JP6736946B2 - 太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物、並びにそれを用いた太陽電池封止材及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
成分(A):下記(a1)〜(a3)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
(a1)前記エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対してエチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜97mol%であるとともに、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3〜20mol%
(a2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
(a3)密度が0.860〜0.920g/cm3
成分(B):平均粒径が1μm以下であることを特徴とする無機充填剤
(a4)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個以上
(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの各個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(a5)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計量(V)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):N×V≧10
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(a6)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(2)の関係を満たす。
式(2):54≦N
(ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
成分(C):有機過酸化物
以下、本発明において用いられる各成分、得られる樹脂組成物、それを用いた太陽電池封止材等について詳細に説明する。
本発明の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)は、下記の成分(A)であるエチレン・α−オレフィン共重合体および成分(B)である無機充填剤を含有し、かつ温度23℃、印加電圧500Vで測定される体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上であることを特徴とする。
本発明に用いる成分(A)は、エチレンとα−オレフィンの1種以上を共重合してなり、下記(a1)〜(a3)の特性を満たし、さらに好ましくは(a4)〜(a6)の特性を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体である。
(a1)前記エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して、エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜97mol%であるとともに、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3〜20mol%
(a2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
(a3)密度が0.860〜0.920g/cm3
(a4)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個(すなわち、0.22個/total 1000C)以上
(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(a5)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計量(V)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):N×V≧10
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
(a6)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(2)の関係を満たす。
式(2):54≦N
(ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。)
本発明に使用される成分(A)であるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜20であり、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体等が挙げられる。なかでも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体が好ましい。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン三元共重合体等が挙げられる。
コモノマーとして、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、及び1,9−デカジエン等のジエン化合物を、α−オレフィンに少量配合してもよい。これらのジエン化合物を配合すると、長鎖分岐ができるので、エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶性を低下させ、柔軟性、接着性等が良くなり、分子間の架橋剤ともなるので、機械的強度が増加する。また長鎖分岐の末端基は、不飽和基であるから、有機過酸化物による架橋反応や、酸無水物基含有化合物若しくはエポキシ基含有化合物との共重合反応やグラフト反応を容易におこすことができる。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、そのα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して3〜20mol%であり、好ましくは、12〜15mol%である。この範囲であれば、シート等の柔軟性と架橋後の耐熱性が良好になる。α−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3mol%を下回ると、ポリエチレンの柔軟性が悪化することがある。一方、20mol%を上回ると、ポリエチレンの軟化点が下がりすぎるため、得られたシート等のブロッキングが悪くなり、取り扱い性に欠けるものとなる。したがって、エチレン・α−オレフィン共重合体に対するエチレンに由来する構成単位の含有割合は、80〜97mol%である。
(a2)MFR
本発明で用いる成分(A)は、MFRが0.1〜100g/10分であり、好ましくは5〜50g/10分、さらに好ましくは20〜30g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10分未満では、分子量が高すぎて混練時に押出が困難になり、一方、MFRが100g/10分を超えると溶融粘度が低くなりすぎて、取り扱い性に欠けるものとなる。成分(A)のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
本発明で用いる成分(A)は、密度が0.860〜0.920g/cm3であり、好ましくは0.865〜0.915g/cm3、さらに好ましくは0.870〜0.900g/cm3である。成分(A)の密度が0.860g/cm3未満では、加工後のシートがブロッキングしてしまい、一方、密度が0.920g/cm3を超えると加工後のシートの剛性が高すぎて、取り扱い性に欠けるものとなる。
ポリマーの密度を調節するには、例えばα−オレフィン含有量、重合温度、触媒量など適宜調節する方法がとられる。なお、成分(A)の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(23℃)。
本発明で用いる成分(A)は、二重結合基であるビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が特定の範囲でなければならない。ここで、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの各個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。
すなわち、本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個(すなわち、0.22個/total 1000C)以上のものを使用する。合計量は、0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.40以上がさらに好ましく、0.50以上が特に好ましい。二重結合の合計量を調整する方法としては適当な触媒の選択、重合温度、コモノマーの種類を適宜調節する方法などが挙げられる。
これらの基は不飽和結合を有することから、エチレン・α−オレフィン共重合体中に合計で0.22個以上存在することにより、架橋性を高めることができる。
ポリマー中のビニル、ビニリデン、シス・トランス−ビニレンの合計、三置換−ビニレンは、1H−NMRにより測定し、主鎖及び側鎖合計1000個の炭素あたりの個数で求めることができる。
具体的には化学シフト0.4〜2.8ppmの間に現れる飽和アルキル鎖由来のピーク面積と4.7ppm付近のビニリデン由来のピーク面積の比から炭素数1000個当たりのビニリデン数を算出した。なお、ビニルについては4.9ppm付近、三置換ビニレンについては5.2ppm付近、シス及びトランス−ビニレンについては5.4ppm付近の各特性ピークの強度を用いる。
本発明で用いる成分(A)は、コモノマーによる分岐数(N)とビニル及びビニリデンの合計数(V)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1):N×V≧10
ここで、分岐数(N)及びビニル、ビニリデンの個数(V)は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数(個/total1000C)である。
また、ビニルおよびビニリデンの個数は重合温度等の製造条件、又は、コモノマーとしてジエン化合物を用いることで調整することができる。
本発明で使用される成分(A)の製造に用いられる触媒としては、特に限定されず、従来公知のチーグラー触媒、バナジウム触媒又はメタロセン触媒等を用いることができるが、好ましくはバナジウム触媒又はメタロセン触媒、より好ましくはメタロセン触媒を用いる。
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。特に、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物を使用するのが好ましい。
製造法としては、特に限定されず、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等を用いることができるが、本発明に係る二重結合を調整したエチレン・α−オレフィン共重合体を得るためには150〜330℃の高温で重合を行うことが望ましいため、高圧イオン重合法を利用するのが好ましい(「ポリエチレン技術読本」第4章、松浦一雄・三上尚孝 編著、2001年)。
本発明に用いる成分(B)は、微粒子状の無機充填剤であり、より具体的には、平均粒径が1μm以下の無機充填剤である。かかる無機充填剤は、ポリエチレン樹脂の分子鎖運動を抑制させ、電荷の移動を阻害するために用いられる。
無機充填剤の材料は下記のミクロン単位又はナノ単位の一次平均粒子径が得られる材料であれば特に限定されないが、金属酸化物、金属塩、炭素材料などから選択することが可能であり、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられ、シリカ又は酸化マグネシウムが特に好適である。
シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤の平均粒径とは、一次粒子の平均粒径(一次体積平均粒子径)を言い、無機充填剤の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填剤を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製「LA−500」、「LA−750」、「LA−950」等を使用することができる。
具体的には、純度として、95重量%以上、好ましくは99%重量%以上、更に好ましくは99.5重量%以上、特に好ましくは99.8重量%以上の純度を示す、無機充填剤を用いることが挙げられる。特に、不純物中、特に、SO4やSO3、Cl等の陰イオン性の不純物含有量が合計で100ppm以下、好ましくは、合計で50ppm以下、更に好ましくは、各々の陰イオン性不純物が、10ppm以下であることが、太陽電池封止材として用いる点で好ましい。
このような純度の高い無機充填剤は、近年の無機充填剤の製造方法の改良によって得られるものであり、具体的には厳選した原料に特別な種々の製造方法の選択及び後処理前処理条件の選択により得られる。
例えば、上記の平均粒径及び高純度を有する無機充填剤の例としては、球状溶融シリカとしては、(株)アドマテックス製「SC2000G−SQV」等が挙げられる。
酸化マグネシウムとしては、タテホ化学工業株式会社製の高純度酸化マグネシウム「PUREMAG(登録商標)FNM−G」が挙げられる。
本発明における成分(C)の有機過酸化物は、主に成分(A)を架橋するために用いられる。
有機過酸化物としては、分解温度(半減期が1時間である温度)が70〜180℃、特に90〜160℃の有機過酸化物を用いることができる。このような有機過酸化物として、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
本発明において、樹脂組成物にはヒンダードアミン系光安定化剤を配合することができる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、ポリマーに対して有害なラジカル種を捕捉し、新たなラジカルを発生しないようにするものである。ヒンダードアミン系光安定化剤には、低分子量のものから高分子量のものまで多くの種類の化合物があるが、従来公知のものであれば、特に制限されずに用いることができる。
前記含有量を0.01重量部以上とすることにより安定化への効果が十分に得られ、2.5重量部以下とすることによりヒンダードアミン系光安定化剤の過剰な添加による樹脂の変色を抑えることができる
また、本発明において、前記有機過酸化物(C)と前記ヒンダードアミン系光安定化剤との重量比を、1:0.01〜1:10とし、好ましくは1:0.02〜1:6.5とする。これにより、樹脂の黄変を顕著に抑制することが可能となる。
また、本発明の樹脂組成物には架橋助剤を配合することができる。架橋助剤は、架橋反応を促進させ、エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋度を高めるのに有効であり、その具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多不飽和化合物を例示することができる。
より具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。架橋助剤は、成分(A)100重量部に対し、0〜5重量部程度の割合で配合することができる。
本発明の樹脂組成物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤は、成分(A)100重量部に対し0〜2.0重量部配合し、好ましくは0.05〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部、最も好ましくは0.2〜0.4重量部配合するのがよい。
本発明の樹脂組成物には、樹脂を改質させる目的でシランカップリング剤を用いることができる。
本発明におけるシランカップリング剤としては、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロルシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましくは、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
これらのシランカップリング剤は、成分(A)100重量部に対して0〜5重量部使用し、好ましくは0.01〜4重量部、より好ましくは0.01〜2重量部、さらに好ましくは、0.05〜1重量部で使用される。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、充填剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を挙げることができる。
本発明の太陽電池封止材(以下、単に封止材ともいう)は、上記樹脂組成物をペレット化し、あるいはシート化したものである。この太陽電池封止材を用いれば、太陽電池素子を上下の保護材とともに固定することにより太陽電池モジュールを製作することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば上部透明保護材/封止材/太陽電池素子/封止材/下部保護材のように太陽電池素子の両側から封止材で挟む構成のもの、下部基板保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子上に封止材と上部透明保護材を形成させるような構成のもの、上部透明保護材の内周面上に形成させた太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作成したものの上に封止材と下部保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
(1)メルトフローレート(MFR)
前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度
前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
ポリマー中の分岐数(N)は、13C−NMRにより、ビニル、ビニリデン、シス・トランス−ビニレンの合計、三置換−ビニレンは、1H−NMRにより、次の条件で測定し、コモノマー量は、主鎖及び側鎖の合計1000個の炭素あたりの個数で求めた。
装置:ブルカー・バイオスピン(株)AVANCE III cryo−400MHz
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン=8/2混合溶液
<試料量>
460mg/2.3ml
<13C−NMR>
・1Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
<1H−NMR>
・積算回数:1400scan
・フリップ角:1.03°
・AQ(取り込み時間)=1.8s D1(待ち時間)=0.01s
(1)体積抵抗率
厚み0.7mmのプレスシートを10cm×10cmのサイズに裁断し、次の条件にて測定した。
装置:エーディーシー社製 微小電流計R8340A
エーディーシー社製 測定チャンバー12704A
温度:23℃
印加電圧:500V
得られたペレットを、150℃−0kg/cm2の条件で、1分予熱した後、150℃−100kg/cm2の条件で29分加圧(150℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2の加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmの架橋済シートを作製した。厚み0.7mmのシートのゲル分率で評価した。ゲル分率が高いほど架橋が進行しており、耐熱性が高いと評価できる。ゲル分率が70wt%以上のものを、耐熱性評価「○」とした。尚、ゲル分率は、当該シートを、約1gを切り取り精秤して、キシレン100ccに浸漬し110℃で24時間処理し、ろ過後残渣を乾燥し精秤して、処理前の重量で割りゲル分率を算出する。
(3)機械的強度(最大トルク)
得られたペレットを、90℃−0kg/cm2の条件で、3分予熱した後、90℃−100kg/cm2の条件で2分加圧(90℃で5分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2の加圧の条件で、5分間冷却することで、厚み1.5mmの未架橋シートを作製した。該シートを用いて、キュラストメーター7(JSRトレーディング社製)にてトルクカーブ測定を実施した。測定はJIS−K6300−2に準拠し、150℃にて30分間行った。得られたトルクデータの最大値で評価した。
(1)成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体
下記製造方法により製造したエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−1、PE−2)を実施例および比較例として用いた。また、下記市販のエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−3、PE−4)についても比較例として用いた。物性を表1に示す。
(PE−3):三井化学社製 タフマーA−4085S
(PE−4):DEX Plastomers社製 Exact8230
(i)PE−1、PE−2の重合方法
特開平10−218921号公報に記載された方法で調製した錯体「rac−ジメチルシリレンビスインデニルハフニウムジメチル」0.3mmolと、0.6mmolの「N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート」を30Lのトルエンに溶解して触媒溶液を調製した。
内容積5.0Lの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を80MPaに保ち、エチレンを37wt%、プロピレンを27wt%、1−ヘキセンを36wt%となるように55kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記触媒溶液を連続的に供給し、重合温度は180〜230℃の範囲内で適宜調整することで、PE−1、PE−2のエチレン・α−オレフィン共重合体を得た。
平均粒径が1μm以下の無機充填剤として、酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製、PUREMAG(登録商標) FNM−G:一次粒子の平均粒径0.5μm:純度99.99%以上、Clイオン濃度10ppm以下)またはシリカ(アドマテックス社製 SC200G−SQV:一次粒子の平均粒径0.5μm)を用いた。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定したメディアン50%粒径である。
(4)ヒンダードアミン系光安定剤:コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(BASF社製、TINUVIN 622LD)
(5)紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製、CYTEC UV531)
(6)シランカップリング剤:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)
(7)酸化防止剤:n−オクタデシル−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製、IRGANOX1076)
ポリエチレン樹脂(PE−1)100重量部に対して、無機充填剤として、酸化マグネシウム(タテホ化学工業社製、PUREMAG FNM−G)を0.1重量部、有機過酸化物として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネイト(アルケマ吉富社製、TBEC)を1.0重量部、ヒンダードアミン系光安定化剤として、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(BASF社製、TINUVIN 622LD)0.05重量部、紫外線吸収剤として、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(サンケミカル社製 CYTEC UV531)0.3重量部、シランカップリング剤として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM503)0.3重量部、酸化防止剤として、n−オクダデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製 IRGANOX1076)0.025重量部を配合した。これを十分に混合し、40mmφ単軸押出機を用いて設定温度100℃、押出量(17kg/時)の条件でペレット化した。
得られたペレットを、150℃−0kg/cm2の条件で、3分予熱した後、150℃−100kg/cm2の条件で27分加圧(150℃で30分間プレス成形)し、その後、30℃に設定された冷却プレスに100kg/cm2の加圧の条件で、10分間冷却することで、厚み0.7mmの架橋済みシートを作製した。シートの体積抵抗率、耐熱性、機械的強度を測定、評価した。
実施例1において、酸化マグネシウムに替えて、シリカ(アドマテックス社製 SC200G−SQV)を用いた以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例1において、PE−1に替えて、PE−2を用いた以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例3において、酸化マグネシウムに替えて、シリカ(アドマテックス社製 SC200G−SQV)を用いた以外は、実施例3と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例1において、酸化マグネシウムを配合しない以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例3において、酸化マグネシウムを配合しない以外は、実施例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
比較例1において、PE−1に替えて、PE−3を用いた以外は、比較例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
比較例1において、PE−1に替えて、PE−4を用いた以外は、比較例1と同様にシートを作製した。評価結果を表1に示す。
この結果、表1から明らかなように、実施例1〜4では、本発明のポリエチレン樹脂組成物を用いているために、これを押出成形して得られたシートは、架橋特性がよく、耐熱性、絶縁性に優れている。
これに対して、比較例1、2では、架橋特性、耐熱性は良いものの、体積抵抗率が低く絶縁性は低い。また、比較例3、4では耐熱性あるいは機械強度が低く、かつ体積抵抗率も低いことから、耐候性が低い結果となった。
Claims (8)
- 下記の成分(A)及び成分(B)を含有することを特徴とし、かつ温度23℃、印加電圧500Vで測定される体積抵抗率が1.0×1016Ω・cm以上である、太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物であって、
成分(A):下記(a1)〜(a3)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
(a1)前記エチレン・α−オレフィン共重合体全体に対して、エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜97mol%であるとともに、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が3〜20mol%
(a2)MFR(190℃、21.18N荷重)が0.1〜100g/10分
(a3)密度が0.860〜0.920g/cm3
成分(B):平均粒径が1μm以下であることを特徴とする無機充填剤(ただし、受酸剤を除く)
前記成分(B)の含有量が、前記成分(A)100重量部に対して、0.01〜1重量部であり、前記無機充填剤がシリカである、太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。 - 前記成分(A)が、さらに下記特性(a4)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
(a4)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、及び三置換−ビニレンの合計量が、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたり0.22個以上
(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換−ビニレンの各個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。) - 前記成分(A)が、さらに下記特性(a5)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
(a5)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計量(V)が下記式(1)の関係を満たす。
式(1):N×V≧10
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。) - 前記成分(A)が、さらに下記(a6)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
(a6)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)が、下記式(2)の関係を満たす。
式(2):54≦N
(ただし、Nは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である。) - さらに、下記成分(C)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
成分(C):有機過酸化物 - 前記成分(C)の含有量が、前記成分(A)100重量部に対して、0.2〜5重量部であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池封止材用ポリエチレン樹脂組成物を用いた太陽電池封止材。
- 請求項7に記載の太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュール。
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