JP6879782B2 - 流体制御装置及び流体制御装置用プログラム - Google Patents
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Description
これにより、ノイズ変動が増大方向であれば、過渡状態において流体制御バルブの開度が不測に大きくなり、逆にノイズ変動が減少方向であれば、過渡状態において流体制御バルブの開度が不測に小さくなる。その結果、図13に示すように、測定流量に例えばスパイク状のピークが発生してしまう。
しかしながら、ゲインの大きい制御係数を継続して用いると、設定流量の変動が大きい場合に、上述したアンダーシュートやオーバーシュートが生じることが懸念される。
このような構成であれば、安定状態における制御係数が、設定流量が変動したタイミング以降も継続して用いられるように構成されているので、安定状態から過渡状態に切り替わったタイミングで開度操作量にノイズ変動とは別の変動が生じていたとしても、その開度操作量をすぐに安定状態における中央値付近に戻すことができる。これにより、過渡状態において流体制御バルブの開度が不測に変わってしまうことを防ぎ、測定流量にピークが発生することをより抑えることができる。
さらに、第1流量と第2流量との差分が所定の閾値よりも小さい場合、すなわち設定流量の変動が小さい場合に、安定状態における制御係数を継続して用いるようにしているので、アンダーシュートやオーバーシュートの発生をも抑えることができる。
このような流体制御装置用プログラムであれば、上述した流体制御装置と同様の作用効果を得ることができる。
以下に、本発明に係る流体制御装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
具体的にこの流量測定部10は、流路L1に設けてある流路抵抗たる層流素子13と、層流素子13の上流において流路L1から分岐し、当該層流素子13の下流において流路L1に合流するセンサ流路L2と、センサ流路L2における上流側と下流側とにそれぞれ設けられた第1温度センサ11及び第2温度センサ12と、第1温度センサ11及び第2温度センサ12で測定される温度差に基づいて流路L1に流れる流量を算出する流量算出部14と、を備えたものである。
なお、流量算出部14は後述する制御装置30の演算機能を利用して構成してある。
より詳細にこの流体制御バルブ20は、外部(本実施形態では後述する開度操作量出力部32)から開度操作量信号を与えられることによって前記アクチュエータを駆動し、その開度操作量信号の値に応じて開度を調整し、流量を制御するものである。
設定流量は、ユーザによって適宜変更され得るところ、例えば制御の途中で流量が減少又は増加するように設定されている場合や、流量の減少及び増加が繰り返されるように設定されている場合など、流量が時間経過に伴って変動する場合がある。
ここでは設定流量の一例として、図3に示すように、所定時間に亘って流量が微視的には段階的に減少し、巨視的には徐々に減少するように設定されている場合について説明する。もちろん設定流量は、所定時間に亘って流量が微視的には段階的に増加し、巨視的には徐々に増加するように設定されていても構わない。
より具体的にこの開度操作量出力部32は、前記メモリの所定領域に形成された制御係数格納部33に格納されている比例係数、積分係数及び微分係数を取得し、これらの制御係数を用いて設定流量と測定流量との偏差にPID演算を施すことで開度操作量たる印加電圧を算出する。そして、算出した印加電圧の大きさを示す開度操作量信号を流体制御バルブ20に出力し、流体制御バルブ20の開度をフィードバック制御するように構成されている。
なお、制御係数は、比例係数、積分係数及び微分係数のみならず、温度等を含む関数であっても良い。
本実施形態では上述したように、微視的には流量が段階的に減少するように設定流量が設定されていることから、測定流量の挙動としては、測定流量と設定流量との偏差が小さく測定流量が安定している安定状態と、この安定状態から設定流量が変動(減少)することにより、測定流量が変動後の設定流量に向かって変動する過渡状態とが繰り返し現われる。なお、ここでの安定状態とは、測定流量と設定流量との偏差が所定値よりも小さい状態のことをいる。また、ここでの過渡状態とは、測定流量と設定流量との偏差が前記所定値よりも大きい状態のことをいい、例えば設定流量が変動したタイミングから100msec〜300msecの期間である。
すなわち、設定流量と測定流量との偏差に対する開度操作量(印加電圧)の変動が、安定状態よりも過渡状態の方が緩やかになるように、言い換えれば、前記偏差が同じであった場合に、過渡状態の方が安定状態よりも開度操作量(印加電圧)が小さくなるように、各制御係数が設定されている。
具体的にこの過度/安定状態判断部34は、例えば設定流量が第1流量から第1流量とは異なる第2流量に変動したタイミングから所定期間を過渡状態と判断し、前記所定期間の経過後であって設定流量が第2流量である期間を安定状態と判断するように構成されている。
なお、前記所定期間は、実験等の結果によって決定されるものであり、例えば第1流量と第2流量との差分などに基づいて予め算出された時間として設定されており、ここでは例えば100msec〜300msecとしてある。
具体的にこの切替時用開度操作量算出部35は、安定状態において開度操作量出力部32が出力した開度操作量の平均値を前記切替時用開度操作量として算出するように構成されており、ここでは開度操作量出力部32が出力した印加電圧を逐次取得して、その平均値を切替時用開度操作量たる切替時用印加電圧として逐次算出する。
この作用効果は、図8に示す実験結果からも分かり、本実施形態に係る流体制御装置100を用いることで、従来の流体制御装置を用いた場合に生じていたスパイク状のピークを抑えられている。
この場合、前記所定時間としては、例えば安定状態から過渡状態に切り替わった後、流体制御バルブ20が動き始めるまでの時間、すなわち流体制御バルブ20に印加電圧がチャージされるまでの時間とすることができる。
このような構成であれば、例えば安定状態から過渡状態に切り替わった後、流体制御バルブ20が動き始める前に切替時用開度操作量信号を出力することができ、前記実施形態と同様に、ノイズ変動に起因して測定流量にピークが生じてしまうことを抑制できる。
さらに、切替時用開度操作量を算出する機能は、開度操作量出力部32が有していても良い。
次に、本発明に係る流体制御装置の第2実施形態について説明する。
この点について説明すべく、まず第1実施形態における流体制御装置100に起こりうる測定流量の挙動について述べる。
このため、その差が大きければ、図6に示した場合と同様、すなわち安定状態から過渡状態に切り替わるタイミングでノイズ変動が生じた場合と同様、過渡状態において流体制御バルブ20の開度が不測に変わってしまい、図8に示したスパイク状のピークよりは小さいものの、図9に示すように測定流量にピークが発生することがある。
一方、前記差分が閾値よりも小さい場合、過渡/安定状態判断部34は、図10の下段に示すように、第1流量から第2流量に変動したタイミングから、前記所定期間を設けることなく、設定流量が第2流量である期間を安定状態と判断する。
したがって、開度操作量出力部32は、設定流量が第1流量から第2流量に変動した後も、設定流量の変動前の安定状態において用いた安定状態用制御係数を取得し、設定流量の変動後もこの安定状態用制御係数を用いて開度操作量たる印加電圧を算出する。
10 ・・・流量測定部
20 ・・・流体制御バルブ
31 ・・・設定流量受付部
32 ・・・開度操作量出力部
33 ・・・制御係数格納部
34 ・・・過渡/安定状態判断部
35 ・・・切替時用開度操作量算出部
Claims (7)
- 流路内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記流路に設けられた流体制御バルブと、
予め設定された設定流量及び前記流量測定部の測定流量の偏差と、予め設定された制御係数とに基づいて得られる前記流体制御バルブの開度操作量を開度操作量信号として出力する開度操作量出力部とを具備し、
前記測定流量が安定している安定状態及び前記設定流量の変動により前記測定流量が変動する過渡状態において、前記偏差が同じであった場合に、前記過渡状態の方が前記安定状態よりも前記開度操作量が小さくなるように、前記制御係数が設定されており、
前記安定状態から前記過渡状態に切り替わるタイミング又はそのタイミングから所定時間経過する前に、前記開度操作量出力部が、前記安定状態における複数のタイミングで出力した前記各開度操作量から算出される切替時用開度操作量を切替時用開度操作量信号として出力する流体制御装置。 - 前記安定状態において前記開度操作量出力部が出力した前記開度操作量の平均値を前記切替時用開度操作量として算出する切替時用開度操作量算出部を具備する請求項1記載の流体制御装置。
- 前記設定流量が第1流量から第2流量に変動し、且つ、前記第1流量と前記第2流量との差分が所定の閾値よりも小さい場合に、
前記設定流量が前記第1流量から前記第2流量に変動する前の前記安定状態における前記制御係数を、前記設定流量が前記第1流量から前記第2流量に変動したタイミング以降も継続して用いるように構成されている請求項1又は2記載の流体制御装置。 - 前記第1流量及び前記第2流量の差分と前記所定の閾値とを比較する過渡/安定状態判断部をさらに具備し、
前記過渡/安定状態判断部が、前記所定の閾値よりも前記差分が大きい場合は、前記設定流量が前記第1流量から前記第2流量に変動したタイミングから所定期間を過渡状態であると判断し、前記所定の閾値よりも前記差分が小さい場合は、前記設定流量が前記第1流量から前記第2流量に変動したタイミングから前記設定流量が前記第2流量である期間を前記安定状態と判断する請求項3記載の流体制御装置。 - 前記設定流量が、所定時間に亘って段階的に減少又は増加する流量として設定されている請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の流体制御装置。
- 流路内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、前記流路に設けられた流体制御バルブとを具備する流体制御装置に用いられるプログラムであって、
予め設定された設定流量及び前記流量測定部の測定流量の偏差と、予め設定された制御係数とに基づいて得られる前記流体制御バルブの開度操作量を開度操作量信号として出力する開度操作量出力部としての機能をコンピュータに発揮させるものであり、
前記測定流量が安定している安定状態及び前記設定流量の変動により前記測定流量が変動する過渡状態において、前記偏差が同じであった場合に、前記過渡状態の方が前記安定状態よりも前記開度操作量が小さくなるように、前記制御係数が設定されており、
前記安定状態から前記過渡状態に切り替わるタイミング又はそのタイミングから所定時間経過する前に、前記開度操作量出力部が、前記安定状態における複数のタイミングで出力した前記各開度操作量から算出される切替時用開度操作量を切替時用開度操作量信号として出力する流体制御装置用プログラム。 - 流路内を流れる流体の流量を測定する流量測定部と、
前記流路に設けられた流体制御バルブと、
予め設定された設定流量及び前記流量測定部の測定流量の偏差と、予め設定された制御係数とに基づいて得られる前記流体制御バルブの開度操作量を開度操作量信号として出力する開度操作量出力部とを具備し、
前記測定流量が安定している安定状態及び前記設定流量の変動により前記測定流量が変動する過渡状態において、前記偏差が同じであった場合に、前記過渡状態の方が前記安定状態よりも前記開度操作量が小さくなるように、前記制御係数が設定されており、
前記安定状態から前記過渡状態に切り替わるタイミング又はそのタイミングから所定時間経過する前に、前記開度操作量出力部が、前記安定状態における複数のタイミングで出力した前記各開度操作量から算出される切替時用開度操作量を切替時用開度操作量信号として出力する流体制御装置。
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