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JP6846896B2 - 船舶の推進性能の解析 - Google Patents

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Description

本発明は船舶の推進性能を解析するための計算機システム、船舶の推進性の解析方法、そのためのプログラム、及び、記録媒体に関する。
船舶の運航支援等のために、船舶の推進性能を解析することが行われている。しかしながら、海気象の影響が大きいため、船舶の運航データから船舶の推進性能を把握しようとしてもこれは困難であった。
そこで、模型による水槽試験、数値流体解析などの物理モデルを用いて理論推進性能を演算し、これを基本データとして、海気象に基づいた補正値を当てはめて、実海域環境下での推進性能を推定することが行われていた(特開2016-78685号公報)。この従来例によれば、船舶の推進性能の推定値は、船舶の実海域航行に於ける実態に近づいたものになることが期待される。
しかしながら、物理モデルによる理論推進性能の演算には多大なコストを伴い、さらに、補正値を算出するためには、波や海流を計測する為の機器を新たに装備しなければならないという課題がある。したがって、コストや手間を惜しむあまり、実海域での経年劣化を伴った状態における推進性能を正しく推定できないという懸念がある。
そこで、出願人は、物理モデルや波や海流を計測する為の機器を必要としなくても、船舶の運航における計測値に基づいて船速を推定可能な解析システムを提案した(特開2015-190970号公報)。このシステムは、船舶の運航に係る複数の項目の計測値から、複数の項目間の相関モデルを機械学習によって算出して船速に関連性を有する関連項目を決定し、この関連項目の計測値に基づいて、船速の推定値を算出することを可能にしている。
特開2016-78685号公報 特開2015-190970号公報
この解析システムによれば、船体の構造に起因する外乱や波や風など実海環境に起因する外乱を除いて、船速の推定値を精度よく求めることができる。しかしながら、本発明者が検討したところ、この種の解析システムは、波や風など実海環境に起因する外乱がホワイトノイズの類であれば、これを除去することは可能であるが、外乱が直流成分、又は、周波数を極端に低くする成分、例えば、追い風、又は、向い風等一定の方向から風を受けている場合であると、この外乱による誤差が船速の推定値に組み込まれてしまい、船速の推定値の精度が低下せざるを得ないことが分かった。
そこで、本発明は、船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群に基づいて、船舶の推進性能を精度よく解析できる計算機システム等を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群を格納するメモリと、船舶の推進性能を解析するコントローラと、を備える計算機システムであって、前記コントローラは、前記データ群を利用して、所定の気象環境下における船舶の推進性能の推定値を算出し、海気象の計測値に基いて前記算出された推定値を補正することを特徴とする。本発明は、さらに、船舶の推進性能の解析方法、そのためのプログラム、及び、記録媒体でもある。
本発明によれば、船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群に基づいて、船舶の推進性能を精度よく解析できる。
本発明に係る計算機システムのハードウェア構成の一例である。 プロペラ回転速度の計測値と対水船速の計測値との相関の一例を示すグラフである。 主機関出力の計測値と対水船速の計測値との相関の一例を示すグラフである。 プロペラ回転速度の推定値と対水船速の推定値との相関の一例を示すグラフである。 主機関出力の推定値と対水船速の推定値との相関の一例を示すグラフである。 プロペラ回転速度の推定値と計測値との相関の一例を示すグラフである。 主機関出力の推定値と計測値との相関の一例を示すグラフである。 実際の航海事例での計測値に基づいて、影響船速(1次解析結果)と、真風向と、真風速との相関を示したグラフである。 図8Aの結果を補正した、影響船速(補正後)と、真風向と、真風速との相関を示したグラフである。 正面方向風速、影響船速(補正後)、そして、対水船速の計測値との相関を示すグラフである。 横方向風速、影響船速(補正後)、そして、対水船速の計測値の相関を表わすグラフである。 補正後の影響船速、正面方向風速、横方向風速の関係の重回帰式を3次元座標にプロットしたグラフである。 航海(イ)での推進抵抗指数、船舶の推進性能、主機関出力との相関を示すグラフである。 航海(ロ)での推進抵抗指数、船舶の推進性能、主機関出力との相関を示すグラフである。 航海(ロ)での掃気圧力と推進性能との相関関係を示すグラフである。 航海(ロ)での推進抵抗指数、船舶の推進性能、主機関掃気圧力との相関を示す他のグラフである。 航海(ロ)での主機出力を含まずに解析した、推進抵抗指数、船舶の推進性能、主機関掃気圧力との相関を示す他のグラフである。 コントローラの動作プロセスの一例を示すフローチャートである。
次に本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1に本発明に係る計算機システムのハードウェア構成の一例を示す。この計算機システムは、船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群を解析して、船舶の推進性能の推定値を算出し、推定値に基づいて船舶の運航を評価するための評価指標を生成する。
計算機システム100は、コントローラ102、メモリ104等の周知なハードウェア資源を備えたコンピュータとして構成されている。コントローラ102は演算処理手段として機能し、メモリ104に記憶されている解析プログラムを実行して、船舶の推進性能に係る計測値に基づいて解析処理を実行する。
計算機システム100は、キーボード、スイッチやポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力装置106と、モニタディスプレイやスピーカ等の出力装置108とを備えており、入力装置から各種パラメータを設定したり、出力装置に解析結果を表示することができる。
メモリ104は、時系列に記録されたデータ群を格納する。データ群は、複数の船舶の夫々、そして、複数の航海の夫々に分類されている。船舶、そして、航海はIDによって管理される。メモリ104は、ハードディスク、フラッシュメモリ等、非一時的な記録媒体を備えている。データ群の記憶領域は計算機システム100の外部のストレージシステムに存在していてもよい。
計算機システム100は、複数のクライアント計算機と情報ネットワークによって接続されるサーバとして構成されてもよい。コントローラ102は、複数のクライアント計算機の夫々からデータ群を収集し、これをメモリ104に格納してもよい。コントローラ102は、各船舶の航海毎に、推進性能の推定値、評価指標等の解析結果をメモリ104に記録する。計算機システム100は、クライアント計算機には接続されない独立システムとして構成されてもよい。さらに、計算機システム100は、クライアント計算機のデータを保存、管理するデータセンタとして構成されてもよい。さらにまた、計算機システム100は、船舶推進性能の解析サービスの運営事業者によって管理されてもよい。
船舶の推進性能には、船速(対水船速、対地船速)、プロペラ回転速度、及び、主機関出力が含まれる。船舶の推進性能に関係する項目とは、船舶の推進性能に直接、又は、間接的に関係する項目である。特開2015-190970号公報には、対水船速に直接関連する第1の項目として、プロペラ回転速度、及び、主機関出力が示されている。さらに、第1の項目に直接関連する第2の項目として、燃料投入量、掃気圧力(過給圧力)、そして、燃料発熱量が例示されている。さらに、第2の項目に関係する第3の項目として、過給機回転速度や吸入空気温度が示されている。さらにまた、第3の項目に直接関連する第4の項目とし過給機出口の排ガス温度や、シリンダ出口の排ガス温度が例示されている。
データ群には、海気象の観測値(風速、風向)、船舶の推進性能に関係する複数の項目の計測値である運航状況(対水船速、対地船速、進行方向、船首方位角等)及び主機関運転状況(プロペラ回転速度、掃気圧力、過給機回転速度等)が含まれる。主機関運転状況の値は計測値に代えて算出値でよい。また、進行方向はGPS信号による位置情報の時系列データからの算出値でもよい。データ群に含まれる計測値は、船舶の運航中、所定時間毎に船舶運航管理システムに記録される。
図2に、プロペラ回転速度の計測値と対水船速の計測値との相関の一例を示し、図3に、主機関出力の計測値と対水船速の計測値との相関の一例を示す。対水船速はドップラーレーダによって計測できる。なお、対地船速はGPSを利用して計測できる。図2と図3のいずれの場合でも、実海環境の影響(風、波)に起因した大きなバラツキが存在する。
これに対して、プロペラ回転速度の推定値、主機関出力の推定値、そして、対水船速の推定値との相関では、図4(プロペラ回転速度の推定値と対水船速の推定値との相関)、そして、図5(主機関出力の推定値と対水船速の推定値との相関)に示すように、これらの相関にはほぼ一意な関係が現れる。したがって、船舶の推進性能を把握するためには、計測値に基づいて算出される推定値が有益である。推定値とは、所定の海気象条件、特に、平水、無風状態に於ける船舶の推進性能の指標である。
対水船速の推定値は、プロペラ回転速度、及び/又は、主機関出力とを、特開2015-190970号公報に記載された相関関係モデルに適用して算出可能である。プロペラ回転速度と主機関出力とは、夫々、計測値であることを除外しないが、同公報記載に記載された、第2の項目、及び/又は、第3の項目、及び/又は、第4の項目の計測値を相関関係モデルに当てはめて算出された推定値であることが好ましい。後者の場合、後述するが、高価な主機関出力計を省略することができる。図6に、プロペラ回転速度の推定値と計測値との相関の一例を示し、図7に主機関出力の推定値と計測値との相関の一例を示す。これらにおいて、推定値と計測値とがばらつきが少なく一意に相関していることがわかり、計算機システム100は、プロペラ回転速度の推定値と、主機関出力の推定値と、に基づいて対水船速の推定値を算出することにより、主機関の経年変化等に起因する誤差成分を除くことができる。対水船速の推定値と計測値との間には海気象に起因するかい離がある。
ところで、既述したように、海気象に起因する外乱が、追い風、又は、向い風等一定の方向から風を受けるような態様のものであると、計算機システム100は、この外乱による影響を船舶の推進性能の推定値から除去できず、推定値を正確に算出することが困難である。このような外乱を便宜上、“対象外乱”と以後記載する。
そこで、計算機システム100は、解析プログラムを実行して、対象外乱に起因する誤差を推進性能の推定値から除くために、算出した推定値を補正する。対象外乱は、推進性能の計測値と推進性能の推定値に影響する。そこで、解析プログラムは、対象外乱の計測値と、対象外乱が影響する推進性能の影響量(推進性能の計測値とその推定値との差分)を変数とした多変量解析を利用して関係式を導出し、この関係式に基づいて、推定値を補正する。これをさらに説明する。なお、推定値を予測値と言い換えることもできる。
対水船速の計測値にも風は影響する。船舶に対して追い風が作用すると対水船速の計測値も増加し、船舶に対して向かい風が作用すると対水船速の計測値も減少する。対水船速の計測値を“V1”とし、対水船速の推定値“V2”とすると、追い風又は向かい風によって増減する船速の差分(影響船速)は(V1)から(V2)を減じた値になる。したがって、影響船速にも風は関係することになる。
図8Aは、実際の航海事例での計測値(時系列データ)に基づいて、影響船速と、真風向と、真風速との相関を示したグラフである。真風向は正面方向(船舶の推進方向)と横方向(船舶の推進方向と直交方向)に分けられる。正面方向の風速がプラスの場合は船舶に対して向かい風になり、マイナスの場合は船舶に対して追い風になる。図8Aから、正面方向風速と横方向風速が影響船速に関係していることが分かる。
計算機システム100は、風向計及び風速計の計測値から、船舶に作用する真風向、真風速(追い風成分又は向かい風成分の真風力、横風成分の真風力)の時系列情報を算出することができる。計算機システム100は、さらに、対水船速の計測値(時系列データ)と対水船速の推定値(時系列データ)とから影響船速の時系列情報を算出できる。
図9は、図8Aと同一の航海事例の計測値に基づいて、正面方向風速、影響船速、そして、対水船速の計測値との相関を表し、図10は、横方向風速、影響船速、そして、対水船速の計測値の相関を表す。これらから、対水船速の計測値の大小に亘って、真風速が影響船速に関係していることが分かる。なお、船速には、風以外に波の属性(波高、波長、波向)も関係するが、波は風に対する相関があり、波による船速への影響も風速と風向が代表しているものと見なし扱っている。 波の属性を計測する波高計などのデータがあればよりよい解析が可能であるが、本解析手法ではこれらのデータは必ずしも必要ではなく、高価な波高計などの波属性計測機器を装備することなく、適切に推進性能を推定できる。なお、対水船速に対する潮流の影響は無視できるレベルである。
発明者は、真風速が影響船速にどのように関係するために、多変量解析の一例として、正面方向風速と横方向風速とを夫々説明変数とし、影響船速を目的変数とする(線形)重回帰分析を行った。重回帰式は、例えば、以下のとおり表現される。
Z=a+(b*x)+(c*x2)+(d*y)+(e*y
Z:影響船速(目的変数)
x:正面方向風速(説明変数)
y:横方向風速(説明変数)
a:定数項(y切片)
b−e:偏回帰係数
発明者が、図8Aに示す相関に基づいて、a−eを算出したところ、
a=0.10713,b=0.041719,c=0.002481,d=0.006529,e=0.002327が得られた。得られた重回帰式を3次元座標にプロットすると図11に示すようになる。
重回帰式において、正面方向風速(x)、及び、横方向風速(y)が零の場合には影響船速も零であるべきであるが、a(定数項)は零になっていない。この値は、対水船速の推定値(算出値)が、対象外乱によって、本来の値からシフトしたことに起因するものといえる。そこで、重回帰式の定数項(a)の値に基づいて、対水船速の推定値(算出値)を補正、例えば、対水船速の推定値に(a)を加えることによって、航海の事例において、対水船速の推定値から対象外乱の影響を緩和ないし除くことができる。船舶が追い風の影響を向かい風よりも相対的に強く受けると(a)は負の値になり、逆の場合、(a)は正の値になる。
図8Aの相関関係において、補正された対水船速の推定値に基づいて影響船速を修正し、修正後の影響船速の真風力との関係をプロットし直すと、図8Bに示すようになる。図8Bに示す相関関係に基づいて重回帰式を算出したところ、(a)は、2.77e-4となり、(a)は零として扱ってもよいレベルになった。偏回帰係数(b−e)も有効桁数においては既述の重回帰式と同じであった。
次に、対水船速の推定値を用いて推進性能を評価する他の指標について説明する。船速の3乗はプロペラ軸出力に概比例することが知られている。このことを利用して、対水船速(推定値)の3乗と対地船速(実測値)の3乗の比に比例する指数(推進抵抗指数)は、推進により発生する抵抗に加えて、波、風、潮などの海気象によって船舶が受ける抵抗の程度を示すものであり、推進抵抗指数が1の時は、海気象の影響がないことを示している。対水船速の推定値は、既述のように補正されたものが望ましい。
推進抵抗指数∝(対水船速(推定値)/対地船速(計測値)3
推進抵抗指数は、船舶の推進に必要な倍率を表している。例えば、平水無風状態(推進抵抗指数が1.0)で、20knotの船速を得るために、10,000kWの主機関出力を必要とする船舶が、推進抵抗指数が1.2となる海気象状態で、20knotの船速を維持するためには、主機関出力10,000kWの1.2倍の主機関出力を必要とする。
本発明者が検討したところ、推進抵抗指数、船舶の推進性能、例えば、(推進距離(m)/プロペラの1回転)、そして、主機関出力との間には、図12に示すように、一意の相関関係があることが分かった。計算機システム100は、(推進距離(m)/プロペラの1回転)を対水船速の計測値、プロペラの回転速度に基づいて算出することができる。
したがって、計算機システム100は、航海で蓄積されたデータ群に基づいて、相関関係を船舶の運航成績として算出し、複数の航海の間で運航成績を比較すると、船舶の推進性能の変化が分かるようになる。例えば、船体やプロペラが汚れると、推進抵抗が増加するため、相関関係の下方にシフトする。なお、図12は一つの航海事例で蓄積されたデータ群に基づく運航成績を示し、図13はこの航海事例から2月後の一つの航海事例で蓄積されたデータ群に基づく運航成績を示す。
この結果、計算機システム100は、複数の航海の間で相関関係を比較することによって船舶の推進性能の変化を定量的に把握し、所定の閾値との比較等を経て、船舶の推進性能の管理に関する判断、例えば、船舶の推進性能の経年劣化、その能力低下、船体やプロペラの汚れ等の状況を判定し、船体や主機関等のメンテナンス、船体等の洗浄のためのアドバイスを可能にする。このように、海気象による影響を「推進性能指数」として統一して指数化することで、船舶の推進性能の把握、推定、評価、分析、比較、判断等が可能になる。計算機システムの運営事業者は、推進抵抗指数を利用することにより、船舶の運航成績(推進抵抗を少なく運航できたか否か等)、船舶の状態等のレポートをユーザに提供することができる。なお、このレポートは、推進抵抗の特性、真風速と影響船速との関係等を、図面で説明したような映像情報として、含むようにしてよい。例えば、船が運航された運航路に沿って推進抵抗指数が変化している海図を示すことによって、船舶の運航生成が一見して分かるようになる。
図14に、図13で利用された計測データのうち、掃気圧力(吸入空気温度に応じて標準状態に換算した値)と機関出力(プロペラ軸出力計)との相関関係を示す。図14から分かるように、掃気圧力と主機関出力とは一意に相関していることが分かる。したがって、主機関の出力は、高価な出力計測装置(プロペラ軸出力計など)を利用しなくても、掃気圧力で代用できることが分かる。図15に、機関出力の計測値を含めて解析した推進抵抗指数、船舶の推進性能、主機関掃気圧力との相関のグラフを示す。また、図16に、機関出力の計測値を除外して解析した推進抵抗指数、船舶の推進性能、主機関掃気圧力との相関のグラフを示す。両者を比較すると、ほぼ同一の結果を示しており、このことからも機関出力やプロペラ軸出力データを用いなくても適切な推進性能の解析結果が得られることを示している。なお、掃気圧力と同様に機関出力と一意に相関のある過給機回転数と用いても同様の結果が得られる。
次に、計算機システム100の動作を、図17に基づいて改めて説明する。図17は、コントローラ102の動作プロセスの一例を示すフローチャートである。
コントローラ102は、ステップS1において、データ群の中から、入力装置102から入力された船舶ID、航海IDに関連する計測値を抽出する。コントローラ102は抽出された計測と所定の閾値とを比較し、閾値からかい離した計測値を除外してもよい。ステップS1は推進性能の解析の準備モジュールに相当する。
次いで、コントローラ102は、ステップS2において、既述のとおり、特開2015-190970号公報で説明された手法を利用して、対水船速の推定値を算出する。ステップS2は、対水船速推定値算出モジュールに相当する。
さらに、コントローラ102は、ステップS3において、既述のとおり、重回帰分析によって、対水船速の推定値を補正する。ステップS3は、対水船速推定値補正モジュールに相当する。
次いで、コントローラ102は、ステップS4において、既述のとおり、船舶の推進性能の評価指数の一例としての推進抵抗指数を算出する。ステップS4は、評価指数算出モジュールに相当する。さらに、コントローラ102は、ステップS5において、推進抵抗指数を利用して船舶の推進性能の評価処理を行い、評価結果を出力装置108に報知する。ステップS5は、船舶の推進性能の評価モジュールに相当する。
以上説明したように、計算機システムによれば、船舶の運航に関する物理モデルを用いた理論推進性能解析を利用することなく、計測値のみから船舶の推進性能を精度良く解析することができる。
既述のとおり、本発明は船舶の推進性能を解析するものであるが、本発明の技術思想を適用できる限り、他のモデル、例えば、風の影響を受ける風力発電機の動作性能の解析システムにも本発明を適用することができる。

Claims (10)

  1. 船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群を格納するメモリと、
    船舶の推進性能を解析するコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、
    前記データ群を利用して、所定の気象環境下における船舶の推進性能の推定値を算出し、
    海気象の計測値に基づいて前記算出された推定値を補正し、
    前記海気象の計測値を利用して多変量解析を行い、
    当該多変量解析の結果を前記算出された推定値に適用することによって、前記補正を実行し、
    前記多変量解析を、前記推進性能の計測値と前記算出された推定値の差分とに基づいて行い、
    前記船舶の推進性能を対水船速とし、
    前記海気象の計測値を風の計測値とし、
    当該風の計測値から、船舶に作用する第1の真風力と、第2の真風力と、を算出し、
    前記対水船速の計測値とその推定値との差分と、前記第1の真風力と、前記第2の真風力とに基づいて、前記多変量解析としての重回帰分析を行い、
    前記対水船速の推定値と、船舶の対地船速の計測値と、に基づいて、船舶の推進抵抗指標を算出し、当該指標は、推進により発生する抵抗に加えて、海気象によって船舶が受ける抵抗の程度を示すものであり、
    前記推進抵抗指標、船舶の推進性能、そして、主機関出力との間に相関関係があることに基づいて、さらに、航海で蓄積されたデータ群に基づいて、当該相関関係を船舶の運航成績として算出し、複数の航海の間で、当該運航成績を比較することよって、船舶の推進性能の変化が分かるよう出力するようにした、
    計算機システム。
  2. 前記コントローラは、
    前記第1の真風力を船舶に作用する追い風、又は、向かい風の値とし、
    前記第2の真風力を船舶に作用する横風の値とする、
    請求項1記載の計算機システム。
  3. 前記コントローラは、
    前記重回帰分析に係る重回帰式の定数項を前記多変量解析の結果として利用して、前記算出された対水船速の推定値を補正する
    請求項2記載の計算機システム。
  4. 前記コントローラは、
    前記補正された推定値に基づいて、船舶の推進性能を評価するための指標を算出する
    請求項1記載の計算機システム。
  5. 前記指標は、対水船速(推定値)3/対地船速(計測値)3に比例する
    請求項1記載の計算機システム。
  6. 前記コントローラは、
    前記船舶の推進性能を対水船速とし、
    当該対水船速の推定値を、主機関、または、プロペラ軸の出力の計測装置によらずに、当該主機関の掃気圧力に基づいて算出する
    請求項1記載の計算機システム。
  7. コンピュータが、船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群に基づいて船舶の推進性能を解析する解析方法であって、
    前記コンピュータは、
    前記データ群を利用して、所定の気象環境下における船舶の推進性能の推定値を算出し、
    海気象の計測値に基づいて前記算出された推定値を補正し、
    前記海気象の計測値を利用して多変量解析を行い、
    当該多変量解析の結果を前記算出された推定値に適用することによって、前記補正を実行し、
    前記多変量解析を、前記推進性能の計測値と前記算出された推定値の差分とに基づいて行い、
    前記船舶の推進性能を対水船速とし、
    前記海気象の計測値を風の計測値とし、
    当該風の計測値から、船舶に作用する第1の真風力と、第2の真風力と、を算出し、
    前記対水船速の計測値とその推定値との差分と、前記第1の真風力と、前記第2の真風力とに基づいて、前記多変量解析としての重回帰分析を行い、
    前記対水船速の推定値と、船舶の対地船速の計測値と、に基づいて、船舶の推進抵抗指標を算出し、当該指標は、推進により発生する抵抗に加えて、海気象によって船舶が受ける抵抗の程度を示すものであり、当該指標が1の時は、船舶の推進に海気象の影響がないことを示し、
    前記推進抵抗指標、船舶の推進性能、そして、主機関出力との間に相関関係があることに基づいて、さらに、航海で蓄積されたデータ群に基づいて、当該相関関係を船舶の運航成績として算出し、複数の航海の間で、当該運航成績を比較することよって、船舶の推進性能の変化が分かるよう出力するようにした、
    前記解析方法。
  8. 船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群に基づいて船舶の推進性能を解析するためのプログラムであって、
    前記データ群を利用して、所定の気象環境下における船舶の推進性能の推定値を算出し、
    海気象の計測値に基づいて前記算出された推定値を補正し、
    前記海気象の計測値を利用して多変量解析を行い、
    当該多変量解析の結果を前記算出された推定値に適用することによって、前記補正を実行し、
    前記多変量解析を、前記推進性能の計測値と前記算出された推定値の差分とに基づいて行い、
    前記船舶の推進性能を対水船速とし、
    前記海気象の計測値を風の計測値とし、
    当該風の計測値から、船舶に作用する第1の真風力と、第2の真風力と、を算出し、
    前記対水船速の計測値とその推定値との差分と、前記第1の真風力と、前記第2の真風力とに基づいて、前記多変量解析としての重回帰分析を行い、
    前記対水船速の推定値と、船舶の対地船速の計測値と、に基づいて、船舶の推進抵抗指標を算出し、当該指標は、推進により発生する抵抗に加えて、海気象によって船舶が受ける抵抗の程度を示すものであり、当該指標が1の時は、船舶の推進に海気象の影響がないことを示し、
    前記推進抵抗指標、船舶の推進性能、そして、主機関出力との間に相関関係があることに基づいて、さらに、航海で蓄積されたデータ群に基づいて、当該相関関係を船舶の運航成績として算出し、複数の航海の間で、当該運航成績を比較することよって、船舶の推進性能の変化が分かるよう出力するようにした、
    機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  9. 請求項8記載のプログラムが記録された、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
  10. 船舶が実海域において運航されている際に記録されたデータ群を格納するメモリと、
    船舶の推進性能を解析するコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、
    前記データ群を利用して、所定の気象環境下における船舶の推進性能の推定値を算出し、
    海気象の計測値に基づいて前記算出された推定値を補正し、
    前記海気象の計測値を利用して多変量解析を行い、
    当該多変量解析の結果を前記算出された推定値に適用することによって、前記補正を実行し、
    前記多変量解析を、前記推進性能の計測値と前記算出された推定値の差分とに基づいて行い、
    前記船舶の推進性能を対水船速とし、
    前記海気象の計測値を風の計測値とし、
    当該風の計測値から、船舶に作用する第1の真風力と、第2の真風力と、を算出し、
    前記対水船速の計測値とその推定値との差分と、前記第1の真風力と、前記第2の真風力とに基づいて、前記多変量解析としての重回帰分析を行い、
    前記対水船速の推定値と、船舶の対地船速の計測値と、に基づいて、船舶の推進性能を評価するための指標を算出し、当該指標は、対水船速(推定値)/対地船速(計測値)3に比例する、
    計算機システム。
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