JP6738522B2 - 二次電池用電極構造体 - Google Patents
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Description
特に、電池容量の増大や電極間における、よりいっそうの急速なイオンや電子の移動を実現するべく、正負極それぞれについての活物質の組成や形状の改良研究が活発に行われている。近年では、無機物と有機物とのハイブリッド材料(いわゆる無機/有機ハイブリッド材料)によって高性能な活物質を開発しようとする試みも数多くなされてきている。
例えば特許文献1には、亜鉛含有化合物を負極活物質として含む亜鉛合材をニッケルメッシュ等の集電体に塗工して構成した亜鉛負極を備える二次電池が開示されている。
そこで、本発明は、かかる課題を解決するべく創出されたものであり、電極合材(正極合材または負極合材)の安定的な集電体(正極集電体または負極集電体)への保持に加えて、当該集電体と該集電体に保持された電極合材中の活物質との間で良好な導電パスを形成可能な電極構造体の提供を目的とする。
そして、該プレート状構造体は、シート状集電体が面対向方向に積層する(即ち、隣接する各シート状集電体のシート表面(最も広い面をいう。以下同じ)が対向するように積層する)集電体積層構造と、該集電体積層構造を構成するシート状集電体間に形成された電極合材層と、を有していることを特徴とする。
このことにより、本構成の電極構造体では、隣接する二つのシート状集電体に挟まれて電極合材層を安定的に保持することができる。このため、本構成の電極構造体によると、例えば同じ体積のプレート状の電極構造体であって、一つのシート状に形成された電極合材層の表面の一方又は両方に同様のシート状集電体が配置された従来のプレート状電極構造体と比較して、集電体と該集電体に保持された電極合材層中の活物質との間の導電パスを増大させることができる。
従って、本発明によると、電極合材の保持安定性の向上とともに、ハイレート特性等の電池性能の向上に貢献する電極構造体の提供を実現することができる。
かかる構成によると、上記の作用効果を奏するとともに、一つのコルゲートフィン形状の集電体部材により、一体的に上記集電体積層構造が形成されているため、電極構造体自体の形状安定性をより向上することができる。
かかる構成によると、上述した複数のシート状集電体が面対向方向に積層して成る上記集電体積層構造の形態の安定性をより向上させることができる。
本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない二次電池全体の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、説明を容易にするためにデフォルメされており、実際の寸法関係を反映するものではない。
また、「電極合材」とは、所定の正負極何れかの活物質を含む組成物(合材)をいい、当該合材を構成する活物質の内容やその他の成分(各種添加材)は、ニッケル水素電池、リチウム二次電池、等の二次電池の種類に応じて異なり得る。
従って、電極合材層(具体的には正極合材層若しくは負極合材層)とは、当該電極合材を対象とする集電体に付与することによって形成された活物質を主体とする層(活物質層ともいう。)を指しており、必ずしも集電体に付与する前の電極合材の組成と、電極合材層(活物質層)を構成する組成物の組成とが一致するものではない。例えば、有機溶媒が電極合材に含まれる場合には、電極合材層形成時に当該有機溶媒が蒸発されて失われることが通常であるが、そのような場合でも、該電極合材を集電体に付与することによって形成された層を、電極合材層ということができる。
図1に示すように、本実施形態に係るニッケル水素電池100は、蓋体42を含むケース40を備える。ケース40内には、本実施形態に係るニッケル水素電池100の電極体を構成する正極10、負極20、およびセパレータ30が収容されている。
正極10は、複数の薄いプレート形状(シート形状)の電極構造体から構成されており、それらは正極集電タブ12を介して正極端子14に電気的に接続されている。一方、負極20は、複数の薄いプレート形状(シート形状)の電極構造体から構成されており、それらは負極集電部材(図示せず)を介してケース40の底面に設けられた負極端子(図示せず)に接続されている。また、蓋体42よりもケース40の内側には、スペーサ60とその周囲に設けられたガスケット50とが装着されており、ケース40内部の密閉状態を保持している。
なお、スペーサ60には、電池100の内部(ケース40の内部)のガス圧が異常に高くなった場合に、内部ガスをケースの外方に排出するためのガス排出弁構造が形成されているが、従来のニッケル水素電池に付設されているものと同様でよく、本発明を特徴付ける構造ではないので、これ以上の詳細な説明は省略する。また、ニッケル水素電池100の各構成部分(正負極、セパレータ、ケース、等)の材質や形状についても、ここで開示される電極構造体10Aを適用する部分を除いて、従来の同様の形態のニッケル水素電池と同じでよく、特に本発明を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
より具体的には、本実施形態に係る電極構造体10Aは、複数のシート状集電体15Aがそれらの面対向方向に積層して得られる集電体積層構造17Aと、該集電体積層構造17Aを構成する複数のシート状集電体15A間に形成された電極合材層(即ち正極合材層)16Aとを有している。
換言すれば、本実施形態に係る電極構造体10Aは、複数のシート状集電体15Aと電極合材層16Aとが集電体積層方向に交互に積み重なるようにして構成されたプレート状(シート状)構造体である。
かかる構造の本実施形態に係る電極構造体10Aによると、隣接する二つのシート状集電体15Aに挟持されることによって電極合材層16Aを安定的に保持することができる。また、このような構造の電極構造体10Aによると、電極合材層16Aの単位容積あたりの集電体15Aとの接触面積を大きくすることができる。このため、集電体15Aと該集電体15Aに保持された電極合材層16A中の活物質との間の導電パスを増大させることができる。これにより、ハイレート特性等の電池性能の向上を図ることができる。
好ましくは、図2に示すように、何らかの拘束部材18で集電体積層構造17を拘束する。例えば、図示されるようなテープ(若しくはひも)状の拘束部材18を採用することができる。このような形態の拘束部材18(絶縁性のテープ状の拘束部材が好適である)を、集電体積層構造17の外周面に装着し、積層方向にテンションをかけることによって、集電体積層構造17、ひいては電極構造体10A自体の構造安定化を高レベルに実現することができる。なお、拘束部材18の装着位置は図2に示す態様に限定されない。例えば、図示していないが、ニードル状(細い棒状若しくはひも状)の拘束部材を集電体積層構造17の内部を積層方向に貫通させ(例えばシート状集電体15Aのシート面のほぼ中央付近の一箇所または二、三箇所にニードル状拘束部材を貫通させる。)、当該集電体積層構造17の積層方向の一方の端面と他方の端面との間にテンションをかけて締結することもできる。あるいはまた、テープ状の拘束部材18に代えて、集電体積層構造17Aを積層方向に締め付け可能なネジ部材を装着してもよい。あるいは、弾性体(ゴム材)、熱収縮性の材料、または、繊維状若しくはネット状の部材で集電体積層構造17の外周を捲回する手法を採用してもよい。
また、使用する集電体15Aは、磁気を帯びていてもよい。集電体積層構造17Aを構築後に各集電体15Aを磁化してもよい。磁気を帯びることにより、積層構造自体の安定性をより一層向上することができる。
あるいはまた、集電体積層構造17Aの積層面(好ましくはシート状集電体15Aの長辺側となる幅広の積層面)にガイド部材(好ましくはプレート状部材、後述する実施形態に関する図4参照)を設けてもよい。ガイド部材を付設することにより、構造安定性の更なる向上を図ることができる。ガイド部材が集電可能な導電性部材から構成されている場合には、電極の集電部(コレクター)として機能させることができる。
例えば、ニッケル水素電池の正極活物質である場合、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のニッケル化合物を電極合材層(正極合材層)16Aに含ませる活物質成分とすることができる。
これらニッケル化合物から成る活物質においては、ニッケル元素の一部が他の金属元素(コバルト、アルミニウム、亜鉛、マンガン、タングステン、チタン、ニオブ、ルテニウム、金、等)で置換されていてもよい。活物質を構成する化合物は、結晶構造体であっても、アモルファス体であってもよい。
正極活物質(上記ニッケル化合物等)は、電顕観察あるいはレーザ回折・光散乱法に基づく平均粒子径が1nm以上10nm以下程度の微粒子であることが好ましいが、これよりも大きい平均粒子径(例えば10nm以上10μm以下)を有するような活物質粒子を使用してもよい。なお、活物質以外の添加材としては、正極または負極のいずれかに応じて、適切な材料、例えば、種々の導電材、電解質(液体状若しくはゲル状ポリマーであり得る)、バインダ(結着材)、溶媒、等が挙げられるが、従来の各種の二次電池において採用されているものを使用すればよく、本発明を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
電極合材(正極合材または負極合材)は、典型的には、必要な固形成分を溶媒とともに混合してスラリー状(ペースト状)に調製され、そのスラリー状電極合材を隣接する集電体と集電体との間に充填する(典型的にはその後に乾燥工程を含む。)ことにより電極合材層が形成される。特に10nm以下程度のナノサイズの微小な活物質粒子と、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、等の有機材料(有機電解質)とが、高度に分散した状態(必要に応じてさらに導電材微粒子を分散させてもよい。)で存在する無機/有機ハイブリッド材料を含む正極合材または負極合材の使用が好ましい。
かかる構成では、一つのコルゲートフィン形状の部材からシート状集電体15Bが構成され、一体的な集電体積層構造17Bが得られる。このため、電極構造体10B自体の形状安定性をより一層向上することができる。
また、図示されるように、本実施形態においても、集電体積層構造17Bの積層面にガイド部材(集電部)19を設けることができる。ガイド部材19を付設することにより、構造安定性の更なる向上を図ることができるとともに、集電体15Bからの集電効率を向上させることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10A 電極構造体
10B 電極構造体
12 正極集電タブ
14 正極端子
15A,15B シート状集電体
15C 凸部
15D 凹部
16A,16B 電極合材層(正極合材層)
17A,17B 集電体積層構造
18 拘束部材
19 ガイド部材
20 負極
30 セパレータ
40 ケース
42 蓋体
50 ガスケット
60 スペーサ
100 二次電池(ニッケル水素電池)
Claims (2)
- 二次電池の正極または負極に用いられる電極構造体であって、
該電極構造体は、全体がプレート状の構造体であり、
該プレート状構造体は、
シート状集電体であって一つのコルゲートフィン形状の集電体により形成された面対向方向に積層する集電体積層構造と、
該積層する集電体間のそれぞれに配置された複数の電極合材層と、
を有しており、
ここで、前記電極合材層はいずれも前記集電体積層構造の隣接する二つのシート状集電体の間に挟持されて存在しており、
前記シート状集電体と前記電極合材層とが前記集電体積層方向に交互に積み重なるようにして構成されている(但し、該積層方向と前記構造体における最大面積を有する面の法線方向とが一致する態様を除く)ことを特徴とする、電極構造体。 - 前記集電体積層構造を拘束する拘束部材をさらに備える、請求項1に記載の電極構造体。
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