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JP6616171B2 - 研磨装置および研磨加工方法 - Google Patents

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富美夫 久保
利康 矢島
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本発明は、サファイア基板、窒化ガリウム(GaN)基板、SiC基板、窒化珪素(Si)基板等の硬脆性基板の表面を磁気ダイアモンド砥粒含有研磨剤スラリー溶液により平坦化研磨加工する方法およびそれに用いるCMP研磨装置に関わる。本発明の磁力フィールドアシストCMP研磨加工方法によれば、高価なダイアモンド砥粒含有研磨剤スラリー溶液の消費量が少なく、かつ、高能率にラッピング加工できる利点がある。
結晶配向を有する硬脆性基板(サファイア基板、GaN基板、SiC基板など)は、LED、パワー半導体装置、抵抗器センサー等の基板として利用されている。この硬脆性基板は、オリフラが研削加工されたインゴットブロックを切断加工して得られた円盤状基板の反りが6インチ径基板でウェーハ反り高さ5〜6mmと大きいので、この硬脆性基板の表裏両面を研削加工して平坦化加工基板とする沢山の加工方法、例えば、基板両面を同時に研磨加工する両面同時研磨方法、または、基板の表面を研削加工した後、基板裏面を研削加工する単葉研削加工方法が提案されている。
また、特表2004−530306号公報(特許文献1)は、AlGaInNウェーハ(式中、0<y≦1およびx+y+z=1)をそのGa側にて化学的機械研磨(CMP)する方法であって、200nm未満の粒子寸法を有する研磨コロイダルアルミナ粒子と、少なくとも1種の酸と、場合により、少なくとも1種の酸化剤とを含むpH値は約3〜約5の範囲のCMPスラリーを用いるCMP研磨加工方法を提案する。
また、本願発明者らによる特開2013−197425号公報(特許文献2)は、無機材料(石英ガラス板、無機アルカリガラス板、および、合成サファイア板)製基板支持プレートの表面に軟化温度が280℃以上の溶剤型ポリイミド樹脂接着剤を用いてSiC基板を貼付した積層体を形成し、この積層体を基板用チャック上にSiC基板面を上方に向けて載置し、 ついで、回転しているカップホイール型ダイアモンド砥石を前記積層体のSiC基板面に当接、摺擦させてSiC基板面を研削加工することを特徴とする、炭化珪素基板の平坦化研削加工方法を提案する。
特表2004−530306号公報 特開2013−197425号公報
前記特許文献1のコロイダルアルミナ粒子含有研磨剤スラリー溶液を用いるCMP研磨加工方法では、特許文献2記載のダイアモンド固定砥粒を用いるCMP研磨加工方法と比較して研磨速度が低く、生産性が低い。
前記特許文献2のダイアモンド固定砥粒を用いる硬脆性基板の研削加工方法は、ダイアモンド砥粒がカップホイール型研削砥石に固定されているので、平坦化加工中の研削砥石の刃先が硬脆性基板と接する領域面積が狭く、ダイアモンド砥粒の切削機能が最大限利用されていないこととなる。
本願発明者らは、磁気ダイアモンド砥粒を遊離砥粒として磁化研磨定盤(磁性シートを用いる場合も含む)と共に用いれば、研磨定盤上に効率的に広く分散そして見かけ上磁気ダイアモンド砥粒が半固定化されることでラッピング加工時のダイアモンド砥粒機能が有する切刃の切削機能が最大限利用されると着想し、磁気ダイアモンド砥粒含有研磨剤スラリー溶液を利用するに適したCMP研磨加工装置を開発し、本願発明に到った。
請求項1の発明は、硬脆性基板の研磨に用いられる研磨装置であって、剛性固定定盤の上に磁性シートまたは磁化チャックを接着剤で接着し、更にこの磁性シートまたは磁化チャックの上に研磨パッドを接着剤で接着した構造の研磨定盤と、前記研磨定盤の上方に設けられ前記硬脆性基板を保持する基板ホルダーと、前記研磨パッドの上にダイアモンドの粉末のみからなる磁気ダイアモンド砥粒を含有する研磨剤スラリー溶液を供給する研磨剤スラリー溶液供給ノズルと、を設けたことを特徴とする研磨装置を提供するものである。
請求項2の発明は、上記研磨装置を用い、下面に硬脆性基板を保持する前記基板ホルダーを転させつつ下方に移動させて回転している前記研磨定盤の前記研磨パッド上面に前記硬脆性基板の下面を接触させて前記研磨パッドの上面と前記硬脆性基板の下面との摺擦により研磨加工を開始するとともに、この研磨加工中に前記研磨剤スラリー溶液供給ノズルよ前記研磨剤スラリー溶液を前記研磨パッド上に供給することにより前記研磨パッドの上面と前記硬脆性基板の下面間に前記研磨剤スラリー溶液を流布させることを特徴とする研磨加工方法を提供するものである。
磁性シートまたは磁化チャックの磁力が遊離磁気ダイアモンド砥粒に作用し、遊離磁気ダイアモンド砥粒を磁化させるので、磁化された遊離ダイアモンド砥粒は研磨パッド上に均一に分散固定される。この状態はあたかも遊離砥粒でありながら磁化研磨定盤上に磁化固定されることであたかも半固定研磨砥粒の状態を形成するものである。よって、CMP研磨加工中、磁気遊離ダイアモンド砥粒が基板と接する際に基板の回転運動に連れ回されずに半固定化したダイアモンド砥粒によって引っ掻きによる切削力が高くなるので、結果的に基板へ作用するダイアモンド砥粒の切削作用の頻度と量が大きくなり、従来の遊離砥粒研磨加工方法と比較して基板の研磨速度を向上させることができる。
研磨装置の断面図である。
図1に示す本発明の研装置は、剛性固定定盤上に磁性シートまたは磁化チャック2bを接着剤で接着し、更にこの磁性シートまたは磁化チャック2b上に研磨パッド2aを接着剤で接着した構造の研磨定盤、この研磨定盤2の上方に設けた基板ホルダー、および、磁気ダイアモンド砥粒含有する研磨剤スラリー溶液を供給する研磨剤スラリー溶液供給ノズルを設けた研磨装置である。
図1において、研磨定盤の回転軸は、サーボモーター(図示されていない)により50〜200rpmの回転速度で回転される。同様に、基板ホルダーの回転軸もサーボモーター(図示されていない)により80〜200rpmの回転速度で回転される。
剛性固定定盤素材としては、真鍮板、アルミニウム板、強化ガラス板、PEEK、ポリアセタール、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ポリブチレンフタレート、ポリアラミド、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック製板を用いることができる。
磁性シートまたは磁化チャック2bとしては、丸石産業株式会社製ネオジウム磁石シート“ディラッパー2”(商品名)を用いた。また、研磨パッド2aとして、丸石産業株式会社製アラミド繊維製織布パッド“D−Lapper”(商品名)、特許第5291647号明細書に記載される丸石産業株式会社製“Qチャック”(商品名)を用いることができる。前者の方が後者に比較して研磨速度10倍である。接着剤として丸石産業株式会社製両面型固定粘着フィルム“Qチャック”(商品名)を用いた。
ダイアモンド砥粒含有研磨剤スラリー溶液研磨砥粒としては、粒径が20〜30μmのダイアモンド砥粒を10〜30重量%含有する東京ダイヤモンド工具製作所製スラリー溶液“j-Diamond Slurry”(商品名)を用いた。
実施例1
図1に示す高強力ポリアクリレート系繊維製織布パッド“D−Lapper”2aを備える研磨装置、粒径が20〜30μmの磁気ダイアモンド砥粒を10〜30重量%含有する研磨スラリー溶液を用い、基板ホルダーの回転数48min−1、研磨定盤の回転数50min−1、基板への圧力1,250g/cmでCMP研磨加工を行い、基板の厚み0.92μmを削減させた。得た加工基板(基板5)の表面粗さは11.2nmであった。研磨中の研磨パッド2aの磁気力は、100〜5,000g/cmと変化した。研磨速度は、37.3μm/10分であった。
比較例1
岡本工作機械製作所製サファイア研磨装置“SGL6”(商品名)の研磨パッドを実施例1で用いた高強力ポリアクリレート系繊維製織布パッド“D−Lapper”に変えた研磨装置を用いる外は、実施例1と同様にしてサファイア基板のCMP研磨加工を行い、2.48nmの加工基板を得た。研磨速度は、23.7μm/10分であった。
実施例2
図1に示す高強力ポリアクリレート系繊維製織布パッド“D−Lapper”を備える研磨装置、平均粒径が140μmの磁気ダイアモンド砥粒を10〜30重量%含有する研磨スラリー溶液を用い、基板ホルダーの回転数48min−1、研磨定盤の回転数50min−1、基板への圧力1,250g/cmでCMP研磨加工を行い、基板の厚み1.83μmを削減させた。得た加工基板(基板5)の表面粗さは202nmであった。
実施例3
図1に示す高強力ポリアクリレート系繊維製織布パッド“D−Lapper”を備える研磨装置、粒径が20〜30μmのダイアモンド砥粒を10〜30重量%含有する研磨スラリー溶液を用い、基板ホルダーの回転数120min−1、研磨定盤の回転数80min−1、基板への圧力1,250g/cmでCMP研磨加工を行い、基板の厚み0.48μmを削減させた。得た加工基板(基板5)の表面粗さは18.2nmであった。研磨中の研磨パッド2aの磁気力は、100〜5,000g/cmと変化した。
実施例4
図1に示す高強力ポリアクリレート系繊維製織布パッド“D−Lapper”を備える研磨装置、粒径が20〜30μmの磁気ダイアモンド砥粒を10〜30重量%含有する研磨スラリー溶液を用い、基板ホルダーの回転数48min−1、研磨定盤の回転数50min−1、基板への圧力375g/cmでCMP研磨加工を行い、基板の厚み1.10μmを削減させた。得た加工基板(基板5)の表面粗さは13.4nmであった。研磨中の研磨パッド2aの磁気力は、100〜5,000g/cmと変化した。
本発明の磁気ダイアモンド遊離砥粒を用いるCMP研磨加工方法は、従来技術(磁力を用いない)CMP研磨加工方法と比較して約10倍の高速度で基板を研磨加工可能である。
研磨装置(CMP研磨装置
2 研磨定盤
2a 研磨パッド
2b 磁化チャック
3 基板ホルダー
4 研磨剤スラリー溶液供給ノズル
基板(硬脆性基板

Claims (2)

  1. 硬脆性基板の研磨に用いられる研磨装置であって、剛性固定定盤の上に磁性シートまたは磁化チャックを接着剤で接着し、更にこの磁性シートまたは磁化チャックの上に研磨パッドを接着剤で接着した構造の研磨定盤と、前記研磨定盤の上方に設けられ前記硬脆性基板を保持する基板ホルダーと、前記研磨パッドの上にダイアモンドの粉末のみからなる磁気ダイアモンド砥粒を含有する研磨剤スラリー溶液を供給する研磨剤スラリー溶液供給ノズルと、を設けたことを特徴とする研磨装置。
  2. 請求項1記載の研磨装置を用い、下面に前記硬脆性基板を保持する前記基板ホルダーを回転させつつ下方に移動させて、回転している前記研磨定盤の前記研磨パッドの上面に前記硬脆性基板を接触させて前記研磨パッドの上面と前記硬脆性基板の下面との摺擦により研磨加工を開始するとともに、この研磨加工中に前記研磨剤スラリー溶液供給ノズルより前記研磨剤スラリー溶液を前記研磨パッドの上に供給することにより前記研磨パッドの上面と前記硬脆性基板の下面間に前記研磨剤スラリー溶液を流布させることを特徴とする研磨加工方法。
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