上記の特許文献1〜3に記載の取付具は、板材の上下の端部に設けられた接合部が切断されることなく施工される場合に使用されるものである。しかし、建物の窓枠回りやベランダの手摺壁部分等において、板材が規定の寸法のまま取り付けられず、下端面の接合部が切断される場合がある。このような場合には、上記のような取付具を用いることができないため、釘やネジ等を用いて板材の下部を構造体に固定することになる。
このような釘やネジ等の締結具を用いて板材を取り付ける方法は、石積み柄等の柄の板材では柄の表面に細かな凹凸があるため、釘やネジ等の頭が目立ち難く比較的問題となりにくい。しかし、近年、フラットで光沢のある板材が開発され、このような板材に釘やネジ等の締結具を用いて板材を取り付ける方法は、板材の施工後の壁の意匠性を損ねる懸念がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、板材の表面に釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体における窓枠回りやベランダの手摺壁部分等に対して板材を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる板材の端面取付具、壁構造及び板材の施工方法を提供することを解決すべき課題としている。
本発明の第1の態様の板材の端面取付具は、建物を構成する構造体に対して板材の端面を支持するための端面取付具であって、
前記構造体に固定される端面固定部と、
前記端面固定部から突出し、前記板材の前記端面を支承する第1端面支承部と、
所定の間隔を有して前記第1端面支承部の長手方向に沿って複数設けられ、前記第1端面支承部の先端縁から前記第1端面支承部と同じ方向に延びる第2端面支承部と、
前記第2端面支承部の先端側に設けられ、前記板材の前記端面に形成された複数の溝部に挿入可能に突出する端面係止部と、を備えていることを特徴とする。
第1の態様の板材の端面取付具では、板材の端面に複数の溝部が形成されている。そして、板材の端面を例えば下側として端面取付具により取り付ける場合、端面取付具の端面係止部が上向きに突出する状態で、板材の溝部に挿入される。これにより、端面係止部が板材を係止するとともに、第1端面支承部と第2端面支承部とが板材の下端面を下から支承する。その結果、この端面取付具は、釘やネジ等の締結具を用いることなく板材の荷重を好適に支え、取り付けることができる。よって、板材により構成された壁表面の意匠性を損ねることがない。
また、この端面取付具では、屋外側に位置する複数の第2端面支承部が間隙を有して設けられ、長手方向に延びる第1端面支承部は、第2端面支承部よりも屋内側に後退した部分に位置する。このため、屋外側からシーリング材を付設した場合、シーリング材が端面取付具に付着する量を可及的に少なくすることができる。これによって、シーリング材が端面取付具との間で剥離することを可及的に防止できる。
したがって、本発明の第1の態様の板材の端面取付具では、板材の表面に釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体における窓枠回りやベランダの手摺壁部分等に対して板材を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
本発明の第2の態様として、板材の溝部は、内周面が円弧状に凹んでいることが望ましい。そして、端面係止部は、溝部の内周面に沿うテーパ形状及び円弧形状の少なくとも一方とされていることが望ましい。
この場合、施工時に、板材の一部を設置場所に応じて切断し、その板材の切断小口に溝加工によって複数の溝部を形成することで、その板材を好適に構造体に取り付けることができる。特に、板材の柄を合わせるために板材の配置を最適化する際に効果的である。この際、溝部は、回転刃を用いた切削により、容易に形成できる。そして、テーパ形状及び円弧形状の少なくとも一方とされた端面係止部は、内周面が円弧状である溝部の奥まで進入できるので、端面係止部によって、板材の端面を確実に係止できる。また、この場合、端面係止部が溝部の長手方向に移動可能な調整代を確保し易いので、端面取付具の端面係止部に対する板材の溝部の位置決めを容易に行うことができる。
本発明の第3の態様として、端面取付具は、端面固定部との間に所定の間隔を有し、端面固定部から突出して板材の裏面と当接可能に延在する当接部をさらに備えていることが望ましい。
この構成によれば、地震や強風等により板材に揺れが生じる場合であっても、板材の裏面と当接する当接部によって、板材が構造体に接近する方向にずれることを防止できる。
本発明の第4の態様として、第1端面支承部には、貫通孔が設けられていることが望ましい。
この場合、貫通孔によって、端面取付具の周辺の水抜きや通気を良好に行える。特に、第1端面支承部に雨水等が留まることを防止して、板材の端面からの吸水による劣化を効果的に抑制できる。
本発明の第5の態様として、壁構造は、建物を構成する構造体に対して、複数の板材を取り付けた壁構造であって、
前記板材の少なくとも1つは、中間取付具と端面取付具とによって支持される特定板材であり、
前記特定板材は、
前記特定板材の上端部に形成され、前記特定板材の表面から裏面に向かって凹み、水平方向に延在する裏側上下接合部と、
前記特定板材の下端部に形成された下端面と、
前記特定板材の前記下端面に形成された複数の溝部と、を有し、
前記中間取付具は、
前記構造体に固定される中間固定部と、
前記中間固定部から突出し、前記特定板材の前記裏側上下接合部を支持する下中間係止部と、を備え、
前記端面取付具は、
前記構造体に固定される端面固定部と、
前記端面固定部から突出し、前記特定板材の前記下端面を支承する第1端面支承部と、
所定の間隔を有して前記第1端面支承部の長手方向に沿って複数設けられ、前記第1端面支承部の先端縁から前記第1端面支承部と同じ方向に延びる第2端面支承部と、
前記第2端面支承部の先端側に設けられ、前記特定板材の前記下端面に形成された複数の前記溝部に挿入可能に突出する端面係止部と、を備えていることを特徴とする。
特定板材の上端部に裏側上下接合部が形成され、特定板材の下端部には、例えば、施工現場等で、表側上下接合部が切断される等して表側上下接合部が存在せず、下端面が形成されている。この特定板材の下端面には、複数の溝部が形成されている。すなわち、特定板材の上端部と下端部とが異なった構成とされている。
この特定板材を構造体に取り付ける際、端面取付具の端面係止部が上向きに突出する状態で、特定板材の溝部に挿入される。これにより、端面係止部が特定板材を係止するとともに、第1端面支承部と第2端面支承部とが特定板材の下端面を下から支承する。その結果、この端面取付具は、釘やネジ等の締結具を用いることなく特定板材の荷重を好適に支え、取り付けることができる。よって、特定板材により構成された壁表面の意匠性を損ねることがない。
また、この端面取付具では、屋外側に位置する複数の第2端面支承部が間隙を有して設けられ、長手方向に延びる第1端面支承部は、第2端面支承部よりも屋内側に後退した部分に位置する。このため、屋外側からシーリング材を付設した場合、シーリング材が端面取付具に付着する量を可及的に少なくすることができる。これによって、シーリング材が端面取付具との間で剥離することを可及的に防止できる。
一方、特定板材の上端側は、中間取付具により取り付けられる。この場合、中間取付具の下中間係止部が下向きに突出する状態で、特定板材の裏側上下接合部を支持する。これにより、中間取付具は、釘やネジ等の締結具を用いることなく特定板材の荷重を好適に支え、取り付けることができる。よって、特定板材により構成された壁表面の意匠性を損ねることがない。
すなわち、端面取付具と中間取付具とを組み合わせることにより、上端部と下端部とが異なる特定板材を用いて、釘やネジ等の締結具を用いることなく意匠性の高い壁構造を提供することができる。
したがって、第5の態様の壁構造によれば、板材の表面に釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体における窓枠回りやベランダの手摺壁部分等に対して板材を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
本発明の第6の態様として、特定板材以外の板材の少なくとも1つである標準板材は、標準板材の下端部に形成され、標準板材の裏面から表面に向かって凹み、水平方向に延在する表側上下接合部を有していることが望ましい。そして、中間取付具は、中間固定部から突出し、標準板材の表側上下接合部を支持する上中間係止部を、をさらに有していることが望ましい。
特定板材以外の板材の少なくとも1つである標準板材は、下端部に表側上下接合部を有している。このため、標準板材の上端部及び下端部を中間取付具によって、構造体に取り付けることができる。したがって、端面取付具と中間取付具とを組み合わせることにより、特定板材及び標準板材を用いて、釘やネジ等の締結具を用いることなく意匠性の高い壁構造を提供することができる。
本発明の第7の態様として、特定板材及び標準板材は、各板材における水平方向の一端部に形成され、各板材の裏面から表面に向かって凹み、垂直方向に延在する表側左右接合部と、各板材における水平方向の他端部に形成され、各板材の表面から裏面に向かって凹み、垂直方向に延在する裏側左右接合部と、を有していることが望ましい。
特定板材と標準板材は、表側左右接合部と裏側左右接合部とを有する。このため、表側左右接合部と裏側左右接合部とが重なり合って構成される左右合決り部には、シーリング材を使用する必要性を可及的に少なくすることができる。これにより、意匠性の高い壁構造を提供することができる。
本発明の第8の態様として、特定板材の溝部は、内周面が円弧状に凹んでいることが望ましい。
この場合、施工時に、板材の一部を設置場所に応じて切断し、その板材の切断小口に溝加工によって複数の溝部を形成することで、特定板材を作成し、特定板材を好適に構造体に取り付けることができる。特に、板材の柄を合わせるために板材の配置を最適化する際に効果的である。この際、溝部は、回転刃を用いた切削により、容易に形成できる。
本発明の第9の態様として、端面取付具の端面係止部は、溝部の内周面に沿うテーパ形状及び円弧形状の少なくとも一方とされていることが望ましい。
この場合、テーパ形状及び円弧形状の少なくとも一方とされた端面係止部は、内周面が円弧状である溝部の奥まで進入できるので、端面係止部によって、特定板材の下端面を確実に係止できる。また、この場合、端面係止部が溝部の長手方向に移動可能な調整代を確保し易いので、端面取付具の端面係止部に対する特定板材の溝部の位置決めを容易に行うことができる。
本発明の第10の態様として、端面取付具に支持された特定板材の裏面と、端面取付具の端面固定部との間には、空間が形成されていることが望ましい。
この場合、特定板材の裏面と端面取付具の端面固定部との間に、通気用の空間を確保することができる。
本発明の第11の態様として、端面取付具の第1端面支承部には、貫通孔が設けられていることが望ましい。
この場合、貫通孔によって、端面取付具の周辺の水抜きや通気を良好に行える。特に、第1端面支承部に雨水等が留まることを防止して、特定板材の下端面からの吸水による劣化を効果的に抑制できる。
本発明の第12の態様として、板材の施工方法は、建物を構成する構造体に対して、複数の板材を取り付ける板材の施工方法であって、
前記板材の少なくとも1つは、中間取付具と端面取付具とによって支持される特定板材であり、
前記特定板材は、
前記特定板材の上端部に形成され、前記特定板材の表面から裏面に向かって凹み、水平方向に延在する裏側上下接合部と、
前記特定板材の下端部に形成された下端面と、
前記特定板材の前記下端面に形成された複数の溝部と、を有し、
前記中間取付具は、
前記構造体に固定される中間固定部と、
前記中間固定部から突出し、前記特定板材の前記裏側上下接合部を支持する下中間係止部と、を備え、
前記端面取付具は、
前記構造体に固定される端面固定部と、
前記端面固定部から突出し、前記特定板材の前記下端面を支承する第1端面支承部と、
所定の間隔を有して前記第1端面支承部の長手方向に沿って複数設けられ、前記第1端面支承部の先端縁から前記第1端面支承部と同じ方向に延びる第2端面支承部と、
前記第2端面支承部の先端側に設けられ、前記特定板材の前記下端面に形成された複数の前記溝部に挿入可能に突出する端面係止部と、を備え、
前記端面取付具の前記端面固定部を前記構造体に固定する第1工程と、
前記端面取付具の前記端面係止部を前記特定板材の前記溝部に挿入させて、前記端面取付具の前記第1端面支承部及び前記第2端面支承部が前記特定板材を下から支承する状態とする第2工程と、
前記中間取付具の前記中間固定部を前記構造体に固定する第3工程と、
前記中間取付具の前記下中間係止部によって前記特定板材の前記裏側上下接合部を支持した状態とする第4工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明の第12の態様の板材の施工方法によれば、第5の態様の壁構造が奏する作用効果によって、板材の表面に釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体における窓枠回りやベランダの手摺壁部分等に対して板材を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
本発明の第13の態様として、板材の施工方法は、第2工程の前に、特定板材の下端面に溝加工によって複数の溝部を形成する溝加工工程を実施することが望ましい。
この場合、施工時に、板材の一部を設置場所に応じて切断し、その板材の切断小口に溝加工によって複数の溝部を形成することで、特定板材を作成し、特定板材を好適に構造体に取り付けることができる。特に、板材の柄を合わせるために板材の配置を最適化する際に効果的である。
本発明の板材の端面取付具、壁構造及び板材の施工方法によれば、板材の表面に釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体における窓枠回りやベランダの手摺壁部分等に対して板材を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した実施の形態1〜3を図面を参照しつつ説明する。なお、図1において、垂直上方向を上と表示し、垂直下方向を下と表示する。また、図1の屋外から屋内に向う方向において水平左方向を左と表示し、水平右方向を右と表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、図1に対応させて表示する。
(実施の形態1)
図1は、複数の外壁板2を建物の構造体8に対して取り付けた状態を示している。図7〜図14に示す実施の形態1の端面取付具100は、窓枠回りやベランダの手摺壁部分等において構造体8に対して外壁板2を取り付けるためのものである。
なお、図1及び図4に示すスタータ60は、最も下に位置する外壁板2の下端部を支持するためのものである。また、図1、図5及び図6に示す中間取付具70は、上下に隣接する外壁板2を支持するためのものである。
建物は、住宅、施設、倉庫等である。外壁板2は、「板材」の一例である。外壁板2は、それ自体が高い強度や剛性を有して建物の外壁を構成する板材である。なお、板材は外壁板に限定されず、例えば、表面に意匠性の高い化粧面を有する化粧板、屋内用構造パネル、内装板等であってもよい。
本実施の形態では、構造体8は、図1に示すように、木造軸組構法によって建築されるものである。構造体8は、複数の構造部材によって構成される。構造部材には、左右方向に所定の間隔を有して並ぶ複数の柱材9等の他、柱材9間に配置される間柱等の補助部材も含まれる。各柱材9の屋外方向を向く外面には、胴縁と呼ばれる支持部材7が図示しない止めネジや釘等によって固定されている。この支持部材7も構造部材に含まれる。各柱材9と支持部材7との間には、防水シート6が敷設されている。図4、図5、図7及び図8では、防水シート6の図示を省略している。
なお、構造体8は、本実施の形態の構成に限定されず、木造枠組壁構法等によって建築されてもよい。また、板材が取り付けられる構造体は、例えば、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、レンガ造等の躯体であってもよいし、屋内の区画壁であってもよい。
図1及び図2に示すように、外壁板2は、四辺形状、より具体的には、左右方向に長い略矩形状の板材である。本実施の形態では、外壁板2は、セメントを含む窯業系材料からなる。なお、外壁板2の材質や形状は上記には限定されない。例えば、材質は金属系材、木質系材、樹脂系材等を適宜選択でき、形状は四辺形状で上下に長い略矩形形状の板材等を適宜選択できる。
複数の外壁板2は、上下方向及び左右方向に隣接する状態で、構造体8の外面を覆う。図2及び図3に示すように、外壁板2の表面2Fは、例えば、柄のないフラットで光沢のある外装面の他、レンガ柄等のデザインが施された外装面となっている。
外壁板2の左端部には、表側左右接合部21が形成されている。各外壁板2の右端部には、裏側左右接合部22が形成されている。各外壁板2の下端部には、表側上下接合部23が形成されている。各外壁板2の上端部には、裏側上下接合部24が形成されている。表側左右接合部21、裏側左右接合部22、表側上下接合部23及び裏側上下接合部24は、「実部」とも呼ばれる。
なお、図2では、外壁板2の大きさに対して、表側左右接合部21、裏側左右接合部22、表側上下接合部23及び裏側上下接合部24の大きさが大きく誇張して図示されている。
表側左右接合部21は、外壁板2の裏面2Bから表面2Fに向かって段状に形成され、上下方向、すなわち、外壁板2の左端部に沿って延在している。
裏側左右接合部22は、外壁板2の表面2Fから裏面2Bに向かって段状に形成され、上下方向、すなわち、外壁板2の右端部に沿って延在している。裏側左右接合部22における屋外方向を向く平坦面には、コーキング22Sが設けられている。コーキング22Sは、裏側左右接合部22に沿って直線状に配設されている。なお、コーキングは必須ではなく、省略することもできる。
表側上下接合部23は、外壁板2の裏面2Bから表面2Fに向かって段状に形成され、左右方向、すなわち、外壁板2の下端部に沿って延在している。表側上下接合部23には、上向きに略テーパ状に凹む係合凹部23Aが形成されている。
裏側上下接合部24は、外壁板2の表面2Fから裏面2Bに向かって段状に形成され、左右方向、すなわち、外壁板2の上端部に沿って延在している。裏側上下接合部24における屋外方向を向く平坦面には、コーキング24Sが設けられている。コーキング24Sは、裏側上下接合部24に沿って直線状に配設されている。なお、コーキングは必須ではなく、省略することもできる。裏側上下接合部24には、コーキング24Sよりも上方において上向きに略テーパ状に突出する係合凸部24Aが形成されている。
図3及び図5に示すように、上側の外壁板2の表側上下接合部23と、下側の外壁板2の裏側上下接合部24とが重なり合うことによって、上下方向に隣接する外壁板2同士の間に、上下合決り部が形成される。図3に示すように、右側の外壁板2の表側左右接合部21と、左側の外壁板2の裏側左右接合部22とが重なり合うことによって、左右方向に隣接する外壁板2同士の間に、左右合決り部が形成される。
すなわち、各外壁板2は、表側左右接合部21、裏側左右接合部22、表側上下接合部23及び裏側上下接合部24を備える、いわゆる「四方合い決り構造」の板材である。
このような構成である各外壁板2は、以下のようにして、図1及び図4に示すスターター60、図1、図5及び図6に示す中間取付具70、及び図7〜図14に示す実施の形態1の端面取付具100に支持される。
スターター60、中間取付具70及び端面取付具100は、鉄やステンレススチール等の金属板が打ち抜き加工、プレス加工及び折り曲げ加工等されることによって製造される。なお、スターター60、中間取付具70及び端面取付具100の材質や製造方法は上記に限定されず、各種の材料や、製造方法を適宜選択できる。
図1及び図4に示すように、構造体8の外面の下端部には、水切り部材8G及びスターター60が設けられている。スターター60は、設置部65、支持面部61及び先端屈曲部63を備える断面略L字形状の部材である。
平板状の設置部65は、水切り部材8Gよりも上方の位置で、支持部材7を介して締結具としてのネジ60Bにより、構造体8に固定されている。支持面部61は、設置部65の下端部から屋外方向に突出し、かつ左右方向に延びている。先端屈曲部63は、支持面部61の先端部から上向きに突出している。最下方に配置される外壁板2の係合凹部23Aを先端屈曲部63が係止する状態で、その外壁板2の下端部を支持面部61が支承するようになっている。これにより、スターター60は、水切り部材8Gよりも上方の位置で、最下方に配置される外壁板2の下端部を支持するようになっている。
図1、図5及び図6に示すように、構造体8の外面には、複数の中間取付具70が上下方向及び左右方向に互いに離間する状態で設けられている。中間取付具70は、中間固定部75、中間当接部77、中間支承部71、上中間係止部73及び下中間係止部74を備えている。中間取付具70は、ネジや釘等の締結具を挿入するための固定孔75A、75Bを有している。
図5に示す中間取付具70は、上下に隣接する外壁板2の上下合決り部を任意の箇所で支持する場合に用いられる。このため、図5に示す中間取付具70は、横ずれ防止具を有しない。その一方、図6に示す中間取付具70は、横ずれ防止具79を有する場合を示している。隣接する外壁板2の左右合決り部に中間取付具70を用いる場合は、図6に示す中間取付具70を用いて、左右の外壁板2の間に横ずれ防止具79を位置させることで、外壁板2の横方向のずれを防止できるようになっている。
中間固定部75は、略矩形状の周縁部を有する板材である。中間固定部75は、上下方向に隣接する外壁板2の上下合決り部の近傍の位置で、支持部材7を介して締結具としてのネジ70Bにより、構造体8に固定されている。中間当接部77は、中間固定部75の周縁部よりも内側で、支持部材7から離間するように屋外方向に膨出している。中間支承部71は、中間当接部77における上下方向の略中間部から屋外方向に突出し、かつ中間固定部75の左右方向に延在している。上中間係止部73は、中間支承部71の先端部から上向きに突出している。下中間係止部74は、中間支承部71の先端部から下向きに突出している。下中間係止部74が下側の外壁板2の係合凸部24Aを係止する。上中間係止部73が上側の外壁板2の係合凹部23Aを係止する。中間支承部71が上側の外壁板2の下端部を支承する。そして、中間当接部77が上下の外壁板2の裏面2Bに当接し、構造体8と外壁板2の裏面2Bとの間に通気空間を確保する。これにより、中間取付具70は、上下方向に隣接する外壁板2の上下合決り部を支持するようになっている。
このような作業を他の外壁板2についても実施することにより、各外壁板2は、上下方向及び左右方向に隣接する状態で構造体8に支持され、構造体8の外面を覆う。
図1、図7及び図8に示すように、外壁板2は、構造体8における窓枠8Wの上方に取り付けられる場合がある。この場合において、窓枠8Wとの干渉を避けたり、隣接する外壁板2との意匠面のずれを防止したりするために、外壁板2における表側上下接合部23を含む一部を切断した上で、その外壁板2を構造体8に取り付け、その外壁板2の切断されてなる平坦な下端面を窓枠8Wに上方から隣接させることがある。
また、図13及び図14に示すように、外壁板2は、構造体8におけるベランダの手摺壁部(以下、「ベランダ手摺壁部」と呼ぶ)8Hに取り付けられる場合、隣接する外壁板2との意匠面のずれを防止するために、外壁板2における表側上下接合部23を切断した上で、その外壁板2を構造体8に取り付けることがある。
さらに、図示は省略するが、外壁板2は、構造体8における一階屋根の上方に位置する二階部分の外壁に取り付けられる場合、一階屋根との干渉を避けたり、隣接する外壁板2との意匠面のずれを防止したりするために、外壁板2における表側上下接合部23を含む一部を切断した上で、その外壁板2を構造体8に取り付け、その外壁板2の切断されてなる平坦な下端面を一階屋根に隣接させることがある。
これらのように、表側上下接合部23を切断した外壁板2が特許請求の範囲における「特定板材」である。具体的には、図1、図7、図8及び図12〜図14に示す外壁板2であり、それらを外壁板2(2A)とする。一方、表側上下接合部23を切断していない状態の外壁板2が特許請求の範囲における「標準板材」である。
実施の形態1の端面取付具100は、以下に説明するように、表側上下接合部23が切断された外壁板2(2A)の平坦な下端面を支持することができる。なお、以下の説明では、図7及び図8に示すように、外壁板2(2A)の下端面2Pを窓枠8Wに、端面取付具100によって支持する構成について詳しく説明し、そのような平坦な下端面をベランダ手摺壁部8Hや一階屋根等に隣接させる状態で端面取付具100によって支持する構成については、同様であるので、図13及び図14を示して説明を簡略する。また、外壁板2(2A)の下端面2Pは、窓枠8W、ベランダ手摺壁部8H、一階屋根等の形状に応じて、傾斜する場合もあり得る。
図7及び図8に示す例では、窓枠8Wの上端部分は、柱材80及びアルミサッシ89等を含んで構成されている。アルミサッシ89は、左右方向に延在する柱材80の外面の下端部に、スペーサ80Sを介して固定されている。アルミサッシ89の先端部は、屋外方向に突出し、かつ左右方向に延在している。
柱材80の外面には、左右方向に間隔を有して配置される複数の胴縁等の支持部材7の下端部が図示しない釘や止めネジ等によって固定されている。
端面取付具100は、アルミサッシ89の先端部に上方から隣接する状態で構造体8の支持部材7及び柱材80に固定されて、外壁板2(2A)の下端面2Pを支持している。なお、取付具100の形状等の説明に関し、上下方向、左右方向及び屋内外方向は、端面取付具100が構造体8に取り付けられた状態を基準とする。
端面取付具100は、左右方向に長く延びる、全長約1500mm〜約3500mm程度の部材であり、設置箇所に応じた長さに適宜切断されて使用される。端面取付具100は、端面固定部115、第1端面支承部111、第2端面支承部112及び端面係止部113を備えている。
端面固定部115は、上下方向及び左右方向に平板状に延在している。端面固定部115には、締結具としてのネジ100Bを挿通するための固定孔115Hが複数設けられている。各固定孔115Hの数や間隔は、構造体8の構成等に応じて適宜設定される。
第1端面支承部111は、端面固定部115の下端縁に接続し、屋外方向に屈曲して構造体8から離間するように突出し、かつ左右方向に延在している。第1端面支承部111には、上下方向に貫通する貫通孔111Hが複数設けられている。
端面固定部115に対する第1端面支承部111の突出方向における貫通孔111Hの位置は、図8に示すように、外壁板2(2A)が第1端面支承部111上に載置された際に、外壁板2(2A)が貫通孔111Hを完全に封鎖しないように設定されている。
図10に示すように、第1端面支承部111が屋外方向に突出する長さを第1長さL111とする。第1長さL111は、図8に示す外壁板2(2A)の溝部2Sの屋内側の面から裏面2Bまでの距離L2よりも長く設定されている。これによって、外壁板2(2A)の裏面2Bと支持部材7の間に通気空間が形成されるようになっている。通気は、貫通孔111Hを介して行われるようになっている。貫通孔111Hの数や間隔は、水抜きや通気の必要性に応じて適宜設定される。
第2端面支承部112は、第1端面支承部111の先端側に複数設けられている。第2端面支承部112は、第1端面支承部111の先端縁の複数個所から第1端面支承部111と同じ方向に突出し、かつ左右方向に延在している。第2端面支承部112は、例えば、左右方向において中心間の距離が50mm〜150mm程度の間隔を有して互いに離間している。
図10に示すように、第2端面支承部112が第1端面支承部111の先端縁から突出する長さを第2長さL112とする。第2長さL112は、図8に示すように、外壁板2(2A)の下端面2Pが第1端面支承部111上に載置され、外壁板2(2A)の下端面2Pとアルミサッシ89の先端部との間に、バックアップ材88Bが配置され、さらにシーリング材88が付設された後に、シーリング材88の厚みが十分で、且つ、可及的にシーリング材88が第1端面支承部111に付着しないような長さに設定されている。これは、端面取付具100を構成する部材が、例えば、金属板の場合、シーリング材88が金属製の第1端面支承部111に付着した際に、シーリング材88がその付着部分から剥離し易くなることを防止するためである。
端面係止部113は、第2端面支承部112の先端側に複数設けられている。端面係止部113は、各第2端面支承部112の先端縁からそれぞれ屈曲して上向きに突出し、かつ第2端面支承部112と同程度の幅を有している。端面係止部113は、上方かつ左方の角部と上方かつ右方の角部とが切り取られて、上向きに先細るテーパ形状とされている。なお、端面係止部113の上端縁を上に膨らむ円弧形状とすることもできる。
次に、このような構成である端面取付具100を用いて、外壁板2の表側上下接合部23を切断して外壁板2(2A)とし、その外壁板2(2A)の平坦な下端面2Pを支持する施工方法について説明する。この施工方法は、第1工程、第2工程、第3工程及び第4工程を実施するとともに、第2工程の前に、溝加工工程を実施する。なお、溝加工工程は、第1工程の前に実施してもよい。
第1工程では、図7及び図8に示すように、端面取付具100の端面固定部115を構造体8に固定する。より詳しくは、端面取付具100の第1端面支承部111をアルミサッシ89の先端部に上方から隣接させた状態で、端面取付具100の端面固定部115を柱材80の外面に固定された支持部材7の下端部に当接させる。そして、端面固定部115の固定孔115Hに締結具としてのネジ100Bをねじ込む作業を複数個所において行うことにより、端面固定部115が支持部材7の下端部及び柱材80に強固に固定される。
次に、溝加工工程では、外壁板2の下端部分を窓枠8Wの上端部分に配置するのに適当な寸法に切断し、表側上下接合部23を除去することにより外壁板2(2A)とし、外壁板2(2A)の平坦な下端面2Pに、溝加工によって溝部2Sを形成する。より詳しくは、円形の回転刃をモータで回転させる電気丸のこ等を使用し、回転刃によって、外壁板2(2A)の下端面2Pに溝部2Sを切削加工する。これにより、図12に示すように、溝部2Sは、内周面2Tが円弧状に凹んで、中央部分が深く、左端及び右端に向かうにつれて浅くなっている。図8に示すように、溝部2Sの対向する内側面同士の間隔は、端面係止部113の板厚よりも僅かに大きく設定されている。
図7に示すように、外壁板2(2A)の下端面2Pに形成される溝部2Sの数や位置は、第1工程によって構造体8に固定された端面取付具100の各端面係止部113の位置等に対応して、適宜設定される。
次に、第2工程では、図7、図8及び図12に示すように、端面取付具100の各端面係止部113を外壁板2(2A)の下端面2Pの溝部2Sに挿入させて、各端面係止部113によって下端面2Pを係止する。この際、図13に示すように、テーパ形状の端面係止部113は、溝部2Sの円弧状に凹む内周面2Tに沿う。また、図8に示すように、端面係止部113は、溝部2Sの対向する内側面同士によって挟まれる。端面取付具100の第1端面支承部111と第2端面支承部112とは、外壁板2(2A)の下端面2Pを下から支持する。
次に、第3工程では、図5に示すように、中間取付具70の中間固定部75を支持部材7を介して締結具としてのネジ70Bにより、構造体8に固定する。
次に、第4工程では、中間取付具70の下中間係止部74によって外壁板2(2A)の上端部に形成された裏側上下接合部24を支持した状態とする。さらに、その上に、必要に応じて、他の外壁板2が取り付けられる。
こうして、端面取付具100は、外壁板2(2A)の下端面2Pを窓枠8Wに支持することができる。また、端面取付具100が外壁板2(2A)の表面2F側に露出しないので、窓枠8Wにおける外壁板2(2A)の下端面2Pの周辺の美観が向上する。さらに、外壁板2(2A)の裏面2Bと、支持部材7及び柱材80との間に通気空間が確保され、端面取付具100の第1端面支承部111に貫設された貫通孔111Hによって、その通気空間からの水抜きや通気を良好に行える。
図13及び図14に示す例では、ベランダ手摺壁部8Hの下端部分は、柱材80及び水切り部材81等を含んで構成されている。水切り部材81は、左右方向に延在する柱材80の外面の下端部に固定されて、屋外方向に向って下り傾斜するように突出し、かつ左右方向に延在している。
柱材80の外面には、左右方向に間隔を有して配置される複数の胴縁等の支持部材7が図示しない釘や止めネジ等によって固定されている。
端面取付具100は、水切り部材81に上方から隣接する状態で構造体8の支持部材7及び柱材80に固定される。そして、端面取付具100は、窓枠8Wの例と同様にして、外壁板2(2A)の下端面2Pをベランダ手摺壁部8Hに支持している。なお、この例では、外壁板2(2A)の下端面2Pと水切り部材81との間に、シーリング材を付設しなくてもよい。
<作用効果>
実施の形態1の外壁板2の端面取付具100、壁構造及び外壁板2の施工方法では、「特定板材」の一例である外壁板2(2A)は、その上端部に裏側上下接合部24が形成され、その下端部に、図1、図7、図8及び図12〜図14に示すように、施工現場等で、表側上下接合部23が切断される等して表側上下接合部23が存在せず、平坦な下端面2Pが形成されている。この外壁板2(2A)の下端面2Pには、複数の溝部2Sが形成されている。すなわち、外壁板2(2A)の上端部と下端部とが異なった構成とされている。
外壁板2(2A)を構造体8に取り付ける際、図7、図8、図13及び図14に示すように、端面取付具100の端面係止部113が上向きに突出する状態で、外壁板2(2A)の溝部2Sに挿入される。これにより、端面係止部113が外壁板2(2A)を係止するとともに、第1端面支承部111と第2端面支承部112とが外壁板2(2A)の下端面2Pを下から支承する。その結果、この端面取付具100は、釘やネジ等の締結具を用いることなく外壁板2(2A)の荷重を好適に支え、取り付けることができる。よって、外壁板2(2A)により構成された壁表面の意匠性を損ねることがない。
また、この端面取付具100では、図10に示すように、屋外側に位置する複数の第2端面支承部112が間隙を有して設けられ、長手方向に延びる第1端面支承部111は、第2端面支承部112よりも屋内側に後退した部分に位置する。このため、図8に示すように、屋外側からシーリング材88を付設した場合、シーリング材88が端面取付具100に付着する量を可及的に少なくすることができる。これによって、シーリング材88が端面取付具100との間で剥離することを可及的に防止できる。
一方、外壁板2(2A)の上端側は、図5に示すように、中間取付具70により取り付けられる。この場合、中間取付具70の下中間係止部74が下向きに突出する状態で、外壁板2(2A)の裏側上下接合部24を支持する。これにより、中間取付具70は、釘やネジ等の締結具を用いることなく外壁板2(2A)の荷重を好適に支え、取り付けることができる。よって、外壁板2(2A)により構成された壁表面の意匠性を損ねることがない。
すなわち、端面取付具100と中間取付具70とを組み合わせることにより、上端部と下端部とが異なる外壁板2(2A)を用いて、釘やネジ等の締結具を用いることなく意匠性の高い壁構造を提供することができる。
したがって、実施の形態1の外壁板2の端面取付具100、壁構造及び外壁板2の施工方法によれば、外壁板2の表面2Fに釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体8における窓枠8W回りやベランダ手摺壁部8H等に対して外壁板2を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
また、この端面取付具100、壁構造及び施工方法では、外壁板2(2A)以外の外壁板2は、下端部に表側上下接合部23を有している。このため、図5に示すように、上中間係止部73及び下中間係止部74を有する中間取付具70によって、外壁板2の上端部及び下端部を構造体8に取り付けることができる。したがって、端面取付具100と中間取付具70とを組み合わせることにより、外壁板2(2A)と、外壁板2(2A)以外の外壁板2とを用いて、釘やネジ等の締結具を用いることなく意匠性の高い壁構造を提供することができる。
さらに、この端面取付具100、壁構造及び施工方法では、外壁板2(2A)と、外壁板2(2A)以外の外壁板2とは、図2及び図3に示すように、表側左右接合部21と裏側左右接合部22とを有している。このため、表側左右接合部21と裏側左右接合部22とが重なり合って構成される左右合決り部には、シーリング材を使用する必要性を可及的に少なくすることができる。本実施の形態では、裏側左右接合部22に設けられたコーキング22Sにより、左右合決り部がシールされるので、シーリング材を後から付設することを省略できる。これにより、意匠性の高い壁構造を提供することができる。
また、この端面取付具100、壁構造及び施工方法では、図12に示すように、外壁板2(2A)の溝部2Sは、内周面2Tが円弧状に凹む形状とされている。このため、施工時に、外壁板2の一部を設置場所に応じて切断し、その外壁板2の切断小口に溝加工によって複数の溝部2Sを形成することで、外壁板2(2A)を作成し、外壁板2(2A)を好適に構造体8に取り付けることができる。特に、外壁板2の柄を合わせるために外壁板2の配置を最適化する際に効果的である。この際、溝部2Sは、回転刃を用いた切削により、容易に形成できる。
さらに、この端面取付具100、壁構造及び施工方法では、端面取付具100の端面係止部113は、溝部2Sの内周面2Tに沿うテーパ形状とされている。このため、端面係止部113は、内周面2Tが円弧状である溝部2Sの奥まで進入できるので、端面係止部113によって、外壁板2(2A)の下端面2Pを確実に係止できる。また、この場合、端面係止部113が溝部2Sの長手方向に移動可能な調整代を確保し易いので、端面取付具100の端面係止部113に対する外壁板2(2A)の溝部2Sの位置決めを容易に行うことができる。
また、この端面取付具100、壁構造及び施工方法では、図8及び図14に示すように、端面取付具100に支持された外壁板2(2A)の裏面2Bと、端面取付具100の端面固定部115との間に形成された空間を通気用の空間として確保することができる。
さらに、この端面取付具100、壁構造及び施工方法では、端面取付具100の第1端面支承部111に設けられた貫通孔111Hによって、端面取付具100の周辺の水抜きや通気を良好に行える。特に、第1端面支承部111に雨水等が留まることを防止して、外壁板2(2A)の下端面2Pからの吸水による劣化を効果的に抑制できる。
(実施の形態2)
図15〜図18に示すように、実施の形態2の端面取付具200では、実施の形態1の端面取付具100の断面形状を一部変更している。実施の形態2のその他の構成は、実施の形態1と同様である。このため、実施の形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
端面取付具200では、実施の形態1の端面取付具100に係る端面固定部115の上下方向の長さを短縮している。そして、端面固定部115と第1端面支承部111との間に、第1中間部201及び第2中間部202を設けている。
第1中間部201は、端面固定部115の下端縁に接続し、屋外方向に屈曲して構造体8から離間するように突出し、かつ左右方向に延在している。第1中間部201の屋内外方向の長さは、図7及び図8に示す支持部材7の屋内外方向の厚みと同じ程度の大きさに設定されている。第1中間部201には、上下方向に貫通する貫通孔201Hが複数設けられている。貫通孔201Hの数や間隔は、水抜きや通気の要求に応じて適宜設定される。
第2中間部202は、第1中間部201の先端縁から屈曲して下向きに突出し、かつ左右方向に延在している。第2中間部202の下端縁は、第1端面支承部111の屋内側端縁に接続している。
図15に示すように、端面取付具200では、端面固定部115が支持部材7を介在させずに柱材80の外面に、締結具としてのネジ100Bによって固定される。第2中間部202は、柱材80の外面と、外壁板2(2A)の裏面2Bとから離間する。貫通孔201Hは、貫通孔111Hとともに、外壁板2(2A)の裏面2Bと柱材80との間に確保される通気空間からの水抜きや通気を行う。
このような構成である実施の形態2の端面取付具200でも、実施の形態1の端面取付具100と同様に、外壁板2の表面2Fに釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体8における窓枠8W回りやベランダ手摺壁部8H等に対して外壁板2を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
(実施の形態3)
図19に示すように、実施の形態3の端面取付具300では、実施の形態2の端面取付具200に係る第1中間部201の屋内外方向の長さを大きくし、第1端面支承部111の屋内外方向の長さを小さくすることによって、端面取付具200に係る第2中間部202を当接部301に変更している。実施の形態3のその他の構成は、実施の形態1、2と同様である。このため、実施の形態1、2と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
端面取付具300において、当接部301は、端面固定部115との間に、屋内外方向で所定の間隔W1を有して、上下方向及び左右方向に延在している。端面固定部115が支持部材7を介在させずに柱材80の外面に締結具としてのネジ100Bによって固定された状態で、当接部301は、外壁板2(2A)の裏面2Bと当接する。間隔W1は、外壁板2(2A)の裏面2Bと柱材80との間に確保される通気空間の屋内外方向の内幅に対応して設定される。
このような構成である実施の形態3の端面取付具300でも、実施の形態1、2の端面取付具100、200と同様に、外壁板2の表面2Fに釘やネジ等の締結具を用いなくとも、建物の構造体8における窓枠8W回りやベランダ手摺壁部8H等に対して外壁板2を好適に取り付けることができ、壁の意匠性を向上させることができる。
また、この端面取付具300によれば、地震や強風等により外壁板2(2A)に揺れが生じる場合であっても、外壁板2(2A)の裏面2Bと当接する当接部301によって、外壁板2(2A)が構造体8に接近する方向にずれることを防止できる。
以上において、本発明の形態を実施の形態1〜3に即して説明したが、本発明の形態は上記実施の形態1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、係止部の形状は、実施の形態1の端面取付具100に係る端面係止部113には限定されず、どのような形状であってもよい。例えば、実施の形態1の端面取付具100において、図12等に示す端面係止部113を図20に示す端面係止部213L、213Rに変更してもよい。端面係止部213L、213Rは、それぞれ略矩形板状の小片である。また、実施の形態1の端面取付具100において、図12等に示す端面係止部113を図21に示す端面係止部313L、313Rに変更してもよい。左方の端面係止部313Lは、上端縁が右方に向かって上り傾斜する板状の小片である。右方の端面係止部313Lは、上端縁が左方に向かって上り傾斜する板状の小片である。つまり、端面係止部313L、313Rは、上向きに先細るテーバ形状に形成され、溝部2Sの内周面2Tに沿う。この場合、端面係止部313L、313Rが溝部2Sの奥まで進入できるので、端面係止部313L、313Rによって、外壁板2(2A)の平坦な下端面2Pを確実に係止できる。
以上述べた実施の形態では、「特定板材」の一例である外壁板2(2A)の平坦な下端面2Pが施工時に切断されてなり、溝部2Sが施工時に溝加工されてなるが、この構成には限定されない。特定板材の下端部は、予め製造段階において平坦面として形成された実部のない平坦な下端面であってもよい。さらに、板材の平坦な下端面に形成されて施工時に上向きに凹むこととなる溝部は、製造段階において形成されていてもよい。