JP6897226B2 - 光学モジュール及び光学モジュールの駆動方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の光学モジュールは、互いに対向する一対の反射膜と、一対の反射膜の間の寸法を変更する静電アクチュエーターとを備える。このような光学モジュールでは、一対の電極を対向配置させた簡素な構成の静電アクチュエーターにより、反射膜間の寸法を変更することができ、波長可変干渉フィルターを透過させる光の波長を変更することが可能となる。
このような光学モジュールでは、反射膜間の寸法を変更するために静電アクチュエーターに印加する電圧を低くし、消費電流及び消費電力を小さくすることが望まれている。
この場合、静電アクチュエーターが発生する力だけではなく、変形した波長可変干渉フィルターが元の形状に戻ろうとする復元力も利用して波長可変干渉フィルターを変位させることができる。このため、静電アクチュエーターが発生する力のみによって波長可変干渉フィルターを変位させる場合と比べて、低い電圧により、ギャップ寸法を所定の範囲で変化させることができる。
そして、共振時におけるギャップ寸法の最大値又は最小値の検出タイミングから所定のサンプリングタイミングで受光信号を検出することで、各波長の光の光量を測定できる。
このように本適用例によれば、低い電圧で各波長の光の光量を測定でき、消費電流及び消費電力を低減できる。
例えばギャップ検出部や受光部などでは、一般的に5V以下の電圧が使用されている。
本適用例では、周期駆動電圧の電圧値が5V以下であるため、例えばギャップ検出部や受光部などで使用される電圧を、昇圧せずに周期駆動電圧に用いることができる。このため、昇圧回路などを設ける必要がなく、光学モジュールを小型化できる。
本適用例によれば、実測値に基づいて、周期駆動電圧の周期を、波長可変干渉フィルターを共振駆動させることができる周期に設定できる。このため、例えば使用環境などに応じて波長可変干渉フィルターの固有周期が変化する場合でも、当該波長可変干渉フィルターを精度良く共振駆動させることができる。
また、波長可変干渉フィルターを共振駆動させることができる周期の探索範囲が、波長可変干渉フィルターの固有周期の80%から120%であるため、波長可変干渉フィルターを共振駆動させることができる確率が低い周期を探索しないようにできる。このため、周期の探索に係る平均時間を短縮できる。
本適用例によれば、低い電圧で各波長の光の光量を検出でき、消費電流及び消費電力を低減できる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学装置の構成]
図1は、本発明に係る実施形態の光学装置1の概略構成を示すブロック図である。
光学装置1は、光学モジュールの一例であり、例えば測定対象物Xで反射した測定対象光における各波長の光の光量を測定する装置である。なお、本実施形態では、測定対象物Xで反射した測定対象光を測定する例を示すが、測定対象物Xとして、例えば液晶パネル等の発光体を用いる場合、当該発光体から発光された光を測定対象光としてもよい。
そして、この光学装置1は、図1に示すように、光学フィルターデバイス10と、受光部11と、信号処理回路13と、A/D変換器14と、ギャップ検出回路15と、フィルター駆動回路16と、制御回路20と、を備えている。
光学フィルターデバイス10は、図1に示すように、筐体101と、筐体101の内部に収納される波長可変干渉フィルター5とを備えて構成されている。
筐体101は、波長可変干渉フィルター5を収納する箱状部材であり、内部空間が減圧下(例えば真空)に維持されている。
この筐体101は、測定対象物Xからの測定光の光軸上に、測定光を筐体101内に入射させる入射窓102、及び、波長可変干渉フィルター5を透過した光を通過させる出射窓103を有する。これらの入射窓102及び出射窓103は、例えばガラス等の透明部材により閉塞されている。
次に、光学フィルターデバイス10の筐体101に収納される波長可変干渉フィルター5について説明する。
図2は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図である。図3は、図2をA−A線で切断にした波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、例えば矩形板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、例えば、図3に示すように、固定基板51および可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜等の接合膜53により接合されて、一体的に構成されている。
固定基板51には、第一反射膜を構成する固定反射膜54が設けられ、可動基板52には、第二反射膜を構成する可動反射膜55が設けられ、これらの固定反射膜54および可動反射膜55は、反射膜間ギャップGmを介して対向配置されている。また、波長可変干渉フィルター5には、反射膜間ギャップGmのギャップ寸法を変更する静電アクチュエーター56(図2に示す斜線部分)を備えている。
以下、各部の構成を詳細に説明する。
固定基板51は、可動基板52に対向する面に、例えばエッチングにより形成された電極配置溝511及び反射膜設置部512を備える。この固定基板51は、例えば可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、静電アクチュエーター56により静電引力を作用させた際の固定基板51の撓みが抑制されている。また、固定基板51の一端側(例えば、図2における辺C5−C6)は、可動基板52の一端側(辺C1−C2)よりも突出している。
また、固定基板51には、電極配置溝511から、辺C3−C4に向かって延設される電極引出溝(図示略)が設けられている。
また、固定電極561には、電極引出溝に沿って辺C3−C4側に延設される第一引出電極563が接続されている。この第一引出電極563は、電極引出溝において、可動基板52側に設けられた第一接続電極565に接続される。
なお、本実施形態では、1つの固定電極561が設けられる構成を示すが、例えば、フィルター中心点Oを中心とした同心円となる2つの電極が設けられる構成(二重電極構成)などとしてもよい。
なお、固定反射膜54としては、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いてもよい。この場合、誘電体多層膜上に金属膜(又は合金膜)等の導電性の膜を積層し、第三引出電極541を当該導電性の膜に接続すればよい。
可動基板52は、図2に示すような平面視において、フィルター中心点Oを中心とした円形状の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、保持部522の外側に設けられた基板外周部525と、を備えている。また、可動基板52の一端側(辺C3−C4側)は、固定基板51の辺C7−C8よりも外側に突出し、電装部524を構成する。
そして、可動電極562には、可動電極562の外周縁から固定基板51の電極引出溝に対向する領域を通り、電装部524まで延設される第二引出電極564を備えている。この第二引出電極564は、電装部524において、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)やリード線等の配線によりフィルター駆動回路16に接続されている。
可動反射膜55には、可動電極562の切欠部562Aを通って、電極引出溝に対向する領域に通り、電装部524まで延設される第四引出電極551が接続されている。この第四引出電極551は、電装部524において、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)やリード線等の配線によりギャップ検出回路15に接続されている。
第一接続電極565は、電極対向溝まで延設された第一引出電極563と、例えばバンプ電極を介して接続されている。また、第一接続電極565は、電装部524において、FPC等の配線によりフィルター駆動回路16に接続されている。
第三接続電極542は、電極対向溝まで延設された第三引出電極541と、例えばバンプ電極を介して接続されている。また、第三接続電極542は、電装部524において、FPC等の配線によりギャップ検出回路15に接続されている。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、フィルター中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
また、ギャップ検出回路15により、固定反射膜54及び可動反射膜55の間の静電容量(ギャップ寸法)を検出し、検出信号(検出値)を制御回路20に出力することが可能となる。
図1に戻り、光学装置1の制御回路20について説明する。
制御回路20は、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリー等が組み合わされることで構成され、光学装置1の全体動作を制御する。この制御回路20は、図1に示すように、電圧制御部21及び信号取得部22を備えている。
また、制御回路20は、記憶部30を備え、記憶部30には、波長可変干渉フィルター5の可動部521の固有周期を示すデータや、反射膜間ギャップGmと透過波長との関係を示すデータなどが記憶されている。記憶部30は、例えば、フラッシュメモリーなどにより構成されている。
信号取得部22は、ギャップ検出回路15を制御して、ギャップ検出回路15から出力された検出信号を取得する。また、信号取得部22は、信号処理回路13を制御して、受光部11から出力された受光信号を取得する。
次に、上述した光学装置1の駆動方法について、図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態の光学装置1の駆動方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、光学装置1では、測定対象に対する分光測定を実施する場合、まず、電圧制御部21は、波長可変干渉フィルター5を共振駆動させる周期駆動電圧の周期Tを設定する(ステップS1)。
また、信号取得部22は、ギャップ検出回路15を制御して、予め設定されたサンプリング周期で反射膜間ギャップGmのギャップ寸法を取得する。
そして、電圧制御部21は、周期駆動電圧の周期を変化させる毎に、前記所定時間において、同一のギャップ寸法の極小値が所定回数以上取得(検出)されたか否かを判定する。同一のギャップ寸法の極小値が所定回数以上取得される場合は、可動部521が共振駆動しており、ギャップ寸法の極小値が、最小値(第二値以下の値)になっていると判断できる。このため、同一のギャップ寸法の極小値が所定回数以上取得されたか否かを判定することは、すなわち、ギャップ寸法の最小値が、所定回数以上取得(検出)されたか否かを判定することである。なお、所定回数は、本実施形態では、例えば2回に設定されている。
そして、電圧制御部21は、当該極小値が所定回数以上取得された場合、可動部521が共振駆動していると判断し、その時点で設定されている周期駆動電圧の周期を、周期Tに設定する。
そして、電圧制御部21は、周期駆動電圧の周期を、周期Tでロックする(ステップS2)。
これにより、可動部521が共振駆動し、ギャップ寸法は、図5の波形W2に示すように周期Tで周期的に変動する。なお、可動部521は、共振駆動することで、静電アクチュエーター56に電圧が印加される前の初期位置に対して、固定反射膜54に近づく方向だけではなく、固定反射膜54から遠ざかる方向にも変位する。
本実施形態では、ギャップ寸法が最小値となるタイミングを基準にしたサンプリングタイミングで受光信号を取得するため、受光信号を取得する前に、ギャップ寸法が最小値となるタイミングを測定により検出する。
そして、信号取得部22は、周期Tの間、ギャップ寸法を取得し、取得したギャップ寸法の最小値を、最小値minとして取得する(ステップS4)。
そして、信号取得部22は、その後に取得するギャップ寸法がステップS4で取得した最小値min以下か否かを判定する(ステップS5)。信号取得部22は、取得したギャップ寸法が最小値min以下であると判定するまで、ギャップ寸法を取得する毎にステップS5の判定処理を繰り返し実行する。
ステップS7でYESと判定された場合、可動部521が半周期分駆動し、ギャップ寸法が最小値となる状態から最大値となる状態まで変位したと判断できるため、信号取得部22は、受光信号の取得処理を終了する。
まず、信号取得部22は、ギャップ検出回路15を制御して、予め設定されたサンプリング周期でギャップ寸法を取得する処理を開始する(ステップS8)。
そして、信号取得部22は、取得したギャップ寸法がステップS4で取得した最小値min以下か否かを判定する(ステップS9)。信号取得部22は、取得したギャップ寸法が最小値以下であると判定するまで、ギャップ寸法を取得する毎にステップS9の判定処理を繰り返し実行する。
ステップS11でYESと判定された場合、波長可変干渉フィルター5が、半周期分駆動し、ギャップ寸法が最小値となる状態から最大値となる状態まで変位したと判断できるため、信号取得部22は、ギャップ寸法の取得処理を終了する。
以上のようにして、測定が行われる。
本実施形態によれば、測定時、波長可変干渉フィルター5の可動部521を共振駆動させる。
この場合、静電アクチュエーター56が発生する力だけではなく、変位した可動部521が初期位置に戻ろうとする復元力も利用して可動部521を変位させることができるため、静電アクチュエーター56が発生する力のみによって可動部521を変位させる場合と比べて、低い電圧により、ギャップ寸法を所定の範囲で変化させることができる。
また、可動部521は、固定反射膜54に近づく方向だけではなく、固定反射膜54から遠ざかる方向にも変位するため、固定反射膜54に近づく方向にのみ変位する場合と比べて、初期位置からの変位量を小さくできる。この点からも、静電アクチュエーター56に印加する電圧を低くできる。
すなわち、例えば、電圧を段階的に変化させて静電アクチュエーター56に印加することで反射膜間ギャップGmのギャップ寸法を段階的に変化させる構成では、可動部521の復元力を利用できず、また、可動部521は固定反射膜54に近づく方向にのみ変位する。このため、本実施形態によれば、このような構成と比べて、静電アクチュエーター56に印加する電圧を大幅に低くできる。
これにより、本実施形態によれば、低い電圧で各波長の光の光量を検出でき、消費電流及び消費電力を低減できる。このため、光学装置1を、バッテリー駆動のモバイル機器にも搭載できる。
また、周期Tを設定する際の探索範囲が、可動部521の固有周期の80%から120%であるため、可動部521を共振駆動させることができる確率が低い周期を探索しないようにできる。このため、周期の探索に係る平均時間を短縮できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、信号取得部22は、ギャップ寸法が最小値になるタイミングから最大値になるタイミングまでの共通の期間で、受光量及びギャップ寸法を交互に取得してもよい。この場合、受光量の取得タイミングとギャップ寸法の取得タイミングとがずれるため、例えば、受光量に対して、当該受光量を取得したタイミングの前後で取得したギャップ寸法の平均値を対応付けて記憶部30に記憶させる。
ただし、この場合は、A/D変換器14の処理速度が同じ場合、上記実施形態に比べて、受光量及びギャップ寸法の取得回数が少なくなる。この場合、受光量を測定できる波長の波長間隔(測定波長間隔)が長くなり、分解能が低下する。このため、上記実施形態のように、信号取得部22が、受光量を連続して取得した後に、ギャップ寸法を連続して取得する構成の方が好ましい。
また、ギャップ寸法を受光量よりも先に取得してもよい。
また、例えばA/D変換器を2つ設け、受光量及びギャップ寸法を同時に取得できるようにしてもよい。
例えば、信号取得部22は、ギャップ寸法が最大値となるタイミングを検出し、当該タイミングからギャップ寸法が最小値となるタイミングまでの期間、受光量及びギャップ寸法を取得してもよい。
また、信号取得部22は、ギャップ寸法が最小値になるタイミングから、次にギャップ寸法が最小値となるタイミングまで、すなわち、周期Tの間、受光量及びギャップ寸法を取得してもよい。また、ギャップ寸法が最大値になるタイミングから、次にギャップ寸法が最大値になるタイミングまで受光量及びギャップ寸法を取得してもよい。
また、周期Tと、ギャップ寸法の最小値及び最大値とに基づいて、共振時におけるギャップ寸法の変位を示す周期関数を計算により求めることで、受光量を取得した際のギャップ寸法を当該周期関数に基づいて取得してもよい。この場合、ギャップ寸法を測定して取得する必要がないため、測定時間を短縮できる。
例えば、探索範囲(固有周期の80%から120%の範囲)において、周期駆動電圧の周期を第1間隔(例えば1kHz間隔)で変化させて、ギャップ寸法が最小又は最大となる周期を検出する。その後、当該最小又は最大の周期を含む所定の周期範囲において、周期駆動電圧の周期を第1間隔よりも細かい第2間隔(例えば、0.1kHz)で変化させ、ギャップ寸法が最小又は最大となる周期を検出し、当該周期を周期Tに設定してもよい。
この構成によれば、波長可変干渉フィルター5を共振駆動させることができる周期を精度よく検出できる。また、例えば周期駆動電圧の周期を始めから第2間隔で変化させて探索する場合と比べて、探索時間を短縮できる。
Claims (4)
- 一対の反射膜、前記一対の反射膜のうちの一方が設けられて前記一対の反射膜の他方に向かって進退可能な可動部、及び前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更する静電アクチュエーターを備えた波長可変干渉フィルターと、
前記静電アクチュエーターに周期駆動電圧を印加する駆動制御部と、
前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を検出するギャップ検出部と、
前記波長可変干渉フィルターから出力された光を受光する受光部と、を備え、
前記駆動制御部により前記静電アクチュエーターに周期駆動電圧を印加して前記可動部を共振振動させ、前記ギャップ検出部にて検出される前記ギャップ寸法の最大値又は最小値の検出タイミングから所定のサンプリングタイミングで前記受光部からの受光信号を検出する
ことを特徴とする光学モジュール。 - 請求項1に記載の光学モジュールにおいて、
前記周期駆動電圧の電圧値は、5V以下である
ことを特徴とする光学モジュール。 - 請求項1又は請求項2に記載の光学モジュールにおいて、
前記駆動制御部は、前記周期駆動電圧の周期を変更可能であり、前記周期を前記波長可変干渉フィルターの固有周期に対して80%から120%で変化させ、前記ギャップ検出部により第一値以上の前記最大値、又は、第二値以下の前記最小値が所定回数検出された場合に、前記周期をロックする
ことを特徴とする光学モジュール。 - 一対の反射膜、前記一対の反射膜のうちの一方が設けられて前記一対の反射膜の他方に向かって進退可能な可動部、及び前記一対の反射膜の間のギャップ寸法を変更する静電アクチュエーターを備えた波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターから出力された光を受光する受光部とを備えた光学モジュールの駆動方法であって、
前記静電アクチュエーターに周期駆動電圧を印加して前記可動部を共振振動させ、前記一対の反射膜の間のギャップ寸法が最大値又は最小値となるタイミングから所定のサンプリングタイミングで、前記受光部からの受光信号を検出する
ことを特徴とする光学モジュールの駆動方法。
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