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JP6707909B2 - 高分子化合物およびそれを用いた発光素子 - Google Patents

高分子化合物およびそれを用いた発光素子 Download PDF

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Description

本発明は、高分子化合物およびそれを用いた発光素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「発光素子」ともいう。)は、ディスプレイおよび照明の用途に好適に使用することが可能であり、近年注目されている。この発光素子は、発光層、電荷輸送層等の有機層を備える。高分子化合物を用いることで、インクジェット印刷法に代表される塗布法により有機層を形成することができるため、発光素子の製造に用いる高分子化合物が検討されている。
発光素子の発光層に用いる材料として、例えば、下記式で表されるトリアジン構成単位を含む高分子化合物が提案されている(特許文献1)。
Figure 0006707909
特開2012−036388号公報
しかしながら、上記の高分子化合物を用いて製造される発光素子は、駆動電圧が高いという問題があった。
そこで、本発明は、駆動電圧が低い発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することを目的とする。本発明はまた、該高分子化合物を含有する組成物および該高分子化合物を含有する発光素子を提供することを目的とする。
本発明は、第一に、下記式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物を提供する。
Figure 0006707909
[式中、
、ZおよびZは、それぞれ独立に、窒素原子または−CR=を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、Z、ZおよびZからなる群から選ばれる少なくとも1つは窒素原子である。
は、単結合、−NR−で表される基、酸素原子または硫黄原子を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
は、−CRY1Y2−で表される基、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基、−CRY7=CRY8−で表される基、−NRY9−で表される基、酸素原子または硫黄原子を表す。RY1、RY2、RY3、RY4、RY5、RY6、RY7、RY8およびRY9は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RY1とRY2、RY3とRY4、RY3とRY5、RY4とRY6、RY5とRY6、RY7とRY8は、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、Xが単結合であり、Yが−CRY1Y2−で表される基である場合、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいナフタレンジイル基である。
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRは、同一でも異なっていてもよく、隣接するR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
本発明は、第二に、上記の高分子化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物を提供する。
本発明は、第三に、上記の高分子化合物を含有する発光素子を提供する。
本発明によれば、駆動電圧が低い発光素子の製造に有用な高分子化合物を提供することができる。また、本発明によれば、該高分子化合物を含有する組成物および該高分子化合物を含有する発光素子を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合または配位結合を意味する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103〜1×108である重合体を意味する。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
「アルキル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-ブチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「アルコキシ基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基およびシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基およびシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは式(A-1)〜式(A-20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[式中、RおよびRaは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRおよびRaは、各々、同一でも異なっていてもよく、Ra同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは式(AA-1)〜式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[式中、RおよびRaは、前記と同じ意味を表す。]
「架橋基」とは、加熱、紫外線照射、近紫外線照射、可視光照射、赤外線照射、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B-1)-(B-17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
Figure 0006707909
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物である。
[式(1)で表される構成単位]
Figure 0006707909
、ZおよびZは、それぞれ独立に、窒素原子または−CR=を表す。
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
で表される基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。
、ZおよびZは、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の輝度寿命が優れるため、Z、ZおよびZからなる群から選ばれる少なくとも2つが窒素原子であることが好ましく、Z、ZおよびZの全てが窒素原子であることがより好ましい。
は、単結合、−NR−で表される基、酸素原子または硫黄原子を表す。
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましい。
で表される基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、単結合であることが好ましい。
は、−CRY1Y2−で表される基、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基、−CRY7=CRY8−で表される基、−NRY9−で表される基、酸素原子または硫黄原子を表す。
Y1、RY2、RY3、RY4、RY5、RY6、RY7、RY8およびRY9は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の輝度寿命が優れるので、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが好ましい。
Y1、RY2、RY3、RY4、RY5、RY6、RY7、RY8およびRY9で表される基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。
が−CRY1Y2−で表される基である場合、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるので、RY1およびRY2は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、アルキル基またはアリール基であることが更に好ましく、RY1およびRY2の一方がアリール基であり、RY1およびRY2の他方がアルキル基またはアリール基であることが特に好ましい。
が−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基である場合、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、RY3、RY4、RY5およびRY6は、アルキル基またはシクロアルキル基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましい。
Y3、RY4、RY5およびRY6がアルキル基である場合、RY3とRY5とが互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成し、かつ、RY4とRY6とが互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していることが好ましい。RY3とRY5とが互いに結合することで形成される環は、5員環であることが好ましい。RY4とRY6とが互いに結合することで形成される環は、5員環であることが好ましい。
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、−CRY1Y2−で表される基、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基、酸素原子または硫黄原子であることが好ましく、−CRY1Y2−で表される基、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基または酸素原子であることがより好ましく、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の輝度寿命が優れるため、−CRY1Y2−で表される基、または、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基であることが更に好ましい。
ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、Xが単結合であり、Yが−CRY1Y2−で表される基である場合、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいナフタレンジイル基である。
ArおよびArで表されるアリーレン基は、より好ましくは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、式(A-7)-(A-12)、式(A-19)または式(A-20)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArおよびArで表される2価の複素環基は、より好ましくは、式(AA-1)-(AA-5)、式(AA-10)-(AA-15)、式(AA-24)、式(AA-25)または式(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArおよびArは、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいナフタレンジイル基であることが更に好ましく、置換基を有していてもよいフェニレン基であることが特に好ましい。また、ArおよびArは、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、同一の基であることが好ましい。
ArおよびArで表される基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。
ArおよびArとしては、例えば、式(Ar−1)〜(Ar−13)で表される基が挙げられ、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、式(Ar−1)〜(Ar−3)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−12)または式(Ar−13)で表される基が好ましく、式(Ar−1)〜(Ar−3)、式(Ar−6)または式(Ar−12)で表される基がより好ましく、式(Ar−1)、式(Ar−2)または式(Ar−12)で表される基が更に好ましく、式(Ar−1)または式(Ar−2)で表される基が特に好ましい。
Figure 0006707909
[式中、RArは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRArは、同一でも異なっていてもよい。]
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
、R、R、RおよびRは、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の輝度寿命が優れるので、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが好ましい。
、R、R、RおよびRで表される基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、水素原子であることがより好ましい。
およびRは、本発明の高分子化合物の原料となる化合物を入手しやすいため、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
およびRは、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるため、水素原子、アルキル基またはアリール基であることがより好ましく、RおよびRの一方が水素原子またはアルキル基であり、RおよびRの他方が水素原子、アルキル基またはアリール基であることが更に好ましく、RおよびRの一方が水素原子であり、RおよびRの他方が水素原子、アルキル基またはアリール基であることが特に好ましく、RおよびRの一方が水素原子であり、RおよびRの他方がアリール基であることがとりわけ好ましい。
式(1)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるため、式(2)または式(3)で表される構成単位であることが好ましく、式(2)で表される構成単位であることがより好ましい。
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar、Ar、X、Y、R、R、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。
11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11とR12、R13とR14は、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
11、R12、R13およびR14は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるので、水素原子であることが好ましい。
11、R12、R13およびR14で表される基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましい。
式(2)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるので、式(2−1)、式(2−2)または式(2−3)で表される構成単位であることが好ましく、式(2−1)または式(2−2)で表される構成単位であることがより好ましい。
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar、Ar、R、R、R、R、R11、R12、R13、RY1、RY2、RY3、RY4、RY5およびRY6は、前記と同じ意味を表す。
は、酸素原子または硫黄原子を表す。]
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるので、酸素原子であることが好ましい。
式(3)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の駆動電圧がより低くなるので、式(3−1)、式(3−2)または式(3−3)で表される構成単位であることが好ましく、式(3−1)または式(3−2)で表される構成単位であることがより好ましい。
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar、Ar、R、R、R、R、R11、R13、R14、RY1、RY2、RY3、RY4、RY5およびRY6は、前記と同じ意味を表す。
は、酸素原子または硫黄原子を表す。]
は、本発明の高分子化合物の合成が容易であるので、酸素原子であることが好ましい。
式(1)で表される構成単位としては、例えば、式(1−101)〜式(1−136)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
式(1)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の電子輸送性および輝度寿命を両立する観点から、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、1〜30モル%であることが好ましく、3〜20モル%であることがより好ましく、5〜15モル%であることが更に好ましい。
式(1)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
[式(Y)で表される構成単位]
本発明の高分子化合物は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の輝度寿命が優れるので、更に、式(Y)で表される構成単位を含んでいることが好ましい。
Figure 0006707909
[式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
ArY1で表されるアリーレン基は、より好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-6)-(A-10)、式(A-19)または式(A-20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-7)、式(A-9)または式(A-19)で表される基であり、特に好ましくは、式(A-1)、式(A-2)または式(A-9)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される2価の複素環基は、より好ましくは、式(AA-1)-(AA-4)、式(AA-10)-(AA-15)、式(AA-18)-(AA-21)、式(AA-33)または式(AA-34)で表される基であり、更に好ましくは、式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-12)、式(AA-14)または式(AA-33)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のArY1で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
Figure 0006707909
[式中、RXXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
XXは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArY1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)-(Y-6)で表される構成単位が挙げられ、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の輝度寿命の観点からは、好ましくは式(Y-1)-(Y-3)で表される構成単位であり、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の電荷輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-4)-(Y-6)で表される構成単位である。
Figure 0006707909
[式中、RY1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRY1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y-1)で表される構成単位は、好ましくは、式(Y-1')で表される構成単位である。
Figure 0006707909
[式中、RY11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY11は、同一でも異なっていてもよい。]
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、より好ましくは、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0006707909
[式中、
Y1は前記と同じ意味を表す。
Y1は、−C(RY2)2−、−C(RY2)=C(RY2)−または−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRY2は、同一でも異なっていてもよく、RY2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
Y2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Y1において、−C(RY2)2−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、両方がアリール基、両方が1価の複素環基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)-(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0006707909
Y1において、−C(RY2)=C(RY2)−で表される基中の2個のRY2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Y1において、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基中の4個のRY2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基である。複数あるRY2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、RY2が環を形成する場合、−C(RY2)2−C(RY2)2−で表される基は、好ましくは式(Y-B1)-(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0006707909
[式中、RY2は前記と同じ意味を表す。]
式(Y-2)で表される構成単位は、式(Y-2')で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0006707909
[式中、RY1およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
Figure 0006707909
[式中、RY1およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
式(Y-3)で表される構成単位は、式(Y-3')で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0006707909
[式中、RY11およびXY1は前記と同じ意味を表す。]
Figure 0006707909
[式中、
Y1は前記を同じ意味を表す。
Y4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-101)-(Y-121)で表されるアリーレン基からなる構成単位、式(Y-201)-(Y-206)で表される2価の複素環基からなる構成単位が挙げられる。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1がアリーレン基である構成単位は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の発光効率が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜90モル%であり、より好ましくは30〜80モル%である。
式(Y)で表される構成単位であって、ArY1が2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の電荷輸送性が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜50モル%であり、より好ましくは3〜30モル%である。
式(Y)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
[式(X)で表される構成単位]
本発明の高分子化合物は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の正孔輸送性が優れるので、更に、下記式(X)で表される構成単位を含んでいてもよい。
Figure 0006707909
[式中、
X1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
X1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
X1は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは1である。
X2は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の発光効率が優れるので、好ましくは2以下の整数であり、より好ましくは0である。
X1、RX2およびRX3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1およびArX3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)または式(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1およびArX3で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA-1)、式(AA-2)または式(AA-7)-(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX1およびArX3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX2およびArX4で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)-(A-11)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArX2およびArX4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、ArX1およびArX3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、ArX1およびArX3で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
ArX2およびArX4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(Y)のArY1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
ArX2およびArX4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
ArX1〜ArX4およびRX1〜RX3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X-1)-(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-1)-(X-6)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)-(X-6)で表される構成単位である。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[式中、RX4およびRX5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRX4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するRX5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するRX5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
式(X)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物を含有する発光素子の正孔輸送性が優れるので、高分子化合物中に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)-(X1-11)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1-3)-(X1-10)で表される構成単位である。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
式(X)で表される構成単位は、本発明の高分子化合物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
本発明の高分子化合物としては、例えば、表1に示す高分子化合物P−101〜P−107が挙げられ、合成時の重合反応の制御がより容易であるので、高分子化合物P−101および高分子化合物P−104が好ましく、高分子化合物P−101aおよび高分子化合物P−104aがより好ましい。ここで、「その他の構成単位」とは、式(1)、式(Y−1)〜式(Y−6)および式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。
Figure 0006707909

[表中、p、q、r、sおよびtは、各構成単位のモル比率を表す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、70≦p+q+r+s≦100である。]
高分子化合物P−101〜P−107における、式(1)、式(Y−1)〜式(Y−6)および式(X)で表される構成単位の例および好ましい範囲は、上述のとおりである。
Figure 0006707909
[表中、p、q、r、sおよびtは、前記と同じ意味を表す。]
本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性や輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、主鎖と共役結合している基が好ましく、炭素−炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
本発明の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
<高分子化合物の製造方法>
次に、本発明の高分子化合物の製造方法について説明する。
本発明の高分子化合物は、例えば、式(M−1)で表される化合物と、他の化合物(例えば、式(M−2)で表される化合物、式(M−3)で表される化合物および式(M−4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物)とを縮合重合させることにより製造することができる。本明細書において、本発明の高分子化合物の製造に使用される化合物を総称して、「原料モノマー」ということがある。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar、Ar、X、Y、R、R、R、R、R、ArY1、a1、a2、ArX1〜ArX4およびRX1〜RX3は、前記と同じ意味を表す。
C1〜ZC8は、それぞれ独立に、置換基A群および置換基B群からなる群から選ばれる基を表す。]
例えば、ZC1、ZC2およびZC5〜ZC8が置換基A群から選ばれる基である場合、ZC3およびZC4は、置換基B群から選ばれる基を選択する。
例えば、ZC1、ZC2およびZC5〜ZC8が置換基B群から選ばれる基である場合、ZC3およびZC4は、置換基A群から選ばれる基を選択する。
<置換基A群>
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子または−O−S(=O)2C1(式中、RC1は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。)で表される基。
<置換基B群>
−B(ORC2)2(式中、RC2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC2は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する酸素原子と共に環構造を形成していてもよい。)で表される基;
−BF3Q'(式中、Q'は、Li、Na、K、RbまたはCsを表す。)で表される基;
−MgY'(式中、Y'は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表される基;
−ZnY''(式中、Y''は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。)で表される基;および、
−Sn(RC3)3(式中、RC3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRC3は同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合するスズ原子と共に環構造を形成していてもよい。)で表される基。
−B(ORC2)2で表される基としては、下記式で表される基が例示される。
Figure 0006707909
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により縮合重合して、置換基A群から選ばれる基および置換基B群から選ばれる基と結合する炭素原子同士が結合する。そのため、置換基A群から選ばれる基を2個有する化合物と、置換基B群から選ばれる基を2個有する化合物を公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合により、これらの化合物の縮合重合体を得ることができる。
縮合重合は、通常、触媒、塩基および溶媒の存在下で行なわれるが、必要に応じて、相間移動触媒を共存させて行ってもよい。
触媒としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリス-o-メトキシフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4-シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体;これらの遷移金属錯体が、更にトリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子を有する錯体が挙げられる。触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
触媒の使用量は、原料モノマーのモル数の合計に対する遷移金属の量として、通常、0.00001〜3モル当量である。
塩基および相間移動触媒としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基;フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基;塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の相間移動触媒が挙げられる。塩基および相間移動触媒は、それぞれ、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
塩基および相間移動触媒の使用量は、それぞれ、原料モノマーの合計モル数に対して、通常0.001〜100モル当量である。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒、水が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
溶媒の使用量は、通常、原料モノマーの合計100重量部に対して、10〜100000重量部である。
縮合重合の反応温度は、通常-100〜200℃である。縮合重合の反応時間は、通常1時間以上である。
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独、または組み合わせて行う。高分子化合物の純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
<化合物>
次に、本発明の高分子化合物の原料モノマーである化合物について説明する。
式(M−1)で表される化合物は、本発明の高分子化合物の原料モノマーとして有用である。
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar、Ar、X、Y、R、R、R、R、R、ZC1およびZC2は、前記と同じ意味を表す。]
式(M−1)で表される化合物の製造方法について説明する。
式(M−1)で表される化合物は、例えば、式(M−1−a)で表される化合物と、式(M−1−b)で表される化合物とをカップリング反応させる方法により製造することができる。
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar、Ar、X、Y、R、R、R、R、R、ZC1およびZC2は、前記と同じ意味を表す。
およびWは、それぞれ独立に、置換基A群および置換基B群からなる群から選ばれる基を表す。]
が置換基A群から選ばれる基である場合、Wは置換基B群から選ばれる基を選択することが好ましい。
が置換基B群から選ばれる基である場合、Wは置換基A群から選ばれる基を選択することが好ましい。
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により、置換基A群から選ばれる基および置換基B群から選ばれる基と結合する炭素原子同士が結合する。そのため、置換基A群から選ばれる基を有する化合物と、置換基B群から選ばれる基を有する化合物を公知のカップリング反応に供すれば、これらの化合物のカップリング生成物を得ることができる。
式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応では、通常、パラジウム触媒等の触媒が用いられる。
パラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)が挙げられる。
パラジウム触媒は、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のリン化合物と併用してもよい。
式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応において、パラジウム触媒を用いる場合、パラジウム触媒の使用量は、式(M−1−b)で表される化合物のモル数に対して、通常、パラジウム元素換算で0.00001〜10モル当量である。
式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応は、通常、溶媒中で行う。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトン、ジメチルスルホキシド、水が挙げられる。
式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応において、式(M−1−b)で表される化合物の使用量は、式(M−1−a)で表される化合物のモル数に対して、通常、0.05〜20モル当量であり、式(M−1)で表される化合物の収率が優れるので、1.5〜20モル当量であることが好ましい。
式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応の反応時間は、通常、0.5〜150時間であり、反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間である。
式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応では、塩基を添加してもよい。
式(M−1−a)で表される化合物の実施形態の1つである式(M−1−a1)で表される化合物は、例えば、式(M−1−a2)で表される化合物と、式(B−0)で表される化合物とを、石山−宮浦−Hartwig反応させることにより製造することができる。
Figure 0006707909
[式中、
、Y、R、R、R、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。
は、置換基A群から選ばれる基を表す。]
式(M−1−a2)で表される化合物と式(B−0)で表される化合物との石山−宮浦−Hartwig反応では、通常、パラジウム触媒等の触媒が用いられる。
パラジウム触媒の例としては、式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応におけるパラジウム触媒の例と同じものが挙げられる。パラジウム触媒は、リン化合物と併用してもよい。リン化合物の例としては、式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応におけるリン化合物と同じものが挙げられる。
式(M−1−a2)で表される化合物と式(B−0)で表される化合物との石山−宮浦−Hartwig反応において、パラジウム触媒を用いる場合、パラジウム触媒の使用量は、式(M−1−a2)で表される化合物のモル数に対して、通常、パラジウム元素換算で0.00001〜10モル当量である。
式(M−1−a2)で表される化合物と式(B−0)で表される化合物との石山−宮浦−Hartwig反応は、通常、溶媒中で行う。
溶媒の例としては、式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応における溶媒の例と同じものが挙げられる。
式(M−1−a2)で表される化合物と式(B−0)で表される化合物との石山−宮浦−Hartwig反応の反応時間は、通常、0.5〜150時間であり、反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間である。
式(M−1−a2)で表される化合物と式(B−0)で表される化合物との石山−宮浦−Hartwig反応では、塩基を添加してもよい。
式(M−1−a2)で表される化合物の実施形態の1つである式(M−1−a3)で表される化合物は、例えば、式(M−1−a4)で表される化合物を臭素化させる反応により製造することができる。
Figure 0006707909
[式中、X、Y、R、R、R、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。]
式(M−1−a4)で表される化合物を臭素化させる反応には、通常、臭素、N−ブロモスクシンイミド、ベンジルトリメチルアンモニウムトリブロミド等の臭素化剤を用いる。
式(M−1−a4)で表される化合物を臭素化させる反応は、通常、溶媒中で行う。
溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ヘキサン、デカリン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシドが挙げられる
式(M−1−a4)で表される化合物を臭素化させる反応において、臭素化剤の使用量は、式(M−1−a4)で表される化合物のモル数に対して、通常、0.8〜1.3モル当量である。
式(M−1−a4)で表される化合物を臭素化させる反応の反応時間は、通常、0.5〜150時間であり、反応温度は、通常、反応系に存在する溶媒の融点から沸点の間である。
式(M−1−a4)で表される化合物を臭素化させる反応では、鉄粉、酸またはヨウ素を加えてもよい。
酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩酸が挙げられる。
式(M−1−b)で表される化合物の実施形態の1つである式(M−1−b1)で表される化合物は、例えば、式(M−1−b2)で表される化合物と、式(M−1−b3)で表される化合物とを、カップリング反応させる方法により製造することができる。
Figure 0006707909
[式中、
、Z、Z、Ar1およびZC1は、前記と同じ意味を表す。
は、置換基A群および置換基B群からなる群から選ばれる基を表す。]
式(M−1−b2)で表される化合物と式(M−1−b3)で表される化合物とのカップリング反応の条件は、式(M−1−a)で表される化合物と式(M−1−b)で表される化合物とのカップリング反応の条件と同じである。
<組成物>
本発明の組成物は、本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する。
本発明の高分子化合物および溶媒を含有する組成物(以下、「インク」ということがある。)は、インクジェット印刷法、ノズル印刷法等の印刷法を用いた発光素子の作製に好適である。
インクの粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェット印刷法等の溶液が吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりを防止するために、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
インクに含まれる溶媒は、該インク中の固形分を溶解または均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
インクにおいて、溶媒の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1000〜100000重量部であり、好ましくは2000〜20000重量部である。
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、高分子化合物が好ましく、架橋基を有する高分子化合物がより好ましい。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体;側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレンおよびその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
本発明の組成物において、正孔輸送材料の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン、および、ジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、および、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
本発明の組成物において、電子輸送材料の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[正孔注入材料および電子注入材料]
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン、および、ポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
本発明の組成物において、正孔注入材料および電子注入材料の配合量は、各々、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜400重量部であり、好ましくは5〜150重量部である。
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[イオンドープ]
正孔注入材料または電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
ドープするイオンは、一種のみでも二種以上でもよい。
[発光材料]
発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、ナフタレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、並びに、イリジウム、白金またはユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、フルオレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
本発明の組成物において、発光材料の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、1〜150重量部であり、好ましくは5〜100重量部である。
発光材料は、低分子化合物および高分子化合物を含んでいてもよく、好ましくは、三重項発光錯体および高分子化合物を含む。
三重項発光錯体としては、式Ir-1〜Ir-5で表される金属錯体等のイリジウム錯体が好ましい。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[式中、
D1〜RD8、RD11〜RD20、RD21〜RD26およびRD31〜RD37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RD1〜RD8、RD11〜RD20、RD21〜RD26およびRD31〜RD37が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
−AD1---AD2−は、アニオン性の2座配位子を表し、AD1およびAD2は、それぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。−AD1---AD2−が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
D1は、1、2または3を表し、nD2は、1または2を表す。]
式Ir-1で表される三重項発光錯体において、RD1〜RD8の少なくとも1つは、好ましくは、式(D-A)で表される基である。
式Ir-2で表される三重項発光錯体において、RD11〜RD20の少なくとも1つは、好ましくは式(D-A)で表される基である。
式Ir-3で表される三重項発光錯体において、RD1〜RD8およびRD11〜RD20の少なくとも1つは、好ましくは式(D-A)で表される基である。
式Ir-4で表される三重項発光錯体において、R21〜RD26の少なくとも1つは、好ましくは式(D-A)で表される基である。
式Ir-5で表される三重項発光錯体において、RD31〜RD37の少なくとも1つは、好ましくは式(D-A)で表される基である。
Figure 0006707909
[式中、
DA1、mDA2およびmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2およびArDA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるTDAは、同一でも異なっていてもよい。]
DA1、mDA2およびmDA3は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは0または1である。mDA1、mDA2およびmDA3は、同一の整数であることが好ましい。
DA1は、好ましくは式(GDA-11)〜(GDA-15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
Figure 0006707909
[式中、
*、**および***は、各々、ArDA1、ArDA2、ArDA3との結合を表す。
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。RDAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2およびArDA3は、好ましくは式(ArDA-1)〜(ArDA-3)で表される基である。
Figure 0006707909
[式中、
DAは前記と同じ意味を表す。
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
DAは、好ましくは式(TDA-1)〜(TDA-3)で表される基である。
Figure 0006707909
[式中、RDAおよびRDBは前記と同じ意味を表す。]
式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)〜(D-A3)で表される基である。
Figure 0006707909
[式中、
p1、Rp2およびRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。Rp1およびRp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
np1は、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
p1、Rp2およびRp3は、好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基である。
−AD1---AD2−で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。
Figure 0006707909
[式中、*は、Irと結合する部位を表す。]
式Ir-1で表される金属錯体としては、好ましくは式Ir-11〜Ir-13で表される金属錯体である。式Ir-2で表される金属錯体としては、好ましくは式Ir-21で表される金属錯体である。式Ir-3で表される金属錯体としては、好ましくは式Ir-31〜Ir-33で表される金属錯体である。式Ir-4で表される金属錯体としては、好ましくは式Ir-41〜Ir-43で表される金属錯体である。式Ir-5で表される金属錯体としては、好ましくは式Ir-51〜Ir-53で表される金属錯体である。
三重項発光錯体としては、式Ir-11で表される金属錯体、式Ir-21で表される金属錯体および式Ir-32で表される金属錯体が好ましい。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[式中、Dは、式(D-A)で表される基を表す。複数存在するDは、同一でも異なっていてもよい。nD2は、1または2を表す。RDCは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDCは、同一でも異なっていてもよい。RDDは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRDDは、同一でも異なっていてもよい。]
三重項発光錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
Figure 0006707909
[酸化防止剤]
酸化防止剤は、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光および電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が挙げられる。
本発明の組成物において、酸化防止剤の配合量は、本発明の高分子化合物100重量部に対して、通常、0.001〜10重量部である。
酸化防止剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
<膜>
膜は、本発明の高分子化合物を含有する。
膜には、本発明の高分子化合物を架橋により溶媒に対して不溶化させた、不溶化膜も含まれる。不溶化膜は、本発明の高分子化合物を加熱、光照射等の外部刺激により架橋させて得られる膜である。不溶化膜は、溶媒に実質的に不溶であるため、発光素子の積層化に好適に使用することができる。
膜を架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、発光効率が良好になるので、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃である。
膜を架橋させるための光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
膜は、発光素子における発光層として好適である。
膜は、インクを用いて、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法により作製することができる。
膜の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
<発光素子>
本発明の発光素子は、本発明の高分子化合物を含有する有機エレクトロルミネッセンス等の発光素子であり、該発光素子には、例えば、本発明の高分子化合物を含有する発光素子、本発明の高分子化合物の架橋体を含有する発光素子がある。ここで、本発明の高分子化合物の架橋体とは、本発明の高分子化合物が、分子内、分子間、または、それらの両方で架橋したものである。
本発明の発光素子の構成としては、例えば、陽極および陰極からなる電極と、該電極間に設けられた本発明の高分子化合物を含有する層とを有する。
[層構成]
本発明の高分子化合物を含有する層は、通常、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層の1種以上の層であり、好ましくは、発光層である。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を含む。これらの層は、各々、発光材料、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料を、上述した溶媒に溶解させ、インクを調製して用い、上述した膜の作製と同じ方法を用いて形成することができる。
発光素子は、陽極と陰極の間に発光層を有する。本発明の発光素子は、正孔注入性および正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層および正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性および電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層および電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
正孔輸送層、電子輸送層、発光層、正孔注入層、および、電子注入層の材料としては、本発明の高分子化合物の他、各々、上述した正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、正孔注入材料、および、電子注入材料が挙げられる。
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料、および、発光層の材料は、発光素子の作製において、各々、正孔輸送層、電子輸送層、および、発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
本発明の発光素子において、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の各層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
積層する層の順番、数、および、厚さは、発光効率および素子寿命を勘案して調整すればよい。
[基板/電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイトおよびグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
陽極および陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
[用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極もしくは陰極、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源、および、表示装置としても使用できる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)およびポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC-10Avp)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである。
[測定条件]
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でTHFに溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてTHFを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV-VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD-10Avp)を用いた。
液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)は、下記の方法で行った。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルムまたはTHFに溶解させ、LC-MS(アジレントテクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC-MSの移動相には、アセトニトリルおよびTHFの比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L-column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
NMRの測定は、下記の方法で行った。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl3)、重テトラヒドロフラン(THF-d8)、重ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重アセトン(CD3-(C=O)-CD3)、重N,N-ジメチルホルムアミド(DMF-d7)、重トルエン(C6D5-CD3)、重メタノール(CD3OD)、重エタノール(CD3CD2OD)、重2-プロパノール(CD3-CDOD-CD3)または重塩化メチレン(CD2Cl2)に溶解させ、NMR装置(Agilent製 商品名:INOVA300またはMERCURY 400VX)を用いて測定した。
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC-20A)での254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにTHFまたはクロロホルムに溶解させ、HPLCに、濃度に応じて1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリルおよびTHFを用い、1mL/分の流速で、アセトニトリル/THF=100/0〜0/100(容積比)のグラジエント分析で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)または同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD-M20A)を用いた。
<合成例1> 化合物M1の合成
Figure 0006707909
(Stage1:化合物M1cの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した化合物M1a(81g)、化合物M1b(8.9g)、テトラヒドロフラン(1L)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7.0g)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(370g)を加え、60℃で5時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、減圧濃縮した。その後、そこへ、トルエン(500mL)を加え、得られた有機層をイオン交換水で洗浄し、得られた有機層を減圧濃縮した。得られた油状物を、トルエンおよびヘキサンの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、溶媒を減圧留去することにより、化合物M1c(28g、収率91%)を無色油状物として得た。化合物M1cのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
(Stage2:化合物M1dの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M1c(24g)、化合物B0(12g)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(2.8g)、酢酸カリウム(8.6g)および1,2−ジメトキシエタン(150mL)を加え、80℃で4時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、トルエン(100mL)を加え、セライトとシリカゲルを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣に、トルエン(150mL)および活性炭(3g)を加え、60℃で1時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、セライトを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することにより、化合物M1d(20g、収率87%)を無色固体として得た。化合物M1dのHPLC面積百分率値は99.1%であった。
(Stage3:化合物M1の合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M1d(5.3g)、国際公開第2011/049241号に記載の方法に従って合成した化合物T0(21g)、トルエン(1.9L)、エタノール(190mL)、イオン交換水(460mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.0g)および炭酸ナトリウム(3.6g)を加え、35℃で49時間撹拌した。得られた反応混合物をイオン交換水で洗浄した後、得られた有機層を減圧濃縮した。得られた残渣にヘキサン(560mL)を加え、室温で90分間攪拌した後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘキサン(20mL)を加え、生じた沈殿をろ取することにより固体を得た。得られた固体を、トルエンおよびメタノールの混合溶媒を用いた晶析、並びに、トルエンおよびヘキサンの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより順次行うことにより精製した後、溶媒を減圧留去することにより、化合物M1(2.4g、収率22%)を無色固体として得た。化合物M1cのHPLC面積百分率値は99.4%であった。
TLC/MS(DART positive):m/z=1006[M+H]
H−NMR(THF-d,300MHz):δ(ppm)=8.90(s,1H),8.81(d,1H),8.64(dd,4H),8.03(d,2H),7.80−7.74(mult,6H),7.59(dd,2H),7.50(dd,2H),7.36(d,4H),7.17(d,4H),1.78−1.34(mult,29H),0.90(t,6H).
<合成例2> 化合物M2の合成
Figure 0006707909
(stage1:化合物M2bの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M1a(790g)およびテトラヒドロフラン(脱水品、7.9L)を加え、攪拌しながら−70℃まで冷却した。その後、そこへ、sec−ブチルリチウムのへキサン溶液(1.1mol/L、1.1L)を、反応混合物の温度を−60℃以下に維持した状態で攪拌しながら、滴下した。その後、そこへ、1−ヨードブタン(450g)を−60℃で攪拌しながら滴下した後、−60℃で1.5時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで昇温した後、室温で2時間攪拌した。その後、そこへ、15重量%の塩化アンモニウム水溶液(1.6L)およびトルエン(1.6L)を加え、得られた有機層をイオン交換水で洗浄し、得られた有機層を減圧濃縮した。得られた油状物を、ヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、溶媒を減圧留去することにより、化合物M2b(460g、収率61%)を油状物として得た。化合物M2bのHPLC面積百分率値は78.1%であった。
(stage2:化合物M2cの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M2b(460g)、化合物B0(380g)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(37g)、酢酸カリウム(220g)および1,2−ジメトキシエタン(820mL)を加え、85℃で5時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、トルエン(2.3L)を加え、セライトとシリカゲルを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘキサンおよび活性炭を加え、室温で2時間攪拌した。得られた混合物を、セライトを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を、酢酸エチルおよびヘキサンの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、溶媒を減圧留去することにより、化合物M2c(370g、収率75%)を油状物として得た。化合物M2cのHPLC面積百分率値は99.3%であった。
(Stage3:化合物M2の合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M2c(25g)、化合物T0(32g)、トルエン(2.5L)、エタノール(360mL)、イオン交換水(720mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.5g)および炭酸ナトリウム(12g)を加え、65℃で15時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、イオン交換水で洗浄し、得られた有機層を減圧濃縮した。得られた残渣にヘキサン(360mL)を加えた後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を、ヘキサンを用いたアミノ基表面修飾型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(富士シリシア化学株式会社製、CHROMATOREX NH−DM1020)、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)(日本分析工業株式会社製、JAIGEL−2HとJAIGEL−2.5H)、並びに、酢酸エチルおよびメタノールの混合溶媒を用いた晶析を順次行うことにより、化合物M2(21g、収率60%)を無色固体として得た。化合物M2のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
TLC/MS(DART positive):m/z=930[M+H]
H−NMR(THF-d,300MHz):δ(ppm)=8.83(dd,2H),8.66(td,4H),7.99(d,1H),7.87(d,1H),7.77(td,4H),7.36(s,1H),7.29−7.23(mult,5H),7.10(d,4H),2.68(t,2H),1.76(s,4H),1.69−1.55(mult,6H),1.45−1.28(mult,14H),0.97−0.86(mult,9H).
<合成例3> 化合物M3合成
Figure 0006707909
(stage1:化合物M3bの合成)
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した化合物M3a(54g)およびテトラヒドロフラン(脱水品、540mL)を加え、攪拌しながら−75℃まで冷却した。その後、そこへ、n−ブチルリチウムのへキサン溶液(1.6mol/L、61mL)を、反応混合物の温度を−75〜−70℃に維持した状態で攪拌しながら、滴下し、−70℃で2時間攪拌した。その後、そこへ、イオン交換水(270mL)を加えた後、得られた反応混合物を室温まで昇温した。その後、そこへ、トルエン(270mL)を加え、得られた有機層をイオン交換水で洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を、ヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、溶媒を減圧留去することにより化合物M3b(32g、収率70%)を無色油状物として得た。化合物M3bのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
(stage2:化合物M3cの合成)
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M3b(32g)、化合物B0(18g)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(1.6g)、酢酸カリウム(19g)および1,4−ジオキサン(190mL)を加え、110℃で7時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、イオン交換水(180mL)およびクロロホルム(180mL)を加え、得られた有機層をイオン交換水により洗浄した。得られた混合物を、セライトとシリカゲルを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣に、トルエン(44mL)および活性炭(3.8g)を加え、室温で30分間攪拌した。得られた混合物を、セライトを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することにより、化合物M3c(34.5g、収率98%)を褐色油状物として得た。化合物M3cのHPLC面積百分率値は99.0%であった。
(Stage3:化合物M3の合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M3c(5.5g)、化合物T0(9.0g)、トルエン(560mL)、エタノール(120mL)、イオン交換水(160mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.58g)および炭酸ナトリウム(6.4g)を加え、70℃で19時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、イオン交換水で洗浄し、得られた有機層を減圧濃縮した。得られた残渣を、トルエンおよびヘキサンの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、次いで、酢酸エチルおよびエタノールの混合溶媒を用いた晶析を行うことにより、化合物M3(5.7g、収率72%)を無色固体として得た。化合物M3のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
LC/MS(APCI positive):m/z= 812[M+H]
H−NMR(THF-d,300MHz):δ(ppm)=8.83(dd,1H),8.72(d,1H),8.68(td,4H),8.03(d,1H),7.96(td,1H),7.77(td,4H),7.44−7.32(mult,3H),6.99(d,2H),6.88(s,1H),2.01(s,3H),1.76(s,4H),1.57(q,4H),1.35−1.20(mult,12H),0.84(t,6H).
<実施例1> 高分子化合物P1の合成
Figure 0006707909
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、特開2010−189630号公報記載の方法に従って合成した化合物M4(0.861g)、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した化合物M5(0.904g)、化合物M1(0.353g)、ジクロロビス(トリス−o‐メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.5mg)およびトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。
(工程2)その後、そこへ、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(12mL)を滴下し、6時間還流させた。
(工程3)その後、そこへ、フェニルボロン酸(85mg)およびジクロロビス(トリス−o‐メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.5mg)を加え、15時間還流させた。
(工程4)その後、そこへ、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を冷却した後、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P1を1.07g得た。高分子化合物P1のMnは7.1×104であり、Mwは1.7×105であった。
高分子化合物P1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M1から誘導される構成単位とが、50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
<実施例2> 高分子化合物P2の合成
高分子化合物P1の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、特開2010−189630号公報記載の方法に従って合成した化合物M4(0.859g)、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した化合物M5(0.904g)、化合物M2(0.328g)、ジクロロビス(トリス−o‐メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.5mg)およびトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物P1の合成と同様にすることで、高分子化合物P2を0.99g得た。高分子化合物P2のMnは6.4×10であり、Mwは1.4×10であった。
高分子化合物P2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位とが、50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
<実施例3> 高分子化合物P3の合成
高分子化合物P1の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、特開2010−189630号公報記載の方法に従って合成した化合物M4(0.859g)、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した化合物M5(0.904g)、化合物M3(0.287g)、ジクロロビス(トリス−o‐メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.5mg)およびトルエン(30mL)を加え、105℃に加熱した。」とする以外は、高分子化合物P1の合成と同様にすることで、高分子化合物P3を0.99g得た。高分子化合物P3のMnは6.5×10であり、Mwは1.5×10であった。
高分子化合物P3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M3から誘導される構成単位とが、50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
<比較例1> 高分子化合物CP1の合成
Figure 0006707909
化合物M6は、特開2012−036388号公報に記載の方法に従って合成した。
高分子化合物CP1は、化合物M4、化合物M5および化合物M6を用いて、特開2012−36388号公報に記載の「高分子化合物B」の方法に従って合成した。高分子化合物CP1のMnは9.6×10であり、Mwは2.2×10であった。
高分子化合物CP1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M4から誘導される構成単位と、化合物M5から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位とが、50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
<合成例4> 高分子化合物IP1の合成
Figure 0006707909
化合物M7は、特開2011−174062号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M8は、特表2007−512249号公報に記載の方法に従って合成した。
化合物M9は、市販品を用いた。
化合物M10は、特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した。
高分子化合物IP1は、化合物M7、化合物M8、化合物M9および化合物M10を用いて、特開2012−144722号公報に記載の「重合体9」の方法に従って公知のカップリング反応により合成した。高分子化合物IP1のMnは8.4×10であり、Mwは3.4×10であった。
高分子化合物IP1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M7から誘導される構成単位と、化合物M8から誘導される構成単位と、化合物M9から誘導される構成単位と、化合物M10から誘導される構成単位とが、50:30:12.5:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
<合成例5> 化合物M11合成
Figure 0006707909
(Stage1:化合物M11cの合成)
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M11a(22g、市販品)、化合物M11b(21g)、28重量%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(40g)およびメタノール(1.3L)を加え、65℃で11時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、35重量%塩酸(23g)を加え、1.5時間撹拌した。その後、得られた混合物をろ過することにより、化合物M11c(21g、収率52%)を茶色固体として得た。化合物M11cのHPLC面積百分率値は95.5%であった。この操作を繰り返し行うことにより、化合物M11cの必要量を得た。
LC−MS(ESI positive):m/z=715[M+K]
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=11.31(br,2H),7.82(s,2H),7.59(d,2H),7.41(d,2H),4.70(s,2H),4.04(s,6H),3.03(s,6H).
(Stage2:化合物M11dの合成)
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M11c(47g)、酢酸(380g)およびイオン交換水(47g)を加え、98℃で7時間攪拌した。得られた反応液を室温まで冷却した後、得られた混合物をろ過することにより、化合物M11d(26g、収率84%)を茶色固体として得た。化合物M11dのHPLC面積百分率値は93.6%であった。
LC−MS(APPI negative):m/z=443[M−H]
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=8.00(d,2H),7.52(dd,2H),7.27(d,2H),2.89(d,4H),2.64(d,4H).
(Stage3:化合物M11eの合成)
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物M11d(25g)、ヒドラジン一水和物(11g)、水酸化ナトリウム(13g)およびエチレングリコール(700mL)を加え、130℃で9.5時間攪拌した。得られた反応液を室温まで冷却し、その後、そこへ、トルエンを加えた後、イオン交換水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた混合物をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をトルエンおよびアセトニトリルの混合溶媒を用いて晶析することにより、M11e(17g、収率73%)を無色固体として得た。化合物M11eのHPLC面積百分率値は、99.2%であった。
LC−MS(APPI positive):m/z=416[M]
H−NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.93(d,2H),7.42(dd,2H),7.24(d,2H),2.20−2.08(mult,4H),2.00−1.86(mult,4H),1.72−1.55(mult,2H),1.51−1.36(mult,2H).
(Stage4:化合物M11fの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、マグネシウム(1.8g、削り状)、およびシクロペンチルメチルエーテル(脱水品、35mL)を加え、化合物A0(10g)を滴下した後、70℃で2時間攪拌し、得られた反応混合物を室温まで冷却することにより、Grignard試薬を調製した。次に、別の反応容器をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M11e(13g)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(0.05g)、およびシクロペンチルメチルエーテル(脱水品、250mL)を加え、攪拌しながら40℃まで加温した。その後、そこへ、先に調製したGrignard試薬を1時間かけて滴下し、45℃で3時間攪拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却し、6重量%塩酸を加え撹拌した後、この混合物をセライトを用いてろ過した。その後、得られたろ液にヘプタン(250mL)を加え攪拌した後、水層を分液除去し、得られた有機層をイオン交換水で洗浄し、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。その後、そこへ、活性炭(1.3g)を加え攪拌した後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を、ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー、次いで、酢酸エチルおよびアセトニトリルの混合溶媒を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより順次精製することにより化合物M11f(7.5g、収率52%)を無色油状物として得た。化合物M11fのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
(Stage5:化合物M11gの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M11f(8.0g)、化合物B0(6.3g)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(0.20g)、酢酸カリウム(3.2g)およびシクロペンチルメチルエーテル(脱水品、80mL)を加え、100℃で4時間攪拌した後、得られた反応混合物を室温まで冷却した。その後、そこへ、トルエン(80mL)およびイオン交換水(40mL)を加え攪拌した後、水層を分液除去し、得られた有機層をイオン交換水(40mL)で洗浄し、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をトルエンおよびヘキサンの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、次いで、得られた固体をアセトニトリルを用いて洗浄することにより化合物M11g(6.1g、収率70%)を無色固体として得た。化合物M11gのHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
(Stage6:化合物M11の合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M11g(3.3g)、化合物T0(4.0g)、トルエン(120mL)、エタノール(20mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.73g)、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(21g)およびイオン交換水(35mL)を加え、50℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、イオン交換水で洗浄し、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を、ヘキサンおよびトルエンの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、次いで、トルエンおよびエタノールの混合溶媒を用いた晶析を行うことにより、化合物M11(3.4g、収率68%)を無色固体として得た。化合物M11のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
LC/MS(APCI positive):m/z= 788[M+H]
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=9.29(s,1H),8.65(d,4H),8.57(d,1H),7.94(s,1H),7.72(d,4H),7.58(d,1H),7.34(d,1H),7.19(d,1H),2.73−2.68(mult,2H),2.27−1.98(mult,8H),1.74−1.64(mult,4H),1.55−1.27(mult,13H),0.95−0.88(mult,6H).
<合成例6> 化合物M12合成
Figure 0006707909
Figure 0006707909
(Stage1:化合物M12bの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、マグネシウム(5.4g、削り状)、およびシクロペンチルメチルエーテル(脱水品、180mL)を加え、化合物A0(45g)を滴下した後、45℃で1時間攪拌し、Grignard試薬を調製した。次に、別の反応容器をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M12a(35g、市販品)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(0.18g)、およびシクロペンチルメチルエーテル(脱水品、700mL)を加え、攪拌しながら40℃まで加温した。その後、そこへ、先に調製したGrignard試薬を滴下し、40℃で1時間攪拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却し、6重量%塩酸を加え撹拌した後、この混合物をセライトを用いてろ過した。その後、水層を分液除去した後、得られた有機層をイオン交換水で洗浄し、得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することにより化合物M12b(51g、収率123%)を黄色油状物として得た。化合物M12bのHPLC面積百分率値は58.1%であった。
(Stage2:化合物M12cの合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M12b(51g)、化合物B0(41g)、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(3.2g)、酢酸カリウム(16g)およびジメトキシエタン(620mL)を加え、100℃で5時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライトとシリカゲルを用いてろ過した。得られた有機層をイオン交換水により洗浄した後、減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘプタン(700mL)および活性炭(23g)を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物を、セライトを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた油状物を、ヘキサンおよび酢酸エチルの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した後、溶媒を減圧留去することにより、化合物M12c(29g、収率61%)を無色油状物として得た。化合物M12cのHPLC面積百分率値は98.0%であった。
(Stage3:化合物M12の合成)
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物M12c(3.5g)、化合物T0(5.1g)、トルエン(130mL)、エタノール(30mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.93g)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(27g)を加え、50℃で1.5時間撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、イオン交換水で洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、セライトとシリカゲルを用いてろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣に、ヘキサンおよびクロロホルムの混合溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、次いで、トルエンを用いた晶析を行うことにより、化合物M12(5.7g、収率72%)を無色固体として得た。化合物M12のHPLC面積百分率値は99.5%以上であった。
LC/MS(ESI positive):m/z= 696[M+H]
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=9.02(s,1H),8.80(d,1H),8.59(d,4H),7.89(s,1H),7.69(d,4H),7.63(d,1H),7.49(d,1H),7.32(d,1H),2.78(dd,2H),1.68(td,2H),1.48−1.42(mult,1H),1.39−1.33(mult,10H),0.93(t,6H).
<実施例4> 高分子化合物P4の合成
Figure 0006707909
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、国際公開第2012/086671号に記載の方法に従って合成した化合物M13(0.768g)、化合物M14(0.271g、市販品)、特開2012−144722号公報に記載の方法に従って合成した化合物M15(0.631g)、化合物M2(0.281g)、特開2004−143419号公報に記載の方法に従って合成した化合物M16(0.167g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.3mg)およびトルエン(30mL)を加え、90℃に加熱した。
(工程2)その後、そこへ、16重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(21g)を滴下し、5時間還流させた。
(工程3)その後、そこへ、フェニルボロン酸(73mg)およびジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.3mg)を加え、15時間還流させた。
(工程4)得られた反応混合物を室温まで冷却した後、10重量%塩酸水溶液で2回、3重量%アンモニア水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈澱が生じた。得られた沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P4を1.23g得た。高分子化合物P4のMnは5.4×104であり、Mwは1.3×105であった。
高分子化合物P4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M13から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位と、化合物M15から誘導される構成単位と、化合物M2から誘導される構成単位と、化合物M16から誘導される構成単位とが、36:14:32.5:10:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
<実施例5> 高分子化合物P5の合成
高分子化合物P4の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M13(0.768g)、化合物M14(0.271g)、化合物M15(0.631g)、化合物M12(0.210g)、化合物M16(0.167g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.3mg)およびトルエン(30mL)を加え、90℃に加熱した。」、
(工程2)を、「その後、そこへ、16重量%水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液(20g)を滴下し、7時間還流させた。」とする以外は、高分子化合物P4の合成と同様にすることで、高分子化合物P5を1.18g得た。高分子化合物P5のMnは5.3×10であり、Mwは1.3×10であった。
高分子化合物P5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M13から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位と、化合物M15から誘導される構成単位と、化合物M12から誘導される構成単位と、化合物M16から誘導される構成単位とが、36:14:32.5:10:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
<実施例6> 高分子化合物P6の合成
高分子化合物P4の合成における(工程1)を、「反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物M13(0.767g)、化合物M14(0.271g)、化合物M15(0.631g)、化合物M11(0.237g)、化合物M16(0.167g)、ジクロロビス(トリス−o−メトキシフェニルホスフィン)パラジウム(1.3mg)およびトルエン(30mL)を加え、90℃に加熱した。」、
(工程2)を、「その後、そこへ、16重量%水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液(20g)を滴下し、5時間還流させた。」とする以外は、高分子化合物P4の合成と同様にすることで、高分子化合物P6を1.16g得た。高分子化合物P6のMnは5.1×10であり、Mwは1.3×10であった。
高分子化合物P6は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M13から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位と、化合物M15から誘導される構成単位と、化合物M11から誘導される構成単位と、化合物M16から誘導される構成単位とが、36:14:32.5:10:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
<比較例2> 高分子化合物CP2の合成
高分子化合物CP2は、化合物M13、化合物M14、化合物M15、化合物M6および化合物M16を用いて、国際公開第2012/008550号に記載の「高分子化合物F」の方法に従って公知のカップリング反応により合成した。高分子化合物CP2のMnは8.5×10であり、Mwは2.4×10であった。
高分子化合物CP2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、化合物M13から誘導される構成単位と、化合物M14から誘導される構成単位と、化合物M15から誘導される構成単位と、化合物M6から誘導される構成単位と、化合物M16から誘導される構成単位とが、36:14:32.5:10:7.5のモル比で構成されてなる共重合体である。
<実施例D1> 発光素子D1の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により65nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物IP1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P1と、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した金属錯体COM−4とを、2.2重量%の濃度で溶解させた(高分子化合物P1/金属錯体COM−4=60重量%/40重量%)。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で150℃、10分間加熱することにより発光層を形成した。
Figure 0006707909
(陰極の形成)
発光層の形成した基板を蒸着機内において、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D1を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D1に電圧を印加することにより、520nmに発光スペクトルの最大ピーク波長を有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は14.1%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.3Vであった。結果を表2に示す。
<実施例D2> 発光素子D2の作製と評価
実施例D1における、高分子化合物P1に代えて高分子化合物P2を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D2を作製した。
発光素子D2に電圧を印加することにより、520nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は14.0%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.4Vであった。結果を表2に示す。
<実施例D3> 発光素子D3の作製と評価
実施例D1における、高分子化合物P1に代えて高分子化合物P3を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子D3を作製した。
発光素子D3に電圧を印加することにより、520nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は14.0%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.5Vであった。結果を表2に示す。
<比較例CD1> 発光素子CD1の作製と評価
実施例D1における、高分子化合物P1に代えて高分子化合物CP1を用い、高分子化合物CP1と金属錯体COM−4とを、1.8重量%の濃度でキシレンに溶解させたキシレン溶液(高分子化合物CP1/金属錯体COM−4=60重量%/40重量%)を用いた以外は、実施例D1と同様にして、発光素子CD1を作製した。
発光素子CD1に電圧を印加することにより、520nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は14.0%であった。電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は7.0Vであった。結果を表2に示す。
Figure 0006707909
<実施例D4> 発光素子D4の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により65nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物IP1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P1と、特開2011−105701号公報に記載の方法に従って合成した金属錯体COM−8とを、2.2重量%の濃度で溶解させた(高分子化合物P1/金属錯体COM−8=92.5重量%/7.5重量%)。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で、150℃、10分間加熱することにより発光層を形成した。
Figure 0006707909
(陰極の形成)
発光層の形成した基板を蒸着機内において、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D4を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D4に電圧を印加することにより、610nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は9.0%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.4Vであった。結果を表4に示す。
<実施例D5> 発光素子D5の作製と評価
実施例D4における、高分子化合物P1に代えて高分子化合物P2を用いた以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D5を作製した。
発光素子D5に電圧を印加することにより、610nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は7.2%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は7.8Vであった。結果を表4に示す。
<実施例D6> 発光素子D6の作製と評価
実施例D4における、高分子化合物P1に代えて高分子化合物P3を用いた以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D6を作製した。
発光素子D6に電圧を印加することにより、610nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は7.0%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は7.1Vであった。結果を表4に示す。
<比較例CD2> 発光素子CD2の作製と評価
実施例D4における、高分子化合物P1に代えて高分子化合物CP1を用い、高分子化合物CP1と金属錯体COM−8とを、1.8重量%の濃度でキシレンに溶解させたキシレン溶液(高分子化合物CP1/金属錯体COM−8=92.5重量%/7.5重量%)を用いた以外は、実施例D4と同様にして、発光素子CD2を作製した。
発光素子CD2に電圧を印加することにより、615nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は5.4%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は10.5Vであった。結果を表4に示す。
Figure 0006707909
<実施例D7> 発光素子D7の作製と評価
実施例D4における、金属錯体COM−8に代えて、特開2006−188673号公報に記載の方法に準じて合成した金属錯体COM−5を用いた以外は、実施例D4と同様にして、発光素子D7を作製した。
Figure 0006707909
発光素子D7に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は7.9%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.3Vであった。結果を表5に示す。
<実施例D8> 発光素子D8の作製と評価
実施例D5における、金属錯体COM−8に代えて、金属錯体COM−5を用いた以外は実施例D5と同様にして、発光素子D8を作製した。
発光素子D8に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は7.0%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.8Vであった。結果を表5に示す。
<実施例D9> 発光素子D9の作製と評価
実施例D6における、金属錯体COM−8に代えて、金属錯体COM−5を用いた以外は、実施例D6と同様にして、発光素子D9を作製した。
発光素子D9に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は7.0%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は6.7Vであった。結果を表5に示す。
<比較例CD3> 発光素子CD3の作製と評価
比較例CD2における、金属錯体COM−8に代えて、金属錯体COM−5を用い、高分子化合物CP1と金属錯体COM−5とを、1.8重量%の濃度でキシレンに溶解させた以外は、比較例CD2と同様にして、発光素子CD3を作製した。
発光素子CD3に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は5.6%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は8.3Vであった。結果を表5に示す。
Figure 0006707909
これらの結果から、本発明の高分子化合物P1、高分子化合物P2または高分子化合物P3を含有する発光素子は、高分子化合物CP1を含有する発光素子と比較して、駆動電圧が低いことが分かる。
<実施例D10> 発光素子D10の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板にスパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、正孔注入材料であるND−3202(日産化学工業製)をスピンコート法により65nmの厚さで成膜した。大気雰囲気下において、ホットプレート上で50℃、3分間加熱し、更に230℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物IP1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で180℃、60分間加熱することにより正孔輸送層を形成した。
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P5と、金属錯体COM−8とを、2.0重量%の濃度で溶解させた(高分子化合物P5/金属錯体COM−8=92.5重量%/7.5重量%)。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、ホットプレート上で、150℃、10分間加熱することにより発光層を形成した。
(陰極の形成)
発光層の形成した基板を蒸着機内において、1.0×10−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約4nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約80nm蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止することにより、発光素子D10を作製した。
(発光素子の評価)
発光素子D10に電圧を印加することにより、615nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は13.9%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は4.8Vであった。結果を表6に示す。
<比較例CD4> 発光素子CD4の作製と評価
実施例D10における、高分子化合物P5に代えて、高分子化合物CP2を用いた以外は、実施例D10と同様にして、発光素子CD4を作製した。
発光素子CD4に電圧を印加することにより、615nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は13.3%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は5.0Vであった。結果を表6に示す。
Figure 0006707909
<実施例D11> 発光素子D11の作製と評価
実施例D10における、金属錯体COM−8に代えて、金属錯体COM−5を用いた以外は、実施例D10と同様にして、発光素子D11を作製した。
発光素子D11に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は11.1%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は4.8Vであった。結果を表7に示す。
<実施例D12> 発光素子D12の作製と評価
実施例D11における、高分子化合物P5に代えて、高分子化合物P4を用いた以外は、実施例D11と同様にして、発光素子D12を作製した。
発光素子D12に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は10.8%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は4.8Vであった。結果を表7に示す。
<実施例CD5> 発光素子CD5の作製と評価
実施例D11における、高分子化合物P5に代えて、高分子化合物CP2を用いた以外は、実施例D11と同様にして、発光素子CD5を作製した。
発光素子CD5に電圧を印加することにより、625nmに発光スペクトルの最大ピークを有するEL発光が観測された。1000cd/mにおける外部量子効率は10.5%であり、電流密度が10mA/cmにおける駆動電圧は5.0Vであった。結果を表7に示す。
Figure 0006707909
これらの結果から、本発明の高分子化合物P5または高分子化合物P4を含有する発光素子は、高分子化合物CP2を含有する発光素子と比較して、駆動電圧が低いことが分かる。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物。
    Figure 0006707909
    [式中、
    、ZおよびZは、それぞれ独立に、窒素原子または−CR=を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、Z、ZおよびZからなる群から選ばれる少なくともつは窒素原子である。
    は、単結合、−NR−で表される基、酸素原子または硫黄原子を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
    は、−CRY1Y2−で表される基、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基、−CRY7=CRY8−で表される基、−NRY9−で表される基、酸素原子または硫黄原子を表す。RY1、RY2、RY3、RY4、RY5、RY6、RY7、RY8およびRY9は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RY1とRY2、RY3とRY4、RY3とRY5、RY4とRY6、RY5とRY6、RY7とRY8は、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
    ArおよびArは、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。但し、Xが単結合であり、Yが−CRY1Y2−で表される基である場合、ArおよびArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいナフタレンジイル基である。
    、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRは、同一でも異なっていてもよく、隣接するR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。RとR、RとR、RとRは、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
  2. 前記ArおよびArが、置換基を有していてもよいフェニレン基または置換基を有していてもよいナフタレンジイル基である、請求項1に記載の高分子化合物。
  3. 前記Xが、単結合である、請求項1または2に記載の高分子化合物。
  4. 前記Yが、−CRY1Y2−で表される基、または、−CRY3Y4−CRY5Y6−で表される基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  5. 前記Yが、−CRY1Y2−で表される基であり、
    Y1およびRY2が、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である、請求項4に記載の高分子化合物。
  6. 前記式(1)で表される構成単位が、下記式(2)または(3)で表される構成単位である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
    Figure 0006707909
    [式中、
    、Z、Z、Ar、Ar、X、Y、R、R、RおよびRは、前記と同じ意味を表す。
    11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R11とR12、R13とR14は、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
  7. 前記Z、ZおよびZが、窒素原子である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  8. 前記ArおよびArが、同一の基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高分子化合物。
  9. 更に、下記式(Y)で表される構成単位を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の高分子化合物。
    Figure 0006707909
    [式中、ArY1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
  10. 更に、下記式(X)で表される構成単位を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の高分子化合物。
    Figure 0006707909
    [式中、
    X1およびaX2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
    ArX1およびArX3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
    ArX2およびArX4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArX2およびArX4が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
    X1、RX2およびRX3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RX2およびRX3が複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物と、
    正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、発光材料、酸化防止剤および溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の材料とを含有する組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する発光素子。
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