリル酸2−エチルヘキシル430g(2.34mol)を7g/分の速度で添加した。単量体の添加終了直後に反応液をサンプリングした。
工程(2)におけるアクリル酸2−エチルヘキシルの消費率は100%であった。また、得られた重合体のMnは76,000、Mw/Mnは1.10であった。
引き続き反応液を−20℃で撹拌しつつ、単量体として1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート3.92g(16.3mmol)とメタクリル酸メチル20.7g(20.7mmol)との混合物24.62gを一括で添加したのち、2℃/分の速度で20℃に昇温した。上記混合物の添加から90分後に反応液をサンプリングした。
工程(3)における1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメタクリル酸メチルの消費率は100%であった。
引き続き反応液を20℃で攪拌しつつ、50質量%酢酸水を32.5g加えることによりアニオン重合を停止させて、メタクリル系重合体ブロック(A)−(メタ)アクリル系重合体ブロック(B)−メタクリル系重合体ブロック(A)(A−B−A)の順に結合したトリブロック共重合体である(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含有する溶液を得た。かかる溶液からサンプリングした(メタ)アクリル系ブロック重合体のMnは81,700、Mw/Mnは1.19であった。
次いで得られた溶液を窒素流動下、90℃で攪拌しつつ、90分加熱することで触媒金属の酢酸塩を形成させた。該溶液を25℃まで冷却した後、遠心分離機(日立工機株式会社製、himacCR22GII)を用いて18,800Gの遠心力で30分間遠心分離して酢酸塩を沈殿させ、上澄み液を回収した。回収した上澄み液を5倍量のメタノールに滴下して再沈殿を行い、さらに80℃、30Paで乾燥して480gの(メタ)アクリル系ブロック共重合体(以下、「(メタ)アクリル系ブロック共重合体(4)」と称する)を得た。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(4)のBHT含有率は2.2wt%であった。
以下に実施例および比較例を記載する。
オートクレーブ(耐熱硝子工業株式会社製 硝子製反応装置TEM−U1000N type 容量約1L)に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(1)を260g仕込んだ。これをオートクレーブのヒーターで160℃まで昇温したところで、オートクレーブ上部より挿入した導入管より160℃の過熱水蒸気を共重合体中に直接に添加し、撹拌翼を400rpmで回転させ撹拌した。過熱水蒸気は、まず送液ポンプにて純水を熱交換器に送液し、加熱することで得た。過熱水蒸気の導入速度は送液ポンプによって制御し、510g/hに調整した。オートクレーブから排出した気体は、ジャケット付き水槽で20℃に冷却した純水3L中に直接吹き込むことで凝縮させた。過熱水蒸気を90分間導入し、つまり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(1)に対して2.9重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
オートクレーブ(耐熱硝子工業株式会社製 硝子製反応装置TEM−U1000N type 容量約1L)に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(2)を250g仕込んだ。これをオートクレーブのヒーターで160℃まで昇温したところで、オートクレーブ上部より挿入した導入管より160℃の過熱水蒸気を共重合体中に直接に添加し、撹拌翼を400rpmで回転させ撹拌した。過熱水蒸気は、まず送液ポンプにて純水を熱交換器に送液し、加熱することで得た。過熱水蒸気の導入速度は送液ポンプによって制御し、500g/hに調整した。オートクレーブから排出した気体は、ジャケット付き水槽で20℃に冷却した純水3L中に直接吹き込むことで凝縮させた。過熱水蒸気を90分間導入し、つまり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(2)に対して3重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
オートクレーブ(耐熱硝子工業株式会社製 金属製反応装置TEM−D type 容量1L)に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を250g仕込んだ。これをオートクレーブのヒーターで200℃まで昇温したところで、オートクレーブ上部より挿入した導入管より200℃の過熱水蒸気を共重合体中に直接に添加し、撹拌翼を400rpmで回転させ撹拌した。過熱水蒸気は、まず送液ポンプにて純水を熱交換器に送液し、加熱することで得た。過熱水蒸気の導入速度は送液ポンプによって制御し、500g/hに調整した。オートクレーブから排出した気体は、ジャケット付き水槽で20℃に冷却した純水3L中に直接吹き込むことで凝縮させた。過熱水蒸気を40分間導入し、つまり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して1.3重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
オートクレーブ(耐熱硝子工業株式会社製 硝子製反応装置TEM−U1000N type 容量約1L)に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を250g仕込んだ。これをオートクレーブのヒーターで120℃まで昇温したところで、オートクレーブ上部より挿入した導入管より120℃の過熱水蒸気を共重合体中に直接に添加し、撹拌翼を400rpmで回転させ撹拌した。過熱水蒸気は、まず送液ポンプにて純水を熱交換器に送液し、加熱することで得た。過熱水蒸気の導入速度は送液ポンプによって制御し、500g/hに調整した。オートクレーブから排出した気体は、ジャケット付き水槽で20℃に冷却した純水3L中に直接吹き込むことで凝縮させた。過熱水蒸気を570分間導入し、つまり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して18重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
撹拌釜(容量約1kL)に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を153kg仕込んだ。撹拌釜ジャケットから内部を加熱し160℃まで昇温したところで、撹拌釜底部より160℃の過熱水蒸気を共重合体中に直接に導入し、撹拌翼を100rpmで回転させ撹拌した。過熱水蒸気は、まずボイラーで発生させた飽和水蒸気をニードルバルブにて減圧・流量調整した後、熱交換器を通し加熱することによって得た。過熱水蒸気の導入速度は配管に接続した流量計により確認し、340kg/hに調整した。撹拌釜から排出した気体はコンデンサで凝縮した。過熱水蒸気を240分間導入し、つまり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して8.9重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を、ギアポンプを用いて10kg/hで送液、160℃の過熱水蒸気とともに二軸押出機(Krupp Werner&Pfleiderer社製 ZSK−25)に連続的に投入し、さらに二軸押出機のシリンダー上部より過熱水蒸気を添加し、シリンダー加熱温度160℃、スクリュ回転数300rpmにて混練し、連続的に排出した。過熱水蒸気は、まず蒸気発生装置で発生させた飽和水蒸気をニードルバルブにて減圧・流量調整した後、配管を誘導加熱装置にて160℃に加熱することによって得た。過熱水蒸気の導入速度は接続した流量計、および蒸気発生装置タンクの純水の減少量により確認し、合計50kg/hに調整した。排出したサンプルに対し、もう一度同様の処理を繰り返した。二軸押出機から排出した気体はコンデンサで凝縮した。以上の処理により(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して10重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を、ギアポンプを用いて20kg/hで送液、250℃の過熱水蒸気とともに二軸押出機(Krupp Werner&Pfleiderer社製 ZSK−25 )に連続的に投入し、シリンダー加熱温度250℃、スクリュ回転数300rpmにて混練し、連続的に排出した。過熱水蒸気は、まず蒸気発生装置で発生させた飽和水蒸気をニードルバルブにて減圧・流量調整した後、配管を誘導加熱装置にて250℃に加熱することによって得た。過熱水蒸気の導入速度は接続した流量計により確認し、合計7kg/hに調整した。二軸押出機から排出した気体はコンデンサで凝縮した。以上の処理により(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して0.4重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(4)を5kg/hで二軸押出機(Krupp Werner&Pfleiderer社製 ZSK−25 )に連続的に投入し、さらに二軸押出機のシリンダー上部より180℃の過熱水蒸気を添加し、シリンダー加熱温度180℃、スクリュ回転数300rpmにて混練し、連続的に排出した。過熱水蒸気は、まず蒸気発生装置で発生させた飽和水蒸気をニードルバルブにて減圧・流量調整した後、配管を誘導加熱装置にて180℃に加熱することによって得た。過熱水蒸気の導入速度は蒸気発生装置タンクの純水の減少量により確認し、合計10kg/hに調整した。二軸押出機から排出した気体はコンデンサで凝縮した。以上の処理により(メタ)アクリル系ブロック共重合体(4)に対して2重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
オートクレーブ(耐熱硝子工業株式会社製 硝子製反応装置TEM−U1000N type 容量約1L)に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を500g仕込んだ。これをオートクレーブのヒーターで160℃まで昇温したところで、オートクレーブ上部より挿入した導入管より100℃の飽和水蒸気を共重合体中に直接に導入し、撹拌翼を400rpmで回転させ撹拌した。飽和水蒸気は、ボイラーで発生させた水蒸気をニードルバルブにて減圧・流量調整した。飽和水蒸気の導入速度は、発生させた水蒸気を凝縮させ重量を測定することで、事前に500g/hに調整した。オートクレーブから排出した気体は、ジャケット付き水槽で20℃に冷却した純水3L中に直接吹き込むことで凝縮させた。飽和水蒸気を180分間導入し、つまり(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して3重量部の飽和水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
80℃に加温した(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を、ギアポンプを用いて10kg/hで送液し、二軸押出機(Krupp Werner&Pfleiderer社製 ZSK−25 L/D=42)に連続的に投入し、シリンダー加熱温度160℃、スクリュ回転数300rpmにて混練し、連続的に排出した。二軸押出機から排出した気体はコンデンサで凝縮した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)を、ギアポンプを用いて30kg/hで送液、300℃の過熱水蒸気とともに二軸押出機(Krupp Werner&Pfleiderer社 ZSK−25 L/D=42)に連続的に投入し、シリンダー加熱温度300℃、スクリュ回転数300rpmにて混練し、連続的に排出した。過熱水蒸気は、まず蒸気発生装置で発生させた飽和水蒸気をニードルバルブにて減圧・流量調整した後、配管を誘導加熱装置にて300℃に加熱することによって得た。過熱水蒸気の導入速度は接続した流量計により確認し、合計4kg/hに調整した。二軸押出機から排出した気体はコンデンサで凝縮した。以上の処理により(メタ)アクリル系ブロック共重合体(3)に対して0.1重量部の過熱水蒸気を導入した。得られた共重合体について、BHT含有率、分子量、水分率評価結果を表1に示す。
実施例1〜8で得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体については、表1よりいずれも含有するBHTが0.08wt%以下まで十分に減少していることが分かる。なおかつ処理前後で数平均分子量および分子量分布の変化がほぼないことから、(メタ)アクリル系ブロック共重合体の劣化が抑制されていることが分かる。また、実施例2に得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体については、表2よりUV硬化速度の低下がほぼなく、UV硬化性能の低下も抑制されていることが分かる。
比較例2で得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体については、BHTが全く減少していないことが分かる。
比較例3で得られた(メタ)アクリル系ブロック共重合体については、数平均分子量が低下し、分子量分布が増加しており、劣化が進んでいることが分かる。
Claims (6)
- 常温で固体状または半固体状である揮発成分を含む(メタ)アクリル系重合体を、110℃以上275℃以下の温度に加熱して、該重合体の液状物を製造容器内に準備する工程、
製造容器内に、110℃以上275℃以下の過熱水蒸気を供給する工程、および
過熱水蒸気を液状物に接触させ、製造容器の全圧が700〜800torrの圧力範囲となる条件で揮発成分を除去する工程、を含む
精製重合体を製造する方法。 - 揮発成分が残留溶媒、残留モノマー、重合開始剤系の残留成分、およびその分解生成物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の精製重合体を製造する方法。
- 揮発成分の沸点が250℃を超える、請求項1または2に記載の精製重合体を製造する方法。
- 揮発成分が2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールである、請求項1〜3のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法。
- 過熱水蒸気を液状物100質量部に対して20〜3000質量部供給する、請求項1〜4のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法。
- 重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の精製重合体を製造する方法。
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