JP6842330B2 - 乗員保護装置 - Google Patents
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Description
シートベルトは、一般的に三点式であり、シートに着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前にリトラクタでシートベルトを巻き取って弛みを減らし、衝突時にシートベルトの送り出しを規制する。これにより、衝突時にシートから前へ移動しようとする乗員の身体をシートに着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグは、乗員室においてシートの前に設けられるハンドルまたはダッシュボードに設けられ、シートへ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグで支えて衝撃を吸収する。
たとえば前面衝突においても、衝突の衝撃によりシートに着座した乗員が前へ移動する可能性がある。そして、乗員の腰部がシートの着座位置から前へ滑って移動してしまうと、腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込もうとする上体は、フロントエアバッグに近づいた状態から前へ倒れ込むことになる。この場合、フロントエアバッグと上体との接触状態は、腰部がシートの着座位置にある場合に想定していたものとは異なる。
好適には、前記座面エアバッグは、前記シートの座面の上へ展開できない場合、前記展開下部の展開を停止させ、前記展開上部のみを展開させる、とよい。
その結果、座面エアバッグを乗員の腰部の前に展開でき、展開した座面エアバッグにより腰部を前から押さえることができ、腰部をシートの着座位置に保持することができる。そして、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。上体が着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れることにより、上体をフロントエアバッグにより好適に支えて衝撃を吸収することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る乗員保護装置10が適用可能な自動車1の説明図である。
図1には、シートベルト19、フロントエアバッグ16が図示されている。
シートベルト19は、一般的に三点式である。三点式のシートベルト19は、シート4に着座した乗員の腰周りのラップ部、および上体前にたすき掛けされるショルダ部を有する。そして、衝突前に図示外のリトラクタでシートベルト19を巻き取ってたるみを減らし、さらに衝突時にシートベルト19の送り出しを規制する。これにより、衝突時にシート4から前へ移動しようとする乗員の身体をシート4に着座した状態に保持するように作動できる。
フロントエアバッグ16は、乗員室2においてシート4の前に設けられるハンドルまたはダッシュボード6に設けられ、シート4へ向かって後向きに展開する。そして、衝突時に前へ倒れ込む乗員の上体を、展開したフロントエアバッグ16で支えて衝撃を吸収できる。
たとえば図2は、前面衝突における乗員の挙動の一例の説明図である。
乗員がシート4に着座した状態で前面衝突が起きると、図2(A)に示すように、衝突の衝撃によりシート4に着座した乗員には相対的に前へ移動しようとする力が作用する。
この際に乗員がシートベルト19により押さえられていないとすると、図2(B)に示すように、乗員の腰部はシート4の着座位置から前へ滑って移動する。
そして、乗員の腰部はたとえば膝頭がダッシュボード6に当たった状態で止まり、乗員の上体は、図2(C)に示すように、その位置の腰部を軸としてその周りで前へ倒れ込むことになる。
図2(C)でのフロントエアバッグ16に対する上体の接触状態は、図3と比較すれば明らかなように腰部が着座位置にある場合において想定したものとは異なる。乗員の上体は、フロントエアバッグ16に近づいた位置において前へ倒れ込む。展開したフロントエアバッグ16と上体との接触状態は、腰部がシート4の着座位置にあると想定した場合のものとは異なる。この場合、展開したフロントエアバッグ16により、適切に倒れ込んだ上体を支持して衝撃を吸収することができない可能性がある。
また、上体は腰部の移動が止まった後に短時間で急に前へ倒れることになる。
車外撮像センサ41は、たとえば車体3の前方を撮像する。これにより、たとえば走行中の車体3に対して前から近づく他の車体を画像として撮像することができる。
操舵アクチュエータ43は、ハンドルの替わりに、自動車1の操舵装置を駆動する。
ブレーキアクチュエータ44は、ブレーキペダルの替わりに、自動車1の制動装置を駆動する。
動力源45は、たとえばガソリンエンジン、電気モータである。
自動運転制御部42は、自動車1の走行を自動制御する。自動運転制御部42は、たとえば目的地までの走行経路情報にしたがって、操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。また、自動運転制御部42は、車外撮像センサ41の画像に基づいて接近物を特定し、接近物との衝突を予想する。そして、接近物との衝突を予想した場合には、自動運転制御部42は、その衝突を回避するように操舵アクチュエータ43、ブレーキアクチュエータ44、および動力源45を制御する。
図6は、図4の座面エアバッグ装置20のシート4の下への格納状態および通常の展開手順を説明する図である。図6(A)は、シート4の下に格納した状態である。図6(B)は、展開途中の状態である。図6(C)は、展開した状態である。
座面エアバッグ装置20は、座面エアバッグ21、インフレータ24、エアバッグ本体25、キャップ部26、を有する。
エアバッグ本体25には、座面エアバッグ21、インフレータ24が設けられる。
展開した座面エアバッグ21は、図5に示すように、展開上部22、展開下部23、を有する。
展開下部23は、シート4の座面の左右方向中央前部から上へ展開してシート4に着座した乗員の右腿部と左腿部との間に立設される展開する部分である。
展開上部22は、展開下部23の上端から左右の横方向へ展開して右腿部および左腿部の上に展開する部分である。展開上部22は、展開下部23より上において、展開下部23よりも左右方向へ幅広に展開する。
また、座面エアバッグ21は、図6(A)に示すようにシート4の座面の下に格納した状態において、エアバッグ本体25内で折り畳んで格納される。
そして、キャップ部26は、座面エアバッグ21の展開上部22の展開頂部に、逆さV字形状となるように貼着される。これにより、座面エアバッグ21は、キャップ部26を上にして上へ展開し、キャップ部26がシートの座面に下から当たるようになる。
また、キャップ部26は、図6に示すように、左右方向に折り畳まれた状態で、シート4の座面の下に格納される。左右方向に折り畳まれた状態のキャップ部26は、座面エアバッグ21が所定の高圧力に展開することにより左右方向へ広がる。キャップ部26は、たとえば上へ向かって展開していた座面エアバッグ21が左右方向へ広がり始めることにより、座面エアバッグ21とともに左右方向へ広がる。
なお、キャップ部26は、座面エアバッグ21と一体的に設けられたものであってもよい。たとえば座面エアバッグ21の展開頂部を左右方向へ折り曲げた状態でテザーや繊維を編み込むことにより、左右方向に折り畳まれた状態のキャップ部26を形成できる。この場合、座面エアバッグ21が所定の高圧力となることにより、キャップ部26を左右方向へ開くことができる。
また、キャップ部26が腿上で開くようにするために、展開上部22と展開下部23との間を仕切り、その仕切り部分にアクティブベント、バルブ、弁などを設けてもよい。これにより、展開下部23がある程度展開した後にアクティブベントまたはバルブを開き、展開上部22を展開下部23より遅れて展開させることができる。
乗員保護制御部14は、インフレータ24へ点火信号を出力する。これにより、座面エアバッグ21は、展開を開始する。
展開を開始した座面エアバッグ21では、図6(B)に示すように、キャップ部26を上にした姿勢で、上へ展開する。
そして、左右方向に折り畳まれた状態のキャップ部26は、シート4の座面を破り、シート4の座面の上へ突出する。
また、座面エアバッグ21の展開上部22は、シート4の座面から上へ突出した展開下部23の上端において左右の横方向への展開を開始する。これにより、左右方向に折り畳まれていたキャップ部26は、左右方向へ開く。その結果、座面エアバッグ21の展開上部22は、右腿部の上側および左腿部の上側に展開する。
これにより、衝突の際にシート4の座面の上で前へ滑ろうとする乗員の腰部は、座面エアバッグ21により前および上から押さえられる。乗員の腰部は、シート4の着座位置から移動し難くなる。
その結果、座面エアバッグ21を乗員の腰部の前に展開でき、展開した座面エアバッグ21により腰部を前から押さえることができ、腰部をシート4の着座位置に保持することができる。そして、たとえば前面衝突の際に乗員の上体は着座位置に安定した腰部の周りで前側へ倒れるようになり、衝突の際の乗員の上体の挙動は所望のものに近づく。上体が着座位置にある腰部の周りで前などへ倒れることにより、上体をフロントエアバッグ16により好適に支えて衝撃を吸収することができる。
また、キャップ部26がシート4の座面の上へ展開しない場合でも、座面エアバッグ21の内圧はその状態で所定の高圧力となる。その結果、座面エアバッグ21をシート4内で左右方向へ展開ざせて、シート4の座面を押し上げることができる。その結果、乗員の腰部が前へ滑って移動し難くなる。
次に、第2実施形態に係る乗員保護装置10について説明する。以下の説明では、主に第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図7(A)の座面エアバッグ21において、展開上部22と、展開下部23とは、別々の袋体として形成され、上下に重ねた状態で互いに縫合される。
そして、インフレータ24は、展開上部22と展開下部23とに個別に接続される。なお、展開上部22と展開下部23との間に、展開下部23が所定の圧力以上になった場合に開くアクティブベントやバルブを設けてもよい。
また、インフレータ24と展開下部23との間には、開閉弁27を設ける。
その後、乗員保護制御部14は、座面エアバッグ21の展開状態を監視する。そして、座面エアバッグ21が十分に展開できない場合、乗員保護制御部14は、開閉弁27を閉じる。これにより、座面エアバッグ21では展開上部22のみがシート4の前部の座面下で展開する。その結果、図7(B)に示すように、シート4の座面の前部が持ち上がる。
なお、本実施形態では、座面エアバッグ21がシート4の上へ展開できない場合に、座面エアバッグ21の展開上部22をシート4内で左右方向へ展開させている。この他にもたとえば、座面エアバッグ21とは別の袋体を設け、その袋体をシート4内で左右方向へ展開させてもよい。
Claims (4)
- 車両のシートの座面の左右方向中央部の下から上へ向かって座面エアバッグを展開させる乗員保護装置であって、
前記座面エアバッグの展開頂部にキャップ部が設けられ、
前記座面エアバッグは、前記キャップ部を上にして上へ展開することにより、前記シートの座面の上へ展開して前記シートに着座した乗員の右腿部と左腿部との間に展開し、
前記キャップ部は、板部材の左右方向の中央を頂部として左右方向において折り畳まれた形状を有し、上へ向かって展開していた前記座面エアバッグが左右方向へ広がるように展開し始めることで前記座面エアバッグとともに左右方向へ広がる、
乗員保護装置。 - 左右方向において折り畳まれた前記キャップ部は、前記座面エアバッグが所定の高圧力に展開することにより左右方向へ広がる、
請求項1記載の乗員保護装置。 - 車両のシートの座面の左右方向中央部の下から上へ向かって展開することにより、前記シートの座面の上において左右方向へ展開可能な座面エアバッグを備える乗員保護装置であって、
前記座面エアバッグは、
前記シートの上で左右方向へ展開する展開上部と、前記展開上部の下側で展開する展開下部と、
を有し、
前記シートの座面の上へ展開できない場合、前記展開上部を前記シートの座面下で左右方向に展開させる、
乗員保護装置。 - 前記座面エアバッグは、前記シートの座面の上へ展開できない場合、前記展開下部の展開を停止させ、前記展開上部のみを展開させる、
請求項3記載の乗員保護装置。
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