Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP6736946B2 - 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP6736946B2
JP6736946B2 JP2016067902A JP2016067902A JP6736946B2 JP 6736946 B2 JP6736946 B2 JP 6736946B2 JP 2016067902 A JP2016067902 A JP 2016067902A JP 2016067902 A JP2016067902 A JP 2016067902A JP 6736946 B2 JP6736946 B2 JP 6736946B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solar cell
ethylene
component
resin composition
polyethylene resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016067902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017183479A (ja
Inventor
千晶 増村
千晶 増村
上野 真寛
真寛 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Polyethylene Corp
Original Assignee
Japan Polyethylene Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Polyethylene Corp filed Critical Japan Polyethylene Corp
Priority to JP2016067902A priority Critical patent/JP6736946B2/ja
Publication of JP2017183479A publication Critical patent/JP2017183479A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6736946B2 publication Critical patent/JP6736946B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Sealing Material Composition (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュールに関し、より詳しくは、エチレン・α−オレフィン共重合体などから成る、絶縁性、架橋特性に優れたポリエチレン樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材および太陽電池モジュールに関するものである。
ポリエチレン樹脂は、加工性、耐湿性、柔軟性、絶縁性が良好なことから、太陽電池、ケーブルなどの電子材料に使用されている。また、これらの用途においては多くの場合、耐熱性、機械的強度を向上させるため、ポリエチレン樹脂を架橋させて使用する。架橋反応は、電子線照射またはラジカル反応性の高い添加剤、例えば有機過酸化物の利用により実施されている。
高い絶縁性を示すポリエチレン樹脂組成物を得るために、酸化ビスマス系化合物等の無機化合物からなるイオン捕捉剤の添加が提案されている(特許文献1参照)。例示されているポリエチレン樹脂組成物に関して、イオン捕捉剤の添加により絶縁性の指標である体積抵抗率が改善することが記載されている。
絶縁性が低下することにより、電子材料からの漏れ電流が増加する。例えば、太陽電池の場合、漏れ電流の影響により、発電能力の低下が起こるPID(Potential Induced Degradation)現象の発生が報告される例もある。そこで、体積抵抗率の高い太陽電池封止材を製造することで、PID現象を抑制することができる。
しかしながら、上記特許文献に記載のポリエチレン樹脂組成物は、架橋特性については触れられておらず、改良の余地がある。
架橋特性については、本出願人は、先に、太陽電池封止材に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体において、その架橋性(耐熱性)を向上するため種々検討した経緯において、エチレン・αーオレフィン共重合体に含まれる分岐数が多い、あるいは二重結合数が多いと、良好な架橋特性が得られることを報告している(特許文献2,3参照)。しかし、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる二重結合には、種々の二重結合(ビニル、ビニリデン、シスービニレン、トランス−ビニレン、三置換オレフィン)があり、これらの二重結合の種類の違いによる架橋特性発現への寄与について、全てが良好な架橋特性発現に同程度関与するか否か、又は、分岐数、二重結合数はオレフィン共重合体において独立に決まるものであるが、架橋特性発現のためには、この2つの一方だけ満たせばいいのか否かについては言及されていない。
このように、従来の技術では、絶縁性、架橋特性に優れるポリエチレン樹脂組成物は得られていなかった。
特開2014−150246号公報 特開2012−009688号公報 特開2012−009691号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、エチレン・α−オレフィン共重合体などから成る、絶縁性、架橋特性に優れた太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材および太陽電池モジュールを提供することにある。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエチレン樹脂として特定のMFR、密度、α−オレフィン含有割合などの特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を選択し、これに特定の無機充填剤、好ましくは更に有機過酸化物を配合することにより、絶縁性、架橋特性に優れる太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が得られ、これを用いることで太陽電池に発生するPID現象を抑制する太陽電池封止材が得られるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第1の発明によれば、下記成分(A)および(B)を含有することを特徴とし、かつ温度23℃、印加電圧500Vで測定される体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上である太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
成分(A):下記(a1)〜(a3)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
(a1)前記エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対してエチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜97mol%であるとともに、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3〜20mol%
(a2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
(a3)密度が0.860〜0.920g/cm
成分(B):平均粒径が1μm以下であることを特徴とする無機充填剤
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、成分(A)が、さらに下記特性(a4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
(a4)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個以上
(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの各個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、成分(A)が、さらに下記特性(a5)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
(a5)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計量(V)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):N×V≧10
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、成分(A)が、さらに下記特性(a6)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
(a6)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(2)の関係を満たす。
式(2):54≦N
(ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜第4のいずれかの発明において、成分(B)の含有量が、成分(A)100重量部に対して、0.01〜1重量部であることを特徴とする太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜第5のいずれかの発明において、下記成分(C)を含有することを特徴とする太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
成分(C):有機過酸化物
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、成分(C)の含有量が、成分(A)100重量部に対して、0.2〜5重量部であることを特徴とする太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物が提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第1〜第7のいずれかの発明に係る太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物からなる太陽電池封止材が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明に係る太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールが提供される。
本発明の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物は、特定のMFR、密度、α−オレフィン含有割合などの特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を主成分とし、これに平均粒径が1μm以下である無機充填剤および、好ましくは更に有機過酸化物を配合している。該ポリエチレン樹脂組成物は、加工する際にエチレン・α−オレフィン共重合体が比較的短時間で架橋でき、太陽電池封止材用途に使用する場合、PID現象を抑制することができる。また、得られた太陽電池モジュールは、耐熱性、耐候性に優れるものとなり、長期間安定した変換効率を維持することができる。
本発明は、樹脂成分として特定のエチレン・α−オレフィン共重合体及び無機充填剤、、好ましくは更に有機過酸化物を含む太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュールに係るものである。
以下、本発明において用いられる各成分、得られる樹脂組成物、それを用いた太陽電池封止材等について詳細に説明する。
I.太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物
本発明の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)は、下記の成分(A)であるエチレン・α−オレフィン共重合体および成分(B)である無機充填剤を含有し、かつ温度23℃、印加電圧500Vで測定される体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上であることを特徴とする。
本発明で用いるポリエチレン樹脂組成物は、温度23℃、印加電圧500Vで測定される体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上、好ましくは1.0×1017Ω・cm以上である。体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上のポリエチレン樹脂組成物は絶縁性能に優れており、例えば、太陽電池封止材用途では、n型セルを使用した太陽電池モジュールにおいて、PIDの発生を抑制することができる。
1.成分(A)
本発明に用いる成分(A)は、エチレンとα−オレフィンの1種以上を共重合してなり、下記(a1)〜(a3)の特性を満たし、さらに好ましくは(a4)〜(a6)の特性を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体である。
(a1)前記エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して、エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜97mol%であるとともに、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3〜20mol%
(a2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
(a3)密度が0.860〜0.920g/cm
(a4)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個(すなわち、0.22個/total 1000C)以上
(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(a5)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計量(V)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):N×V≧10
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(a6)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(2)の関係を満たす。
式(2):54≦N
(ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(i)成分(A)のモノマー構成
本発明に使用される成分(A)であるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20であり、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン三元共重合体等が挙げられる。
コモノマーとして、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、及び1,9−デカジエン等のジエン化合物を、α−オレフィンに少量配合してもよい。これらのジエン化合物を配合すると、長鎖分岐ができるので、エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶性を低下させ、柔軟性、接着性等が良くなり、分子間の架橋剤ともなるので、機械的強度が増加する。また長鎖分岐の末端基は、不飽和基であるから、有機過酸化物による架橋反応や、酸無水物基含有化合物若しくはエポキシ基含有化合物との共重合反応やグラフト反応を容易におこすことができる。
(a1)エチレンおよびα−オレフィン由来構成単位の含有割合
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、そのα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して3〜20mol%であり、好ましくは、12〜15mol%である。この範囲であれば、シート等の柔軟性と架橋後の耐熱性が良好になる。α−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3mol%を下回ると、ポリエチレンの柔軟性が悪化することがある。一方、20mol%を上回ると、ポリエチレンの軟化点が下がりすぎるため、得られたシート等のブロッキングが悪くなり、取り扱い性に欠けるものとなる。したがって、エチレン・α−オレフィン共重合体に対するエチレンに由来する構成単位の含有割合は、80〜97mol%である。
(ii)成分(A)の特性
(a2)MFR
本発明で用いる成分(A)は、MFRが0.1〜100g/10分であり、好ましくは5〜50g/10分、さらに好ましくは20〜30g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10分未満では、分子量が高すぎて混練時に押出が困難になり、一方、MFRが100g/10分を超えると溶融粘度が低くなりすぎて、取り扱い性に欠けるものとなる。成分(A)のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
(a3)密度
本発明で用いる成分(A)は、密度が0.860〜0.920g/cmであり、好ましくは0.865〜0.915g/cm、さらに好ましくは0.870〜0.900g/cmである。成分(A)の密度が0.860g/cm未満では、加工後のシートがブロッキングしてしまい、一方、密度が0.920g/cmを超えると加工後のシートの剛性が高すぎて、取り扱い性に欠けるものとなる。
ポリマーの密度を調節するには、例えばα−オレフィン含有量、重合温度、触媒量など適宜調節する方法がとられる。なお、成分(A)の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(23℃)。
(a4)ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレン
本発明で用いる成分(A)は、二重結合基であるビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が特定の範囲でなければならない。ここで、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの各個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。
すなわち、本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個(すなわち、0.22個/total 1000C)以上のものを使用する。合計量は、0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.40以上がさらに好ましく、0.50以上が特に好ましい。二重結合の合計量を調整する方法としては適当な触媒の選択、重合温度、コモノマーの種類を適宜調節する方法などが挙げられる。
これらの基は不飽和結合を有することから、エチレン・α−オレフィン共重合体中に合計で0.22個以上存在することにより、架橋性を高めることができる。
ここで、上記二重結合基の合計量、すなわち不飽和結合数は、H−NMR法によって測定することができる。
ポリマー中のビニル、ビニリデン、シス・トランス−ビニレンの合計、三置換−ビニレンは、H−NMRにより測定し、主鎖及び側鎖合計1000個の炭素あたりの個数で求めることができる。
具体的には化学シフト0.4〜2.8ppmの間に現れる飽和アルキル鎖由来のピーク面積と4.7ppm付近のビニリデン由来のピーク面積の比から炭素数1000個当たりのビニリデン数を算出した。なお、ビニルについては4.9ppm付近、三置換ビニレンについては5.2ppm付近、シス及びトランス−ビニレンについては5.4ppm付近の各特性ピークの強度を用いる。
(a5、a6)コモノマーによる分岐数(N)とビニル及びビニリデンの個数(V)との関係
本発明で用いる成分(A)は、コモノマーによる分岐数(N)とビニル及びビニリデンの合計数(V)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):N×V≧10
ここで、分岐数(N)及びビニル、ビニリデンの個数(V)は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数(個/total1000C)である。
なお、ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)は、ポリマー中に含まれる三級炭素の量を示し、NMRで測定した、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数であり、例えばE. W. Hansen, R. Blom, and O. M. Bade, Polymer, 36巻 4295頁(1997年)を参考に13C−NMRスペクトルから算出することができる。 ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)は、製造時のα−オレフィンの添加量、重合温度等の重合条件により調整することができる。本発明のポリマーの分岐数は、好ましくは54≦Nである。この範囲を満たすことで、架橋効率をより高めることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル基及びビニリデン基の個数(V)は、式1を満たす限りにおいて、0.10(個/total 1000C)以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、0.17以上がさらに好ましく、0.2以上が特に好ましい。ビニルとビニリデンの個々の量は、特に制限されないが、例えば、ビニル、ビニリデンは、それぞれ0.05以上が好ましい。
また、ビニルおよびビニリデンの個数は重合温度等の製造条件、又は、コモノマーとしてジエン化合物を用いることで調整することができる。
(iii)成分(A)の重合触媒系及び重合法
本発明で使用される成分(A)の製造に用いられる触媒としては、特に限定されず、従来公知のチーグラー触媒、バナジウム触媒又はメタロセン触媒等を用いることができるが、好ましくはバナジウム触媒又はメタロセン触媒、より好ましくはメタロセン触媒を用いる。
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。特に、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物を使用するのが好ましい。
製造法としては、特に限定されず、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等を用いることができるが、本発明に係る二重結合を調整したエチレン・α−オレフィン共重合体を得るためには150〜330℃の高温で重合を行うことが望ましいため、高圧イオン重合法を利用するのが好ましい(「ポリエチレン技術読本」第4章、松浦一雄・三上尚孝 編著、2001年)。
2.成分(B)
本発明に用いる成分(B)は、微粒子状の無機充填剤であり、より具体的には、平均粒径が1μm以下の無機充填剤である。かかる無機充填剤は、ポリエチレン樹脂の分子鎖運動を抑制させ、電荷の移動を阻害するために用いられる。
無機充填剤の材料は下記のミクロン単位又はナノ単位の一次平均粒子径が得られる材料であれば特に限定されないが、金属酸化物、金属塩、炭素材料などから選択することが可能であり、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられ、シリカ又は酸化マグネシウムが特に好適である。
シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本願発明の特徴の一つは、成分(B)の無機充填剤として平均粒径が1μm以下のものを用いることにある。平均粒径は、太陽電池封止材として必要な透明性等の光学特性を満たすためには、1μm以下、好ましくは0.7μm以下、0.5μm以下がさらに好ましい。一方、樹脂組成物を使用して封止材を形成する際に適度な粘度を有し取り扱い性の良好な封止材を得る観点から、無機充填材の平均粒径は、0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上、0.07μm以上、又は0.1μm以上がさらに好ましい。
無機充填剤の平均粒径とは、一次粒子の平均粒径(一次体積平均粒子径)を言い、無機充填剤の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填剤を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」、「LA−750」、「LA−950」等を使用することができる。
更に、本発明で用いる無機充填剤は、高純度で不純物が少なく、特にイオン不純物、その中でも陰イオン不純物が少ない充填剤を用いると好ましい。
具体的には、純度として、95重量%以上、好ましくは99%重量%以上、更に好ましくは99.5重量%以上、特に好ましくは99.8重量%以上の純度を示す、無機充填剤を用いることが挙げられる。特に、不純物中、特に、SOやSO、Cl等の陰イオン性の不純物含有量が合計で100ppm以下、好ましくは、合計で50ppm以下、更に好ましくは、各々の陰イオン性不純物が、10ppm以下であることが、太陽電池封止材として用いる点で好ましい。
このような純度の高い無機充填剤は、近年の無機充填剤の製造方法の改良によって得られるものであり、具体的には厳選した原料に特別な種々の製造方法の選択及び後処理前処理条件の選択により得られる。
例えば、上記の平均粒径及び高純度を有する無機充填剤の例としては、球状溶融シリカとしては、(株)アドマテックス製「SC2000G−SQV」等が挙げられる。
酸化マグネシウムとしては、タテホ化学工業株式会社製の高純度酸化マグネシウム「PUREMAG(登録商標)FNM−G」が挙げられる。
無機充填剤は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤などの1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業(株)製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填剤の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填剤の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填剤の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填剤の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填剤を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填剤に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、(株)堀場製作所製「EMIA−320V」等を使用することができる。
成分(B)の配合割合は、成分(A)を100重量部としたときに、好ましくは、0.01〜1重量部であり、より好ましくは、0.05〜1重量部である。成分(B)の配合割合が上記範囲より少ないと、ポリエチレン樹脂の分子鎖運動の抑制が十分に行われず、体積抵抗率の改善が見られない。また、上記範囲よりも大きいと、無機充填剤が凝集し、ポリエチレン樹脂中に分散して存在しないため、樹脂の分子鎖運動が抑制されない。
3.成分(C)
本発明における成分(C)の有機過酸化物は、主に成分(A)を架橋するために用いられる。
有機過酸化物としては、分解温度(半減期が1時間である温度)が70〜180℃、特に90〜160℃の有機過酸化物を用いることができる。このような有機過酸化物として、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
成分(C)の配合割合は、成分(A)を100重量部としたときに、好ましくは、0.2〜5重量部であり、より好ましくは、0.5〜3重量部、さらに好ましくは、1〜2重量部である。成分(C)の配合割合が上記範囲よりも少ないと、架橋しないかまたは架橋に時間がかかる。また、上記範囲よりも大きいと、分散が不十分となり架橋度が不均一になりやすい。
4.ヒンダードアミン系光安定化剤
本発明において、樹脂組成物にはヒンダードアミン系光安定化剤を配合することができる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、ポリマーに対して有害なラジカル種を捕捉し、新たなラジカルを発生しないようにするものである。ヒンダードアミン系光安定化剤には、低分子量のものから高分子量のものまで多くの種類の化合物があるが、従来公知のものであれば、特に制限されずに用いることができる。
低分子量のヒンダードアミン系光安定化剤としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキサイド及びオクタンの反応生成物(分子量737)70重量%とポリプロピレン30重量%からなるもの;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(分子量685);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物(分子量509);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量481);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791);テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量847);2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900);1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900)などが挙げられる。
高分子量のヒンダードアミン系光安定化剤としては、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](分子量2,000〜3,100);コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(分子量3,100〜4,000);N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(分子量2,286)と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物;ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)、並びに、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体などが挙げられる。上述したヒンダードアミン系光安定化剤は、一種単独で用いられてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ヒンダードアミン系光安定化剤としては、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](分子量2,000〜3,100);コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(分子量3,100〜4,000);N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(分子量2,286)と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物;ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体を用いるのが好ましい。製品使用時に経時でのヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトが妨げられるからである。また、ヒンダードアミン系光安定化剤は、融点が、60℃以上であるものを用いるのが、組成物の作製しやすさの観点から好ましい。
本発明において、ヒンダードアミン系光安定化剤の含有量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜2.5重量部とし、好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.2重量部、最も好ましくは0.03〜0.1重量部とするのがよい。
前記含有量を0.01重量部以上とすることにより安定化への効果が十分に得られ、2.5重量部以下とすることによりヒンダードアミン系光安定化剤の過剰な添加による樹脂の変色を抑えることができる
また、本発明において、前記有機過酸化物(C)と前記ヒンダードアミン系光安定化剤との重量比を、1:0.01〜1:10とし、好ましくは1:0.02〜1:6.5とする。これにより、樹脂の黄変を顕著に抑制することが可能となる。
5.架橋助剤
また、本発明の樹脂組成物には架橋助剤を配合することができる。架橋助剤は、架橋反応を促進させ、エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度を高めるのに有効であり、その具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物を例示することができる。
より具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。架橋助剤は、成分(A)100重量部に対し、0〜5重量部程度の割合で配合することができる。
6.紫外線吸収剤
本発明の樹脂組成物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、などを挙げることができる。またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤は、成分(A)100重量部に対し0〜2.0重量部配合し、好ましくは0.05〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部、最も好ましくは0.2〜0.4重量部配合するのがよい。
7.シランカップリング剤
本発明の樹脂組成物には、樹脂を改質させる目的でシランカップリング剤を用いることができる。
本発明におけるシランカップリング剤としては、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロルシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
これらのシランカップリング剤は、成分(A)100重量部に対して0〜5重量部使用し、好ましくは0.01〜4重量部、より好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましくは、0.05〜1重量部で使用される。
8.他の添加成分
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、充填剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を挙げることができる。
また、本発明の樹脂組成物には、柔軟性等を付与するため、本発明の目的を損なわない範囲で、潤滑油、チーグラー系又はメタロセン系触媒によって重合された結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体及び/又はEBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー若しくはSEBS、水添スチレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を3〜75重量部配合することもできる。さらに、溶融張力等を付与するため、高圧法低密度ポリエチレンを3〜75重量部配合することもできる。
II.太陽電池封止材及び太陽電池
本発明の太陽電池封止材(以下、単に封止材ともいう)は、上記樹脂組成物をペレット化し、あるいはシート化したものである。この太陽電池封止材を用いれば、太陽電池素子を上下の保護材とともに固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば上部透明保護材/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟む構成のもの、下部基板保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部透明保護材を形成させるような構成のもの、上部透明保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作成したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
太陽電池素子としては、特に制限されず、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。本発明においては、基板としてガラスを用いたものが好ましい。
太陽電池モジュールを構成する上部保護材としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを例示することができる。また、下部保護材としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層の保護材を例示することができる。このような上部及び/又は下部の保護材には、封止材との接着性を高めるためにプライマー処理を施すことができる。本発明においては、上部保護材としてガラスが好ましい。
本発明の太陽電池封止材は、ペレットとして使用してもよいが、通常、0.1〜1mm程度の厚みのシート状に成形して使用される。0.1mmよりも薄いと強度が小さく、接着が不十分となり、1mmよりも厚いと透明性が低下して問題になる場合がある。好ましい厚さは、0.1〜0.8mmである。
シート状太陽電池封止材は、T−ダイ押出機、カレンダー成形機などを使用する公知のシート成形法によって製造することができる。例えばエチレン・α−オレフィン共重合体に、架橋剤を添加し、必要に応じて、ヒンダードアミン系光安定化剤、さらには架橋助剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加剤を予めドライブレンドしてT−ダイ押出機のホッパーから供給し、80〜150℃の押出温度において、シート状に押出成形することによって得ることができる。これらドライブレンドに際して、一部又は全部の添加剤は、マスターバッチの形で使用することができる。またT−ダイ押出やカレンダー成形において、予め非晶性α−オレフィン系共重合体に一部又は全部の添加剤を、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて溶融混合して得た樹脂組成物を使用することもできる。成形されたシートは、容易に保管および輸送するために紙管に巻き取られるが、このときにシート同士が密着(ブロッキングが発生)することがある。ブロッキングが発生してしまうと、次の工程でシートを繰り出して使用する際に、安定して繰り出すことができず、生産性が低下してしまう。
太陽電池モジュールを製造するに当たっては、本発明の封止材のシートを予め作っておき、封止材の樹脂組成物が溶融する温度、例えば150〜200℃で圧着するという方法によって、前記のような構成のモジュールを形成することができる。また本発明の封止材を押出コーティングすることによって太陽電池素子や上部保護材あるいは下部保護材と積層する方法を採用すれば、わざわざシート成形することなく一段階で太陽電池モジュールを製造することが可能である。したがって本発明の封止材を使用すれば、モジュールの生産性を格段に改良することができる。
一方、太陽電池モジュールを製造する際、有機過酸化物が実質的に分解せず、かつ本発明の封止材料が溶融するような温度で、太陽電池素子や保護材に該封止材を仮接着し、次いで昇温して充分な接着とエチレン・α−オレフィン共重合体の架橋を行うこともできる。この場合は、封止材層の融点(DSC法)が85℃以上、150℃の貯蔵弾性率が10Pa以上の耐熱性が良好な太陽電池モジュールを得るために、封止材層におけるゲル分率(試料1gをキシレン100mlに浸漬し、110℃、24時間加熱した後、40メッシュ金網で濾過し未溶融分の質量分率を測定)が50〜98%、好ましくは70〜95%程度になるように架橋するのがよい。
太陽電池素子の封止作業では、太陽電池素子を上記本発明の封止材でカバーした後、有機過酸化物が分解しない程度の温度に数分から10分程度加熱して仮接着し、次に、オーブン内において有機過酸化物が分解する150〜200℃程度の高温で5分から30分間加熱処理して接着させる等の方法がある。
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
1.樹脂物性の評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)
前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度
前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
(3)分岐数および二重結合数
ポリマー中の分岐数(N)は、13C−NMRにより、ビニル、ビニリデン、シス・トランス−ビニレンの合計、三置換−ビニレンは、H−NMRにより、次の条件で測定し、コモノマー量は、主鎖及び側鎖の合計1000個の炭素あたりの個数で求めた。
装置:ブルカー・バイオスピン(株)AVANCE III cryo−400MHz
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン=8/2混合溶液
<試料量>
460mg/2.3ml
13C−NMR>
・1Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
H−NMR>
・積算回数:1400scan
・フリップ角:1.03°
・AQ(取り込み時間)=1.8s D1(待ち時間)=0.01s
2.押出成形物の評価方法
(1)体積抵抗率
厚み0.7mmのプレスシートを10cm×10cmのサイズに裁断し、次の条件にて測定した。
装置:エーディーシー社製 微小電流計R8340A
エーディーシー社製 測定チャンバー12704A
温度:23℃
印加電圧:500V
(2)架橋性・耐熱性(ゲル分率30分/%)
得られたペレットを、150℃−0kg/cmの条件で、1分予熱した後、150℃−100kg/cmの条件で29分加圧(150℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cmの加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmの架橋済シートを作製した。厚み0.7mmのシートのゲル分率で評価した。ゲル分率が高いほど架橋が進行しており、耐熱性が高いと評価できる。ゲル分率が70wt%以上のものを、耐熱性評価「○」とした。尚、ゲル分率は、当該シートを、約1gを切り取り精秤して、キシレン100ccに浸漬し110℃で24時間処理し、ろ過後残渣を乾燥し精秤して、処理前の重量で割りゲル分率を算出する。
(3)機械的強度(最大トルク)
得られたペレットを、90℃−0kg/cmの条件で、3分予熱した後、90℃−100kg/cmの条件で2分加圧(90℃で5分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cmの加圧の条件で、5分間冷却することで、厚み1.5mmの未架橋シートを作製した。該シートを用いて、キュラストメーター7(JSRトレーディング社製)にてトルクカーブ測定を実施した。測定はJIS−K6300−2に準拠し、150℃にて30分間行った。得られたトルクデータの最大値で評価した。
3.使用原料
(1)成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体
下記製造方法により製造したエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−1、PE−2)を実施例および比較例として用いた。また、下記市販のエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−3、PE−4)についても比較例として用いた。物性を表1に示す。
(PE−3):三井化学社製 タフマーA−4085S
(PE−4):DEX Plastomers社製 Exact8230
<エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法>
(i)PE−1、PE−2の重合方法
特開平10−218921号公報に記載された方法で調製した錯体「rac−ジメチルシリレンビスインデニルハフニウムジメチル」0.3mmolと、0.6mmolの「N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート」を30Lのトルエンに溶解して触媒溶液を調製した。
内容積5.0Lの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を80MPaに保ち、エチレンを37wt%、プロピレンを27wt%、1−ヘキセンを36wt%となるように55kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度は180〜230℃の範囲内で適宜調整することで、PE−1、PE−2のエチレン・α−オレフィン共重合体を得た。
(2)成分(B):無機充填剤
平均粒径が1μm以下の無機充填剤として、酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製、PUREMAG(登録商標) FNM−G:一次粒子の平均粒径0.5μm:純度99.99%以上、Clイオン濃度10ppm以下)またはシリカ(アドマテックス社製 SC200G−SQV:一次粒子の平均粒径0.5μm)を用いた。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定したメディアン50%粒径である。
(3)有機過酸化物:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート(アルケマ吉富社製、ルペロックスTBEC)
(4)ヒンダードアミン系光安定剤:コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(BASF社製、TINUVIN 622LD)
(5)紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製、CYTEC UV531)
(6)シランカップリング剤:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)
(7)酸化防止剤:n−オクタデシル−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製、IRGANOX1076)
(実施例1)
ポリエチレン樹脂(PE−1)100重量部に対して、無機充填剤として、酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製、PUREMAG FNM−G)を0.1重量部、有機過酸化物として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネイト(アルケマ吉富社製、TBEC)を1.0重量部、ヒンダードアミン系光安定化剤として、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(BASF社製、TINUVIN 622LD)0.05重量部、紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製 CYTEC UV531)0.3重量部、シランカップリング剤として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)0.3重量部、酸化防止剤として、n−オクダデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製 IRGANOX1076)0.025重量部を配合した。これを十分に混合し、40mmφ単軸押出機を用いて設定温度100℃、押出量(17kg/時)の条件でペレット化した。
得られたペレットを、150℃−0kg/cm2の条件で、3分予熱した後、150℃−100kg/cm2の条件で27分加圧(150℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2の加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmの架橋済みシートを作製した。シートの体積抵抗率、耐熱性、機械的強度を測定、評価した。
(実施例2)
実施例1において、酸化マグネシウムに替えて、シリカ(アドマテックス社製 SC200G−SQV)を用いた以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、PE−1に替えて、PE−2を用いた以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3において、酸化マグネシウムに替えて、シリカ(アドマテックス社製 SC200G−SQV)を用いた以外は、実施例3と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、酸化マグネシウムを配合しない以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例3において、酸化マグネシウムを配合しない以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
比較例1において、PE−1に替えて、PE−3を用いた以外は、比較例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
比較例1において、PE−1に替えて、PE−4を用いた以外は、比較例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006736946
(評価)
この結果、表1から明らかなように、実施例1〜4では、本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いているために、これを押出成形して得られたシートは、架橋特性がよく、耐熱性、絶縁性に優れている。
これに対して、比較例1、2では、架橋特性、耐熱性は良いものの、体積抵抗率が低く絶縁性は低い。また、比較例3、4では耐熱性あるいは機械強度が低く、かつ体積抵抗率も低いことから、耐候性が低い結果となった。
本発明の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物は高い絶縁性および、架橋特性が良く高い耐熱性を持ち、しかも機械強度等に優れるので太陽電池封止材として好ましく利用される。

Claims (8)

  1. 下記の成分(A)及び成分(B)を含有することを特徴とし、かつ温度23℃、印加電圧500Vで測定される体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上である、太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物であって、
    成分(A):下記(a1)〜(a3)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
    (a1)前記エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して、エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜97mol%であるとともに、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3〜20mol%
    (a2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
    (a3)密度が0.860〜0.920g/cm
    成分(B):平均粒径が1μm以下であることを特徴とする無機充填剤(ただし、受酸剤を除く)
    前記成分(B)の含有量が、前記成分(A)100重量部に対して、0.01〜1重量部であり、前記無機充填剤がシリカである、太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
  2. 前記成分(A)が、さらに下記特性(a4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
    (a4)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、及び三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個以上
    (ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの各個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
  3. 前記成分(A)が、さらに下記特性(a5)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
    (a5)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計量(V)が下記式(1)の関係を満たす。
    式(1):N×V≧10
    (ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
  4. 前記成分(A)が、さらに下記(a6)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
    (a6)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(2)の関係を満たす。
    式(2):54≦N
    (ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
  5. さらに、下記成分(C)を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
    成分(C):有機過酸化物
  6. 前記成分(C)の含有量が、前記成分(A)100重量部に対して、0.2〜5重量部であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物を用いた太陽電池封止材。
  8. 請求項7に記載の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュール。
JP2016067902A 2016-03-30 2016-03-30 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール Active JP6736946B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016067902A JP6736946B2 (ja) 2016-03-30 2016-03-30 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016067902A JP6736946B2 (ja) 2016-03-30 2016-03-30 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017183479A JP2017183479A (ja) 2017-10-05
JP6736946B2 true JP6736946B2 (ja) 2020-08-05

Family

ID=60007727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016067902A Active JP6736946B2 (ja) 2016-03-30 2016-03-30 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6736946B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200354551A1 (en) * 2017-12-12 2020-11-12 Japan Polyethylene Corporation Polyethylene resin composition for lamination, laminate, and laminate production method
JP7331354B2 (ja) * 2018-12-10 2023-08-23 日本ポリエチレン株式会社 積層体
JP7293789B2 (ja) * 2019-03-26 2023-06-20 日本ポリエチレン株式会社 積層体
CN113795929A (zh) * 2019-03-29 2021-12-14 陶氏环球技术有限责任公司 具有包括经疏水性处理的烟雾状二氧化硅的膜层的光伏模块
KR102389719B1 (ko) * 2020-04-16 2022-04-25 주식회사 엘지화학 에틸렌/알파-올레핀 공중합체를 포함하는 봉지재 필름용 조성물 및 이를 포함하는 봉지재 필름
JP7258411B2 (ja) * 2020-04-16 2023-04-17 エルジー・ケム・リミテッド エチレン/α-オレフィン共重合体を含む封止材フィルム用組成物およびそれを含む封止材フィルム
WO2024043462A1 (ko) * 2022-08-25 2024-02-29 주식회사 엘지화학 봉지재 필름용 조성물 및 이를 포함하는 봉지재 필름

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104334631B (zh) * 2012-06-14 2017-06-13 三井化学东赛璐株式会社 太阳能电池密封材及太阳能电池模块
JP2014150246A (ja) * 2013-01-08 2014-08-21 Sumitomo Chemical Co Ltd 太陽電池用封止シート
US9587094B2 (en) * 2013-02-15 2017-03-07 Japan Polyethylene Corporation Resin composition for solar cell encapsulant, and solar cell encapsulant and solar cell module using the same
JP6428199B2 (ja) * 2013-11-26 2018-11-28 日本ポリエチレン株式会社 太陽電池封止材用樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール
JP6314535B2 (ja) * 2014-02-27 2018-04-25 大日本印刷株式会社 太陽電池モジュール
WO2015199029A1 (ja) * 2014-06-27 2015-12-30 三井化学東セロ株式会社 太陽電池封止材用樹脂組成物、太陽電池封止材および太陽電池モジュール
CN104178042B (zh) * 2014-08-27 2016-08-24 乐凯胶片股份有限公司 一种太阳能电池组件密封胶膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017183479A (ja) 2017-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6736946B2 (ja) 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール
JP6428199B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール
JP5688441B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP6394327B2 (ja) 架橋用エチレン・α−オレフィン共重合体、架橋性樹脂組成物、及びそれを用いた架橋体
JP5539063B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール
WO2011162324A1 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材と太陽電池モジュール
JP6269329B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール
WO2010114028A1 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、太陽電池封止材及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP5636221B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP5800053B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール
JP5519409B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂シート
JP2015211189A (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール
JP5417534B2 (ja) 太陽電池封止材、及びそれを用いた太陽電池モジュール
JP2013139558A (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール
JP5821341B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材
JP5854073B2 (ja) 太陽電池封止材用シートの製造方法、それを用いた太陽電池モジュール
JP2017110221A (ja) ポリエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール
JP5560099B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP2010258440A (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP5530828B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物の製造方法
JP5539064B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール
JP5824902B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材と太陽電池モジュール
JP5542566B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物
JP5800054B2 (ja) 太陽電池封止材用樹脂組成物、及びそれを用いた太陽電池封止材、太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200324

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200519

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200616

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200629

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6736946

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250