JP6752632B2 - Electrochromic elements, optical filters, lens units, imaging devices and window materials - Google Patents
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Description
本発明は、エレクトロクロミック素子並びにこれを用いた光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置および窓材に関する。 The present invention relates to an electrochromic element and an optical filter, a lens unit, an image pickup device, and a window material using the electrochromic element.
電気化学的な酸化還元反応により、物質の光学吸収の性質(吸収波長、吸光度)が変化するエレクトロクロミック(以降、「EC」と略する場合がある)材料を利用したEC素子は、表示装置、可変反射率ミラー、可変透過窓等に応用されている。EC材料の中でも、有機エレクトロクロミック化合物は、吸収波長を設計して変化させることが可能であり、高い着消色のコントラストを実現可能なため、積極的な開発が行われている。 An EC element using an electrochromic (hereinafter, may be abbreviated as "EC") material whose optical absorption properties (absorption wavelength, absorbance) of a substance are changed by an electrochemical redox reaction is a display device. It is applied to variable reflectance mirrors, variable transmission windows, etc. Among EC materials, organic electrochromic compounds are being actively developed because they can be designed and changed in absorption wavelength and can achieve high contrast of decolorization.
このようなEC素子において、時間の経過に伴う光学特性の変化抑制は、最も大きな課題の一つである。特許文献1には、EC材料が電解質に溶解した相補型のEC素子において、非EC性の、アノード性のEC材料よりも酸化されやすい材料及びカソード性のEC材料よりも還元されやすい材料を用いることが開示されている。尚、これらの材料を以降「レドックスバッファー」と呼ぶことにする。
In such an EC device, suppressing changes in optical characteristics with the passage of time is one of the greatest issues. In
特許文献1のEC素子においては、着色体であるアノード性のEC材料の酸化体、カソード性EC材料の還元体よりも、それぞれレドックスバッファーの酸化体又は還元体が安定である。そのため、消色動作時に、電荷のインバランスが発生した場合においても、レドックスバッファーの電荷量でカバーできる範囲においては、EC材料の着色体が残存するより、それぞれ対応するレドックスバッファーの酸化体又は還元体が生成する。そして、このレドックスバッファーは、非EC性であるために、これらの酸化体又は還元体が生成しても、その酸化還元反応は光の透過率に影響を及ぼさない。言い換えれば、このレドックスバッファーは、EC素子の電荷のインバランスが消色不良に直結しないように、非変動色の電荷のバランス領域を付与している。
In the EC element of
しかし、特許文献1において、レドックスバッファーは、アノード性のEC材料よりも酸化されやすい又はカソード性のEC材料よりも還元されやすいため、EC材料よりも電位的に反応しやすい。そのため、通常のEC素子の着色動作において、EC材料に先んじて(少なくとも同等以上に)反応する。その結果、レドックスバッファーを用いない場合と比較して、着色に寄与しない無駄な電流が流れ、消費電力が増大し、応答速度が低下するという課題があった。
However, in
また特許文献1の様に、レドックスバッファーを用いても、表示電極間における電荷のインバランスが解消されるわけではない。即ち、EC材料の着色体を減少させる(=代わりに着消色しないレドックスバッファーの酸化/還元体が生成する)だけで、表示電極間における電荷のバランスに影響を与えるわけではない。相補型のEC素子で電荷のインバランスが発生すると、アノード性のEC材料/カソード性のEC材料の着色体の比は変化することになる。具体的には、電荷インバランスによって残存している材料の反対極性の材料の着色の比が、電荷インバランスによって残存している材料の着色の比より小さくなることが起こる。例として挙げると、カソード性のEC材料の着色体が残存している電荷インバランスの状態からEC素子を着色した場合では、電荷インバランスが発生していない状態と比較して、アノード材料に起因する着色の比が、カソード材料に起因する着色の比より小さくなる。その結果、設計時に想定していた吸収スペクトルから、実際の吸収スペクトルが変化することになり、EC素子の吸収色の変色として現れるために好ましくない。特許文献1では、電荷インバランスにより消色動作時に、残存するアノード材料の酸化体、またはカソード材料の還元体の電荷をレドックスバッファーが引き受けることにより、アノード、カソードのうちの一方の極性の着色が残存することを抑制する。しかし表示電極間における電荷のインバランス自体を修正しているわけではないため、このアノード性EC材料/カソード性EC材料の着色体の比のシフトは修正されない。別の表現を用いると、表示電極間における電荷インバランスを生じても消色動作時に色が見えることを抑制するだけで、着色動作時には電荷インバランスによりアノード材料、カソード材料の比が、当初とは変化した着色状態が出現してしまうことになる。
Further, as in
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、発生し得る電荷のインバランスを補正することができ、消色時の消色不良(色残り)が抑制され、かつ着色動作時のスペクトルの再現性に優れたエレクトロクロミック素子を提供することにある。 The present invention has been made to solve the above-mentioned problems, and an object of the present invention is to correct an imbalance of electric charges that can be generated, and to suppress decolorization defects (color residue) at the time of decolorization. Another object of the present invention is to provide an electrochromic element having excellent spectral reproducibility during a coloring operation.
本発明のエレクトロクロミック素子の第一の態様は、第一の電極と、第二の電極と、担体と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記電解質と、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、前記カソード性の酸化還元物質と、が混合しており、
前記電解質が、前記第一の電極、前記第二の電極及び前記担体と接触しており、
前記担体が、さらに酸化還元物質を有し、
前記担体が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすいことを特徴とする。
The first aspect of the electrochromic element of the present invention includes a first electrode, a second electrode, and a carrier, and at least one of the first electrode and the second electrode is used. An electrochromic element that is transparent and has an electrolyte, an anodic organic electrochromic compound, and a cathodic redox substance between the first electrode and the second electrode.
The electrolyte, the anodic organic electrochromic compound, and the cathodic redox substance are mixed.
The electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier.
The carrier further comprises a redox substance and
The reduced form of the redox substance contained in the carrier is characterized in that it is more easily oxidized than the reduced form of the anodic organic electrochromic compound.
本発明のエレクトロクロミック素子の第二の態様は、第一の電極と、第二の電極と、担体と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記電解質と、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、前記アノード性の酸化還元物質と、が混合しており、
前記電解質が、前記第一の電極、前記第二の電極及び前記担体と接触しており、
前記担体が、さらに酸化還元物質を有し、
前記担体が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする。
A second aspect of the electrochromic element of the present invention comprises a first electrode, a second electrode, and a carrier, and at least one of the first electrode and the second electrode is used. An electrochromic element that is transparent and has an electrolyte, a cathodic organic electrochromic compound, and an anodic redox substance between the first electrode and the second electrode.
The electrolyte, the cathodic organic electrochromic compound, and the anodic redox substance are mixed.
The electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier.
The carrier further comprises a redox substance and
The oxidant of the redox substance contained in the carrier is more easily reduced than the oxidant of the cathodic organic electrochromic compound.
本発明のエレクトロクロミック素子の第三の態様は、第一の電極と、第二の電極と、担体と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれか一方が透明であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック材料と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記電解質と、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、が混合しており、
前記電解質が、前記第一の電極、前記第二の電極及び前記担体と接触しており、
前記担体が、酸化還元物質を有し、
前記担体が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
前記担体が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする。
A third aspect of the electrochromic element of the present invention includes a first electrode, a second electrode, and a carrier, and at least one of the first electrode and the second electrode is used. An electrochromic element that is transparent and has an electrolyte, an anodic organic electrochromic material, and a cathodic organic electrochromic compound between the first electrode and the second electrode.
The electrolyte, the anodic organic electrochromic compound, and the cathodic organic electrochromic compound are mixed.
The electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier.
The carrier has a redox substance and
The reduced form of the redox substance contained in the carrier is more easily oxidized than the reduced form of the anodic organic electrochromic compound.
The oxidant of the redox substance contained in the carrier is more easily reduced than the oxidant of the cathodic organic electrochromic compound.
本発明によれば、発生し得る電荷のインバランスを補正することができ、消色時の消色不良(色残り)が抑制され、かつ着色動作時のスペクトルの再現性に優れたエレクトロクロミック素子を提供することができる。 According to the present invention, an electrochromic device capable of correcting the imbalance of electric charges that can occur, suppressing decolorization defects (color residue) during decolorization, and having excellent spectral reproducibility during coloring operation. Can be provided.
本発明のエレクトロクロミック素子(EC素子)は、第一の電極と、第二の電極と、担体と、を有している。本発明において、第一の電極と第二の電極との少なくともいずれか一方が透明である。本発明において、第一の電極と第二の電極との間には、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物又はカソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有している。尚、本発明において、第一の電極と第二の電極との間には、少なくとも二種類の酸化還元物質(有機エレクトロクロミック化合物を含む。)を有している。ここで、第一の電極と第二の電極との間に含まれる二種類の酸化還元物質とは、具体的には、下記(i)乃至(iii)に示される組み合わせのいずれかである。
(i)アノード性の有機エレクトロクロミック化合物とカソード性の酸化還元物質
(ii)カソード性の有機エレクトロクロミック化合物とアノード性の酸化還元物質
(iii)アノード性の有機エレクトロクロミック化合物とカソード性の有機エレクトロクロミック化合物
The electrochromic element (EC element) of the present invention has a first electrode, a second electrode, and a carrier. In the present invention, at least one of the first electrode and the second electrode is transparent. In the present invention, an electrolyte and an anodic organic electrochromic compound or a cathodic organic electrochromic compound are provided between the first electrode and the second electrode. In the present invention, at least two kinds of redox substances (including an organic electrochromic compound) are provided between the first electrode and the second electrode. Here, the two types of redox substances contained between the first electrode and the second electrode are specifically any of the combinations shown in the following (i) to (iii).
(I) Anodic organic electrochromic compounds and cathodic oxidation-reducing substances (ii) Cathodic organic electrochromic compounds and anodic oxidation-reducing substances (iii) Anodic organic electrochromic compounds and cathodic organic electro Chromic compound
本発明においては、電解質と、上記(i)乃至(iii)のいずれかである二種類の酸化還元物質(有機エレクトロクロミック化合物を含む。)と、が混合している。本発明において、電解質は、第一の電極、第二の電極及び担体と接触している。本発明において、担体は、酸化還元物質を有している。第一の電極と第二の電極との間にアノード性の有機エレクトロクロミック化合物(EC材料)が含まれる場合、担体が有する酸化還元物質の還元体は、当該アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすい。一方、第一の電極と第二の電極との間にカソード性の有機エレクトロクロミック化合物(EC材料)が含まれる場合、担体が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすい。 In the present invention, the electrolyte and two kinds of redox substances (including organic electrochromic compounds) which are any of the above (i) to (iii) are mixed. In the present invention, the electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier. In the present invention, the carrier has a redox substance. When an anodic organic electrochromic compound (EC material) is contained between the first electrode and the second electrode, the redox substance reducer contained in the carrier is a reduction of the anodic organic electrochromic compound. It is more easily oxidized than the body. On the other hand, when a cathodic organic electrochromic compound (EC material) is contained between the first electrode and the second electrode, the oxide of the redox substance contained in the carrier is a cathodic organic electrochromic compound. It is more easily reduced than the oxidant.
本発明では、アノード性の酸化還元物質とカソード性の酸化還元物質とを使用し、これら酸化還元物質のうちの少なくとも一つがEC材料である相補型と呼ばれるEC素子の電荷のインバランスによる着消色不良の改善を行う。尚、電荷のバランス/インバランスの概念については、後述する。 In the present invention, an anodic redox substance and a cathodic redox substance are used, and at least one of these redox substances is an EC material, which is called a complementary type. Improve color defects. The concept of charge balance / imbalance will be described later.
1.酸化還元物質
本発明において、酸化還元物質とは、所定の電位範囲において、繰り返し酸化還元反応を起こすことが可能な化合物である。酸化還元物質には、無機化合物も有機化合物も含まれるが、本発明においては特に制限なく両者を使用することができる。中でも用いられるEC材料の使用環境との適合性から、有機化合物の酸化還元物質が好ましく用いられる。
1. Redox substance In the present invention, the redox substance is a compound capable of repeatedly causing a redox reaction in a predetermined potential range. The redox substance includes both an inorganic compound and an organic compound, but both can be used in the present invention without particular limitation. Among them, redox substances of organic compounds are preferably used from the viewpoint of compatibility with the usage environment of the EC material used.
尚、以下の説明において、酸化還元物質については、例えば、「アノード性の酸化還元物質」、「カソード性の酸化還元物質」と記述する場合がある。ここでアノード性の酸化還元物質とは、通常、素子を駆動させていない状態では還元状態であるが、素子を駆動(特に着色)させた状態では酸化状態となる物質をいう。また、カソード性の酸化還元物質とは、通常、素子を駆動させていない状態では酸化状態であるが、素子を駆動(特に着色)させた状態では還元状態となる物質をいう。 In the following description, the redox substance may be described as, for example, "anodic redox substance" or "cathodic redox substance". Here, the anodic redox substance is a substance that is normally in a reduced state when the element is not driven, but is in an oxidized state when the element is driven (particularly colored). The cathodic redox substance is a substance that is normally in an oxidized state when the device is not driven, but is in a reduced state when the device is driven (particularly colored).
2.有機エレクトロクロミック(EC)材料
本発明において、有機エレクトロクロミック(EC)材料とは、酸化還元物質の一種であり、酸化還元反応により、素子の対象とする光波長領域において光吸収特性が変化する物質である。尚、エレクトロクロミック材料には、有機化合物も無機化合物も含まれるが、以下の説明において、有機エレクトロクロミック材料を「EC材料」と呼ぶこととする。また、ここでいう光吸収特性とは、代表的には、光吸収状態と光透過状態とであり、EC材料は、光吸収状態と光透過状態とが切り替わる材料である。
2. Organic Electrochromic (EC) Material In the present invention, the organic electrochromic (EC) material is a kind of redox substance, and the light absorption characteristic changes in the target light wavelength region of the device by the redox reaction. Is. The electrochromic material includes both an organic compound and an inorganic compound, but in the following description, the organic electrochromic material will be referred to as an "EC material". Further, the light absorption characteristic referred to here is typically a light absorption state and a light transmission state, and the EC material is a material that switches between the light absorption state and the light transmission state.
ところで、以下の説明において、EC材料については、「アノード性のEC材料」、「カソード性のEC材料」と記述する場合がある。ここでアノード性のEC材料とは、素子の対象とする光波長領域において、EC材料から電子が取り去られる酸化反応によって光透過状態から光吸収状態に変化する材料をいう。また、カソード性のEC材料とは、素子の対象とする光波長領域において、EC材料に電子が授与される還元反応によって光透過状態から光吸収状態に変化する材料をいう。 By the way, in the following description, the EC material may be described as "anodic EC material" or "cathodic EC material". Here, the anodic EC material refers to a material that changes from a light transmitting state to a light absorbing state by an oxidation reaction in which electrons are removed from the EC material in the target light wavelength region of the element. Further, the cathodic EC material refers to a material that changes from a light transmitting state to a light absorbing state by a reduction reaction in which electrons are donated to the EC material in the light wavelength region targeted by the device.
3.酸化体、還元体
酸化還元物質及びEC材料に対して用いられる用語である酸化体、還元体について以下に説明する。以下の説明において、酸化還元物質やEC材料の酸化体とは、対応する還元反応が可逆的に進行する場合において、電極における一電子以上の還元反応によって還元体へと還元されるものをいう。一方、酸化還元物質やEC材料の還元体とは、対応する酸化反応が可逆的に進行する場合において、電極における一電子以上の酸化反応によって、酸化体へと酸化されるものをいう。
3. Oxidized substances, reduced substances Oxidized substances and reduced substances, which are terms used for redox substances and EC materials, will be described below. In the following description, the redox substance and the oxidant of the EC material refer to those that are reduced to the reduced substance by the reduction reaction of one or more electrons at the electrode when the corresponding reduction reaction proceeds reversibly. On the other hand, a redox substance or a reduced product of an EC material means a product that is oxidized to an oxidized product by an oxidation reaction of one or more electrons at an electrode when the corresponding oxidation reaction proceeds reversibly.
尚、文献によっては、酸化還元物質及びEC材料の状態を示す表現として、酸化体から中性体を経て還元体(又はその逆)という表現もある。しかし、以下の説明においては、基本的には、酸化体を還元してときに生成されるのが還元体であり、還元体を酸化したときに生成されるのが酸化体という認識の下で、酸化体及び還元体という表現を採用する。例えば、二価の鉄を有するフェロセン(分子全体としては中性体)は、フェロセンがアノード性の酸化還元物質として機能する場合には、フェロセン(アノード性の酸化還元物質)の還元体である。この還元体が酸化されて鉄が三価の状態となったものはフェロセン(アノード性の酸化還元物質)の酸化体である。またビオロゲンのジカチオン塩がカソード性のEC材料として機能する場合には、当該ジカチオン塩はカソード性のEC材料の酸化体である。また当該ジカチオン塩が一電子還元されたモノカチオン塩はカソード性のEC材料の還元体である。 Depending on the literature, as an expression indicating the state of the redox substance and the EC material, there is also an expression of an oxidant, a neutral substance, and then a reduced substance (or vice versa). However, in the following description, basically, it is recognized that the reduced product is produced when the oxidant is reduced, and the oxidant is produced when the reduced product is oxidized. , Oxidate and reducer are adopted. For example, a ferrocene having a divalent iron (neutral form as a whole molecule) is a reduced form of ferrocene (anodic redox substance) when ferrocene functions as an anodic redox substance. When this reduced product is oxidized to make iron trivalent, it is an oxidized product of ferrocene (anodic redox substance). When the dication salt of viologen functions as a cathodic EC material, the dication salt is an oxide of the cathodic EC material. The monocationic salt obtained by reducing the dication salt by one electron is a reduced product of a cathodic EC material.
4.電解質
本発明において、電解質には、電解質そのものに限らず、電解質を溶媒に溶解させて調製した電解液の概念も含まれる。尚、本発明において、電解質には、塩化合物を溶媒に溶解させて得た溶液、イオン性液体、ゲル電解質、ポリマー電解質等も含まれる。
4. Electrolyte In the present invention, the electrolyte is not limited to the electrolyte itself, but also includes the concept of an electrolytic solution prepared by dissolving an electrolyte in a solvent. In the present invention, the electrolyte also includes a solution obtained by dissolving a salt compound in a solvent, an ionic liquid, a gel electrolyte, a polymer electrolyte and the like.
5.担体が有する酸化還元物質
本発明のEC素子を構成する担体は、酸化還元物質を有している。ここで、担体が酸化還元物質を有するとは、酸化還元物質が直接又は間接的に担体に固定化されていることを意味する。ここで、酸化還元物質が担体に直接固定化されている場合、酸化還元物質は、他の物質を介さずに物理的又は化学的な要因により担体に固定化されている状態になっている。一方、酸化還元物質が間接的に担体に固定化されている場合、酸化還元物質は、例えば、担体に固定されている物質を介して担体に物理的又は化学的に固定化されている状態になっている。
5. Redox substance contained in the carrier The carrier constituting the EC element of the present invention has a redox substance. Here, the fact that the carrier has a redox substance means that the redox substance is directly or indirectly immobilized on the carrier. Here, when the redox substance is directly immobilized on the carrier, the redox substance is in a state of being immobilized on the carrier by a physical or chemical factor without interposing other substances. On the other hand, when the redox substance is indirectly immobilized on the carrier, the redox substance is physically or chemically immobilized on the carrier, for example, via the substance immobilized on the carrier. It has become.
ここで担体とは、外部回路に対して電荷の授受を行わない部材であって、酸化還元物質を電解質に含まれるEC材料との間で電荷の授受を可能にする状態で有している部材である。この点で、電解質に含まれるEC材料との間での電荷の授受を行い、外部回路に対して電荷の授受を行う電極とは異なる。一方で、一般に電極材料として用いられる材料であったとしても、その材料が酸化還元物質を有し、その材料が外部回路に対して電荷の授受を行える状態でない場合であれば、担体として扱うことができる。この担体が有する酸化還元物質は、素子の駆動時に積極的に着消色工程に寄与するものではなく、後述する電荷のバランスをとるために機能する。 Here, the carrier is a member that does not transfer and receive electric charges to an external circuit, and has a redox substance in a state that enables transfer of electric charges to and from the EC material contained in the electrolyte. Is. In this respect, it is different from an electrode that transfers an electric charge to and from an EC material contained in an electrolyte and transfers an electric charge to an external circuit. On the other hand, even if it is a material generally used as an electrode material, if the material has a redox substance and the material is not in a state where electric charge can be transferred to an external circuit, it should be treated as a carrier. Can be done. The redox substance contained in this carrier does not positively contribute to the decolorization step when the device is driven, but functions to balance the electric charges described later.
6.電荷のバランス/インバランス
以下、図面を参照しながら、電荷のバランス/インバランスの概念について説明する。図1は、電荷のバランス/インバランスの概念を説明する図である。尚、図1は、相補型EC素子が対象となっている。図1には、アノードである第一の電極1と、カソードである第二の電極2が示されている。また図1において、Aは、アノード性のEC材料の還元体(消色状態)であり、A+は、アノード性のEC材料の酸化体(着色状態)である。さらに図1において、Cは、カソード性のEC材料の酸化体(消色状態)であり、C-は、カソード性のEC材料の還元体(着色状態)である。
6. Charge Balance / Imbalance The concept of charge balance / imbalance will be described below with reference to the drawings. FIG. 1 is a diagram illustrating the concept of charge balance / imbalance. Note that FIG. 1 targets complementary EC elements. FIG. 1 shows a
図1(a)は、EC素子の着色過程を示す図である。アノード(第一の電極1)とカソード(第二の電極2)との間に着色電圧を印加すると、第一の電極1では、下記(α)に示されるアノード性のEC材料の酸化反応が進行し、第二の電極2では、下記(β)に示されるカソード性のEC材料の還元反応が進行する。
A→A++e- (α)
C+e-→C- (β)
FIG. 1A is a diagram showing a coloring process of the EC element. When a coloring voltage is applied between the anode (first electrode 1) and the cathode (second electrode 2), the oxidation reaction of the anodic EC material shown in (α) below occurs at the
A → A + + e - ( α)
C + e - → C - ( β)
これらの反応が進行することにより、ECセルは、着色状態となる。 As these reactions proceed, the EC cell becomes colored.
図1(b)は、着色過程とは反対の過程である消色過程を示す図である。ECセルを消色する場合には、第一の電極1と第二の電極2との間に、消色電圧(第一の電極1、第二の電極2間を短絡する0V)を印加することで、図1(b)中の円弧状の矢印で示すように、図1(a)に示される反応の逆反応が進行する。これによりアノード性EC材料は還元状態A、カソード性EC材料は酸化状態Cとなり、着色状態のEC材料を消色状態に戻すことができる。
FIG. 1B is a diagram showing a decoloring process which is a process opposite to the coloring process. When bleaching the EC cell, a bleaching voltage (0V that short-circuits between the
図1(a)、(b)に示される反応が繰り返されている場合には、EC素子の電荷のバランスは正常で、素子は正常に着消色を繰り返すことになる。 When the reactions shown in FIGS. 1A and 1B are repeated, the charge balance of the EC element is normal, and the element normally repeats color removal.
一方、EC素子を駆動していくと、この正常な着色/消色の工程以外の工程が一部で行われることで電荷のバランスが崩れる場合がある。この原因にはいくつかの種類があるが、ここでは例としてアノード性のEC材料の酸化体(A+)の劣化を取り上げて、図1(c)にて説明する。正常な着色工程を経て着色したアノード性のEC材料の酸化体A+が劣化して、第一の電極1において反応をすることができなくなった場合、第二の電極2においても、カソード性のEC材料の還元体C-がその電子の受け手を失うことになり、反応できなくなってしまう。尚、以下の説明では、このような現象を電荷のバランスが崩れること、即ち、電荷のインバランスと呼ぶ。電荷のインバランスが生じた結果、このEC素子は、カソードのEC材料は正常であるにもかかわらず、カソード性のEC材料の着色体C-が残存する消色不良を呈することとなる。
On the other hand, when the EC element is driven, the charge balance may be lost due to some steps other than the normal coloring / bleaching step. There are several types of causes, but here, the deterioration of the oxidant (A + ) of the anodic EC material will be taken up as an example and described with reference to FIG. 1 (c). When the oxidant A + of the anodic EC material colored through the normal coloring process deteriorates and cannot react at the
電荷のインバランスが生じる原因としては、当該酸化還元反応を構成した基質の不可逆的な電子移動反応(特に、電極反応)が挙げられる。具体的には、不純物(EC材料由来、環境不純物(酸素、水等)、シール剤由来)やラジカル同士の化学反応等が挙げられる。例としては、不純物として侵入してきた酸素の不可逆的な還元反応によりアノード材料の着色体が残存すること、シール剤含有成分の不可逆的な酸化反応によりカソード材料の着色体が残存することが挙げられる。 As a cause of charge imbalance, there is an irreversible electron transfer reaction (particularly, an electrode reaction) of the substrate constituting the redox reaction. Specific examples thereof include impurities (derived from EC materials, environmental impurities (oxygen, water, etc.), derived from sealants), chemical reactions between radicals, and the like. Examples include the irreversible reduction reaction of oxygen that has entered as an impurity to leave the colored body of the anode material, and the irreversible oxidation reaction of the sealant-containing component to leave the colored body of the cathode material. ..
7.EC素子
図2は、本発明のEC素子における実施形態の例を示す断面模式図である。図2のEC素子10は、第一の電極1と、担体3と、を有する基板(第一の基板7)と、第二の電極2と、担体3と、を有する基板(第二の基板8)と、を有している。図2のEC素子10において、第一の電極1と第二の電極2との間には、電解質4が配置されており、この電解質4は、第一の電極1、第二の電極2及び担体3に接している。尚、電解質4は、シール材5によって外部と隔離されて保持されていることが好ましい。また本発明においては、第一の電極1及び第二の電極2と、担体3との間の物質輸送を制限する目的で、必要に応じて図2に示される隔壁6を、第一の電極1及び第二の電極2と、担体3との間に設けてもよい。また本発明のEC素子には、アノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質が、それぞれ電解質4と混合している。ここでいう「混合」とは、好ましくは、溶解を意味する。尚、本発明においては、電解質4と混合しているアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質の少なくともいずれかがEC材料である。
7. EC element FIG. 2 is a schematic cross-sectional view showing an example of an embodiment of the EC element of the present invention. The
以下、本発明のエレクトロクロミック素子が有する構成要素について、それぞれ説明する。 Hereinafter, the components of the electrochromic device of the present invention will be described.
(1)基板7,8/電極1,2
(1−1)基板7,8
EC素子10を構成する基板(7,8)としては、ガラス、高分子化合物等の透明な基板が挙げられる。
(1)
(1-1)
Examples of the substrate (7, 8) constituting the
(1−2)第一の電極1、第二の電極2
第一の電極1、第二の電極2のうち少なくとも一方は、透明電極である。ここで、「透明」とは、該当する電極が光を透過することを意味し、光の透過率が、50%以上100%以下であることが好ましい。第一の電極1、第二の電極2のうち少なくとも一方が透明電極であることによって、EC素子の外部より効率的に光を取り込み、EC材料の分子と相互作用させて、EC分子の光学的特性を出射光に反映させることができるからである。また、ここでいう「光」とは、EC素子の対象とする波長領域における光のことである。例えば、EC素子を可視光領域の撮像装置のフィルタとして使用するのであれば、可視光領域の光が対象となり、赤外線領域の撮像装置のフィルタとして使用するのであれば、赤外線領域の光が対象となる。
(1-2)
At least one of the
透明電極としては、上述した基板(7,8)に透明導電性酸化物や、分散されたカーボンナノチューブ等の導電層が形成されたものや、透明な基板(7,8)上に部分的に金属線が配置された透明電極、またこれらの組み合わせを用いることができる。 As the transparent electrode, a transparent conductive oxide or a conductive layer such as dispersed carbon nanotubes is formed on the above-mentioned substrate (7, 8), or a transparent electrode is partially formed on the transparent substrate (7, 8). A transparent electrode on which a metal wire is arranged, or a combination thereof can be used.
透明導電性酸化物として、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、ニオビウムドープ酸化チタン(TNO)等が挙げられる。これらの中でも、FTOは、耐熱性(多孔質電極を形成する際の焼成工程への対応の観点から)、耐還元性と導電性の観点から好ましく、ITOは、導電性、透明性の観点から好ましく用いられる。透明導電性酸化物で電極を形成する場合、その膜厚は、好ましくは、10nm乃至10000nmである。特に、膜厚が10nm乃至10000nmであってFTO又はITOの層である透明導電性酸化物の層が好ましい。これにより、高透過性と化学的安定性を両立することが可能となるからである。 Examples of the transparent conductive oxide include tin-doped indium oxide (ITO), zinc oxide, gallium-doped zinc oxide (GZO), aluminum-doped zinc oxide (AZO), tin oxide, antimony-doped tin oxide (ATO), and fluorine-doped tin oxide. (FTO), niobium-doped titanium oxide (TNO) and the like. Among these, FTO is preferable from the viewpoint of heat resistance (from the viewpoint of correspondence to the firing process when forming the porous electrode), reduction resistance and conductivity, and ITO is preferable from the viewpoint of conductivity and transparency. It is preferably used. When the electrode is formed of a transparent conductive oxide, the film thickness is preferably 10 nm to 10000 nm. In particular, a layer of a transparent conductive oxide having a film thickness of 10 nm to 10000 nm and being a layer of FTO or ITO is preferable. This makes it possible to achieve both high permeability and chemical stability.
尚、上記透明導電性酸化物の層は、透明導電性酸化物のサブレイヤーが積み重なった構成をなしていてもよい。これにより、高導電性と高透明性を実現しやすくなる。 The transparent conductive oxide layer may have a structure in which sublayers of the transparent conductive oxide are stacked. This makes it easier to achieve high conductivity and high transparency.
基板(7,8)上に配置され得る金属線としては、特に限定されるものではないが、Ag,Au,Pt,Ti等の、電気化学的に安定な金属材料の線が好ましく用いられる。また、金属線の配置パターンとしては、グリッド状のものが好ましく用いられる。金属線を有する電極は、代表的には平面電極であるが、必要に応じて湾曲したものも使用することができる。 The metal wire that can be arranged on the substrate (7, 8) is not particularly limited, but a wire made of an electrochemically stable metal material such as Ag, Au, Pt, Ti, etc. is preferably used. Further, as the arrangement pattern of the metal wires, a grid shape is preferably used. The electrode having a metal wire is typically a flat electrode, but a curved electrode can also be used if necessary.
第一の電極1、第二の電極2のうち、上述の透明電極以外の電極としては、EC素子の用途に応じて好ましいものが選択される。例えば、図2のEC素子10を透過型のEC素子とする場合には、第一の電極1も第二の電極2も上述の透明電極であることが好ましい。一方、図2のEC素子10を反射型のEC素子とする場合には、第一の電極1、第二の電極2のうち、一方を上述の透明電極とし、他方を入射光を反射する電極とする。一方で、電極間に反射層又は散乱層を形成することで、上述の透明電極以外の電極の光学特性の自由度を向上させることができる。例えば、電極間に反射層又は散乱層を導入した場合には、その後方の電極として、不透明な電極や、光を吸収する電極も出射光に影響を与えることなく用いることができる。
Among the
本発明のEC素子が、いずれの形態の素子であっても、第一の電極1、第二の電極2の構成材料としては、EC素子の動作環境において安定に存在し、外部からの電圧の印加に応じて速やかに酸化還元反応を進行させることのできる材料が好ましく用いられる。
Regardless of the form of the EC element of the present invention, the constituent materials of the
本発明において、第一の電極1と第二の電極2との間の距離(電極間距離)は、1μm以上500μm以下であることが好ましい。電極間距離が大きい場合、EC素子として有効に機能させるために十分な量のEC材料を配置することができる点で有利である。一方、電極間距離が短い場合、速い応答速度を達成することができる点で有利である。
In the present invention, the distance between the
(1−3)担体
本発明のEC素子は、電極(1,2)の他に担体3を有している。「電荷のバランス/インバランス」で説明したように、アノード性の酸化還元物質及び/又はカソード性の酸化還元物質を同時に使用し、これら酸化還元物質のうちのいずれかがEC材料である相補型のEC素子では、電荷のインバランス状態が発生したときに、それがアノード性、カソード性いずれの電荷インバランスであっても消色不良として感知される可能性がある。このような場合、第一の電極1と第二の電極2との間に印加する電圧を、着色時と反対方向の極性の電圧とし、この消色不良(消え残り)を抑制しようとしても、反対極性のEC材料が着色するだけで有効な抑制策とはならない。ここで、「反対極性のEC材料」とは、消え残りの対象がアノード性のEC材料であればカソード性のEC材料であり、消え残りの対象がカソード性のEC材料であればアノード性のEC材料である。
(1-3) Carrier The EC element of the present invention has a
そこで、本発明では、酸化還元物質を有する担体3を用いて、第一の電極1と第二の電極2との間に設けられるEC層内で着消色時に生じる酸化還元反応の際に両電極(1,2)を通過する酸化還元反応で用いられる電荷の量の調整を行うこととした。尚、この電荷の量の調整は電荷のバランスの調整、即ち、電荷のリバランスと呼ばれるものである。
Therefore, in the present invention, the
本発明において、担体3としては、電荷のリバランスを行うために必要な酸化還元物質を有する電極でない部材が用いられる。担体3が有する酸化還元物質としては、所望の電位範囲において、酸化還元反応が繰り返し行うことができる化合物であれば、無機化合物も有機化合物も特に制限なく使用することができる。中でも併用するEC材料の使用環境との適合性から、有機化合物が好ましく用いられる。また本発明において、担体3が有する酸化還元物質は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。
In the present invention, as the
担体3が有する酸化還元物質の酸化還元状態を、酸化体/還元体が混在する状態としておくことが好ましく行われる。これは、以下のように説明することができる。担体3が有する酸化還元物質の酸化還元状態が酸化体のみ、還元体のみである場合には、その酸化還元物質は、アノード性/カソード性いずれかの電荷インバランスを生じている極性の電荷を補正することができる。この場合は、酸化還元物質の総量が同じであれば、片側の極性の電荷インバランスを大きな程度で補正することが可能な点で好ましい。一方、酸化体/還元体が混在する状態である場合には、その酸化還元物質は、アノード性/カソード性どちらの電荷インバランスを生じている極性の電荷であっても補正することができる点で好ましい。酸化体/還元体が混在する状態の形成方法としては、以下の手法を用いることができる。尚、以下のいずれの場合においても、当初より酸化体/還元体が混在する状態の酸化還元物質を担体に固定する手法と、酸化体または還元体の酸化還元物質を一度担体に固定してから、それぞれ部分的に還元または酸化することで形成することが可能である。
1.複数の酸化還元物質として、アノード性/カソード性の酸化還元物質を用いる。この場合は、それぞれアノード性のEC材料に対応した酸化還元物質、カソード性のEC材料に対応した酸化還元物質を準備できる点で好ましい。
2.一種類の酸化還元物質の酸化体/還元体が混在する状態とする。この場合は、準備する酸化還元物質の種類が少ない点で好ましい。
It is preferable that the redox state of the redox substance contained in the
1. Anodic / cathodic redox substances are used as the plurality of redox substances. In this case, it is preferable that a redox substance corresponding to the anodic EC material and a redox substance corresponding to the cathodic EC material can be prepared, respectively.
2. A state in which an oxidant / reduced substance of one type of redox substance is mixed. In this case, it is preferable that the number of types of redox substances to be prepared is small.
担体3が有する酸化還元物質としては、EC性の酸化還元物質でもよいし、非EC性の酸化還元物質であってもよい。仮に、担体3がEC素子10に入射される光の光路中に存在する場合には、酸化還元物質による光の吸収の影響を低減するために、非EC性の酸化還元物質を用いることが好ましい。一方、担体3がEC素子10に入射される光の光路外に配置される場合、EC性の酸化還元物質を用いると、当該酸化還元物質が有するEC性による着色の程度により、電荷のリバランスの程度を検知することが可能となるので、好ましい。
The redox substance contained in the
担体3が有する酸化還元物質として、例えば、金属錯体化合物、EC性の材料等を挙げることができる。金属錯体化合物として、具体的には、金属イオンが、Os、Fe、Ru、Co、Cu、Ni、V、Mo、Cr、Mn、Pt、Rh、Pd、Ir等である金属錯体を挙げることができる。より具体的には、メタロセン化合物、複素環化合物を配位子とした金属錯体、プルシアンブルー等を挙げることができる。上記金属錯体の配位子となる複素環化合物として、例えば、ビピリジン、ターピリジン、フェナントロリン等を挙げることができる。EC性の材料としては、特に後述するEC材料を好ましく使用することができる。
Examples of the redox substance contained in the
担体3が有する酸化還元物質と第一の電極1と第二の電極2との間に含まれるEC材料との関係は、以下のように説明することができる。アノード性のEC材料が含まれる場合、担体3が有する酸化還元物質の還元体は、そのアノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすい。またカソード性のEC材料が含まれる場合、担体3が有する酸化還元物質の酸化体は、そのカソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすい。またアノード性のEC材料もカソード性のEC材料も含まれる場合は、担体3が有する酸化還元物質の還元体は、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすく、担体3が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすい。
The relationship between the redox substance contained in the
この関係が重要な理由を以下に説明する。EC素子の電荷のバランスが崩れる場合、基本的には、アノード側又はカソード側のいずれかに崩れることとなる。電荷のバランスがアノード側に崩れる(素子を通常の消色状態としてもアノード性のEC材料が着色して残存する)場合は、アノード性のEC材料の着色体である酸化体に電子を供給して電荷のリバランスを行うこととなる。この場合、担体3が有する酸化還元物質によって電荷のリバランスを行わせるには、担体3が有する酸化還元物質の還元体は、そのアノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいという関係が必要になる。一方、電荷のバランスがカソード側に崩れる(素子を通常の消色状態としてもカソード性のEC材料が着色して残存する)場合は、カソード性のEC材料の着色体である還元体から電子を取り去って電荷のリバランスを行うこととなる。この場合、担体3が有する酸化還元物質によって電荷のリバランスを行わせるには、担体3が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいという関係が必要になる。
The reason why this relationship is important is explained below. When the charge balance of the EC element is lost, basically, it is lost to either the anode side or the cathode side. If the charge balance is lost to the anode side (the anodic EC material remains colored even when the element is in a normal decolorized state), electrons are supplied to the oxidant, which is the colorant of the anodic EC material. The charge will be rebalanced. In this case, in order to rebalance the charge by the redox substance contained in the
また、担体3が有する酸化還元物質を、電解質4中に溶解させる(電解質4と共に第一の電極1と第二の電極2との間に含ませる)状態ではなく、担体3が有する(固定化する)状態にすることで、以下の効果を奏する。担体3が有する(固定化する)ことで、通常、EC素子の駆動、即ち、EC材料の電極における電気化学反応を進行させる第一の電極1又は第二の電極2には当該酸化還元物質が到達することがない。このため、本来EC材料の反応に用いられるはずの電荷をその酸化還元物質が消費することがない。ただし、このことは、当該酸化還元物質の還元体がアノード性のEC材料の還元体より酸化されやすいこと及び/又は当該酸化還元物質の酸化体がカソード性のEC材料の酸化体より還元されやすいという、本発明で要求される条件が前提となる。なぜなら、上記の条件は、言い換えれば、アノード性のEC材料及び/又はカソード性のEC材料を着色反応させようとした際に、当該酸化還元物質の還元体及び/又は酸化体がそれぞれのEC材料よりも反応しやすいことを意味するためである。即ち、担体3が有する酸化還元物質が他の電極(1,2)に到達すれば、EC材料の消色体よりも当該酸化還元物質の還元体又は酸化体の方が反応しやすいために、容易にEC材料の反応に用いられるはずの電荷を消費することになるためである。このことは、着色に寄与しない電荷の増大により、EC素子の着消色コントラストの低下、駆動に必要とする電荷量(電力)の増大、EC素子の応答速度の低下を招くため、好ましくない。また当該酸化還元物質が、EC材料の着色体と直接電子移動して消色させるものである場合、当該酸化還元物質が電解質4中に溶解していると、電解質4中の移動によりEC材料の着色体と当該酸化還元物質との衝突確率が増大する。その結果、EC材料の着色濃度の低下を招くことになる。このことは同様に、素子の着消色コントラストの低下、電荷量(電力)の増大、応答速度の低下を招くため、好ましくない。さらに、当該酸化還元物質の中には、EC性を持つ材料も多く含まれる。これらEC性の酸化還元物質が電解質中4に溶解している場合には、酸化還元物質の酸化還元反応によって、EC素子へ入射された光吸収特性が変化することで、EC素子の色、透過率等に影響を与えるため、好ましくない。これは、担体3が酸化還元物質を有し、担体3がEC素子を透過する光の光路から外れるように配置することによって防ぐことができる。
Further, the redox substance contained in the
本発明において、EC素子10にアノード性のEC材料が含まれる場合、担体3が有する酸化還元物質の還元体は、アノード性のEC材料の還元体より酸化されやすい。また、EC素子10にカソード性のEC材料が含まれる場合、担体3が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性のEC材料の酸化体より還元されやすい。このことを判定する方法を以下に説明する。
In the present invention, when the
(1−3a)直接電子移動反応による方法
以下に説明する方法は、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を、対応する酸化還元物質と直接接触させる方法である。具体的には、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を溶解させた電解質の中に、対応する酸化還元物質を投入する。このとき、電解質中にアノード性のEC材料が含まれる場合は酸化還元物質の還元体を、電解質中にカソード性のEC材料が含まれる場合は酸還元物質の酸化体を少なくとも投入する。酸化還元物質を投入した結果、着色体、即ち、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体が消色すれば、以下の事項が判明する。即ち、アノード性のEC材料が消色した場合は、酸化還元物質の還元体からEC材料の酸化体への電子移動がおこり、アノード性のEC材料が還元体になることが示される。これは、担体3が有する酸化還元物質の還元体が、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいことを意味する。カソード性のEC材料が消色した場合は、EC材料の還元体から酸化還元物質の酸化体への電子移動が起こり、カソード性のEC材料は酸化体となることが示される。これは、担体3が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいことを意味する。また、担体3が有する酸化還元物質がEC性の場合は、EC材料の消色及び色変化が確認することができる。ここでいうEC材料の消色とは、担体3が有していない方のEC材料の消色である。また、EC材料の色変化とは、担体3が有するEC性の酸化還元物質の吸収変化である。
(1-3a) Method by Direct Electron Transfer Reaction The method described below is a method in which an oxidant of an anodic EC material or a reduced product of a cathodic EC material is brought into direct contact with a corresponding redox substance. Specifically, the corresponding redox substance is put into the electrolyte in which the oxidant of the anodic EC material or the reductant of the cathodic EC material is dissolved. At this time, if the electrolyte contains an anodic EC material, a redox of an oxidation-reducing substance is charged, and if the electrolyte contains a cathodic EC material, at least an oxide of an acid-reducing substance is charged. As a result of adding the redox substance, if the colored body, that is, the oxidant of the anodic EC material or the reduced product of the cathodic EC material is decolorized, the following matters are found. That is, it is shown that when the anodic EC material is decolorized, electrons are transferred from the redox substance to the oxidant of the EC material, and the anodic EC material becomes the reducer. This means that the reduced product of the redox substance contained in the
(1−3b)電子移動反応による方法(直接的なもの、担体3を介したもの)
以下に説明する方法は、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を含む電解質を、酸化還元物質を有する担体と接触させる方法である。具体的には、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体を溶解させた電解質を、対応する酸化還元物質を有する担体に接触させる。この結果、着色体、即ち、アノード性のEC材料の酸化体又はカソード性のEC材料の還元体が消色すれば、(1−3a)で説明した直接電子移動反応に加えて、以下に説明する担体3を介した電子移動反応が進行したといえる。具体的には、アノード性のEC材料の場合は、担体3が有する酸化還元物質の還元体から担体3への電子移動が起こり、アノード性のEC材料は担体3から電子を受け取ることにより、酸化体(着色状態)から還元体(消色状態)に変化する。この反応の発生は、担体3が有する酸化還元物質の還元体がアノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいことを意味する。一方、カソード性のEC材料の場合は、担体3から担体3が有する酸化還元物質の酸化体へ電子移動、及びカソード性のEC材料から担体3への電子移動が生じる。その結果、カソード性のEC材料は、還元体(着色状態)から酸化体(消色状態)に変化する。この反応の発生は、担体3が有する酸化還元物質の酸化体がカソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいことを意味する。尚、担体3が有する酸化還元物質がEC性を有する場合は、(1−3a)と同様にEC材料の消色及び色変化が確認することができる。
(1-3b) Electron transfer reaction method (direct, via carrier 3)
The method described below is a method of contacting an electrolyte containing an oxidant of an anodic EC material or a reducer of a cathodic EC material with a carrier having a redox substance. Specifically, an electrolyte in which an oxidant of an anodic EC material or a reductant of a cathodic EC material is dissolved is brought into contact with a carrier having a corresponding redox substance. As a result, if the colored body, that is, the oxidant of the anodic EC material or the reduced product of the cathodic EC material is decolorized, it will be described below in addition to the direct electron transfer reaction described in (1-3a). It can be said that the electron transfer reaction via the
(1−3c)酸化還元電位の計測による方法
以下に説明する方法は、EC材料や酸化還元物質の電極反応における酸化還元電位によって酸化又は還元のしやすさを比較する方法である。ここで酸化還元電位は、電気化学的な測定によって決定することができる。例えば、EC材料、酸化還元物質、それぞれのサイクリックボルタンモグラム測定を行うことで評価できる。
(1-3c) Method by Measuring Redox Potential The method described below is a method for comparing the ease of oxidation or reduction depending on the redox potential in the electrode reaction of an EC material or a redox substance. Here, the redox potential can be determined by electrochemical measurement. For example, it can be evaluated by measuring cyclic voltanmograms of EC materials and redox substances.
この測定において、アノード性のEC材料が可逆的に着色する酸化反応に対応する酸化還元反応の半波電位よりも、担体3が有する酸化還元物質の可逆的な酸化還元反応の半波電位が負側であることは以下のことを意味する。即ち、担体3が有する酸化還元物質の還元体がアノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいことを意味する。また、この場合、アノード性のEC材料の酸化還元電位EEC(A)と担体3が有する酸化還元物質の酸化還元電位EROとの間に、下記式(I)が満たされるのが好ましい。
ERO<EEC(A) (I)
In this measurement, the half-wave potential of the reversible redox reaction of the redox substance of the
E RO <E EC (A) (I)
カソード性のEC材料が可逆的に着色する還元反応に対応する酸化還元反応の半波電位よりも、担体3が有する酸化還元物質の可逆的な酸化還元反応の半波電位が正側であることは、以下のことを意味する。即ち、担体3が有する酸化還元物質の酸化体がカソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいことを意味する。また、この場合、カソード性のEC材料の酸化還元電位EEC(C)と担体3が有する酸化還元物質の酸化還元電位EROとの間に、下記式(II)が満たされるのが好ましい。
ERO>EEC(C) (II)
The half-wave potential of the reversible redox reaction of the redox substance of the
E RO > E EC (C) (II)
またEC素子にアノード性のEC材料及びカソード性のEC材料が含まれる場合、式(I)及び式(II)が満たされるのが特に好ましい。即ち、アノード性のEC材料の酸化還元電位EEC(A)と、カソード性のEC材料の酸化還元電位EEC(C)と、担体3が有する酸化還元物質の酸化還元電位EROとの間に、下記式(III)が満たされるのが特に好ましい。
EEC(C)<ERO<EEC(A) (III)
Further, when the EC element contains an anodic EC material and a cathodic EC material, it is particularly preferable that the formulas (I) and (II) are satisfied. That is, between the redox potential E EC of the anode of the EC material (A), the redox potential of the cathode of the EC material E EC (C), a redox potential E RO oxidation reduction material having a
E EC (C) <E RO <E EC (A) (III)
サイクリックボルタンモグラム測定を行う際に用いられる電極を以下に説明する。作用電極としては、EC素子で用いられる電極と同様のものが使用することができ、例えば、EC素子の電極がITOであればITOを用いることができる。対向電極としては、十分な面積を有する白金電極を用いることが好ましい。本発明のEC素子を構成する担体はそのまま用いることができる。またサイクリックボルタンモグラム測定を行う際に用いられる溶媒や支持質としては、EC素子に用いる溶媒を用いることが好ましい。ボルタンモグラムの走引速度は、20mVs-1乃至200mVs-1とするのが好ましい。 The electrodes used when performing cyclic voltanmogram measurement will be described below. As the working electrode, the same electrode as that used in the EC element can be used. For example, if the electrode of the EC element is ITO, ITO can be used. As the counter electrode, it is preferable to use a platinum electrode having a sufficient area. The carrier constituting the EC element of the present invention can be used as it is. Further, as the solvent and the support used when performing the cyclic voltanmogram measurement, it is preferable to use the solvent used for the EC element. The running speed of the voltanmogram is preferably 20 mVs -1 to 200 mVs -1 .
上述の3種類のいずれの方法によっても酸化又は還元のしやすさが測定・評価ができるが、特に、(1−3b)の方法(電極を介した電子移動反応による方法)が簡便で、直接効果を観測できる点で最も好ましい。 The ease of oxidation or reduction can be measured and evaluated by any of the above three methods, but in particular, the method (1-3b) (method by electron transfer reaction via an electrode) is simple and direct. It is most preferable because the effect can be observed.
担体3が有する酸化還元物質と、第一の電極1と第二の電極2との間に含まれるアノード性の酸化還元物質(EC材料を含む)、カソード性の酸化還元物質(EC材料を含む)との関係は、以下の関係であることが望ましい。
The redox substance contained in the
アノード性のEC材料と、EC性又は非EC性のカソード性の酸化還元物質とを使用する場合、担体3が有する酸化還元物質としては、その酸化体がカソード性の酸化還元物質の酸化体よりも還元されやすいのが好ましい。またカソード性のEC材料と、EC性又は非EC性のアノード性の酸化還元物質とを使用する場合、担体3が有する酸化還元物質としては、その還元体がアノード性の酸化還元物質の還元体よりも酸化されやすいのが好ましい。
When an anodic EC material and an EC or non-EC cathodic redox substance are used, the redox substance contained in the
これに対して、カソード性の酸化還元物質と共に担体3が有する酸化還元物質を使用する場合に、担体3が有する酸化還元物質の酸化体がカソード性の酸化還元物質の酸化体よりも還元されにくい場合を考える。この場合、EC素子10にはカソード性の電荷のインバランスが発生し、素子中にカソード性の酸化還元物質の還元体が残留すると、カソード性の酸化還元物質から担体3が有する酸化還元物質の酸化体への電子の移動が生じない。このことは、担体3が有する酸化還元物質が電荷のリバランスに寄与しないためである。また、アノード性の酸化還元物質と共に担体3が有する酸化還元物質を使用する場合に、担体3が有する酸化還元物質の還元体がアノード性の酸化還元物質の還元体よりも酸化されにくい場合を考える。この場合、EC素子10にはアノード性の電荷のインバランスが発生し、素子中に酸化還元物質の酸化体が残留すると、アノード性の酸化還元物質は担体3が有する酸化還元物質から電子を受け取ることができない。このことは、担体3が有する酸化還元物質が電荷のリバランスに寄与しないためである。
On the other hand, when the redox substance of the
アノード性の酸化還元物質/カソード性の酸化還元物質と、担体3が有する酸化還元物質との酸化又は還元のされやすさを判定する方法は、上記のEC材料と同様に考えることができる。非EC性の酸化還元物質の場合、対象の波長領域においてEC性がなかったとしても、その対象から外れた波長領域において吸収特性は変化する。このため、当該吸収特性の変化を測定・評価することにより、上記(1−3c)だけでなく上記(1−3a)又は(1−3b)の手法を用いて測定・評価することは可能である。
The method for determining the ease of oxidation or reduction between the anodic redox substance / cathodic redox substance and the redox substance contained in the
本発明のEC素子において、電荷のリバランスが可能な範囲は、担体3が有する酸化還元物質の量に比例する。即ち、当該酸化還元物質の量が増大すれば電荷のリバランスが可能な範囲も増大する。このため、担体3が有する酸化還元物質の量は、素子の実用上問題のない範囲内において基本的には多い方が好ましい。担体3に固定化される(含まれる)酸化還元物質の量を増大させる有力な手法としては、電極の表面積を増大させることが挙げられる。実際の構成に適した素子サイズで、担体3の表面積の増大を実現するためには、担体3が多孔質構造を有することが好ましい。多孔質構造の例としては、投影面積に対する実効面積(ラフネスファクター)が10倍以上、好ましくは、100倍以上の構造をもつものが挙げられる。
In the EC device of the present invention, the range in which the charge can be rebalanced is proportional to the amount of the redox substance contained in the
担体3の構成材料としては、特に限定されるものではないが、多孔質構造を有する又は形成できる材料が好ましい。多孔質構造を有する又は形成できる材料としては、無機酸化物(例えば、金属酸化物や、酸化ケイ素、炭素材料、金属材料)、有機化合物(例えば、ポリマー)が挙げられる。これら材料を複数種(例えば、無機化合物1種、有機化合物1種)組み合わせたハイブリッド材料、例えば、膜状の材料を使用することができる。また担体3をEC素子が取り入れる光路から外れて配置させる場合には、光を散乱する材料や、透明でない多孔質材料、炭素材料、白金、チタン等の金属材料等を使用することもできる。担体3が有する多孔質構造は、大きな実効面積を小さな投影面積で実現すること、作製上の観点よりナノメートルスケールの微細構造をもつことが好ましい。この多孔質構造の形状及び製法については制限は無く、連通孔を有するナノ粒子膜、ナノロッド、ナノワイヤ、ナノチューブ等のナノ構造体等を用いることができる。中でも体積当たりの比表面積が大きく、作製が容易な粒子膜が好適に使用される。この粒子膜を形成する際に用いられる粒子のサイズとしては、平均粒径が300nm以下のものが望ましく、好ましくは、50nm以下の粒子が用いられる。
The constituent material of the
本発明において、担体3の厚さは、100nm以上が望ましく、好ましくは、1μm以上である。
In the present invention, the thickness of the
次に、担体3の配置について以下に説明する。本発明のEC素子は、二種類の電極(1,2)と、担体3とを有するが、このうち、電極(1,2)については、EC素子の電極配置として、一般的に知られている配置を用いることができる。代表的な例としては、基板(7,8)上に形成された第一の電極1と第二の電極2とが対向するように、後述する1μmから500μm程度の電極間距離を設けた配置方式がある。尚、担体3の配置については、後述する。
Next, the arrangement of the
本発明のEC素子に光を導入する際に、その具体的な方法は、EC素子の用途によって自由に選択することができるが、代表的な例を以下に説明する。第一の電極1と第二の電極2とが対向している透過型のEC素子の場合、入射光は、第一の電極1又は第二の電極2を透過する。ここで、EC素子に含まれるEC材料が着色状態であれば、その光の少なくとも一部がEC材料に吸収され、他方の電極を透過して出射される。一方、第一の電極1と第二の電極2とが対向している反射型のEC素子の場合、入射光は、第一の電極1又は第二の電極2を透過する。ここで、EC素子に含まれるEC材料が着色状態であれば、その光の少なくとも一部がEC材料に吸収され、反射体、散乱体等で折り返されて入射時に透過した電極を透過して出射される。このときの反射体、散乱体等は、第一の電極1と第二の電極2との間に配置されることが多いが、光が入射する際に透過する電極と反対の電極の外側に配置されている構成も選択され得る。
When introducing light into the EC element of the present invention, a specific method thereof can be freely selected depending on the application of the EC element, and a typical example will be described below. In the case of a transmission type EC element in which the
EC素子は、一般に広く普及している吸光デバイスの液晶素子と比較して、最大透過率が高いことが一つの大きな特長である。この高い透過率を活かすためには、ECセルに入射された光が出射までの光路に、着色時のEC材料の吸収以外の透過率を低減させる要素はできるだけないことが望ましい。本発明のEC素子を構成する担体3をこの光路中に配置すると、この担体3もEC素子の透過率を低減させる要素となる可能性がある。具体的には以下に説明する通りである。担体3は、第一の電極1及び第二の電極2よりも実効面積が大きいものであり、この大きな実効面積を、小さな投影面積で実現しようとした場合には、担体3を多孔質構造とすることが望ましい。しかし、多孔質構造を持つ電極の構成材料が金属や炭素等バルクとしての(可視光の)透過率の低い材料であると、この電極によって透過率が著しく低減される可能性がある。またバルクとしての透過率の高い材料を用いた場合でも電解質4との間の屈折率差がある場合には、散乱等により透過率を低減させることになる。これらのことから、本発明においては、担体3は、第一の電極1又は第二の電極2の少なくとも一方を透過する光の光路外に配置されているのがより好ましい。ここでいう「光路外」とは、上記の観点より光吸収素子としてのEC素子を用いる用途にとって必要な光の光路から外れているという意味である。例えば、EC素子を撮像装置の透過型フィルタとして用いる場合、EC素子を透過する全ての光のうち、受光素子(例えばCCDセンサー、CMOSセンサ−)の全領域の中で、必要な撮像に用いられる領域に到達する光についての光路がここでいう光路である。反対に、同ケースで、EC素子を透過する光であっても、受光素子の必要な撮像に用いられる領域以外に到達する光についての光路は、ここでいう光路外に含まれる。本発明においては、担体3をこの光路外に配置することにより、上述のように担体3の構成材料を高い自由度で選択することができる。また担体3が有する酸化還元物質がEC性の場合にも問題なく使用できるようになる。
One of the major features of the EC element is that it has a higher maximum transmittance than the liquid crystal element of an absorption device that is widely used in general. In order to take advantage of this high transmittance, it is desirable that there is as little element as possible in the optical path until the light incident on the EC cell is emitted, other than the absorption of the EC material at the time of coloring. When the
次に、本発明における担体3の配置位置について説明する。消色不良を抑制するために、残存するEC材料の着色体を第一の電極1かつ/又は第二の電極2上で減少させる場合、その反応は、同電極上で均一に行えることが望ましい。この観点から、担体3は、例えば、図3に示されるように、第一の電極1かつ/又は第二の電極2に周囲の少なくとも一部に配置されるのが好ましい。図3は、本発明のEC素子の例を示す上面図である。尚、図3において、第一の電極1、第二の電極2は重なって見えている。担体3は、図3(a)の様に第一の電極1、第二の電極2の四方を囲むように配置してもよいし、図3(b)の様に第一の電極1、第二の電極2の三方を囲むように配置してもよい。また図3(c)の様に第一の電極1、第二の電極2の二方を囲むように配置してもよい。
Next, the arrangement position of the
担体3は、EC素子10に消色不良が生じた際に、第一の電極1かつ/又は第二の電極2上において、着色体として残存しているEC材料を電気化学的に消色反応させるための電荷の保留場所として機能させることができる。このため、着色時等において正常に着色しているEC材料は、担体3に到達させない方が望ましい。本発明のEC素子10において、EC材料は電解質4中であれば自由に拡散可能なため、担体3に到達することによって、着色体が消色体に転換されることが起こる可能性がある。これを抑制するためには、着色が行われる第一の電極1かつ/又は第二の電極2と担体3との間の物質輸送を低減させることが効果的である。具体的には、距離をとる、図2に示される隔壁6のような物質輸送を低減する構造を配置することが挙げられる。前者の場合、具体的には、第一の電極1かつ/又は第二の電極2と担体3との間の距離は、第一の電極1と第二の電極2との間の距離よりも大きくすることが挙げられる。また、後者としては、第一の電極1かつ/又は第二の電極2と担体3との間に、図2に示される開口部6aをもつ隔壁6を形成するといった方法が挙げられる。尚、隔壁6自体が多孔質構造であることが好ましい。この開口部6aを有する隔壁6を設けるのは、担体3を有効に機能させるに第一の電極1かつ/又は第二の電極2と担体3との間の物質輸送を確保する必要があるためである。
The
担体3は、例えば、以下の工程を経て形成することができる。
(A)第一の電極1又は第二の電極2を形成する導電性基板が有する導電層の一部をエッチング等により除去する工程。
(B)導電層が除去された領域に、多孔質膜である担体3を形成する工程。
(C)担体3に酸化還元物質を固定化する工程。
The
(A) A step of removing a part of the conductive layer of the conductive substrate forming the
(B) A step of forming a
(C) A step of immobilizing a redox substance on the
上記(A)、(B)及び(C)の工程はどれを先に行ってもよい。また、担体3は、第一の電極1又は第二の電極2が配置される基板のいずれか一方に形成されていればよいが、第一の電極1が配置される基板及び第二の電極2が配置される基板の両方に形成されていてもよい。
Any of the steps (A), (B) and (C) may be performed first. Further, the
(2)シール材5
EC素子を構成する基板(7,8)は、第一の電極1の電極面と第二の電極2の電極面とを対向させた配置でシール材5によって接合されていることが好ましい。シール材5としては、そのシール後の特性が電解質4に対して安定で侵されることがなく、電気化学的に安定でEC素子の動作時に電気化学反応を起こすことがなく、気体及び液体を透過しにくく、EC材料の酸化還元反応を阻害しない材料であることが好ましい。例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ系、アクリル系樹脂等の有機材料、金属等を用いることができる。そのシール後の特性が電解質4に対して不安定な場合には、溶出したシール材で電極が汚染される等の懸念がある。また、シール材5の成分が電気化学的に不安定である場合には、電極反応により電荷バランスを生じる原因となる可能性がある。また、気体および液体(特に酸素と水分)を透過しやすい場合には、それらの電極反応により電荷バランスを生じる原因となる可能性があるので注意が必要である。尚、シール材5は、スペーサー材料を含有する等して第一の電極1と第二の電極2との間の距離を保持する機能を有していてもよい。シール材5が第一の電極1と第二の電極2との間の距離を規定する機能を有していない場合は、別途スペーサーを配置して両電極間の距離を保持してもよい。スペーサー5の素材としては、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジビニルベンゼン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料を用いることができる。尚、このスペーサー5により、EC素子10を構成する第一の電極1と第二の電極2との間の距離を規定、保持することが可能である。
(2)
The substrates (7, 8) constituting the EC element are preferably joined by the sealing
(3)電解質4
本発明のEC素子は、第一の電極1と第二の電極2との間に、電解質4と、電解質4と混合しているアノード性の有機EC材料かつ/又はカソード性の有機EC材料とを有する。尚、本発明において、アノード性の有機EC材料及びカソード性の有機EC材料は、好ましくは、電解質4に溶解されている。
(3)
The EC element of the present invention has an
アノード性の有機EC材料、カソード性の有機EC材料が電解質に溶解されていることは、以下の二点で、電極に固定化する場合と比較して有利である。
(A)固定化する電極の表面積という制限要因がないために、電解質中に存在させることのできるEC材料の量が多い点。
(B)固定化を行う場合には、固定するEC材料、固定化担体となる電極の双方に構造的な工夫、製造上の工程が必要になることが多いが、これらがない点。
The fact that the anodic organic EC material and the cathodic organic EC material are dissolved in the electrolyte is advantageous in the following two points as compared with the case of immobilization on the electrode.
(A) Since there is no limiting factor of the surface area of the electrode to be immobilized, the amount of EC material that can be present in the electrolyte is large.
(B) When immobilization is performed, structural ingenuity and manufacturing processes are often required for both the EC material to be immobilized and the electrode serving as the immobilization carrier, but these are not provided.
本発明において電解質4には、電解質自体、電解質を溶媒に溶解させた電解液双方の概念が含まれる。電解質4として、例えば、塩化合物を溶媒に溶解させたものや塩化合物自体が溶媒を兼ねるイオン性液体等を使用することができる。
In the present invention, the
電解質を構成する溶媒としては、EC分子を始めとする溶質の溶解性、蒸気圧、粘性、電位窓等を考慮して、用途に応じて選択されるが、極性を有する溶媒であることが好ましくい。具体的には、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒や水、およびそれらの混合物が挙げられる。なかでも環状エステル化合物、ニトリル化合物が好ましく用いられ、その中でもプロピレンカーボネートが最も好ましく用いられる。 The solvent constituting the electrolyte is selected according to the application in consideration of the solubility of solutes such as EC molecules, vapor pressure, viscosity, potential window, etc., but a solvent having polarity is preferable. No. Specifically, methanol, ethanol, propylene carbonate, ethylene carbonate, dimethyl sulfoxide, dimethoxyethane, γ-butyrolactone, γ-valerolactone, sulfolane, dimethylformamide, dimethoxyethane, tetrahydrofuran, acetonitrile, propionnitrile, benzonitrile, dimethylacetamide. , Methylpyrrolidinone, organic polar solvents such as dioxolane, water, and mixtures thereof. Among them, cyclic ester compounds and nitrile compounds are preferably used, and among them, propylene carbonate is most preferably used.
さらに、上記溶媒にポリマーやゲル化剤を含有させて、粘稠性が高いものやゲル状としたものとしてもよい。このようなポリマーとしては、特に限定さるものではないが、例えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(商品名)、糖類化合物等を挙げることができる。このポリマーやゲル化剤には、その特性を向上させるために官能基を付与することが好ましく行われる。官能基としては、具体的には、シアノ基、水酸基、エステル、エーテル、アミド、アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸基等を挙げることができる。 Further, the solvent may contain a polymer or a gelling agent to form a highly viscous solvent or a gel. Such polymers are not particularly limited, but are, for example, polyacrylonitrile, carboxymethyl cellulose, polyvinyl chloride, polyethylene oxide, polypropylene oxide, polyurethane, polyacrylate, polymethacrylate, polyamide, polyacrylamide, polyester, naphthion (). Trade name), saccharide compounds and the like can be mentioned. It is preferable to impart a functional group to the polymer or gelling agent in order to improve its properties. Specific examples of the functional group include a cyano group, a hydroxyl group, an ester, an ether, an amide, an amino group, a carboxylic acid group, and a sulfonic acid group.
この電解質に用いられる塩化合物としては、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性、固体電解質においては高い相溶性を示すもので、エレクトロクロミック素子の動作電位において安定な物質あれば特に限定されない。各種陽イオン、陰イオンから好適なものを組み合わせて使用することができる。陽イオンの例としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の金属イオン、4級アンモニウムイオン等の有機イオン等が挙げられる。具体的には、Li,Na,K,Ca,Ba,テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の各イオンを挙げることができる。陰イオンの例としては、各種のフッ素化合物の陰イオン、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。具体的にはClO4 -、SCN-、BF4 -、AsF6 -、CF3SO3 -、CF3SO2NSO2CF3 -、PF6 -、I-、Br-、Cl-等が挙げられる。また、塩化合物でもあるEC材料を使用することで、EC材料の溶液と電解質溶液とを兼ねることも可能である。塩化合物でもあるEC材料の例としては、ビオロゲン誘導体塩等を挙げることができる。
The salt compound used for this electrolyte is an ion-dissociable salt, has good solubility in a solvent, and has high compatibility with a solid electrolyte, and is a stable substance at the operating potential of an electrochromic element. If there is, there is no particular limitation. A suitable combination of various cations and anions can be used. Examples of cations include metal ions such as alkali metal ions and alkaline earth metal ions, and organic ions such as quaternary ammonium ions. Specific examples thereof include ions such as Li, Na, K, Ca, Ba, tetramethylammonium, tetraethylammonium, and tetrabutylammonium. Examples of anions include anions of various fluorine compounds, halide ions and the like. ClO 4 specifically -, SCN -, BF 4 - , AsF 6 -,
本発明のEC素子を作製する際に、EC素子内に電解質4を導入する際には、例えば、対向している電極(1,2)又はシール材5の一部に開口部を形成しながら基板(7,8)を接合して形成したセルに電解質4を注入するという方法がある。尚、この方法は電解質4に後述するEC材料が溶解している場合でも適用できる。また電解質4をセルに導入する具体的な方法としては、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等が挙げられる。ところで、上記セルに電解質4等を注入した後は、開口部を封止する。また注入口を持たない滴下貼り合わせ法も好ましく用いられる。
When introducing the
(4)EC材料
本発明のEC素子に使用されるEC材料は、外部から電気的な刺激を与えることによって着色するタイプの低分子有機化合物である。本発明において、EC材料として、好ましくは、分子量が2000以下の低分子有機化合物であり、電極における酸化反応又は還元反応により、消色体から着色体に変化する化合物である。本発明のEC素子においては、アノード性のEC材料又はカソード性のEC材料のいずれかは必ず用いられる。
(4) EC Material The EC material used in the EC device of the present invention is a low-molecular-weight organic compound of a type that is colored by applying an electrical stimulus from the outside. In the present invention, the EC material is preferably a low molecular weight organic compound having a molecular weight of 2000 or less, and is a compound that changes from a decolorized body to a colored body by an oxidation reaction or a reduction reaction at an electrode. In the EC device of the present invention, either an anodic EC material or a cathodic EC material is always used.
ここで、アノード性のEC材料とは、材料から電子が取り去られる酸化反応によって着色する材料のことである。一方、カソード性EC材料とは、これとは逆に、材料に電子が与えられる還元反応によって着色する材料のことである。 Here, the anodic EC material is a material that is colored by an oxidation reaction in which electrons are removed from the material. On the other hand, the cathodic EC material, on the contrary, is a material that is colored by a reduction reaction in which electrons are given to the material.
アノード性のEC材料として、例えば、チオフェン誘導体、芳香環を有するアミン類(例えば、フェナジン誘導体、トリアリルアミン誘導体)、ピロール誘導体、チアジン誘導体、トリアリルメタン誘導体、ビスフェニルメタン誘導体、キサンテン誘導体、フルオラン誘導体、スピロピラン誘導体が挙げられる。これらの中でも、アノード性エレクトロクロミック分子としては、低分子チオフェン誘導体(例えば、モノチオフェン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、チエノアセン誘導体)、低分子の芳香環を有するアミン類(例えばフェナジン誘導体、トリアリルアミン誘導体)であることが好ましい。 As anodic EC materials, for example, thiophene derivatives, amines having an aromatic ring (for example, phenazine derivatives, triallylamine derivatives), pyrrole derivatives, thiadin derivatives, triallylmethane derivatives, bisphenylmethane derivatives, xanthene derivatives, fluorane derivatives , Spiropyran derivatives. Among these, as the anode electrochromic molecule, low molecular weight thiophene derivatives (for example, monothiophene derivatives, oligothiophene derivatives, thienoacene derivatives) and amines having a low molecular weight aromatic ring (for example, phenazine derivatives and triallylamine derivatives) are used. It is preferable to have.
これは、これらの分子をエレクトロクロミック層に用いることにより、所望の吸収波長プロファイルを持つエレクトロクロミック素子を提供しやすいからである。これらの分子は、中性状態で紫外領域に吸収ピークを有し、可視光領域には吸収を有さず、可視光領域の透過率が高い消色状態を取る。そして、酸化反応によりこれらの分子がラジカルカチオンとなり、可視光領域に吸収がシフトすることで着色状態となる。これらの分子は、そのπ共役長を拡大縮小させること、また置換基を変更してπ共役系に変化を加えることで、その吸収波長、酸化還元反応が進行する電位を設計することができる。 This is because by using these molecules in the electrochromic layer, it is easy to provide an electrochromic device having a desired absorption wavelength profile. These molecules have an absorption peak in the ultraviolet region in the neutral state, have no absorption in the visible light region, and take a decolorized state with high transmittance in the visible light region. Then, these molecules become radical cations due to the oxidation reaction, and the absorption shifts to the visible light region, resulting in a colored state. By expanding or contracting the π-conjugated length of these molecules and changing the substituents to change the π-conjugated system, the absorption wavelength and the potential at which the redox reaction proceeds can be designed.
ここで低分子とは、分子量で2000以下、好ましくは1000以下である。カソード性エレクトロクロミック分子の例としては、ビオロゲン誘導体等のピリジン系化合物、キノン化合物等が挙げられる。これらの分子も、そのπ共役長を拡大縮小させること、また置換基を変更してπ共役系に変化を加えることで、その吸収波長、酸化還元反応が進行する電位を設計することができる。 Here, the small molecule has a molecular weight of 2000 or less, preferably 1000 or less. Examples of the cathodic electrochromic molecule include pyridine compounds such as viologen derivatives and quinone compounds. By expanding or contracting the π-conjugated length of these molecules and changing the substituents to change the π-conjugated system, the absorption wavelength and the potential at which the redox reaction proceeds can be designed.
8.電荷のバランスの調整機構
本発明のEC素子10は担体3を用いることにより、EC素子10の電荷のバランスの調整を行う。本発明のEC素子10は、担体3が酸化還元物質を有すると共に、EC材料との間における酸化又は還元のされやすさが規定されている。このため、酸化又は還元のされやすさを利用して電荷のリバランスを行うことができる。以下、具体的に説明する。EC素子10を消色させるために、例えば、第一の電極1と第二の電極2との間を短絡させた状態にした際に、EC素子に含まれるアノード性のEC材料が着色したまま(酸化体のまま)残存している状態を考える。尚、このケースでは、アノード性の電荷のインバランスが生じている。このとき、酸化体のアノード性のEC材料が酸化還元物質を有する担体3の近傍まで移動し、担体3が有する酸化還元物質が直接あるいは担体3を通じて電荷の授受ができる状態となった場合は以下のようになる。化合物間の酸化・還元のされやすさから、担体3が有する酸化還元物質の還元体から酸化体のアノード性のEC材料へと電子が供給されるため、上述のアノード性の電荷のインバランスが解消される。反対に、EC素子に含まれるカソード性のEC材料が着色したまま(還元体のまま)残存している状態を考える。尚、このケースでは、カソード性の電荷のインバランスが生じている。このとき、還元体のカソード性のEC材料が酸化還元物質を有する担体3の近傍まで移動し、担体3が有する酸化還元物質が直接あるいは担体3を通じて電荷の授受ができる状態となった場合には以下のようになる。化合物間の酸化・還元のされやすさから、還元体のカソード性のEC材料から、担体3が有する酸化還元物質の酸化体へ電子が供給されるため、上述のカソード性の電荷のインバランスは解消される。同様の理由で、アノード性のEC材料及びカソード性のEC材料を有するEC素子10の場合においても担体3が有する酸化還元物質を用いることで効果的に電荷のインバランスを解消することができる。このように、本発明のEC素子10では、酸化・還元のされやすさによって電荷のリバランスを行うことができる。
8. Charge balance adjustment mechanism The
9.効果
本発明では、担体3を用いることで、EC素子の電荷のインバランスによる消色不良を解消することができる。代表的な例としては、EC素子の透過率を最大化させる動作をした際にも残存するEC材料の着色体を、消色体に変換することで、透過率を向上させることができる。この電荷のインバランスによる消色不良に対する対策としては、例えば、特許文献1に示されるレドックスバッファーを用いる方法がある。
9. Effect In the present invention, by using the
しかし、「発明が解決しようとする課題」にて説明したように、レドックスバッファーを用いる方法では、表示電極間における電荷のインバランスが解消されるわけがない。そのため、アノード性のEC材料の着色体とカソード性のEC材料の着色体との比を修正することができない。 However, as explained in "Problems to be Solved by the Invention", the method using the redox buffer cannot eliminate the charge imbalance between the display electrodes. Therefore, the ratio of the colorant of the anodic EC material to the colorant of the cathodic EC material cannot be modified.
これに対し、本発明の手法、即ち、担体3を用いる手法は、酸化還元物質を有する担体3を電荷の調整に用いることで、表示電極間における崩れた電荷のバランスをリバランスするものである。別の言い方をすると、EC素子全体としては、電荷のバランスは変化しないが、表示電極間における電荷のインバランスは、酸化還元物質を有する担体3が引き取るということになる。この場合、EC材料を着色させるときは担体3を使わずに第一の電極1、第二の電極2だけを駆動させるため、電荷のインバランスによる過剰な着色状態が再現することはない。そのため、本発明の手法を用いることで前述のEC材料の着色体の比を修正することができる。
On the other hand, the method of the present invention, that is, the method using the
以下、図面を参照しながら説明する。図4(a)は、本発明に該当しないEC素子の吸収スペクトルを示す図であり、図4(b)は、本発明のEC素子の吸収スペクトルを示す図である。尚、図4(a)及び(b)は、アノード性のEC材料及びカソード性のEC材料を用いた時のEC素子の吸収スペクトル(縦軸:吸光度、横軸:波長)の計算例を示している。ここでアノード性のEC材料は、455nm及び500nmに、カソード性のEC材料は、605nmにそれぞれ特徴的な吸収ピークを有している。このEC素子の電荷のバランスが正常な場合、このEC素子の吸収スペクトルは、図4(a)中のスペクトルaで表される。ここで、このEC素子の電荷のバランスがカソード性のEC材料の着色体が残存する方向に変化した場合の吸収スペクトルは、図4(a)及び(b)中のスペクトルbで表される。このときのEC素子の着色時の吸収スペクトルは、図4(a)及び(b)中のスペクトルcとなり、電荷のバランスが正常な状態のスペクトルaより、アノード性のEC材料の吸収(455nm、500nm)が低下することになる。この電荷のバランスの変化によるスペクトルの変化はレドックスバッファーを使用しても解消できない。しかし、本発明の手法では、崩れた電荷のバランスをリバランスできるために、図4(b)中のスペクトルdのように、電荷のバランスが正常な状態のスペクトルを保持することができる。尚、図4(b)中のスペクトルdは、図4(a)中のスペクトルaとよく一致しているので、本発明のEC素子では正常な状態のスペクトルが保持されることが図4で示されている。 Hereinafter, description will be made with reference to the drawings. FIG. 4A is a diagram showing an absorption spectrum of an EC element that does not correspond to the present invention, and FIG. 4B is a diagram showing an absorption spectrum of an EC element of the present invention. 4 (a) and 4 (b) show a calculation example of the absorption spectrum (vertical axis: absorbance, horizontal axis: wavelength) of the EC element when the anodic EC material and the cathodic EC material are used. ing. Here, the anodic EC material has characteristic absorption peaks at 455 nm and 500 nm, and the cathodic EC material has characteristic absorption peaks at 605 nm. When the charge balance of the EC element is normal, the absorption spectrum of the EC element is represented by the spectrum a in FIG. 4A. Here, the absorption spectrum when the charge balance of the EC element changes in the direction in which the colored body of the cathodic EC material remains is represented by the spectra b in FIGS. 4A and 4B. The absorption spectrum of the EC element at the time of coloring at this time is the spectrum c in FIGS. 4 (a) and 4 (b), and the absorption of the anodic EC material (455 nm, from the spectrum a in the state where the charge balance is normal). 500 nm) will be reduced. This change in spectrum due to the change in charge balance cannot be eliminated by using a redox buffer. However, in the method of the present invention, since the collapsed charge balance can be rebalanced, it is possible to maintain a spectrum in which the charge balance is normal as shown in the spectrum d in FIG. 4 (b). Since the spectrum d in FIG. 4B is in good agreement with the spectrum a in FIG. 4A, it can be seen in FIG. 4 that the EC element of the present invention maintains the spectrum in a normal state. It is shown.
このため、本発明の手法(酸化還元物質を有する担体を用いる手法)では、特許文献1の様にレドックスバッファーを用いた場合の課題を解決することができる。即ち、通常のEC素子の着色動作における消費電力の増大、応答速度の低下や、アノード性のEC材料の着色体とカソード性のEC材料の着色体との比の変化を解決することができる。
Therefore, the method of the present invention (a method using a carrier having a redox substance) can solve the problem when a redox buffer is used as in
10.用途等
本発明のEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材等の構成部材として用いることができる。
10. Applications The EC element of the present invention can be used as a constituent member of an optical filter, a lens unit, an image pickup device, a window material, or the like.
(光学フィルタ)
本発明の光学フィルタは、本発明のEC素子と、このEC素子に電気接続される能動素子とを有している。EC素子に電気接続される能動素子として、具体的には、EC素子の透過率を制御するためのトランジスタ等が挙げられる。トランジスタとして、例えば、TFTやMIM素子が挙げられる。ここでTFTは、薄膜トランジスタとも呼ばれ、その構成材料としては、半導体や酸化物半導体が用いられる。
(Optical filter)
The optical filter of the present invention has an EC element of the present invention and an active element electrically connected to the EC element. Specific examples of the active element electrically connected to the EC element include a transistor for controlling the transmittance of the EC element. Examples of the transistor include a TFT and a MIM element. Here, the TFT is also called a thin film transistor, and a semiconductor or an oxide semiconductor is used as a constituent material thereof.
(レンズユニット)
本発明のレンズユニットは、複数のレンズを有する撮像光学系と、本発明のEC素子を有する光学フィルタとを有している。レンズユニットを構成する光学フィルタは、複数あるレンズとレンズとの間に設けてもよいし、レンズの外側に設けてもよい。本発明のレンズユニットは、光学フィルタにより、撮像光学系を通過する光又は通過した光の光量を調整することができる。
(Lens unit)
The lens unit of the present invention includes an imaging optical system having a plurality of lenses and an optical filter having the EC element of the present invention. The optical filter constituting the lens unit may be provided between a plurality of lenses and the lens, or may be provided outside the lens. In the lens unit of the present invention, the amount of light passing through the imaging optical system or the amount of light passing through can be adjusted by an optical filter.
(撮像装置)
本発明の撮像装置は、光学フィルタと、この光学フィルタを通過した光を受光する撮像素子とを有する。撮像装置を構成する撮像素子は、光学フィルタを透過した光を受光する素子であり受光素子とも呼ばれる素子である。
(Imaging device)
The image pickup device of the present invention includes an optical filter and an image pickup element that receives light that has passed through the optical filter. The image pickup device constituting the image pickup device is an element that receives light transmitted through an optical filter and is also called a light receiving element.
撮像装置として、具体的には、カメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等が挙げられる。撮像装置は、撮像光学系が着脱可能であること、即ち、撮像素子を有する本体と、レンズを有するレンズユニットとが分離できる形態であってもよい。 Specific examples of the imaging device include a camera, a video camera, a camera-equipped mobile phone, and the like. The image pickup apparatus may have a form in which the image pickup optical system is removable, that is, the main body having the image pickup element and the lens unit having the lens can be separated.
ここで撮像装置が、本体と、レンズユニットとで分離できる場合は、撮像時に撮像装置とは別体の光学フィルタを用いる形態も本発明に含まれる。尚、係る場合、光学フィルタの配置位置としては、レンズユニットの外側、レンズユニットと受光素子との間、複数あるレンズの間(レンズユニットが複数のレンズを有する場合)等が挙げられる。 Here, when the image pickup apparatus can be separated into the main body and the lens unit, the present invention also includes a form in which an optical filter separate from the image pickup apparatus is used at the time of imaging. In such a case, the arrangement position of the optical filter includes the outside of the lens unit, between the lens unit and the light receiving element, between a plurality of lenses (when the lens unit has a plurality of lenses), and the like.
本発明のEC素子を撮像装置の構成部材として用いる場合、EC素子の配置位置は特に限定されない。例えば、撮像光学系の前であってもよいし、撮像素子の直前であってもよい。例えば、本発明のEC素子を撮像素子につながる撮像光学系の光路内に設けることにより、撮像素子が受光する光量もしくは入射光の波長分布特性を制御することができる。またこの撮像光学系は、レンズ系ともいうことができる。撮像光学系の例としては、複数のレンズを有するレンズユニット等が挙げられる。 When the EC element of the present invention is used as a constituent member of the image pickup apparatus, the arrangement position of the EC element is not particularly limited. For example, it may be in front of the image pickup optical system or just before the image pickup element. For example, by providing the EC element of the present invention in the optical path of the image pickup optical system connected to the image pickup element, the amount of light received by the image pickup element or the wavelength distribution characteristic of the incident light can be controlled. Further, this imaging optical system can also be called a lens system. Examples of the imaging optical system include a lens unit having a plurality of lenses.
またこの本発明のEC素子が撮像装置に用いられる場合、EC素子が消色状態では高透明性を発揮できるので、入射光に対して充分な透過光量が得られ、また着色状態では入射光を確実に遮光及び変調した光学的特性が得られる。 Further, when the EC element of the present invention is used in an image pickup apparatus, since the EC element can exhibit high transparency in the decolorized state, a sufficient amount of transmitted light can be obtained with respect to the incident light, and the incident light can be emitted in the colored state. Optical characteristics that are reliably shaded and modulated can be obtained.
レンズユニットを着脱可能な、撮像装置が光学フィルタを有する場合、レンズユニットを取り付けた際に、レンズユニットと、撮像素子との間に配置されるよう設けられてよい。 When the image pickup device to which the lens unit can be attached and detached has an optical filter, it may be provided so as to be arranged between the lens unit and the image pickup element when the lens unit is attached.
撮像装置が撮像光学系を有する場合、光学フィルタはレンズとレンズとの間に配置されても、レンズと撮像素子との間に配置されてもよく、光学フィルタと撮像素子との間に撮像光学系が配置されるように光学フィルタを配置されてもよい。 When the imaging device has an imaging optical system, the optical filter may be arranged between the lenses or between the lenses and the imaging element, and the imaging optics may be arranged between the optical filter and the imaging element. The optical filter may be arranged so that the system is arranged.
本発明のEC素子をカメラ等の撮像装置に用いた場合、撮像素子のゲインを下げることなく、光量を低減することができる。 When the EC element of the present invention is used in an image pickup device such as a camera, the amount of light can be reduced without lowering the gain of the image pickup device.
図5は、本発明の撮像装置における実施形態の例を示す模式図である。図5の撮像装置100は、レンズユニット102と、撮像ユニット103と、を有し、レンズユニット102は、マウント部材(不図示)を介して撮像ユニット103に着脱可能に接続されている。また撮像ユニット103内、具体的には、レンズユニット102内に光学フィルタ101が配置されている。
FIG. 5 is a schematic view showing an example of an embodiment in the imaging device of the present invention. The
図5において、レンズユニット102は、複数のレンズあるいはレンズ群を有するユニットであり、絞りより撮像素子110側でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズである。
In FIG. 5, the
図5において、レンズユニット102は、物体側より順に正の屈折力の第1のレンズ群104、負の屈折力の第2のレンズ群105、正の屈折力の第3のレンズ群106、正の屈折力の第4のレンズ群107の4つのレンズ群を有する。図5においては、第2のレンズ群105と第3のレンズ群106と、の間に開口絞り108を有する。図5の撮像装置100は、第2のレンズ群105と第3群のレンズ群106との間隔を変化させて変倍を行い、第4のレンズ群107の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。図5において、レンズユニット102は、第2のレンズ群105と第3のレンズ群106との間に開口絞り108を有する。レンズユニット102を通過する光は、各レンズ群(102乃至107)、開口絞り108及び光学フィルタ101を通過して撮像素子110に受光されるように各部材が配置されている。撮像素子110が受光する光の光量は開口絞り108及び光学フィルタ101を用いて調整を行うことができる。図5において、撮像ユニット103は、ガラスブロック109と撮像素子110とを有する。またガラスブロック109と撮像素子110との間には光学フィルタ101が配置されている。
In FIG. 5, the
ガラスブロック109は、具体的には、ローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。
Specifically, the
撮像素子110は、レンズユニット102を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等の撮像素子を使用することができる。また、フォトダイオードのような光センサであってもよく、光の強度あるいは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
The
図5において、撮像ユニット103には、光学フィルタ101が、撮像ユニット103内のガラスブロック109と、撮像素子110と、の間に配置されている。本発明の撮像装置において、光学フィルタ101の配置位置は特に限定されるものではなく、例えば、第3のレンズ群106と第4のレンズ群107との間に配置されてもよいし、レンズユニット102の外側に配置されていてもよい。
In FIG. 5, in the
尚、光の収束する位置に光学フィルタ101を配置と、光学フィルタ101の面積を小さくできる等の利点がある。また本発明の撮像装置では、レンズユニット102の形態も適宜選択可能であり、リアフォーカス式の他、絞りより前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式であってもよく、その他方式であってもよい。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズなどの特殊レンズも適宜選択可能である。
By arranging the
このような撮像装置は、光量調整と撮像素子の組合せを有する製品等が挙げられ、例えば、カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレットなどの撮像部位であってもよい。 Examples of such an image pickup device include products having a combination of light amount adjustment and an image pickup element, and are, for example, image pickup parts such as cameras, digital cameras, video cameras, digital video cameras, mobile phones, smartphones, PCs, and tablets. You may.
(窓材)
本発明の窓材は、一対の透明基板と、これら透明基板の間に設けられるEC素子と、このEC素子の透過率を制御するための能動素子とを有している。この能動素子は、EC素子に接続されているが、EC素子への接続形態については、直接に接続された形態でもよいし、間接に接続された形態でもよい。本発明の窓材は、透明基板を透過する光の光量をEC素子により調整することができる。またこの窓材に、窓枠等の部材を加えることで窓として使用することができる。本発明の窓材は、航空機、自動車、住宅等の窓に用いることができる。またEC素子を有する窓材は、電子カーテンを有する窓材と呼ぶこともできる。
(Window material)
The window material of the present invention has a pair of transparent substrates, an EC element provided between the transparent substrates, and an active element for controlling the transmittance of the EC element. This active element is connected to the EC element, but the connection form to the EC element may be a directly connected form or an indirectly connected form. In the window material of the present invention, the amount of light transmitted through the transparent substrate can be adjusted by the EC element. Further, by adding a member such as a window frame to this window material, it can be used as a window. The window material of the present invention can be used for windows of aircraft, automobiles, houses and the like. Further, the window material having an EC element can also be called a window material having an electronic curtain.
図6は、本発明の窓材における実施形態の例を示す模式図であり、図6(a)は斜視図、図6(b)は、図6(a)のX−X’断面図である。 6A and 6B are schematic views showing an example of an embodiment of the window material of the present invention, FIG. 6A is a perspective view, and FIG. 6B is a cross-sectional view taken along the line XX'of FIG. 6A. is there.
図6の窓材111は、調光窓であり、EC素子114(ただし、担体3は不図示)と、EC素子114を挟持する透明板113と、全体を囲繞して一体化するフレーム112と、からなる。尚、図6の窓材111の駆動手段は、フレーム112内に一体化されていてもよいし、フレーム112の外部に配置された配線を通してEC素子114と接続されていてもよい。
The
図6の窓材111において、透明板113は、光透過率が高い材料であれば特に限定されず、窓としての利用を考慮すればガラス素材であることが好ましい。図6において、EC素子114は透明板113とは独立した構成部材であるが、例えば、EC素子114を構成する基板(7,8)を透明板113と見立てても構わない。
In the
図6の窓材111において、フレーム112の材質は特に問われないが、EC素子114の少なくとも一部を被覆し一体化された形態を有するもの全般をフレーム112とみなしても構わない。
In the
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples.
[合成例1]化合物1の合成
アノード性のEC材料である化合物1を、以下に示す合成スキームに従って合成した。
[Synthesis Example 1] Synthesis of
50mlの反応容器に、下記に示す試薬、溶媒を投入した。
XX−1(2,5−ジブロモエチレンジオキシチオフェン):500mg(1.67mmol)
2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:1.05g(5.0mmol)
トルエン:10ml
テトラヒドロフラン:5ml)
The reagents and solvents shown below were placed in a 50 ml reaction vessel.
XX-1 (2,5-dibromoethylenedioxythiophene): 500 mg (1.67 mmol)
2-Isopropoxy-6-methoxyphenylboronic acid: 1.05 g (5.0 mmol)
Toluene: 10 ml
Tetrahydrofuran: 5 ml)
次に、窒素を用いて、溶液中に存在する酸素(溶存酸素)を除去した。 Next, nitrogen was used to remove oxygen (dissolved oxygen) present in the solution.
次に、窒素雰囲気下にて下記に示される試薬を添加した。
Pd(OAc)2:19mg(0.083mmol)
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):89mg(0.22mmol)
りん酸三カリウム:1.92g(8.35mmol)
Next, the reagents shown below were added under a nitrogen atmosphere.
Pd (OAc) 2 : 19 mg (0.083 mmol)
2-Dicyclohexylphosphino-2', 6'-dimethoxybiphenyl (S-Phos): 89 mg (0.22 mmol)
Tripotassium Phosphate: 1.92 g (8.35 mmol)
次に、反応溶液を110℃にて加熱還流しながら7時間反応を行った。 Next, the reaction was carried out for 7 hours while heating and refluxing the reaction solution at 110 ° C.
次に、反応溶液を室温まで冷却した後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相:ヘキサン/酢酸エチル=4/3)を用いて分離精製することにより、化合物1を白色固体粉末として420mg(収率54%)得た。
Next, the reaction solution was cooled to room temperature and then concentrated under reduced pressure to obtain a crude product. Next, the obtained crude product was separated and purified using silica gel chromatography (mobile phase: hexane / ethyl acetate = 4/3) to obtain 420 mg (yield 54%) of
MALDI−MS測定により、得られた化合物のM+である470を確認した。また得られた化合物のNMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)σ(ppm):7.21(t,2H),6.63(d,2H),6.60(d,2H),4.41(m,2H),4.20(s,4H),3.81(s,6H),1.25(s,6H),1.24(s,6H).
By MALDI-MS measurement, 470, which is M + of the obtained compound, was confirmed. The measurement results of the NMR spectrum of the obtained compound are shown below.
1 1 H-NMR (CDCl 3 ) σ (ppm): 7.21 (t, 2H), 6.63 (d, 2H), 6.60 (d, 2H), 4.41 (m, 2H), 4 .20 (s, 4H), 3.81 (s, 6H), 1.25 (s, 6H), 1.24 (s, 6H).
[合成例2]化合物2の合成
カソード性の酸化還元物質である化合物2は、Cinnsealach等の文献(Solar Energy Materials and Solar Cells 57巻(1999年)107−125頁に基づいて合成した。尚、化合物2は、EC性を有する化合物である。
[Synthesis Example 2] Synthesis of
[実施例1]
(素子の作製)
図7に示されるEC素子30aを、以下の工程により作製した。
[Example 1]
(Manufacturing of element)
The
(1)透明導電性ガラスの準備
まず錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜が成膜されている透明導電性ガラスを二枚用意した。
(1) Preparation of Transparent Conductive Glass First, two transparent conductive glasses on which a tin-doped indium oxide (ITO) film was formed were prepared.
(2)基板の作製
次に、市販のITOエッチング液を用いて、図7(a)中のαの位置よりも外側にあるITO膜を、部分的に除去した。尚、この操作によって残存するITO膜42は、第一の電極31又は第二の電極32として使用した。
(2) Preparation of Substrate Next, using a commercially available ITO etching solution, the ITO film outside the position of α in FIG. 7A was partially removed. The
(3)担体の作製
市販の酸化チタンナノペースト(Nanoxide−HT、ソーラロニクス製)を、基板(37,38)のITO膜が除去された領域に塗布し、350℃、60分の条件で焼成した。尚、この焼成によって形成された酸化チタン粒子膜は、外部回路に電気的に接続されないため、電極としてではなく、担体33として機能する。次に、形成した担体33に、5mMの1,1’−フェロセンジカルボン酸(Fc(COOH)2)のエタノール溶液を塗布し、終夜静置した。次に、担体33をエタノール洗浄、乾燥させた。次に、担体33に固定化されたフェロセンジカルボン酸のうち半分に相当する量を、テトラフルオロホウ酸ニトロシルで酸化した。これにより、担体33に固定化された1,1’−フェロセンジカルボン酸の酸化体と還元体との比をおよそ1:1とした。このことによって担体が有する酸化還元物質の酸化還元状態が、酸化体と還元体が混在した状態とした。これにより、酸化チタンナノ粒子膜に非EC性の酸化還元物質(フェロセンジカルボン酸)が固定化された担体33を形成した。
(3) Preparation of Carrier A commercially available titanium oxide nanopaste (Nanoxide-HT, manufactured by Solaronics) was applied to the region of the substrate (37, 38) from which the ITO film had been removed, and fired at 350 ° C. for 60 minutes. .. Since the titanium oxide particle film formed by this firing is not electrically connected to the external circuit, it functions not as an electrode but as a
(4)基板の接着
担体33を形成した二枚の透明導電性ガラスに、シール材35として、100μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口40を残した外周に塗布した。またビーズを含まない同接着剤を、40μm高となるように、第一の電極31又は第二の電極32と担体33との間に塗布して隔壁36を形成した。その後、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように、また担体33同士が対向するように、電極取出部位39が露出するように二枚の透明導電性ガラスを重ね合わせた。次に、担体33にUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板37と基板38とを接着させた。
(4) Adhesion of Substrate A UV-curable adhesive (TB3035B, manufactured by ThreeBond Co., Ltd.) in which 100 μm spacer beads are mixed as a sealing
(5)電解質溶液の注入
0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液に、アノード性のEC材料である化合物1と、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩と、を溶解させて電解質溶液を調製した。このとき電解質溶液に含まれる化合物1の濃度は20mMであり、エチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩の濃度は20mMであった。次に、この電解質溶液(電解質34)を注入口40から注入した後、前述のUV硬化性接着剤で封止41をすることで、EC素子30aを得た。
(5) Injection of
(酸化還元電位の測定)
本実施例で使用したEC材料及び酸化還元物質について、酸化還元電位を測定した。以下に、その具体的な方法を説明する。
(Measurement of redox potential)
The redox potentials of the EC materials and redox substances used in this example were measured. The specific method will be described below.
0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液に、EC材料(化合物1、エチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩)及び酸化還元物質(フェロセンジカルボン酸)をそれぞれ1mMで溶解させた溶液を調製した。次に、ITOを作用電極、白金を対電極、Ag/Ag+(PF6,PC)を参照電極として用いてCV測定を行った。その結果、化合物の半波電位(酸化還元電位)は、それぞれ下記表1の通りであった。
A solution in which an EC material (
この結果から、本実施例において、担体が有する酸化還元物質の還元体は、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいことが確認された。また、担体が有する酸化還元物質の酸化体は、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいことが確認された。 From this result, it was confirmed that in this example, the reduced product of the redox substance contained in the carrier is more easily oxidized than the reduced product of the anodic EC material. It was also confirmed that the redox substance of the carrier is more easily reduced than the oxide of the cathodic EC material.
(EC素子の耐久駆動)
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。具体的には、第一の電極31と第二の電極32との間における1.62Vの電圧の印加と、第一の電極と第二の電極との間の短絡と、からなるEC素子の駆動を繰り返し行った。尚、この繰り返し駆動の際に、電圧の印加(着色状態にする駆動時間)を5秒とし、短絡(消色状態にする駆動時間)を600秒とした。
(Durable drive of EC element)
An endurance drive experiment was conducted on the obtained EC element. Specifically, the EC element is composed of an application of a voltage of 1.62 V between the
電荷のインバランスによる消色不良は、目視及び分光器を用いて確認した。分光器を用いた消色の確認は以下の要領で行った。具体的には、光源(オーシャンオプティクス製DH−2000S)から光ファイバを通じて第一の電極31及び第二の電極32を透過した光を、分光器(同社製、USB4000)を用いて検出した。このとき透過光の光路が第一の電極31及び第二の電極32を透過し、担体33が光路から外れるようEC素子30aを配置した。
Decolorization defects due to charge imbalance were confirmed visually and using a spectroscope. The decolorization was confirmed using a spectroscope as follows. Specifically, light transmitted from a light source (DH-2000S manufactured by Ocean Optics) through an optical fiber through the
[比較例1]
実施例1において、EC素子を作製する際に、工程(2)及び(3)を省略したこと以外は、実施例1と同様の方法によりEC素子を作製した。尚、本比較例においては、透明導電性ガラスに形成されているITO膜は、図7中の第一の電極31又は第二の電極32に相当する。
[Comparative Example 1]
In Example 1, the EC element was produced by the same method as in Example 1 except that steps (2) and (3) were omitted when the EC element was produced. In this comparative example, the ITO film formed on the transparent conductive glass corresponds to the
(EC素子の耐久駆動の結果)
実施例1及び比較例1について、EC素子の耐久駆動の結果を下記表2にまとめた。
(Result of durable drive of EC element)
The results of endurance driving of EC elements for Example 1 and Comparative Example 1 are summarized in Table 2 below.
両電極(31、32)間の電圧の印加と、両電極(31、32)間の短絡とからなる駆動動作のサイクルを繰り返し行うと、担体33を持たない比較例1のEC素子では消色不良が発生した。具体的には、短期的に見ると、ピークトップが445nmである薄黄色のアノード性の電荷のインバランスによる消色不良が発生した。この消色不良は、化合物1のラジカルカチオンに起因している。一方、長期的に見ると、ピークトップが605nmである青色のカソード性の電荷のインバランスによる消色不良が発生した。この消色不良は、エチルビオロゲンのラジカルカチオンに起因している。
When the drive operation cycle consisting of the application of the voltage between the two electrodes (31, 32) and the short circuit between the two electrodes (31, 32) is repeated, the EC element of Comparative Example 1 having no
これに対し、酸化還元物質を有する担体33が備わっている実施例1のEC素子では、電荷のインバランスに起因する消色不良が観測されず、効果的に電荷のリバランスが行われていることが確認された。
On the other hand, in the EC device of Example 1 provided with the
以上より、アノード性のEC材料及びカソード性のEC材料を有するEC素子において、以下の条件を満たすことにより、EC素子30aが有する担体33によって効果的に電荷のインバランスの調整が行われ、消色不良が抑制されることが確認された。
(1a)担体33が有する酸化還元物質よりも酸化還元電位が正のアノード性のEC材料を有すること(担体33が有する酸化還元物質の還元体が、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいこと。)。
(1b)担体33が有する酸化還元物質よりも酸化還元電位が負のカソード性のEC材料を有すること(担体33が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいこと。)。
(1c)担体33が、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置されることで消色不良が均一に低減されること。
(1d)初期状態において、担体33が有する酸化還元物質の酸化還元状態が、酸化体と還元体が混在した状態であること。
From the above, in the EC element having the anodic EC material and the cathodic EC material, the charge imbalance is effectively adjusted by the
(1a) Having an anodic EC material having a redox potential more positive than that of the redox substance of the carrier 33 (the redox substance of the redox substance of the
(1b) Having a cathodic EC material having a negative redox potential than the redox substance of the carrier 33 (the oxidant of the redox substance of the
(1c) By arranging the
(1d) In the initial state, the redox state of the redox substance possessed by the
[実施例2]
(素子の作製)
図8に示されるEC素子30bを、以下の工程により作製した。
[Example 2]
(Manufacturing of element)
The
(1)透明導電性ガラスの準備
まず錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜が成膜されている透明導電性ガラスを二枚用意した。
(1) Preparation of Transparent Conductive Glass First, two transparent conductive glasses on which a tin-doped indium oxide (ITO) film was formed were prepared.
(2)基板の作製
次に、市販のITOエッチング液を用いて、図8(a)中のαの位置よりも外側にあるITO膜を、部分的に除去した。尚、この操作によって残存するITO膜は、第一の電極31又は第二の電極32として使用した。
(2) Preparation of Substrate Next, using a commercially available ITO etching solution, the ITO film outside the position of α in FIG. 8A was partially removed. The ITO film remaining by this operation was used as the
(3)第一の電極(多孔質電極)の作製
アンチモンドープ酸化スズナノ粒子(石原産業社製)12gと、濃硝酸2mLと、水200mLと、を混合し、80℃で8時間攪拌後、真空乾燥1日行うことで、酸化スズナノ粒子のケーキを得た。次に、このケーキ4gに、水20mLと、ポリエチレングリコール1.2gと、ヒドロキシプロピルセルロース0.4gと、を加えた後、15日間撹拌を行うことでスラリーを調製した。次に、このスラリーを、第一の電極31の形成領域に設けられているITO膜31a上に塗布形成した後、350℃、60分の条件で焼成することで、アンチモンドープ酸化スズナノ粒子膜(以下、「ナノ粒子膜」ということがある。)を得た。このナノ粒子膜にアノード性の酸化還元物質(非EC性)である1,1’−フェロセンジカルボン酸の5mMエタノール溶液を塗布し、終夜静置した。次に、ナノ粒子膜をエタノール洗浄、乾燥することで、第一の電極31を作製した。
(3) Preparation of first electrode (porous electrode) 12 g of antimony-doped tin oxide nanoparticles (manufactured by Ishihara Sangyo Co., Ltd.), 2 mL of concentrated nitric acid, and 200 mL of water are mixed, stirred at 80 ° C. for 8 hours, and then vacuumed. After drying for 1 day, a cake of tin oxide nanoparticles was obtained. Next, 20 mL of water, 1.2 g of polyethylene glycol, and 0.4 g of hydroxypropyl cellulose were added to 4 g of this cake, and the mixture was stirred for 15 days to prepare a slurry. Next, this slurry was applied and formed on the
(4)担体の作製
第二の電極2を有する基板8のITO膜を除去した領域に、実施例1(3)と同様の方法で市販の酸化チタンナノペーストを塗布し、350℃、60分の条件で焼成することで多孔質の酸化チタン粒子膜を形成した。尚、この酸化チタン粒子膜は、外部回路に電気的に接続されないため、電極としてではなく、担体33として機能する。次に、この酸化チタン粒子膜に、カソード性の酸化還元物質(EC性)である化合物2の1mM水溶液を塗布し、終夜静置した。次に、酸化チタン粒子膜を洗浄、乾燥することで、担体33を作製した。
(4) Preparation of Carrier A commercially available titanium oxide nanopaste was applied to the region of the
(酸化・還元のしやすさの評価)
担体33に固定化された酸化還元物質(化合物2)と、カソード性のEC材料(エチルビオロゲン)とのどちらが酸化されやすいか、については、以下に説明する方法で行った。まずエチルビオロゲンのメタノール溶液に還元材であるアミンを含むエポキシ接着剤の硬化剤(ボンドクイック5B剤)を添加し、エチルビオロゲンを還元状態(青色)にした。次に、窒素雰囲気下、酸化還元物質(化合物2)を固定した担体33上に、還元状態のエチルビオロゲンを有する溶液を滴下した。すると、エチルビオロゲン由来の青色が消失し、代わって担体33が薄黄緑色に変化した。このように担体33が薄黄緑色に変化したのは、化合物2が還元されたことを意味する。
(Evaluation of ease of oxidation / reduction)
Which of the redox substance (Compound 2) immobilized on the
これにより、エチルビオロゲン(カソード性のEC材料)の還元体から化合物2(酸化還元物質(EC性化合物))の酸化体への電子移動が確認されたため、このカソード性のEC材料は、担体33が有する酸化還元物質よりも酸化されやすいことが確認できた。一方で、フェロセンジカルボン酸の5mMエタノール溶液を、化合物2が固定されている担体33上に滴下しても担体33は薄黄緑色には着色しなかった。以上より、担体33が有する酸化還元物質の還元体は、この第一の電極31が有するアノード性の酸化還元物質の還元体よりも酸化されやすいということがわかった。
As a result, electron transfer from the reduced form of ethyl viologen (cathodic EC material) to the oxidized form of compound 2 (oxidation-reducing substance (EC-based compound)) was confirmed. Therefore, this cathodic EC material is a
(5)基板の接着
担体33が形成されている透明導電性ガラス(基板37)に、シール材35として、UV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口40を残した外周に塗布した。またビーズを含まない同接着剤を、40μm高となるように、第一の電極31又は第二の電極32と担体33との間に塗布して隔壁36を形成した。その後、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように、また担体33同士が対向するように、電極取出部位39が露出するように二枚の透明導電性ガラスを重ね合わせた。次に、担体33にUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板37と基板38とを接着させた。
(5) Adhesion of Substrate A UV-curable adhesive (TB3035B, manufactured by ThreeBond Co., Ltd.) is applied as a sealing
(5)電解質溶液の注入
0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液に、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩を溶解させて電解質溶液を調製した。このとき電解質溶液に含まれるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩の濃度は20mMであった。次に、この電解質溶液(電解質34)を注入口40から注入した後、前述のUV硬化性接着剤で封止41をすることで、EC素子30bを得た。
(5) Injection of Electrolyte Solution An electrolyte solution was prepared by dissolving ethylviologen hexafluorophosphate, which is a cathodic EC material, in a propylene carbonate (PC) solution of 0.1 M tetrabutylammonium hexafluorophosphate. At this time, the concentration of ethyl viologen hexafluorophosphate contained in the electrolyte solution was 20 mM. Next, after injecting this electrolyte solution (electrolyte 34) from the
(EC素子の耐久駆動)
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。具体的には、第一の電極31と第二の電極32との間における1.8Vの電圧の印加と、第一の電極31と第二の電極32との間の短絡と、からなるEC素子の駆動を繰り返し行った。尚、この繰り返し駆動の際に、電圧の印加(着色状態にする駆動時間)を5秒とし、短絡(消色状態にする駆動時間)を600秒とした。
(Durable drive of EC element)
An endurance drive experiment was conducted on the obtained EC element. Specifically, an EC consisting of an application of a voltage of 1.8 V between the
電荷のインバランスによる消色不良は、実施例1と同様の方法により確認した。尚、分光器を用いた消色不良の確認の際は、透過光の光路が第一の電極31及び第二の電極32を透過し、担体33が光路から外れるようEC素子30bを配置した。
Decolorization failure due to charge imbalance was confirmed by the same method as in Example 1. When confirming the decolorization defect using a spectroscope, the
[比較例2]
実施例2において、EC素子を作製する際に、工程(2)を省略し、工程(4)において担体の作製を省略したこと以外は、実施例2と同様の方法によりEC素子を作製した。尚、本比較例においては、透明導電性ガラスに形成されているITO膜の上に、図8の第一の電極31に相当する多孔質膜が形成されている。
[Comparative Example 2]
In Example 2, the EC element was manufactured by the same method as in Example 2 except that the step (2) was omitted and the carrier was omitted in the step (4). In this comparative example, a porous film corresponding to the
また得られたEC素子において、第一の電極と第二の電極との間における1.8Vの電圧の印加と、第一の電極と第二の電極との間の短絡と、からなるEC素子の駆動を繰り返し行った。 Further, in the obtained EC element, an EC element composed of an application of a voltage of 1.8 V between the first electrode and the second electrode and a short circuit between the first electrode and the second electrode. Was repeatedly driven.
(EC素子の耐久駆動の結果)
実施例2及び比較例2について、EC素子の耐久駆動の結果を下記表3にまとめた。
(Result of durable drive of EC element)
The results of endurance driving of EC elements for Example 2 and Comparative Example 2 are summarized in Table 3 below.
両電極(31、32)間の電圧の印加と、両電極(31、32)間の短絡とからなる駆動動作のサイクルを繰り返し行うと、担体を持たない比較例2のEC素子では消色不良が発生した。具体的には、短期から長期にかけて、ピークトップが605nmである青色のカソード性の電荷のインバランスによる消色不良が発生した。この消色不良は、エチルビオロゲンのラジカルカチオンに起因している。 When the drive operation cycle consisting of applying a voltage between both electrodes (31, 32) and short-circuiting between both electrodes (31, 32) is repeated, the EC element of Comparative Example 2 having no carrier has poor decolorization. There has occurred. Specifically, from a short period of time to a long period of time, poor decolorization occurred due to the imbalance of the blue cathodic charge having a peak top of 605 nm. This decolorization failure is due to the radical cation of ethyl viologen.
これに対し、酸化還元物質を有する担体33が備わっている実施例2のEC素子では、電荷のインバランスに起因する消色不良が観測されず、効果的に電荷のリバランスが行われていることが確認された。尚、実施例2のEC素子では、耐久駆動を行う際に、担体33が薄黄緑色に着色した。この着色によって、酸化還元物質を有する担体33を用いることで効果的に電荷のリバランスが行われていることがより明確に確認された。
On the other hand, in the EC device of Example 2 provided with the
以上より、以下の事項が確認できた。
(2a)第一の電極31が有するアノード性の酸化還元物質と、第二の電極32が有するカソード性のEC材料を有するEC素子において、以下の条件を満たせば、担体33によって効果的に電荷のインバランスの調整が行われ、消色不良が抑制されること。
(2a−1)担体33が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいこと。
(2a−2)担体33が有する酸化還元物質の還元体が、第一の電極31が有するアノード性の酸化還元物質の還元体よりも酸化されやすいこと。
(2a−3)担体33を、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置することによって消色不良が均一に低減されること。
(2a−4)担体33と、第二の電極32との間の電位差を制御する手段を有すること。
(2a−5)消色動作時に担体33と第二の電極32との間を短絡する手段を有すること。
(2b)酸化還元物質やEC材料を、第一の電極31や第二の電極32に固定化させた場合でも電荷のインバランスの調整が効果的に実施できること。
(2c)担体33が有する酸化還元物質がEC性を有することで、電荷のリバランス状況を容易に確認できること。
From the above, the following items could be confirmed.
(2a) In an EC device having an anodic redox substance possessed by the
(2a-1) The oxidant of the redox substance contained in the
(2a-2) The redox substance of the
(2a-3) By arranging the
(2a-4) Having a means for controlling the potential difference between the
(2a-5) Having a means for short-circuiting between the
(2b) Even when the redox substance or the EC material is immobilized on the
(2c) Since the redox substance contained in the
[実施例3]
(素子の作製)
図9に示されるEC素子30cを、以下の工程により作製した。
[Example 3]
(Manufacturing of element)
The
(1)透明導電性ガラスの準備
まず錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜が成膜されている透明導電性ガラスを二枚用意した。
(1) Preparation of Transparent Conductive Glass First, two transparent conductive glasses on which a tin-doped indium oxide (ITO) film was formed were prepared.
(2)基板の作製
次に、市販のITOエッチング液を用いて、図9(a)中のαの位置よりも外側にあるITO膜を、部分的に除去した。尚、この操作によって残存するITO膜は、第一の電極31又は第二の電極32として使用した。
(2) Preparation of Substrate Next, using a commercially available ITO etching solution, the ITO film outside the position of α in FIG. 9A was partially removed. The ITO film remaining by this operation was used as the
(3)担体の作製
実施例1と同様の方法により、基板(37,38)のITO膜が除去された領域に酸化チタン粒子膜を形成した。次に、一枚目の透明導電性ガラス(基板37)が有する酸化チタン粒子膜に、実施例1(3)と同様の方法により、1,1’−フェロセンジカルボン酸(Fc(COOH)2)を固定化させた。次に、二枚目の透明導電性ガラス(基板38)が有するナノ粒子膜に、実施例2(4)と同様の方法により、化合物2を固定化させた。これにより、酸化還元物質が固定化された担体、具体的には、基板37が有する担体33aと、基板38が有する担体33bとを作製した。
(3) Preparation of Carrier By the same method as in Example 1, a titanium oxide particle film was formed on the region of the substrate (37, 38) from which the ITO film had been removed. Next, 1,1'-ferrocene dicarboxylic acid (Fc (COOH) 2 ) was applied to the titanium oxide particle film of the first transparent conductive glass (base 37) by the same method as in Example 1 (3). Was fixed. Next, the
(4)基板の接着
担体(33a、33b)を形成した二枚の透明導電性ガラス(基板37,38)に、シール材35として、100μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口40を残した外周に塗布した。また実施例1(4)と同様の方法により隔壁36を形成した。その後、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように、また担体(33a、33b)同士が対向するように、電極取出部位39が露出するように二枚の透明導電性ガラスを重ね合わせた。次に、担体(33a、33b)にUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板37と基板38とを接着させた。
(4) Adhesion of Substrate A UV-curable adhesive (TB3035B) in which 100 μm spacer beads are mixed as a sealing
(5)電解質溶液の注入
0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液に、アノード性のEC材料である化合物1と、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩と、を溶解させて電解質溶液を調製した。このとき電解質溶液に含まれるアノード性のEC材料である化合物1の濃度は20mMであり、カソード性のEC材料であるエチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩の濃度は20mMであった。次に、この溶液状の電解質34を注入口40から注入した後、前述のUV硬化性接着剤で封止41をすることで、EC素子30cを得た。
(5) Injection of
(EC素子の耐久駆動)
得られたEC素子について、耐久駆動の実験を行った。具体的には、第一の電極31(陽極)と第二の電極32との間における1.62Vの電圧の印加と、第一の電極と第二の電極との間の短絡と、からなるEC素子の駆動を繰り返し行った。尚、この繰り返し駆動の際に、電圧の印加(着色状態にする駆動時間)を5秒とし、短絡(消色状態にする駆動時間)を600秒とした。
(Durable drive of EC element)
An endurance drive experiment was conducted on the obtained EC element. Specifically, it consists of an application of a voltage of 1.62 V between the first electrode 31 (anode) and the
電荷のインバランスによる消色不良は、目視及び分光器を用いて確認した。分光器を用いた消色の確認は以下の要領で行った。具体的には、光源(オーシャンオプティクス製DH−2000S)から光ファイバを通じて第一の電極31及び第二の電極32を透過した光を、分光器(同社製、USB4000)を用いて検出した。このとき透過光の光路が第一の電極31及び第二の電極32を透過し、担体33が光路から外れるようEC素子30cを配置した。
Decolorization defects due to charge imbalance were confirmed visually and using a spectroscope. The decolorization was confirmed using a spectroscope as follows. Specifically, light transmitted from a light source (DH-2000S manufactured by Ocean Optics) through an optical fiber through the
[比較例3]
実施例3において、EC素子を作製する際に、工程(2)及び(3)を省略したこと以外は、実施例3と同様の方法によりEC素子を作製した。尚、本比較例においては、透明導電性ガラスに形成されているITO膜は、図9中の第一の電極31又は第二の電極32に相当する。
[Comparative Example 3]
In Example 3, the EC element was produced by the same method as in Example 3 except that steps (2) and (3) were omitted when the EC element was produced. In this comparative example, the ITO film formed on the transparent conductive glass corresponds to the
また得られたEC素子において、第一の電極と第二の電極との間における1.62Vの電圧の印加と、第一の電極と第二の電極との間の短絡と、からなるEC素子の駆動を繰り返し行った。 Further, in the obtained EC element, an EC element composed of an application of a voltage of 1.62 V between the first electrode and the second electrode and a short circuit between the first electrode and the second electrode. Was repeatedly driven.
(EC素子の耐久駆動の結果)
実施例3及び比較例3について、EC素子の耐久駆動の結果を下記表4にまとめた。
(Result of durable drive of EC element)
The results of endurance driving of EC elements for Example 3 and Comparative Example 3 are summarized in Table 4 below.
両電極(31、32)間の電圧の印加と、両電極(31、32)間の短絡とからなる駆動動作のサイクルを繰り返し行うと、担体を持たない比較例3のEC素子では比較例1と同様の消色不良が発生した。 When the drive operation cycle consisting of the application of the voltage between the two electrodes (31, 32) and the short circuit between the two electrodes (31, 32) is repeated, the EC element of Comparative Example 3 having no carrier has Comparative Example 1. The same decolorization defect as the above occurred.
これに対し、酸化還元物質を有する担体(33a、33b)が備わっている実施例3のEC素子では、電荷のインバランスに起因する消色不良が観測されなかった。また実施例3のEC素子では、耐久駆動を長期(1000サイクル以下)で行うと担体(33b、33c)が薄黄緑色に着色した。この着色から、酸化還元物質が固定化された担体(33b、33c)を有する実施例3のEC素子は、効果的に電荷のリバランスが行われていることが明確に確認された。 On the other hand, in the EC device of Example 3 provided with carriers (33a, 33b) having a redox substance, no decolorization failure due to charge imbalance was observed. Further, in the EC element of Example 3, the carriers (33b, 33c) were colored light yellowish green when the endurance driving was performed for a long period of time (1000 cycles or less). From this coloring, it was clearly confirmed that the EC element of Example 3 having the carrier (33b, 33c) on which the redox substance was immobilized was effectively rebalanced in charge.
以上より、アノード性のEC材料及びカソード性のEC材料を有するEC素子において、以下の条件を満たすことにより、EC素子30が有する担体(33a、33b)によって効果的に電荷のインバランスの調整が行われ、消色不良が抑制されることが確認された。
(3a)担体(33a、33b)が有する酸化還元物質の還元体が、アノード性のEC材料の還元体よりも酸化されやすいこと(担体(33a、33b)が有する酸化還元物質が、アノード性のEC材料よりも負の酸化還元電位を持つこと。)。
(3b)担体(33a、33b)が有する酸化還元物質の酸化体が、カソード性のEC材料の酸化体よりも還元されやすいこと(担体(33a、33b)が有する酸化還元物質が、カソード性のEC材料よりも正の酸化還元電位を持つこと。)。
(3c)担体(33a、33b)を、第一の電極31又は第二の電極32の周囲の少なくとも一部に配置することによって消色不良が均一に低減されること。
(3d)担体(33a、33b)が複数の酸化還元物質を有すること。
From the above, in the EC device having the anodic EC material and the cathodic EC material, the charge imbalance can be effectively adjusted by the carriers (33a, 33b) included in the EC element 30 by satisfying the following conditions. It was confirmed that the decolorization failure was suppressed.
(3a) The redox substance of the carrier (33a, 33b) is more easily oxidized than the redox substance of the anodic EC material (the redox substance of the carrier (33a, 33b) is anodic. Have a more negative redox potential than EC materials).
(3b) The redox substance of the carrier (33a, 33b) is more easily reduced than the redox of the cathodic EC material (the redox substance of the carrier (33a, 33b) is cathodic. Have a more positive redox potential than EC materials).
(3c) Discoloration defects are uniformly reduced by arranging the carriers (33a, 33b) in at least a part around the
(3d) The carrier (33a, 33b) has a plurality of redox substances.
1:第一の電極、2:第二の電極、3:担体、4:電解質、5:シール材、6:隔壁、7(8):基板、10:EC素子 1: First electrode, 2: Second electrode, 3: Carrier, 4: Electrolyte, 5: Sealing material, 6: Partition wall, 7 (8): Substrate, 10: EC element
Claims (19)
前記電解質と、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、前記カソード性の酸化還元物質と、が混合しており、
前記電解質が、前記第一の電極、前記第二の電極及び前記担体と接触しており、
前記担体が、さらに酸化還元物質を有し、
前記担体が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 It has a first electrode, a second electrode, and a carrier, and at least one of the first electrode and the second electrode is transparent, and the first electrode and the second electrode are transparent. An electrochromic element having an electrolyte, an anodic organic electrochromic compound, and a cathodic redox substance between the electrodes.
The electrolyte, the anodic organic electrochromic compound, and the cathodic redox substance are mixed.
The electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier.
The carrier further comprises a redox substance and
An electrochromic element characterized in that a reduced product of a redox substance contained in the carrier is more easily oxidized than a reduced product of the anodic organic electrochromic compound.
前記電解質と、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、前記アノード性の酸化還元物質と、が混合しており、
前記電解質が、前記第一の電極、前記第二の電極及び前記担体と接触しており、
前記担体が、さらに酸化還元物質を有し、
前記担体が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 It has a first electrode, a second electrode, and a carrier, and at least one of the first electrode and the second electrode is transparent, and the first electrode and the second electrode are transparent. An electrochromic element having an electrolyte, a cathodic organic electrochromic compound, and an anodic redox substance between the electrodes.
The electrolyte, the cathodic organic electrochromic compound, and the anodic redox substance are mixed.
The electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier.
The carrier further comprises a redox substance and
An electrochromic device characterized in that an oxidant of a redox substance contained in the carrier is more easily reduced than an oxidant of the cathodic organic electrochromic compound.
前記電解質と、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、が混合しており、
前記電解質が、前記第一の電極、前記第二の電極及び前記担体と接触しており、
前記担体が、酸化還元物質を有し、
前記担体が有する酸化還元物質の還元体が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の還元体よりも酸化されやすく、
前記担体が有する酸化還元物質の酸化体が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 It has a first electrode, a second electrode, and a carrier, and at least one of the first electrode and the second electrode is transparent, and the first electrode and the second electrode are transparent. An electrochromic element having an electrolyte, an anodic organic electrochromic material, and a cathodic organic electrochromic compound between the electrodes.
The electrolyte, the anodic organic electrochromic compound, and the cathodic organic electrochromic compound are mixed.
The electrolyte is in contact with the first electrode, the second electrode and the carrier.
The carrier has a redox substance and
The reduced form of the redox substance contained in the carrier is more easily oxidized than the reduced form of the anodic organic electrochromic compound.
An electrochromic device characterized in that an oxidant of a redox substance contained in the carrier is more easily reduced than an oxidant of the cathodic organic electrochromic compound.
ERO<EEC(A) (I) The following formula (I) is satisfied between the redox potential E EC (A) of the anodic organic electrochromic compound and the redox potential E RO of the redox substance contained in the carrier. , The electrochromic element according to claim 1 or 3.
E RO <E EC (A) (I)
ERO>EEC(C) (II) The following formula (II) is satisfied between the redox potential E EC (C) of the cathodic organic electrochromic compound and the redox potential E RO of the redox substance contained in the carrier. , The electrochromic element according to claim 2 or 3.
E RO > E EC (C) (II)
EEC(C)<ERO<EEC(A) (III) Redox potential E EC (A) of the anode organic electrochromic compounds of the redox potential E EC of cathodic organic electrochromic compound of component (C), redox potential E redox substance the carrier has The electrochromic element according to claim 3, wherein the following formula (III) is satisfied between the RO and the RO .
E EC (C) <E RO <E EC (A) (III)
前記エレクトロクロミック素子に接続される能動素子と、を有することを特徴とする、光学フィルタ。 The electrochromic device according to any one of claims 1 to 14.
An optical filter comprising an active element connected to the electrochromic element.
請求項15に記載の光学フィルタと、を有することを特徴とする、レンズユニット。 An imaging optical system with multiple lenses and
A lens unit comprising the optical filter according to claim 15.
請求項15に記載の光学フィルタと、
前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする、撮像装置。 An imaging optical system with multiple lenses and
The optical filter according to claim 15,
An image pickup apparatus comprising: an image pickup element that receives light transmitted through the optical filter.
前記一対の透明基板の間に配置される、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子に接続される能動素子と、を有することを特徴とする、窓材。 A pair of transparent boards and
The electrochromic element according to any one of claims 1 to 14, which is arranged between the pair of transparent substrates.
A window material comprising an active element connected to the electrochromic element.
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