JP6708872B2 - 拡頭杭杭頭免震構造 - Google Patents
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この文献1の杭頭免震構造は、免震装置を設置するための台座としての偏平な杭頭キャピタルを杭頭部に一体に設けるとともに、杭頭回転の発生に伴う杭頭曲げモーメントを杭頭部から杭頭キャピタルに伝達可能とし、かつ隣接設置した杭頭キャピタルの間には、それら杭頭キャピタルどうしを相互に連結することによって、各杭頭部から各杭頭キャピタルに伝達された杭頭曲げモーメントを曲げ戻すことによって各杭の杭頭回転を制御するための偏平つなぎ梁を設けてなる。
このように杭頭部に偏平な杭頭キャピタルを設け、杭頭キャピタル間に偏平つなぎ梁を設けて、この偏平つなぎ梁によって杭頭回転を制御する構造としたことにより、大断面かつ剛強な基礎によって杭頭回転を無条件に拘束する従前の免震構造に比べて下部構造としての基礎を大幅に簡略化でき、免震ピットも充分に浅くすることができ、根切り量の削減を含めて施工ロスを大きく削減することができる。また、杭頭回転をほぼ無条件で許容する従来の杭頭免震構造に比べれば、地震時における杭頭部の挙動が明解かつ適正に評価可能であって構造的により合理的であり、免震構造としての信頼性や安全性を一層向上させることができ、液状化地盤を含めて様々な地盤条件に幅広く適用することが可能となる。
(1)杭頭部に杭頭部の径よりも大きい径の別体の杭頭キャピタルを設け、しかも、杭頭部に一体化するために、構造が複雑となる。
(2)杭頭の回転を制御するため、杭頭キャピタル間を連結するための扁平つなぎ梁を必要とし、免震基礎の簡略化を十分に図ることができない。
(3)杭頭キャピタルと免震ピットの底スラブとの間で厚さや配筋に違いがあるため、免震ピットの底部分もまた複雑になり、その施工に多くの手間が掛かる。
免震ピットの底部に免震基礎として複数の杭が形成され、前記各杭は杭本体が所定の径を有する筒形状をなし、前記各杭の杭本体の上部である杭頭部上に免震装置を設置されて、構造物を前記各杭頭部上に免震装置を介して免震支持する杭頭免震構造において、
前記各杭は、
免震ピットの底部に前記杭本体のための孔が所定の径を有する筒形状に掘削され、さらに、前記杭本体のための孔の上部に当該孔の径よりも大きい所定の径を有する拡径部が所定の長さに形成されて、前記杭本体のための孔に配筋され、前記杭本体を構成する鉄筋と、前記杭本体のための孔の上部の前記拡径部に配筋され、前記杭頭部を構成する鉄筋と、前記杭本体のための孔及び前記拡径部に打設されるコンクリートとにより一体に形成され、
前記杭頭部が前記杭本体の径よりも大きくかつ天端を前記免震装置の設置に必要な設置面積と略同じかそれよりも大きくなるように拡径されて、
前記各杭は前記杭頭部を拡頭部とする拡頭杭として構成され、前記拡頭部が前記免震ピットの底部に配置されて、
前記各免震装置は前記拡頭部の天端に設置される、
ことを要旨とする。
この場合、各杭の各拡頭部間に、前記各杭の相対的な位置関係を保持するための伝達部材が介在されることが好ましい。
また、このような拡頭杭杭頭免震構造により、構造物は免震装置によって免震ピット内で水平方向に変位可能に免震支持され、そして、地震の発生により杭頭回転が生じた際に、その曲げモーメントは拡頭部で受けられ、この拡頭部の曲げ耐力により過大な杭頭回転が抑制される、という利点を有する。
図1に示すように、この拡頭杭杭頭免震構造は、免震ピットPの底部に免震基礎として複数の杭1が形成され、各杭1の杭頭部10上に免震装置2が設置されて、構造物Bを各杭頭部10上に免震装置2を介して免震支持する形式になっている。
この構造では、特に、各杭1は杭頭部10を杭1本体の径よりも大きくかつ天端100を免震装置2の設置に必要な設置面積と略同じかそれよりも大きくなるように拡径されて拡頭部11となす拡頭杭からなり、拡頭部11が免震ピットPの底部に配置されて、免震装置2は拡頭部11の天端110上に設置される。
この場合、拡頭部11の径は、既述のとおり、杭1本体の径よりも大きくかつ天端110が免震装置2の底面の径と略同じかそれよりも大きく拡大される。
また、この場合、拡頭部11の径と長さによって、杭頭部10の固定度が調整される。また、拡頭部11の長さは免震装置2の固定部材(アンカーボルト201)の埋込長さに応じて調整される。
このようにして杭1の杭頭部10は拡頭部11として形成され、地震の発生により杭頭回転が生じたときにその曲げモーメントに抗する曲げ耐力が確保される。
なお、この杭頭免震構造の場合、上記の構成から、従来のような各杭の曲げモーメントや各免震装置の回転量を制御するためのつなぎ梁は必要としないが、各杭1の相対的な位置関係を保つために、各拡頭部11間に伝達部材としての床や梁が設置されたり(図1、図3参照)、また、伝達部材としての鋼製の連結部材がピン接合により介設されたりして、各杭1が一体的に動くようにすることが好ましい。この場合、床や梁に配筋された鉄筋が、また、連結部材が拡頭部につながっていてもよくつながっていなくてもよい。この実施の形態では、各杭1の相対的な位置関係を保つため、また、止水の目的も含めて、免震ピットPの底部に床スラブ3(鉄筋コンクリート)が打たれている。この場合、床スラブ3に配筋された鉄筋は杭1の拡頭部11につながっていて、つなぎスラブになっているが、床スラブ3は拡頭部11につながっていなくても差し支えない。
この免震装置2は、既述のとおり、杭1上部の拡頭部11の天端110上に設置される。この場合、免震装置2は、上フランジ21が構造物Bの底部躯体に固定部材により、この場合、複数のアンカーボルト201により強固に固定され、下フランジ22が拡頭部11の天端110上に、同様に、アンカーボルト201により強固に固定されて、構造物Bと杭1との間に介設される。
また、この構造では、拡頭部11の径と長さによって杭頭部10の固定度を調整するので、杭頭部10の固定度を任意に調整することができ、拡頭部11の長さを免震装置2の固定部材、この場合、アンカーボルト201の埋込長さに応じて調整するので、免震装置2を固定するためのアンカーボルト201の埋込長さに任意に対応することができる。
また、この実施の形態では、杭1を場所打ちコンクリート杭として例示したが、既成杭の場合でも、同様に適用することができ、同様の作用効果を得ることができる。
B 構造物
P 免震ピット
1 杭(拡頭杭)
10 杭頭部
100 天端
11 拡頭部
110 天端
a1 孔
a10 拡径部
101 主筋
102 帯金
111 主筋
112 帯金
C コンクリート
2 免震装置
20 積層ゴム
21 上フランジ
22 下フランジ
201 アンカーボルト
3 床スラブ
Claims (2)
- 免震ピットの底部に免震基礎として複数の杭が形成され、前記各杭は杭本体が所定の径を有する筒形状をなし、前記各杭の杭本体の上部である杭頭部上に免震装置を設置されて、構造物を前記各杭頭部上に免震装置を介して免震支持する杭頭免震構造において、
前記各杭は、
免震ピットの底部に前記杭本体のための孔が所定の径を有する筒形状に掘削され、さらに、前記杭本体のための孔の上部に当該孔の径よりも大きい所定の径を有する拡径部が所定の長さに形成されて、前記杭本体のための孔に配筋され、前記杭本体を構成する鉄筋と、前記杭本体のための孔の上部の前記拡径部に配筋され、前記杭頭部を構成する鉄筋と、前記杭本体のための孔及び前記拡径部に打設されるコンクリートとにより一体に形成され、
前記杭頭部が前記杭本体の径よりも大きくかつ天端を前記免震装置の設置に必要な設置面積と略同じかそれよりも大きくなるように拡径されて、
前記各杭は前記杭頭部を拡頭部とする拡頭杭として構成され、前記拡頭部が前記免震ピットの底部に配置されて、
前記各免震装置は前記拡頭部の天端に設置される、
ことを特徴とする拡頭杭杭頭免震構造。 - 各杭の各拡頭部間に、前記各杭の相対的な位置関係を保持するための伝達部材が介在される請求項1に記載の拡頭杭杭頭免震構造。
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