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JP6718705B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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JP6718705B2 JP2016050946A JP2016050946A JP6718705B2 JP 6718705 B2 JP6718705 B2 JP 6718705B2 JP 2016050946 A JP2016050946 A JP 2016050946A JP 2016050946 A JP2016050946 A JP 2016050946A JP 6718705 B2 JP6718705 B2 JP 6718705B2
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Description

本発明は、毛髪化粧料に関する。
肌に適用する乳化剤等の化粧料や、ヘアリンス、ヘアコンディショナー等の毛髪化粧料は、カチオン界面活性剤や高級アルコールを主成分とし、滑らかさやしっとり感、さらさら感を付与することで肌や毛髪表面の状態を整えるために用いられている。特許文献1〜3には、カチオン界面活性剤、脂肪族アルコール等を配合した、使用後のさらさら感、滑らかさ等に優れる化粧料が開示されている。
特開2013−184980号公報 特表2008−543952号公報 特表2010−528101号公報
近年、ヘアカラー、パーマ等の化学施術に加え、若年層の女性を中心に習慣化してきているヘアアイロン、ドライヤー等の熱を利用したヘアセット等による毛髪のダメージが深刻化している。毛髪のダメージは、毛髪表面を覆う脂肪酸である18−メチルエイコサン酸(18−MEA)の喪失を伴い、毛髪表面の親水化と共に、表面摩擦の増大を引き起こす。ダメージを受けて親水化した毛髪では、滑らかさが失われるだけでなく、洗髪した後に乾きにくくなり、ドライヤー等による乾燥に長い時間を要することになり、消費者の体力的負担になっている。また、濡れているダメージ毛は絡まりやすく、ドライヤー等による乾燥中に生じる引っ掛かりは更なるダメージの蓄積と消費者の心理的負担になっている。
この点、前述の特許文献1には、特定のアミドアミン化合物が酸で中和されており、肌にさらさら感を与える化粧料配合物が記載されている。また、同文献には、化粧料配合物をエマルジョンとすることが記載されている。
また、特許文献2および3においても、カチオン性界面活性剤と高級アルコールとをそれぞれ特定量用いてゲルマトリックスを形成した場合に毛髪に対するコンディショニング効果が優れることが記載されている。
しかし、これらの文献に具体的に開示された組成物は、いずれも肌または毛髪表面の状態を整えるために適用されるものである。従って、特許文献1〜3には、いずれも、毛髪に化粧料を適用した後の乾燥の速さに関しては全く示唆されていない。
従って本発明は、毛髪に適用した後洗い流すことにより、濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができることに加え、塗布時の滑らかさ、すすぎ時の滑らかさを毛髪に付与できる毛髪化粧料を提供する。
洗髪後の毛髪の乾燥速度を高める因子としては、「毛髪のばらけ」が重要である。すなわち、濡れた毛髪がばらけることによって、タオルドライ時にはタオルとの接触面積が増大して毛髪の水分がタオルに速く吸収されやすくなる。また、濡れた毛髪がばらけることによってドライヤー乾燥時、自然乾燥時等の乾燥時に、毛髪と空気との接触面積が増大して毛髪の水分が速く蒸散しやすくなる。
本発明者は、ヘアリンス、ヘアコンディショナー等の洗い流すタイプの毛髪化粧料において、特定のアミドアミンと特定の脂肪族アルコールまたは脂肪酸とを組み合わせて用いるとともに、アミドアミンと脂肪族アルコールおよび脂肪酸の総量とのモル比を特定の範囲とすることによって、すすぎ時に毛髪化粧料が毛髪上に均一に吸着し、毛髪化粧料の適用後の濡れ髪が極めてばらけやすくなり、絡まりなく乾燥速度を飛躍的に向上させることができ、さらに塗布時の滑らかさ、すすぎ時の滑らかさを毛髪に付与し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、毛髪に適用した後洗い流して使用される毛髪化粧料であって、次の成分(A)および(B)ならびに水を含有し、当該毛髪化粧料中の前記成分(A)の含有量に対する前記成分(B)の総含有量のモル比((B)/(A))が0.50以上3.0未満である、毛髪化粧料を提供するものである。
(A)下記一般式(1)で表されるアミドアミンの塩酸塩:
Figure 0006718705
〔上記一般式(1)中、R1は炭素数11以上21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2は炭素数2以上4以下の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、R3およびR4は独立して、炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示す。〕
(B)炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールおよび炭素数12以上22以下の脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1種
また、本発明は、上記本発明における毛髪化粧料を毛髪に適用し、水で洗い流す、毛髪化粧料の使用方法を提供するものである。
本発明によれば、毛髪に適用した後洗い流すことにより、濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができることに加え、塗布時の滑らかさ、すすぎ時の滑らかさを毛髪に付与できる毛髪化粧料を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、各成分の具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて毛髪化粧料中に含ませることができる。
〔成分(A)〕
成分(A)は、下記一般式(1)で表されるアミドアミンの塩酸塩である。
Figure 0006718705
〔上記一般式(1)中、R1は炭素数11以上21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2は炭素数2以上4以下の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、R3およびR4は独立して、炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示す。〕
一般式(1)中のR1は、炭素数11以上21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基であり、毛髪の速乾性およびすすぎ時の滑らかさを高める観点から、好ましくは炭素数13以上、より好ましくは15以上、さらに好ましくは17以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基であり、また、塗布時の滑らかさを高める観点から、好ましくは21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基である。
一般式(1)中、R2は、炭素数2以上4以下の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、毛髪の速乾性を高める観点から、好ましくはエチレン基またはトリメチレン基である。
また、一般式(1)中のR3およびR4は独立して、炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示し、毛髪の速乾性を高める観点から、好ましくはメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基およびヒドロキシプロピル基からなる群から選択される基であり、より好ましくはメチル基である。
成分(A)は、毛髪の速乾性を高める観点から、好ましくはパルミタミドプロピルジメチルアミン塩酸塩、ステアラミドプロピルジメチルアミン塩酸塩、ベヘナミドプロピルジメチルアミン塩酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩からなる群から選択される1種以上である。
成分(A)のアミドアミンの塩酸塩は、アミドアミン化合物を塩酸と反応させて得ることができ、さらに具体的には、一般式(1)からHClを除いた化合物を塩酸と反応させて得ることができる。
また、本実施形態において、毛髪化粧料中に成分(A)が含まれていればよく、成分(A)があらかじめ塩として毛髪化粧料中に配合されてもよいし、アミドアミン化合物と塩酸とが個別に配合されて毛髪化粧料中で成分(A)の塩が形成されてもよい。
毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、毛髪化粧料全体に対して好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、さらにより好ましくは3質量%以上である。また、毛髪化粧料の適用時の毛髪化粧料の塗り広げ易さを高める観点から、毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、毛髪化粧料全体に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下、さらにより好ましくは6質量%以下である。
〔成分(B)〕
成分(B)は、炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールおよび炭素数12以上22以下の脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1種である。このうち、炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールとしては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
5−CH2−OH (2)
〔上記一般式(2)中、R5は炭素数11以上21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示す。〕
一般式(2)において、R5の炭素数は、毛髪の速乾性と塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさとの効果のバランスを高める観点から、好ましくは13以上であり、より好ましくは15以上であり、また、好ましくは19以下であり、より好ましくは17以下である。R5は、上記と同様の観点から、直鎖のアルキル基が好ましい。
成分(B)の炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールの具体例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノールが挙げられる。これらのうち、毛髪化粧料で処理した毛髪の塗布時およびすすぎ時の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、成分(B)は、好ましくはステアリルアルコール、セチルアルコールおよびミリスチルアルコールからなる群から選択される1種または2種以上であり、さらに好ましくは、ステアリルアルコールおよびセチルアルコールから選択される1種または2種である。
また、成分(B)のうち、炭素数12以上22以下の脂肪酸としては、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
6−CO−OH (3)
〔上記一般式(3)中、R6は炭素数11以上21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示す。〕
一般式(3)において、R6の炭素数は、毛髪の速乾性と塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさとの効果のバランスを高める観点から、好ましくは13以上であり、より好ましくは15以上であり、また、好ましくは19以下であり、より好ましくは17以下である。R6は、上記と同様の観点から、直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
成分(B)の炭素数12以上22以下の脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸等が挙げられる。これらのうち、毛髪化粧料で処理した毛髪の塗布時およびすすぎ時の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸およびベヘン酸からなる群から選択される1種または2種以上である。
本実施形態において、毛髪化粧料は、成分(B)として、炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールと炭素数12以上22以下の脂肪酸を、いずれか一方で、または両方を組み合わせて含むことができる。
成分(B)が炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールと脂肪酸との両方を含む場合、毛髪化粧料中の炭素数12以上22以下の脂肪酸の含有量に対する炭素数12以上22以下の脂肪族アルコール酸の含有量のモル比((脂肪族アルコール)/(脂肪酸))は、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上であり、また、好ましくは80以下であり、より好ましくは60以下、さらに好ましくは40以下、さらにより好ましくは20以下である。
また、成分(B)における炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールと脂肪酸との組み合わせとしては、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、好ましくは、ステアリルアルコール、セチルアルコールおよびミリスチルアルコールからなる群から選択される1種または2種以上の脂肪族アルコールと、パルミチン酸、ステアリン酸およびベヘン酸からなる群から選択される1種または2種以上の脂肪酸との組合せである。
本実施形態の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の総含有量のモル比((B)/(A))は、すすぎ時に毛髪化粧料が毛髪上に均一に吸着し、毛髪化粧料の適用後の濡れ髪が極めてばらけやすくなり、毛髪の乾燥を速める観点、および、塗布時およびすすぎ時の毛髪に滑らかさを付与する観点から、0.50以上であり、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.70以上、さらにより好ましくは1.0以上、殊更好ましくは1.5以上、殊更好ましくは1.8以上であり、また、3.0未満であり、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下、さらに好ましくは2.7以下である。
また、本実施形態の毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、毛髪化粧料全体に対して好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、さらにより好ましくは5質量%以上である。また、適用時の塗り広げやすさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、毛髪化粧料全体に対して好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
〔水〕
本実施形態の毛髪化粧料は、媒体として水を含有する。毛髪化粧料中の水の含有量は、たとえば毛髪化粧料中の成分(A)、(B)およびその他の成分の残部となる。また、水の含有量は、毛髪化粧料全体に対し、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上であり、また、好ましくは99.4質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下、さらにより好ましくは96質量%以下である。
本実施形態における毛髪化粧料は、前述した成分(A)、(B)および水以外の成分を含んでもよい。
たとえば、毛髪化粧料は、以下の成分(C)または(D)をさらに含有することができる。
〔成分(C)〕
成分(C)は、シリコーンである。
成分(C)の具体例としては、ジメチルポリシロキサン(以下、ジメチコンともいう。)、環状シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリシドール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられ、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、好ましくは、ジメチルポリシロキサンおよびアミノ変性シリコーンからなる群から選択される1種または2種以上である。
また、成分(C)のシリコーンの動粘度は、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、好ましくは150万mm2/s以下であり、より好ましくは100万mm2/s以下、さらに好ましくは80万mm2/s以下、さらにより好ましくは50万mm2/s以下である。また、成分(C)のシリコーンの動粘度は、毛髪の滑らかさを向上させる観点から、好ましくは0.5mm2/s以上であり、より好ましくは1mm2/s以上であり、さらに好ましくは5mm2/s以上である。
また、毛髪の乾燥速度を高める効果と、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさを得る効果とのバランスを高める観点から、成分(C)が、重量平均分子量が10万以上500万以下のシリコーンと、重量平均分子量が50以上8万以下のシリコーンとを含むことが好ましい。
本明細書において、成分(C)の動粘度は、ASTM D 445−46T(JIS Z 8803でも可。)によるウベローデ粘度計により測定された25℃における動粘度をいうものとする。また、成分(C)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいうものとする。
本実施形態の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量に対する成分(C)の含有量の質量比((C)/(A))は、乾燥中の毛髪間の接着を抑制し、ばらけを促進して乾燥時間を短縮し、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪に滑らかな感触を付与する観点から、好ましくは1.0未満であり、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下である。また、乾燥中の毛髪間の接着を抑制し、毛髪表面の撥水効果を高め、濡れた毛髪を速く乾かすという観点から、上記質量比((C)/(A))は、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上である。
また、毛髪化粧料中の成分(C)の含有量に対する成分(A)および(B)の含有量の合計の質量比([(A)+(B)]/(C))は、毛髪間の接着を抑制し、塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさを高める観点から、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.75以上、さらに好ましくは1.0以上、さらにより好ましくは1.5以上、殊更好ましくは2.0以上、さらにまた好ましくは2.5以上、よりいっそう好ましくは3.0以上、殊更好ましくは6以上、殊更好ましくは8以上である。また、毛髪の速乾性能および乾燥中の毛髪を絡まりにくくする効果を高める観点から、上記質量比([(A)+(B)]/(C))は、好ましくは100以下であり、より好ましくは75以下、さらに好ましくは50以下、さらにより好ましくは30以下、殊更好ましくは20以下、殊更好ましくは15以下である。
また、本実施形態の毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、乾燥中の毛髪間の接着を抑制し、ばらけを促進して乾燥時間を速め、毛髪化粧料の塗布時およびすすぎ時の毛髪に滑らかな感触を付与する観点から、毛髪化粧料全体に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、すすぎ時のきしみ抑制、乾燥中の毛髪間の接着抑制、乾燥後のべたつき抑制の効果のバランスを高める観点から、毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、毛髪化粧料全体に対して好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以下である。
〔成分(D)〕
本実施形態の毛髪化粧料には、成分(D)として、1価以上3価以下の炭素数1以上6以下の脂肪族アルコールおよび1価以上3価以下の炭素数7以上10以下の芳香族アルコールからなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有させることができる。
成分(D)の具体例としては、イソプロピルアルコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール等が挙げられる。これらの中でも、毛髪の速乾性能を高める観点、毛髪の滑らかさを向上させる観点、および、毛髪化粧料の乳化安定性の良好性を高める観点から、成分(D)は、好ましくは、プロピレングリコールおよびジプロピレングリコールから選択される1種以上であり、より好ましくはジプロピレングリコールである。
本実施形態の毛髪化粧料中の成分(D)の含有量は、塗布時の毛髪の滑らかさの観点から、毛髪化粧料全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上、殊更好ましくは1.0質量%以上である。また、べたつきのなさを高める観点から、毛髪化粧料中の成分(D)の含有量は、毛髪化粧料全体に対して好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
〔その他の任意成分〕
本実施形態の毛髪化粧料は、毛髪化粧料に一般に使用されるその他の成分を、目的に応じてさらに含有することができる。たとえば、カチオン化セルロース、ヒドロキシ化セルロース、高重合ポリエチレンオキサイド等の、前述した成分(C)以外の高分子化合物;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどの前述した成分(B)および(C)以外の油剤;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ剤;pH調整剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物等のユーカリエキス、コンキオリンまたはその加水分解物、シルクから得られる蛋白質またはその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、ツバキ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;雲母チタン等のパール粉体;メントール等の清涼剤:香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS))に記載されている成分等が挙げられる。
〔pH〕
本実施形態の毛髪化粧料のpHは、塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさを向上させる観点から、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは2.8以上であり、また、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5.0以下である。
なお、本明細書において、毛髪化粧料のpHは、水で20質量倍希釈したときの25℃における値をいう。
次に、毛髪化粧料の製造方法を説明する。
本実施形態において、毛髪化粧料は、たとえば、成分(A)、(B)および適宜他の成分を所定の順序で混合して水に溶解または分散することで製造される。
さらに具体的には、50〜100℃程度に加熱した水に、成分(A)および(B)を加え撹拌し均一にした後、冷却しながら成分(C)、(D)およびその他の成分を加え撹拌し均一にして、室温(25℃、以下同じ。)まで冷却することにより得ることができる。
本実施形態において得られる毛髪化粧料は、毛髪に適用後、洗い流して使用されるものであり、たとえば、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等の浴室内で使用されるものが挙げられる。また、毛髪化粧料は、好ましくは、シャンプー等による洗髪後に毛髪に適用され、その後、洗い流して使用される。
また、本実施形態における毛髪化粧料の使用方法は、たとえば、本実施形態における毛髪化粧料を毛髪に適用し、水で洗い流すことを含む。
さらに具体的には、本実施形態における毛髪化粧料を用いて毛髪のコンディショニング処理を行うには、シャンプー等による洗髪後、本実施形態の毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、水で洗い流せばよい。これにより、すすぎ後のタオルドライ時には毛束がばらけやすくなり、濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができる。
本実施形態においては、毛髪化粧料が成分(A)および(B)ならびに水を含むとともに、毛髪化粧料中の成分(A)の含有量に対する成分(B)の総含有量のモル比((B)/(A))が特定の範囲にあるため、水で濡れた毛髪がタオルドライから乾燥の間に絡まることが抑えられて、毛髪間のばらけを促進し乾燥時間を短縮することができるとともに、塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさを優れたものとすることができる。また、本実施形態によれば、たとえば使用者が実感できる毛髪の速乾性と絡まり防止効果とを得ることも可能となる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
(実施例1〜8および比較例1〜4)
表1および表2に示すヘアコンディショナーを調製し、以下の方法および基準に従って、その評価を行った。
(ヘアコンディショナーの調製方法)
成分(A)および(B)を80℃で溶融混合し、油相を調製した。
そして、80℃に加温したイオン交換水に得られた油相を加えて均一混合し、乳化物を得た。
得られた乳化物を室温まで冷却する過程で、適宜成分(C)または(D)を添加して分散させて、ヘアコンディショナーを得た。
(pH測定方法)
pHは試料を精製水で20質量倍に希釈し、撹拌溶解したのち、pH計(東亜ディーケーケー社製、HM−30R型)を用い、25℃にて測定した。
(評価)
(評価用毛束)
6cm×6cm角の範囲に200本/cm2の密度、生え角60°で、長さ28cmの日本人の非化学処理毛髪を植毛した毛髪トレスを、市販のブリーチ剤(花王社製、泡カラーハイブリーチ、1剤と2剤の混合比:1対2)でブリーチ処理(毛髪と同質量のブリーチ剤を塗布し、30分間室温で処理した後、40℃の水道水で30秒間すすぎ流した後に、以下に処方を示すモデルシャンプーを3.5g塗布し30秒間泡立てて洗浄し、40℃の水道水で1分間すすぎ流した後、タオルドライを行い、ドライヤー乾燥を行った。)を3回行ったものを、評価用毛束として以下の評価に用いた。
(毛髪の速乾性)
作製した評価用毛束を40℃の流水(水道水)で10秒間濡らした後、以下に処方を示すモデルシャンプーを3.5g塗布し、30秒間泡立てて洗浄し、40℃の流水で1分間すすぎ流した。
次に、すすぎ後の毛束に表1または表2に記載の各例のヘアコンディショナーを1.0g塗布し、30秒間なじませた後、40℃の流水で1分間すすいだ。
次いで、含水量が毛髪重量と同量になるように毛束の水を切った後に、ペーパータオル(大王製紙社製、エリエールプロワイプ ソフトタオルホワイト4つ折り(405mm×315mm、4枚重ね))、アクリル板、錘(アクリル板と錘の総重量1.4kg)を順に乗せ、10秒間静置して余分な水分を除去した。その毛束を、ドライヤー(テスコム電機社製、NB1902)の吹き出し口から毛髪中心部までの距離が35cmになる位置でふり幅5cm、振盪速度4往復/1秒でドライヤー乾燥(温風モード、風量:600W)し、30秒ごとに毛束の重量を測定し、グラフを作成した。毛束中の水分量が毛髪重量に対して20%になるまでに要する乾燥時間(秒)をグラフから算出し、この時間を毛髪の速乾性評価の値とした。
(モデルシャンプーの組成)
成分
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩 15.5質量%
ラウラミドジエタノールアミド 2.28質量%
エデト酸二ナトリウム 0.15質量%
安息香酸ナトリウム 0.175質量%
オキシベンゾン 0.03質量%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01質量%
塩化ナトリウム 0.80質量%
リン酸 適量
香料 微量
色素 微量
精製水 残量
合計 100質量%
(塗布時およびすすぎ時の滑らかさ)
上述した方法で作製した評価用毛束を用い、これを40℃の流水(水道水)で10秒間濡らした。その後、上記モデルシャンプーを毛束に3.5g塗布し、30秒間泡立てて洗浄後、40℃の流水で1分間すすぎ流した。次いで、表1または表2に記載の各例のヘアコンディショナーを毛束に2.0g塗布し、30秒間なじませた後、40℃の流水で1分間すすいだ。
この際、塗布時およびすすぎ時の毛束の「滑らかさ」について、5名の専門パネラーが官能評価を行った。評価は以下の5段階で行い、5名の平均点を算出した。
5:滑らか
4:やや滑らか
3:どちらでもない
2:やや滑らかでない
1:滑らかでない
Figure 0006718705
Figure 0006718705
表1および表2に記載の成分の詳細を以下に示す。
*1 パルミタミドプロピルジメチルアミン塩酸塩:Lubrizol社製、SCHERCODINE(商標)3.79gおよび2N塩酸 6.31gを混合して調製(表中の数値はアクティブ量)
*2 ステアラミドプロピルジメチルアミン塩酸塩:日光ケミカルズ社製、NIKKOL アミドアミンMPS 3.94gおよび2N塩酸 6.31gを混合して調製(表中の数値はアクティブ量)
*3 ベヘナミドプロピルジメチルアミン塩酸塩:花王社製、アミデット APA−22 4.54gおよび2N塩酸 6.31gを混合して調製(表中の数値はアクティブ量)
*4 ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩:東邦化学工業社製、カチナール AEAS 4.09gおよび2N塩酸 6.31gを混合して調製(表中の数値はアクティブ量)
*5 セチルアルコール:花王社製、カルコール 6098
*6 ステアリン酸:花王社製、ルナック S−98
*7 ジメチコン混合物:重量平均分子量18万:重量平均分子量680=33:67(重量比)、粘度:15,000mm2/s
*8 ジプロピレングリコール:ADEKA社製、DPG−RF
表1および表2より、各実施例の毛髪化粧料は、成分(A)および(B)ならびに水を含み、成分(A)および(B)のモル比が特定の範囲にあるため、毛髪の乾燥時間を短縮することができるとともに、乾燥時間の短縮効果と塗布時およびすすぎ時の毛束の滑らかさの効果とのバランスにも優れていた。

Claims (4)

  1. 毛髪に適用した後洗い流して使用される毛髪化粧料であって、次の成分(A)〜(D)ならびに水を含有し、当該毛髪化粧料中の前記成分(A)の含有量に対する前記成分(B)の総含有量のモル比((B)/(A))が0.50以上3.0未満であり、
    当該毛髪化粧料中の前記成分(B)の含有量が、当該毛髪化粧料全体に対して1質量%以上8質量%以下であり、
    当該毛髪化粧料中の前記成分(C)の含有量が、当該毛髪化粧料全体に対して0.5質量%以上3質量%以下であり、
    当該毛髪化粧料中の前記成分(D)の含有量が、当該毛髪化粧料全体に対して1.0質量%以上6質量%以下である、毛髪化粧料。
    (A)下記一般式(1)で表されるアミドアミンの塩酸塩:
    Figure 0006718705
    〔上記一般式(1)中、R1は炭素数11以上21以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2は炭素数2以上4以下の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、R3およびR4は独立して、炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基、アルケニル基またはヒドロキシアルキル基を示す。〕
    (B)炭素数12以上22以下の脂肪族アルコールおよび炭素数12以上22以下の脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1種
    (C)シリコーン
    (D)1価以上3価以下の炭素数1以上6以下の脂肪族アルコールおよび1価以上3価以下の炭素数7以上10以下の芳香族アルコールからなる群より選択される少なくとも1種
  2. 当該毛髪化粧料中の前記成分(C)の含有量に対する成分(A)および(B)の含有量の合計の質量比([(A)+(B)]/(C))が0.5以上100以下である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
  3. 当該毛髪化粧料中の前記成分(A)の含有量が、当該毛髪化粧料全体に対して0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用し、水で洗い流す、毛髪化粧料の使用方法。
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