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JP6884092B2 - 作業車及び作業車のための走行経路選択システム - Google Patents

作業車及び作業車のための走行経路選択システム Download PDF

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Description

本発明は、互いに平行に延びた複数の平行走行経路と、前記平行走行経路同士をつなぐ方向転換走行経路とを含む走行経路に沿って作業地を走行する作業車に関する。
特許文献1には、車両の現在位置に応じて、推奨されるべき作業の能率や精度が高い走行経路を表示装置の表示部に表示する運行支援装置を装備した圃場作業車両が開示されている。ここで、推奨されている走行経路は、圃場の出入口が1つだけとみなして作業の終了位置が作業の開始位置付近となる経路であり、さらには、既作業域を踏み付ける部分が極力少なくなる経路である。この運行支援装置では、作業装置の作業幅中心が車体中心線上に位置しており、その結果、作業幅中心と旋回基準点(実質的にはトレッド幅中心線上に位置する)との間に車体横断方向でのずれがないと仮定されている。
特開2000−014208号公報
互いに平行に延びた複数の平行走行経路を走行する際、現走行経路の走行が終了して、次走行経路を複数の平行走行経路からを選択する際に、最小旋回半径を考慮して、できるだけ現走行経路の近くの未走行の走行経路が第1候補となる。その際、現走行経路の両側に多数の未走行の走行経路が残っている場合は、左右の走行経路への方向転換経路の距離は同じとして取り扱われている。これは、作業車の作業幅中心が車体中心線上に位置していると仮定しているからである。しかしながら、作業幅中心と旋回基準点との間に横ずれ(車体横断方向でのずれ)が生じるような作業装置を装備した作業車の場合、左旋回時と右旋回時とで作業幅中心の軌跡が非対称となるので、従来の方法では、適正な次走行経路の選択ができなくなる。
このような実情から、作業幅中心と旋回基準点との間に横ずれが生じるような作業装置を装備しても、適正な次走行経路の選択できる作業車が要望される。
本発明による作業車は、互いに平行に延びた複数の平行走行経路と、前記平行走行経路同士をつなぐ方向変換走行経路とを含む走行経路に沿って作業地を走行するものであり、操舵可能な走行装置と、作業装置と、左旋回時の前記作業装置の作業幅中心の旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報と、右旋回時の前記作業幅中心の旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報と、前記走行装置の最小旋回半径とを管理する旋回情報管理部と、
走行中の前記平行走行経路である現走行経路から前記左旋回を用いて移行可能な未走行走行経路を左次走行経路候補とするとともに、前記現走行経路から前記右旋回を用いて移行可能な前記未走行走行経路を右次走行経路候補とし、前記左旋回軌跡情報と前記右旋回軌跡情報と前記最小旋回半径とに基づいて、前記左次走行経路候補と前記右次走行経路候補とから次走行経路の選択を決定する次走行経路選択部とを備える。
この構成によれば、作業幅中心と旋回基準点との間に横ずれが生じるような作業装置を装備しても、左旋回時の前記作業装置の作業幅中心の旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報及び右旋回時の前記作業幅中心の旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報が管理されているので、これらの情報と走行装置の最小旋回半径とから、適正な次走行経路の選択が可能となる。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記次走行経路選択部は、前記現走行経路から前記次走行経路への方向転換の走行距離が短いことを選択条件とするように構成されている。この構成では、左右のそれぞれの旋回時における作業幅中心の旋回軌跡を考慮したうえで、方向転換の走行距離が短くなる次走行経路を選択するので、走行装置の走行軌跡に基づく走行距離が短くても、作業幅中心が次走行経路による作業幅中心に達することができないような方向転換走行は除外される。これにより、作業幅中心と旋回基準点との間に横ずれが生じるような作業装置を装備しても、適正な次走行経路の選択が可能となる。
本発明の好適な実施形態の1つでは、衛星からの衛星信号に基づいて測位データを出力する衛星測位モジュールと、前記測位データに基づいて自車位置を算出する自車位置算出部と、前記走行経路と前記自車位置との偏差に基づいて操舵量を算出する操舵量算出部とが備えられている。この構成を採用することで、作業車は、適正な次走行経路を選択しながら、複数の平行走行経路を自動操舵で走行することができる。
旋回時に設定される旋回円によって定まる旋回基準経路の上を追従する車体の基準点、つまり旋回基準点は、実質的にはトレッド中心線上に位置する。また、衛星アンテナが測位基準点であり、その位置は衛星測位モジュールの測位データに含まれている座標位置である。したがって、トレッド中心線上に衛星アンテナを設置すると、旋回基準点の位置が正確に算出することができ、旋回走行の精度が向上する。
上述した本発明による作業車における次走行経路選択機能は、走行経路選択システムとしてパッケージ化することができる。そのような走行経路選択システムも本発明の対象である。本発明による走行経路選択システムは、互いに平行に延びた複数の平行走行経路と、前記平行走行経路同士をつなぐ方向転換走行経路とを含む走行経路に沿って作業地を走行する作業車のための走行経路選択システムであって、左旋回時における前記作業車の作業幅中心の旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報と、右旋回時における前記作業幅中心の旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報と、前記作業車の走行装置の最小旋回半径とを管理する旋回情報管理部と、走行中の前記平行走行経路である現走行経路から前記左旋回を用いて移行可能な未走行走行経路を左次走行経路候補とするとともに、前記現走行経路から前記右旋回を用いて移行可能な前記未走行走行経路を右次走行経路候補とし、前記左旋回軌跡情報と前記右旋回軌跡情報と前記最小旋回半径とに基づいて、前記左次走行経路候補と前記右次走行経路候補とから次走行経路の選択を決定する次走行経路選択部とを備える。この走行経路選択システムは、上述した本発明の作業車と同様な作用効果が得られる。また、この走行経路選択システムに対しても、上述した本発明の実施形態を適用することができ、同様な作用効果が得られる。
作業車の一例としてのコンバインの側面図である。 コンバインの自動走行の概要を示す図である。 自動走行における走行経路を示す図である。 作業幅中心と旋回基準点との関係を模式的に示す平面図である。 左旋回と右旋回での作業幅中心の旋回軌跡の違いを模式的に示す平面図である。 コンバインの制御系の構成を示す機能ブロック図である。 走行経路選択の流れを示すフローチャートである。
次に、走行経路に沿って作業地を自動走行する本発明の作業車の一例として、普通型のコンバインを取り上げて説明する。なお、本明細書では、特に断りがない限り、「前」(図1に示す矢印Fの方向)は車体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(図1に示す矢印Bの方向)は車体前後方向(走行方向)における後方を意味する。また、左右方向または横方向は、車体前後方向に直交する車体横断方向(車体幅方向)を意味する。「上」(図1に示す矢印Uの方向)及び「下」(図1に示す矢印Dの方向)は、車体の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示す。
図1に示すように、このコンバインは、走行車体10、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、収穫部H、搬送装置16、穀粒排出装置18、自車位置検出モジュール80を備えている。
走行装置11は、走行車体10(以下単に車体10と称する)の下部に備えられている。コンバインは、走行装置11によって自走可能に構成されている。この走行装置11は、左右一対のクローラ機構(走行ユニット)から構成された操舵走行装置である。左のクローラ機構(左走行ユニット)のクローラ速度と右のクローラ機構(右走行ユニット)のクローラ速度とは独立して調整可能であり、この速度差の調整により車体10の走行方向での向きが変更される。運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられ、車体10の上部を構成している。運転部12は、コンバインを運転する運転者やコンバインの作業を監視する監視者が搭乗可能である。通常、運転者と監視者とは兼務される。なお、運転者と監視者とが別人の場合、監視者は、コンバインの機外からコンバインの作業を監視していても良い。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の後下部に連結されている。また、自車位置検出モジュール80は、運転部12の前上部に取り付けられている。
収穫部Hは、コンバインにおける前部に備えられている。そして、搬送装置16は、収穫部Hの後側に接続されている。また、収穫部Hは、切断機構15及びリール17を有している。切断機構15は、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。この構成により、収穫部Hは、圃場の穀物(農作物の一種)を収穫する。そして、コンバインは、収穫部Hによって圃場の穀物を収穫しながら走行装置11によって走行する作業走行が可能である。
切断機構15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
運転部12には、通信端末2が配置されている。本実施形態において、通信端末2は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末2は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良い。また、コンバインの機外に持ち出されても良い。
図2に示すように、このコンバインは、圃場において設定された走行経路に沿って自動走行する。このためには、自車位置が必要である。自車位置検出モジュール80には、衛星測位モジュール81と慣性測位モジュール82とが含まれている。衛星測位モジュール81は、人工衛星GSからのGNSS(global navigation satellite system)信号(GPS信号を含む)を受信して、自車位置を算出するための測位データを出力する。慣性測位モジュール82は、ジャイロ加速度センサ及び磁気方位センサを組み込んでおり、瞬時の走行方向を示す位置ベクトルを出力する。慣性測位モジュール82は、衛星測位モジュール81による自車位置算出を補完するために用いられる。慣性測位モジュール82は、衛星測位モジュール81とは別の場所に配置してもよい。
このコンバインによって圃場での収穫作業を行う場合の手順は、以下に説明する通りである。
まず、運転者兼監視者は、コンバインを手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周回するように収穫走行を行う。これにより既刈地(既作業地)となった領域は、外周領域SAとして設定される。そして、外周領域SAの内側に未刈地(未作業地)のまま残された領域は、作業対象領域CAとして設定される。図2は、外周領域SAと作業対象領域CAの一例を示している。
また、このとき、外周領域SAの幅をある程度広く確保するために、運転者は、コンバインを3〜4周走行させる。この走行においては、コンバインが1周する毎に、コンバインの作業幅分だけ外周領域SAの幅が拡大する。最初の、3〜4周の走行が終わると、外周領域SAの幅は、コンバインの作業幅の3〜4倍程度の幅となる。この周回走行は、予め与えられた圃場外形状データに基づいて自動走行によって行われても良い。
外周領域SAは、作業対象領域CAにおいて収穫走行を行うときに、コンバインが方向転換するためのスペースとして利用される。また、外周領域SAは、収穫走行を一旦終えて、穀粒の排出場所へ移動する際や、燃料の補給場所へ移動する際等の移動用のスペースとしても利用される。
なお、図2に示す運搬車CVは、コンバインから排出された穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバインは運搬車CVの近傍へ移動した後、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
外周領域SA及び作業対象領域CAが設定されると、図3に示すように、作業対象領域CAにおける走行経路が算定される。本発明において、走行経路として、複数の平行走行経路と、この平行走行経路同士をつなぐ方向転換走行経路とが取り扱われる。平行走行経路は、図3ではL1が付与されているとともに、太い実線で示されおり、互いに間隔をあけて平行に延びている。隣り合う平行走行経路L1の間隔は、コンバインの作業幅とオーバーラップ値とによって決定される。方向転換走行経路は、走行中の走行経路(現走行経路)から次に走行する走行経路(次走行経路)へ左旋回走行または右旋回走行を用いて移行するためのUターン状の経路であり、図3ではL2が付与されているとともに、太い曲線で示されている。なお、以後の説明で、特に識別する必要がない場合には、平行走行経路は、単に「走行経路」とも称される。
次に、図4及び図5を用いて、次走行経路選択の基本原理を説明する。図4は、模式的に描かれたコンバインの平面図である。収穫部Hの作業幅中心がWPで示され、衛星測位モジュール81の衛星電波を受信する衛星アンテナの設置位置である測位基準点がGPで示され、走行装置11による旋回走行における旋回基準点がVPで示されている。旋回基準点VPは、実質的には左右の走行装置11の中心点である。CLは、車体中心線であり、この実施形態では、測位基準点GP及び旋回基準点VPが、トレッド中心線でもある車体中心線CL上に位置している。図4で示されているコンバインでは、収穫部Hが車体10の前方に向かって左側にオフセットしている。その結果、収穫部Hの作業幅中心WPが車体中心線CLから左側にオフセットしている。
図5は、図4に示されたコンバインにおける最小旋回半径(図5においてRで示されている)の旋回円での左旋回と右旋回との様子を示している。この旋回円の中心である旋回中心には符号Pが付与されている。図5では、現走行経路には、L0が付与され、作業幅中心WPが現走行経路を追従するように操舵制御がおこなわれている。現走行経路の左側に位置する左次走行経路候補には、それぞれL11、L12が付与されている。現走行経路の右側に位置する右次走行経路候補には、それぞれL21、L22、L23が付与されている。図5から明らかなように、旋回基準点VPの左旋回での旋回軌跡と右旋回での旋回軌跡とは対称となっている。これに対して、作業幅中心WPの左旋回での旋回軌跡と右旋回での旋回軌跡とは非対称となっている。例えば、180°の左旋回を行った場合、作業幅中心WPは、左次走行経路候補L11と左次走行経路候補L12との間に移動し、現走行経路との距離はD1となっている。これに対して、180°の右旋回を行った場合、コンバインは、180°の右旋回を終えるまえに右側2本目の右次走行経路候補L22を超えてしまい、作業幅中心WPは、右次走行経路候補L22と右次走行経路候補L23との間に移動し、現走行経路との距離はD2なっている。図から明らかなように、距離D2>距離D1である。
これらのことから、現走行経路からの左旋回による方向転換走行では、コンバインは、現走行経路から、左側2本目の左次走行経路候補L12以左の経路に対して、旋回中に後進をせずに移動することができる。しかし、現走行経路からの右旋回による方向転換走行では、旋回中に後進を含めなければ、2本目の右次走行経路候補L22に移動することができない。つまり、現走行経路から、後進を含めずに右側の次の走行経路に移動するには、右側3本目の右次走行経路候補L22以右の走行経路を選択しなければならない。つまり、最短距離で旋回をしようとした場合、上記例では、左側2本目の左次走行経路候補L12を選択すれば良いことになる。
なお、ここで用いられている最小旋回半径Rは、走行装置11の物理的に決定されるハードウエア上の最小旋回半径ではなく、圃場状態や作業状態などに応じて設定されるソフトウエア上の最小旋回半径を意味している。したがって、作業の途中での最小旋回半径Rの変更は可能である。
設定されている走行装置11の最小旋回半径R、左旋回時の作業幅中心WPの旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報と、右旋回時の作業幅中心WPの旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報とは、コンバインに管理されている。現走行経路からの移動先である次走行経路の選択は、左旋回軌跡情報と、右旋回軌跡情報と、設定されている最小旋回半径Rと、に基づいて決定される。その際、効率の良い走行を実現するため、現走行経路から次走行経路へ移動するための方向転換の走行距離が短いことを選択条件すると、図5の例では、上述したように、左次走行経路候補L12が選択される。仮に、左旋回よりも右旋回の方が優先される事態(例えば、協調作業しているような場合に他車が存在しているとか、後の作業を考慮すると右側に回った方が効率が良いとか)が発生している場合は、L23で示される右次走行経路候補が選択される。
図6に、本発明による自動操舵システムを利用するコンバインの制御系が示されている。コンバインの制御系は、多数のECUと呼ばれる電子制御ユニットからなる制御ユニット5、及び、この制御ユニット5との間で車載LANなどの配線網を通じて信号通信(データ通信)を行う各種入出力機器から構成されている。
報知デバイス62は、運転者等に作業走行状態や種々の警告を報知するためのデバイスであり、ブザー、ランプ、スピーカ、ディスプレイなどである。通信部66は、このコンバインの制御系が、通信端末2との間で、あるいは、遠隔地に設置されている管理コンピュータとの間でデータ交換するために用いられる。通信端末2には、圃場に立っている監視者、またはコンバイン乗り込んでいる運転者兼監視者が操作するタブレットコンピュータ、自宅や管理事務所に設置されているコンピュータなども含まれる。制御ユニット5は、この制御系の中核要素であり、複数のECUの集合体として示されている。自車位置検出モジュール80からの信号は、車載LANを通じて制御ユニット5に入力される。
制御ユニット5は、入出力インタフェースとして、出力処理部503と入力処理部502とを備えている。出力処理部503は、機器ドライバ65を介して種々の動作機器70と接続している。動作機器70として、走行関係の機器である走行機器群71と作業関係の機器である作業機器群72とがある。走行機器群71には、例えば、操舵機器710、エンジン機器、変速機器、制動機器などが含まれている。作業機器群72には、収穫部H、脱穀装置13、搬送装置16、穀粒排出装置18における動力制御機器などが含まれている。
入力処理部502には、走行状態センサ群63、作業状態センサ群64、走行操作ユニット90、などが接続されている。走行状態センサ群63には、エンジン回転数センサ、オーバーヒート検出センサ、ブレーキペダル位置検出センサ、変速位置検出センサ、操舵位置検出センサなどが含まれている。作業状態センサ群64には、収穫作業装置(収穫部H、脱穀装置13、搬送装置16、穀粒排出装置18)の駆動状態を検出するセンサ、穀稈や穀粒の状態を検出するセンサなどが含まれている。
走行操作ユニット90は、運転者によって手動操作され、その操作信号が制御ユニット5に入力される操作具の総称である。走行操作ユニット90には、主変速操作具91、操舵操作具92、モード操作具93、自動開始操作具94、などが含まれている。手動走行モードでは、操舵操作具92を中立位置から左右に揺動操作することにより、左のクローラ機構のクローラ速度と右のクローラ機構のクローラ速度とが調整され、車体10の向きが変更される。モード操作具93は、自動運転が行われる自動走行モードと手動運転が行われる手動走行モードとを切り替えるための指令を制御ユニット5に与える機能を有する。自動開始操作具94は、自動走行を開始するための最終的な自動開始指令を制御ユニット5に与える機能を有する。なお、モード操作具93による操作とは無関係に、自動走行モードから手動走行モードへの移行が、ソフトウエアによって自動的に行われる場合もある。例えば、自動運転が不可能な状況が発生すると、制御ユニット5は、強制的に自動走行モードから手動走行モードへの移行を実行する。
制御ユニット5には、旋回情報管理部41、次走行経路選択部42、報知部501、走行制御部51、作業制御部52、走行モード管理部53、走行経路設定部54、自車位置算出部55、車体方位算出部56、位置ずれ算出部57、方位ずれ算出部58が備えられている。報知部501は、制御ユニット5の各機能部からの指令等に基づいて報知データを生成し、報知デバイス62に与える。自車位置算出部55は、自車位置検出モジュール80から逐次送られてくる測位データに基づいて、予め設定されている車体10の車体基準点、この実施形態では作業幅中心WPの地図座標(または圃場座標)を算出する。車体方位算出部56は、自車位置算出部55で逐次算出される車体基準点(作業幅中心WP)の位置から、微小時間での走行軌跡を求めて車体10の走行方向での向きを示す車体方位を決定する。また、車体方位算出部56は、慣性測位モジュール82からの出力データに含まれている方位データに基づいて車体方位を決定することも可能である。
旋回情報管理部41は、図5を用いて説明したような、左旋回時の作業幅中心WPの旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報と、右旋回時の前記作業幅中心WPの旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報と、前記走行装置の最小旋回半径Rとを管理している。
次走行経路選択部42は、旋回情報管理部41から読み出された、左旋回軌跡情報と右旋回軌跡情報と最小旋回半径Rとに基づいて、現走行経路の次に走行する次走行経路の選択を決定する。特に、それらの情報に含まれている、最小旋回半径Rでの左旋回における作業幅中心WPの移動点と現走行経路との距離(図5ではD1で示されている)、及び最小旋回半径での右旋回における作業幅中心WPの移動点と現走行経路との距離(図5ではD2で示されている)が次走行経路の選択に用いられる。まず、現走行経路の左側の未走行の走行経路のうちD1で示される長さより離れており、方向転換の走行距離が最も短い走行経路が左次走行経路最終候補として選ばれ、現走行経路の右側の未走行の走行経路のうちD2で示される長さより離れており、かつ方向転換の走行距離が最も短い走行経路が右用次走行経路最終候補として選ばれる。次いで、左次走行経路最終候補と右用次走行経路最終候補の内で、現走行経路からの方向転換の走行距離が短い方が最終的な次走行経路として選択される。なお、作業対象領域CAに設定された全ての平行走行経路から最初に次走行経路を選択する場合には、例えば、その時点でのコンバインの位置に最も近い平行走行経路が選択される。
走行制御部51は、エンジン制御機能、操舵制御機能、車速制御機能などを有し、走行機器群71に制御信号を与える。作業制御部52は、収穫作業装置(収穫部H、脱穀装置13、搬送装置16、穀粒排出装置18など)の動きを制御するために、作業機器群72に制御信号を与える。
このコンバインは自動走行で収穫作業を行う自動運転と手動走行で収穫作業を行う手動運転との両方で走行可能である。このため、走行制御部51には、手動走行制御部511と自動走行制御部512と操舵量算出部513とが含まれている。なお、自動運転を行う際には、自動走行モードが設定され、手動運転を行うためには手動走行モードが設定される。走行モードの切り替えは、走行モード管理部53によって管理される。
走行経路設定部54は、収穫部Hの作業幅中心WPが追従することにより、作業対象領域CAの全域が作業される平行走行経路を経路算出アルゴリズムによって作成して、作業対象領域CAに設定すべく、メモリに展開する。しかしながら、経路算出アルゴリズムが通信端末2や遠隔地の管理コンピュータ等に備えられ、そこで作成される場合は、作成された平行走行経路をダウンロードして、メモリに展開する。メモリに展開された平行走行経路は、次走行経路選択部42によって走行目標として順次選択される。
位置ずれ算出部57は、次走行経路選択部42によって設定された走行目標となった走行経路と自車位置算出部55によって算出された車体基準位置との間の位置ずれ(偏差)を算出する。方位ずれ算出部58は、走行経路設定部54によって設定された走行目標となる次走行経路の延び方向と、車体方位算出部56によって算出された車体方位との間の角度差を方位ずれとして算出する。
自動走行モードが設定されている場合、自動走行制御部512は、停止を含む車速変更の制御信号を生成して、走行機器群71を制御する。車速変更に関する制御信号は、前もって設定された車速値に基づいて生成される。操舵量算出部513は、操舵に関する制御信号を生成して走行機器群71を制御する。操舵に関する制御信号である操舵量は、走行目標となった走行経路と車体基準位置との間の位置ずれ(偏差)を解消するように生成される。操舵量の算出においては、方位ずれも考慮される。
手動走行モードが選択されている場合、運転者による操作に基づいて、手動走行制御部511が制御信号を生成し、走行機器群71を制御することで、手動運転が実現する。なお、次走行経路選択部42によって選択された走行経路は、手動運転であっても、コンバインが当該走行経路に沿って走行するためのガイダンス目的で利用することができる。
次に、図7のフローチャートを用いて、走行経路選択システムによる次走行経路選択処理の流れを説明する。
・設定されている最小旋回半径を読み込む(#01)。
・左旋回軌跡情報と右旋回軌跡情報とを読み込む(#02)。
・左旋回軌跡情報に基づいて最小旋回半径での左旋回における作業幅中心の移動点と現走行経路との距離:D1を算出する(#03)。
・右旋回軌跡情報に基づいて最小旋回半径での右旋回における作業幅中心の移動点と現走行経路との距離:D2を算出する(#04)。
・現走行経路の左側に位置する未走行走行経路を左次走行経路候補として読み込む(#05)。
・現走行経路の右側に位置する未走行走行経路を右次走行経路候補として読み込む(#06)。
・左次走行経路候補から現走行経路との間隔がD1未満の走行経路を削除する(#07)。
・右次走行経路候補から現走行経路との間隔がD2未満の走行経路を削除する(#08)。
・左次走行経路候補から現走行経路からの方向転換の走行距離が最も短い走行経路を左次走行経路最終候補として選択する(#09)。
・右次走行経路候補から現走行経路からの方向転換の走行距離が最も短い走行経路を右次走行経路最終候補として選択する(#10)。
・左次走行経路最終候補への方向転換の走行距離と右次走行経路最終候補への方向転換の走行距離とを比較して、短い方を、最終的な次走行経路として選択する(#11)。
〔別実施の形態〕(1)走行経路設定部54によって作業対象領域CAの全域に設定された平行走行経路の全てが自動走行される場合には、作業走行の開始前に、次走行経路選択部42による次走行経路の選択を行い、自動走行される平行走行経路の順番を決定することができる。しかしながら、何らかの理由で、自動走行を中断して、予め決定した順番と異なる平行走行経路を走行した場合には、その時点から、次走行経路選択部42による次走行経路の選択が行われる。
(2)図6で示された各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合してもよいし、または複数の機能部に分けてもよい。さらに、制御ユニット5に構築されている機能部のうち、旋回情報管理部41、次走行経路選択部42、走行モード管理部53、走行経路設定部54、位置ずれ算出部57、方位ずれ算出部58のうちの全て、または一部が、制御ユニット5に接続可能な携帯型の通信端末2(タブレットコンピュータなど)に構築され、無線や車載LANを経由して制御ユニット5とデータ交換するような構成を採用してもよい。
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも適用可能である。
また、トウモロコシ収穫機、ジャガイモ収穫機、ニンジン収穫機、サトウキビ収穫機等の種々の収穫機、田植機、トラクタなどの圃場作業車にも適用できる。さらには、芝刈機や建機などの作業車にも適用可能である。
10 :走行車体(車体)
11 :走行装置
41 :旋回情報管理部
42 :次走行経路選択部
5 :制御ユニット
51 :走行制御部
511 :手動走行制御部
512 :自動走行制御部
513 :操舵量算出部
52 :作業制御部
53 :走行モード管理部
54 :走行経路設定部
55 :自車位置算出部
80 :自車位置検出モジュール
81 :衛星測位モジュール
82 :慣性測位モジュール
CA :作業対象領域
SA :外周領域
H :収穫部

Claims (7)

  1. 互いに平行に延びた複数の平行走行経路と、前記平行走行経路同士をつなぐ方向転換走行経路とを含む走行経路に沿って作業地を走行する作業車であって、
    操舵可能な走行装置と、
    作業装置と、
    左旋回時の前記作業装置の作業幅中心の旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報と、右旋回時の前記作業幅中心の旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報と、前記走行装置の最小旋回半径とを管理する旋回情報管理部と、
    走行中の前記平行走行経路である現走行経路から前記左旋回を用いて移行可能な未走行走行経路を左次走行経路候補とするとともに、前記現走行経路から前記右旋回を用いて移行可能な前記未走行走行経路を右次走行経路候補とし、前記左旋回軌跡情報と前記右旋回軌跡情報と前記最小旋回半径とに基づいて、前記左次走行経路候補と前記右次走行経路候補とから次走行経路の選択を決定する次走行経路選択部と、を備える作業車。
  2. 前記次走行経路選択部は、前記現走行経路から前記次走行経路への方向転換の走行距離が短いことを選択条件とする請求項1に記載の作業車。
  3. 衛星からの衛星信号に基づいて測位データを出力する衛星測位モジュールと、前記測位データに基づいて自車位置を算出する自車位置算出部と、前記走行経路と前記自車位置との偏差に基づいて操舵量を算出する操舵量算出部とが備えられている請求項1または2に記載の作業車。
  4. 前記衛星測位モジュールの測位基準点となる衛星アンテナが、前記走行装置のトレッド中心線上に配置されている請求項3に記載の作業車。
  5. 旋回走行における旋回基準点及び前記作業幅中心の車体中心線に対する位置が固定されている請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車。
  6. 互いに平行に延びた複数の平行走行経路と、前記平行走行経路同士をつなぐ方向転換走行経路とを含む走行経路に沿って作業地を走行する作業車のための走行経路選択システムであって、
    左旋回時における前記作業車の作業幅中心の旋回軌跡に関する左旋回軌跡情報と、右旋回時における前記作業幅中心の旋回軌跡に関する右旋回軌跡情報と、前記作業車の走行装置の最小旋回半径とを管理する旋回情報管理部と、
    走行中の前記平行走行経路である現走行経路から前記左旋回を用いて移行可能な未走行走行経路を左次走行経路候補とするとともに、前記現走行経路から前記右旋回を用いて移行可能な前記未走行走行経路を右次走行経路候補とし、前記左旋回軌跡情報と前記右旋回軌跡情報と前記最小旋回半径とに基づいて、前記左次走行経路候補と前記右次走行経路候補とから次走行経路の選択を決定する次走行経路選択部と、を備えた走行経路選択システム。
  7. 前記旋回走行における旋回基準点及び前記作業幅中心の車体中心線に対する位置が固定されている請求項6に記載の走行経路選択システム。
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