JP6818261B2 - バイオマス由来の樹脂層を備えた積層体 - Google Patents
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Description
化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物からなる、化石燃料ポリエステル樹脂層と、
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と、
化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる非バイオマスポリオレフィン樹脂層と、
をこの順に有してなる、包装製品用積層体が提供される。
また、本発明の態様においては、無機物を含むバリア層をさらに有してなることが好ましい。
また、本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来の低密度ポリエチレンおよび/またはバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでなることが好ましい。
また、本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマス由来のエチレンを前記バイオマスポリオレフィン樹脂層全体に対して5質量%以上含んでなることが好ましい。
また、本発明の態様においては、前記バリア層が金属箔からなることが好ましい。
また、本発明の別の態様においては、上記の積層体を備える、包装製品が提供される。
本発明による積層体は、バイオマスポリエステル樹脂層と、バイオマスポリオレフィン樹脂層とを有してなるものである。積層体は、バイオマスポリオレフィン樹脂層を有することで、カーボンニュートラルなポリオレフィン樹脂の積層体を実現できる。したがって、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン樹脂の積層体と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。
本発明において、バイオマスポリエステル樹脂層は、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる下記のバイオマスポリエステル樹脂組成物からなる。
バイオマスポリエステル樹脂組成物中に含まれるバイオマスポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とからなり、ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールである。ジカルボン酸単位は化石燃料由来のジカルボン酸であってもよい。バイオマスポリエステルは、このようなバイオマス由来のエチレングリコールと化石燃料由来のジカルボン酸を用いた重縮合反応により得ることができる。
鎖延長剤は、重縮合終了後、均一な溶融状態で、無溶媒で反応系に添加し、重縮合により得られたバイオマスポリエステルと反応させる。
具体的には、バイオマスポリエステルをチップ化して乾燥させた後、100〜180℃の温度で1〜8時間程度加熱してバイオマスポリエステルを予備結晶化させ、続いて、190〜230℃の温度で、不活性ガス流通下または減圧下で1〜数十時間加熱することにより行われる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
本発明においては、バイオマスポリエステル樹脂組成物中の全炭素に対して、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量が、10〜19%であることが好ましい。バイオマスポリエステル樹脂組成物中のバイオマス由来の炭素含有量が10%未満であると、カーボンオフセット材料としての効果が乏しくなる。一方、上記したように、バイオマスポリエステル樹脂組成物中のバイオマス由来の炭素含有量は20%に近いほど好ましいが、フィルムの製造工程上の問題や物性面から、樹脂中には上記したようなリサイクルポリエステルや添加剤を含む方が好ましいため、実際の上限は18%となる。
本発明において、バイオマスポリオレフィン樹脂層は、下記のバイオマス由来のエチレンをバイオマスポリオレフィン樹脂層全体に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは5〜95質量%、さらに好ましくは25〜75質量%含んでなるものである。バイオマスポリオレフィン樹脂層は、少なくとも2層以上からなるものであってもよく、例えば、バイオマスポリエステル樹脂層側から順に第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層と第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層とを有してなる。積層体のシール層およびコア層は、両者がバイオマスポリオレフィン樹脂層であってもよく、いずれか一方のみがバイオマスポリオレフィン樹脂層であってもよい。
本発明において、第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層は、積層体のコア層としての機能を果たすものであってもよい。積層体はコア層を有することで、破断せず、優れた屈曲性を示すことができる。
本発明において、第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層は、積層体のシール層としての機能を果たすものであってもよい。積層体はヒートシール層を有することで、他の樹脂フィルム上に積層する際に接着剤等を用いなくとも、強固に接着させることができる。
第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層はコア層として機能するため、剛性が要求され、第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層はヒートシール層として機能するため、柔軟性が要求されるからである。
本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンの原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。
本発明において、バイオマス由来のポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオマス由来のエチレンには、上記の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。
なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
本発明において、バイオマスポリオレフィン樹脂組成物は、上記のポリオレフィンを主成分として含むものである。バイオマスポリオレフィン樹脂組成物は、バイオマス由来のエチレンをバイオマスポリオレフィン樹脂組成物全体に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは5〜95質量%、さらに好ましくは25〜75質量%含んでなるものである。バイオマスポリオレフィン樹脂組成物中のバイオマス由来のエチレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルなポリオレフィン積層体を実現できる。
本発明よる積層体は、非バイオマスポリオレフィン樹脂層をさらに有してもよい。非バイオマスポリオレフィン樹脂層は、化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる樹脂層であり、バイオマス度は0%である。積層体のコア層およびシール層のいずれか一方のみがバイオマスポリオレフィン樹脂層である場合には、他方は非バイオマスポリオレフィン樹脂層であってもよい。非バイオマスポリオレフィン樹脂層は、非バイオマスポリオレフィン樹脂層は、従来公知の原料を用いて形成することができ、その組成および形成方法は、特に限定されない。積層体が、非バイオマスポリオレフィン樹脂層をさらに有することで、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、およびその他の物性を付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、非バイオマスポリオレフィン樹脂層を2層以上有してもよい。非バイオマスポリオレフィン樹脂層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明よる積層体は、バリア層をさらに有してもよい。バリア層は、無機物および/または無機酸化物からなるものであり、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層をさらに有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50〜600Å位、更に、好ましくは、100〜450Å位が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化珪素の蒸着膜の場合には、膜厚50〜500Å位、更に、好ましくは、100〜300Å位が望ましいものである。
本発明よる積層体は、紙層をさらに有してもよい。積層体が紙層を有することで、容器としての剛性を持たせることができる。紙層として用いる紙は、好ましくは10〜150g/m2、より好ましくは20〜100g/m2の坪量を有するものである。紙層としては、「洋紙中」の「包装用紙」全般が対象だが、安全性の観点から化学パルプ100%を用いた上質紙、アート紙等の使用が好ましい。また、天然パルプ等のバイオマス由来の紙層を有することで、積層体全体のバイオマス度を向上させることができ、オールバイオマスの積層体を実現することもできる。
本発明による積層体は、上記の層以外に、その他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。その他の層は、上記の層のいずれか1層または2層以上の上に、形成することができる。その他の層としては、例えば、印刷層や接着層を挙げることができる。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。また、接着層は、いずれか2層をラミネートにより貼合するために形成される、接着剤層または接着樹脂層である。ラミネート用接着剤としては、例えば、1液あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。上記の接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。その塗布量としては、0.1g/m2〜10g/m2(乾燥状態)位が好ましく、1g/m2〜5g/m2(乾燥状態)位がより好ましい。
本発明による積層体は、包装容器や包装袋等の包装製品、化粧シートやトレー等のシート成形品、積層フィルム、光学フィルム、樹脂板、各種ラベル材料、蓋材、およびラミネートチューブ等の各種用途に好適に使用することができ、特に、包装製品が好ましい。
本発明は、バイオマス由来のエチレングリコールを用いたカーボンニュートラルなポリエステルを含むバイオマスポリエステル樹脂層と、バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含むバイオマスポリオレフィン樹脂層とを有してなる積層体を提供することであって、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリエステル樹脂層とポリオレフィン樹脂層を有する積層体と、機械的特性等の物性面で遜色ないバイオマス樹脂の積層体を提供することも目的とする。
本発明の更なる他の態様によれば、
ジオール単位とジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなるバイオマスポリエステル樹脂組成物からなり、前記ジオール単位がバイオマス由来のエチレングリコールである、バイオマスポリエステル樹脂層と、
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリオレフィンを含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と
を有してなる、積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマス由来のエチレンを前記バイオマスポリオレフィン樹脂層全体に対して5質量%以上含んでもよい。
本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマスポリエステル樹脂層側から順に第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層と第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層とを有してなり、第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマス由来のエチレンを第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層全体に対して5質量%以上含んでなり、第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマス由来のエチレンを第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層全体に対して5質量%以上含んでもよい。
本発明の態様においては、第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層中のバイオマス由来のエチレン濃度C1と第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層中のバイオマス由来のエチレン濃度C2が、C1>C2を満たしてもよい。
本発明の態様においては、前記モノマーが、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンをさらに含んでもよい。
本発明の態様においては、前記モノマーが、バイオマス由来のα−オレフィンをさらに含んでもよい。
本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂組成物が、化石燃料由来のエチレンと、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα−オレフィンとを含むモノマーが重合してなる化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでもよい。
本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂組成物が、5〜90質量%の前記バイオマス由来のポリオレフィンと、10〜95質量%の前記化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよい。
本発明の態様においては、前記α−オレフィンが、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであってもよい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィンが、ポリエチレンであってもよい。
本発明の態様においては、前記積層体が、化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる非バイオマスポリオレフィン樹脂層をさらに有してもよい。
本発明の態様においては、前記積層体が、無機物および/または無機酸化物からなるバリア層をさらに有してもよい。
本発明の態様においては、前記積層体が、紙層をさらに有してもよい。
本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマスポリエステル樹脂層上に押出成形により形成されてもよい。
本発明の態様においては、前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、共押出成形により形成されてもよい。
本発明の態様においては、前記共押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われてもよい。
本発明の別の態様においては、前記積層体からなる、包装製品が提供される。
このような本発明による積層体は、バイオマス由来のエチレングリコールを用いたカーボンニュートラルなポリエステルを含むバイオマスポリエステル樹脂層と、バイオマス由来のエチレンを用いたカーボンニュートラルなポリオレフィンを含むバイオマスポリオレフィン樹脂層とを有してなる積層体を有することで、カーボンニュートラルなバイオマス樹脂の積層体を実現できる。したがって、従来に比べて化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料から得られる原料から製造された樹脂の積層体と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の樹脂の積層体を代替することができる。
下記の参考例、参考比較例、実施例、および比較例において、バイオマス度とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量の値である。
スクリュー径:90mm
スクリュー型式:フルフライト
L/D:28
Tダイ:11S型ストレートマニホールド
Tダイ有効開口長:560mm
参考例1
バイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)を290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
バイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)50質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC701、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:14g/10分)50質量部とをドライブレンドした樹脂(バイオマス度:48%、密度:0.937g/cm3、MFR:17g/10分)を、290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。
押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
バイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SHA7260、バイオマス度:94.5%、密度:0.955g/cm3、MFR:20g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC701、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:14g/10分)67質量部とをドライブレンドした樹脂(バイオマス度:32%、密度:0.931g/cm3、MFR:16g/10分)を、290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。
押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC701、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:14g/10分)を290℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
上記の参考例1〜3および参考比較例1で用いたバイオマスポリオレフィン樹脂組成物の加工適性および得られたフィルムの特性について、以下の各種評価:(1)ドローダウン、(2)ネックイン、(3)モーター負荷、(4)樹脂圧力、(5)ループスティフネス、を行った。
(1)ドローダウン
上記の参考例1〜3および参考比較例1で用いたバイオマスポリオレフィン樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、樹脂温度290℃、スクリュー回転数34rpmの条件で、押出コーティング膜が膜切れするか、サージングする最高引取り速度(m/分)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
上記の参考例1〜3および参考比較例1で用いたバイオマスポリオレフィン樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、スクリュー回転数105rpmの条件で、引取り速度140m/分、エアーギャップ120mmの時の両耳ネックイン(mm)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
上記の参考例1〜3および参考比較例1において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際のモーター負荷(A)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
上記の参考例1〜3および参考比較例1において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際の樹脂圧力(MPa)を測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
上記の参考例1〜3および参考比較例1で得られた樹脂フィルムを、幅15mm、長さ150mmに切り出し、剛性試験機(東洋精機製作所社製、商品名:ループステフネステスタ)を用いてフィルムの剛性(N)の測定を行った。ループの長さは60mmとした。
測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
参考例4
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)を320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC604、バイオマス度:0%、密度:0.918g/cm3、MFR:8g/10分)67質量部とをメルトブレンドした樹脂(バイオマス度:29%、密度:0.918g/cm3、MFR:6.3g/10分)を、320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC604、バイオマス度:0%、密度:0.918g/cm3、MFR:8g/10分)37質量部と、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:KC573、バイオマス度:0%、密度:0.910g/cm3、MFR:15g/10分)30質量部とをメルトブレンドした樹脂(バイオマス度:29%、密度:0.916g/cm3、MFR:8.4g/10分)を、320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製、商品名:SLL318、バイオマス度:87%、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分)33質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC604、バイオマス度:0%、密度:0.918g/cm3、MFR:8g/10分)37質量部と、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:KS560T、バイオマス度:0%、密度:0.898g/cm3、MFR:16g/10分)30質量部とをメルトブレンドした樹脂(バイオマス度:29%、密度:0.912g/cm3、MFR:8.7g/10分)を、320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、商品名:LC600A、バイオマス度:0%、密度:0.919g/cm3、MFR:7g/10分)を320℃の樹脂温度にて、厚み12μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名:E5100)上に押し出して、樹脂フィルムを得た。押出成形の条件を、有効巾は560mm、押出厚みは30μm、押出速度は100m/分に設定した。
上記の参考例4〜7および参考比較例2で用いたバイオマスポリオレフィン樹脂組成物の加工適性および得られたフィルムの特性について、以下の各種評価:(6)ドローダウン、(7)ネックイン、(8)モーター負荷、(9)樹脂圧力、(10)シール開始温度、を行った。
上記の参考例4〜7および参考比較例2で用いたバイオマスポリオレフィン樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、樹脂温度290℃、スクリュー回転数34rpmの条件で、押出コーティング膜が膜切れするか、サージングする最高引取り速度(m/分)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
上記の参考例4〜7および参考比較例2で用いたバイオマスポリオレフィン樹脂組成物を、上記の押出製膜機を用いて、Tダイ幅560mm、スクリュー回転数105rpmの条件で、引取り速度140m/分、エアーギャップ120mmの時の両耳ネックイン(mm)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
上記の参考例4〜7および参考比較例2において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際のモーター負荷(A)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
上記の参考例4〜7および参考比較例2において、上記の押出製膜機を用いて樹脂フィルムを製造した際の樹脂圧力(MPa)を測定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
上記の参考例4〜7および参考比較例2で得られた樹脂フィルムを、厚さ幅15mm、長さ200mmに切り出し、シール温度は90〜150℃、シール圧力は30N/cm2、シール時間は1秒でヒートシールした。この試験片を引張試験機(テンシロンRTC−125A、オリエンテック社製)を用いて、引張速度300mm/分でT時剥離強度の測定を行い、シールが開始される温度(℃)を特定した。測定結果は、下記の表2に示される通りであった。
化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC701、MFR:14、密度:0.919)とバイオマス由来の高密度ポリエチレン(Braskem社製:SHA7260、MFR:20、密度:0.955、バイオマス度:94.5%)とを50:50でドライブレンドした樹脂を用意した。この樹脂を、紙(純白、坪量30g/m2)に15μmの厚みで押出しコーティングを行い、バイオマスPETフィルム(12μm、バイオマス度:14%)と貼り合わせた。
紙(純白、坪量30g/m2)に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC701、MFR:14、密度:0.919)を厚み15μmで押出しコーティングを行い、バイオマスPETフィルム(12μm、バイオマス度:14%)と貼り合わせた。
バイオマス由来のPETフィルム(厚さ12μm、バイオマス度:14%)に、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC701、MFR:14、密度:0.919)50質量部とバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、MFR:2.7、密度:0.918、バイオマス度:87%)50質量部とをドライブレンドした樹脂を、アンカーコートを介して300℃の樹脂温で押出し(15μm)、アルミ箔(日本製箔社製:1N30材、厚さ7μm)と貼合した。さらに、アルミ箔上に、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC701、MFR:14、密度:0.919)50質量部とバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、MFR:2.7、密度:0.918、バイオマス度:87%)50質量部とをドライブレンドした樹脂を、押し出しラミネート法により、アンカーコートを介して300℃の樹脂温で押出し(30μm)て、積層体を得た。
バイオマス由来のPETフィルム(厚さ12μm、バイオマス度:14%)に、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC701、MFR:14、密度:0.919)を、アンカーコートを介して300℃の樹脂温で押出し(15μm)、アルミ箔(日本製箔社製:1N30材、厚さ7μm)と貼合した。さらに、アルミ箔上に、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC701、MFR:14、密度:0.919)を、押し出しラミネート法により、アンカーコートを介して300℃の樹脂温で押出し(30μm)て、積層体を得た。
長期保存型液体紙容器の内面フィルム用途として、アルミ箔(東洋アルミ社製、7μm)と厚み12μmのバイオマス由来のPETフィルム(東洋紡社製:DE024、12μm)をドライラミネート(DIC製:主剤LX−703A/硬化剤KR−90)にて貼り合せた。その後、PETフィルム面側にポリエステルポリオール/イソシアネート2液硬化型アンカー剤のコーティングを行い、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC520(MFR:3.6、密度:0.923))50質量部とバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、MFR:2.7、密度:0.918、バイオマス度:87%)50質量部とをドライブレンドした樹脂を、320℃の樹脂温にて押し出し(20μm、ライン速度100m/分)ながら、低密度ポリエチレンフィルム(大日本印刷製:SKL、密度:0.923、40μm)と貼り合せて、積層体を得た。積層体全体のバイオマス度は10%であった。
長期保存型液体紙容器の内面フィルム用途として、アルミ箔(東洋アルミ社製、7μm)と化石燃料由来のPETフィルム(東洋紡社製:E5100、12μm)をドライラミネート(DIC製:主剤LX−703A/硬化剤KR−90)にて貼り合せた。その後、PETフィルム面側にポリエステルポリオール/イソシアネート2液硬化型アンカー剤のコーティングを行い、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製:LC520(MFR:3.6、密度:0.923))50質量部とバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製:SLL318、MFR:2.7、密度:0.918、バイオマス度:87%)50質量部とをドライブレンドした樹脂を320℃の樹脂温にて押し出し(20μm、ライン速度100m/分)ながら、低密度ポリエチレンフィルム(大日本印刷製:SKL、密度:0.923、40μm)と貼り合せて、積層体を得た。積層体全体のバイオマス度は7%であった。
11 バイオマスポリエステル樹脂層
12 バイオマスポリオレフィン樹脂層
20 積層体
21 バイオマスポリエステル樹脂層
22 第1のバイオマスポリオレフィン樹脂層
23 第2のバイオマスポリオレフィン樹脂層
Claims (6)
- 化石燃料由来のジオール単位と化石燃料由来のジカルボン酸単位とからなるポリエステルを主成分として含んでなる化石燃料ポリエステル樹脂組成物からなる、化石燃料ポリエステル樹脂層と、
バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマス由来のポリエチレンを含んでなるバイオマスポリオレフィン樹脂組成物からなるバイオマスポリオレフィン樹脂層と、
化石燃料由来の原料を含む樹脂材料からなる非バイオマスポリオレフィン樹脂層と、
をこの順に有してなり、
前記非バイオマスポリオレフィン樹脂層が最内層を構成しており、
ポリエチレン層が最外層を構成していない、包装製品用積層体。 - 無機物を含むバリア層をさらに有してなる、請求項1に記載の包装製品用積層体。
- 前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来の低密度ポリエチレンおよび/またはバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでなる、請求項1又は2に記載の包装製品用積層体。
- 前記バイオマスポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマス由来のエチレンを前記バイオマスポリオレフィン樹脂層全体に対して5質量%以上含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装製品用積層体。
- 前記バリア層が金属箔からなる、請求項2に記載の包装製品用積層体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装製品用積層体を備える、包装製品。
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