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JP6749609B2 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、使用者からのタッチ操作を受け付けるカバーガラス等に使用されるガラス基板の製造方法に関し、特に周縁部に屈曲領域を有するガラス基板の製造方法に関する。
近年、タッチパネルは直感的な操作が可能になるという利点により、使用者が機器を操作する際のインターフェースとして幅広い分野に採用されている。タッチパネル用のカバーガラスは、タッチパネルが使用者に露出する側に配置されており、アイコン等が表示されているタッチ操作領域を使用者が視認しながら行うタッチ操作を受け付けるように構成されている。カバーガラスの平坦性や高い透明度によるデザイン性の向上により、従来ならば、物理的なボタンやキーボードが用いられていた機器にも、タッチパネルへ置き換える動きが広がっている。例えば、スマートフォン等の携帯用電子端末では、ほとんどの操作をタッチパネルによって行うことができる。
カバーガラスに使用されるガラス基板は、化学強化処理によって圧縮応力層が形成されているため、タッチ操作や日常的な衝撃等で破損することはほとんどない。しかし、カバーガラスの端面に微小な傷が存在する場合は、圧縮応力層が形成されていても、わずかな衝撃により破損することもある。
そこで、従来技術のなかには、エッチング処理でガラス基板を分断することによって端面の強度を向上させる技術があった(例えば、特許文献1参照。)。スクライブブレーク等の機械加工を行わずにエッチング処理で分断することによって、端面の細かな傷を除去することができるので、カバーガラスの強度が向上するとされている。
特許第5654072号公報
しかし、ガラス基板をエッチング処理によって分断しているため、ガラス基板の板厚方向の中心部に凸状の突起部が形成されてしまう。突起部は、先細りした形状であり、端面の中でも強度が低く、わずかな衝撃でも破損したり欠けたりすることがある。このため、分断処理後も追加でエッチング処理や端面研磨を行い、突起部の突出距離を短くする必要がある場合があった。
さらに、近年のスマートフォンやタブレット等の携帯情報端末は、デザイン性や操作性の向上のために、周縁部に曲面領域が形成されたものが存在する。しかし、カバーガラスの周縁部のみを湾曲させることは非常に難しく、熱処理工程や端面研磨等の生産効率の低い工程が必要となる。また、熱処理加工は、ガラス基板に1mm程度の板厚が必要であるため、カバーガラスを薄型化することが困難であった。
本発明の目的は、使用者からのタッチ操作を受け付けるカバーガラス等に使用されるガラス基板の製造方法において、周縁部に屈曲領域を有するガラス基板の製造方法を提供することである。
本発明に係るガラス基板の製造方法は、保護ステップ、第1のパターニングステップ、第2のパターニングステップ、第1のエッチングステップ、分断ステップおよび第2のエッチングステップを含んでいる。保護ステップは、少なくとも耐エッチング性を有する保護層でガラス基板の両主面を被覆する工程である。第1のパターニングステップは、所望の形状に加工するための切断予定線に沿って第1の主面における保護層の一部を除去する工程である。第2のパターニングステップは、第1の主面と対向する第2の主面において、切断予定線に囲まれた領域内における切断予定線の近傍を除く領域の保護層を除去する工程である。第1のエッチングステップは、ガラス基板とエッチング液を接触させることによりガラス基板の第1の主面における切断予定線に沿って切断予定溝を形成すると共に、第2の主面に凹状の薄肉部を形成する工程である。分断ステップは、切断予定線に沿って主面に対して垂直に切断することによって、ガラス基板を分断する工程である。第2のエッチングステップは、保護層を除去した後に分断されたガラス基板をエッチング液と接触させる工程である。
本発明では、エッチング処理と分断処理を組み合わせて行うことによって、ガラス基板の周縁部に屈曲した領域を形成することができる。さらに、屈曲領域も最終的にウェットエッチングによって細かな傷が除去されるため、強度を維持することが可能になる。
また、第2のエッチングステップでは、切断予定線の近傍を、断面視において、第2の主面側が最も突出するくさび形状に形成することが好ましい。第2のエッチング処理では、分断面の近傍がエッチングされることにより、第1の主面側から第2の主面側に向かって傾斜しながら延出する領域が形成される。このような形状を形成することにより、端部が湾曲しているディスプレイを保護するためのカバーガラスとして好適に使用することができる。
本発明によれば、周縁部に屈曲領域を有するガラス基板を簡易に製造することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るカバーガラスを示す図である。 スマートフォン上に載置されたカバーガラスを示す図である。 ガラス母材のパターニング工程を示す図である。 カバーガラスの製造プロセスを示す図である。 エッチング処理におけるガラス基板の形状変化を示す図である。
ここから、図面を用いて本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態によって製造されたカバーガラス10の側面を示す図である。カバーガラス10は、第1の主面12および第2の主面14を有するガラス基板である。また、カバーガラス10は、平面部16および屈曲部18を備えている。
カバーガラス10に使用されるガラス基板としてはアルミノシリケートガラスが好ましいが、特に限定はされず、ソーダガラスや無アルカリガラスを使用しても良い。カバーガラス10は、必要に応じて圧縮応力層が形成されても良く、圧縮応力層は公知のイオン交換法によって形成することができ、形成される圧縮応力層の厚みは5〜100μmの範囲で調整される。
平面部16は、カバーガラス10の中央部に存在する領域である。平面部16の板厚は、0.1〜1.5mm程度に形成されることが好ましいが、これには限定されない。
屈曲部18は、カバーガラス10の周縁部において、平面部16に隣接して形成された領域である。屈曲部18は、第1の主面12側から第2の主面14側に向かって傾斜するくさび形状を呈している。平面部16と屈曲部18の境界部は、丸みを帯びた形状になるように構成される。また、屈曲部18の板厚も適宜調整することができるが、平面部16と略同一にすることが好ましい。
屈曲部18は、第1の傾斜面20と第2の傾斜面22を有している。第1の傾斜面20は、第1の主面12と接続するように形成された面である。第2の傾斜面22は、第1の傾斜面20と接続する領域である。第2の傾斜面22は、第1の主面12に対する傾斜角度が第1の傾斜面20よりも大きくなるように形成される。2つの傾斜面が形成されていることにより、カバーガラス10のデザイン性が向上する。
カバーガラス10は、例えば、図2(A)に示すスマートフォン50に使用することができる。スマートフォン50は、中央部に情報表示領域52を有している。情報表示領域52は、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイによりアイコン等の情報を表示する領域である。また、スマートフォン50の周縁部は、断面視において湾曲形状を呈している。
カバーガラス10は、情報表示領域52が配置された主面を被覆するように配置されている。屈曲部18がスマートフォン50の端部に対応するように湾曲しているため、スマートフォン50の端部も確実に保護することができる。また、カバーガラス10が0.5mm程度に薄型化されていれば、屈曲部18を湾曲させることも可能なので、スマートフォン50の曲率に沿って湾曲させることも可能である。フラットな形状のカバーガラス101では、図2(C)に示すように端部が露出してしまい、スマートフォン50が何らかの衝撃で破損してしまうおそれが高くなる。
ここから、図3〜図5を用いてカバーガラス10の製造方法を説明する。カバーガラス10を製造する場合は、通常、複数のカバーガラス10が面取りされた大型のガラス母材30を使用する。カバーガラス10は、ガラス母材30から個片に分断されることによって、所望の形状に形成される。本実施形態で矩形状のカバーガラスの製造方法を説明するが、輪郭に曲線部を有するカバーガラスを製造することも可能である。
まず、ガラス母材30は、耐エッチング性を有する保護フィルム32によって両主面が被覆される。本実施形態では、保護フィルム32として、少なくともフッ酸に対する耐性を有する自己粘着型フィルムを使用した。また、フィルム以外にもフッ酸に対する耐性を有していれば、樹脂剤やレジスト剤を使用しても良い。
保護フィルム32でガラス母材30の両主面を被覆した後に、エッチングすべき領域から保護フィルム32を除去するパターニング処理が行われる。本実施形態では、レーザ装置を用いてカバーガラスの輪郭部となる切断予定線に沿って第1の主面12から保護フィルム32を除去する。このパターニング処理により、図3(A)に示すように、第1の主面12側のガラス基板が格子状の加工パターンに沿って露出する。なお、感光性レジスト材を利用してガラス母材30を被覆する場合は、フォトリソグラフィを利用してパターニングを行うことも可能である。
続いて、ガラス母材30の第2の主面14側の保護フィルム32にパターニング処理を行う。このパターニングは、第2の主面14において、主面方向からガラス母材30を見た際に切断予定線に囲まれた領域のうち、切断予定線から水平方向に所定量内側に位置する領域の保護フィルム32が除去される。
保護フィルム32がパターニング処理されることにより、所望の領域が露出したガラス母材30は、第1のエッチング処理が行われる。エッチング処理は、少なくともフッ酸を含むエッチング液とガラス母材30を接触させることによって行われる。また、エッチング液は、フッ酸以外にも塩酸等の無機酸や界面活性剤が含まれていても良い。ガラス母材30をエッチングする場合は、所望の搬送機構によって水平方向に搬送されるガラス母材30に対してエッチング液を噴射する枚葉タイプのエッチング装置やエッチング液が収容されたエッチング槽にガラス母材30を浸漬するディップ方式のエッチング装置を使用することができる。
第1のエッチング処理により、第1の主面12および第2の主面14のパターニングされた領域に凹状部が形成される。第1の主面12には、切断予定溝34が格子状に形成され、第2の主面14には、矩形状の薄肉部36が形成される。切断予定溝34および薄肉部36の深さは、略同一であることが好ましい。なお、切断予定溝34と薄肉部36の深さを変更する場合は、第1の主面12または第2の主面14のどちらか一方のパターニング処理とエッチング処理を行った後に、他方の主面のパターニング処理とエッチング処理を行えば良い。
切断予定溝34は、エッチング処理によって第1の主面側に形成される。ガラス母材30に圧縮応力層が形成されている場合、切断予定溝34は、少なくとも圧縮応力層よりも深く形成することが好ましい。切断予定溝34が圧縮応力層を超えない場合、後工程におけるガラス母材30の分断が困難になったり、分断時にガラス母材30が破損したりするといった不具合が発生する。また、切断予定溝34は、ガラス母材30の端部まで延在することが好ましい。ガラス母材30の端部まで切断予定溝34が形成されることにより、後工程におけるガラス母材30の切断が容易になる。つまり、切断方向に沿って、ガラス母材30の端部から端部までの板厚の変化がなくなるため、スクライブブレークやレーザ照射の制御が容易になり、好適に分断処理を行うことができる。
また、切断予定溝34の深さは、ガラス母材30の板厚の半分以下になるように形成することが好ましい。切断予定溝34の深さをこの範囲に設定することにより屈曲部18が衝撃に強い形状に形成される。
薄肉部36は、ガラス母材30を一方の主面方向から見たときに切断予定溝34に囲まれた凹状領域に形成される。この際、薄肉部36と切断予定溝34との水平方向の距離が、0.2〜3.5mm程度に調整されることが好ましい。また、薄肉部36の底面は、第1の主面12と略平行になるように形成されることが好ましい。薄肉部36の測面の傾斜角度は、エッチング液の組成やエッチング方法によって調整することが可能である。測面の傾斜角度は、例えばカバーガラスを配置する携帯情報端末等の端面形状に沿うように形成されることが好ましい。
続いて、切断予定溝34に沿ってガラス母材30を切断する。ガラス母材30の切断は、公知のスクライブブレークやレーザ装置等を使用することができる。なお、カバーガラス10の輪郭部が曲線領域を有している場合は、レーザ装置を使用することが好ましい。分断処理を行う際は、切断予定溝34の底面から第2の主面14に向かって、主面に対して垂直方向の分断面38が形成され、個片のガラス基板に分断される。また、分断処理にレーザ装置を利用した場合、反射ミラーの反射等の影響により分断面38が主面に対して垂直ではないことが考えられるが、本発明における主面に対して垂直方向とは、ガラス基板の主面に対して、90±5度の範囲を含んだ意味に解釈するものとする。
個片に分断されたカバーガラス10は、保護フィルム32が剥離される。保護フィルム32は、物理的な力を加えることによって剥離することが可能である。また、剥離液等を利用して剥離しても良い。個片に分離後に保護フィルム32を剥離することによって生産性が低下するおそれがあるが、ガラス母材30の分断時にガラス小片が主表面に付着することを防止することができる。
保護フィルム32が剥離されたカバーガラス10は、第2のエッチング処理が行われる。このエッチング処理では、エッチング液を接触させることによってカバーガラス10の薄型化処理が行われる。第2のエッチング処理も第1のエッチング処理と同様に、枚葉式やディップ式のエッチング装置を用いて行うことができる。
分断されたカバーガラス10をエッチングすることによって、図5(A)〜図5(C)に示すように、切断予定溝34および分断面38の形状が徐々に変化する。板厚が薄くなるにしたがって、切断予定溝34および分断面38の境界部が徐々に丸みを帯びてきて(図5(B)参照。)、屈曲部18が形成される。本実施形態では、屈曲部18が図5(C)に示すように、第2の主面14側が最も延出する形状になるまでエッチング処理が行われた。第2のエッチング処理によって、切断予定溝34が第1の傾斜面20に相当する領域となり、分断面38が第2の傾斜面22に相当する領域となる。ガラス基板のエッチング量としては、ガラス母材30の元の板厚に対して、20〜45%薄型化することが好ましい。この範囲でエッチングすることによって、屈曲部18が断面視において、第2の主面14側が最も突出するようなくさび形状に形成される。
第2のエッチング処理が行われたカバーガラス10は、圧縮応力層の形成や配線層の形成等の後処理が適宜行われる。また、後工程において、化学強化処理を行う場合は、平面部16と屈曲部18の板厚が略同一になるようにエッチング処理することが好ましい。また、屈曲部18を構成する2つの主面が略平行になるようにエッチングされることが、さらに好ましい。このような形状にエッチングすることにより、カバーガラス10の圧縮応力のばらつきを抑制することができる。また、平面部16の板厚は、薄肉部26の底面から第1の主面12までの垂直方向の距離によって測定され、屈曲部18の距離は、薄肉部26の側面から側面に垂直な方向において、屈曲部18を構成するもう一方の主面までの距離によって測定される。
なお、平面部16と屈曲部18の板厚を同一にしない場合は、パターニング処理やエッチング処理を調整すれば良い。本発明では、平面部16と屈曲部18の板厚を自在に調整することもできるため、ガラス基板が適用される物品の形状に応じた形状を形成することが可能になる。
本実施形態によれば、薄型化処理時に、カバーガラス10の周縁部を屈曲させることができるので、後工程において端面加工を行う必要がない。なお、本実施形態における第2のエッチング処理では、薄型化処理と同時に屈曲部18の形成が行われたが、分断面38のみをエッチングすることによって屈曲部18を形成しても良い。その場合、耐エッチング性を有する保護材で第1の主面12および薄肉部36を被覆すれば良い。
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10‐カバーガラス
12‐第1の主面
14‐第2の主面
16‐平面部
18‐屈曲部
30‐ガラス母材
32‐保護フィルム
34‐切断予定溝
36‐薄肉部
38‐分断面

Claims (2)

  1. カバーガラスに使用されるガラス基板の製造方法であって、
    少なくとも耐エッチング性を有する保護層でガラス基板の両主面を被覆する保護ステップと、
    所望の形状に加工するための切断予定線に沿って第1の主面のみから前記保護層の一部を除去する第1のパターニングステップと、
    前記第1の主面と対向する第2の主面において、前記切断予定線に囲まれた領域内における前記切断予定線の近傍を除く領域の保護層を除去する第2のパターニングステップと、
    前記ガラス基板とエッチング液を接触させることにより前記ガラス基板の第1の主面における前記切断予定線に沿ってのみ切断予定溝を形成すると共に、第2の主面に凹状の薄肉部を形成する第1のエッチングステップと、
    前記切断予定線に沿って主面に対して垂直に切断することによって、前記ガラス基板を分断する分断ステップと、
    前記保護層を除去した後に分断されたガラス基板をエッチング液と接触させることにより、前記ガラス基板を薄型化しつつ、前記ガラス基板の周縁部に屈曲部を形成する第2のエッチングステップと、
    を含むことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記第2のエッチングステップは、前記切断予定線の近傍を、断面視において、第2の主面側が最も突出するくさび形状に形成することを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
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