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JP6824076B2 - 状態監視システムおよび風力発電装置 - Google Patents

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JP6824076B2 JP2017049838A JP2017049838A JP6824076B2 JP 6824076 B2 JP6824076 B2 JP 6824076B2 JP 2017049838 A JP2017049838 A JP 2017049838A JP 2017049838 A JP2017049838 A JP 2017049838A JP 6824076 B2 JP6824076 B2 JP 6824076B2
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Description

この発明は、装置を構成する機械要素の状態を監視する状態監視システムに関し、特に、風力発電装置を構成する機械要素の状態を監視する状態監視システムに関する。
風力発電装置においては、風力を受けるブレードに接続される主軸を回転させ、増速機により主軸の回転を増速させた上で発電機のロータを回転させることによって発電が行なわれる。主軸ならびに増速機および発電機の回転軸の各々は、転がり軸受によって回転自在に支持されており、そのような軸受の異常を診断する状態監視システム(CMS:Condition Monitoring System)が知られている。このような状態監視システムにおいては、軸受に固設された振動センサにより測定される振動波形データを用いて、軸受に損傷が発生しているか否かが診断される。
たとえば、特開2009−20090号公報(特許文献1)には、機械設備で使用される回転部品および摺動部品の異常を診断する異常診断装置が示されている。この異常診断装置は、回転部品から発生する信号の周波数分析を行なって実測データの周波数成分を求めるとともに、上記実測データの周波数成分から、回転部品の異常に起因する振動の異常周波数に対応した周波数成分を抽出する。そして、この抽出された周波数成分と閾値との比較照合を行なうことにより、回転部品の異常の有無を診断する。
特許文献1では、周辺ノイズの影響を受け難くして、異常の有無の診断の精度を向上させるために、上記閾値を、異常周波数の基本波および高調波の周波数ごとに個別に設定している。
特開2009−20090号公報
風力発電装置においては、風の吹き方を示す風況などの環境によって運転条件が時々刻々と変化する。この運転条件の変化に従って、振動、主軸の回転速度、発電量、風速などの運転状態も時々刻々と変化する。たとえば、風が強い時期は、風が弱い時期に比べて、風力発電装置の機械要素にかかる荷重が大きくなるため、振動が大きくなる。また、風向きによっても機械要素にかかる荷重が変化するため、振動も変化する。
この結果、風力発電装置に適用される状態監視システムにおいては、振動センサにより測定される振動波形データが風力発電装置の運転条件の変化に従って時々刻々と変化する。振動波形データに基づいて機械要素の異常を正確に診断するためには、振動の変化が運転条件の変化によるものか、機械要素の損傷によるものかを区別する必要がある。これには、異常の有無を診断するために振動波形データと比較照合される閾値を如何に設定するかが重要となる。
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、状態監視システムおよびそれを備えた風力発電装置において、風力発電装置を構成する機械要素の異常の有無を診断するための閾値を設定する技術を提供することである。
この発明に係る状態監視システムは、装置を構成する機械要素の状態を監視する状態監視システムである。状態監視システムは、機械要素の振動波形を計測するための振動センサと、機械要素の異常を診断するための処理装置とを備える。処理装置は、診断部と、設定部とを含む。診断部は、振動センサから出力される振動波形データと閾値とを比較することによって、機械要素の異常を診断するように構成される。設定部は、閾値を設定するように構成される。設定部は、振動センサから出力されるn個(nは2以上の整数)の振動波形データの移動平均値を演算する第1演算部と、n個の振動波形データの標準偏差を演算する第2演算部と、第1演算部により演算された移動平均値および第2演算部により演算された標準偏差に基づいて、閾値を演算する第3演算部とを含む。
この発明によれば、風力発電装置を構成する機械要素の異常の有無を診断するための閾値を適正に設定することができるため、正確な異常診断を実現することができる。
この発明の実施の形態に係る状態監視システムが適用された風力発電装置の構成を概略的に示した図である。 図1に示したデータ処理装置の構成を機能的に示す機能ブロック図である。 閾値設定部の動作を説明する図である。 閾値設定部によって設定される閾値の一例を示すグラフである。 実施の形態に係る状態監視システムにおける閾値の設定処理を説明するフローチャートである。 実施の形態に係る状態監視システムにおける軸受60の異常を診断するための制御処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態に係る状態監視システムが適用された風力発電装置の構成を概略的に示した図である。図1を参照して、風力発電装置10は、主軸20と、ブレード30と、増速機40と、発電機50と、主軸用軸受(以下、単に「軸受」と称する。)60と、振動センサ70と、データ処理装置80を備える。増速機40、発電機50、軸受60、振動センサ70およびデータ処理装置80は、ナセル90に格納され、ナセル90は、タワー100によって支持される。
主軸20は、ナセル90内に進入して増速機40の入力軸に接続され、軸受60によって回転自在に支持される。そして、主軸20は、風力を受けたブレード30により発生する回転トルクを増速機40の入力軸へ伝達する。ブレード30は、主軸20の先端に設けられ、風力を回転トルクに変換して主軸20に伝達する。
軸受60は、ナセル90内において固設され、主軸20を回転自在に支持する。軸受60は、転がり軸受によって構成され、たとえば、自動調芯ころ軸受や円すいころ軸受、円筒ころ軸受、玉軸受等によって構成される。なお、これらの軸受は、単列のものでも複列のものでもよい。
振動センサ70は、軸受60に固設される。振動センサ70は、軸受60の振動波形を計測し、計測した振動波形データをデータ処理装置80へ出力する。振動センサ70は、たとえば、圧電素子を用いた加速度センサによって構成される。
増速機40は、主軸20と発電機50との間に設けられ、主軸20の回転速度を増速して発電機50へ出力する。一例として、増速機40は、遊星ギヤ、中間軸および高速軸等を含む歯車増速機構によって構成される。なお、特に図示はしないが、増速機40内にも、複数の軸を回転自在に支持する複数の軸受が設けられている。
発電機50は、増速機40の出力軸に接続され、増速機40から受ける回転トルクによって発電する。発電機50は、たとえば、誘導発電機によって構成される。なお、発電機50内にも、ロータを回転自在に支持する軸受が設けられている。
データ処理装置80は、ナセル90内に設けられ、軸受60の振動波形データを振動センサ70から受ける。データ処理装置80は、予め設定されたプログラムに従って、軸受60の振動波形データを用いて軸受60の異常を診断する。
図2は、図1に示したデータ処理装置80の構成を機能的に示す機能ブロック図である。図2を参照して、データ処理装置80は、バンドパスフィルタ(以下、「BPF(Band Pass Filter)」と称する。)110と、実効値演算部120と、記憶部130と、閾値設定部140と、診断部150とを含む。
BPF110は、軸受60の振動波形データを振動センサ70から受ける。BPF110は、軸受60の振動波形データに対してフィルタ処理を実行する。BPF110は、たとえば、ハイパスフィルタ(HPF(High Pass Filter))である。HPFは、その受けた振動波形データにつき、予め定められた周波数よりも高い信号成分を通過させ、低周波成分を遮断する。HPFは、軸受60の振動波形データに含まれる直流成分を除去するために設けられたものである。なお、振動センサ70の出力が直流成分を含まないものであれば、HPFを省略してもよい。
BPF110は、振動センサ70とHPFとの間に、エンベロープ処理部をさらに含んでいてもよい。エンベロープ処理部は、軸受60の振動波形データを振動センサ70から受けると、その受けた振動波形データにエンベロープ処理を行なうことで、軸受60の振動波形データのエンベロープ波形を生成する。なお、エンベロープ処理部において演算されるエンベロープ処理には、種々の公知の手法を適用可能であり、一例として、振動センサ70から受ける軸受60の振動波形データを絶対値に整流し、ローパスフィルタ(LPF(Low Pass Filter))を通すことによって、軸受60の振動波形データのエンベロープ波形が生成される。この場合、HPFは、軸受60の振動波形データのエンベロープ波形をエンベロープ処理部から受けると、その受けたエンベロープ波形につき、予め定められた周波数よりも高い信号成分を通過させ、低周波成分を遮断する。すなわち、HPFは、エンベロープ波形に含まれる直流成分を除去し、エンベロープ波形の交流成分を抽出するように構成される。
BPF110は、LPFをさらに含んでいてもよい。LPFは、その受けた振動波形データにつき、予め定められた周波数よりも低い信号成分を通過させ、高周波成分を遮断する。
実効値演算部120は、フィルタ処理が施された軸受60の振動波形データをBPF110から受ける。実効値演算部120は、軸受60の振動波形データの実効値(「RMS(Root Mean Square)値」とも称される。)を算出し、その算出された振動波形データの実効値を記憶部130へ出力する。
実効値演算部120により演算される軸受60の振動波形の実効値は、エンベロープ処理を行なっていない生の振動波形の実効値であるので、たとえば、軸受60の軌道輪の一部に剥離が発生し、その剥離箇所を転動体が通過するときのみ振動が増加するインパルス的な振動に対しては値の増加が小さいけれども、軌道輪と転動体との接触部の面荒れまたは潤滑不良時に発生する持続的な振動に対しては値の増加が大きくなる。
一方、上述のように、エンベロープ処理部を設けた場合には、実効値演算部120により演算されるエンベロープ波形の交流成分の実効値は、軌道輪の面荒れまたは潤滑不良時に発生する持続的な振動に対しては値の増加が小さく、インパルス的な振動に対しては値の増加が大きくなる。
記憶部130は、実効値演算部120により演算された軸受60の振動波形データの実効値を時々刻々と格納する。記憶部130は、たとえば、読み書き可能な不揮発性のメモリ等によって構成される。記憶部130は、少なくとも最新のn個(nは2以上の整数)の軸受60の振動波形データの実効値を格納するように構成される。以下の説明では、振動波形データの実効値を、単に「振動波形データ」と称する。
閾値設定部140は、軸受60の異常の有無を診断するために用いられる閾値を設定する。閾値設定部140は、設定された閾値を診断部150へ出力する。閾値設定部140における閾値の設定の詳細については後述する。
診断部150は、閾値設定部140で設定された閾値に基づいて、軸受60の異常を診断する。具体的には、診断部150は、読み出された振動波形データと、閾値設定部140によって設定された閾値とを比較する。診断部150は、振動波形データが閾値を超えたことが判定されると、軸受60の異常を報知するためのアラームを発報する。また、診断部150は、計測された振動波形データの時間的変化の推移に基づいて、軸受60の異常を診断する。
次に、図2および図3を参照して、閾値設定部140にて実行される閾値の設定処理について説明する。
図2に示されるように、閾値設定部140は、移動平均演算部142(第1演算部)と、標準偏差演算部144(第2演算部)と、閾値演算部146(第3演算部)と、閾値記憶部148とを含む。
図3は、閾値設定部140の動作を説明する図である。図3を参照して、記憶部130は、所定の時間間隔で、軸受60の振動波形データを実効値演算部120から受ける。図3中のD1〜Dn+2は、所定の時間間隔で記憶部130に与えられる振動波形データを表している。
閾値設定部140は、記憶部130に格納されている振動波形データから、指定された期間の振動波形データを順次読み出して、移動平均演算処理、標準偏差演算処理、および閾値演算処理を行ない、閾値を算出する。この閾値を算出する処理は、記憶部130に振動波形データが充分に蓄積されたときに実施されることが望ましい。
具体的には、移動平均演算部142は、読み出された最新のn個の軸受60の振動波形データの移動平均値を演算する。図3の例では、時刻tnまでの最新のn個の軸受60の振動波形データD1〜Dnが記憶部130から読み出されると、n個の振動波形データD1〜Dnの平均値MAnが算出される。次に、時刻tn+1までの最新のn個の軸受60の振動波形データD2〜Dn+2が記憶部130から読み出されると、n個の振動波形データD2〜Dn+1の平均値MAn+1が算出される。さらに、時刻tn+2までの最新のn個の軸受60の振動波形データD3〜Dn+2が記憶部130から読み出されると、n個の振動波形データD3〜Dn+2の平均値MAn+2が算出される。なお、移動平均値は、単純移動平均値を用いても、加重移動平均値を用いてもよい。このようにして、移動平均演算部142は、最新のn個の軸受60の振動波形データを使用して移動平均値MAを算出する。
標準偏差演算部144は、n個の軸受60の振動波形データの標準偏差σを演算する。
閾値演算部146は、移動平均演算部142によって算出された移動平均値MAおよび標準偏差演算部144によって算出された標準偏差σを用いて、閾値を演算する。閾値をThとすると、閾値Thは次式(1)で表される。
Th=MA+k・σ …(1)
上記式(1)における係数kは正の値であり(k>0)、たとえば、k=2に設定される。すなわち、閾値Thは、たとえば「MA+2σ」に設定される。
図3の例では、時刻tnにおける移動平均値MAnおよび標準偏差σを用いて閾値Thnが算出され、時刻tn+1における移動平均値MAn+1および標準偏差σを用いて閾値Thn+1が算出され、時刻tn+2における移動平均値MAn+2および標準偏差σを用いて閾値Thn+2が算出される。このようにして、閾値演算部146は、閾値Thを算出し、算出した閾値Thを閾値記憶部148に保存する。
閾値Thには季節変動成分が含まれている。そのため、診断部150は、閾値記憶部148に保存されている閾値Thのうち、現在の季節と同時期の閾値Thを使用するように構成されている。すなわち、診断部150は、振動波形データと同じ運転条件での過去の振動波形データに基づいて設定された閾値Thを使用するように構成されている。
風力発電装置の運転条件は、一般的に風況などの環境に依存するため、主に季節によって変化する。上記のような構成とすることにより、診断部150では、季節要因等の運転条件の変化に対応した閾値Thを用いて軸受60の異常の診断が実行されることになる。図3に示したように、閾値Thは、n個の振動波形データについて統計処理がなされることによって設定されたものであるため、風力発電装置10の運転条件の変化に従って変化する。すなわち、閾値Thは、風力発電装置10の運転条件の変化を反映することができる。
そして、風力発電装置10の運転条件によって変化する軸受60の振動波形データと、当該運転条件を反映した閾値Thとを比較することで、その比較結果において、風力発電装置10の運転条件の変化の影響を低減することができる。この結果、軸受60の損傷に起因する振動の変化を捉えることが可能となるため、正確な異常診断を実現することができる。
図4は、閾値設定部140によって設定される閾値の一例を示すグラフである。図4は、ある年の2月1日からその翌年の2月26日までの約1年間の計測期間において振動センサ70によって計測された振動波形データの実効値と、当該振動波形データの移動平均値および閾値との時間的変化を示している。
図4中の黒丸は、軸受60の振動波形データの実効値を示す。図4中の破線は、n個の振動波形データの実効値の移動平均値MAの時間的変化を示す。なお、図4の例では、n=120としている。図4中の実線は、n個の振動波形データの実効値の移動平均値MAおよび標準偏差σを用いて設定された閾値の時間的変化を示す。なお、閾値は、式Th=MA+2σを用いて算出されたものである。
図4に示されるように、計測期間中、振動波形データの実効値は大きく変化している。図4の例では、12月から1月までの間に実効値が相対的に大きくなる一方で、7月から8月までの間に実効値が相対的に小さくなっている。このように、季節ごとに変化する運転条件に起因して実効値も大きく変化する。
実効値が相対的に小さくなる期間においても正確な診断を行なうためには、当該期間における実効値に基づいて、閾値を一定値に設定することが考えられる。しかしながら、このようにすると、実効値が相対的に大きくなる期間において、閾値を超える実効値が頻繁に発生してしまい、正確な診断が困難となる。
本実施の形態では、過去の一定期間に記録された軸受60の振動波形データの実効値から算出された移動平均値に基づいて閾値が設定されている。特に、過去の軸受60が正常だったと判断される時期の振動波形データの実効値を用いて閾値が設定される。したがって、過去の同じ運転条件(たとえば、過去の同時期)に対して設定された閾値を基準として異常を診断するように構成すれば、実効値が相対的に小さくなる期間では閾値が相対的に小さくなる一方で、実効値が相対的に大きくなる期間では閾値が相対的に大きくなる。このように、閾値が風力発電装置10の運転条件の変化を反映するため、正確な異常診断を実現することができる。
図5は、実施の形態に係る状態監視システムにおける閾値の設定処理を説明するフローチャートである。図5に示される設定処理は、閾値算出に使用するデータ範囲(期間)を指定して、データ処理装置80(図2)により実行される。
図5を参照して、データ処理装置80は、ステップS01により、閾値算出に使用するデータの範囲(期間)を指定する。データの範囲は、たとえば1年前の同じ月などのように自動的に設定されてもよいし、外部からパラメータとして通信等によって与えられるように構成してもよい。
次に、ステップS02により、指定されたデータ範囲の先頭から、記憶部130に格納されている振動波形データを順次読み出す。
閾値設定部140は、ステップS03により、読み出された振動波形データの実効値のデータ数がn個以上であるか否かを判定する。読み出された振動波形データの実効値のデータ数がn個未満である場合(S03のNO判定時)、以降の処理S04〜S07はスキップされる。
一方、読み出された振動波形データの実効値のデータ数がn個以上である場合(S03のYES判定時)、閾値設定部140は、ステップS04に進み、読み出された最新のn個の振動波形データの実効値の移動平均値を演算する。
続いて、閾値設定部140は、ステップS05により、読み出された最新のn個の振動波形データの実効値の標準偏差を演算する。そして、閾値設定部140は、ステップS06により、ステップS04にて演算された移動平均値とステップS05にて演算された標準偏差とを用いて、閾値を設定する。閾値設定部140は、ステップS07により、設定した閾値を閾値記憶部148(図2)に順次保存する。閾値は、算出に用いたデータの時刻情報とともに記憶され、診断に用いる閾値を選択するために使用される。
閾値設定部140は、ステップS08により、対象期間の振動波形データの全てについて処理を終了したか否かを判定する。処理が終了していない場合(S08のNO判定時)、処理はS02に戻される。
図6は、実施の形態に係る状態監視システムにおける軸受60の異常を診断するための制御処理を説明するフローチャートである。図6に示される制御処理は、データ処理装置80により所定の時間間隔で繰り返し実行される。
図6を参照して、データ処理装置80は、ステップS11により軸受60の振動波形データを振動センサ70から受ける。データ処理装置80において、ステップS12により、BPF110は、軸受60の振動波形データに対してフィルタ処理を実行する。
次に、ステップS13により、フィルタ処理が施された軸受60の振動波形データをBPF110から受けると、実効値演算部120は、軸受60の振動波形データの実効値を算出する。記憶部130は、ステップS14により、実効値演算部120によって算出された振動波形データの実効値を格納する。
診断部150は、ステップS15により、閾値設定部140内の閾値記憶部148から、振動波形データの実効値と同じ運転条件での過去の振動波形データの実効値に基づいて設定された閾値を読み出す。たとえば、診断部150は、現在の季節と過去の同時期に設定された閾値を読み出す。
データ処理装置80は、ステップS16により、ステップS13で算出された振動波形データの実効値と、ステップS15で読み出された閾値とを比較する。実効値が閾値以下である場合(S16のNO判定時)、診断部150は、軸受60が正常であると診断して、以降の処理S17をスキップする。一方、実効値が閾値よりも大きい場合(S16のYES判定時)、診断部150は、ステップS17により、軸受60が異常であると診断し、アラームを発報する。
なお、上記の実施の形態においては、風力発電装置10を構成する機械要素の1つである軸受60に振動センサ70を設置して、軸受60の異常を診断するものとしたが、診断対象となる機械要素は軸受60に限定されない点について確認的に記載する。たとえば、軸受60とともに、または軸受60に代えて、増速機40内または発電機50内に設けられる軸受に振動センサを設置し、上記の各実施の形態と同様の手法によって、増速機40内または発電機50内に設けられる軸受の異常を診断することができる。
また、上記の実施の形態において、データ処理装置80は、この発明における「処理装置」の一実施例に対応し、閾値設定部140および診断部150は、それぞれ、この発明における「設定部」および「診断部」の一実施例に対応する。また、上記の実施の形態において、移動平均演算部142、標準偏差演算部144、閾値演算部146および閾値記憶部148は、それぞれ、この発明における「第1演算部」、「第2演算部」、「第3演算部」および「記憶部」の一実施例に対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 風力発電装置、20 主軸、30 ブレード、40 増速機、50 発電機、60 軸受、70 振動センサ、80 データ処理装置、90 ナセル、100 タワー、110 HPF、120 実効値演算部、130 記憶部、140 閾値設定部、142 移動平均演算部、144 標準偏差演算部、146 閾値演算部、148 閾値記憶部、150 診断部。

Claims (4)

  1. 装置を構成する機械要素の状態を監視する状態監視システムであって、
    前記機械要素の振動波形を計測するための振動センサと、
    前記機械要素の異常を診断するための処理装置とを備え、
    前記処理装置は、
    前記振動センサから出力される振動波形データの実効値と閾値とを比較することによって、前記機械要素の異常を診断する診断部と、
    前記閾値を設定する設定部とを含み、
    前記設定部は、
    前記振動センサから出力されるn個(nは2以上の整数)の前記振動波形データの実効値の移動平均値を演算する第1演算部と、
    前記n個の振動波形データの実効値の標準偏差を演算する第2演算部と、
    前記第1演算部により演算された前記移動平均値および前記第2演算部により演算された前記標準偏差に基づいて、前記閾値を演算する第3演算部とを含む、状態監視システム。
  2. 前記第3演算部は、前記移動平均値に対して、前記標準偏差に予め定められた係数を乗算した値を加算することにより、前記閾値を演算する、請求項1に記載の状態監視システム。
  3. 前記設定部は、前記第3演算部により演算された前記閾値を保存する記憶部をさらに含み、
    前記診断部は、
    前記記憶部から、前記振動センサから出力される前記振動波形データの実効値と運転条件が同じである過去の前記振動波形データの実効値に基づいて演算された前記閾値を読み出し、
    前記記憶部から読み出した前記閾値と、前記振動センサから出力される前記振動波形データの実効値とを比較することにより、前記機械要素の異常を診断する、請求項1または2に記載の状態監視システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の状態監視システムを備える、風力発電装置。
JP2017049838A 2016-03-17 2017-03-15 状態監視システムおよび風力発電装置 Active JP6824076B2 (ja)

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