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JP6781800B1 - ゴム補強用金属線及び、ゴム補強用金属線の製造方法 - Google Patents

ゴム補強用金属線及び、ゴム補強用金属線の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゴム補強用金属線とゴムの間の接着界面の強度特性を向上することができるとともに、ゴムの酸化劣化を抑制してゴムの耐久性を向上することができる技術を提供する。【解決手段】銅と亜鉛とを含むブラスメッキ層が表面に設けられたゴム補強用金属線1であって、ブラスメッキ層30bの表層にコバルトを含有し、ブラスメッキ層30bの表面におけるコバルト濃度が、3原子%以上7原子%以下とする。これにより、ゴム中に予めコバルトを含有させる必要がなくなり、コバルトの酸化によるゴム劣化を抑制できる。【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤ等のゴムの補強材として使用されるスチールコード等のゴム補強用金属線およびその製造方法に関するものである。
従来より、スチールラジアルタイヤではゴムの補強のために、ベルトやカーカス用ボディープライにブラスメッキを施したスチールコードが使用されている。スチールコードにはブラスメッキ(Cu-Zn合金)が被覆され、ゴム加硫時にブラスとゴムの間の界面反
応が生じることにより、ブラスとゴムとの接着が強化され、結果としてタイヤが補強される。このように、スチールコードとゴムの間の接着界面の強度特性はタイヤの寿命を決定する重要な要因となっている。
この技術に関しては、第1金属被覆層及び第2金属被覆層を有し、第2層が第1層の少なくとも一部を被覆し、すくなくとも1の非金属成分を包含する結合層が2の層の間に存在する鋼基体に関する発明が公知である(特許文献1を参照。)。
ここで、スチールコードとゴムの間の接着界面の強度特性を向上させるためには、ゴム成分やメッキを構成する金属成分の最適化が必要である。例えば、タイヤの加硫製造においては、スチールコードとゴムの間の接着反応を促進するために、ゴムにCo塩を添加することが知られている。この技術に関しては、メッキ前素線の表面にブラスメッキ層を設けかつ伸線したメッキ素線からなる金属コードに、ゴムを加硫接着したゴム・コード複合体であって、ゴムとブラスメッキ層との間に、硫黄と銅とが架橋反応した接着反応層を有する発明が公知である(特許文献2を参照)。
この発明においては、ゴムを加硫接着しかつ温度50〜100℃、湿度60〜100%の雰囲気下で1時間〜20日間保持した後の湿熱劣化状態において、接着反応層の平均厚さを50nm〜1000nm、しかも接着反応層とゴムとの界面のフラクタル次元を1.001〜1.300の範囲とし、且つ、ブラスメッキ層は、メッキ100重量部に対して、0.1〜5.0重量部のコバルト、又は1.0〜10.0重量部のニッケルを含ませる。
さらに、ゴム組成物と、ブラスめっき付きスチールフィラメントまたはこれらを撚り合わせて形成されるスチールコードとからなる、ゴム−スチールコード複合体に関しては、以下の発明が公知である(特許文献3を参照)。この発明において、ゴム組成物は、ゴム成分100重量部と、コバルト金属として0.1重量部以下のコバルト塩とを配合してなる。また、ブラスめっき付きスチールフィラメントまたはこれらを撚り合わせて形成されるスチールコードは、周面に表面の銅濃度が15〜45原子%のブラスめっきを施されたスチールフィラメントの該周表面からフィラメント半径方向内側に15nmの深さまでの表層領域に、コバルト(Co)原子およびニッケル(Ni)原子のうち少なくとも1種を含有してなる。
しかしながら、Co塩の添加は加硫ゴムを酸化して劣化を引き起こし、タイヤの耐久性を低下させる原因ともなっている。また、Co塩は高価であり、その使用量を減らす事が望まれている。
特開平1−294873号公報 特開2007−186840号公報 特開2002−13085号公報
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、ゴム補強用金属線とゴムの間の接着界面の強度特性を向上できるとともに、ゴムの酸化による劣化を抑制してゴムの耐久性を向上できる技術を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明は、銅と亜鉛とを含むブラスメッキ層が表面に設けられたゴム補強用金属線であって、
前記ブラスメッキ層の表層にコバルトを含有し、
前記ブラスメッキ層の表面におけるコバルト濃度が、3原子%以上7原子%以下であることを特徴とする、ゴム補強用金属線である。
本発明においては、ゴム補強用金属線の表面に設けられたブラスメッキ層における表面に、3原子%以上7原子%以下の濃度でコバルトを含有することとした。これによれば、金属線によりゴムを補強した際に、ゴムと金属線の間に生じる反応層中に適切な濃度のコバルトを存在させることができる。その結果、反応前にゴム中にコバルトを含有させる必要がなくなりコバルトの酸化によってゴムが劣化することを抑制できる。
また、本発明においては、前記コバルトを、前記ブラスメッキ層の表面から9nm以下の深さの領域に含有するようにしてもよい。そうすれば、コバルトがブラスメッキ層の表面付近に集中的に存在するようにでき、金属線によりゴムを補強する場合において、ゴムと金属線の加硫反応時に、ゴムへ確実にコバルトを供給することができる。
また、本発明においては、前記ブラスメッキ層の表面から深さ9nmまでの領域における銅濃度が45原子%以上であるようにしてもよい。
ここで、ブラスメッキ層中に存在するコバルトは、金属線によりゴムを補強した際に、ゴムと金属線の間の反応層中において、ゴム中の硫黄(S)とブラスメッキ層中の銅(Cu)の反応を阻害するため、ブラスメッキ層の表層における銅濃度が低すぎる場合には、ゴムと金属線の間の反応が悪くなり充分な初期接着強度を得ることが困難になる。
よって、本発明においては、金属線のブラスメッキ層の表面から深さ9nmまでの領域における銅濃度を45原子%以上とした。これによれば、ブラスメッキ層の表層にコバルトを含有させたとしても、ゴムと金属線の間の反応層中において、ゴム中の硫黄(S)とブラスメッキ層中の銅(Cu)とを充分に反応させることができ、充分な初期接着強度を得ることが可能となる。
また、本発明においては、前記ブラスメッキ層全体におけるコバルト濃度が、0.1重量%以下であるようにしてもよい。ここで、ブラスメッキ層全体におけるコバルト濃度が、0.1重量%を超える場合には、ゴムと金属線の間の反応層におけるコバルト濃度が高すぎ、反応層の厚みが厚くなりすぎる場合が有る。そのことは、反応層破壊の原因となることが分かっている。
これに対し、本発明によれば、ゴムと金属線の間の反応層におけるコバルト濃度を適切に維持することが可能となり、反応層の厚みの過剰な拡大を抑制し、反応層破壊の発生を
抑制することが可能である。
また、本発明においては、前記コバルト原子は、前記ブラスメッキ層の表層に置換メッキされることで含有されるようにしてもよい。これによれば、ブラスメッキ層の表層におけるコバルト原子の濃度をより精密に制御することが可能であり、より確実に、ゴムと金属線の間の初期接着の状態を向上させることができ、さらに、より確実に、コバルトによる反応層の過剰な拡大を抑制することができる。
また、本発明は、線材を伸線する複数段の伸線工程と、
前記伸線工程において伸線された複数本の線材を撚り合わせる撚り線工程と、
前記複数段の伸線工程のうち、少なくとも最後の伸線工程の前の段階において前記線材にブラスメッキを行うブラスメッキ工程と、
前記ブラスメッキ工程において形成されたブラスメッキ層の表層に置換メッキによってコバルトを含有させるコバルトメッキ工程と、
を有し、
前記コバルトメッキ工程は、全ての前記伸線工程及び撚り線工程の後に実施されることを特徴とする、ゴム補強用金属線の製造方法であってもよい。
この製造方法によれば、金属線の表面にコバルトメッキが形成された状態で線材の伸線または撚り線が行われることを防止でき、これらの工程において比較的脆いコバルトメッキが剥がれたり割れたりすることを防止できる。
なお、本発明においては、課題を解決するための上記の手段を、可能な限り組み合わせて使用することができる。
本発明によれば、ゴム補強用金属線とゴムの間の接着界面の強度特性を向上できるとともに、ゴムの酸化劣化を抑制してゴムの耐久性を向上することができる。
本発明におけるスチールコードの断面図の例を示す図である。 従来のスチールコードと、ゴムとの接着状態の例を示す図である。 本発明におけるスチールコードと、ゴムとの接着状態の例を示す図である。 本発明におけるスチールコードと、ゴムとの接着状態の例を示す第2の図である。 本発明におけるスチールコードの製造工程を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下に説明する態様に限定されない。
<実施例1>
図1に、本実施例におけるタイヤ補強用スチールコード1(以下、単にスチールコード1ともいう。)の断面図の一例を示す。図1に示すようなスチールコード1は複数本のフィラメント2を撚り合わせた構造であり、さらに、複数のスチールコード1が所定間隔をおいて平行に引揃えられた状態でゴム材により被覆されることで、タイヤが補強される。したがって、スチールコード1として必要不可欠な条件は、機械的強度に優れること及び、ゴム材との化学的な接着が良好であることである。
図1におけるスチールコード1のフィラメント2の表面には、従来より、ブラスメッキが形成されることが多い。このブラスメッキは、銅と亜鉛とを主成分とした2元合金メッキである。そして、スチールコード1によりゴム材を補強する場合には、複数のスチールコード1を平行に引揃えた上で、配列された複数のスチールコード1の表裏をゴム材により被覆しかつ加硫接着する。この「加硫接着」は、未加硫の生タイヤを金型内で加硫成形する際の加硫熱によって実施される。その際のゴム材としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等のジエン系ゴムが好適である。このジエン系ゴムは、単独で或いは2種以上をブレンドして使用される。
ここで、ゴム材とスチールコード1の加硫接着においては、その接着速度と接着強度の観点から、接着のプロモーターとしてCo塩やNi塩を相当の割合でゴム中に添加することおよび硫黄を高配合する場合がある。しかし、このように添加された接着プロモーターや硫黄は接着反応の促進には有効であるが、加硫ゴムの劣化すなわち加硫戻りを引き起こし、タイヤ耐久性を低下させる原因にもなっている。
<コバルト(Co)のゴム中分散>
図2は、従来のスチールコード1と、ゴムとの接着状態を示す図である。図2は、より詳細には、スチールコード1の表層部分10における鋼表面10aにメッキ層10bが形成され、さらに、ゴム12と接着された界面付近を示している。図2(a)は未加硫状態、図2(b)は加硫反応後の初期接着状態、図2(c)は使用後の湿熱劣化状態を示す。また、図2において、メッキ層10bはブラスメッキ(Cu−Zn)であり、ゴム12には硫黄(S)の他、接着性を改善するためのコバルト(Co)が分散されている。
図2(b)の加硫反応後においては、メッキ層10bの銅(Cu)と亜鉛(Zn)がゴム12側に拡散されるとともに、ゴム12中の硫黄(S)がメッキ層10b側に拡散することで、ZnO層とCuxS層からなる反応層が形成される。この反応層により、ゴム12とスチールコード1は強固に接着されている。そして、図2(c)に示す使用後においては、メッキ層10bの銅(Cu)と亜鉛(Zn)がゴム12側にさらに熱拡散する。このことで、ZnO層の厚みが拡大するとともに、CuxS層にはZnS成分が増加して厚みが拡大する。このことによって反応層の厚みは拡大する。一方で、ゴム12内においては、コバルト(Co)が酸化することでゴム12の劣化を惹起し、ゴム12の剥離の原因となる。
このように、従来から行われている、スチールコード1にブラスメッキを施すとともにゴム12内にコバルト(Co)を分散させて接着した構造においては、スチールコード1とゴム12の接着強度は向上する。しかしながら、一方で、コバルト(Co)が酸化することによるゴム12の劣化を促進してしまい、且つ、反応層が肥大化することで接着強度が弱くなってしまう不都合があった。
<3元メッキの使用>
また、スチールコード1のメッキ層として、銅、亜鉛及びコバルト(Co)の3元メッキを施すことより、メッキ層からゴム12側へコバルト(Co)を供給させることも行われている。しかしながら、この場合には、メッキ層がコバルト(Co)を含有するため、メッキ層の伸線加工性が現行のブラスメッキよりも劣るという問題点がある。また、ゴム12と反応する量よりも過剰なコバルト(Co)がメッキ層に含有されているためゴム12の劣化が早くなるという問題点もある。
<コバルト(Co)メッキ層の追加>
上記のような不都合に対し、本実施例においては、スチールコード1にはブラスメッキ(Cu−Zn)を施すとともに、さらにコバルト(Co)メッキを形成することで、ブラ
スメッキ(Cu−Zn)層の表層にコバルトを含有させた上で、ゴムと接着することとした。
図3には、本実施例におけるスチールコード1と、ゴム32との接着状態を示す。図3は、より詳細には、スチールコード1の表層部分30における鋼表面30aにメッキ層30bが形成され、さらに、ゴム32と接着された界面付近を示している。また、図3(a)は未加硫状態、図3(b)は加硫反応の初期状態を示す。
本実施例においては、図3(a)に示すように、未加硫状態において、ブラスメッキ(Cu−Zn)によるメッキ層30bの表面に極少量のコバルト(Co)メッキ層31を置換メッキによって形成させ、このことで、メッキ層30bの表層にコバルトを含有させる。これによれば、図3(b)に示すように、加硫反応後の初期状態において、ゴム32のスチールコード1との接着界面付近のゴムへ集中的にコバルト(Co)を分散させることができる。なお、本実施例においては、コバルト(Co)メッキ層31を置換メッキにより形成しており、合計200〜300nm程度の厚みを有するメッキ層30bの表面から9nm以下の深さの領域に集中的に含有させている。
次に、図4には、本実施例におけるスチールコード1と、ゴム32との接着状態における図3の後の状態を示す。図4(a)は加硫反応後の早期の状態、図4(b)は使用後の湿熱劣化状態を示す。
図4(a)の加硫反応後の早期の状態においては、メッキ層30bの銅(Cu)と亜鉛(Zn)がゴム32側に拡散されるとともに、ゴム32中の硫黄(S)がメッキ層30b側に拡散することで、ZnO層とCuxS層からなる反応層33が形成される。この反応層33により、ゴム32とスチールコード1は強固に接着されている。そして、図4(b)に示す使用後においては、メッキ層30bの銅(Cu)と亜鉛(Zn)がゴム32側にさらに拡散する。このことで、ZnO層の厚みが拡大するとともに、CuxS層にはZnS成分が増加して反応層33の厚みが拡大する。この状態においても、ゴム32中へのコバルト(Co)の分散が限られているので、コバルト(Co)の酸化によるゴム32の劣化は抑制される。
なお、図4(b)に示す使用後の湿熱劣化状態において、CuxS層+ZnS成分による反応層における、銅(Cu)濃度と亜鉛(Zn)濃度との関係は、銅(Cu)濃度>亜鉛(Zn)濃度の関係が認められた(図2(c)においては、銅(Cu)濃度<亜鉛(Zn)となっていた。)。
このように、本実施例においては、ZnO層とCuxS層からなる反応層を充分に拡大させることができるとともに、ゴム32への過剰なコバルト(Co)の拡散を抑制できる。よって、使用後の湿熱劣化状態においても、ゴム32のスチールコード1との接着強度を充分に維持することができる。また、ゴム32にはコバルト(Co)が配合されていないため、コバルト(Co)の酸化に起因するゴム32の劣化、剥離を抑制することが可能となる。
次に、本発明を適用したスチールコード1を実際にゴムと接着した場合の各特性値の実測結果の例について説明する。
<ゴム組成物の作製>
この実測においては、以下の表1に記載の配合にしたがってバンバリーミキサーで混練りしてゴム組成物を作製した。
Figure 0006781800
<湿熱老化後の接着性の評価>
表1に示したゴム組成物を用いてスチールコード1を被覆し、150℃の条件下で30分間プレス加硫し、その後、温度105℃の飽和蒸気内で96時間の湿熱劣化試験し、評価試験片を作製した。そして、スチールコード1のコバルトメッキの表面におけるコバルト表面濃度(原子%)を各々0%、3%、7%、11%、17%とした場合について、初期接着時及び湿熱劣化後におけるCuxSのXの値、Cu/Znの濃度比の値及び、反応層厚み(μm)の値を、オージェ分析装置(PHI700 アルバック・ファイ株式会社製)で実測した。なお、反応層の評価においては、CuxSのXの値が1以上、反応層厚みが0.30μm未満であれば良好と言える。さらに、湿熱劣化後のCu/Znの濃度比の値は先述のように1以上であれば良好と言える。
上記の特性値の実測結果を表2に示す。表2に示すように、メッキ層の表面におけるコバルト表面濃度が3%以上7%以下である場合には、初期接着時、湿熱劣化後ともに良好な結果を得た。
Figure 0006781800
表3には、表2においてメッキ層表面におけるコバルト濃度が3%である試料と、7%である試料についての他の特性について示す。
Figure 0006781800
表3に示すように、本実施例においては、コバルト(Co)を、ブラスメッキ(Cu−Zn)によるメッキ層30bの表面から9nm以下の深さの領域に含有するようにした。これにより、コバルト(Co)がメッキ層30bの表面付近に集中的に存在するようにでき、スチールコード1によりゴム32を補強する場合において、ゴム32とスチールコード1の加硫反応時に、ゴム32へ確実にコバルト(Co)を供給し、接着性を向上させることができた。
また、本実施例においては、メッキ層30bの表面から深さ9nmまでの領域における銅濃度が45原子%以上になっているので、メッキ層30bの表層にコバルト(Co)を含有させたとしても、ゴム32とスチールコード1の間の反応層中において、ゴム32中の硫黄(S)とメッキ層30b中の銅(Cu)とを充分に反応させることができ、充分な初期接着強度を得られた。
また、本実施例においては、メッキ層30b全体におけるコバルト濃度が、0.1重量%以下としているので、ゴム32とスチールコード1の間の反応層におけるコバルト(Co)濃度を適切に維持でき、反応層の厚みの過剰な拡大が抑制でき、反応層破壊の発生を抑制できた。
次に図5には、本実施例におけるスチールコード1の製造過程のフローチャートを示す。本製造方法によれば、まず、S101においてフィラメント2の素材である線材を酸にて洗浄する。より具体的には、製線、製鋼、圧延工程を経て形成された線材に対し、酸にて表面を処理をすることで金属表面に生じる「サビ」や微細な「スケール」を除去する。そして、S102においては、一次伸線及び一次焼線が行われる。この一次伸線においては、初期段階で例えばφ5.5mmの線材を伸ばすことで、より細くするとともに強度を向上させる。さらに、一次伸線された線材に対して焼線を行うことで、靱性を回復させ、伸線性や圧延性を維持する。
次に、S103においては、さらに二次伸線及び二次焼線が行われ、必要な物性値が担保される。S104においてはブラスメッキを行う。このブラスメッキは、線材の表面に銅メッキ層と亜鉛メッキ層とを順次形成し、その後熱拡散により両方の金属を合金化することで形成される事が多い。ゴムとスチールワイヤの基本的な接着性を維持する目的で、ブラスメッキの銅と亜鉛の割合やメッキ厚さが適切に選択される。
S105においては最後の伸線である三次伸線が行われる。そして、S106において
はS105で引き抜かれた線材を撚り合わせる撚り線が行われる。これにより、スチールコード1の最終的な断面構造が形成される。そして、全ての伸線工程及び撚り線工程が終った後に、S107においてコバルト置換メッキが行われる。
図5に示したように、本実施例においては、コバルトメッキを、三次伸線及び撚り線の後に行っている。このように、延性の乏しいコバルトメッキを三次伸線及び撚り線の後に行うことで、コバルトメッキの剥がれや割れを抑制できるとともに、製造工程の追加・変更に関わる負担を軽減することが可能となっている。なお、上記の実施例においては、本発明をタイヤの補強に対して適用したが、本発明は、タイヤ以外のゴムの補強にも適用可能である。
1・・・スチールコード
10a、20a、30a・・・金属線
10b、20b、30b・・・メッキ層
11、21、33・・・反応層
12、22、32・・・ゴム

Claims (4)

  1. 銅と亜鉛とを含むブラスメッキ層が表面に設けられたゴム補強用金属線であって、
    前記ブラスメッキ層の表層にコバルトを含有し、
    前記ブラスメッキ層の表面におけるコバルト濃度が、3原子%以上7原子%以下であり、
    前記コバルトを、前記ブラスメッキ層の表面から9nm以下の深さの領域に含有し、
    前記コバルトの原子は、前記ブラスメッキ層の表層に置換メッキされることで含有されたことを特徴とする、ゴム補強用金属線。
  2. 前記ブラスメッキ層の表面から深さ9nmまでの領域における銅濃度が45原子%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム補強用金属線。
  3. 前記ブラスメッキ層全体におけるコバルト濃度が、0.1重量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のゴム補強用金属線。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のゴム補強用金属線の製造方法であって、
    線材を伸線する複数段の伸線工程と、
    前記伸線工程において伸線された複数本の線材を撚り合わせる撚り線工程と、
    前記複数段の伸線工程のうち、少なくとも最後の伸線工程の前の段階において前記線材にブラスメッキを行うブラスメッキ工程と、
    前記ブラスメッキ工程において形成されたブラスメッキ層の表層に置換メッキによってコバルトを含有させるコバルトメッキ工程と、
    を有し、
    前記コバルトメッキ工程は、全ての前記伸線工程及び撚り線工程の後に実施されることを特徴とする、ゴム補強用金属線の製造方法。
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