JP6702128B2 - 基礎構造、鋼管杭の杭頭構造、及び基礎構造の施工方法 - Google Patents
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Description
すなわち、鋼管杭は、杭打重機を用いて現場で地盤中に打設され、施工誤差が必ず生じるが、結果的にこれが鋼管杭の杭軸と上部架構柱の柱軸との水平方向のずれを生じさせることとなり、これを修正するために、鋼管杭の施工精度に合わせて、上部架構柱2のベースプレート10への取付け位置を修正したり、ベースプレートの構造を変更したりせねばならず、施工が煩雑であるとともに、コストが増大する問題があった。
また、鋼管杭3と上部架構柱2の連結部材102の空間寸法が小さいため、必然的に上部架構柱2と連結部材との接続手段は、現場での溶着固定部100の手段しかなく、上部架構柱2の荷重が大きい場合は、ベースプレート10や溶着固定部100を堅固な仕様にする必要があり、さらにコストを増大させる要因となっていた。
さらに、充填コンクリート103は、上部架構柱2とベースプレート101設置後に施工しないとならず、閉鎖空間への確実な充填を行うために、流動性の高い特殊なコンクリートや特殊な充填確認手段を用いる必要があり、施工の煩雑さとコストの上昇を助長していた。
そして、円筒状鋼管の内面にはずれ止め部材が設けられており、充填コンクリートとの付着力を大きくすることができるので、上部架構柱の荷重を外鋼管から鋼管杭に確実に伝達できる。つまり、上部架構柱の荷重は先ず充填コンクリートに伝達され、さらにこの荷重が外鋼管に伝わり、円錐状鋼管から鋼管杭に伝達されることになる。
また、鋼管杭と連結部材の接点は、直接、溶接等で当接させて固着させるため、掘削深さが深くなることがなく接合作業が容易になる。
また、本発明では、色々な上部架構柱の固定方法を用いることが可能で、さらに充填コンクリートの施工において、特殊な材料や品質確認手段を講じる必要がなくなる利点がある。
図1に示すように、本実施の形態による基礎構造1は、上部架構の上部架構柱2と、地中に打設された鋼管杭3の杭頭部3Aと、が連結部材4を介して接合された構造である。なお、本実施の形態では、杭頭部3Aの全体が地中に位置し、連結部材4の上側の一部が地上に露出した状態で配置されている。
外鋼管41は、上部架構柱2と鋼管杭3との間に配置され、鋼管杭3の杭径D1より大径(符号D2)の円筒状鋼管43と、円筒状鋼管43の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管44と、を備えている。
連結部材4は、杭頭部3Aの内側に円錐状鋼管44の略下半部分が挿入された状態で、円錐状鋼管44が杭頭部3Aとの接点(溶着部W)で溶着されている。
先ず、図3(a)〜(c)に示すように、先行して打設された鋼管杭3の杭頭部3Aに連結部材4を接合する。具体的には、図3(a)に示すように、連結部材4のうちずれ止め部材45が固着された外鋼管41を、この管軸O3が杭軸O2と一致するようにして杭頭部3A内に上方から挿入させ、図3(b)に示すように杭頭部3Aの上端部3aと外鋼管41とが当接した当接部を杭頭部3Aの外側から全周にわたって溶接し、溶着部Wによって杭頭部3Aと連結部材4を接合する。
このように、杭頭部3Aに接合した外鋼管41内に充填コンクリート42が充填された状態で連結部材4の杭頭部3Aに対する接合が完了となる。
その後、図4(b)に示すように、アンカー打設領域22Aにモルタル材47を充填し、アンカーボルト22をモルタル材47に定着させる。その後、上部架構柱2に固着されているベースプレート21の貫通穴21aにアンカーボルト22を挿通させてナット23で締め付けることで、上部架構柱2がアンカーボルト22を介して連結部材4に固定され、基礎構造1の施工が完了となる。
また、鋼管杭3と連結部材4との接点は、直接、溶接等で当接させて固着させるため、掘削深さが深くなることがなく接合作業が容易になる。
図6に示すように、第2の実施の形態では、上部架構柱2の下端部2aが直接、連結部材4の外鋼管41の内部に充填されている充填コンクリート42内に埋設された構成となっている。本第2の実施の形態では、上部架構柱2の下端部2aを直接、連結部材4の外鋼管41の内部に配置した後、外鋼管41内に充填コンクリート42を充填させて硬化させる方法により施工される。
この場合には、上述した第1の実施の形態のようなアンカーボルト22からなる埋込具を充填コンクリート42に埋め込む構成ではないことから、ベースプレート21や埋込具を省略した簡単な構成とすることができる。
なお、第2の実施の形態において、上部架構柱2の下端にベースプレートを固定させた状態で充填コンクリート42に埋設する構成であってもよい。
例えば、図7に示す第1変形例のように、連結部材4の円筒状鋼管43の内面43aの上端部のみにずれ止め部材として棒鋼45Aを設ける構成であってもよい。
また、本実施の形態では、ずれ止め部材45を全周に設けているが、周方向に部分的に配置されていてもよい。
例えば、図9(a)に示す変形例による基礎構造1の施工方法では、連結部材4において、充填コンクリート42の充填前に、アンカーボルト22を外鋼管41の内側の所定位置に仮固定した状態で配置し、その後、充填コンクリート42を充填する。図9(b)に示すように、充填コンクリート42が硬化した後に、充填コンクリート42に定着したアンカーボルト22に上部架構柱2に固着されたベースプレート21を固定する。
この場合も、外鋼管41の内側の範囲(充填コンクリートの領域)において任意の位置に上部架構柱2のアンカーボルト22をを埋設することができるので、鋼管杭3の杭軸O2が上部架構柱2の柱軸O1と水平方向にずれている場合であっても、その水平方向のずれを吸収して上部架構柱2を設計通りの位置で連結部材4に接合することができる。
また、予め箱抜きを形成せず、何も細工しないで充填コンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後に、コアボーリングにより孔(箱抜き)を設けるようにしてもよい。
2 上部架構柱
3 鋼管杭
3A 杭頭部
4 連結部材
21 ベースプレート
22 アンカーボルト(埋込具)
22A アンカー打設領域
41 外鋼管
42 充填コンクリート
43 円筒状鋼管
44 円錐状鋼管
45 ずれ止め部材
46 箱抜き部材
O1 柱軸
O2 杭軸
O3 管軸
Claims (8)
- 上部架構柱と、地中に打設された鋼管杭の杭頭部と、が接合された基礎構造であって、
前記上部架構柱と前記鋼管杭との間に配置され、前記鋼管杭の杭径より大径の円筒状鋼管、及び前記円筒状鋼管の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管を有する外鋼管と、
前記外鋼管の内部に充填された充填コンクリートと、
を備えた連結部材が設けられ、
前記上部架構柱は、一部が前記充填コンクリートに固着される埋込具を介して前記外鋼管に接続され、
前記円筒状鋼管の内面には、前記充填コンクリートとの付着力を高めるためのずれ止め部材が設けられ、
前記連結部材は、前記鋼管杭の杭頭部内に前記円錐状鋼管の少なくとも一部が挿入された状態で、該円錐状鋼管が前記杭頭部との接点で溶着されていることを特徴とする基礎構造。 - 上部架構柱と、地中に打設された鋼管杭の杭頭部と、が接合された基礎構造であって、
前記上部架構柱と前記鋼管杭との間に配置され、前記鋼管杭の杭径より大径の円筒状鋼管、及び前記円筒状鋼管の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管を有する外鋼管と、
前記外鋼管の内部に充填された充填コンクリートと、
を備えた連結部材が設けられ、
前記上部架構柱の下端部分は、前記充填コンクリートに埋設され、
前記円筒状鋼管の内面には、前記充填コンクリートとの付着力を高めるためのずれ止め部材が設けられ、
前記連結部材は、前記鋼管杭の杭頭部内に前記円錐状鋼管の少なくとも一部が挿入された状態で、該円錐状鋼管が前記杭頭部との接点で溶着されていることを特徴とする基礎構造。 - 前記埋込具は、アンカーボルトであることを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
- 前記充填コンクリートには、前記埋込具を埋設するために必要な領域を有する箱抜き部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は3に記載の基礎構造。
- 前記ずれ止め部材は、前記円筒状鋼管の内周方向に沿ってリング状に形成された棒鋼または平鋼であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基礎構造。
- 前記円筒状鋼管の内面には、突起が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基礎構造。
- 上部架構柱に接合される鋼管杭の杭頭構造であって、
地中に打設された鋼管杭の杭頭部と、
前記上部架構柱と前記鋼管杭との間に配置され、前記鋼管杭の杭径より大径の円筒状鋼管、及び前記円筒状鋼管の下端から下方に向けて縮径された円錐状鋼管を有する外鋼管と、
前記外鋼管の内部に充填された充填コンクリートと、
を備えた連結部材が設けられ、
前記円筒状鋼管の内面には、前記充填コンクリートとの付着力を高めるためのずれ止め部材が設けられ、
前記連結部材は、前記鋼管杭の杭頭部内に前記円錐状鋼管の少なくとも一部が挿入された状態で、該円錐状鋼管が前記杭頭部との接点で溶着されていることを特徴とする鋼管杭の杭頭構造。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基礎構造の施工方法であって、
前記杭頭部の内側に上方から前記円錐状鋼管を挿入させ、前記杭頭部と前記円錐状鋼管とが当接する接点を溶着する工程と、
前記外鋼管の内側に前記上部架構柱を配置する工程と、
前記外鋼管の内部にコンクリートを充填して充填コンクリートを設ける工程と、
を有することを特徴とする基礎構造の施工方法。
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