以下では、本開示の実施形態が列記されて例示される。なお、以下で例示される〔1〕〜〔5〕の特徴は、矛盾しない範囲でどのように組み合わされてもよい。
〔1〕入力端子を有する接続部とディスプレイとを備える車載用表示システムを信号の伝送対象とする車載用中継装置であって、前記車載用表示システムは、特定の種類の映像信号出力装置が前記接続部に電気的に接続可能とされ、且つ前記接続部を介して機器信号を受信したことを条件として前記接続部に電気的に接続された装置からの信号に応じた動作を許可し、前記映像信号出力装置から前記接続部を介して前記機器信号が入力され且つ第1の映像信号が入力される場合に前記ディスプレイに前記第1の映像信号に応じた映像を表示するシステムであり、前記車載用中継装置は、当該車載用中継装置が前記接続部に電気的に接続された場合に、前記車載用表示システムに対し前記接続部を介して前記機器信号を模擬した模擬信号を送信し、当該車載用中継装置からの動作を許容させる制御部と、当該車載用中継装置の外部に設けられる装置であり且つ前記車載用表示システムとは異なる装置である外部装置から第2の映像信号が入力される入力部と、当該車載用中継装置が前記接続部に電気的に接続された場合に、前記入力部に入力された前記第2の映像信号に応じた映像信号を、前記車載用表示システムに対し前記接続部を介して伝送する伝送部と、を有する車載用中継装置。
上記〔1〕の車載用中継装置は、車載用表示システムの上記接続部(特定の種類の映像信号出力装置が接続されることが想定された部分)に電気的に接続された場合に、車載用表示システムに対し接続部を介して機器信号を模擬した模擬信号を送信する。機器信号は、車載用表示システムが接続部に接続された装置からの動作を許可する条件となる信号である。よって、上記の車載用中継装置は、当該車載用中継装置からの動作を車載用表示システムに許容させ得る。そして、上記の車載用中継装置は、このように動作が許容された状態で、外部装置から入力部に入力された第2の映像信号に応じた映像信号を、接続部を介して車載用表示システムに伝送することができる。よって、上記の車載用中継装置は、車載用表示システムの接続部(特定の種類の映像信号出力装置が接続されることが想定された部分)を利用して、外部装置から出力される映像信号に応じた映像を車載用表示システムのディスプレイに表示させることができる。
本明細書において、「電気的に接続された状態」とは、具体的には、「信号の伝達が可能な状態」である。例えば、車載用中継装置と接続部とが電気的に接続された状態とは、具体的には、車載用中継装置と接続部との間で信号の伝達が可能な状態である。同様に、特定の種類の映像信号出力装置と接続部とが電気的に接続可能とされた状態とは、具体的には、その映像信号出力装置と接続部との間で信号の伝達が可能な状態である。
〔2〕前記映像信号出力装置は、前記接続部に当該映像信号出力装置が電気的に接続された状態で映像情報が記録された記録媒体が当該映像信号出力装置の内部に保持された場合に、前記記録媒体が当該映像信号出力装置に保持されていることを示す保持信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信し、前記車載用表示システムは、前記接続部に外部機器が電気的に接続されている場合に、前記外部機器を動作対象とする選択操作が可能な状態である許可状態と、前記選択操作が不能な状態である不許可状態とに切り替え、前記外部機器から前記保持信号を受信した場合に前記許可状態に切り替え、前記車載用中継装置は、前記接続部に当該車載用中継装置が電気的に接続された場合に前記保持信号を模擬した信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信する〔1〕に記載の車載用中継装置。
上記〔2〕の車載用中継装置は、保持信号を模擬した信号を車載用表示システムに送信することができるため、映像信号出力装置が車載用表示システムに接続された状態で映像信号出力装置内に記録媒体が保持されている場合と同様の動作を車載用表示システムに行わせることができる。具体的には、上記の車載用中継装置は、保持信号を模擬した信号を車載用表示システムに送信することで、車載用表示システムを許可状態(接続部に接続された外部機器を動作対象とする選択操作が可能な状態)にすることができ、映像信号出力装置とは異なる種類の装置であっても、接続部に接続された装置(即ち、当該車載用中継装置)を動作対象にする選択操作を可能とし得る。より具体的には、上記の車載用中継装置は、自身が接続部に接続されている場合、映像情報が記録された記録媒体を保持していなくても自身を動作対象とする選択操作が可能な状態にすることができる。
〔3〕前記映像信号出力装置は、前記接続部に当該映像信号出力装置が電気的に接続された状態で映像情報が記録された記録媒体を再生し且つ再生の進行中である場合に、前記記録媒体の再生が進行中であることを示す進行中信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信し、前記車載用表示システムは、前記接続部に外部機器が電気的に接続されている場合において前記進行中信号を受信していない場合に前記外部機器から入力される音声信号を無効化し、前記進行中信号を受信した場合に前記外部機器から入力される音声信号を有効化し、前記車載用中継装置は、前記接続部に当該車載用中継装置が電気的に接続されたことを条件として前記進行中信号を模擬した信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信し且つ前記第2の映像信号に応じた映像信号を前記伝送部によって前記接続部を介して伝送する〔1〕又は〔2〕に記載の車載用中継装置。
上記〔3〕の車載用中継装置は、進行中信号を模擬した信号を車載用表示システムに送信することができるため、映像信号出力装置が車載用表示システムに接続された状態で再生の進行中である場合と同様の動作を車載用表示システムに行わせることができる。具体的には、上記の車載用中継装置は、進行中信号を模擬した信号を車載用表示システムに送信することで、映像情報が記録された記録媒体を実際に再生しなくても、映像信号出力装置が再生進行中のときの表示と同様の表示を行わせることができる。
〔4〕前記入力部は、電圧信号が伝送される信号線に電気的に接続される信号端子と、基準電位線が電気的に接続される基準端子と、を備え、前記外部装置からの音声信号が前記基準端子の電位を基準とする前記信号端子の電圧の信号として入力され、更に、前記信号端子を介して入力された電圧信号を減衰させた第1電圧信号を第1導電路を介して出力する第1減衰回路と、前記信号端子を介して入力された電圧信号を反転及び減衰させた第2電圧信号を第2導電路を介して出力する第2減衰回路と、を有し、前記車載用中継装置が前記接続部に電気的に接続された場合に、前記第1導電路が前記接続部における第1の音声入力端子に電気的に接続され、前記第2導電路が前記接続部における第2の音声入力端子に電気的に接続される〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の車載用中継装置。
上記〔4〕の車載用中継装置は、外部装置からの映像信号に応じた映像信号を特定の接続部(特定種類の映像信号出力装置が接続されることが想定された接続部)を介して車載用表示システムに入力することを可能とし、更に、上記接続部を介して音声信号を入力する場合には、外部装置からアンバランス方式で音声信号が入力されたとしてもバランス方式の音声信号に変換して上記の車載用表示システムに入力することができる。しかも、上記の車載用中継装置は、アンバランス方式で入力された音声信号をバランス方式の音声信号に変換して入力する際に、反転関係にある一方の第1電圧信号と他方の第2電圧信号をいずれも減衰信号として生成することができるため、第1電圧信号及び第2電圧信号の出力が大きすぎることに起因する弊害(例えば、音割れ等)を生じにくくすることができる。
〔5〕前記映像信号出力装置は、前記接続部に当該映像信号出力装置が電気的に接続された状態で映像情報が記録された記録媒体を再生している場合において前記車載用表示システムから一時停止を指示する一時停止指示信号を受けた場合に、前記記録媒体を一時停止し且つ第1応答信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信し、前記記録媒体を一時停止している場合において前記車載用表示システムから一時停止の解除を指示する解除指示信号を受けた場合に、前記一時停止を解除して再生の進行を再開し且つ第2応答信号を前記接続部を介して送信し、前記車載用表示システムは、操作部を有し、前記接続部に外部機器が電気的に接続されている場合において前記操作部に対して一時停止操作がなされた場合に、前記外部機器に前記一時停止指示信号を送信し、前記一時停止指示信号の送信後、前記外部機器から前記第1応答信号又は前記第1応答信号を模擬した信号を受けることを条件として、前記ディスプレイに解除操作用の画像を表示させた状態を継続し、前記ディスプレイに前記解除操作用の画像が表示されている場合において前記操作部に対して一時停止を解除する解除操作がなされた場合に、前記外部機器に前記解除指示信号を送信し、前記解除指示信号の送信後、前記外部機器から前記第2応答信号又は前記第2応答信号を模擬した信号を受けることを条件として、前記解除操作用の画像が消去された状態を継続し、前記車載用中継装置は、前記接続部に当該車載用中継装置が電気的に接続された場合において前記車載用表示システムから前記一時停止指示信号を受けた場合には、前記第1応答信号を模擬した信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信し、前記車載用表示システムから前記解除指示信号を受けた場合には、前記第2応答信号を模擬した信号を前記車載用表示システムに対して前記接続部を介して送信する〔1〕から〔4〕のいずれか一つに記載の車載用中継装置。
上記〔5〕の車載用中継装置は、第1応答信号を模擬した信号を車載用表示システムに送信することができるため、映像信号出力装置が車載用表示システムに接続された状態で一時停止中である場合と同様の動作を車載用表示システムに行わせることができる。具体的には、上記の車載用中継装置は、第1応答信号を模擬した信号を車載用表示システムに送信することで、車載用表示システムを「ディスプレイに解除操作用の画像を表示させた状態」にすることができ、映像信号出力装置とは異なる種類の装置であっても、解除操作用の画像を表示させることができる。例えば、上記の車載用中継装置は、自身が接続部に接続されている場合、記録媒体を実際に一時停止にしなくても、その場合と同様の動作を車載用表示システムに行わせることができる。
<第1実施形態>
1.車載システムの概要
図1には、第1実施形態に係る車載用中継装置10を備えた車載システム1が例示される。車載システム1は、車載用表示システム70と車載用中継装置10とを備え、情報端末100から出力される映像信号に応じた映像を車載用表示システム70に表示し得るシステムである。車載用表示システム70は、以下の説明において表示システム70とも称される。車載用中継装置10は、以下の説明において中継装置10とも称される。
表示システム70は、例えばナビゲーション機能を有さないディスプレイオーディオとして構成されていてもよく、カーナビゲーションシステムとして構成されていてもよい。
表示システム70は、制御装置72、ディスプレイ74、音声出力部76、外部機器入出力部78、操作部80、テレビ機能部82、ラジオ機能部84、bluetooth通信部86、記憶部88などを備える。「bluetooth」は、登録商標である。なお、図1で示される表示システム70はあくまで一例であり、他の機能が付加されていてもよい。また、図1で示される表示システム70は、ディスプレイ74、音声出力部76、外部機器入出力部78、操作部80、記憶部88を有していれば、他の機能は省略されていてもよい。
ディスプレイ74は、液晶表示装置などの表示装置として構成され、動画や静止画などの様々な映像を表示し得る。ディスプレイ74の種類は、液晶表示装置に限定されず、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなど、他の種類のディスプレイであってもよい。
音声出力部76は、例えば、制御装置72又は他の装置から与えられる音声信号に基づいて車載スピーカから音声を出力するスピーカシステムとして構成されている。図1では、車載スピーカの具体的図示は省略されている。なお、音声出力部76は、車載スピーカから音声を出力する構成に限定されず、例えば、音声出力端子からイヤホンやヘッドホンに音声を出力する機能を有していてもよく、音声出力端子から他の外部機器に音声を出力する機能を有していてもよい。
外部機器入出力部78は、予め定められた特定の種類の映像信号出力装置との信号の送受信を行い得る装置である。外部機器入出力部78は、接続部90に設けられた端子を介して信号の入出力を行い得る。特定の種類は、例えば「少なくともディスク状の記録媒体を再生し得る種類」である。この場合、ディスク状の記録媒体は、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc:登録商標)などである。特定の種類は、この例に限定されず、例えば「テレビ放送の映像信号や音声信号を出力し得る種類」であってもよい。この場合、特定の種類の映像信号出力装置は、例えばデジタルテレビチューナなどである。特定の種類は、「インターネットを介して取得されたファイルに基づく映像信号や音声信号を出力し得る種類」であってもよい。
図2に示されるように、接続部90には、映像信号入力端子92、音声信号入力端子95,96、通信用端子97,98が設けられている。以下の説明では、映像信号入力端子92、音声信号入力端子95,96、通信用端子97,98は、それぞれ端子92,95,96,97,98とも称される。端子92,95,96,97,98は、入力端子の一例に相当する。
映像信号入力端子92は、例えば、NTSC(National Television System Committee)の通信規格に従った映像信号が入力される端子として構成されている。外部機器入出力部78は、映像信号入力端子92から入力されるNTSC方式の映像信号を受信する。外部機器入出力部78及び制御装置72は、映像信号入力端子92から入力される映像信号に応じた処理(例えば、この映像信号によって表される映像をディスプレイ74に表示させる処理)を行い得る。なお、ここで説明される映像信号の種類はあくまで一例であり、映像信号は、他の方式のものが採用されてもよい。
図2では、音声信号入力端子95,96が簡略的に示されている。音声信号入力端子95は、具体的には図3のように、R+用の音声入力端子95A及びR−用の音声入力端子95Bを備える。外部機器入出力部78は、音声入力端子95A,95Bから入力される右音声用のバランス方式の音声信号を受信する。外部機器入出力部78及び制御装置72は、音声入力端子95A,95Bを介して入力される音声信号に応じた処理(例えば、この音声信号の音声を音声出力部76に出力させる処理)を行い得る。音声信号入力端子96は、具体的には図3のように、L+用の音声入力端子96A及びL−用の音声入力端子96Bを備える。外部機器入出力部78は、音声入力端子96A,96Bから入力される左音声用のバランス方式の音声信号を受信する。外部機器入出力部78及び制御装置72は、音声入力端子96A,96Bを介して入力される音声信号に応じた処理(例えば、この音声信号の音声を音声出力部76に出力させる処理)を行い得る。なお、図3では図示は省略されているが、音声変換回路30から出力部25側へと続くようにグラウンド線(図示は省略)が設けられ、接続部90には音声入力用のグラウンド端子(図示は省略)が設けられている。そして、音声変換回路30から続くグラウンド線と接続部90のグラウンド端子とを電気的に接続するようにケーブル部60においてグラウンド線(図示は省略)が設けられている。
操作部80は、使用者によって操作される部分であり、外部からの操作に応じた情報を制御装置72に与え得る部分である。操作部80は、ディスプレイ74を覆うように配置されたタッチパネル80A(図6)や操作ボタンなどの入力インタフェースを1以上有する。操作部80を構成する入力インタフェースの種類や数は限定されず、回転式の操作部やレバー式の操作部などを備えていてもよい。操作部80の一部として、又は操作部80とは異なる入力部として、音声入力などの非接触入力を行い得る入力インタフェースが設けられていてもよい。
テレビ機能部82は、公知のテレビとして機能する部分である。ラジオ機能部84は、公知のラジオとして機能する部分である。bluetooth通信部86は、bluetooth通信機能が搭載された装置とbluetooth通信を行う部分である。
記憶部88は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、その他の記憶媒体、などの記憶装置を有する。記憶部88における記憶媒体の種類は特に限定されない。記憶部88には、各種情報が記憶される。
このように構成された表示システム70は、上述の「特定の種類」の映像信号出力装置を接続部90に接続することが可能とされ、図16にはその一例が示されている。また、表示システム70は、このような接続に代えて、「特定の種類」の映像信号出力装置を接続部90に接続せずに、図1のように中継装置10を接続部に90に接続することも可能とされている。
図16には、「特定の種類」の映像信号出力装置102が例示され、具体的には映像信号出力装置102としてDVDプレーヤが例示されている。表示システム70が対象とする「特定の種類」の映像信号出力装置は、記録媒体に記録された映像情報を再生することができ、且つ映像情報を再生しているときに映像信号や音声信号を外部に出力し得る装置である。「特定の種類」の映像信号出力装置102が扱う記録媒体は、当該映像信号出力装置102において再生可能に保持されることが可能であり且つ当該映像信号出力装置102から離脱させることが可能なものである。記録媒体としては、例えば、DVDディスク、ブルーレイディスク、その他のディスク、SDカードやUSBメモリなどの半導体メモリ、などが例示される。映像信号出力装置102に上記記録媒体が保持された状態とは、上記記録媒体が映像信号出力装置102に配置されるとともに上記記録媒体が映像信号出力装置102によって再生され得る状態である。この「再生され得る状態」とは、具体的には、映像信号出力装置102に対して再生指示(例えば、再生を指示する外部操作)が行われた場合に記録媒体が再生される状態である。
情報端末100は、外部装置の一例に相当する。情報端末100は、中継装置10の外部に設けられる装置であり且つ表示システム70とは異なる装置である。情報端末100は、中継装置10に対して映像信号及び音声信号を出力し得る装置であればよい。情報端末100は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機などの携帯型情報端末であってもよく、その他の情報端末であってもよい。図1、図2の例では、情報端末100がケーブル部50を介して中継装置10に電気的に接続されており、情報端末100からの信号がケーブル部50を介して中継装置10に入力されるようになっている。
情報端末100は、映像出力端子を介してNTSC方式の映像信号を出力し得るようになっており、図2、図3の例では、情報端末100の映像出力端子から出力される映像信号が配線部52を介して伝送される。なお、ここで例示される映像信号の種類はあくまで一例であり、映像信号の種類は他の方式のものが採用されてもよい。情報端末100は、音声出力端子を介してRCA方式の音声信号を出力し得るようになっており、図2、図3の例では、情報端末100の音声出力端子から出力される右音声用の音声信号が配線部53を介して伝送され、情報端末100の音声出力端子から出力される左音声用の音声信号が配線部54を介して伝送される。なお、ここで例示される音声信号の種類はあくまで一例であり、音声信号の種類は他の方式のものが採用されてもよい。
図2のように、ケーブル部50は、配線部52,53,54を備える。配線部52,53,54は、全てが一体的に纏まっていてもよく、一部又は全部が個別に分離されていてもよい。図2では、配線部53、配線部54が簡略的に示されているが、実際には、図3のように構成されている。
配線部52は、映像信号を伝送する配線部である。配線部52で伝送される映像信号は、例えば上述のNTSC方式の映像信号である。図3の例では、配線部52は、一端が情報端末100の端子(映像信号出力端子)に電気的に接続され、他端が中継装置10の端子22に電気的に接続されている。端子22は、入力部20の一部をなす入力端子であり、外部装置からの映像信号を中継装置10内に入力するための端子である。
配線部53は、例えば上述のRCA方式の音声信号を伝送する配線部である。具体的には、図3のように、配線部53は、右音声用信号線53Aと基準電位線53Cとを備える。配線部53を介して伝送される音声信号は、RCA方式の右音声用のアナログ音声信号であり、基準電位線53Cと信号線53Aとの間の電位差の信号である。右音声用信号線53Aは、一端が情報端末100の右音声用の信号出力端子に電気的に接続され、他端が中継装置10の端子23Aに電気的に接続されている。基準電位線53Cは、一端が情報端末100の基準端子に電気的に接続され、他端が中継装置10の端子23Cに電気的に接続されている。
配線部54は、RCA方式の音声信号を伝送する配線部である。具体的には、図3のように、配線部54は、左音声用信号線54Aと基準電位線54Cとを備える。配線部54を介して伝送される音声信号は、RCA方式の左音声用のアナログ音声信号であり、基準電位線54Cと信号線54Aとの間の電位差の信号である。左音声用信号線54Aは、一端が情報端末100の左音声用の信号出力端子に電気的に接続され、他端が中継装置10の端子24Aに電気的に接続されている。基準電位線54Cは、一端が情報端末100の基準端子に電気的に接続され、他端が中継装置10の基準端子24Cに電気的に接続されている。
情報端末100は、映像信号を音声信号とともに出力する場合、配線部52を介してNTSC方式の映像信号を出力しつつ、配線部53を介して右音声用のアナログ音声信号を出力し、配線部54を介して左音声用のアナログ音声信号を出力する。図3の例では、基準電位線53Cと基準電位線54Cとが別々の導電路として構成されているが、これらが共通の導電路として構成されていてもよい。
図2のように、ケーブル部60は、配線部62,65,66,67,68,69を備える。配線部62,65,66,67,68,69は、全てが一体的に纏まっていてもよく、一部又は全部が個別に分離されていてもよい。図2では、配線部65、配線部66が簡略的に示されているが、実際には、図3のように構成されている。
配線部62は、映像信号を伝送する配線部である。配線部62で伝送される映像信号は、例えば上述のNTSC方式の映像信号である。図3の例では、配線部62は、一端が中継装置の端子26(映像信号を出力する端子)に電気的に接続され、他端が表示システム70の端子92に電気的に接続されている。端子92は、接続部90の一部をなす入力端子であり、表示システム70内に映像信号を入力するための端子である。
配線部65は、バランス方式の音声信号を伝送する配線部である。図3のように、配線部65は、右音声用信号線65A,65Bを備える。右音声用信号線65A,65Bを介して伝送される音声信号は、バランス方式の右音声用のアナログ音声信号であり、右音声用信号線65A,65Bの間の電位差の信号である。右音声用信号線65Aは、右音声用正側端子(R+端子)に接続されるR+用の信号線であり、一端が端子27Aに電気的に接続され、他端が端子95Aに電気的に接続される。右音声用信号線65Bは、右音声用負側端子(R−端子)に接続されるR−用の信号線であり、一端が端子27Bに電気的に接続され、他端が端子95Bに電気的に接続される。
配線部66は、バランス方式の音声信号を伝送する配線部である。図3のように、配線部66は、左音声用信号線66A,66Bを備える。左音声用信号線66A,66Bを介して伝送される音声信号は、バランス方式の左音声用のアナログ音声信号であり、左音声用信号線66A,66Bの間の電位差の信号である。左音声用信号線66Aは、左音声用正側端子(L+端子)に接続されるL+用の信号線であり、一端が端子28Aに電気的に接続され、他端が端子96Aに電気的に接続される。左音声用信号線66Bは、左音声用負側端子(L−端子)に接続されるL−用の信号線であり、一端が端子28Bに電気的に接続され、他端が端子96Bに電気的に接続される。
図3のように、出力部25には、中継装置10のグラウンド線に電気的に接続される端子29が設けられている。ケーブル部60には、出力部25の端子29に接続されるグラウンド線69が設けられており、ケーブル部60のグラウンド線69は、接続部90に設けられたグラウンド端子SGに電気的に接続される。
図2で示される配線部67,68は、例えばAVC−LAN(Audio visual Communication - Local Area Network)方式に従った通信信号が伝送される配線部である。配線部67は、例えばAVC−LAN方式におけるTX+端子に電気的に接続される信号線であり、一端が端子29Aに電気的に接続され、他端が端子97に電気的に接続される。配線部68は、例えばAVC−LAN方式におけるTX−端子に電気的に接続される信号線であり、一端が端子29Bに電気的に接続され、他端が端子98に電気的に接続される。
2.中継装置の詳細
図1のように、中継装置10は、表示システム70を信号の伝送対象とする装置である。図2に示されるように、中継装置10は、主に、伝送部11、入力部20、制御部40などを備える。図2では、入力部20、伝送線13,14,15,16、音声変換回路30が簡略的に示されているが、これらは具体的には図3のように構成されている。図3では、制御部40などは省略されている。
図3のように、入力部20は、情報端末100(外部装置)から映像信号が入力される部分である。情報端末100から入力される映像信号は「第2の映像信号」の一例に相当する。入力部20は、配線部52が電気的に接続される映像端子22と、配線部53が電気的に接続される信号端子23A及び基準端子23Cと、配線部54が電気的に接続される信号端子24A及び基準端子24Cとを有する。映像端子22、信号端子23A、基準端子23C、信号端子24A、基準端子24Cはそれぞれ端子22,23A,23C,24A,24Cとも称される。
端子23A,23Cは、RCA方式のアナログ音声信号を入力するための端子である。端子23Aは、右音声用信号線53Aに電気的に接続される右音声用信号端子(R端子)であり、右音声用の信号(電圧信号)が入力される端子である。端子23Cは、基準電位線53Cに電気的に接続される基準端子である。情報端末100(外部装置)から端子23A,23Cに入力される音声信号は、端子23A,23Cの間の電位差の信号であり、基準端子23Cの電位を基準とする信号端子23Aの電圧の信号である。端子23A,23Cに入力される音声信号は、減衰回路32A及び反転減衰回路32Bにそれぞれ入力される。基準電位線53Cは、情報端末100の基準導電路に電気的に接続される導電路である。情報端末100の基準導電路は、車載システム1が搭載される車両のグラウンドに電気的に接続されてもよく、車両のグラウンドから絶縁された状態で基準電位とされる導電路であってもよい。端子23Cの電位は、グラウンド電位(0V)に保たれていてもよく、グラウンド電位からずれた所定電位であってもよい。
端子24A,24Cは、RCA方式のアナログ音声信号を入力するための端子である。端子24Aは、左音声用信号線54Aに電気的に接続される左音声用信号端子(L端子)であり、左音声用の信号(電圧信号)が入力される端子である。端子24Cは、基準電位線54Cに電気的に接続される基準端子である。情報端末100(外部装置)から端子24A,24Cに入力される音声信号は、端子24A,24Cの間の電位差の信号であり、基準端子24Cの電位を基準とする信号端子24Aの電圧の信号である。端子24A,24Cに入力される音声信号は、減衰回路34A及び反転減衰回路34Bにそれぞれ入力される。基準電位線54Cは、情報端末100の基準導電路に電気的に接続される導電路である。
伝送部11は、信号を伝送する部分である。図2のように、伝送部11は、伝送線12,13,14,15,16と、音声変換回路30とを有する。
伝送部11は、図1、図2のように中継装置10が接続部90に電気的に接続された場合に、入力部20に入力された映像信号(第2の映像信号)に応じた映像信号を、接続部90を介して表示システム70に伝送し得る部分である。伝送部11は、入力部20に映像信号(第2の映像信号)が入力された場合、この映像信号をそのまま接続部90を介して表示システム70に入力してもよく、この映像信号に対して所定の処理(例えばフィルタ処理)などを施した上で接続部90を介して表示システム70に入力してもよい。
図3で示される代表例では、伝送線12が端子22と端子26との間に配置されており、情報端末100(外部装置)から端子22(入力端子)にNTSC方式の映像信号(第2の映像信号)が入力された場合、この映像信号が伝送線12を介してそのまま端子26から出力され、表示システム70に入力されるようになっている。
伝送線13Aは、端子23Aと減衰回路32Aの一方の入力端子と反転減衰回路32Bの一方の入力端子とに電気的に接続された導電路であり、信号線53Aを介して端子23Aに入力された電圧信号を、減衰回路32A及び反転減衰回路32Bにそれぞれ入力する経路である。伝送線13Cは、端子23Cと減衰回路32Aの他方の入力端子と反転減衰回路32Bの他方の入力端子とに電気的に接続された導電路であり、減衰回路32A及び反転減衰回路32Bのそれぞれの他方の入力端子に基準電位の信号を入力する経路である。伝送線13Cとグラウンドとの間には抵抗が設けられ、この抵抗にはコンデンサが並列に接続される。
伝送線14Aは、端子24Aと減衰回路34Aの一方の入力端子と反転減衰回路34Bの一方の入力端子とに電気的に接続された導電路であり、信号線54Aを介して端子24Aに入力された電圧信号を、減衰回路34A及び反転減衰回路34Bにそれぞれ入力する経路である。伝送線14Cは、端子24Cと減衰回路34Aの他方の入力端子と反転減衰回路34Bの他方の入力端子とに電気的に接続された導電路であり、減衰回路34A及び反転減衰回路34Bのそれぞれの他方の入力端子に基準電位の信号を入力する経路である。伝送線14Cとグラウンドとの間には抵抗が設けられ、この抵抗にはコンデンサが並列に接続される。
減衰回路32Aは、第1減衰回路の一例に相当し、信号端子23Aを介して入力された電圧信号を減衰させた第1電圧信号を出力するように動作する。減衰回路32Aの減衰率は、1/2以下であることが望ましく、以下で説明される代表例では1/2の減衰率とされている。つまり、以下で説明される代表例では、減衰回路32Aから伝送線15Aに出力される電圧Vb1(基準電位を基準とする伝送線15Aの電圧)は、伝送線13Aを介して入力される電圧Va(伝送線13Cの基準電位を基準とする伝送線13Aの電圧)の1/2である。
反転減衰回路32Bは、第2減衰回路の一例に相当し、信号端子23Aを介して入力された電圧信号を反転及び減衰させた第2電圧信号を出力するように動作する。反転減衰回路32Bの減衰率は、1/2以下であることが望ましく、以下で説明される代表例では1/2の減衰率とされている。つまり、反転減衰回路32Bから出力される電圧Vb2(基準電位を基準とする伝送線15Bの電圧)は、伝送線13Aを介して入力される電圧Vaを反転させた反転電圧−Vaの1/2である。
図3のように、中継装置10が接続部90に電気的に接続されている場合には、伝送線15A(第1導電路)が接続部90における端子95A(第1の音声入力端子)に電気的に接続され、伝送線15B(第2導電路)が接続部90における端子95B(第2の音声入力端子)に電気的に接続される。従って、端子23Cの電位を基準とする端子23Aの電圧の信号として図4(A)のような入力信号(アンバランス信号)が入力された場合には、減衰回路32Aから伝送線15Aに第1電圧信号(図4(B)で示される1/2減衰信号)が出力され且つ第1電圧信号が端子95Aを介して表示システム70に入力され、更に、反転減衰回路32Bから伝送線15Bに第2電圧信号(図4(B)で示される1/2減衰反転信号)が出力され且つ第2電圧信号が端子95Bを介して表示システム70に入力される。上述の第1電圧信号(1/2減衰信号)は、基準電位を基準とする伝送線15Aの電圧の信号である。上述の第2電圧信号(1/2減衰反転信号)は、基準電位を基準とする伝送線15Bの電圧の信号である。従って、端子95A,95Bに入力される音声信号(電圧信号)は、図4(C)のようなバランス信号となる。端子95A,95Bに入力される音声信号(電圧信号)は、端子SGの電位を基準とする。
減衰回路34Aは、第1減衰回路の一例に相当し、信号端子24Aを介して入力された電圧信号を減衰させた第1電圧信号を出力するように動作する。減衰回路34Aの減衰率は、1/2以下であることが望ましく、以下で説明される代表例では1/2の減衰率とされている。
反転減衰回路34Bは、第2減衰回路の一例に相当し、信号端子24Aを介して入力された電圧信号を反転及び減衰させた第2電圧信号を出力するように動作する。反転減衰回路34Bの減衰率は、1/2以下であることが望ましく、以下で説明される代表例では1/2の減衰率とされている。
図3のように、中継装置10が接続部90に電気的に接続されている場合には、伝送線16A(第1導電路)が接続部90における端子96A(第1の音声入力端子)に電気的に接続され、伝送線16B(第2導電路)が接続部90における端子96B(第2の音声入力端子)に電気的に接続される。従って、端子24Cの電位を基準とする端子24Aの電圧の信号として図4(A)のような入力信号(アンバランス信号)が入力された場合には、減衰回路34Aから伝送線16Aに第1電圧信号(図4(B)で示される1/2減衰信号)が出力され且つ第1電圧信号が端子96Aを介して表示システム70に入力され、更に、反転減衰回路34Bから伝送線16Bに第2電圧信号(図4(B)で示される1/2減衰反転信号)が出力され且つ第2電圧信号が端子96Bを介して表示システム70に入力される。上述の第1電圧信号(1/2減衰信号)は、基準電位を基準とする伝送線16Aの電圧の信号である。上述の第2電圧信号(1/2減衰反転信号)は、基準電位を基準とする伝送線16Bの電圧の信号である。従って、端子96A,96Bに入力される音声信号(電圧信号)は、図4(C)のようなバランス信号となる。端子96A,96Bに入力される音声信号(電圧信号)は、端子SGの電位を基準とする。
図2のように、制御部40は、主に制御回路42と通信回路44とを備える。制御回路42は、例えばマイクロコンピュータなどの情報処理装置を有しており、各種演算や各種制御を行い得る。通信回路44は、制御部40と協働して通信制御を行うドライバ回路であり、信号線17,18を介して信号の送受信を行う回路である。通信回路44が採用する通信方式は特に限定されず、代表例ではAVC−LAN方式が採用されるが、その他の方式であってもよい。
3.表示システム側の基本動作
図5は、表示システム70(図1)の制御装置72が実行する制御の流れを例示するフローチャートである。表示システム70は、外部機器入出力部78に接続される装置に関する処理を、図5のような流れで行う。なお、図5のフローチャートでは、表示システム70が行う他の制御、処理は省略されている。
制御装置72(図1)は、所定の開始条件が成立した場合に図5の制御を開始する。所定の開始条件は、表示システム70に電源が投入されたことであってもよく、表示システム70において所定操作が行われたことであってもよく、その他の条件であってもよい。制御装置72(図1)は、図5の制御を開始した後、ステップS1において、接続部90を介して機器信号及び保持信号を取得しているか否かを判断する。制御装置72(図1)は、接続部90に電気的に接続された外部の装置から上記機器信号及び上記保持信号を取得している場合には処理をステップS2に進め、「選択可設定」とする。制御装置72(図1)は、上記機器信号又は上記保持信号のいずれかを取得していない場合には、処理をステップS9に進め、「選択不可設定」とする。接続部90に電気的に接続された外部の装置とは、即ち、外部機器入出力部78に電気的に接続された外部の装置である。以下の説明では、接続部90に電気的に接続された外部の装置は、特定機器とも称される。
「選択可設定」とは、「接続部90に電気的に接続された装置からの信号に応じた映像表示や音声出力を表示システム70が行うことを可能とする選択」をユーザが行い得る設定である。つまり、「選択可設定」とされているときには、ユーザは、所定の操作によって「接続部90に電気的に接続された装置からの信号に応じた映像表示や音声出力を表示システム70が行うことを可能とする設定」に切り替えることができる。「選択不可設定」とは、「接続部90に電気的に接続された装置からの信号に応じた映像表示や音声出力を表示システム70が行うことを可能とする選択」をユーザが行えない設定である。「選択不可設定」のときには、接続部90に電気的に接続された装置からの信号に応じた映像表示や音声出力を表示システム70が行うことは禁止される。
具体的には、表示システム70は、制御装置72において「選択可設定」とされている場合に、常時又は操作部80に対する所定操作に応じて図6のような「所定の操作用画面」が表示されるようになっている。そして、図6のような「所定の操作用画面」が表示された状態で、操作部80に対して外部から所定選択操作(例えば、タッチパネル80Aの接触可能領域ARにおける表示領域74Cの部分に接触する接触操作等)がなされた場合に「接続部90に電気的に接続された装置を処理対象として選択した選択中の設定」となる。なお、図6の表示画面の例では、上記所定選択操作以外の他の選択操作を行うための表示領域74A,74B,74D,74E,74F,74G,74Hも構成されている。
また、表示システム70では、制御装置72において「選択不可設定」とされている場合には、図6のような「所定の操作用画面」がディスプレイ74に表示されないようになっており、代わりに、図7又は図8のような「操作用画面」が表示される。具体的には、表示システム70は、接続部90を介して「機器信号」を取得していない場合、「操作用画面」(選択可能な機器のリストを示す画像)として、図6のような画像に代えて、図7のような画像を表示する。図7の画像では、表示領域74C(図6)の画像が表示されないため、操作部80に対する上記所定選択操作(例えば、表示領域74Cの画像の表面部に接触する接触操作等)を行えなくなる。従って、この場合には、表示領域74C(図6)の画像を選択したことを示す信号が表示システム70に入力されることはなく、「接続部90に電気的に接続された装置を処理対象として選択した選択中の設定」になることはない。一方で、表示システム70は、接続部90を介して「機器信号」を取得済みで「保持信号」を取得していない場合、図6のような画像に代えて、図8のような画像を表示する。この場合、表示システム70は、図8のように、表示領域74Cの画像を図6のような「所定の操作用画面」から変えた画像(グレーアウトさせた画像)をディスプレイ74に表示する。図8のような変更画面がディスプレイ74に表示された状態では、上記所定選択操作(例えば、表示領域74Cの画像の表面部に接触する接触操作等)を行っても、表示領域74Cの画像を選択したことを示す信号は表示システム70に入力されず、「接続部90に電気的に接続された装置を処理対象として選択した選択中の設定」にはならない。
このように、表示システム70では、「選択可設定」とされていることを条件として、「接続部90に電気的に接続された装置を処理対象として選択した選択中の設定」が許容され、「選択不可設定」とされているときには、このような選択中の設定は禁止される。
「機器信号」は、表示システム70が接続部90に接続された装置を処理対象の装置として認識する条件となる信号である。「機器信号」は、「操作用画面」(選択可能な機器のリストを示す画像)を表示する場合において、上記所定選択操作を行うための画像(表示領域74Cの画像)又は当該画像をグレーアウトさせた画像を表示する条件となる信号でもある。「機器信号」は、表示システム70が接続部90に接続された装置(即ち、外部機器入出力部78に電気的に接続された装置)の動作を許可する条件となる信号でもある。従って、表示システム70は、接続部90を介して「機器信号」が取得済みであることを条件として接続部90に接続された装置からの信号に応じた動作(音声を出力する動作や映像を表示する動作など)や接続部90に接続された装置に対する指示(例えば、一時停止信号、再生信号、停止信号などの送信)を行う。逆に、表示システム70は、接続部90を介して「機器信号」が取得済みでない場合には、接続部90に接続された装置からの信号に応じた動作を禁止する。「機器信号」は、特定の種類の映像信号出力装置であることを示す識別情報であり、表示システム70において予め正規の識別情報として登録された情報である。表示システム70において「機器信号」として登録される識別情報は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
例えば、図16のように映像信号出力装置102が接続部90に電気的に接続されている場合、映像信号出力装置102は、表示システム70に対して接続部90を介して「機器信号」を送信するようになっている。そして、表示システム70は、映像信号出力装置102から接続部90を介して「機器信号」が入力されることを条件として図6又は図8の表示を可能とし、図6の表示状態で上記所定選択操作がなされた場合に、映像信号出力装置102からの映像信号(第1の映像信号)に応じた映像をディスプレイ74に表示するように動作する。
「保持信号」は、接続部90に接続された装置において予め定められた規格で映像情報が記録された記録媒体が当該装置に保持されていることを示す信号である。「保持信号」は、表示システム70を上述の「選択可設定」(許可状態)に設定する条件となる信号でもあり、具体的には、表示領域74Cの画像を、図8のようなグレーアウトさせた画像(表示領域74Cを選択する操作が不能な画像)から、図6のような正規画像(表示領域74Cを選択する操作が可能な画像)に切り替える条件となる信号でもある。表示システム70は、接続部90に外部機器(映像信号出力装置102や中継装置10など)が接続されており且つ当該外部機器から機器信号を取得している場合には、この外部機器を動作対象とする上記所定選択操作が可能な状態(具体的には、図6のような画面を表示可能な状態)である許可状態(選択可設定)と、上記所定選択操作が不能な状態(具体的には、図8のような画面を表示可能な状態)である不許可状態(選択不可設定)とに切り替えるようになっており、外部機器から「保持信号」を受信したことを条件として上記許可状態(選択可設定)に切り替えるようになっている。
例えば、図16のように接続部90に映像信号出力装置102が電気的に接続されている場合、「保持信号」は、映像信号出力装置102に上記記録媒体(例えばDVDディスク)が保持されていることを示す信号である。映像信号出力装置102は、自身が接続部90に電気的に接続された状態で上記記録媒体が自身の内部に保持されている場合、上記機器信号だけでなく上記保持信号(具体的には記録媒体が映像信号出力装置102に保持されていることを示す情報)を表示システム70に対して接続部90を介して送信する。上記機器信号や上記保持信号の送信タイミングや送信回数は特に限定されず、表示システム70で認識可能な方法であればよい。図5の例では、このように映像信号出力装置102から機器信号及び保持信号が送信されることにより、制御装置72がステップS2において上記許可状態(選択可設定)とし、表示システム70では、映像信号出力装置102を動作対象とする上記所定選択操作が可能な状態(図6)となりうる。
図5のように、制御装置72(図1)は、ステップS2の後、上述した「接続部90に電気的に接続された装置(特定機器)を処理対象として選択した選択中の設定」(以下、単に「選択中の設定」ともいう)がなされているか否かをステップS3において判断する。「選択中の設定」は、ユーザによって上記所定選択操作(具体的には図6の状態において表示領域74Cを選択する操作)がなされることにより開始され、その後、「選択中の設定」を解除する解除条件が成立するまで継続する。「選択中の設定」を解除する解除条件は、例えば、操作部80によって他の装置(テレビ機能部、ラジオ機能部など)を動作対象として選択する操作がなされることであってもよく、その他の条件(例えば所定の解除操作がなされること)であってもよい。
図5のように、制御装置72(図1)は、ステップS3において「選択中の設定」がなされていると判断した場合には、ステップS4において接続部90に電気的に接続された装置(特定機器)が再生中であるか否かを判断する。制御装置72は、ステップS3において「選択中の設定」がなされていないと判断した場合には、処理をステップS1に戻し、ステップS1以降の処理を行う。なお、図5のフローチャートは、「選択中の設定」がなされていない場合(例えば、表示システム70においてAM、FM、TVなどの他の機器が選択されている場合)の詳細な処理は省略されている。表示システム70は、特定機器を処理対象として選択した「選択中の設定」がなされている場合、コマンド等を上記特定機器に送信するようになっている。
「接続部90に電気的に接続された装置(特定機器)が再生中である」とは、具体的には、特定機器から直近に得られたステータス信号が「再生中信号の状態」である。「再生中」とは、「再生進行中の状態」と「一時停止状態」とを含む。なお、再生中以外の状態についての説明は省略する。再生中以外の状態とは、スロー再生、早送り、倍速再生などの状態であり、これら以外の状態が含まれていてもよい。「再生中信号」は、特定機器が再生中であることを示す信号であり、具体的には、「再生進行中であることを示すステータス信号」及び「一時停止状態であることを示すステータス信号」である。以下の説明では、後述の第1の特定信号、第2の特定信号、第1ステータス信号、第2ステータス信号が「再生中信号」の一例に相当する。「再生進行中であることを示すステータス信号」は、接続部90に電気的に接続された装置が再生進行中であることを表示システム70に認識させる信号である。以下の説明では、第2の特定信号及び第2ステータス信号が「再生進行中であることを示すステータス信号」の一例に相当する。「一時停止状態であることを示すステータス信号」は、接続部90に電気的に接続された装置が一時停止状態であることを表示システム70に認識させる信号である。以下の説明では、第1の特定信号及び第1ステータス信号が「一時停止状態であることを示すステータス信号」の一例に相当する。
図16のような例では、映像信号出力装置102は、記録媒体の「一時停止状態」のときに「一時停止状態であることを示すステータス信号」として第1の特定信号を送信する。また、図16の例では、映像信号出力装置102は、記録媒体の「再生進行中」のときに「再生進行中であることを示すステータス信号」として第2の特定信号を送信する。一方で、図1のような例では、中継装置10は、「一時停止状態であることを示すステータス信号」として、第1ステータス信号を送信する。第1ステータス信号は、第1の特定信号と同一であってもよく、異なっていてもよい。また、図1の例では、中継装置10は、「再生進行中であることを示すステータス信号」として、第2ステータス信号を送信する。第2ステータス信号は、第2の特定信号と同一であってもよく、異なっていてもよい。図16の例では、制御装置72は、ステップS4の処理において、特定機器(映像信号出力装置102)から直近に得られたステータス信号が第1の特定信号及び第2の特定信号のいずれかである場合には、ステップS4において再生中であると判断し、特定機器から直近に得られたステータス信号が第1の特定信号及び第2の特定信号以外の所定ステータス信号である場合には、ステップS4において再生中でないと判断する。また、図1の例では、制御装置72は、ステップS4の処理において、特定機器(中継装置10)から直近に得られたステータス信号が第1ステータス信号及び第2ステータス信号のいずれかである場合には、ステップS4において再生中であると判断し、特定機器(中継装置10)から直近に得られたステータス信号が第1、第2ステータス信号以外のステータス信号である場合には、ステップS4において再生中でないと判断する。
図5のように、制御装置72(図1)は、ステップS4において再生中であると判断した場合、ステップS6において「一時停止状態」であるか否かを判断する。具体的には、制御装置72は、ステップS6において、特定機器から直近に得られたステータス信号が「一時停止状態であることを示すステータス信号」及び「再生進行中であることを示すステータス信号」のいずれであるかを判断し、「一時停止状態を示すステータス信号」(図1の例では第1ステータス信号、図16の例では第1の特定信号)であると判断した場合には「一時停止状態」であると判断する。第1の特定信号は、第1応答信号の一例に相当し、第1ステータス信号は、第1応答信号を模擬した信号の一例に相当する。上述したように、第1応答信号と第1応答信号を模擬した信号は、完全に同一の信号であってもよく、一時停止状態を示す信号として表示システム70に認識され得る信号であれば、若干異なっていてもよい。
制御装置72は、ステップS6において、特定機器から直近に得られたステータス信号が「再生進行中であることを示すステータス信号」(図1の例では第2ステータス信号、図16の例では第2の特定信号)であると判断した場合には「一時停止状態」でないと判断する。この例では、映像信号出力装置102が出力する第2の特定信号は、第2応答信号の一例に相当し、中継装置10が出力する第2ステータス信号は、第2応答信号を模擬した信号の一例に相当する。なお、第2応答信号と第2応答信号を模擬した信号は、完全に同一の信号であってもよく、再生が進行している状態(一時停止が解除された状態)を示す信号として表示システム70に認識され得る信号であれば、若干異なっていてもよい。
制御装置72は、ステップS6において「一時停止状態」であると判断した場合、ステップS7において解除操作用の画像を表示した状態(具体的には、例えば図11の状態)とする。制御装置72は、ステップS6において「一時停止状態」でないと判断した場合、ステップS8において再生進行中の画像を表示した状態(具体的には、例えば図9又は図10の状態)とする。図5の例では、制御装置72は、接続部90に電気的に接続された装置(特定機器)から上記再生中信号を取得している間は、接続部90に電気的に接続された装置から端子92を介して入力される映像信号に応じた映像をディスプレイ74に表示するように動作する。
本実施形態において、「再生進行中の状態」とは、再生進行の条件(例えば、操作部80に対して再生進行を指示する操作がなされること)が成立した後、再生進行の解除条件(例えば、操作部80に対して再生進行を解除する操作がなされること)が成立するまでの状態である。具体的には、接続部90に電気的に接続された装置が再生中であって且つ一時停止中の状態でないと制御装置72が認識している状態である。そして、「一時停止状態」とは、一時停止の条件(例えば、操作部80に対して一時停止を指示する操作がなされること)が成立した後、一時停止の解除条件(例えば、一時停止を解除する操作がなされること)が成立するまでの状態である。具体的には、接続部90に電気的に接続された装置が再生中であって且つ一時停止中の状態であると制御装置72が認識している状態である。制御装置72(図1)は、図9のような再生進行中において所定操作(例えば、タッチパネル80Aに接触する操作)がなされた場合に、図10のような操作用の画像が表示されるようになっている。そして、制御装置72は、図10のような操作用の画像が表示された状態で、一時停止を指示する所定操作(例えば、一時停止指示用の画像の表面部74Lに接触する操作)がなされた場合に、ミュート状態とし、上記特定機器に対して一時停止を指示するコマンドを送信するように構成されている。ミュート状態とは、接続部90に電気的に接続された装置からの音声信号を無効化する状態である。上記特定機器は、表示システム70から一時停止を指示するコマンドを受信した場合に、第1応答信号又は第1応答信号を模擬した信号を表示システム70に送信するように構成されている。そして、表示システム70は、上記特定機器から第1応答信号又は第1応答信号を模擬した信号を受信した場合に、図11のような解除操作用の画面を表示する。
このように、制御装置72は、一時停止状態である場合、ステップS7において接続部90に電気的に接続された装置からの音声信号を無効化するミュート状態とすることに加え、図11のような解除操作用の画像を表示するようにディスプレイ74の表示を制御する。制御装置72は、ステップS7の後、処理をステップS3に戻し、ステップS3以降の処理を再び行う。本実施形態では、上述の「選択中の設定」が継続している場合において「一時停止状態」が継続している場合、ステップS7の処理が繰り返される。従って、図11のような解除操作用の画像の表示が継続する。一方で、「選択中の設定」及び「一時停止状態」が継続してるときに「一時停止状態」を解除する操作がなされた場合には、ステップS6においてNoの判定となるため、ステップS8の処理が行われる。具体的には、制御装置72は、図11のような解除操作用の画像が表示された状態で一時停止状態を解除する所定操作(例えば、再生指示用の画像の表面部74Qに接触する操作)がなされた場合に、ミュート状態を解除し、上記特定機器に対して一時停止の解除を指示するコマンド(再生の進行を指示するコマンド)を送信する。上記特定機器は、表示システム70から再生の進行を指示するコマンドを受信した場合に、第2応答信号又は第2応答信号を模擬した信号を表示システム70に送信する。表示システム70は、上記特定機器から第2応答信号又は第2応答信号を模擬した信号を受信した場合に、ステップS6にてNoの判定となるため、図9又は図10のような再生進行中の画像を表示する。
制御装置72(図1)は、ステップS4において再生中でないと判断した場合(再生中でなく停止中である場合)、ステップS6、S7、S8の処理は行わず、処理をステップS1に戻す。なお、制御装置72は、停止中には、接続部90に電気的に接続された装置からの音声信号を無効化するミュート状態とする。
このように、表示システム70は、音声信号の無効化(ミュート)と有効化(ミュート解除)を切り替え得る。例えば、映像信号出力装置102は、自身が接続部90に電気的に接続された状態で自身が保持する記録媒体(映像情報が記録された媒体)の再生進行中である場合に、再生進行中であることを示すステータス信号である第2の特定信号を表示システム70に対して接続部90を介して繰り返し送信する。この状況では、表示システム70は、ステップS8の処理を繰り返し行うため、図9又は図10の表示により、映像信号に応じた映像をディスプレイ74に表示する。この表示の際には、映像信号出力装置102から入力される音声信号に応じた音声を音声出力部76によって出力する。また、映像信号出力装置102は、自身が接続部90に接続された状態で記録媒体の一時停止中である場合には、一時停止中であることを示すステータス信号である第1の特定信号を表示システム70に対して接続部90を介して繰り返し送信するようになっている。この状況では、表示システム70は、ステップS7の処理を繰り返し行うため、図11の表示により、解除操作用の画像をディスプレイ74に表示する。この表示の際には、ミュート状態が維持されるため「端子95,96を介して入力される音声信号に応じた音声出力」を行わない。映像信号出力装置102は、自身が接続部90に接続された状態で記録媒体の停止中である場合には停止中であることを示すステータス信号である第3の特定信号を表示システム70に対して接続部90を介して繰り返し送信する。この状況では、表示システム70は、ミュート状態が維持されるため「端子95,96を介して入力される音声信号に応じた音声出力」を行わない。
また、表示システム70は、操作部80を有し、接続部90に外部機器が電気的に接続されている場合において操作部80に対して一時停止操作がなされた場合に、ミュート状態とし、上記外部機器に一時停止指示信号(一時停止を指示するコマンド)を送信する。そして、表示システム70は、上記一時停止指示信号の送信後、上記外部機器から「一時停止状態を示すステータス信号」(上記第1応答信号又は上記第1応答信号を模擬した信号)を受けることを条件として、ディスプレイ74に図11のような解除操作用の画像を表示させた状態を継続するようになっている。そして、表示システム70は、図11のようにディスプレイ74に解除操作用の画像が表示されている場合において操作部80に対して一時停止を解除する解除操作がなされた場合に、ミュート状態を解除し、上記外部機器に解除指示信号(再生の進行を指示するコマンド)を送信する。そして、このような解除指示信号の送信後、上記外部機器から「再生進行中であることを示すステータス信号」(上記第2応答信号又は上記第2応答信号を模擬した信号)を受けることを条件として、図9又は図10のような再生進行中の画像に切り替え、図11のような解除操作用の画像が消去された状態を継続するようになっている。
例えば、映像信号出力装置102は、自身が接続部90に電気的に接続された状態で自身が保持する記録媒体(映像情報が記録された媒体)の再生を進行している場合において表示システム70から一時停止を指示する一時停止指示信号(一時停止を指示するコマンド)を受けた場合に、上記記録媒体の再生中に一時停止を行い、且つ上述の第1ステータス信号(第1応答信号)を表示システム70に対して接続部90を介して送信する。この場合、表示システム70は、ステップS7の繰り返しにより、図11のような画面を表示しつつ一時停止中の画像を表示し続ける。このようにステップS7の処理が繰り返される期間は、映像信号出力装置102からの音声が無効な状態となる。更に、映像信号出力装置102は、上記のような一時停止中に、表示システム70から一時停止の解除を指示する解除指示信号(再生進行中を指示するコマンド)を受けた場合には、上記記録媒体の一時停止状態を解除して再生を進行させるように再開し且つ上述の第2の特定信号(第2応答信号)を接続部90を介して表示システム70に送信する。この場合、表示システム70は、ステップS8の処理を繰り返し行う状態に移行するため、図9又は図10のような画面を表示しつつ再生進行中の画像を表示する。このようにステップS8の処理が繰り返される期間は、映像信号出力装置102からの音声が有効な状態となる。
4.中継装置の動作
図1、図2のように中継装置10が接続部90に電気的に接続されている場合、中継装置10の制御部40は、図12のような流れで制御を行う。制御部40は、例えば、所定の開始条件の成立(例えば、電源投入又はその他の開始条件の成立)に応じて図12の制御を開始し、ステップS21にて初期化処理を行う。初期化処理では、例えば、後述するアクティブフラグ及び一時停止フラグをいずれもクリア(「0」の設定)とする。制御部40は、ステップS21の後、ステップS22にて表示システム70からリセット信号を受信したか否かを判断する。なお、表示システム70は、当該表示システム70の起動時や所定条件の成立時に上記特定機器に対してリセット信号を送信するようになっており、制御部40は、表示システムからリセット信号を受けた場合に、ステップS23以降の処理を行うようになっている。
制御部40は、ステップS22において表示システム70からリセット信号を受信していないと判断した場合にはステップS22の判断を繰り返し、受信したと判断した場合には、ステップS23にて上述の「機器信号」を模擬した「模擬信号」を表示システム70に対し接続部90を介して送信し、当該中継装置10からの動作を許容させる。この「模擬信号」は、映像信号出力装置102が出力する機器信号と同一の信号であってもよく、映像信号出力装置102が出力する機器信号とは異なるが、予め正規の機器信号(識別情報)として表示システム70に登録された情報であってもよい。即ち、「機器信号を模擬した模擬信号」は、接続部90に所定機器が接続されていること(具体的には、接続部90に接続されることが予定された機器が接続部90に接続されていること)を表示システム70が認識し得る信号であればよい。制御部40は、このような「機器信号を模擬した模擬信号」を表示システム70に送信することで、中継装置10が映像信号出力装置102と異なる機器であっても、接続部90に接続された中継装置10が表示システム70の処理対象の機器であると表示システム70に認識させることができ、接続部90に処理対象の機器が接続されていることを前提とする動作を表示システム70に行わせることができる。「接続部90に処理対象の機器が接続されていることを前提とする動作」は、接続部90に接続された機器(この場合、中継装置10)に信号を送信する動作や接続部90に接続された機器からの信号に応じた動作などであり、例えば、図6のような画面を表示する動作(表示領域74Cを選択することを許容する動作)や図8のような画面を表示する動作(表示領域74Cをグレーアウトさせて選択不能とする動作)なども含む。
制御部40は、ステップS23の後、ステップS24においてタイマを初期化し、タイマによる時間計測を開始する。更に、制御部40は、ステップS25において表示システム70から受信データがあったか否かを判断し、受信データがあると判断した場合には、処理をステップS26に進め、受信データがないと判断した場合には処理をステップS28に進める。制御部40は、ステップS25において表示システム70から受信データがあったと判断した場合、ステップS26においてその受信データがリセット信号であるか否かを判断し、リセット信号である場合には処理をステップS23に戻し、リセット信号でない場合には処理をステップS27に進める。ステップS27の受信データ処理は後述される。制御部40は、ステップS25において表示システム70から受信データがないと判断した場合、ステップS28において、ステップS24で計測を開始したタイマが所定時間(例えば5秒)に到達したか否かを判断し、所定時間に到達していない場合には処理をステップS25に戻し、所定時間に到達している場合には処理をステップS29に進める。ステップS29で行われるステータス送信処理は後述される。
制御部40は、ステップS29のステータス送信処理を図13のような流れで行う。制御部40は、ステップS29の処理が開始された場合、ステップS31においてアクティブフラグがクリアの状態(「0」の状態)であるかセットの状態(「1」の状態)であるかを判断する。制御部40は、ステップS31においてアクティブフラグがセットの状態(「1」の状態)でないと判断した場合、当該ステータス送信処理を終了する。制御部40は、ステップS31においてアクティブフラグがセットの状態(「1」の状態)であると判断した場合、ステップS32において一時停止フラグがクリアの状態(「0」の状態)であるかセットの状態(「1」の状態)であるかを判断する。制御部40は、ステップS32において一時停止フラグがセットの状態(「1」の状態)でないと判断した場合、再生進行中であることを示す第2ステータス信号を表示システム70に送信する。ここでの第2ステータス信号は、「進行中信号を模擬した信号」の一例に相当し、「第2応答信号を模擬した信号」の一例にも相当する。
このように、制御部40は、アクティブフラグが「1」であり、一時停止フラグが「0」である場合、「進行中信号を模擬した信号」(第2ステータス信号)を表示システム70に対し接続部90を介して送信し、中継装置10が「記録媒体の再生進行動作」を実際に行っていなくても、接続部90に接続された装置が再生進行中であると表示システム70に認識させることができる。従って、中継装置10が接続部90を介して表示システム70に第2ステータス信号を送信したことが確認された状態で表示システム70がステップS4(図5)の判断を行う場合、再生中であると判断し、その後のステップS6(図5)で再生進行中である(一時停止解除中である)と判断することになる。従って、このような許可状態のときに情報端末100から中継装置10へと映像信号(第2の映像信号)が送信され、この映像信号が中継装置10によって直接又は処理されて端子92に入力される場合には、表示システム70は、端子92を介して入力される映像信号に応じた映像を図9又は図10のようにディスプレイ74に表示する。よって、表示システム70は、情報端末100から出力される映像信号に応じた映像を表示することができる。また、ステップS8(図5)の処理によって上述した許可状態となっているときに情報端末100から中継装置10へとアンバランス音声信号が送信された場合には、中継装置10によって音声変換処理がなされ、情報端末100から送信されたアンバランス音声信号に応じたバランス音声信号が端子95,96を介して表示システム70に入力され、音声出力部76からは端子95,96を介して入力されるバランス音声信号に応じた音声が出力される。よって、情報端末100から出力される音声信号に応じた音声を表示システム70によって発することができる。
制御部40は、図13のステップS32において一時停止フラグがセットの状態(「1」の状態)であると判断した場合、ステップS34において一時停止中であることを示す第1ステータス信号を表示システム70に送信する。ここでの第1ステータス信号は、上述の「第1応答信号を模擬した信号」の一例に相当する。
このように、制御部40は、アクティブフラグが「1」であり、一時停止フラグが「1」である場合、「第1応答信号を模擬した信号」(第1ステータス信号)を表示システム70に対し接続部90を介して送信し、中継装置10が「記録媒体の一時停止動作」を実際に行っていなくても、接続部90に接続された装置が一時停止中であると表示システム70に認識させることができる。従って、中継装置10が接続部90を介して表示システム70に第1ステータス信号を送信したことが確認された状態で表示システム70がステップS4(図5)の判断を行う場合、再生中であると判断し、ステップS6では、一時停止状態であると判断するため、ステップS7の処理を行うことになる。このように、ステップS7の処理が行われるため、ユーザは図11のような解除操作用の画像に基づいて解除操作を行うことができる。
制御部40は、図12におけるステップS27の処理を行う場合、図14、図15のような流れで行う。制御部40は、ステップS27の処理開始後、表示システム70から当該表示システム70のステータスを受信したか否かを判断する。制御部40は、ステップS41において表示システム70のステータスを受信したと判断した場合、受信したステータスが「上記特定機器を選択するステータス」であるか否かを判断する。制御部40は、ステップS42において、表示システム70から受信したステータスが「上記特定機器を選択するステータス」であると判断した場合、アクティブフラグをセット(「1」に設定)し、当該受信データ処理を終了する。制御部40は、ステップS42において、表示システム70から受信したステータスが「上記特定機器を選択するステータス」でないと判断した場合(即ち、表示システム70で他の機器が選択されている場合)、アクティブフラグをクリア(「0」に設定)し、一時停止フラグをクリア(「0」に設定)し、当該受信データ処理を終了する。なお、表示システム70のステータスは、表示システム70から上記特定機器に対して所定条件成立時又は定期的に送信される。
制御部40は、ステップS41において表示システム70のステータスを受信していないと判断した場合、ステップS45において上記特定機器に対する操作コマンドを受信したか否かを判断する。制御部40は、ステップS45において上記操作コマンドを受信したと判断した場合、ステップS46においてその操作コマンドが起動要求であるか否かを判断する。制御部40は、受信した操作コマンドが起動要求であるとステップS46にて判断した場合には、ステップS47にてアクティブフラグをセット(「1」に設定)し、一時停止フラグをクリア(「0」に設定)し、当該受信データ処理を終了する。
制御部40は、ステップS46において上記操作コマンドが起動要求でないと判断した場合、ステップS48においてその操作コマンドが休止要求であるか否かを判断する。制御部40は、受信した操作コマンドが休止要求であるとステップS48にて判断した場合には、ステップS49にてアクティブフラグをクリア(「0」に設定)し、一時停止フラグをクリア(「0」に設定)し、当該受信データ処理を終了する。
制御部40は、ステップS48において上記操作コマンドが休止要求でないと判断した場合、ステップS50においてその操作コマンドが一時停止要求であるか否かを判断する。例えば、制御部40は、表示システム70から上述の「一時停止を指示するコマンド」を受信したことを確認済みの場合には、ステップS50において一時停止要求であると判断する。制御部40は、受信した操作コマンドが一時停止要求であるとステップS50にて判断した場合には、ステップS51にてアクティブフラグをセット(「1」に設定)し、一時停止フラグをセット(「1」に設定)し、ステップS54にてステータス送信処理を行う。ステップS54のステータス送信処理は、ステップS29のステータス送信処理と同様であり、図13のような処理である。
制御部40は、ステップS50において上記操作コマンドが一時停止要求でないと判断した場合、ステップS52においてその操作コマンドが再生進行要求であるか否かを判断する。例えば、制御部40は、表示システム70から上述の「再生の進行を指示するコマンド」を受信したことを確認済みの場合には、ステップS50において再生進行要求であると判断する。制御部40は、受信した操作コマンドが再生進行要求であるとステップS52にて判断した場合には、ステップS53にてアクティブフラグをセット(「1」に設定)し、一時停止フラグをクリア(「0」に設定)し、ステップS54にてステータス送信処理を行う。
制御部40は、ステップS45において上記操作コマンドを受信していない判断した場合、図15のステップS61において表示システム70からステータス要求コマンドを受信したか否かを判断する。なお、表示システム70から上記特定機器に対しては、所定条件成立時又は定期的にステータス要求コマンドが送信されるようになっている。制御部40は、ステップS61において表示システム70からステータス要求コマンドを受信していないと判断した場合には、当該受信データ処理を終了する。
制御部40は、ステップS61において表示システム70からステータス要求コマンドを受信したと判断した場合には、ステップS62において現在のアクティブフラグがセット(「1」の状態)であるか否かを判断し、アクティブフラグがセット(「1」の状態)でない場合には、ステップS63において停止中を示す第3ステータス信号を送信する。
制御部40は、ステップS62において現在のアクティブフラグがセット(「1」の状態)であると判断した場合には、ステップS64において現在の一時停止フラグがセット(「1」の状態)であるか否かを判断し、一時停止フラグがセット(「1」の状態)でない場合には、ステップS65において再生進行中を示すステータス信号(上記第2ステータス信号)を送信し、一時停止フラグがセット(「1」の状態)である場合には、ステップS66において一時停止中を示すステータス信号(上記第1ステータス信号)を送信する。
以上のように、中継装置10は、接続部90に当該中継装置10が電気的に接続された場合において表示システム70からステップS50の一時停止要求(一時停止指示信号)を受けた場合に、第1応答信号を模擬した信号(第1ステータス信号)を表示システム70に対して接続部90を介して送信するようになっている。更に、中継装置10は、表示システム70からステップS52の再生進行要求(解除指示信号)を受けた場合には、第2応答信号を模擬した信号(第2ステータス信号)を表示システム70に対して接続部90を介して送信するようになっている。
更に、制御部40は、ステップS33、S34、S63、S65、S66のそれぞれにおいて、ステータス信号に加え、上述の「保持信号」を模擬した信号を表示システム70に対し接続部90を介して送信する。制御部40は、このように「保持信号」を送信することで、表示システム70を上述の「選択可設定」(中継装置10を動作対象とする上記所定選択操作が可能な状態である許可状態)とすることができる。この「保持信号を模擬した信号」は、映像信号出力装置102が出力する「保持信号」と同一の信号であってもよく、映像信号出力装置102が出力する「保持信号」とは異なるが、予め正規の保持信号として表示システム70に登録された情報であってもよい。即ち、「保持信号を模擬した信号」は、記録媒体が保持されていることを示す信号であると表示システム70に認識され得る信号であればよい。制御部40は、このような「保持信号を模擬した信号」を表示システム70に送信することで、中継装置10が実際に記録媒体を保持していなくても、接続部90に接続された装置が記録媒体を保持してる状態であると認識させることができ、接続部90に接続された装置が記録媒体を保持してることを前提とする動作を表示システム70に行わせることができる。「接続部90に接続された装置が記録媒体を保持してることを前提とする動作」は、接続部90に接続された装置を動作対象として選択する動作や、接続部90に接続された装置からの映像信号及び音声信号に基づく映像や音声を出力することを許容する動作などであり、例えば、図6のような画面を表示する動作なども含む。
このように、中継装置10は、自身が接続部90に電気的に接続されている状態で「機器信号を模擬した信号」と「保持信号を模擬した信号」とを表示システム70に送信するため、中継装置10が接続部90に接続されている状態で制御装置72が図5の制御を行う場合、ステップS1ではYesの判定となり、ステップS2の「選択可設定」が継続することになる。従って、中継装置10が接続部90に電気的に接続されている場合には、表示システム70において図6のような「所定の操作用画面」を表示することが可能となり、上述した「所定選択操作」を行うことで「接続部90に電気的に接続された中継装置10を動作対象とする選択」が可能となる。
図1、図2のように中継装置10が接続部90に電気的に接続されている状態では、上述した「所定選択操作」がなされない間は、表示システム70において、図5のステップS1でのYesの判断、ステップS2、ステップS3でのNoの判断が繰り返されることになり、上述した「所定選択操作」がなされることで上述した「選択中の設定」となった場合には、ステップS4以降の処理が行われることになる。
5.効果の例
中継装置10は、表示システム70の接続部90に電気的に接続された場合に、表示システム70に対し接続部90を介して機器信号(表示システム70が接続部90に接続された装置からの動作を許可する条件となる信号)を模擬した模擬信号を送信する。よって、中継装置10は、自身からの動作を表示システム70に許容させ得る。そして、中継装置10は、このように動作が許容された状態で、情報端末100(外部装置)から入力部20に入力された映像信号(第2の映像信号)に応じた映像信号を、接続部90を介して表示システム70に伝送することができる。よって、中継装置10は、表示システム70の接続部90(特定の種類の映像信号出力装置102が接続されることが想定された部分)を利用して、情報端末100(外部装置)から出力される映像信号に応じた映像を表示システム70のディスプレイ74に表示することができる。
また、第1実施形態の中継装置10は、保持信号を模擬した信号を表示システム70に送信することができるため、映像信号出力装置102が表示システム70に電気的に接続された状態で映像信号出力装置102内に記録媒体が保持されている場合と同様の動作を表示システム70に行わせることができる。具体的には、中継装置10は、保持信号を模擬した信号を表示システム70に送信することで、表示システム70を許可状態(接続部90に接続された外部機器を動作対象とする上記所定選択操作が可能な状態)にすることができ、記録媒体を保持していなくても自身を動作対象とする上記所定選択操作が可能な状態にすることができる。
また、第1実施形態の中継装置10は、進行中信号を模擬した信号を表示システム70に送信することができるため、映像信号出力装置102が表示システム70に接続された状態で再生進行中である場合と同様の動作を表示システム70に行わせることができる。具体的には、中継装置10は、進行中信号を模擬した信号(第2ステータス信号)を表示システム70に送信することで、記録媒体を実際に再生しなくても、ステップS8のような処理を表示システム70に行わせることができる。
図1で示されるシステム構成以外の他の方策として、図17のような接続を行うことも考えられる。図17の例は、情報端末100からの映像信号や音声信号に応じた動作を表示システム70で行うための信号送信(機器信号、保持信号、再生中信号の送信)を、映像信号出力装置102に行わせようとするシステム構成である。しかし、このようなシステム構成を採用した場合、適切な映像信号出力装置102を用意する必要があり、しかも、保持信号を出力するために映像信号出力装置102に記録媒体を保持させなければならない。更に、映像信号出力装置102が再生を行っていないとミュート状態となってしまうという問題もある。これに対し、上述した第1実施形態の中継装置10は、このような問題を解消することができるため非常に有用である。
中継装置10は、情報端末100(外部装置)からの映像信号(第2の映像信号)に応じた映像信号を特定の接続部90を介して表示システム70に入力することを可能とし、更に、接続部90を介して音声信号を入力する場合には、情報端末100(外部装置)からアンバランス方式で音声信号が入力されたとしてもバランス方式の音声信号に変換して表示システム70に入力することができる。しかも、中継装置10は、アンバランス方式で入力された音声信号をバランス方式の音声信号に変換して入力する際に、反転関係にある一方の第1電圧信号と他方の第2電圧信号をいずれも減衰信号として生成することができるため、第1電圧信号及び第2電圧信号の出力が大きすぎることに起因する弊害(例えば、音割れ等)を生じにくくすることができる。
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
第1実施形態では、情報端末100がケーブル部50を介して中継装置10に電気的に接続され、情報端末100からの信号がケーブル部50を介して中継装置10に入力されるようになっていたがこの例に限定されない。情報端末100と中継装置10とが互いに無線通信を行う構成であってもよい。この場合、情報端末100から中継装置10へと無線通信によって映像信号や音声信号が入力されてもよい。
第1実施形態では、中継装置10が単一装置によって構成されていたが複数の装置によって構成されていてもよい。例えば、中継装置10が、情報端末100から映像信号や音声信号を取得する第1装置と表示システム70に信号を送信する第2装置とを備えていてもよい。この場合、第1装置と第2装置とがケーブル等によって有線接続されていてもよく、無線通信によって情報伝達が可能とされていてもよい。
第1実施形態では、ケーブル部50が中継装置10とは別部材として構成されていたが、ケーブル部50が中継装置10の一部として含まれていてもよい。第1実施形態では、ケーブル部60が中継装置10とは別部材として構成されていたが、ケーブル部60が中継装置10の一部として含まれていてもよい。
図5のフローチャートでは、表示システム70(例えばディスプレイオーディオなど)による制御の流れが例示されるが、図5の例はあくまで制御の一例が簡略的に示されるものであり、表示システム70の制御は図5の内容に限定されない。表示システム70は、接続部90を介して機器信号又は機器信号を模擬した信号を受信したことを条件として接続部90に電気的に接続された装置からの信号に応じた動作を許可するような制御であればよく、図5のフローチャートは様々なフローチャートに変更され得る。また、上記実施形態では、表示システム70は、保持信号又は保持信号を模擬した信号を受信したことを条件として接続部90に電気的に接続された装置からの信号に応じた動作を許可するように動作するが、保持信号又は保持信号を模擬した信号の受信を条件としなくてもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。