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JP6608810B2 - ビタミンdを使用する化学療法誘発性脱毛症の予防又は軽減 - Google Patents

ビタミンdを使用する化学療法誘発性脱毛症の予防又は軽減 Download PDF

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Description

関連出願
本出願は、「Preventing or Mitigating Chemotherapy Induced Alopecia Using Vitamin D」と題する2013年5月29日に出願の米国特許仮出願第61/828,448号に基づく優先権を主張し、該仮出願のすべての内容は、参照により本明細書に明白に組み込まれる。
脱毛症は、多くの化学療法薬に共通の悩ましい副作用であり、現在のところ、これに対して有効な予防措置はほとんど存在しない。最近の研究で、化学療法を受けている46名の患者のうち35名が、脱毛症を嘔吐より気になる副作用とランク付けた(Tierney et al,B.J.Cancer,62:527〜528,1990)。
現在のところ、脱毛症に苦しむ者は、局所ステロイドの反復適用により失われた毛髪の再生を試みるか、ミノキシジルの局所適用により毛髪成長の維持を試みることができるだけである。さらに、若干の有望な研究が存在していたが、化学療法による治療中の副作用として脱毛症が発生するのを予防又は軽減する能力を備えた承認済みの治療薬は、現在のところ存在しない。例えば、細菌セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)から調製された生物応答調節剤であるImuVertは、シトシンアラビノシド又はアドリアマイシンによって誘発される脱毛症から動物を防護することが、若齢ラットモデルを使用して立証されている(Hussein et al.,Science 249:1564〜1566,1990)。その後の研究で、ARA-C-誘発性脱毛症からの類似の防護が、組換えインターロイキン-1(IL-1)βで観察された(Jimenez et al.,FASEB J.1991)。これらの有望な結果にもかかわらず、この障害に苦しむ者の脱毛症を治療する、さらにはがん治療を受けている者の化学療法誘発性脱毛症を予防する、安全で有効な治療薬に対する必要性が依然として存在する。
本発明は、化学療法誘発性脱毛症(CIA)を予防又は軽減するための、ビタミンD3又はカルシトリオール及びそれらの類似体又は代謝産物などのビタミンD化合物の局所使用、それら化合物の投薬量及び製剤に関する。とりわけ、本発明は、化学療法誘発性脱毛症(CIA)を予防又は軽減するための方法及び医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、局所製剤中に有効量のビタミンD化合物を含む。本発明は、脱毛症を誘発する化学療法、例えば、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、軟部組織肉腫、又は骨肉腫などの固形腫瘍を治療するためのタキサンをベースにした化学療法において広範な適用性を有する。本発明の医薬組成物は、有利には、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に投与することができる。
したがって、一態様において、本発明は、ヒト対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法であって、(1)がんを有し、化学療法を受ける予定である又は受けているヒト対象を選択するステップ、及び(2)治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を対象の頭皮に局所的に投与するステップを含み、ここで、ステップ(2)が、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に実施され、それによって、対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法を提供する。
一部の実施形態において、上記方法のステップ(2)は、化学療法の開始に先立って実施される。一実施形態において、ステップ(2)は、毛包の退行段階が対象の治療区域で誘導されるように、化学療法の開始に先立って十分な期間実施される。好ましくは、ステップ(2)は、化学療法の開始の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13日前に実施される。より好ましくは、ステップ(2)は、化学療法の開始の少なくとも2週間前に実施される。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態中で使用される医薬組成物は、ビタミンD化合物の約10〜40μgの全1日用量で投与される。好ましくは、全1日用量は、約20μg又は約40μgである。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態中で使用される医薬組成物は、約1.0mLの用量で投与される。好ましくは、約0.25mLが、頭皮の4つの四分円のそれぞれに投与される。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態中で使用される医薬組成物は、ビタミンD化合物を約5、10又は20μg/mLの濃度で含む。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態のステップ(2)は、1日に2回実施される。一実施形態において、1日2回の投与は、約10〜14時間の差で隔てられる。
一部の実施形態において、対象は固形腫瘍を有する。一実施形態において、対象は進行又は再発がんを有する。一実施形態において、対象は、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、軟部組織肉腫、又は骨肉腫を有する。一実施形態において、対象は乳がんを有する。
一部の実施形態において、対象は、次のさらなる基準:対象が少なくとも18歳のヒトであること;対象が脱毛症又は軽度脱毛症の証拠を有さないこと;対象がアポトーシス性ではない毛包を有すること;対象が局所投与を開始する前の14日以内に、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)による0又は1のパフォーマンススコアを有すること;対象が局所投与を開始する前の72時間以内に1500細胞/mm3を超えるベースライン好中球数を有すること;及び対象が局所投与を開始する前の72時間以内に基準範囲上限(ULN)以下の血清中カルシウムレベルを有すること;のうちの1つ以上に基づいて選択される。
一部の実施形態において、対象は、次のさらなる基準:対象が、局所投与を開始する前にビスホスホネート又はカルシウム低下療法で3ヶ月間以上管理され且つカルシウム代謝の安定性に関して立証された証拠を有する場合を除き、局所投与を開始してから4週間以内に、カルシウム低下療法もカルシウムレベルに影響を及ぼす可能性のある薬物も受け入れていないこと;対象が局所投与を開始してから30日以内に高カルシウム血症又はビタミンD毒性の履歴を有さないこと;対象が局所投与を開始してから30日以内に狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不全、又は精神病の治療のための入院の履歴を有さないこと;対象が、局所投与を開始する前にビタミンDサプリメントを30日間以上摂取しており且つ局所投与間中同じ用量を維持する場合を除いて、局所投与の間、ビタミンDサプリメントを摂取しないこと;対象が、6ヶ月超にわたって安定的な療法を継続している対象を除いて、局所投与を開始してから4週間以内にカルシウムレベルに影響を及ぼすことが知られている薬剤で治療されていないこと;対象が、6ヶ月を超えて安定した用量を服用し且つ療法を継続している対象を除いて、チアジド利尿薬もフロセミド利尿薬も受け入れていない;対象が高カルシウム血症も腎臓結石も有さないこと;及び対象が米国国立癌研究所の有害事象共通用語基準(NCU-CTCAE)v4.0によるグレード2以上の脱毛症も、重大な脱毛も、毛髪破損も有さないこと;のうちの1つ以上に基づいて選択される。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態中で予定される化学療法は、タキサンをベースにしたがんの化学療法を包含する。一実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセル、ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル、及びドセタキセルでのがんの化学療法からなる群から選択される1種以上のタキサン化学療法を包含する。一実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセル、ドセタキセル、ポリグルタミン酸ポリマー結合型パクリタキセル、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル、腫瘍で活性化されるタキソールプロドラッグ、パクリタキセル-Angiopep-2複合体(ANG1005)、パクリタキセルポリグルメックス、コポリマーと組み合わせたパクリタキセル、リポソーム封入型パクリタキセル、ビタミンE乳液中のタキソール、及びこれらの等価体からなる群から選択される1種以上のタキサン化学療法を包含する。一実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、アントラサイクリン(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン)、5-FU、タモキシフェン、イリノテカン、カルボプラチン、エトポシド、シトキサン/シクロホスファミド、シスプラチン、エルロチニブ(タルセバ)、ゲムシタビン、スタウロスポリン、ビンクリスチン、イマチニブ(グリーベック)、ゲフィチニブ(イレッサ)、ソラフェニブ、ダサチニブ、ダクチノマイシン、ヘキサメチルメラミン(Hexamethamelamine)(HMM、アルトレタミン)、イフォスファミド、ブレオマイシン、メトトレキセート、ビンデシン、ビノレルビン、トポテカン、アムサクリン、シタラビン、ブスルファン、メルファラン、ビンブラスチン、ロムスチン(CCNU)、チオテパ、ゲムシタビン、カルムスチン(BCNU)、ミトキサントロン(Mitroxantrone)、マイトマイシンC、プロカルバジン、6-メルカプトプリン、ストレプトゾトシン(Sreptozotocin)、フルダラビン、ラルチトレキセド(Raltitrexate)(トムデックス)、カペシタビン、及びこれらの等価体からなる群から選択される1種以上のさらなる療法を包含する。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセルでもドセタキセルでもない。一実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセルではない。別の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、ドセタキセルではない。
一部の実施形態において、がんとしては転移性乳がんが挙げられ、化学療法としては、それぞれカルボプラチンと組み合わせてもよいパクリタキセルをベースにしたnab-パクリタキセル(すなわち、アルブミン結合型パクリタキセル)、又はドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては卵巣がんが挙げられ、化学療法としては、カルボプラチンと組み合わせてもよいパクリタキセル及び/又はドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては子宮がんが挙げられ、化学療法としては、ゲムシタビンと組み合わせてもよいドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては子宮頸部がんが挙げられ、化学療法としては、シスプラチン及び/又はトポテカンと組み合わせてもよいパクリタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんは固形腫瘍であり、化学療法としては、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、及びドセタキセルが挙げられる。一実施形態において、がんは固形腫瘍であり、化学療法は、5-FUとロイコボリンとの組合せである。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態のステップ(2)は、化学療法の開始後に少なくとも3ヶ月間実施される。一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態のステップ(2)は、化学療法の完了後に少なくとも3ヶ月間実施される。一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態のステップ(2)は、化学療法の継続期間中実施される。
一部の実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物が真皮送達を実質的に回避しながら表皮に送達されるように製剤化される。
一部の実施形態において、医薬組成物は無水物である。一実施形態において、医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水エタノールからなる媒体を含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコール又はトランスクトール、及び約60%(w/w)の無水純エタノール(米国式で200proof)からなる媒体を含む。
一部の実施形態において、上記方法又はその実施形態中のステップ(2)を実施しても、化学療法の効力が実質的に低下することはない。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、カルシトリオールである。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、式(I):
Figure 0006608810
[式中、
a及びbは、それぞれ独立に、単結合又は二重結合であり、
Xは、aが二重結合である場合-CH2であり、又はXは、aが単結合である場合水素若しくはヒドロキシル置換アルキルであり、
R1は、水素、ヒドロキシル、アルコキシル、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R2は、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
R3は、bが二重結合である場合存在せず、或いはbが単結合である場合、R3は、水素、ヒドロキシル若しくはアルキルであるか、又はR3及びR1は、それらが結合している炭素原子と一緒に連結されて、5〜7員の炭素環を形成していてもよく、
R4は、bが二重結合である場合存在せず、又はbが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
R5は、aが二重結合である場合存在せず、又はR5は、aが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
R6は、1〜5つのヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル-O-アルキル、アルキル-CO2-アルキルであり、
R7は、1〜3つのヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよい、アルキルであり、
R'及びR''は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシルである]
及びその薬学的に許容される塩で表される。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、式(II):
Figure 0006608810
[式中、
cは、単結合又は二重結合であり、
R1aは、水素、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R2aは、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
R3a、R4aは、cが二重結合である場合存在せず、或いはcが単結合である場合、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R3b、R4b、R5a、R6a、R7a及びR8aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであるか、R6a、R7a及びR8aのうちのいずれか2つが、連結されて、3〜7員の炭素環を形成していてもよい]
及びその薬学的に許容される塩で表される。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903である。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903ではない。
一部の実施形態において、医薬組成物は、定量噴霧器具を使用して投与される。
本発明の別の態様において、本発明は、局所投与用に適合され且つ上記方法又はその実施形態中で使用される治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を包含する。
本発明のさらに別の態様において、本発明は、局所投与用に適合され且つ化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物、及び上記方法又はその実施形態のいずれか1つを実施するための説明書を含む、キットを包含する。
本発明のさらに別の態様において、本発明は、ビタミンD化合物を0.1〜400μg/mLの濃度で含む医薬組成物を含む定量噴霧器具を包含する。一実施形態において、定量噴霧器具は、約0.25ml用量を4回または4の倍数回分取するように設計される。別の実施形態において、定量噴霧器具は、約0.25mlの用量を112回分取するように設計される。
別の態様において、本発明は、(1)化学療法を受ける予定である又は受けている対象を選択すること、及び(2)化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を対象の頭皮に局所的に投与することによって、対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法を提供し、それによって、対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する。
一部の実施形態において、対象を選択することは、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、軟部組織肉腫、又は骨肉腫を有する対象を選択することを包含する。
一部の実施形態において、対象を選択することは、乳がんを有する対象を選択することを包含する。別法として、対象を選択することは、乳がんを有さない対象を選択することを包含できる。
一部の実施形態において、対象を選択することは、進行又は再発がんを有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、がんは、転移、局所進行、又は切除不能型でよい。一部の実施形態において、がんは、段階によって選択できる(例えば、対象は、特定のがんに関して、特定の段階又は段階の範囲で選択できる)。
一部の実施形態において、対象を選択することは、少なくとも18歳のヒト女性である対象を選択すること;脱毛症又は軽度脱毛症の証拠を有さない対象を選択すること;アポトーシス性でない毛包を有する対象を選択すること;局所投与を開始する前の14日以内に、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)による0又は1のパフォーマンススコアを有する対象を選択すること;局所投与を開始する前の72時間以内に1500細胞/mm3を超えるベースライン好中球数を有する対象を選択すること;及び局所投与を開始する前の72時間以内に基準範囲上限(ULN)以下の血清中カルシウムレベルを有する対象を選択すること;のうちの1つ以上を包含する。
一部の実施形態において、対象を選択することは、対象が局所投与を開始する前にビスホスホネート又はカルシウム低下療法で3ヶ月間以上管理され且つカルシウム代謝の安定性に関する立証された証拠を有する場合を除き、局所投与を開始してから4週間以内にカルシウム低下療法もカルシウムレベルに影響を及ぼす可能性のある薬物も受け入れていない対象を選択すること;局所投与を開始してから30日以内に高カルシウム血症又はビタミンD毒性の履歴を有さない対象を選択すること;局所投与を開始してから30日以内に狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不全、又は精神病の治療のための入院の履歴を有さない対象を選択すること;対象が局所投与を開始する前にビタミンDサプリメントを30日間以上摂取しており且つ局所投与の間中同じ用量を維持する場合を除いて、局所投与の間、ビタミンDサプリメントを摂取しない対象を選択すること;6ヶ月超にわたって安定的な療法を継続している対象を除いて、局所投与を開始してから4週間以内にカルシウムレベルに影響を及ぼすことが知られている薬剤で治療されていない対象を選択すること;6ヶ月を超えて安定的な用量を服用し且つ療法を継続している対象を除いて、チアジド利尿薬もフロセミド利尿薬も受け入れていない対象を選択すること;高カルシウム血症も腎臓結石も有さない対象を選択すること;及び米国国立癌研究所の有害事象共通用語基準(NCU-CTCAE)v4.0によるグレード2以上の脱毛症又も、重大な脱毛も、毛髪破損も有さない対象を選択すること;のうちの1つ以上を包含する。
一部の実施形態において、化学療法としては、タキサンをベースにしたがんの化学療法からなる群から選択される1種以上のタキサン化学療法が挙げられる。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法としては、パクリタキセル、ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル、及び/又はドセタキセルでのがんの化学療法を挙げることができる。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法としては、パクリタキセル、ドセタキセル、ポリグルタミン酸ポリマー結合型パクリタキセル、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル、腫瘍で活性化されるタキソールプロドラッグ、パクリタキセル-Angiopep-2複合体(ANG1005)、パクリタキセルポリグルメックス、コポリマーと組み合わせたパクリタキセル、リポソーム封入型パクリタキセル、ビタミンE乳液中のタキソール、及びこれらの等価体からなる群から選択される1種以上のタキサン化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法としては、アントラサイクリン(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン)、5-FU、タモキシフェン、イリノテカン、カルボプラチン、エトポシド、シトキサン/シクロホスファミド、シスプラチン、エルロチニブ(タルセバ)、ゲムシタビン、スタウロスポリン、ビンクリスチン、イマチニブ(グリーベック)、ゲフィチニブ(イレッサ)、ソラフェニブ、ダサチニブ、ダクチノマイシン、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン)、イフォスファミド、ブレオマイシン、メトトレキセート、ビンデシン、ビノレルビン、トポテカン、アムサクリン、シタラビン、ブスルファン、メルファラン、ビンブラスチン、ロムスチン(CCNU)、チオテパ、ゲムシタビン、カルムスチン(BCNU)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、プロカルバジン、6-メルカプトプリン、ストレプトゾトシン、フルダラビン、ラルチトレキセド(トムデックス)、カペシタビン、及びこれらの等価体からなる群から選択される1種以上のさらなる化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては転移性乳がんが挙げられ、化学療法としては、それぞれカルボプラチンと組み合わせてもよいパクリタキセルをベースにしたnab-パクリタキセル(すなわち、アルブミン結合型パクリタキセル)、又はドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては卵巣がんが挙げられ、化学療法としては、カルボプラチンと組み合わせてもよいパクリタキセル及び/又はドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては子宮がんが挙げられ、化学療法としては、ゲムシタビンと組み合わせてもよいドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては子宮頸部がんが挙げられ、化学療法としては、シスプラチン及び/又はトポテカンと組み合わせてもよいパクリタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、対象に医薬組成物を、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物を化学療法の開始に先立って4〜7日間投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物を化学療法の開始に先立って少なくとも2週間(すなわち14日間)投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物を化学療法の継続期間中投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物を化学療法の開始又は完了の後に少なくとも3ヶ月間投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、対象に医薬組成物を、化学療法の開始後ではあるが化学療法誘発性脱毛症の開始に先立って投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物を1日2回投与することを包含する。一部の実施形態において、1日2回の投与は、約10〜14時間の差で隔てられる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、定量噴霧器具を使用して1.0mLの用量の医薬組成物を頭皮の4つの四分円のそれぞれに0.25mLずつ投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物中での濃度が5、10又は20μg/mLであるビタミンD化合物を投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、頭皮に1日につき約10〜40μgのビタミンD化合物を投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、ビタミンD化合物の真皮送達を実質的に回避することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物は、水をベースにした製剤ではない。
一部の実施形態において、医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水エタノールからなる媒体中にビタミンD化合物を含む。
一部の実施形態において、医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水純エタノール(米国式で200proof)からなるか、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコール又はトランスクトール、及び約60%(w/w)の無水純エタノール(米国式で200proof)からなる媒体中にビタミンD化合物を含む。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与しても、化学療法の効力を実質的に低下させることはない。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物はカルシトリオールである。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、式(I):
Figure 0006608810
[式中、
a及びbは、それぞれ独立に、単結合又は二重結合であり、
Xは、aが二重結合である場合-CH2であり、又はXは、aが単結合である場合水素若しくはヒドロキシル置換アルキルであり、
R1は、水素、ヒドロキシル、アルコキシル、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R2は、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
R3は、bが二重結合である場合存在せず、或いはbが単結合である場合、R3は水素、ヒドロキシル若しくはアルキルであるか、又はR3及びR1は、それらが結合している炭素原子と一緒に連結されて、5〜7員の炭素環を形成していてもよく、
R4は、bが二重結合である場合存在せず、又はbが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
R5は、aが二重結合である場合存在せず、又はR5は、aが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
R6は、1〜5つのヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル-O-アルキル、アルキル-CO2-アルキルであり、
R7は、1〜3つのヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R'及びR''は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシルである]
及びその薬学的に許容される塩で表される。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、式(II):
Figure 0006608810
[式中、
cは、単結合又は二重結合であり、
R1aは、水素、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ又は-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R2aは、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
R3a、R4aは、cが二重結合である場合存在せず、或いはcが単結合である場合、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R3b、R4b、R5a、R6a、R7a及びR8aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであるか、R6a、R7a及びR8aのうちのいずれか2つは、連結されて、3〜7員の炭素環を形成していてもよい]
及びその薬学的に許容される塩で表される。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903である。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903ではない。
一態様において、本発明は、局所投与用に適合され且つ上記の態様及び実施形態のいずれか1つ以上に従って化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を提供する。
一態様において、本発明は、局所投与用に適合され且つ化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物、及び上記の態様及びその実施形態のいずれか1つ以上に従って化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法を実施するための説明書を含むキットを提供する。
本明細書に記載の(上記及び下記の)すべての実施形態は、適用可能なら、本発明の態様の1つの下のみに記載された実施形態、及び本発明の様々な態様下に記載された実施形態をはじめとするその他の任意の実施形態と組み合わせることができると考えられることに留意されたい。
図1は、3人の皮膚ドナー全員の全吸収および物質収支の結果、ならびに単回適用から48時間にわたる損傷のないヒト死体皮膚から得られたカルシトリオールの分布を示している。結果は、全質量(ng/cm2)を平均値±SEとして対数目盛で表したものである。 図2は、増殖培地中に存在する種々の濃度のカルシトリオールに対するHEKa細胞の例示的な増殖曲線を示したものである。カルシトリオール濃度が対数目盛であることに注意されたい。 図3は膵癌細胞系PaCa2の例示的な増殖曲線を示しており、該増殖曲線は0.1μg/mLのカルシトリオールの存在に応答しなかった。 図4Aは、漸増濃度のカルシトリオールの存在下におけるHep-G2細胞およびMCF-7細胞の増殖を示している。 図4Bは、漸増濃度のカルシトリオールの存在下におけるHep-G2細胞およびMCF-7細胞の増殖を示している。 図5は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるエルロチニブ(タルセバ)(EGFR Tyrキナーゼ阻害剤)の投与曲線を示している。 図6は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるゲフィチニブ(イレッサ)(別のEGFR Tyrキナーゼ阻害剤)の投与曲線を示している。 図7は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるソラフェニブの投与曲線を示している。ソラフェニブは数種類のキナーゼ(Raf、VEGF-R2、c-kit、PDGR-R)を阻害することが知られている。 図8は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるダサチニブの投与曲線を示している。ダサチニブはBCR/ABL Tyrキナーゼを阻害する。 図9は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるスタウロスポリンの投与曲線を示している。スタウロスポリンは、比較的非特異的なキナーゼ阻害剤である。 図10は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるシスプラチンの投与曲線を示している。シスプラチンはDNAアルキル化剤である。 図11は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるカルボプラチンの投与曲線を示している。カルボプラチンもまたDNAアルキル化剤である。 図12は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるイリノテカンの投与曲線を示している。 図13は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるパクリタキソールの投与曲線を示している。 図14は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)における5-FUの投与曲線を示している。 図15は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるゲムシタビンの投与曲線を示している。 図16は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるドキソルビシンの投与曲線を示している。 図17は、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下(×)または非存在下(◆)におけるタモキシフェンの投与曲線を示している。 図18は、0.1μg/mLのカルシトリオールは正常な角化細胞HEKaを5-FUから保護したが、癌細胞に対する5-FUのED50値に明らかに影響を及ぼすことはなかった、ということを示している。 図19は、カルシトリオールは癌細胞系SkBr-3に対するドキソルビシンの細胞毒性効果を明らかに変更することはなかったということを示している。 図20Aは、エトポシドを与えているスプレイグダウリー(Sprague Dawley)ラットにおいては、カルシトリオールの局所製剤は化学療法誘発性脱毛症(CIA)から投与量依存的に保護したということを示している。左パネル:エトポシドのみを与えているラット;中央パネル:エトポシドおよび局所製剤中0.1μgのカルシトリオールの局所適用を施しているラット;右パネル:エトポシドおよび局所製剤中0.3 mgのカルシトリオールの局所適用を施しているラット。 図20Bは、着色したロングエバンス(Long Evans)ラットにおける同様の結果を示している。 図21は、カルシトリオール局所製剤(総投与量0.2μg)はロングエバンス・ラットをシクロホスファミド(CTX)誘発性脱毛症から保護したということを示している。 図22Aは、カルシトリオール局所製剤(総投与量0.2μg)はロングエバンス・ラットをCTX-ドキソルビシン併用化学療法誘発性脱毛症から保護したということを示している。 図22Bは、シタラビン-ドキソルビシン併用化学療法により処理したラットにおける、併用化学療法誘発性脱毛症からのカルシトリオール局所製剤中のカルシトリオールによる同様の保護結果を示している。 シタラビン単独で処理したラットにおけるカルシトリオール局所製剤の保護効果を図22Cに示す。 図23は、局所用のカルシトリオール局所製剤(総投与量0.2μg)はMIAC51(緑色白血病細胞)を注射したロングエバンス・ラットをCTX誘発性脱毛症から保護したということを示している。 図24は、MIAC51(緑色白血病細胞)を注射したロングエバンス・ラットに行ったin vivo実験では、カルシトリオール局所製剤は癌細胞を化学療法から保護しなかったということを示している。 図25Aは、ミニブタ表皮の角質層および該表皮の残りの部分から回収したカルシトリオールの推定レベル(ng/mg)を示している。その量は回収したカルシトリオールの平均値±SDで表されている。nd = 不検出、na = 該当なし。 図25Bは、ミニブタ表皮の角質層および該表皮の残りの部分から回収したカルシトリオールの推定レベル(ng/mg)を示している。その量は回収したカルシトリオールの平均値±SDで表されている。nd = 不検出、na = 該当なし。 図26は、3〜100μg/mLで適用したカルシトリオール濃度の範囲における、適用したカルシトリオールの投与量と表皮内に回収されたカルシトリオール組織レベルとの間の線形に近い相関を示している。 図27は、シクロホスファミドを与えている緑色白血病ラットの第1成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。図27Aはシクロホスファミドを単独で与えているラットを描写したものである。図27Bはシクロホスファミドおよびビヒクルを与えているラットを描写したものであり、図27Cはシクロホスファミドおよびカルシトリオールを与えているラットを描写したものである。 図28は、シクロホスファミドを与えている緑色白血病ラットの第2成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。左から右に向かって、シクロホスファミド単独で処理したラット、シクロホスファミドおよびビヒクルで処理したラット、ならびにシクロホスファミドおよびカルシトリオールで処理したラットである。 図29は、シクロホスファミドをドキソルビシンと一緒に与えている緑色白血病ラットの第1成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。図29Aはシクロホスファミドおよびドキソルビシンだけを与えているラットを描写したものであり、図29Bはシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびビヒクルを与えているラットを描写したものであり、図29Cはシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびカルシトリオールを与えているラットを描写したものである。 図30は、シクロホスファミドをドキソルビシンと一緒に与えている緑色白血病ラットの第2成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。左から右に向かって、シクロホスファミドおよびドキソルビシンだけで処理したラット、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびビヒクルで処理したラット、ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびカルシトリオールで処理したラットである。 図31は、シクロホスファミドをドキソルビシンおよびシタラビンと一緒に与えている緑色白血病ラットの第1成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。図31Aはシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビンだけを与えているラットを描写したものであり、図31Bはシクロホスホルアミド、ドキソルビシン、シタラビンおよびビヒクルを与えているラットを描写したものであり、図31Cはシクロホスファミド、ドキソルビシン、シタラビンおよびカルシトリオールを与えているラットを描写したものである。 図32は、シクロホスファミドをドキソルビシンおよびシタラビンと一緒に与えている緑色白血病ラットの第2成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。左から右に向かって、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビンだけで処理したラット、シクロホスファミド、ドキソルビシン、シタラビンおよびビヒクルで処理したラット、ならびにシクロホスファミド、ドキソルビシン、シタラビンおよびカルシトリオールで処理したラットである。 図33は、シクロホスファミドをパクリタキソールおよびエトポシドと一緒に与えている緑色白血病ラットの第1成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。図33Aは、シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシドだけを与えているラットを描写したものであり、図33Bはシクロホスホルアミド、パクリタキセル、エトポシドおよびビヒクル与えているラットを描写したものであり、図33Cはシクロホスファミド、パクリタキセル、エトポシドおよびカルシトリオールを与えているラットを描写したものである。 図34は、シクロホスファミドをパクリタキセルおよびエトポシドと一緒に与えている緑色白血病ラットの第2成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。左から右に向かって、シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシドだけで処理したラット、シクロホスファミド、パクリタキセル、エトポシドおよびビヒクルで処理したラット、ならびにシクロホスファミド、パクリタキセル、エトポシドおよびカルシトリオールで処理したラットである。 図35は、ドキソルビシンをパクリタキセルおよびエトポシドと一緒に与えた緑色白血病ラットの第1成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。図35Aはドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシドだけを与えているラットを描写したものであり、図35Bはドキソルビシン、パクリタキセル、エトポシドおよびビヒクルを与えているラットを描写したものであり、図35Cはドキソルビシン、パクリタキセル、エトポシドおよびカルシトリオールを与えているラットを描写したものである。 図36は、ドキソルビシンをパクリタキソールおよびエトポシドと一緒に与えている緑色白血病ラットの第2成長期過程に対するカルシトリオールの効果を例示したものである。左から右に向かって、ドキソルビシン、パクリタキソールおよびエトポシドだけで処理したラット、ドキソルビシン、パクリタキソール、エトポシドおよびビヒクルで処理したラット、ならびにドキソルビシン、パクリタキソール、エトポシドおよびカルシトリオールで処理したラットである。
本明細書に記載の発明は、化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減することのできるビタミンD化合物の局所製剤の発見に部分的には基づく。一部の実施形態において、該製剤は、より深い真皮層中への送達及び/又は蓄積を実質的に回避しながら、皮膚の表皮層中に選択的に送達又は蓄積させることができる。ビタミンD化合物のより深い蓄積が、化学療法レジメンの効力低下をもたらす可能性がある場合、このことは、化学療法での治療を受けている特定の患者において有利である可能性がある。このような局所製剤は、また、腎臓結石を患う患者のように過剰量のビタミンD化合物の存在によって否定的影響を受ける可能性のある医学的状態を有し、且つその状態が特定のビタミンD化合物によってカルシウムの移動を悪化させ得る患者において有利である可能性がある。したがって、このような患者において、ビタミンD化合物の理想的な送達は、血管に富む真皮層よりもむしろ、皮膚の表皮層への最少有効用量の局所送達であるべきである。
本発明は、また、ビタミンD化合物が、比較的低い濃度/投薬量で正常な角化細胞に対して軽度の増殖刺激効果を示す一方で、比較的高い濃度/投薬量で同じ細胞に対して増殖阻害効果を示すという発見に部分的には基づく。したがって、本発明は、望ましくない増殖阻害効果を引き起こすことなしに、脱毛症に対して最適な防護効果を示す方法及び医薬組成物を提供する。したがって、種々の実施形態において、本発明は、ビタミンD化合物を、望ましくない増殖阻害効果を引き起こすことなしに脱毛症に対して最適な防護効果を提供する用量で、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に局所的に投与することを包含する。
本発明は、ビタミンD化合物が、正常な角化細胞中での複数の標的遺伝子の発現を活性化又は阻害するという発見にさらに基づくものであり、それゆえ、特定の治療的適用に最も適したビタミンD化合物を選択するための基礎、及び類似の生物活性を有するさらなるビタミンD類似体を同定するための基礎を提供する。したがって、種々の実施形態において、本発明は、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時にビタミンD化合物を局所的に投与することを包含する。
いずれか特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、本発明の製剤は、化学療法試薬に対する薬物干渉を最小化することに関して有利である可能性がある。皮膚の真皮層は血管に富み、この層への局所的薬物浸透は、全身性で送達される化学療法試薬に対する薬物干渉を引き起こし、がん細胞に望ましくない防護効果をもたらす可能性がある。
したがって、一態様において、本発明は、(1)化学療法を受ける予定である又は受けている対象を選択すること、及び(2)化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を対象の頭皮に局所的に投与することによって、対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法を提供し、それによって、対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する。
用語「脱毛症」には、個体の頭部又は身体からの不随意な完全又は部分的脱毛が包含され、円形脱毛症(AA)、全頭脱毛症(AT)、汎発性脱毛症(AU)、又は化学療法誘発性脱毛症(CIA)が挙げられる。円形脱毛症としては、びまん性円形脱毛症、単発型円形脱毛症、多発型円形脱毛症、及び髭円形脱毛症を挙げることができる、一部の実施形態において、脱毛症は、男性型脱毛症(アンドロゲン性脱毛症又は男性禿頭症)も化学療法後脱毛症(PCA)も包含しない。
脱毛症は、頭部又は身体から時には禿頭症の程度までの脱毛の医学的描写である。体毛の通常的な審美的除毛と異なり、脱毛症、例えばアンドロゲン性脱毛症は、不随意的であり歓迎されない傾向がある。しかし、それは、自らの毛髪を引き抜く心理的強迫(抜毛癖)、又は決まりきった自発的整髪手順の予期せぬ結果(過度に固定されたポニーテール若しくは編み髪に由来する機械的「牽引性脱毛症」、又は苛性縮毛矯正若しくは熱い毛髪アイロンに由来する頭皮の火傷)によって引き起こされる可能性もある。一部の事例で、脱毛症は、根底にある医学的懸念、例えば鉄欠乏症の徴候である。
脱毛が一部だけで発生する場合、それは「円形脱毛症」として知られる。ヒトの円形脱毛症において、毛髪は、身体の一部又は全区域化から、通常的には頭皮から失われる。それは、特に最初の段階では頭皮上に禿げた斑点をもたらすので、時には斑点禿頭症と呼ばれる。1%〜2%の事例で、その状態は頭皮全体に(全頭脱毛症)又は表皮全体に(汎発性脱毛症)広がることがある。
AAに類似し且つ同様の原因を有する状態は、他の種においても発生する。最も一般的な部類の円形脱毛症は、頭皮上に1つ以上の丸い斑点状の脱毛を伴う。毛髪は、頭皮全体にわたってよりびまん的に失われる可能性もあり、この場合、その状態はびまん性円形脱毛症と呼ばれる。単発型円形脱毛症は、頭部のどこにでも発生する可能性のあるたった1つの斑点状の禿頭症を描写する。多発型円形脱毛症は、複数区域での脱毛を指す。該疾患は、髭のみに限られることもあり、この場合、それは髭円形脱毛症と呼ばれる。個体が、彼/彼女の頭皮上のすべての毛髪を失うと、該疾患は全頭円形脱毛症と呼ばれる。
「汎発性脱毛症」は、身体上で完全な脱毛が発生する場合、化学療法に関連した脱毛が時には身体全体に影響を及ぼす有様に類似している。
「アンドロゲン性脱毛症」(男性型脱毛症又は男性ホルモン性脱毛症としても知られる)は、雌雄双方のヒト、チンパンジー、並びにオランウータンにおける脱毛の一般的形態である。とりわけヒト男性において、この状態は、男性型禿頭症としても一般に知られている。毛髪は、明確な様式で失われ、両側頭の上部で始まる。時間と共に、毛髪の生え際は後退して、特徴的な「M型形状」を形成する。毛髪は、また、頭頂部で薄くなる。しばしば、頭部の側面及び後部周辺に毛髪端部が残存するか、その状態が完全な禿頭症に進行することもある。女性の脱毛パターンは、男性型禿頭症と相違する。女性では、毛髪は、頭部の全体にわたってより薄くなり、毛髪の生え際は後退しない。女性におけるアンドロゲン性脱毛症が完全な禿頭症に至ることはまれである。
用語「脱毛症を予防すること」は、その発生に先立って脱毛症に関連する脱毛を阻止又は抑制することを包含する。
用語「脱毛症を軽減すること」又は「脱毛症を治療すること」は、脱毛症に関連する脱毛の重症度を低減すること、又は脱毛症に関連する脱毛の程度を低下させることを包含する。一部の実施形態において、脱毛症を軽減又は治療することは、脱毛症の改善を包含する。
用語「投与すること」は、ビタミンD化合物を、脱毛症を予防又は治療するのに有効な量で個体に1回以上提供することを包含する。当業者は、利用される具体的な化合物、製剤化された個々の組成物、適用方式、個々の投与部位などに関して実施される通常的な投与量決定試験を使用して、ビタミンD化合物の所与の投与プロトコールに対して最適な投与速度を決定することができる。
用語「局所的に投与すること」は、ビタミンD化合物を、脱毛症を治療又は予防するのに有効な量で個体の皮膚に1回以上送達することを包含する。
皮膚は、多くの特殊化された細胞及び構造を含み、環境と交流する防護壁として役立つこと、適切な体温を維持するのを支援すること、環境から感覚情報を収集すること、及び免疫系で積極的な役割を演じることなど、種々の重要な機能を有する。
皮膚は、3つの層:表皮、真皮、及び皮下組織を有する。表皮は、皮膚の外層である。その厚さは、皮膚の部類により異なる。それは眼瞼上で約0.05mmと最も薄く、手のひら及び足底で約1.5mmと最も厚い。底部から頂部に向かって、表皮は、5つの層:基底層、有棘層、顆粒層、透明層(一部の皮膚で選択的に)、及び角質層を含む。
基底層は、表皮中の角化細胞の底部層であり、表皮細胞を絶えず更新する責任を負う。この層は、極めて頻繁に分裂する1列だけの未分化円柱幹細胞を含む。該細胞の半分は、分化し、次の層に移動して成熟過程を開始する。残りの半分は、基底層中に留まり、繰り返し分裂して基底層を補充する。有棘層(有棘細胞層とも呼ばれる)中に移動する細胞は、円柱形から多角形に変化する。この層中で、細胞はケラチンを合成し始める。顆粒層中の細胞又は顆粒層は、それらの核を失っており、細胞質材料の暗色凝集塊によって特徴付けられる。ケラチンタンパク質及び防水性脂質が産生され組織化されるので、この層には多くの活性が存在する。透明層は、厚い皮膚中のみに存在し、それは、角質層と顆粒層との間の摩擦及び剪断力を低減するのを助ける。角質層中の細胞は、角質細胞として知られる。これらの細胞は、平坦化しており、層に対して強度を提供するが水の吸収をも可能にするケラチンタンパク質から主として構成されている。角質層の構造は単純に見えるが、この層は、極めて重要な機能である皮膚の統合性及び水和を維持する責任を負う。
真皮も、皮膚の場所に応じて厚さを異にする。それは眼瞼上で約0.3mm、背中で約3.0mmである。真皮は、至る所に存在する層ではない3種の組織:コラーゲン、弾性組織、及び細網線維から構成される。真皮の2つの層は、乳頭層及び網状層である。上部の乳頭層は、コラーゲン線維の薄い配列を含む。下部の網状層は、より厚く、皮膚の表面に対して平行に配列された厚いコラーゲン線維から構成される。真皮は、多くの特殊化された細胞及び構造を含む。例えば、血管及び神経は、この層中を通る。毛包は、また、各毛包に付属している起毛筋と共にこの層中に位置する。毛包の一部は、また、傷害された表皮を再生する能力のある幹細胞を含む。幹細胞は、真皮-表皮の接合部(DEJ)に存在できる。脂腺(油腺)及びアポクリン腺(体臭腺)は毛包に関連している。この層は、また、エクリン腺(汗腺)を含むが、それらの腺は毛包に関連していない。皮下組織は、脂肪及び結合組織の層であり、より大きな血管及び神経を収容している。この層は、皮膚自体及び身体の温度を調節する上で重要である。この層の大きさは身体の至る所で及び人によって相違する。
したがって、本明細書中で使用する場合、「表皮」は、表皮と真皮との間の接合層(例えば、真皮-表皮接合部又はDEJ)、及び表皮層を再生する幹細胞(例えば、毛包幹細胞及び表皮幹細胞)をはじめとする、その層の5つのすべての層(存在するなら)を包含する。
本明細書中で使用する場合、句「化学療法を受ける予定である又は受けている対象を選択すること」は、医師によって化学療法を処方された、又は医師の監督の下で化学療法を受ける患者を選択することを包含し、本明細書に記載のような1つ以上の基準に合致する患者を選択することをさらに包含することができる。
一部の実施形態において、対象を選択することは、固形腫瘍を有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、固形腫瘍は、癌腫、黒色腫、肉腫、及びリンパ腫からなる群から選択される。特定の実施形態において、固形腫瘍は、乳がん、膀胱がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、腎臓(腎細胞)がん、肺がん、膵臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、皮膚がん、骨がん、脳がん、子宮頸部がん、肝臓がん、胃がん、口腔がん、神経芽細胞腫、精巣がん、子宮がん、軟部組織肉腫、骨肉腫、及び外陰部がんからなる群から選択される。特定の実施形態において、固形腫瘍は、トリプルネガティブ乳がんをはじめとする乳がんである。特定の実施形態において、固形腫瘍は、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、及び皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)からなる群から選択される皮膚がんである。一実施形態において、固形腫瘍は、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、軟部組織肉腫、及び骨肉腫からなる群から選択される。
一部の実施形態において、対象を選択することは、乳がんを有する対象を選択することを包含する。別法として、対象を選択することは、乳がんを有さない対象を選択することを包含できる。
一部の実施形態において、対象を選択することは、子宮頸部がんを有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、対象を選択することは、子宮内膜がんを有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、対象を選択することは、卵巣がんを有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、対象を選択することは、卵管がんを有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、対象を選択することは、原発性腹膜癌を有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、対象を選択することは、軟部組織肉腫を有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、対象を選択することは、骨肉腫を有する対象を選択することを包含する。
一部の実施形態において、対象を選択することは、進行又は再発がんを有する対象を選択することを包含する。一部の実施形態において、がん、例えば、進行がんは、転移型、局所進行型、又は切除不能型でよい。一部の実施形態において、がんは、段階によって選択され得る(例えば、対象は、特定のがんに関して、特定の段階又は段階の範囲で選択され得る)。
一部の実施形態において、がんは、ローマ数字で段階付けることができ、例えば、ステージ0:原位置の癌腫、ステージI:がんは身体の1つの部分に局在化されている(ステージIのがんは、十分に小さいなら外科的に除去できる)、ステージII:がんは局所的に進行している(ステージIIのがんは、化学、放射線、又は手術によって治療できる)、ステージIII:がんはやはり局所的に進行している(がんがステージII又はステージIIIのどちらに指定されるかは、がんの具体的種類に依存することがあり、例えば、ホジキン病において、ステージIIは、冒されたリンパ節が横隔膜の片側のみであることを示し、一方、ステージIIIは、冒されたリンパ節が横隔膜の上下であることを示す。したがって、ステージII及びIIIに関する具体的基準は、診断により相違する。ステージIIIは、化学、放射線、又は手術によって治療することができる)。ステージIV:がんはしばしば他の臓器又は身体の至る所に転移又は拡大してしまっている(ステージIVのがんは、化学、放射線、手術、又は臨床試験で治療することができる)。
一部の実施形態において、がんは、国際対がん連合(the Union for International Cancer Control)(UICC)及び米国癌合同委員会(the American Joint Committee on Cancer)(AJCC)によって認められているようなTNM(腫瘍、リンパ節、転移)によって段階付けることができる。TNMシステムは、原発腫瘍の大きさ及び程度(範囲)(T)、近傍リンパ節への拡大量(N)、及び転移(M)又はがん細胞の身体の他の部分への拡大によって形成された続発腫瘍の存在に基づく。各文字に、原発腫瘍の大きさ及び/又は程度、及びがん拡大の度合いを示す数字が付加される。原発腫瘍(T)-TX:原発腫瘍とは評価できない、T0:原発腫瘍の証拠はない、Tis:原位置での癌腫(CIS;異常細胞は存在するが隣接組織へ拡大しておらず、CISは、がんではないが、がんになる可能性があり、時には侵襲前がんと呼ばれる)、T1、T2、T3、T4:原発腫瘍の大きさ及び/又は程度。所属リンパ節(N)-NX:所属リンパ節とは評価できない;N0:所属リンパ節の関与なし、N1、N2、N3:所属リンパ節の関与の度合い(リンパ節の数及び場所)。遠隔転移(M)-MX:遠隔転移とは評価できない、M0:遠隔転移はない、M1:遠隔転移が存在する。
一部の実施形態において、対象を選択することは、少なくとも18歳のヒトである対象を選択すること;脱毛症又は軽度脱毛症の証拠を有さない対象を選択すること;アポトーシス性ではない毛包を有する対象を選択すること;局所投与を開始する前の14日以内にEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)による0又は1のパフォーマンススコアを有する対象を選択すること;局所投与を開始する前の72時間以内に1500細胞/mm3を超えるベースライン好中球数を有する対象を選択すること;及び局所投与を開始する前の72時間以内に基準範囲上限(ULN)以下の血清中カルシウムレベルを有する対象を選択することのうちの1つ以上を包含する。
一部の実施形態において、対象を選択することは、対象が局所投与を開始する前にビスホスホネート又はカルシウム低下療法で3ヶ月間以上管理され且つカルシウム代謝の安定性に関する立証された証拠を有する場合を除き、局所投与を開始してから4週間以内にカルシウム低下療法もカルシウムレベルに影響を及ぼす可能性のある薬物も受け入れていない対象を選択すること;局所投与を開始してから30日以内に高カルシウム血症又はビタミンD毒性の、或いは狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不全、又は精神病の治療のための入院の履歴を有さない対象を選択すること;対象が局所投与を開始する前にビタミンDサプリメントを30日間以上摂取しており且つ局所投与の間中同じ用量を維持する場合を除いて、局所投与の間、ビタミンDサプリメントを摂取しない対象を選択すること;6ヶ月超にわたって安定的な療法を継続している対象を除いて、局所投与を開始してから4週間以内にカルシウムレベルに影響を及ぼすことが知られている薬剤で治療されていない対象を選択すること; 6ヶ月を超えて安定的な用量を服用し且つ療法を継続している対象を除いて、チアジド利尿薬もフロセミド利尿薬も受け入れていない対象を選択すること;高カルシウム血症も腎臓結石も有さない対象を選択すること;及び米国国立癌研究所の有害事象共通用語基準(NCU-CTCAE)v4.0によるグレード2以上の脱毛症も、重大な脱毛も、毛髪破損も有さない対象を選択することのうちの1つ以上を包含する。
一実施形態において、対象は少なくとも18歳のヒトである。一実施形態において、対象は脱毛症又は軽度脱毛症の証拠を有さない。一実施形態において、対象はアポトーシス性ではない毛包を有する。一実施形態において、対象は、局所投与を開始する前の14日以内にEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)による0又は1のパフォーマンススコアを有する。一実施形態において、対象は、局所投与を開始する前の72時間以内に1500細胞/mm3を超えるベースライン好中球数を有する。一実施形態において、対象は、局所投与を開始する前の72時間以内に基準範囲上限(ULN)以下の血清中カルシウムレベルを有する。一実施形態において、対象は、局所投与を開始する前に3ヶ月間以上ビスホスホネート又はカルシウム低下療法で管理され且つカルシウム代謝の安定性に関する立証された証拠を有する場合を除き、局所投与を開始してから4週間以内に、カルシウム低下療法もカルシウムレベルに影響を及ぼす可能性のある薬物も受け入れていない。一実施形態において、対象は、局所投与を開始してから30日以内に高カルシウム血症又はビタミンD毒性の履歴を有さない。一実施形態において、対象は、局所投与を開始してから30日以内に狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不全、又は精神病の治療のための入院の履歴を有さない。一実施形態において、対象は、局所投与を開始する前に30日間以上ビタミンDサプリメントを摂取しており且つ局所投与の間中同じ用量を維持する場合を除いて、局所投与の間、ビタミンDサプリメントを摂取しない。一実施形態において、6ヶ月超にわたって安定的な療法を継続している対象を除いて、対象は、局所投与を開始してから4週間以内にカルシウムレベルに影響を及ぼすことが知られている薬剤で治療されていない。一実施形態において、対象は、6ヶ月を超えて安定的な用量を服用し且つ療法を継続している対象を除いて、チアジド利尿薬もフロセミド利尿薬も受け入れていない。一実施形態において、対象は、高カルシウム血症も腎臓結石も有さない。一実施形態において、対象は、米国国立癌研究所の有害事象共通用語基準(NCU-CTCAE)v4.0によるグレード2以上の脱毛症も、重大な脱毛も、毛髪破損も有さない。
一実施形態において、対象は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の上に挙げた基準の任意の組合せに基づいて選択される。
用語「個体」又は「対象」は、脱毛症を提示することのある動物を包含する。一実施形態において、個体は、哺乳動物、例えば、ネコ、イヌ、霊長類、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどである。一部の実施形態において、哺乳動物は、霊長類、例えば、チンパンジー、ヒト、ゴリラ、コビトチンパンジー、オランウータン、サルなどである。さらに別の実施形態において、哺乳動物はヒトである。個体又は対象は、性別及び/又は年齢でさらに分類することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「化学療法」は、化学的手段による治療処置を含む。化学療法としては、脱毛症、又はその特定の種類、部類、型、亜型、若しくは変種を引き起こし得る、本質的には任意の化学療法を挙げることができる。種々の実施形態において、化学療法は、がんの化学療法である。
一部の実施形態において、化学療法としては、タキサンをベースにしたがんの化学療法が挙げられる。「タキサンをベースにした化学療法」としては、タキサン療法、特定の媒体を使用するタキサン療法、2種以上のタキサン療法の組合せ、及びタキサン療法とさらなる療法との組合せなどを挙げることができる。同様に、「パクリタキセルをベースにした化学療法」、「nab-パクリタキセルをベースにした化学療法」及び「ドセタキセルをベースにした化学療法」などの用語は、パクリタキセル/nab-パクリタキセル/ドセタキセル療法、特定の媒体を使用するパクリタキセル/nab-パクリタキセル/ドセタキセル療法、2種以上のパクリタキセル/nab-パクリタキセル/ドセタキセル療法の組合せ、及びパクリタキセル/nab-パクリタキセル/ドセタキセル療法とさらなる療法との組合せなどを示すのに使用できる。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法としては、パクリタキセル、ナノ粒子状アルブミン結合型(「nab」)パクリタキセル、及び/又はドセタキセルによるがんの化学療法を挙げることができる。一実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、タキサン療法(例えば、がんの化学療法)とさらなる療法(例えば、がんの化学療法)との組合せである。
一実施形態において、タキサンをベースにした化学療法は、パクリタキセルを含まない。一実施形態において、タキサンをベースにした化学療法は、ドセタキセルを含まない。一実施形態において、タキサンをベースにした化学療法は、パクリタキセルもドセタキセルも含まない。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法としては、タキサン療法が、パクリタキセル、ドセタキセル、ナノ粒子状アルブミン結合型(nab)パクリタキセル、ポリグルタミン酸ポリマー結合型パクリタキセル、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセル、腫瘍で活性化されるタキソールプロドラッグ、パクリタキセル-Angiopep-2複合体(ANG1005)、パクリタキセルポリグルメックス、コポリマーと組み合わせたパクリタキセル、リポソーム封入型パクリタキセル、ビタミンE乳液中のタキソール、及びこれらの等価体のうちの1種以上を含む、タキサン療法が挙げられる。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、ドセタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、ナノ粒子状アルブミン結合型(nab)パクリタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、ポリグルタミン酸ポリマー結合型パクリタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、ドコサヘキサエン酸結合型パクリタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、腫瘍で活性化されるタキソールプロドラッグを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセル-Angipep-2複合体(ANG1005)を含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、パクリタキセルポリグルメックスを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、コポリマーと組み合わせたパクリタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、リポソーム封入型パクリタキセルを含む。一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、ビタミンE乳液中のタキソール、及びこれらの等価体を含む。
一部の実施形態において、タキサンをベースにしたがんの化学療法は、さらなる化学療法を含む。例えば、さらなる化学療法は、アントラサイクリン(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン)、5-FU、タモキシフェン、イリノテカン、カルボプラチン、エトポシド、シトキサン/シクロホスファミド、シスプラチン、エルロチニブ(タルセバ)、ゲムシタビン、スタウロスポリン、ビンクリスチン、イマチニブ(グリーベック)、ゲフィチニブ(イレッサ)、ソラフェニブ、ダサチニブ、ダクチノマイシン、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン)、イフォスファミド、ブレオマイシン、メトトレキセート、ビンデシン、ビノレルビン、トポテカン、アムサクリン、シタラビン、ブスルファン、メルファラン、ビンブラスチン、ロムスチン(CCNU)、チオテパ、ゲムシタビン、カルムスチン(BCNU)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、プロカルバジン、6-メルカプトプリン、ストレプトゾトシン、フルダラビン、ラルチトレキセド(トムデックス)、カペシタビン、及びこれらの等価体のうちの1種以上を含むことができる。
一部の実施形態において、がんとしては転移性乳がんが挙げられ、化学療法としては、それぞれカルボプラチンと組み合わせてもよい、パクリタキセルをベースにしたnab-パクリタキセル、又はドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては卵巣がんが挙げられ、化学療法としては、カルボプラチンと組み合わせてもよい、パクリタキセル及び/又はドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては子宮がんが挙げられ、化学療法としては、ゲムシタビンと組み合わせてもよいドセタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、がんとしては子宮頸部がんが挙げられ、化学療法としては、シスプラチン及び/又はトポテカンと組み合わせてもよいパクリタキセルをベースにした化学療法が挙げられる。
一部の実施形態において、本発明の方法及び医薬組成物は、化学療法、特に全身性化学療法の効力を実質的に低下させることはない。他の実施形態において、本発明の方法及び医薬組成物は、化学療法の効力を増強する。用語「共投与される化学療法薬の効力に干渉することなしに」は、ビタミンD化合物が、1種以上の化学療法薬と共に投与された場合に、1種以上の化学療法薬の生物又は治療活性を妨害せず、1種以上の化学療法薬がその所望される生物又は治療活性を遂行することを妨げないという状況を含む。用語「共投与される化学療法薬の効力を低下させることなしに」は、ビタミンD化合物が、1種以上の化学療法薬と共に投与された場合に、1種以上の化学療法薬の生物又は治療活性を減少させないという状況を含む。
本発明の方法及び医薬組成物は、毛包又は真皮乳頭に対して細胞毒性効果を有するか、さもなければ脱毛症を誘発する能力のある任意の化学療法薬又は化学療法薬の組合せと共に使用することができる。用語「化学療法薬」、「化学療法」及び「化学療法レジメン」としては、アントラサイクリン(アドリアマイシン/ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン)、5-FU、タモキシフェン、イリノテカン、パクリタキセル(タキソール)、カルボプラチン、エトポシド、シトキサン/シクロホスファミド、シスプラチン、エルロチニブ(タルセバ)、ベバシズマブ、ゲムシタビン、スタウロスポリン、ビンクリスチン、イマチニブ(グリーベック)、ゲフィチニブ(イレッサ)、ソラフェニブ、ダサチニブ、ダクチノマイシン、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン)、イフォスファミド、ブレオマイシン、メトトレキセート、ドセタキセル(タキソテレ)、ビンデシン、ビノレルビン、トポテカン、アムサクリン、シタラビン、ブスルファン、メルファラン、ビンブラスチン、ロムスチン(CCNU)、チオテパ、ゲムシタビン、カルムスチン(BCNU)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、プロカルバジン、6-メルカプトプリン、ストレプトゾトシン、フルダラビン、ラルチトレキセド(トムデックス)、カペシタビン、及びこれらの等価体が挙げられる。
一部の実施形態において、化学療法は、全身性化学療法である。
本発明の方法及び医薬組成物は、好ましくは、化学療法、特に全身性化学療法の効力を実質的に低下させない。好ましくは、本発明の方法及び医薬組成物は、化学療法の効力を増強する。
本発明の方法及び医薬組成物は、また、薄毛を引き起こすことのある任意の化学療法ホルモン療法又は生物学的療法と共に使用することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、対象に医薬組成物を化学療法の開始に先立って投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、対象に医薬組成物を化学療法と同時に投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、対象に医薬組成物を化学療法の開始に先立って、且つ化学療法と同時に投与することを包含する。
一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、化学療法薬と共に共投与される。用語「化学療法薬と共に共投与される」は、化学療法薬と実質的に同時にビタミンD化合物を投与することを包含する。例えば、ビタミンD化合物を、化学療法薬と共に共投与することができ、ビタミンD化合物を先に投与し、その直後に化学療法薬を投与することができ、或いは化学療法薬を先に投与し、その直後にビタミンD化合物を投与することができる。
一部の他の実施形態において、ビタミンD化合物は、脱毛症が発生する前に(例えば、脱毛に先立って)個体に投与される。特定の実施形態において、ビタミンD化合物は、化学療法の開始後ではあるが、脱毛症の開始前に個体に投与される。他の実施形態において、個体は、脱毛症の症状を未だ発症していない(例えば、脱毛症は始まっていない)。用語「治療有効量」は、個体における脱毛症を予防又は治療するのに必須又は十分なビタミンD化合物の量を含む。有効量は、対象の背格好及び体重、病気の種類などの因子に応じて変化し得る。当業者は、前記因子を検討し、ビタミンD化合物の有効量に関して、過度の実験なしに決定することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の始まり(すなわち開始)に先立って4〜7日間、医薬組成物を投与することを包含する。医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、28、35、40又は52日間、医薬組成物を投与することを包含することができる。医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、28、35、40又は52日間、医薬組成物を投与することを包含することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って5±2日間すなわち3〜7日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って7±2日間すなわち5〜9日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って7〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って8〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って9〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って10〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って11〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って12〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って13〜14日間、医薬組成物を投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13日間、医薬組成物を投与することを包含する。例えば、一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも4日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも5日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも6日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも7日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも8日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも9日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも10日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも11日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも12日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも13日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも14日間、医薬組成物を投与することを包含する。
例えば、一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも15日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも16日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも17日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも18日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも19日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも20日間、医薬組成物を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも21日間、医薬組成物を投与することを包含する。
一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14日前に、局所的に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の9日前に、局所的に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の18日前に、局所的に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の11日前に、局所的に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の12日前に、局所的に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の13日前に、局所的に投与される。一実施形態において、医薬組成物は、化学療法の開始の14日前に、局所的に投与される。
いずれか特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、頭皮又は毛髪を有する皮膚の他の任意の区域に対するビタミンDの適用は、毛髪の発達しつつある成長段階から退縮しつつある退行段階への段階転換に必要とされる毛包の分化を誘発すると考えられる。本出願者らは、動物モデル(例えば、ラット)で実施された実験で、カルシトリオールでの最小限の処置継続期間が、頭皮毛包で必要とされる分化、及びその後にそれらの毛包を化学療法の細胞毒性に対して抵抗性にする退行段階への転換を完了させるために必要とされることを発見した。とりわけ、本出願者らは、ラットモデルを用いて、なんらかの防護効果を見るには化学療法の開始の少なくとも4日前にカルシトリオールの毎日適用が必要とされ、中度の防護は5日前、及び増大する防護は化学療法前の1週間までの治療が必要とされことを見出した。ヒトにおいて、頭皮の毛包は、動物のそれよりも実質的に長い成長期を有する。実際、いつでも、ヒト頭皮の毛包の少なくとも90%は、成長期の状態で存在する。短い治療継続期間は、頭皮の毛包における退行段階を誘発するのに十分ではなく、その後、それらの毛包を化学療法の細胞毒性に対してより感受性にすると考えられる。成長段階から退行段階への転換の完了、及び化学療法誘発性脱毛症の十分な予防を確実にするため、退行期を誘導して、それによってCIAに対する防護を提供する局所カルシトリオールは、化学療法の開始の少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14日前、好ましくは少なくとも2週間以上前に始める本発明の方法により適用される。毎日基準での連続適用は、化学療法(例えばタキサンを含む)レジメンの多回用量投与中の退行段階の維持及び長期防護を確実にする。
したがって、一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも2週間、医薬組成物を投与することを包含する。医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも5〜7日間、医薬組成物を投与することを包含することができる。医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始に先立って少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8週間、医薬組成物を投与することを包含することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の継続期間中、医薬組成物を投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始又は完了の後に少なくとも3ヶ月間、医薬組成物を投与することを包含する。医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始又は完了の後に少なくとも1、2、3、4、5又は6ヶ月間、医薬組成物を投与することを包含することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、化学療法の開始後ではあるが化学療法誘発性脱毛症の開始前に、対象に医薬組成物を投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物を1日2回投与することを包含する。一部の実施形態において、1日2回の投与は、約10〜14時間の差で隔てられる。一部の実施形態において、1日2回の投与は、約8、9、10、11、12、13、14、15又は16時間の差で隔てられる。
特定の実施形態において、本発明のビタミンD化合物は、個体に、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約2週、約3週、約4週、約6週、約8週、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、又は約1年にわたって投与される。一部の実施形態において、本発明のビタミンD化合物は、治療期間中、毎日、1日おき、又は2日おきに投与することができる。
特定の実施形態において、本発明のビタミンD化合物は、各治療日に1日1回、1日2回、又は1日3回投与される。
特定の実施形態において、本発明のビタミンD化合物のそれぞれの投与は、個体上の同じ場所に、又はいくつかの異なる場所に適用される。異なる場所に適用する場合、各場所に対する用量は、同じでもよいし、皮膚の厚さ及び薬物浸透(もしあれば)の相違などの因子に基づいて調整することができる。
特定の実施形態において、本発明のビタミンD化合物は、化学療法の開始によって発生する可能性のある任意のCIAの重症度を予防又は低下させるために、化学療法の開始に先立って連続2週間、毎日、1日2回頭皮に局所的に投与される。
一部の実施形態において、上記方法における投与のための医薬組成物の容積は、0.5〜1.5mL又は0.5〜2mLである。一実施形態において、容積は、0.5、1.0、1.5又は2mLである。一実施形態において、容積は1mLである。
一部の実施形態において、医薬組成物は、定量噴霧器具を使用して投与される。
一部の実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200又は400μg/mLからなる群から選択される。特定の実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約0.1〜25、0.1〜15、0.1〜10、1〜50、1〜45、1〜35、1〜30、1〜25、1〜10、5〜20、5〜15、15〜25、25〜35、又は35〜45μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約1〜20μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約5μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約10μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約20μg/mLである。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、定量噴霧器具を使用して、1.0mLの用量の医薬組成物を投与することを包含する。一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、定量噴霧器具を使用して、1.0mLの用量の医薬組成物を頭皮の4つの四分円のそれぞれに0.25mLずつ投与することを包含する。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物中での濃度が5、10、又は20μg/mLであるビタミンD化合物を投与することを包含する。医薬組成物を局所的に投与することは、医薬組成物中での濃度が0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200又は400μg/mLであるビタミンD化合物を投与することを包含することができる。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約10〜40μgの全1日用量を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約1、5、10、20、30、40、50、60、75、80、100、1〜100、10〜20、10〜30、10〜50、20〜30、20〜40、20〜50、又は40〜50μgの全1日用量を投与することを包含することができる。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約1〜100、10〜90、20〜80、30〜70、1〜20、10〜20、10〜30、10〜40、10〜50、10〜60、20〜30、20〜40、20〜50、20〜60、20〜70、30〜40、30〜50、30〜60、40〜50、40〜60、40〜70、40〜80、50〜60、50〜70、50〜80、50〜90、60〜70、60〜80、60〜90、60〜100、70〜80、70〜90、又は70〜100μgの全1日用量を投与することを包含することができる。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100μgの全1日用量を投与することを包含することができる。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約10μgの全1日用量を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約20μgの全1日用量を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約40μgの全1日用量を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約60μgの全1日用量を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約80μgの全1日用量を投与することを包含する。一実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、1日につき頭皮にビタミンD化合物の約100μgの全1日用量を投与することを包含する。
一実施形態において、全1日用量は、1回の投与で投与される。一実施形態において、全1日用量は、2回の個別用量で投与される。一実施形態において、全1日用量は、3回の個別用量で投与される。一実施形態において、全1日用量は4回の個別用量で投与される。
一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の10〜40μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、5〜20μgである。一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の10μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、5μgである。一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の20μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、10μgである。一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の40μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、20μgである。一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の60μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、30μgである。一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の80μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、40μgである。一実施形態において、医薬組成物は、ビタミンD化合物の100μgの全1日用量のために1日に2回投与され、ここで、1日につき2回の個別用量のそれぞれは、50μgである。
本発明のビタミンD化合物は、それを必要とする個体に約0.001μg〜5μgカルシトリオール/cm2に相当する投与量で局所的に投与することができる。特定の実施形態において、その範囲は、約0.01μg〜0.5μgカルシトリオール/cm2、又は約0.1μg〜0.5μgカルシトリオール/cm2である。
用語「カルシトリオールに相当する投与量」は、0.001μg〜5μgカルシトリオール/cm2の生物及び/又は治療活性に実質的に類似した生物及び/又は治療活性を有するビタミンD化合物の量を含む。
用語「有効濃度」は、個体における脱毛症を予防又は治療するのに必須又は十分である、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度を包含する。特定の実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約0.1、0.2、0.5、1.0、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200又は400μg/mLである。特定の実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約0.1〜25、0.1〜15、0.1〜10、1〜50、1〜45、1〜35、1〜30、1〜25、1〜10、5〜20、5〜15、15〜25、25〜35又は35〜45μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約1〜20μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約5μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約10μg/mLである。一実施形態において、局所製剤中でのビタミンD化合物の濃度は、約20μg/mLである。
特定の実施形態において、ビタミンD化合物の全用量は、75kgの体重につき約0.025〜400μgのカルシトリオールに相当する。特定の実施形態において、その範囲は、75kgの体重につき約0.1〜100μgのカルシトリオール、75kgの体重につき約0.4〜25μgのカルシトリオール、又は75kgの体重につき約1、2、3、5、若しくは10μgのカルシトリオールである。特定の実施形態において、全用量の下限は、75kgの体重につき、約0.025、0.05、0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、5、10、15又は20μgのカルシトリオールに相当する。特定の実施形態において、全用量の上限は、75kgの体重につき、約400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、25、10、5、4、又は3、2、又は1μgのカルシトリオールに相当する。特定の実施形態において、カルシトリオールの全用量は、75kgの体重につき約11〜24μg、75kgの体重につき26〜49μg、75kgの体重につき51〜74μg、又は75kgの体重につき76〜99μgである。一実施形態において、カルシトリオールの全用量は、75kgの体重につき約15〜25μg、75kgの体重につき16〜24μg、75kgの体重につき17〜23μg、75kgの体重につき18〜22μg、75kgの体重につき19〜21μg、75kgの体重につき31〜49μg、75kgの体重につき32〜48μg、75kgの体重につき33〜47μg、75kgの体重につき34〜46μg、75kgの体重につき35〜45μg、75kgの体重につき36〜44μg、75kgの体重につき37〜43μg、75kgの体重につき38〜42μg、75kgの体重につき39〜41μg、75kgの体重につき51〜69μg、75kgの体重につき52〜68μg、75kgの体重につき53〜67μg、75kgの体重につき54〜66μg、75kgの体重につき55〜65μg、75kgの体重につき56〜64μg、75kgの体重につき57〜63μg、75kgの体重につき58〜62μg、75kgの体重につき59〜61μg、75kgの体重につき65〜74μg、75kgの体重につき66〜73μg、75kgの体重につき67〜72μg、75kgの体重につき68〜71μg、75kgの体重につき69〜70μg、75kgの体重につき76〜85μg、75kgの体重につき77〜84μg、75kgの体重につき78〜83μg、75kgの体重につき79〜82μg、75kgの体重につき80〜81μg、75kgの体重につき81〜99μg、75kgの体重につき82〜98μg、75kgの体重につき83〜97μg、75kgの体重につき84〜96μg、75kgの体重につき85〜95μg、75kgの体重につき86〜94μg、75kgの体重につき87〜93μg、75kgの体重につき88〜92μg、又は75kgの体重につき89〜91μgである。さらに別の態様において、本発明は、治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を個体に局所的に投与することによって、個体における脱毛症を予防又は治療する方法を提供し、ここで、前記ビタミンD化合物は、(1)約50μg/mLの有効濃度で個体に局所的に投与する場合、少なくとも約25日間連続して薬物を投与した後に毒性を生じず、又は(2)約100μg/mLの有効濃度で個体に局所的に投与する場合、少なくとも約7日間連続して薬物を投与した後に毒性を生じない。
一部の実施形態において、医薬組成物を局所的に投与することは、ビタミンD化合物の真皮送達を実質的に回避することを包含する。一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、真皮中への送達及び/又は蓄積を実質的に回避しながら、表皮中に局所的に送達及び/又は蓄積される。
本明細書中で使用する場合、用語「真皮への送達及び/又は蓄積を実質的に回避すること」は、ビタミンD化合物の真皮への送達及び/又は蓄積が、ビタミンD化合物の表皮への送達及び/又は蓄積に比較して、約25%未満、例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約1%未満であるか、表皮への送達量に比較して、ビタミンD化合物が真皮へは送達及び/又は蓄積されないことを包含する。一部の実施形態において、表皮への送達及び/又は蓄積に比較して、約1%〜25%、例えば、約1%〜約20%、約1%〜約15%、約1%〜約10%、又は約1%〜約5%のビタミンD化合物が真皮に送達及び/又は蓄積される。一部の実施形態において、ビタミンD化合物は、真皮中に送達及び/又は蓄積されない。一部の実施形態において、真皮中に送達又は蓄積されるビタミンD化合物の量は、約0.3ng/cm2未満、約0.2ng/cm2未満、又は約0.1ng/cm2未満である。
幾つかの実施形態では、前記ビタミンD化合物は、真皮内への送達および/または蓄積を実質的に回避しつつ、ヒト表皮内、特に頭皮または頸部領域の表皮内に送達および/または蓄積されるように製剤化される。当業者であれば、実施例1を利用して、真皮および/もしくは表皮に送達/蓄積されるビタミンD化合物の量、またはその不足を容易に測定することができるであろう。
「ビタミンD化合物」という用語には、式I:
Figure 0006608810
〔式中、
aおよびbは各々独立して単結合または二重結合であり;
Xはaが二重結合である場合に-CH2であり、またはXはaが単結合である場合に水素もしくはヒドロキシル置換アルキルであり;
R1は、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシル、シアノまたは-NR'R"部分で置換されていてもよいアルキル、トリ-アルキルシリル、アルコキシル、ヒドロキシルまたは水素であり;
R2は、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、または1〜3個のハロゲン、ヒドロキシル、シアノまたは-NR'R"部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシルもしくはアルケニルであり;
R3はbが二重結合である場合に存在せず、またはbが単結合である場合に、R3は水素、ヒドロキシルもしくはアルキルであるか、またはR3およびR1は、それらが結合している炭素原子と共に連結して5〜7員の炭素環を形成していてもよく;
R4はbが二重結合である場合に存在せず、またはbが単結合である場合に水素、ハロゲンもしくはヒドロキシルであり;
R5はaが二重結合である場合に存在せず、またはR5はaが単結合である場合に水素、ハロゲンもしくはヒドロキシルであり;
R6は、1〜5個のヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロまたは-NR'R"部分で置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル-O-アルキル、アルキル-CO2-アルキルであり;
R7は、1〜3個のヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロまたは-NR'R"部分で置換されていてもよいアルキルであり;かつ、
R'およびR"は各々、独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシルである〕
の化合物または製薬上許容しうるその塩が含まれる。
幾つかの実施形態では、R1はヒドロキシルであり、R2は水素またはヒドロキシルであり、aは二重結合であり、R5は存在せず、Xは-CH2であり、bは二重結合であり、R3およびR4は存在せず、R6はアルキル(例えば、メチル)であり、かつR7はアルキル(例えば、置換もしくは非置換アルキル、例えば、-(CH2)3CH(CH3)2もしくは-(CH2)3COH(CH3)2などのヒドロキシル置換アルキルもしくはシクロアルキル置換アルキル)またはアルケニル(例えば、-CH=CHCH(CH3)CH(CH3)2)である。
特定の実施形態では、前記ビタミンD化合物は、化学式(II):
Figure 0006608810
〔式中、
cは単結合または二重結合であり;
R1aは、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシル、シアノまたは-NR'R"部分で置換されていてもよいアルキル、トリ-アルキルシリルまたは水素であり;
R2aは、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、または1〜3個のハロゲン、ヒドロキシル、シアノまたは-NR'R"部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシルもしくはアルケニルであり;
R3aおよびR4aは、cが二重結合である場合に存在せず、またはcが単結合である場合に各々独立して、1〜3個のヒドロキシルもしくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ヒドロキシルもしくは水素であり
R3b、R4b、R5a、R6a、R7aおよびR8aは各々、独立して、1〜3個のヒドロキシルもしくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ヒドロキシルもしくは水素であるか、またはR6a、R7aおよびR8aのうちのいずれか2つが連結して3〜7員の炭素環を形成していてもよい〕
で表される化合物および製薬上許容しうるその塩である。
ある実施形態では、前記化合物は、R1a、R3aおよびR4aが各々水素である化学式(II)で表される。
別の実施形態では、前記化合物は、cが単結合である化学式(II)で表される。
さらに別の実施形態では、前記化合物は、R6aおよびR8aがいずれもメチルである化学式(II)で表される。
ある実施形態では、前記化合物は、R1aが水素である化学式(II)で表される。
別の実施形態では、前記化合物は、R2aがヒドロキシルである化学式(II)で表される。
別の実施形態では、前記化合物は、R7aがヒドロキシルである化学式(II)で表される。
さらに別の実施形態では、前記化合物は、R5aがヒドロキシルである化学式(II)で表される。
ある実施形態では、R1aは水素であり、R2aは水素またはヒドロキシルであり、cは単結合であり、R3a、R3b、R4a、R4bおよびR5aは各々水素であり、R6aおよびR7aは各々アルキル(例えば、メチル)であり、かつR8aは水素またはヒドロキシルである。
別の実施形態では、R1aは水素であり、R2aは水素またはヒドロキシルであり、cは二重結合であり、R3aおよびR4aは存在せず、R3bおよびR4bは水素であり、R5aはアルキル(例えば、メチル)であり、R6aおよびR7aは各々アルキル(例えば、メチル)であり、かつR8aは水素またはヒドロキシルである。
ある実施形態では、前記ビタミンD化合物は、以下の構造体:
Figure 0006608810
またはその立体異性体もしくは製薬上許容しうる塩から選択される。
特定の実施形態では、前記ビタミンD化合物は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3;1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール;1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール;1α-ヒドロキシビタミンD3;1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、またはMC903である。
他の実施形態では、前記ビタミンD化合物は、1,25-ジヒドロキシビタミンD3;1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール;1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール;1α-ヒドロキシビタミンD3;1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、またはMC903ではない。
幾つかの実施形態では、前記ビタミンD化合物は、カルシトリオールである。
ビタミンD化合物の他の適切な類似体、代謝産物、誘導体および/または模倣物としては、例えば、1,25-ジヒドロキシビタミンD3(カルシトリオールとしても知られている)、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、ならびにビタミンD化合物の他のビタミンD類似体、同族体、模倣物、および誘導体、例えば、以下の特許(各文献はその全内容が参照により組み込まれるものとする):米国特許第4,391,802号(1α-ヒドロキシビタミンD誘導体);第4,717,721号(コレステロールまたはエルゴステロールの側鎖より17個長い側鎖を持つ1α-ヒドロキシ誘導体);第4,851,401号(シクロペンタノ-ビタミンD 類似体);第4,866,048号ならびに第5,145,846号(アルキニル、アルケニル、およびアルカニル側鎖を持つビタミンD3類似体);第5,120,722号(トリヒドロキシカルシフェロール);第5,547,947号(フルオロ-コレカルシフェロール化合物);第5,446,035号(メチル置換ビタミンD);第5,411,949号(23-オキサ-誘導体);第5,237,110号(l9-ノル-ビタミンD化合物);第4,857,518号(ヒドロキシル化24-ホモ-ビタミンD誘導体)に記載されているものが挙げられる。他の適切な具体例としては、ロカルトロール(ROCALTROL)(Roche Laboratories);カルシジェックス(CALCIJEX)注射用カルシトリオール;Leo Phannaceuticalsからの治験薬、例えばEB 1089(24a,26a,27a,トリホモ-22,24-ジエン-1α,25-(OH)2-D3)、KH 1060(20-エピ-22-オキサ-24a,26a,27a-トリホモ1a,25-(OH)2-D3)、MC 1288(l,25-(OH)2-20-エピ-D3)およびMC903(カルシポトリオール、1a,24s(OH)2-22-エン-26,27-デヒドロ-D3);1,25-(OH)2-16-エン-D3、1,25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3、および25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3を含むRoche Phannaceuticalの薬物;中外製薬の22-オキサカルシトリオール(22-オキサ-1α,25-(OH)2-D3;イリノイ大学からの1α-(OH)-D5;ならびにZK 161422(20-メチル-l,25-(OH)2-D3)およびZK 157202(20-メチル-23-エン-1,25-(OH)2-D3)を含むInstitute of Medical Chemistry-Schering AGからの薬物;1α-(OH)-D2;1α-(OH)-D3、1α-(OH)-D4、25-(OH)-D2;25-(OH)-D3;ならびに25-(OH)-D4が挙げられる。さらなる具体例としては、1α,25-(OH)2-26,27-d6-D3;1α,25-(OH)2-22-エン-D3;1α,25-(OH)2-D3;1α,25-(OH)2-D2;1α,25-(OH)2-D4;1α,24,25-(OH)3-D3;1α,24,25-(OH)3-D2;1α,24,25-(OH)3-D4;1α-(OH)-25-FD3;1α-(OH)-25-FD4;1α-(OH)-25-FD2;1α,24-(OH)2-D4;1α,24-(OH)2-D3;1α,24-(OH)2-D2;1α,24-(OH)2-25-FD4;1α,24-(OH)2-25-FD3;1α,24-(OH)2-25-FD2;1α,25-(OH)2-26,27-F6-22-エン-D3;1α,25(OH)2-26,27-F6-D3;1α,25S-(OH)2-26-F3-D3;1α,25-(OH)2-24-F2-D3;1α,25S,26-(OH)2-22-エン-D3;1α,25R,26-(OH)2-22-エン-D3;1α,25-(OH)2-D2;1α,25-(OH)2-24-エピ-D3;1α,25-(OH)2-23-イン-D3;1α,25-(OH)2-24R-F-D3;1α,25S,26-(OH)2-D3;1α,24R-(OH)2-25F-D3;1α,25-(OH)2-26,27-F6-23-イン-D3;1α,25R-(OH)2-26-F3-D3;1α,25,28-(OH)3-D2;1α,25-(OH)2-16-エン-23-イン-D3;1α,24R,25-(OH)3-D3;1α,25-(OH)2-26,27-F6-23-エン-D3;1α,25R-(OH)2-22-エン-26-F3-D3;1α,25S-(OH)2-22-エン-26-F3-D3;1α,25R-(OH)2-D3-26,26,26-d3;1α,25S-(OH)2-D3-26,26,26-d3;および1α,25R-(OH)2-22-エン-D3-26,26,26-d3が挙げられる。さらに別の具体例は、米国特許第6,521,608号(この特許文献の全開示内容は参照により本明細書中に組み込まれるものとする)中に見出すことができる。同様に、例えば、米国特許第6,503,893号、第6,482,812号、第6,441,207号、第6,410,523号、第6,399,797号、第6,392,071号、第6,376,480号、第6,372,926号、第6,372,731号、第6,359,152号、第6,329,357号、第6,326,503号、第6,310,226号、第6,288,249号、第6,281,249号、第6,277,837号、第6,218,430号、第6,207,656号、第6,197,982号、第6,127,559号、第6,103,709号、第6,080,878号、第6,075,015号、第6,072,062号、第6,043,385号、第6,017,908号、第6,017,907号、第6,013,814号、第5,994,332号、第5,976,784号、第5,972,917号、第5,945,410号、第5,939,406号、第5,936,105号、第5,932,565号、第5,929,056号、第5,919,986号、第5,905,074号、第5,883,271号、第5,880,113号、第5,877,168号、第5,872,140号、第5,847,173号、第5,843,927号、第5,840,938号、第5,830,885号、第5,824,811号、第5,811,562号、第5,786,347号、第5,767,111号、第5,756,733号、第5,716,945号、第5,710,142号、第5,700,791号、第5,665,716号、第5,663,157号、第5,637,742号、第5,612,325号、第5,589,471号、第5,585,368号、第5,583,125号、第5,565,589号、第5,565,442号、第5,554,599号、第5,545,633号、第5,532,228号、第5,508,392号、第5,508,274号、第5,478,955号、第5,457,217号、第5,447,924号、第5,446,034号、第5,414,098号、第5,403,940号、第5,384,313号、第5,374,629号、第5,373,004号、第5,371,249号、第5,430,196号、第5,260,290号、第5,393,749号、第5,395,830号、第5,250,523号、第5,247,104号、第5,397,775号、第5,194,431号、第5,281,731号、第5,254,538号、第5,232,836号、第5,185,150号、第5,321,018号、第5,086,191号、第5,036,061号、第5,030,772号、第5,246,925号、第4,973,584号、第5,354,744号、第4,927,815号、第4,804,502号、第4,857,518号、第4,851,401号、第4,851,400号、第4,847,012号、第4,755,329号、第4,940,700号、第4,619,920号、第4,594,192号、第4,588,716号、第4,564,474号、第4,552,698号、第4,588,528号、第4,719,204号、第4,719,205号、第4,689,180号、第4,505,906号、第4,769,181号、第4,502,991号、第4,481,198号、第4,448,726号、第4,448,721号、第4,428,946号、第4,411,833号、第4,367,177号、第4,336,193号、第4,360,472号、第4,360,471号、第4,307,231号、第4,307,025号、第4,358,406号、第4,305,880号、第4,279,826号、および第4,248,791号(これらの文献各々の全開示内容は参照により本明細書中に組み込まれるものとする)も参照されたい。
利用しうるさらに別の化合物としては、米国特許第6,218,430号および国際公開公報第2005/037755号(これらの文献各々の全開示内容は参照により本明細書中に組み込まれるものとする)により開示されているビス-アリール誘導体などのビタミンD模倣物が挙げられる。本発明のための非セコステロイド性ビタミンD模倣化合物のさらなる具体例は、米国特許第6,831,106号;第6,706,725号;第6,689,922号;第6,548,715号;第6,288,249号;第6,184,422号、第6,017,907号、第6,858,595号、および第6,358,939号(各文献の全開示内容は、参照により本明細書中に組み込まれるものとする)中に見出すことができる。
利用しうるさらに他の適切なビタミンD3の類似体、代謝産物、および/または誘導体としては、米国特許出願公開第2006/0177374号(その全開示内容は参照により本明細書中に組み込まれるものとする)において同定されているものが挙げられる。
「ビタミンD類似体」という用語には、構造および機能の点でビタミンDと類似した化合物が含まれる。ある実施形態では、該ビタミンD類似体は、ビタミンD3類似体(例えば、構造および機能の点でビタミンD3と類似した化合物)である。
「ビタミンD代謝産物」という用語には、ビタミンDの代謝に関連する中間体および生成物である化合物が含まれる。ある実施形態では、該ビタミンD代謝産物はビタミンD3代謝産物(例えば、ビタミンD3の代謝に関連する中間体または生成物である化合物)である。
「ビタミンD誘導体」という用語には、親化合物(例えば、ビタミンD)から、1個の原子と別の原子または原子団との置き換えにより生じうる化合物が含まれる。ある実施形態では、該ビタミンD誘導体は、ビタミンD3誘導体(例えば、ビタミンD3から1個の原子と別の原子または原子団との置き換えにより生じうる化合物)である。
「ビタミンD模倣物」という用語には、生物学的過程においてビタミンDを化学的に模倣しうる化合物が含まれる。ある実施形態では、該ビタミンD模倣物はビタミンD3模倣物(例えば、生物学的過程においてビタミンD3を化学的に模倣する化合物)である。
ビタミンD3は魚肝油または照射酵母の摂取後に吸収される。植物性および動物性の供給源は、不活性なビタミンD前駆体である7-デヒドロコレステロールまたはエルゴステロールのみを含有している。7-デヒドロコレステロールは皮膚に貯蔵されており、日光によりビタミンD3へと転換される。しかし、摂取されたものであろうと紫外線照射により皮膚内に形成されたものであろうと、ビタミンDは活性代謝産物へと変換されなければならない。ビタミンD3は肝酵素により25-ヒドロキシコレカルシフェロールに転換される。その後、腎臓で2種の化合物1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールおよび24,25-ジヒドロキシコレカルシフェロールが形成される。ビタミンDの活性代謝産物は、腸管からのカルシウムの吸収、骨沈着および骨再吸収において重要な役割を果たしている。
本発明のビタミンD化合物は、例えば正常な角化細胞(例えば、HEKa)において特定の標的遺伝子の発現をアップ-またはダウン-レギュレートするそれらの能力を一部介して、角化細胞においてアポトーシスを阻止する能力などの特定の共通する生物学的活性を共有している。このため、ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、例えば正常な角化細胞(例えば、HEKa)において、当量のカルシトリオールと同様または同一の遺伝子調節プロファイルを呈することがある。
本明細書中で使用する場合、「当量(equivalent amount)」には、複数のビタミンD化合物が実質的に同一のモル量で実質的に同一であるかまたは等しい生物学的または治療的活性を有する場合のこの同一モル量が含まれる。しかし、異なるビタミンD化合物が生物学的または治療的活性の点で実質的に同一ではないかまたは等しくない場合は、「当量」という用語には標準ビタミンD化合物(例えば、カルシトリオール)と比較して実質的に同一の量の生物学的または治療的活性を与えるビタミンD化合物の量が含まれる。
「遺伝子調節プロファイル」という用語には、適当な対照と比較して統計上有意に(例えば、p<0.05)モジュレートされる(例えば、アップ-またはダウン-レギュレートされる)遺伝子の一覧またはスペクトルが含まれる。例えば、細胞をビタミンD化合物と所定の期間(例えば、24時間)接触させると、標的細胞は、偽(mock)/ビヒクル-処理対照と比較してそのmRNAまたはタンパク質の発現レベルがモジュレートされる(例えばアップ-またはダウン-レギュレートされる)遺伝子のスペクトルを示すことがある。検出の時点でモジュレートされている(例えば、アップ-またはダウン-レギュレートされている)遺伝子の一覧は、その特定の瞬間における細胞の遺伝子発現プロファイルのスナップショットとなる。
「同様の遺伝子調節プロファイル」という用語には、調べた標的遺伝子の総数のうち50%、60%、70%、80%、90%より多いかまたはそれ以上の該標的遺伝子が実質的に同一方向の遺伝子発現を呈する(例えば、各遺伝子におけるアップ-またはダウン-レギュレーションの規模または程度は異なる場合があるものの、いずれもアップ-レギュレートされるか、またはいずれもダウン-レギュレートされる)という状況が含まれる。
「同一の遺伝子調節プロファイル」という用語には、調べた標的遺伝子の殆ど全てが同一方向の遺伝子発現を呈する(各遺伝子におけるアップ-またはダウン-レギュレーションの規模または程度は異なる場合があるものの、いずれもアップ-レギュレートされるか、またはいずれもダウン-レギュレートされる)という状況が含まれる。
ある実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、その発現レベルが当量の標準ビタミンD化合物(例えば、カルシトリオール)により促進される1つ以上の標的遺伝子の発現を促進する。他の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、その発現レベルが当量の標準ビタミンD化合物(例えば、カルシトリオール)により抑制される1つ以上の遺伝子の発現を抑制する。
ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、正常な角化細胞においてタンパク質の発現をモジュレートしうる。「タンパク質の発現をモジュレートする」という用語には、正常な角化細胞におけるタンパク質のアップ-レギュレーションおよびダウン-レギュレーションが含まれる。幾つかの実施形態では、該ビタミンD化合物はHSPA2、HSF4 mRNA、HSPB1またはDNAJC6のmRNAの発現をモジュレートする。例えば、幾つかの実施形態では、該ビタミンD化合物は、正常な角化細胞(例えば、HEKa)においてHSPA2もしくはHSF4 mRNAの発現をアップ-レギュレートし、かつ/またはHSPB1もしくはDNAJC6 mRNAの発現をダウン-レギュレートする。
ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、正常な角化細胞においてSLC1A1、KCNB2、KCNN4タンパク質またはSLC1A3タンパク質の発現をモジュレートする。幾つかの実施形態では、該ビタミンD化合物は、正常な角化細胞(例えば、HEKa)においてSLC1A1、KCNB2、もしくはKCNN4タンパク質の発現をアップ-レギュレートし、かつ/またはSLC1A3タンパク質の発現をダウン-レギュレートしうる。
ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、表3-1および表3-2中の1つ以上のタンパク質をモジュレートしうる。例えば、ある実施形態では、該ビタミンD化合物は、例えば正常な角化細胞(例えば、HEKa)において、表3-1中の1つ以上のタンパク質の発現を少なくとも約2倍アップ-レギュレートし、かつ/または表3-2中の1つ以上のタンパク質の発現を少なくとも約2倍ダウン-レギュレートしうる。
ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、該ビタミンD化合物に正常な角化細胞(例えば、HEKa)を約24時間曝露した後に、表3-3、3-4、3-5または3-6のいずれか1つに記載の1つ以上のタンパク質の過剰発現を誘導しうる。
ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、正常な角化細胞(例えば、HEKa)において以下:GST、ケラチン1、ケラチン17、ガレクチン1、S100 A9(カルプロテクチン)、またはS100 A13のうちの1つ以上の過剰発現を誘導しうる。
本明細書中で使用する場合、「アルキル」という用語には、1〜20個の炭素原子、例えば、1〜7個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含む完全に飽和した分岐または非分岐(例えば、直鎖状もしくは線状)の炭化水素部分が含まれる。アルキル部分の代表例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチルが挙げられる。
さらに、「アルキル」という用語には、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の両方が含まれる。アルキル部分に対する置換基の代表例は、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンまたはアミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ)である。
本明細書中で使用する場合、「アルコキシ」という用語には、アルキルが本明細書中で先に定義したものであるアルキル-O-が含まれる。アルコキシ部分の代表例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ-、シクロヘキシルオキシ-などが挙げられる。幾つかの実施形態では、アルコキシ基は約1〜7個の炭素、例えば1〜4個の炭素を有する。アルコキシという用語には、置換アルコキシが含まれる。置換アルコキシ基の具体例としてはハロゲン化アルコキシ基が挙げられる。ハロゲン置換アルコキシ基の具体例は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシである。
「アルコキシアルキル」という用語には、先に定義したアルキル基であって、そのアルキル基がアルコキシで置換されているものが含まれる。さらに、「アルコキシアルキル」という用語には、「非置換アルコキシアルキル」と「置換アルコキシアルキル」の両方が含まれる。アルコキシアルキル部分に対する置換基の代表例としては、限定するものではないが、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンまたはアミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ)が挙げられる。
「アルケニル」という用語には、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する分岐または非分岐の炭化水素が含まれる。アルケニル部分の代表例としては、限定するものではないが、ビニル、プロパ-1-エニル、アリル、ブテニル、イソプロペニルまたはイソブテニルが挙げられる。さらに、「アルケニル」という用語には、「非置換アルケニル」と「置換アルケニル」の両方が含まれる。アルケニル部分に対する置換基の代表例としては、限定するものではないが、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンまたはアミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ)が挙げらっれる。
「アルキニル」という用語には、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する分岐または非分岐の炭化水素が含まれる。アルキニル部分の代表例としては、限定するものではないが、エチニル、プロパ-1-イニル(プロパルギル)、ブチニル、イソプロピニルまたはイソブチニルが挙げられる。さらに、「アルキニル」という用語には、「非置換アルキニル」と「置換アルキニル」の両方が含まれる。アルキニル部分に対する置換基の代表例としては、限定するものではないが、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンまたはアミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ)が挙げられる。
本明細書中で使用する場合、「シクロアルキル」という用語には、3〜12個の炭素原子、例えば、3〜8個、または3〜7個の炭素原子を持つ飽和または不飽和の単環式、二環式または三環式炭化水素基が含まれる。典型的な単環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。典型的な二環式炭化水素基としては、例えば、ボルニル、インジル、ヘキサヒドロインジル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6-ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、および2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。三環式炭化水素基の具体例としては、例えば、アダマンチルが挙げられる。
「シクロアルキル」という用語には、「非置換シクロアルキル」と「置換シクロアルキル」の両方が含まれる。シクロアルキル部分に対する置換基の代表例としては、限定するものではないが、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンまたはアミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ)が挙げられる。
「アリール」という用語には、環部分に6〜20個の炭素原子を有する単環式または二環式の芳香族炭化水素基が含まれる。アリール部分の代表例としては、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、アントラシル、フェナントリルまたはテトラヒドロナフチルが挙げられる。さらに、「アリール」という用語には、「非置換アリール」と「置換アリール」の両方が含まれる。アリール部分に対する置換基の代表例としては、限定するものではないが、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロゲンまたはアミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ)が挙げられる。
「ヘテロアリール」という用語には、炭素原子およびO、NまたはSから選択される1〜5個のヘテロ原子から選択される5〜10個の環員を含有する単環式または二環式のヘテロアリール部分が含まれる。ヘテロアリール基の具体例としては、限定するものではないが、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサ-2,3-ジアゾリル、オキサ-2,4-ジアゾリル、オキサ-2,5-ジアゾリル、オキサ-3,4-ジアゾリル、チア-2,3-ジアゾリル、チア-2,4-ジアゾリル、チア-2,5-ジアゾリル、チア-3,4-ジアゾリル、3-,4-,または5-イソチアゾリル、2-,4-,または5-オキサゾリル、3-,4-,または5-イソキサゾリル、3-または5-1,2,4-トリアゾリル、4-または5-1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、2-,3-,または4-ピリジル、3-または4-ピリダジニル、3-,4-,または5-ピラジニル、2-ピラジニル、2-,4-,または5-ピリミジニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式、または多環式でありうる。
「ヘテロアリール」という用語にはさらに、そのヘテロ芳香環が1個以上のアリール環、脂環式の環、またはヘテロシクリル環と縮合している基であって、結合の基または位置がヘテロ芳香環上または縮合アリール環上にある基が含まれる。かかるヘテロアリール部分の代表例としては、限定するものではないが、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、ベンズイソキノリニル、チエノ[2,3-b]フラニル、フロ[3,2-b]-ピラニル、5H-ピリド[2,3-d]-o-オキサジニル、1H-ピラゾロ[4,3-d]-オキサゾリル、4H-イミダゾ[4,5-d]チアゾリル、ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニル、7-ベンゾ[b]チエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキセピニル、ベンゾオキサジニル、1H-ピロロ[1,2-b][2]ベンゾアゼピニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-b]ピリジニル、イミダゾ[4,5-b]ピリジニル、イミダゾ[4,5-c]ピリジニル、ピラゾロ[4,3-d]ピリジニル、ピラゾロ[4,3-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-d]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-b]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル、ピロロ[1,2-b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2-c]ピリミジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[4,3-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピリド[2,3-d]ピリミジニル、ピリド[2,3-b]ピラジニル、ピリド[3,4-b]ピラジニル、ピリミド[5,4-d]ピリミジニル、ピラジノ[2,3-b]ピラジニル、またはピリミド[4,5-d]ピリミジニルが挙げられる。さらに、「ヘテロアリール」という用語には、「非置換ヘテロアリール」と「置換ヘテロアリール」の両方が含まれる。
「アリール」または「ヘテロアリール」基の芳香環は、置換されていないものでも、または1ヶ所以上の環の位置において、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、ヘテロシクリルアルキルオキシ、ケトン(例えば、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アロイル、アリールアルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル)、エステル(例えば、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、ヘテロシクリルカルボニルオキシ)、カーボネート(例えば、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ヘテロアリールオキシカルボニルオキシ)、カルバメート(例えば、アルコキシカルボキシルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルキニルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ-アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ)、カルバモイル(例えば、アルキルアミノカルボニル、ジ-アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル)、アミド(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアルキルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ)、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、ジ-アリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、スルホニル(例えば、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルコキシスルホニル、アリールオキシスルホニル、ヘテロアリールオキシスルホニル、シクロアルキルスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル)、スルファモイル、スルホンアミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、チオエーテル(例えば、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ)、ウレイド、イミノ、アミジノ、チオカルボキシル(例えば、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル)、スルフィニル(例えば、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル)、カルボキシルを含む置換基で置換されているものでもよく、ここで上記の各炭化水素基は1個以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されていてもよい。
本明細書中で使用する場合、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロ」という用語には、例えば、4-、5-、6-、もしくは7-員の単環式、7-、8-、9-、10-、11-、もしくは12-員の二環式または10-、11-、12-、13-、14-もしくは15-員の三環式の環系であってかつO、SおよびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有しており、そのNおよびSが様々な酸化状態に酸化されていてもよい、無置換のまたは置換されている飽和または不飽和の非芳香族の環または環系が含まれる。ある実施形態では、ヘテロシクリル部分は、5〜7個の環原子を含有し、かつO、SまたはNから選択されるさらなるヘテロ原子を含有していてもよい飽和単環式の環である。複素環基がヘテロ原子または炭素原子に結合していてもよい。ヘテロシクリルとしては、縮合または架橋した複数の環ならびにスピロ環式の環を挙げることができる。ヘテロシクリル部分の具体例としては、例えば、ジヒドロフラニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、ジチアニル、ピペラジニル、ピロリジン、ジヒドロピラニル、オキサチオラニル、ジチオラン、オキサチアニル、チオモルホリノ、オキシラニル、アジリジニル、オキセタニル、オキセパニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、アゼピニル、オキサピニル、オキサゼパニル、オキサチアニル、チエパニル、アゼパニル、ジオキセパニル、およびジアゼパニルが挙げられる。
「ヘテロシクリル」という用語には、1、2または3個の置換基、例えば、=O、=S、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、ヘテロシクリルアルキルオキシ、ケトン(例えば、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アロイル、アリールアルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル)、エステル(例えば、アルコキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、シクロアルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、ヘテロシクリルカルボニルオキシ)、カーボネート(例えば、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、ヘテロアリールオキシカルボニルオキシ)、カルバメート(例えば、アルコキシカルボキシルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルキニルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ)、カルバモイル(例えば、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル)、アミド(例えば、アルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアルキルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ)、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アミノ(例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノ)、スルホニル(例えば、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルコキシスルホニル、アリールオキシスルホニル、ヘテロアリールオキシスルホニル、シクロアルキルスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル)、スルファモイル、スルホンアミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィナート、チオエーテル(例えば、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ)、ウレイド、イミノ、アミジノ、チオカルボキシル(例えば、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル)、スルフィニル(例えば、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル)、カルボキシルで置換されていてもよい本明細書中で定義した複素環基が含まれ、ここで上記の各炭化水素基は1個以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されていてもよい。
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルで置換されたアルキルである。該用語には、1個以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシ基で置換されていてもよい無置換のおよび置換されたヘテロシクリルアルキル部分が含まれる。
「カルボニル」または「カルボキシ」という用語には、酸素原子に二重結合で連結された炭素(C=O)を含有する化合物および部分が含まれる。カルボニルはさらに、本発明の化合物がその意図された機能を果たすことを可能にする任意の部分で置換されていてもよい。例えば、カルボニル部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノなどで置換されていてもよい。カルボニルを含有する部分の具体例としては、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、尿素、無水物などが挙げられる。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、-OHまたは-O-を持つ基が含まれる。
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などが含まれる。
「過ハロゲン化」という用語には、全ての水素がハロゲン原子に置き換えられている部分が含まれる。
本発明のビタミンD化合物、またはそれらの製薬上許容しうる塩、溶媒和物またはそのプロドラッグは1つ以上の不斉中心を含有していてもよく、またそれ故に、絶対立体化学の観点から(R)-もしくは(S)-またはアミノ酸に関しては(D)-もしくは(L)-と定義されうるエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形態を生じていてもよい。本発明は、全てのこうした存在しうる異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むものとする。光学的に活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製してもよいし、またはキラルカラムを使用するHPLCなどの従来技術を利用して分割してもよい。本明細書中に記載した化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有している場合であって、かつ特に指定しない限り、該化合物はE体とZ体両方の幾何異性体を含むものとする。同様に、全ての互変異性体もまた組み込まれるものとする。
「立体異性体」という用語には、同一の結合により結合しているが異なる三次元構造を有する同一原子で構成されている、互換性のない化合物が含まれる。本発明は様々な立体異性体およびその混合物を意図したものであり、その分子が互いに重ね合わせることのできない鏡像である2種の立体異性体を指すエナンチオマーを含む。
本発明は、1個以上の原子が、同じ原子番号を有するがその原子質量または質量数は通常自然界に見られる原子質量または質量数と異なっている原子で置き換えられている、全ての製薬上許容しうる同位体標識ビタミンD化合物を含む。
本発明の化合物に含めるのに適した同位体の具体例には、水素の同位体(例えば、2Hおよび3H)、炭素の同位体(例えば、11C、13Cおよび14C)、塩素の同位体(例えば36Cl)、フッ素の同位体(例えば18F)、ヨウ素の同位体(例えば、123Iおよび125I)、窒素の同位体(例えば、13Nおよび15N)、酸素の同位体(例えば、15O、17Oおよび18O)、リンの同位体(例えば32P)、ならびに硫黄の同位体(例えば35S)が含まれる。重水素、すなわち2Hなどのより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性がもたらす幾つかの治療上の利点、例えば、延長されたin vivo 半減期または軽減された投薬要件を提供しうる。同位体標識ビタミンD化合物は通常、これまで用いられてきた非標識試薬の代わりに適当な同位体標識試薬を使用して、当業者に公知の従来技術により調製することができる。
「プロドラッグ」という用語には、生理的条件下で、または加溶媒分解により、本発明の生物学的に活性な化合物へと転換されうる化合物が含まれる。従って、「プロドラッグ」という用語は、本発明の化合物の製薬上許容しうる代謝前駆体を指す。プロドラッグは、該プロドラッグを必要とする被験体に投与された時点では不活性な場合もあるが、in vivoで本発明の活性化合物へと転換される。プロドラッグは、典型的には、例えば血中での加水分解または消化管もしくは肝臓における転換により、in vivoで速やかに転換されて本発明の親化合物を生じる。このプロドラッグ化合物は多くの場合、哺乳綱の生物において溶解度、組織適合性または遅延放出という利点を提供する(Bundgard, H., Design of Prodrugs (1985)、pp. 7-9, 21-24 (Elsevier, Amsterdam)を参照されたい)。
プロドラッグについての考察は、Higuchi, T.,ら、“Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” A.C.S. Symposium Series, Vol. 14、およびBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, Anglican Pharmaceutical Association arid Pergamon Press, 1987に記載されている。
「製薬上許容しうる塩」としては、酸付加塩と塩基付加塩の両方が挙げられる。「製薬上許容しうる酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的な有効性および特性を保持しており、生物学的にも他の面でも望ましくないものではなく、かつ無機酸(例えば、限定するものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)、および有機酸(例えば、限定するものではないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、カンフル酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸など)を用いて形成される塩を指す。
「製薬上許容しうる塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的な効果および特性を保持しており、生物学的にも他の面でも望ましくないものではない塩を指す。これらの塩は、遊離酸への無機塩基または有機塩基の付加により調製する。無機塩基由来の塩としては、限定するものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などが挙げられる。好適な無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩である。有機塩基由来の塩としては、限定するものではないが、第一級、第二級、および第三級アミンの塩、天然の置換アミンを含む置換アミンの塩、環状アミンの塩ならびに塩基性イオン交換樹脂(例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など)の塩が挙げられる。
結晶化により本発明の化合物の溶媒和物が生じることが多い。本明細書中で使用する場合、「溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子と共に本発明の化合物の分子を1つ以上含む凝集体を指す。溶媒は水であってもよく、この場合の溶媒和物は水和物である。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。つまり、本発明の化合物は、水和物(例えば、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物など)、ならびに対応する溶媒和形態として存在することができる。本発明の化合物は真の溶媒和物でありうるが、他の場合では、本発明の化合物は偶然存在した水または水と偶然存在した多少の溶媒との混合物を保持しているだけという可能性がある。
一態様において、本発明は、局所投与用に適合され且つ本発明の態様及び実施形態の1つ以上に従って化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を提供する
「医薬組成物」という用語には、本発明の化合物(例えば、ビタミンD化合物)と、該ビタミンD化合物を個体へ送達するための当分野で一般に受け入れられている媒体との製剤が含まれる。かかる媒体としては、全ての製薬上許容しうるその担体、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
幾つかの実施形態では、本発明の組成物を任意の上皮表面に局所的に投与することができる。「上皮表面」としては、身体の外面を覆うか、または皮膚および粘膜の表面を含むがこれらに限定されない中空構造に沿って存在する組織面が挙げられる。かかる上皮表面としては、口、咽頭、食道、肺、目、耳、鼻、頬、舌、膣、首、泌尿生殖器、消化管(alimentary)、および肛門直腸の表面が挙げられる。
組成物は、局所投与の際に用いられる慣用の様々な形態に製剤化することができる。これらの形態としては、例えば、半固体および液体の投薬形態、例えば溶液または懸濁液、ゲル、クリーム、エマルション、ローション、スラリー、散剤、噴霧剤、発泡剤、パスタ剤、軟膏、ろう膏、香膏、または滴剤が挙げられる。
局所適用のために慣用の担体としては、ペクチン、ゼラチンおよびその誘導体、ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸のポリマーまたはそのコポリマー、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、もしくは酸化セルロース)、グアーガム、アカシアガム、カラヤガム、トラガカントガム、ベントナイト、寒天、カルボマー、褐藻(bladderwrack)、セラトニア、デキストランおよびその誘導体、ガハッチガム、ヘクトライト、イスパキュラハスク、ポリビニルピロリドン、シリカおよびその誘導体、キサンタンガム、カオリン、タルク、デンプンおよびその誘導体、パラフィン、水、植物油および動物油、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール(グリコール類、アルコール類)、不揮発性油、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、マグネシウムまたはカルシウムの塩(例えば、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、グルセプテートもしくは酒石酸塩)が挙げられる。
薬物の持続時間と滞留時間を向上させるため、そして達成される予防的効力を改善するために、局所用薬剤のための標準的な配合方法を前記ビタミンD化合物に適用することができる。
また、局所用経皮パッチを使用することもできる。経皮パッチは、身体への本発明の組成物の制御送達を提供するという追加の利点を有する。かかる投薬形態は、適切な媒体中に薬剤を溶解または分散させることにより作製することができる。
散剤および噴霧剤には、前記ビタミンD化合物の他に、担体、例えば、ラクトース、タルク、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有させることができる。噴霧剤にはさらに、慣用の噴射剤、例えば、クロロフルオロハイドロカーボンおよび揮発性非置換炭化水素類、例えばブタンおよびプロパンを含有させることができる。噴霧剤は保存、販売、及び/又は定量噴霧ボトルを使用して投与できる。
通常、水性エアゾールは、前記ビタミンD化合物の水溶液または懸濁液を従来の製薬上許容しうる担体および安定剤と一緒に製剤化することにより作製する。担体および安定剤は個々の化合物の要件によって異なるが、典型的には例として、非イオン性界面活性剤(例えば、ツイーン(Tweens)、プルロニック(Pluronics)、ポリエチレングリコールなど)、血清アルブミンなどのタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩、糖または糖アルコールが挙げられる。一般に、エアゾールは等張液から調製する。本発明のエアゾールまたは任意の他の送達手段の作成は、当分野で公知の方法のいずれかにより行うことができる。例えば、エアゾール送達の場合、前記化合物を、任意の適切な担体と一緒に微粉化した形態で噴射剤と共に供給する。
液化噴射剤は、典型的には周囲条件で気体であって、これが加圧下で凝縮したものである。該噴射剤は、プロパンおよびブタン、または他の低級アルカン(例えば、最大で5個の炭素を持つもの)を含む、当分野で許容されかつ公知のものであればよい。前記組成物は適当な噴射剤とバルブを備えた容器内に保持され、該バルブの動作により放出されるまで高圧下で維持される。
ある実施形態では、前記ビタミンD化合物を予防的に投与することができる。予防的用途の場合、前記ビタミンD化合物を潜在的な脱毛症に先立って適用することができる。その適用時期を最適化することにより、前記ビタミンD化合物の予防的有効性を最大限に高めることができる。該適用時期は、投与の様式、投与量、組成物の安定性および有効性、投薬の頻度(例えば、単回適用または複数回の投薬)によって異なる。当業者であれば、前記ビタミンD化合物の予防的有効性を最大限に高めるのに要する最も適当な時間間隔を決定することができるであろう。
前記ビタミンD化合物は、組成物中に存在する場合、一般に総重量の約0.000001%〜約100%、より好ましくは約0.001%〜約50%、および最も好ましくは約0.01%〜約25%という量で存在する。
担体を含む本発明の組成物の場合、該組成物は、例えば、少なくとも1種の担体を約1重量%〜約99重量%、好ましくは約50重量%〜約99重量%、および最も好ましくは約75重量%〜約99重量%含む。
また、本発明の組成物の個々の構成要素は予め混合しておいてもよいし、または治療構成要素の所望の濃度レベルを達成する目的で、かつ該構成要素が最終的に互いに密に混ざり合う限りは、予め決めておいた投薬量に応じて各構成要素を同一環境に別々に加えてもよい。さらに、本発明を連続的または断続的に投与または送達してもよい。
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、水をベースにした製剤ではない。
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水エタノールからなる媒体中にビタミンD化合物を含む。
幾つかの実施形態では、医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水純エタノール(米国式で200proof)からなるか、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコール又はトランスクトール、及び約60%(w/w)の無水純エタノール(米国式で200proof)からなる媒体中にビタミンD化合物を含む。
ある実施形態では、前記製剤は、約40%(w/w)のプロピレングリコールおよび約60%(w/w)の無水アブソルートエタノール(200プルーフ、US)中に、場合によっては他の少量の製薬上許容しうる賦形剤、担体、または希釈剤(例えば、約0.4%(w/v)のホスホリポン(Phospholipon)90G)と共に製剤化された前記ビタミンD活性成分を含む。別の実施形態では、前記製剤は、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコールまたはトランスクトール、および約60%(w/w)の無水アブソルートエタノール(200プルーフ、US)中に、場合によっては他の少量の製薬上許容しうる賦形剤、担体、または希釈剤(例えば、約0.4%(w/v)のホスホリポン90G)と共に製剤化されたビタミンD活性成分を含む。幾つかの実施形態では、エタノールは無水アブソルート200プルーフ(U.S.)の未変性エタノール(米国薬局方)である。本明細書中に記載した製剤は、前記活性ビタミンD化合物の一定レベルの皮膚への浸透および送達を提供し、かつ脱毛症を予防するかまたは脱毛症、特に化学療法誘発性脱毛症(CIA)の重症度を軽減するための有効な手段を提供する。
ある特定の実施形態では、前記医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール(米国薬局方グレード)および約60%(w/w)の無水アブソルートエタノール(200プルーフ、US)、未変性、米国薬局方、を含む。
幾つかの実施形態では、前記医薬組成物は、約40%(w/w)のプロピレングリコール(例えば、米国薬局方グレードのものかまたはより高品質のもの)、および約60%(w/w)の無水アブソルートエタノール(200プルーフ、US)、未変性(例えば、米国薬局方グレードのものかまたはより高品質のもの)を含む。
他の実施形態では、前記医薬組成物は、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコールまたはトランスクトール、および約60%(w/w)の無水アブソルートエタノール(200プルーフ、U.S.)を含む。
さらに別の実施形態では、前記医薬組成物は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1%のホスホリポン(例えば、ホスホリポン90G)を含む。
他の実施形態では、プロピレングリコールおよび/または無水アブソルートエタノールの正確なパーセンテージ(w/w)を、前記の40%:60%比に基づいて変更してもよい。例えば、プロピレングリコールと無水アブソルートエタノールとの%比を、20:80;25:75;30:70;35:65;36:64;37:63;38:62;39:61;41:59;42:58;43:57;44:56;45:55などどしてもよい。かかる他の製剤の有効性は、当分野で承認されている技術、例えば実施例Iに記載した手順を使用して検証することができる。
ある特定の実施形態では、前記製剤中の無水アブソルートエタノールを95%エタノール、96%エタノール、97%エタノール、98%エタノール、または99%エタノールと置き換えてもよい。
ある特定の実施形態では、前記医薬組成物はさらに微量の他の不活性成分、賦形剤、または構成要素を含んでいてもよい。かかる成分の存在が前記ビタミンD化合物の有効性またはその皮膚浸透/蓄積挙動に実質的に影響を及ぼすことはない。
本発明のビタミンD化合物は、真皮層には実質的に浸透させることなく表皮に送達する目的で製剤化される。Roche Dermatologyにより開発された以前の別の製剤は、1回の適用につき約500〜1000μgという投与量で使用した場合にCIAから保護する効果はなく、また第I相試験ではヒト被験体の大多数において皮膚炎を引き起こした。Rocheのこの同一製剤はラット緑色白血病モデル(後掲)においても有効ではなかった。
本発明の代表的な製剤の1つは、以下の(非限定的)手順に従って調製することができる:
処方II:カルシトリオール5、10及び20μg/g
処方IIは、以下の実施例17、4.0 治療/診断薬において説明するプロトコルの通りに調製した。
Figure 0006608810
処方IIIは次のように調製する:カルシトリオールをエタノールに溶解させる;次に、プロピレングリコールを加え、得られた溶液が見た目に透明で均一となるまで混合する。上記製剤の比重はおよそ0.875 g/mLである。上記処方の目標濃度をw/vで表すと1.05μg/mLである。
Figure 0006608810
処方IVは次のように調製する:カルシトリオールをエタノールに溶解させる;次に、プロピレングリコールを加え、得られた溶液が見た目に透明で均一となるまで混合する。上記製剤の比重はおよそ0.875 g/mLである。上記処方の目標濃度をw/vで表すと3.15μg/mLである。
使用した試薬は全て、米国薬局方グレードの試薬(米国薬局方の要件を満たすもの)である。
本発明の製剤を使用する場合、約0.2μchgという投薬量(2μg/mLの局所用溶液を100μL投与する)は新生仔ラットにおいてCIAから保護する。この情報を元に、当業者であれば治療する哺乳動物の平均体重に基づいて適当な投薬レベルを容易に調整することができる。例えば、ヒト被験体に、総投与量約2.5μg、5μg、10μg、20μg、25μg、40μg、50μg、60μg、70μg、75μg、80μg、90μg、または100μgのカルシトリオール(もしくは他の当量のビタミンD化合物)を使用してもよい。一つの実施形態では、カルシトリオールの総投与量は約11〜24μg、26〜49μg、51〜74μg、または76〜99μgである。別の実施形態では、カルシトリオールの総投与量は約15〜25μg、16〜24μg、17〜23μg、18〜22μg、19〜21μg、31〜49μg、32〜48μg、33〜47μg、34〜46μg、35〜45μg、36〜44μg、37〜43μg、38〜42μg、39〜41μg、51〜69μg、52〜68μg、53〜67μg、54〜66μg、55〜65μg、56〜64μg、57〜63μg、58〜62μg、59〜61μg、65〜74μg、66〜73μg、67〜72μg、68〜71μg、69〜70μg、76〜85μg、77〜84μg、78〜83μg、79〜82μg、80〜81μg、81〜99μg、82〜98μg、83〜97μg、84〜96μg、85〜95μg、86〜94μg、87〜93μg、88〜92μg、または89〜91μgである。予備的な動物毒性試験により、約100μgという投与量は皮膚刺激を与えず、かつ実質的な真皮への浸透を伴うことなく(例えば、極端に低い真皮への浸透率)表皮への優れた浸透を呈することが示されている。追加の投薬情報については上記の説明を参照されたい。
一態様において、本発明は、局所投与用に適合され且つ化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物、及び本発明の態様及び実施形態の1つ以上に従って化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法を実施するための説明書を含むキットを提供する。
説明書は、書面形式又は口頭形式で、例えばヘルスケア提供者または営利主体によって紙面または電子メディアを介して提供することができる。説明書は、承認(FDAまたは他の規制当局の承認)資料または処方情報およびその主要部または要約を含むことができる。説明書は、適用内使用及び適用外使用のいずれにも関連するものを含む、研究論文、教科書および教科書の章/項、パンフレット、医薬品ラベルおよび補足ラベル、臨床研究プロトコルを含むこともできる。
以下の実施例は本発明のある特定の態様を例示したものであって、いかなる点も限定するものではない。実施例を明確にしかつ例示する目的で詳細に記載したが、当業者であれば、本発明の真の範囲を逸脱することなくその形態および詳細に種々の変更を行いうることは理解されよう。本発明の様々な態様が上記の実施形態および特徴のいずれか1つ以上を含むことができるように、それらは以下の実施例の実施形態および特徴のいずれか1つ以上を組み込むこともできる。
実施例1.フランツのヒト皮膚有限用量モデル(Franz Human Skin Finite Dose Model)を使用したin vitroでのカルシトリオールの経皮吸収の評価
本実施例は、種々のカルシトリオール製剤の経皮吸収薬物動態を評価するために設計したものである。有限用量技術およびフランツ拡散セルを利用し、in vitroで、ヒト死体皮膚において吸収を測定した。このin vitro ヒト死体皮膚モデルは、局所的に適用した薬物の経皮吸収の研究および薬物動態の測定のための有益な手段であることが証明されている。該モデルでは、典型的なin vivo条件に適合する温度および湿度でヒト死体皮膚が維持される特別設計の拡散セルに取り付けた該皮膚を使用した。有限用量(例えば、4〜7 mg/cm2)の製剤を皮膚の外側の表面に適用し、該皮膚の内側の表面を浸したレセプター溶液における薬物の出現速度をモニタリングすることにより薬物吸収を測定した。その後、全吸収、吸収速度、ならびに皮膚における含有量を規定するデータをこのモデルにおいて正確に測定した。この方法には、in vivo 経皮吸収動態を正確に予測した歴史的前例がある。従って、このヒト皮膚に関するin vitro 有限用量モデルにより、カルシトリオールなどのビタミンD化合物、経皮吸収薬物動態の特性評価が可能となった。
本実験では、48時間の投与期間にわたるカルシトリオールの経皮吸収について、3人の死体皮膚ドナー各人に対し1製剤あたり3つの複製(replicate)皮膚片上で、カルシトリオールを含有する6種の製剤を試験した。投与適用後の事前に選択しておいた時点で、真皮レセプター溶液を全部取り出し、新しいレセプター溶液と取り換え、またアリコートをその後の分析のために取っておいた。さらに、角質層、表皮、および真皮を回収し、薬物含有量について評価した。これらの試料を、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によりカルシトリオール含有量について分析した。本実験で使用したプロトコルの簡単な説明を以下に記載する。
死後24〜48時間以内に入手した、皮膚病の明らかな徴候がないヒト死体体幹部の皮膚を本試験に使用した。この皮膚をダーマトームで採取し、低温保存し、さらに水不浸透性のプラスチック袋に密封してから、実験の日まで<-70℃で保存した。使用前に皮膚を〜37℃の水中で解凍し、次いで水道水ですすぐことにより、全ての付着血液または他の物質を表面から取り除いた。単一ドナーから得た皮膚を、静置型2.0 cm2 フランツ拡散セルに取り付けるには十分な大きさの、より小さな複数の断片に切り分けた。各製剤に対して1ドナーあたり3つの複製(replicates)を試験した。真皮側のチャンバーはリン酸緩衝等張食塩水(PBS)(pH 7.4±0.1)のレザバー溶液でその最大容量まで満たし、また表皮側のチャンバーは周囲実験室環境に曝しておいた。難水溶性化合物の水溶解度を増大させることが知られている非イオン性界面活性剤ボルポ(Volpo)(オレス-20)をPBSに加えてもよい。レザバー溶液中のボルポは、経皮吸収の際の拡散シンク条件を保証するものであり、また試験皮膚のバリア特性に影響を及ぼさないことが知られている。その後、真皮レザバー溶液が〜600 RPMで磁気的に撹拌されている拡散装置内に前記セルを置き、その温度を32.0±1.0℃という皮膚の表面温度が得られるように維持した。
各皮膚片の統合性を保証するために、試験品の適用前にトリチウム水に対するその浸透性を調べた。短い(0.5〜1時間)平衡期間の後、3H2O (NEN、Boston、MA、sp. Act. 〜0.5μCi/mL)を、露出した表面全体が覆われるように点滴器で皮膚の上面全体に層状に重ねた(およそ250〜500μL)。5分後、3H2O水層を除去した。30分でレザバー溶液を採集し、液体シンチレーション計測法により放射能含有量について分析した。3H2Oの吸収が1.56μL-equ/cm2未満の皮膚標本を条件に合うものとみなした。使用した皮膚サンプルは全て、約0.50μL-equ/cm2未満の3H2O吸収を示した(結果は示さず)。
用量投与およびサンプル採集:投与の直前に投与前サンプルを採取し、レザバー溶液を、0.2%のボルポ(オレス-20としても知られる、水溶液への薬物の混和性を確保するために使用される非イオン性界面活性剤)を含む0.1×PBSの新鮮な溶液と取り換えた。チムニーをフランツセルから取り外し、皮膚の表皮表面に十分アクセスできるようにした。その後、10μLの製剤/cm2を送達するよう設定された容積式ピペットを使用して、全ての製剤を皮膚片に適用した。この投与量を、該ピペットのテフロン(登録商標)チップを用いて表面に広げた。適用から5〜10分後に、フランツセルのチムニー部分を取り換えた。投与から事前に選択しておいた時間(6、12、24、および48時間)後に、レザバー溶液を全部除去し、新鮮なレザバー溶液と取り換え、また所定量のアリコートをその後の分析のためにとっておいた。
各ドナーから入手した単一皮膚片をセルに取り付け、該セルを投与はしないが皮膚から拡散する物質(内因性カルシトリオールである可能性がある)の出現について評価するために使用した。最後のサンプルを採集した後、皮膚表面を80:20のエタノール:水で2回洗浄(各量1.0 mL)することにより、該皮膚表面から未吸収の製剤を採集した。洗浄後、皮膚をチャンバーから取り出し、表皮と真皮に分けた。各層を80:20のエタノール:水で一晩抽出した。
カルシトリオールの定量は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。簡単に述べると、Agilent 1100シリーズLC/MSDを備えたHewlett-Packard 1100シリーズHPLCシステム上でHPLCを行った。A)水中0.1%の酢酸アンモニウムとB)メタノール中0.1%の酢酸アンモニウムからなる溶媒系を、Phenomenex Luna C18 (2)カラム(100A、3μ 100×4.6 mm)に流速0.550 mL/分で流した。ニート標準(neat standard)から連日作成した外部標準曲線を用いて、ピーク面積を濃度に定量化した。採集日に分析を行わなかったサンプルは-20℃以下で貯蔵した。
予備試験(pilot study)では、前記の6種の製剤グループからの単一製剤を、単一ドナーに対して約5μL/cm2の投与量で6つのチャンバーに投与した。レセプター溶液を0、2、4、8、12、24、32、および48時間で採集した。最後のレセプター溶液サンプル後、先に記載した通りに表面を洗浄して皮膚を分析のために採集した。全てのサンプルを処理し、カルシトリオール含有量について分析した。
ピボタル試験(pivotal study)の最終設計は、予備試験、特に、適用した投与量、レセプター溶液のサンプリングスケジュール、およびサンプルの処理方法に関して観察された結果に基づいて行った。これらの修正を行うことで、ピボタル試験サンプル中のカルシトリオールの検出および定量を最適化した。例えば、予備プロトコルではレザバーサンプルを2、4、8、12、24、32、および48時間で採取すると記載したが、予備試験後には、レザバーサンプル中のカルシトリオールのより良い検出レベルを促進するために該レザバーサンプルを6、12、24、および48時間で採取することに決めた。さらに、予備試験後に、2 cm2に20μLの投与(その際の投与量は10μL/cm2であった)はレザバー溶液サンプル中のカルシトリオールの検出を改善すると判断した。ただし、非投与チャンバーは1 cm2で保持した。以下のパラメータ:a)全吸収(全レザバー溶液の合計);b)全試験期間にわたる浸透の速度および程度;ならびにc)適用した投与量の物質収支、を算出した。データ評価の際、a)いずれかのサンプルが<LLQ (定量下限値)であったならば、そのサンプルは非データ値として扱ってもよい。放射性サンプル(例えば、水完全性試験(water integrity test))の場合、LLQを、事前に決定しておいたブランクサンプルの平均バックグラウンドと定義した。研究者の裁量で、LLQより小さい全ての値をゼロ値、または主要パラメータを算出する目的で測定した実測値とし;b)外れ値と疑われる値は、その値が残りの一連の複製チャンバーから得た同じ値の平均値±3SD範囲より大きいかどうかを確認するか、またはDeanおよびDixonの外れ値検定(Dean and Dixon Outlier test)により判断した。研究者の裁量で、外れ値とした値をデータの総合計から除外し(ただし、文中およびデータ表中にはそういうものとして記載した);c)あるチャンバー内で、所与の時点の値が非データ値とされたかまたは他の理由で欠損していた場合、この時点の値を補間値に置き換えることで関連パラメータを算出した。補間値は、以下の隣接値:
・所与の3点:(T1,A)、(T2,B)および(T3,C)、(B)は欠損、
・ここでT = 時間およびA〜C = 測定されたデータ値
・推定されるB = A - [((A-C)/|T1-T3|)×(|T1-T2|)]
を結ぶ線を基に算出した。
統計的評価のために、ドナー間の反復試験結果(replicates)を平均化し、各主要パラメータについて標準偏差を算出した。その後、ドナー間平均値を順に並べ、ドナー全体の母平均を標準誤差と併せて算出した。試験物質間の差はスチューデントのt検定を用いて評価した。
このプロトコルを使用して、以下の試験製剤:
・A:(1 ppm):100 ppmのカルシトリオール濃縮物(ロット番号H、下記参照)0.2 mL(1%(w/v))を200プルーフのエタノール(1μg/mL)19.8 mL(99%(w/v))に溶解させたもの
・B (1 ppm):最初に、100 ppmのカルシトリオール濃縮物(ロット番号H、下記参照)0.2 mL(1%(w/v))を200プルーフのエタノール11.8 mL(59%(w/v))に溶解させて;次にプロピレングリコール8 mL(40%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合したもの(1μg/mL)
・C (1 ppm):最初に、100 ppmのカルシトリオール濃縮物(ロット番号H、下記参照)0.2 mL(1%(w/v))を200プルーフのエタノール11.8 mL(59%(w/v))に溶解させて;次にプロピレングリコール6 mL(30%(w/v))およびエトキシジグリコール2 mL(10%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合したもの(1μg/mL)
・D (3 ppm):最初に、100 ppmのカルシトリオール濃縮物(ロット番号H、下記参照)0.6 mL(3%(w/v))を200プルーフのエタノール11.4 mL(57%(w/v))に溶解させて;次いでプロピレングリコール6 mL(30%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合し;最後にエトキシジグリコール2 mL(10%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合したもの(3μg/mL)
・E (1 ppm):最初に、100 ppmのカルシトリオール濃縮物(ロット番号H、下記参照)0.2 mL(1%(w/v))を200プルーフのエタノール(DP-04-099)11.72 mL(58.6%(w/v))に溶解させて;次にプロピレングリコール6 mL(30%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合し;次にトランスクトールP 2 mL(10%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合し;最後に、ホスホリポン90G濃縮物(ロット番号G、下記参照)0.08 mL(0.4%(w/v))を加えて溶液中に分散させてから、透明かつ均一になるまで混合したもの(1μg/mL)
・F (3 ppm):最初に、100 ppmのカルシトリオール濃縮物(ロット番号H、下記参照)0.6 mL(3%(w/v))を200プルーフのエタノール11.32 mL(56.6%(w/v))に溶解させて;次にプロピレングリコール6 mL(30%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合し;次にトランスクトールP 2 mL(10%(w/v))を加え、透明かつ均一になるまで混合し;最後に、ホスホリポン90G濃縮物(ロット番号G、下記参照)0.08 mL(0.4%(w/v))を加えて溶液中に分散させてから、透明かつ均一になるまで混合したもの(31μg/mL)
・G:200プルーフのエタノール50 g(50%(w/v))をホスホリポン90G 50 g(50%(w/v))と混合し、透明かつ均一になるまで混合したもの
・H:カルシトリオール0.01 mg (0.01%(w/v))を200プルーフのエタノール100 mL(99.99%(w/v))に完全に溶解させたもの
を評価した。
本試験で使用した試薬は全て、分析試薬グレードのものかまたはより高品質のものである。特別な試薬の供給元は、最終報告書の文中で各化学物質の初出後に記す。
本試験の結果を以下の要約表にまとめた:
Figure 0006608810
上記データは、カルシトリオールは、評価した試験製剤からin vitroでヒト死体皮膚に浸透したが、該皮膚を貫通したとは限らないことを示している。各ドナーからのブランク(非投与)皮膚片は、内因性カルシトリオールと一致するHPLC/MS共溶出ピークを示した。レザバー溶液中に存在する量は、全試験製剤にわたって本質的に同一であり、かつ非投与皮膚片と同様であることから、皮膚片から放出された内因性カルシトリオールの拡散である可能性が高い。試験製剤チャンバーと非投与チャンバーとの間には殆ど違いが見られなかったので、レザバー溶液に見られた量が局所的に適用した試験製剤に由来するカルシトリオールを表している可能性は低い。
カルシトリオール吸収の証拠は、図1に見られるように、2種の製剤(AおよびB)を投与した皮膚片における真皮含有量として観察された。皮膚真皮層において測定可能なレベルが非投与皮膚片からは見られなかったので、これら2種の試験製剤からの測定可能な真皮レベルは適用した投与量に由来する吸収を表していると解釈した。さらに、試験製剤を投与した全ての表皮サンプルが、非投与皮膚片よりも高いカルシトリオールレベル(〜3×から〜17×)を示した。表皮カルシトリオール含有量に基づいて順序付けると、試験製剤は次のように並んだ:
D>F>E>C>B>A>>>非投与皮膚。
より高濃度(3μg/mL対1μg/mL)のカルシトリオールを含有する試験製剤(DおよびF)がより高い表皮含有量を示したということと、この順序は一致する。非常によく似た順位が表面洗浄結果(皮膚の表面からの残留試験物質の回収)において観察された。非投与ブランク皮膚片の表面洗浄においてはカルシトリオールは認められなかった。
実施例2.カルシトリオールへの表皮細胞培養物の応答に関与する主要タンパク質の同定 - リアルタイムPCR(RTPCR)
本実施例および後述する幾つかの実施例により、カルシトリオールの活性化経路内のタンパク質または遺伝子の正体に関する追加情報を提供する。これらの実験により、ビタミンD化合物への表皮細胞の細胞応答に関与する作用機序および主要タンパク質/遺伝子の同定が可能となる。
具体的に述べると、角化細胞細胞系HEKaのカルシトリオールへの曝露は細胞プロセスに有意な影響をもたらすことを見出した。本明細書中に記載した実験では、カルシトリオール誘導性の、カルシウムチャネル輸送の変化と熱ショックタンパク質調節の変化に関与する主要タンパク質/遺伝子の同定に重点を置いた。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RTPCR)法を本実施例で用いることにより、イオンチャネル、輸送タンパク質、および熱ショックタンパク質に関与する遺伝子のmRNAのレベルにおける変化を確認した。
PCRアレイをスクリーニング手段として使用して、細胞内のカルシトリオールの生物学的作用様式について知見を提供する可能性がある一連の分子標的を評価した。リアルタイムPCR定量を利用してmRNAレベルの変化を評価することにより、事前に選択しておいた80種の経路特異的標的(付録参照)を含有する複数のサブセットにおけるmRNAレベルを評定した。PCRアレイ分析には、2つの遺伝子群(熱ショックタンパク質に関連する遺伝子群(SABiosciences)、ならびに神経科学イオンチャネルおよび輸送体に関連する遺伝子群(SABioscience))を用いた。
細胞培養:初代ヒト表皮角化細胞(HEKa)を、ヒト角化細胞増殖用サプリメント(Cascade Biologics, Inc., Portland OR)を加えたエピライフ培地(Epilife Medium)(Cascade Biologics, Inc., Portland OR)中で維持した。細胞を37℃、5%CO2で増殖させた。
HEKa細胞のD3処理:HEKa細胞を、0.1μg/mLのカルシトリオールまたは対照ビヒクルで処理した。カルシトリオールの最終濃度を0.1μg/mLとするために、1 mgのカルシトリオールを2 mLのエタノールに溶解させてから、得られたストックのうちの1μLを5 mLの培地に加えた。ビヒクル対照群の細胞は、1μLのエタノールを含有する5 mLの培地で処理した。処理の開始から3、6、16、24、48、または72時間後に細胞を回収した。
RNA単離:RNeasyミニキット(RNeasy Mini kit)(Qiagen, Inc., Valencia CA)を製造業者の使用説明書に従って使用して、種々の処理時点でRNA単離のために細胞を溶解させた。RNAは、260 nmにおける光学密度を測定することにより定量化した。第一鎖合成:RT2第一鎖合成キット(RT2 First Strand Synthesis kit)(SABiosciences., Frederick MD)を製造業者の勧めにより使用して、1μgの全RNAから第一鎖cDNAを合成した。
リアルタイムPCR:前記第一鎖合成からの生成物を水で希釈し、SYBRグリーンマスターミックス(SYBR green master mix)(SABiosciences., Frederick MD)を混合してからPCRアレイにのせた。リアルタイムPCRは、Biorad CFX96上のPCRアレイ(熱ショックタンパク質アレイ、ならびに神経科学およびイオンチャネルアレイ(SABiosciences, Frederick MD)で行った。データ分析は、SABiosciencesのウェブサイト上で利用できるPCRアレイデータ分析ソフトウェアを用いて行った。
下記表2-1に、カルシトリオール処理後にHEKa細胞において調節された、熱ショックタンパク質遺伝子アレイ上の遺伝子を示す。結果は、2回の別個の実験において調節されたのはそれらの遺伝子だけだったことを示している。
Figure 0006608810
HEKa細胞においてカルシトリオール処理によりmRNAレベルで調節された遺伝子のうちの2つは、HSPB1およびHSPA2である。HSPB1は、細胞膜だけでなくサイトゾル、ミトコンドリア、およびゴルジ体においても発現される27 kDaのタンパク質である。HSPA2は、細胞膜および核に存在する70 kDaのタンパク質であり、HSF1により調節される。HSPB1およびHSPA2はいずれもアポトーシスに関わっている。HSF4はレチノイン酸により調節され、細胞分化に関与している。DNAJC6はHSP40群のタンパク質に属している。DNAJC6はクラスリン被覆小孔および細胞質に存在する。
同様に、神経科学およびイオンチャネルアレイから得られた、3回の別個の実験を通して一貫していた結果を、下記表2-2にまとめた。
Figure 0006608810
グルタミン酸輸送体およびカリウムチャネルにおける変化が一貫して観察された。SLC1A1(EAAC1またはEAAT3としても知られている)は、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の膜を横断する輸送に主として関与することが知られている。この溶質キャリアタンパク質は、心臓および皮膚などの組織内の神経系の外側に認められる。ラットの角化細胞では、創傷治癒におけるグルタミン酸シグナル伝達およびSLC1A1の関与を示す証拠がある(Geneverら、1999)。現在は黒色腫に対する臨床試験中の薬物であるリルゾール(Riluzole)によるSLC1A1の阻害(Clinical Trials.gov, Mosby's Drug Consult、第13版)は、皮膚細胞におけるSLC1A1の生物学的役割を示唆するものである。SLC1A1が損傷した運動ニューロンにおける抗アポトーシス機序に関わっている(Kiryu-Seoら、2006)ことを考慮すると、SLC1A1がHEKa細胞においてD3処理によりアップレギュレートされるという本実験での観察結果は、潜在的な防御機構経路のつながりを示唆している。
SLC1A3(EAAT1またはEA6としても知られている)は、ナトリウム依存性のグルタミン酸およびアスパラギン酸輸送を可能にする別の溶質キャリアである。主として脳内のグリア細胞に見られるこの輸送体は、シナプス間隙のグルタミン酸の除去に関与しており、それによってシナプス後ニューロンの長期にわたる脱分極を防いでいる。SLC1A3はグリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)およびホスホジエステラーゼ6B (PDE6B)と相互作用することが知られている。SCL1A3が細胞毒性の低減に関与している可能性がある。
KCNN4は、カリウム中間/小コンダクタンス・カルシウム活性化チャネル、サブファミリーN、メンバー4である。その活性化に続いて細胞膜が過分極化し、細胞内へのカルシウムの流入が増大する。このカリウムチャネルは神経系の外側の組織の多くに局在している。
KCNB2(カリウム電位依存性チャネル、Shab-関連サブファミリー、メンバー2)は、カルシトリオール処理後約24時間でアップレギュレートされた。このカリウムチャネルは、神経伝達物質の放出、インスリンの分泌および平滑筋の収縮を調節する上で重要である。
カルシトリオールをこれらの実験に使用したが、当業者であれば、本発明の他のビタミンD化合物(例えば、本明細書中で先に記載したもの)もまた標的遺伝子発現を調節するという点で同様の活性を呈しうることは容易に理解されよう。ある特定の実施形態では、本発明のビタミンD化合物は、これらの実験におけるカルシトリオールの遺伝子調節プロファイルと同様または同一の遺伝子調節プロファイル、例えば、カルシトリオールにより同様にアップレギュレートされる1つ以上の標的遺伝子の発現((mRNAおよび/もしくはタンパク質)をアップレギュレートするか、またはカルシトリオールにより同様にダウンレギュレートされる1つ以上の標的遺伝子の発現(mRNAおよび/またはタンパク質)をダウンレギュレートする遺伝子調節プロファイルを呈すると考えられる。
実施例3.カルシトリオールへの表皮細胞培養物の応答に関与する主要タンパク質の同定 - 抗体アレイ
また、カルシトリオール刺激時のタンパク質変化の評価を、700種を上回る潜在的標的タンパク質における変化をスクリーニングすることが可能な抗体マイクロアレイを利用して行った。
本実験では、700種を上回る標的タンパク質に対する抗体を包含する抗体マイクロアレイ(パノラマ(Panorama)XP725抗体アレイ、Sigma)を利用することにより、カルシトリオールでそれぞれ約3、6、または24時間処理したHEKa細胞におけるタンパク質濃度/レベルの変化を評定した。簡単に述べると、処理したHEKa細胞をまず回収し、次いで抽出することにより、可溶性タンパク質上清を得た。各サンプル(1 mg/mL)からの抽出タンパク質サンプル(計〜1 mg)の2つの画分を、各々蛍光色素(それぞれCy3およびCy5)で標識した。過剰な色素を該タンパク質サンプルから除去し、得られた標識タンパク質サンプルをマイクロアレイ・インキュベーションのために使用した。
遅い時点(例えば、6時間または24時間)での特定の標的タンパク質の発現レベルを早い時点(例えば、3時間)での同発現レベルと比較して測定するために、前記サンプルを異なる標識により分類した(例えば、3時間抽出物はCy3で、6時間または24時間抽出物はCy5で標識した)。その後、等量の全タンパク質を含有するこれら2種の標識サンプルを混合した(例えば、Cy3で標識した3時間サンプルを、Cy5で標識した6時間または24時間サンプルとそれぞれ混合した)。マイクロアレイチップを用いてインキュベートした後(製造業者の推奨プロトコルに従った)、該チップを洗浄し乾燥させた。その後、該マイクロアレイを蛍光レーザースキャナで走査することにより、Cy3およびCy5色素の相対蛍光強度を測定した。
特定の種類の標的タンパク質の量が経時的に増加(または減少)するならば、遅い時点と関連している色素(例えば、Cy5)はより多く(または少なく)マイクロアレイにより保持されることになる。例えば、本実験では、最も早い時点(例えば、3時間)をベースラインとして使用することにより、2つの遅い時点での相対的タンパク質発現レベル(例えば、6時間対24時間)を決定した。より多くのCy5が6〜24時間の間に前記アレイに保持されるならば、標的タンパク質の発現レベルはその期間にわたって上昇する。反対に、6時間と24時間との間に保持されるCy5に減少が認められるならば、標的タンパク質発現レベルは低下する。
この方法を利用した初期分析では、>2倍の相対的発現レベル変化(上昇または低下)を呈する標的タンパク質に着目した。全体としては、カルシトリオール処理(24時間)HEKa細胞を使用した抗体アレイ実験により、ビタミンであるカルシトリオールに応答してその発現レベルが有意に変更された以下の標的タンパク質(表3-1および3-2中)を同定した:
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同じタンパク質抗体アレイ法を用いた24時間でのカルシトリオール処理HEKa細胞の評価により、有意にアップレギュレートされた約50種のタンパク質を同定した。これらのタンパク質は一般に、次の4つのカテゴリに分けられる:(i)転写および細胞周期の制御(表3-3);(ii)構造、細胞骨格および接着タンパク質(表3-4);(iii)アポトーシス調節タンパク質(表3-5);ならびに(iv)神経細胞分化およびアルツハイマー病(表3-6)。
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実施例4.カルシトリオールへの表皮細胞培養物の応答に関与する主要タンパク質の同定 - プロテオーム解析
一連のHEKa培養物をカルシトリオールで処理し、細胞ペレットをカルシトリオール3曝露から3、6、および24時間後に回収した。その後、該細胞ペレットを、2-Dゲルおよびウェスタンブロット分析などのプロテオミクス法を利用して分析した。以下に記載した実験では、HEKa細胞を0.1μg/mLのカルシトリオールで処理してから、3-、6-、および24時間で得たサンプルを2-Dゲル電気泳動およびこれに関連する比較分析により調べた(結果は示さず)。
合計で、約458個のタンパク質スポットの分析を、対照サンプルと3-、6-、および24時間処理サンプルとを比較する比較試験において実施した。統計的に有意な示差変化を示す6個のスポットを同定した。これらのスポットを切り取り、それらのタンパク質をトリプシン消化による配列同定および質量分析特性評価に供した。
結果(表4-1)は、ケラチンがよくある混入物として観察されることが多いのとは対照的に、HEKa角化細胞サンプルからの6個のスポット群は純粋な内因性ケラチンを含有していたことを示している。2種のS100タンパク質を、グルタチオンS-トランスフェラーゼおよびガレクチン1とともに強力に調節されるものと同定した。ガレクチン1がグリコシル化されたとする証拠があった。
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前記2種のS100タンパク質(A9およびA13)は、カルプロテクチンファミリーのタンパク質に属する。該ファミリーには、21の異なるタイプのこれら低分子量タンパク質が存在する。これらのS100タンパク質はカルシウムを結合し(EF-ハンドモチーフ)、それぞれのタイプが細胞特異的な様式で、かつ環境因子に依存するレベルで発現される。様々な疾患が、変化したS100タンパク質レベルと関連している(心筋症、神経変性および炎症性の障害、ならびに癌)。該S100タンパク質は、前記抗体アレイの結果においても、カルシトリオールに接触させるとアップレギュレートされるものと同定されていることに注意されたい。
実施例5.角化細胞の増殖に対するカルシトリオールの効果
一連のHEKa培養物を種々の濃度のカルシトリオールで処理してから、該HEKa細胞の増殖挙動を所定の増殖期間後に分析した。全ての実験を96ウェルプレートフォーマットで行った。各ウェルは、約100μLの培地中に同量のHEKa細胞を含有していた(通常は2,000〜5,000個の細胞/ウェル)。カルシトリオールをエタノールに溶解させることによりストック溶液を作製した。該ストック溶液を、4.0μg/mL〜約15.5 ng/mLの範囲にわたって増殖培地に1:2で連続希釈した(9種の試験濃度)。各試験濃度のカルシトリオール約100μLを対応する試験ウェルに加え、最終量を約200μL/ウェルとした。試験したカルシトリオール濃度は2.0〜0.008μg/mL(例えば、前記96ウェルプレートのカラム2〜10に対応)の範囲内であった。カラム11を陰性対照(カルシトリオール不含)として使用した。全ての実験を2回ずつ行った。
図2に示すように、カルシトリオールを約0.008〜2.0μg/mLの濃度範囲にわたってHEKa細胞に滴下した。最低レベルのカルシトリオールはHEKa細胞における寛容性が高く、カルシトリオールはHEKa細胞の増殖を穏やかに刺激する(10〜20%以下)ように見えた。しかし、約1.0μg/mL以上のカルシトリオール濃度では、細胞増殖は阻害された。カルシトリオールに対するHEKa細胞の全般的な用量反応は、約6週間の期間にわたる19回の一連の個別実験を通して一貫していた(データは示さず)。
実施例6.癌細胞の増殖に対するカルシトリオールの効果
正常な角化細胞HEKaで観察されるものとは違い、試験した殆どの癌または不死化細胞系(例えば、SkBr-3(Her2が過剰発現される乳腺癌)、SKMEL-28(黒色腫)、PaCa2(膵癌)、NCI-ES-0808、およびNIH-3T3(不死化した繊維芽細胞))に関しては有意な増殖促進または増殖阻害効果は観察されなかった。かかる癌/不死細胞系により呈示された1つの例示的な増殖曲線(膵癌細胞系PaCa2のもの)を図3に示す。PaCa2の増殖は広範囲のカルシトリオール濃度にわたって影響を受けなかったことに注目されたい。
試験した癌細胞系のうちの2つ、MCF-7(p53変異を伴う乳癌)およびHepG2(肝癌)は、低ビタミンD3濃度(0.05〜0.25μg/mL)でのカルシトリオール刺激と高カルシトリオール濃度(>0.5μg/mL)でのカルシトリオール阻害に対して同じように応答した。図4を参照されたい。
これらのデータは、被験ビタミンD化合物は、正常な角化細胞(例えばHEKa)にある特定の濃度限界値まで適用した場合、癌細胞の増殖を同時に促進することなくこれらの正常な角化細胞の増殖を促進することができるかもしれないということを示唆している。濃度限界値を超えると、該ビタミンD化合物も実は正常な角化細胞の増殖を阻害しうる。
実施例7.カルシトリオールがHEKa細胞に与える様々な化学療法薬からの保護効果
本実施例により、殆ど例外なく、本発明のビタミンD化合物は、殆どのタイプの最先端化学療法薬の細胞毒性効果から正常な角化細胞(例えばHEKa)を保護しうることを証明した。具体的に述べると、17種の抗癌薬を試験することにより、これらの薬物の細胞毒性効果に対するカルシトリオールの影響を評価した。薬物の名称およびそれらの各作用機序を下記表に列挙した。
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最初の一連の実験では、数多くのキナーゼ阻害剤ベースの薬物を、0.1μg/mLのカルシトリオールがHEKa細胞に保護効果を提供するその能力を評定するために設計されたアッセイに使用した。これらの薬物としては、以下:エルロチニブ(タルセバ)、EGFR Tyrキナーゼ阻害剤;ゲフィチニブ(gefutubib)、EGFR Tyrキナーゼ阻害剤;数種のTyrキナーゼ(Raf、VEGF-R2、c-kit、PDGR-R)の阻害剤であるソラフェニブ;BCR/ABL Tyrキナーゼ阻害剤であるダサチニブ;および比較的非特異的なキナーゼ阻害剤であるスタウロスポリンが挙げられる。
これらの実験で得た投与曲線は、低い薬物投薬レベル(全身に送達される化学療法を受けている患者の皮膚に影響を及ぼすレベルと違わない)では、カルシトリオールは一定の増殖刺激を提供してHEKa細胞を保護する(図5〜9を参照されたい)という一般的な傾向を示した。さらに、カルシトリオールは、より非特異的なキナーゼ阻害剤と比較すると、より特異的なキナーゼ阻害剤からのより顕著な保護効果を有しているように見えた。
同様に、カルシトリオールはまた、低い投薬レベルのアルキル化剤、例えばシスプラチンおよびカルボプラチンからの中程度のレベルの保護も呈した(図10および11を参照されたい)。
イリノテカンは恐らく、トポイソメラーゼIとの相互作用を通じて細胞増殖を阻害する。イリノテカンからの陽性の保護効果もまたカルシトリオールの存在下で観察された(図12)。
パクリタキソールは有糸分裂阻害剤である。0.1μg/mLのカルシトリオールの存在は、パクリタキソールからの若干の保護効果を提供した(図13)。
ピリミジン代謝拮抗物質ベースの薬物、例えば5-フルオロウラシル(5-FU)は、幾つかの様式で作用するが、主としてチミジル酸シンターゼ阻害剤として作用する。5-FUはDNA複製に必要なチミジンの合成を遮断する。このため、5-フルオロウラシルは、光線性(日光性)角化症および幾つかのタイプの皮膚基底細胞癌を治療するために局所的に使用されている。0.1μg/mLのカルシトリオールが存在した場合に、5-FUからの穏やかな保護効果が一応見られた(図14)。
ゲムシタビンは、デオキシシチジンの2'炭素上の水素原子がフッ素原子で置き換えられているヌクレオシド類似体である。フルオロウラシルおよび他のピリミジン類似体と同様に、ゲムシタビンはDNA複製の際に核酸構成単位のうちの1つ(この場合はシチジン)に取って代わる。ゲムシタビンは様々な癌腫:非小細胞性肺癌、膵癌、膀胱癌、および乳癌の治療に用いられる。図15は、0.1μg/mLのカルシトリオールが存在した場合に、ゲムシタビンからの穏やかな保護効果が一応見られたことを示している。
一方、カルシトリオールがドキソルビシンの細胞毒性効果からの有意な保護効果を提供したようには見えなかった(図16)。さらに、タモキシフェンからの保護効果はいずれも弱かった(図17)。タモキシフェンは腫瘍および他の組織標的上のエストロゲン受容体に競合的に結合して、DNA合成を低下させてかつエストロゲンの作用を阻害する核複合体を産生する。
上記データと同じく、図18のデータは、HEKa角化細胞がカルシトリオールにより増殖刺激を受けたこと、また5-FUからのある程度の保護がHEKa細胞において観察されたことを示している。興味深いことに、試験した3種の癌細胞系Hep-G2、PaCa-2、およびSKMEL-28では、5-FU処理に対するそのED50曲線は0.1μg/mLのカルシトリオールをさらに補ったものと大して違わなかった。Hep-G2細胞はカルシトリオール処理により穏やかに刺激されたが、その5-FU ED50曲線はカルシトリオールの存在下であっても実質的に変化することはなかった。
同様に、試験を行った以下の4種の癌細胞系:Hep-G2、MCF-7、PC-3およびPaCa-2を0.1μg/mLのカルシトリオールに2代継代分の期間曝露しても、これらの細胞の他の薬物(例えば、ドキソルビシン、シスプラチン、およびエルロチニブ)への応答が変更されることはなかった。
これらの結果は、(例えば5-FUを使用する)化学療法の際に、カルシトリオールが癌細胞に対する該化学療法の有効性に拮抗することなく正常な角化細胞(例えばHEKa)を保護する可能性があることを示唆している。
HEKa細胞において観察されたものとほぼ同じく、カルシトリオールが癌/不死化細胞(例えば、SkBr-3、SKMEL-28、PaCa-2、MCF-7、NCI-ES-0808、Hep-G2、およびNIH-3T3)に対するドキソルビシンの細胞毒性効果を明らかに変化させたようには見えなかった(図19を参照されたい)。
さらに、市販薬とカルシトリオールとの生じうる相乗効果についても調査した。これらの実験では、選択した市販薬を、細胞インキュベーションのために最終所望濃度より4倍高い濃度から始めて連続希釈した。一方で0.4μg/mLのカルシトリオールのストックを調製し、その後該ストックを前記の連続希釈した薬物と混合した(比率は1:1とした)。この薬物/カルシトリオール混合物をその後少なくとも15分間インキュベートしてから、細胞培地に加えた(比率は100μL対100μLとした)。その結果、最終カルシトリオール濃度は0.1μg/mLとなった。
薬物治療期間は通常3日間とした。この3日間の最後に、96ウェルプレートのバックグラウンドODを280 nmで読み取ってから、20μLの「基質セルタイター96アクエアス・ワン・ソリューション試薬(Substrate Cell Titer 96 Aqueous One Solution Reagent)」(Promega)を各ウェルに加えた。このプレートを37℃のインキュベーターに戻し入れ、490 nmにおけるそのODを、ODがおよそ1.5に達するまで各時刻に読み取った。正味のOD増加は、基質添加前のOD読取り値を差し引くことにより算出した。
前記薬物が前記細胞に与える影響は、種々の濃度でのODを対照ウェル(薬物なし)のODと関連付けて比較することにより算出した。薬物濃度の関数としての正味ODの結果をプロットし、これを利用してED50値を決定した。
HEKa細胞の結果の分析により、カルシトリオールと大部分の試験薬物(例えば、5-FU、ドキソルビシン、タモキシフェン、イリノテカン、パクリタキセル、カルボプラチン、スタウロスポリン、ビンクリスチン、シスプラチン、エルロチニブ、ゲムシタビン、イマチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブおよびダサチニブ)との相互作用は生じないことが示された。他の細胞で薬物の組み合わせを試験した場合にも同じ結果が得られた。したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、カルシトリオールと上記薬物の作用機序は異なっていると思われる。
実施例8.カルシトリオールによる細胞の前処理:化学療法薬の存在下および非存在下におけるカルシトリオールの細胞ベースアッセイ試験
細胞の生存能力を評価するための上記の細胞ベースのアッセイを本実施例に利用することにより、選択した化学療法薬の作用からのカルシトリオールの潜在的な保護効果を評定した。各細胞系を、0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下で細胞2代継代分の期間増殖させた。次に、これらの前処理済み細胞を用いて細胞ベースのアッセイを組み立てた。さらに、無処理細胞を使用して二重の薬物/カルシトリオール濃度での並列実験を確立した。これにより、化学療法薬投与前のカルシトリオール長期曝露の潜在的効果の対照比較(side-by-side comparison)が可能となった。
5種の各細胞系を0.1μg/mLのカルシトリオールの存在下で細胞2代継代分の期間増殖させた後、HEKa細胞のみがその全般的な増殖および形態の点で有意に影響を受けた。前記4種の癌細胞系は増殖し続け、またそれらの全体的な形態的外観が変化することはなかった。しかし、HEKa細胞はカルシトリオール長期曝露後に増殖を止め、またそれらの形態は、カルシトリオール処理前のより枝分かれした外観とは対照的に、一方向に伸びたものに変化した。この細胞系について、新たな細胞群を使用し、化学療法薬の存在下における試験の前にカルシトリオールの存在下で1代継代分だけ曝露した。
一般的に使用される3種の化学療法薬(ドキソルビシン、シスプラチンおよびエルロチニブ)を、カルシトリオール処理細胞を評価するために選択した。市販薬とカルシトリオールとの生じるうる相乗または保護効果について調査した。これらの実験では、該市販薬を、細胞インキュベーションのために最終所望濃度より4倍高い濃度から始めて連続希釈した。0.4μg/mLのカルシトリオールのストックを調製し、該ストックを前記の連続希釈した薬物に加えた(比率は1:1とした)。この薬物とカルシトリオールとの混合物を少なくとも15分間インキュベートしてから前記細胞に加えた(比率は100μL対100μLとした)。その結果、最終カルシトリオール濃度は0.1μg/mLとなった。
前記アッセイは、一貫性を与え、かつ直接比較を可能にするために、先に記載した方法に従って実施した。結果は生存細胞の総数の測定に基づくものとした。その結果(示さず)は、カルシトリオール前処理は細胞培養物への化学保護効果に必要なものではないということを示していた。前処理群と同時処理群の結果はほぼ同一であった。従って、カルシトリオールの局所適用は、化学療法剤の全身送達と同時期に行うことができる。段階的な適用は必要ない。
実施例9.新規カルシトリオール製剤による化学療法誘発性脱毛症(CIA)からの保護
脱毛症は化学療法の最も悩ましい副作用の1つであり、そのための治療的介入は現時点では存在しない。新生仔ラットは、成長期の毛包パターンがヒトのそれと似ていることから、化学療法誘発性脱毛症(CIA)を研究するための優れたモデルであることが証明されている。
本研究では、セコステロイドであるカルシトリオール(米国薬局方グレード)を局所製剤(40%(w/w)のプロピレングリコール、米国薬局方;および60%(w/w)の脱水アルコール、200プルーフ、未変性、米国薬局方)として送達することにより、投与量および時間依存的な様式でCIAを治療/予防した。
具体的に述べると、仔のいるロングエバンス・ラットおよびスプレイグダウリー・ラットをHarlan Laboratories, Inc.から購入した。それらラットを、適当な動物取扱規則に従って飼育し給餌した。仔ラットを実験開始前に48時間順応させた。セコステロイドであるカルシトリオールの製剤(上掲)またはビヒクル対照(カルシトリオール不含)を、5日目に開始して6日間連続して、毎日頭部および頸部の面に局所的に適用した。ラットをその同腹仔および母親から6時間の期間隔離した。その後、処理面の汚れをせっけんおよび水で清潔にし、仔ラットをその同腹仔のもとに戻した。13日目に、ラットにエトポシド(1.5 mg/kgを3日間毎日)またはシクロホスファミド(CTX)(37.5 mg/kgを1回)、またはシクロホスファミド(35 mg/kgを1回)とドキソルビシン(2.5 mg/kgを3日間毎日)との組み合わせのいずれかを与えた。全ての化学療法剤はSigmaから購入し、全量0.1 mLを腹腔内に(i.p.)投与した。化学療法の最終投与から10日後に脱毛症が記録された。
ラットに緑色白血病を移植する実験のために、生後5日目に、ラットを無作為に3つの群(各45匹)に分けた。全てのラットに、0.1 mLの無血清(SF)RPMI中1×105個の緑色白血病細胞系MIAC51を与えた(i.p.)。MIAC51は、L-グルタミンおよび10%ウシ胎仔血清を補ったRPMI 1640中、5%CO2、湿度100%のインキュベータにおいて37℃で培養した。細胞を50%コンフルエントな状態(1.5×106 mL)まで増殖させてから、50 mLコニカルチューブに採集し、室温で600g×10分遠心分離し、さらにSF-RPMI中に1×106 /mLの濃度で再懸濁した。第1群のラットには追加の処理は行わなかった。第2群のラットには、13日目に局所用ビヒクルおよびCTXを与えた。第3群のラットには、13日目に局所用カルシトリオール製剤(0.1μg)およびCTXを与えた。局所適用は先に記載した通りに実施した。
生後23日目に、全てのラットから血液サンプルを採取し、分別を実施した。白血病に罹ったラットを犠牲にし、白血病に罹っていないラットは生かしておいて31日目に2回目の分別を行い、いかなる点であっても白血病が検出されれば動物をCO2での窒息により犠牲にした。
結果は、全身の脱毛症はエトポシドを与えた群で観察されたということを示している。一方、0.1μgのカルシトリオールで6時間処理したラットでは、全ての動物において部分的で局部的な保護が観察された。0.3μgのカルシトリオールを与えている群では全身の保護が達成された。図20Aおよび20Bを参照されたい。
シクロホスファミドを与えた群においては、対照ラットは完全に脱毛したが、0.1μgのカルシトリオールを与えたラットではエトポシドについて観察されたものと同様の保護が達成された。また、0.3μgのカルシトリオールの投与により、シクロホスファミド処理ラットにおいてその全身が保護された。図21を参照されたい。他の化学療法または併用化学療法レジメンを用いた際の同様の結果を図22A、22B、22Cおよび23に示す。
ラットに緑色白血病を移植した別個の実験では、予備的結果はカルシトリオールの局所適用によるシクロホスファミドからの癌細胞の保護を示さなかった。図24を参照されたい。
結論として、被験製剤中のカルシトリオールを用いた前処理により、癌細胞を保護することなくCIAからの保護が提供された。局所用カルシトリオールは、単独ならびに併用化学療法により誘発されるCIAから投与量依存的な様式でCIAを予防した。さらに、局所用カルシトリオールは、化学療法の細胞毒性効果から癌細胞を保護することなくCIAを予防した。
実施例10.複数回の化学療法レジメン(Multi-Chemotherapy Regimens)を受けている緑色白血病ラットにおける局所用カルシトリオールによるCIAの保護
本研究では、複数コースの(multi-course)化学療法により誘発される脱毛症の動物モデルにおいて、局所用カルシトリオール溶液の保護効果を検証した。本研究に使用したラットは、20-メチルコラントレンの胃への点滴注入とその後のラット新生仔への緑色白血病細胞の注射により開発されたラット緑色白血病細胞系であるMIAC51を保有するものであった。MIAC51細胞系はヒト緑色白血病の特徴(白血病、白血病性腹水および緑色種形成)を示す悪性の骨髄性白血病を引き起こす。Jimenezら、Science 238: 1278-1280 (1987)を参照されたい。
今までのところ、化学療法誘発性脱毛症(CIA)を試験するための有効なin vitroまたは無脊椎動物モデルは存在しない。最もよく使用されるモデルの中では、Jimenezらにより開発された新生仔ラットがヒトとの直接的な相関を示した(Int J Cancer 1996;65:97-103、参照により組み込まれるものとする)。その後、毛を刈り取ることにより第2成長期段階を誘導することが可能であり、またその結果複数コースの化学療法を試験することが可能となるラットモデルが開発された。このモデルを使用することで、頻用される脱毛性化学療法(例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、エトポシド、およびシタラビン、ならびにそれらの組み合わせ)について試験することができる。
化学療法誘発性脱毛症のための保護剤を試験する場合、その試験物質が化学療法から毛包、さらには癌細胞を保護するのか、および/または療法に干渉するのかを判断することが最も大切である。Jimenezらにより開発された新生仔ラット白血病モデルは、白血病の進行、白血病の治療、化学療法剤との潜在的な相互作用に対する前記ビタミンD化合物のあらゆる効果と、化学療法誘導性脱毛症の予防に対する前記ビタミンD化合物の効果を同時に試験する機会を提供する。またこのモデルは、同一動物における試験薬剤の複数サイクルにより何度も毛包が保護されるのかという問いの答えも提供する。さらに、着色したロングエバンス・ラットを使用することで、その試験により試験薬剤が毛色を保護するかどうかの判定も可能となる。
カルシトリオール製剤は、米国薬局方グレードのプロピレングリコール(40%w/w)と無水アブソルートエタノール、200プルーフ(60%w/w)とを含有するビヒクル中に米国薬局方グレードのカルシトリオールを含有する透明で無水の液体である。これらの研究におけるカルシトリオールの濃度は〜0.2μg/100μL(2μg/mL)とした。この試験物質を氷上で受け取り、到着次第速やかに4〜5℃で保存した。その後、ロットを氷上で維持しながら4.5 mLチューブに小分けした。動物群は1変数あたり40匹以上であるため、それぞれ4.5 mL単位の試験物質を4〜5℃でロット番号を記したポリプロピレンチューブに入れた。この4.5 mLチューブの試験物質を暗い箱の中で保管し、実験ごとに必要な量だけを冷却装置から取り出した。4.5 mLチューブに入れた試験物質サンプルを一定の間隔でアッセイすることにより、カルシトリオールレベルを測定した。実験の際、ラットを処理している間はチューブを氷上に維持した。
前記ビヒクルは、米国薬局方グレードのプロピレングリコール(40%w/w)と米国薬局方グレードの無水かつ未変性のアブソルートエタノール、200プルーフ(60%w/w)で構成されている。実験の際には、この対照ビヒクルを前記試験物質と全く同じように取り扱った。
前記試験物質と前記ビヒクルそのものの両方を試験した。各試験群は、本研究にとって統計的に有意である40匹の動物で構成した。この数にはモデルの自然減が算入されており、それは動物の数が減少するあらゆる不測の事態に備えてのことである。全ての動物に、該動物が5日齢となった時点でMIAC51を注射した。5つの化学療法レジメンを試験した:シクロホスファミド、シクロホスファミド/ドキソルビシン、シクロホスファミド/ドキソルビシン/シタラビン、シクロホスファミド/パクリタキセル/エトポシドおよびドキソルビシン/パクリタキセル/エトポシド。試験群は、以下:化学療法なし、化学療法のみ、化学療法+ビヒクル、化学療法+試験物質=化学療法レジメンあたり160匹の動物、とした。従って、使用した動物の最終的な推定数は次の通りとなった:5通りの併用化学療法レジメン×160匹の動物=800匹の仔/ラット。第2成長期相の成体ラットモデルを使用した実験では、癌のない動物(例えば、化学療法を生き延びた動物)だけを使用し、一方で白血病の初期徴候を明らかに示す動物は安楽死させた。
シェイの(Shay's)緑色白血病MIAC51細胞系の培養:MIAC51は、先に記載したように、湿度100%の5%CO2インキュベーターにおいて37℃で培養した(Science 1987;238:1278-80)。細胞は、非組織培養物処理フラスコ(Falcon)においてL-グルタミンおよび10%ウシ胎仔血清(Gibco Invitrogen、Carlsbad、CA)を補ったRPMI 1640培地(Gibco Invitrogen、Carlsbad、CA)中で増殖させた。動物への細胞の注射前に、該細胞を50%コンフルエントな状態まで増殖させてからコニカルチューブに採集した。その後、細胞を600 gで10分間室温で遠心分離し、さらにウシ胎仔血清不含RPMI 1640中に濃度 1×106で再懸濁した。その後、この細胞懸濁液を滅菌条件下で29ゲージ(ga).1/2 ccのインスリン注射器に移した。
MIAC51の注射:いずれの仔ラットもMIAC51注射の時点で5日齢であり、それらを手で保定した。右脚を優しく引っ張り、対象面をアルコール綿棒で消毒した。その後、MIAC51を腹腔内に注射した。注射器の針、経路およびセルは滅菌されており、注射の度に新しい注射器を使用した。白血病の初期徴候の発生は大抵21〜33日目に観察された。このため、血液塗抹標本を23および31日目に作成した。癌のない動物のみ31日目に剃毛し、残りは安楽死させた。
新生仔ラットにおける第1成長期段階での試験および対照物質の投与:各同腹仔には、その頭部および頸部の面およそ2 cm2にビヒクルまたは試験物質を局所的に投与した。5および6日齢のラットには、それらがさらに小さいため、100μLを4等分した量である25μLずつ4回適用した。試験物質またはビヒクルは、目盛り付きマイクロピペットで200μL滅菌チップを使用して適用した。試験物質またはビヒクルを頭部表面に適用した後、完全に吸収されるまで手袋をはめた指で擦り込んだ。その後すぐに、新たな4分の1量を該頭部に適用し、100μLの試験物質またはビヒクル全てを適用するまで前記手順を繰り返した。7、8、9および10日齢の動物には50μL量を2回適用した。より日齢の高い動物には、100μLを1回の投与で適用することが可能であった。試験する物質の適用は頭部および頸部に行い、耐溶剤性ニトリル手袋を用いて右手の人差し指で10秒間擦り込んだ。この適用法の背景にある論理的根拠は、異なる日齢では飽和速度が異なる場合があり、また試験物質またはビヒクルの送達も異なる場合があるということである。溶液を皮膚に完全に浸透させてから、仔ラットを特別設計の隔離コンパートメントを備えたケージ内に6時間隔離した。その後、仔ラットを低刺激の実験室用ハンドソープ(Soft-Cide EC、VWR international)で洗い、ペーパータオルで丁寧に拭いた。
新生仔ラットへの第1成長期段階での化学療法の投与:40匹の仔ラットに各化学療法レジメを与え、40匹に各化学療法レジメおよび試験物質を与え、さらに40匹に各化学療法レジメおよびビヒクルを与えた。対照として、40匹の動物には化学療法を与えなかった。各同腹仔の重量の平均値を求め、これを利用して適切な濃度の化学療法を調製した。化学療法は、29 ga. 1/2cc インスリン注射器を使用し、動物の重量に応じておよそ100μLの量で腹腔内に注射した。注射の際、各仔ラットの右脚を優しく引っ張り、対象面をアルコール綿棒で消毒した。
成体ラットにおける第2成長期段階での試験および対照物質の投与:血液塗抹標本の血液学的分析により31日目に癌のないことが証明された生存ラットを手で保定し、頭部および頸部の面(2〜3 cm2)を剃毛した。9日後、ラットが40日齢〜45日齢までである時点で、ビヒクルまたは試験物質のいずれかをその頭部および頸部の面に適用した。100μLの量を1回の投与でその頭部および頸部に適用し、耐溶剤性ニトリル手袋を用いて右手の人差し指で10秒間擦り込んだ。溶液を皮膚に完全に浸透させてから、ラットを1匹ずつケージ内に隔離した。その後、ラットを低刺激の実験室用ハンドソープ(Soft-Cide EC、VWR international)で洗い、ペーパータオルで丁寧に拭いた。
第2成長期段階の成体ラットへの化学療法の投与:各群に5種の異なる化学療法レジメンのうちの1つを与え、シタラビンを併用して与えるものについては47日目に開始、かつ53日目に終了とした。重量の平均値を求め、これを利用して適切な濃度の化学療法を調製した。化学療法剤は、29 ga. 1/2cc インスリン注射器を使用し、動物の重量に応じておよそ100μLの量で腹腔内に注射した。化学療法を投与する際、ラットは麻酔を使用せず手で保定した。注射面をアルコール綿棒で消毒した。
投与の経路:試験物質およびビヒクルは皮膚に適用した。化学療法は腹腔内に注射した。
投与の頻度および期間ならびに投与のレベルおよび量:試験物質およびビヒクルを、毛周期の第1および第2成長期の両方に対して6日間毎日投与した。試験物質はプロピレングリコール/エタノール中に濃度2μg/mLのカルシトリオールを含有しており、ビヒクルはプロピレングリコール/エタノール・ビヒクルのみを含有していた。化学療法剤は、重量を基におよそ100μLの量で腹腔内に与えた。
脱毛症の目視観測および格付け:全頭部(頭部および頸部)または全身の脱毛症を、次の等級を使用して格付けした:0 =脱毛症なし;1+=0〜25%の脱毛症;2+=25〜50%の脱毛症;3+=50〜75%の脱毛症;4+=75〜100%の脱毛症。ケージのルーチン観測を行いつつ脱毛症を格付けするために、この目視観測の等級を日常的に使用した。また、全ての同腹仔または成体ラットが毛を失った時点で、写真記録をこの等級で補完した。
実施例11.皮膚吸収試験:ゲッチンゲン・ミニブタ(Gottingen Minipigs(登録商標))へのカルシトリオール溶液の局所適用およびex vivo ブタ皮膚におけるカルシトリオールの定量
ブタは、その皮膚がヒトのものとよく似ているため、皮膚経路の送達を伴う毒性試験において頻繁に用いられる。このため、ブタを本試験で使用することにより、ゲッチンゲン・ミニブタ(登録商標)においてカルシトリオール局所製剤の皮膚耐容性および皮膚浸透を経皮投与後7日間評価した。
3匹の雄と3匹の雌のゲッチンゲン・ミニブタ(登録商標)からなるある処理群には、試験物質またはプラセボ物質を5ヶ所の別々の投与部位に0(プラセボ)、1、3、10、および30μg/mLの投与濃度で経皮的に投与した。1匹の雄ミニブタからなる追加の処理群には、試験物質またはプラセボ物質を2ヶ所の別々の投与部位にそれぞれ0(プラセボ)および100μg/mLの投与濃度で経皮的に投与した。プラセボまたは試験物質は、試験期間中の7日間、両群に1日2回およそ6時間おいて、適用部位あたり4 mg/cm2 (6 cm×6 cmの試験面積中144 mg、または種々の濃度の前記活性成分およびビヒクルを含有する試験溶液166μLに相当する)の適用量で投与した。
罹患率、死亡率、損傷、ならびに食物および水の利用率に関する観察を、全ての動物について1日2回行った。臨床観察は毎日行った。皮膚反応の評価は、試験前に行い、さらに毎日投与前に行った。試験前および最後(7日目)に体重を測定し記録した。理学的検査は試験前に行った。試験終了時に剖検を実施し、処理済みおよび無処理の皮膚片を採集して保存した。これらの皮膚部位ならびに処理部位近くの無処理の皮膚部位それぞれの顕微鏡検査を行った。
結果は、ゲッチンゲン・ミニブタ(登録商標)への0、1、3、10、30、および100μg/mLの濃度でのカルシトリオール局所製剤の経皮投与は寛容性が高かったことを示している。いずれかの処理部位においても、生存、臨床所見、皮膚刺激性、体重、皮膚の肉眼または顕微鏡検査への処理の影響は見られなかった(データは示さず)。組織内分布試験から得たデータは、カルシトリオールは殆どの角質層と表皮サンプルの他の部分で測定できたが、真皮サンプルでは測定できなかったということを示している(唯一の例外は、100μg/mLの投与量を適用した1匹の雄ミニブタである)。この一連の実験では、雄は雌よりも高いカルシトリオール組織レベルを示すように見えた。組織レベルに対する最も明らかな適用投与量との相関は表皮で観察され、カルシトリオール濃度が3〜100μg/mLと増加するにつれて線形に近い増大を示した。
具体的に述べると、前記プラセボ(プロピレングリコール(米国薬局方)とエタノール(未変性)無水、200プルーフ - U.S.、米国薬局方との40/60混合物(w/w))およびカルシトリオール局所製剤を、予め考案しておいた濃度1、3、10、30、および100μg/gで使用した。この試験物質をそのまま(希釈せずに)投与した。これらのプラセボおよび試験物質の製剤を毎日使用するために一旦それぞれ所要の濃度に調剤し、室温で保存した。
実験に使用したことがない3匹の雄と3匹の雌のゲッチンゲン・ミニブタ(登録商標)(およそ4〜5月齢)は全て、Marshall BioResources、North Rose、New Yorkから入手した。もう1匹の雄(入手時におよそ4.5月齢)を後にストック群から移入した。単純無作為化手順を使用して、4匹の雄および3匹の雌の動物(無作為化の時点での重さはそれぞれ11.75〜15.55 kgおよび14.50〜16.65 kgであった)をプラセボ群と処理群に割り当てた。前記のプラセボおよび試験物質を、試験期間中の7日間、1日2回およそ6時間おいて経皮的に投与した。投与濃度は0、1、3、10、30、および100μg/mLとし、4 mg/cm2(144 mgまたは166μLの試験溶液に相当する)の適用量で投与した。投与開始前(第1群および第2群でそれぞれ4日前および5日前)に、電気バリカンを使用して適用部位から毛を刈り取った。皮膚が擦りむけないように気を付けた。各動物の背部表面を、第1群に関しては5ヶ所の適用部位に分け、第2群に関しては2ヶ所の適用部位に分けた。各適用部位はおよそ6×6 cmとし、各部位の間には少なくとも2 cmの間隔を置いた。プラセボおよび試験物質の製剤を、ガラス撹拌棒または適当な器具を用いて指定適用部位に均一に適用した。投与前に、以前の投与に由来する残留試験物質を、水道水で湿らせた柔らかいペーパータオル(すなわち、ワイプオール(WyPall)(登録商標))を使用して優しく取り除いた。
本試験の最後に、皮膚を腹側正中切開部から反転させて、処理済みおよび無処理の皮膚片を採集し保存した。6×6 cm四方の投与部位片は、まずその表面を低刺激のせっけんと水との混合物(例えば、水またはその等価物中1%のアイボリー石けん(Ivory Soap))で徹底的に洗うことにより、あらゆる残留局所試験製剤を取り除いた。その後、洗浄した皮膚片をエタノールできれいに拭き、脂肪層まで、この層を含むように切除した。切除する面が投与面よりも大きい場合は、該投与面に消えないインクで印を付けることにより、投与した皮膚面を線引きした。1.5 cm×1.5 cm片を平らに置き、サランラップ(登録商標)(またはその等価物)で二重に包んでから、液体窒素中で急速冷凍した。このサンプルを-70℃で保存し、分析のためにドライアイスにのせて翌日配達便で発送した。各皮膚片を適切に(例えば、動物識別、試験番号、日付などで)識別した。
分析先に届き次第、皮膚片を防水ビニール袋に入れ、温水(30℃〜35℃まで)中に浸すことにより解凍した。各皮膚片を蒸留脱イオン水で優しくすすぎ、残留する試験物質および血液を全て除去した。全ての皮下組織(例えば、脂肪)を、メスを使った手作業での剥離により除去した。前記投与面の中央部分に4つの別個の1 cm2の円(複製(replicates))を描き、各部位をその後識別してから実面積(actual area)を記録した。次に、これらの複製試験部位を、1 cm2パンチを使用して皮膚シートから切り取った。皮膚片の重さを量り、その重量を記録した。各複製分画面に、該面の表面のおよそ10%〜25%が光沢を帯びるまで十分な回数(10回以下〜20回以下)テープストリッピング(トランスポア(Transpore)(商標)、3M)を行った。この工程により、角質層および残留する表面投与物質を除去した。
テープストリッピング後、皮膚をおよそ1〜1.5分間60℃までの熱に曝露することにより表皮(角質層がないもの(sans stratum corneum)、以下単に「表皮」と記す)と真皮に分けた。次いで、この皮膚層を、先の細い鉗子またはメスを使用して細かく裂いた。表皮および真皮の重さを量り、その重量を記録した。
抽出の際は、全ての皮膚サンプルを1 mLの無水エタノール(Sigma-Aldrich、米国薬局方/米国国民医薬品集(NF)グレード)中で抽出した。テープ片は5 mLのアセトニトリル(EMD、HPLCグレード)中で抽出した。抽出はいずれも室温でおよそ24時間行った。500μLの量のテープ片抽出物を真空遠心分離により乾燥させてから100μLの無水アセトニトリルで再構成した。同様に、表皮抽出物を乾燥させてから100μLの80:20のエタノール:水で再構成した。
カルシトリオールの定量は紫外および質量分光検出器を備えた逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。検出の下限値は0.4 ng/mLと推定した。
角質層(テープ片)、表皮および真皮から得たカルシトリオールの定量に関する結果を表11-1〜11-4に要約した。図25Aおよび25Bはそれぞれ角質層および表皮におけるレベルを例示したものであり、図26は雄だけの表皮レベルを例示したものである。角質層データは、2つの異なる単位、ng/cm2(テープストリッピングしたサンプルにおいて回収したカルシトリオールの量をサンプル面積の関数として表すための単位)および推定μg/組織mgで提供した。ただし、μg/mgとして報告した濃度は、層分離前の総サンプル重量から該サンプルの表皮および真皮の重量を引いたその差により測定したものである(テープ片に付着しているため実重量による測定よりも好ましい)。表皮および真皮のサンプルは、該サンプルから測定された量を皮膚層の実際の湿重量で割ったものを用いて、組織濃度(ng/mg)として報告した。
Figure 0006608810
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データは、カルシトリオールは殆どの角質層および表皮のサンプルで測定できたが、真皮サンプルでは測定できなかったことを示している(唯一の例外は、100μg/mLの投与量を適用した1匹の雄ミニブタである)。このことは、先に実施例1において記載したフランツのヒト皮膚有限用量モデルで得られた結果と一致している。
評価した組織サンプル全てにおいて、雄のミニブタは概して雌のミニブタよりも高いカルシトリオール組織レベルを示すように見えた。
最高濃度のカルシトリオールは角質層のものとして観察された。角質層における含有量は推定値であり、その高い濃度は、表面洗浄工程により除去されなかった皮膚の毛穴の奥のカルシトリオールの存在を反映している可能性があるが、角質層の新油性の高い基質へのカルシトリオールの溶解度が原因となっている可能性もある。
しかし、組織レベルに対する最も明らかな適用投与量との相関は表皮で観察され、3〜100μg/適用mLのカルシトリオール濃度で線形に近い増大を示した。
実施例12.複数コースの化学療法を受けている緑色白血病ラットにおける局所用溶液試験
ロングエバンス・ラット(Harlan Laboratories, Inc)は、到着時には3日齢であった。この動物の重量を、到着時および実験の終了までの毎日、電子スケール(American Scientific Products TL 410s)を使用して求めた。実験の開始前にラットを2日間飼育した。その後、動物を無作為に4つの群に分けた。全てのラットに、下記のようにMIAC51を与えた。
・第1群(n=27)にはさらなる処理は行わなかった。
・第2群(n=40)には化学療法のみを与えた。
・第3群(n=40)には化学療法および下記の局所用ビヒクルを与えた。
・第4群(n=40)には化学療法および局所用カルシトリオールを与えた。
処理は生後6日目に開始した。0.1 mLの量の局所用カルシトリオールをラットの頭部および頸部の上に局所的に適用した。毛周期の第1成長期については、6および7日目に、ビヒクルまたはカルシトリオールのいずれかを、飽和を避けるために25μLの量で4回適用した。8、9、10および11日目には50μLの量を2回適用した。毛周期の第2成長期については、ラットを40日目から45日目まで毎日0.1 mLのビヒクルまたはカルシトリオールで処理した。適用毎に、ニトリル製の実験用手袋をはめた右手の人差し指で2 cm2の面を10秒間擦る必要があった。処理が終了してから、各ラットを一匹ずつ6時間隔離した。その後、各ラットの頭部および背部を低刺激のハンドソープ(VWR InternationalからのSoft CIDE-EC)および蒸留水で洗った。その後、仔ラットをその母親の元に返してから動物飼育室に戻した。毛周期の第2成長期については、成体ラットを同腹仔と一緒にそれらのケージに戻し入れてから動物飼育室に戻した。
生後5日目に、全てのラットに、0.1 mLの無血清(SF)RPMI中の1×105 MIAC51をその腹腔内に与えた。MIAC51は、L-グルタミンおよび10%ウシ胎仔血清を補ったRPMI 1640中で、5%CO2、100%湿度のインキュベーターにおいて37℃で培養した。細胞を50%コンフルエントな状態(1.5×106 mL)まで増殖させてから50 mLコニカルチューブに採集し、室温にて10分間600gで遠心分離し、さらに注射前にSF-RPMI中に1×106 /mLの濃度で再懸濁した。
生後23日目に、血液サンプルを全てのラットから採取して分別を実施した。白血病に罹ったラットを犠牲にし、白血病に罹っていないラットをさらなる実験に使用した。31日目に2回目の分別を実施し、白血病の動物を犠牲にした。生き延びた動物は、2セット目のビヒクルまたはカルシトリオール処理の投与前に2cm2の面積の毛を剃り、15日後に2コース目の化学療法を与えた。第2および第1成長期相の両方において、化学療法処理の10日後に脱毛症が記録された。
各ラットの脱毛症の程度は、以下の等級:
0 =脱毛症なし
1+=0〜25%の脱毛症
2+=25〜50%の脱毛症
3+=50〜75%の脱毛症
4+=75〜100%の脱毛症
により決定した。
実験用化合物
2.3μg/gのカルシトリオール製剤をビヒクル(40重量%のプロピレングリコールおよび60重量%の無水で200プルーフのエタノール)で希釈することにより最終濃度を2μg/mLとした。1mLのバイアルを小分けし、冷却装置内で4℃に維持した。各実験に際して、2.3μg/gのカルシトリオールおよびビヒクルが入ったバイアルを1つ取り出し、実験手順中は氷上に置いた。使用しなかった調製物は廃棄した。
A.シクロホスファミド単独
化学療法の投与
若齢ラット:13日目に、全てのラットに、シクロホスファミド(CTX)(Sigma Aldrich、ロット番号068k1131) 37.5 mg/kgを、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。
成体ラット:2コース目の化学療法の際、150 mg/kgのシクロホスファミドを、麻酔をかけた(50 mg/kgのケタミン/5 mg/kgのキシラジン)47日齢のラットに、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。
結果を表12-1および12-2に示す。具体的に述べると、1回目の化学療法(表12-1および図27)後は、シクロホスファミドを単独で、またはシクロホスファミドをビヒクルと一緒に与えている全てのラットで重度の脱毛症(+4)が生じた。これに対して、シクロホスファミドをカルシトリオールと一緒に与えたラットはいずれも、対照群と同様に脱毛症の徴候を全く呈示しなかった。表12-2に示すように、2回目の化学療法後に同様の結果が得られた(図28も参照されたい)。
Figure 0006608810
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さらに、本実験により、カルシトリオールの局所製剤を与えているラットの生存率は化学療法を単独で、またはビヒクルと一緒に与えているそれらのラットと実質的に似ていることが示された。表12-3に示すように、シクロホスファミドおよびカルシトリオール局所製剤で処理したそれらの動物の生存率(25%)は、シクロホスファミド単独で処理したそれらのラット(20%)ならびにシクロホスファミドおよびビヒクルで処理したそれらのラット(23%)と似ていた。
Figure 0006608810
要約すると、シクロホスファミド群では、カルシトリオールは両方の毛周期においてCIAからの100%の保護を提供し、かつ20〜25%の範囲内にあるその治癒率に干渉することはなかった。
B.シクロホスファミドおよびドキソルビシン
化学療法の投与
若齢ラット:13日目に、全てのラットに、シクロホスファミド(CTX)(Sigma Aldrich、ロット番号068k1131) 37.5 mg/kgを、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。13、14、および15日目に、ラットに0.1 mLの蒸留水中の塩酸ドキソルビシン(Sigma Aldrich、ロット番号038k1349)(ADM)2.5 mg/kgをI.P.で与えた。
成体ラット:2コース目の化学療法の際、47日目に、150 mg/kgのシクロホスファミドを、麻酔をかけた(50 mg/kgのケタミン/5 mg/kg キシラジン)ラットに、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。2コース目の化学療法の際は、47〜49日目に、先に記載した通りにラットに20 mg/kgのADMを与えた。
結果を表12-4および12-5に示す。具体的に述べると、1回目の化学療法(表12-4および図29)後は、シクロホスファミドおよびドキソルビシンだけを、またはこれらをビヒクルと一緒に与えている全てのラットで重度の脱毛症(+4)が生じた。これに対して、シクロホスファミドおよびドキソルビシンをカルシトリオールと一緒に与えたラットはいずれも、対照群と同様に脱毛症の徴候を全く呈示しなかった。表12-5に示すように、2回目の化学療法後に同様の結果が得られた(図30も参照されたい)。
Figure 0006608810
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さらに、本実験により、カルシトリオールの局所製剤を与えているラットの生存率は化学療法を単独で、またはビヒクルと一緒に与えているそれらのラットと実質的に似ていることが示された。表12-6に示すように、シクロホスファミドおよびドキソルビシンをカルシトリオールの局所製剤と併用して処理したそれらの動物の生存率(50%)は、化学療法単独で処理したそれらのラット(53%)ならびに化学療法およびビヒクルで処理したそれらのラット(55%)と似ていた。
Figure 0006608810
要約すると、シクロホスファミドおよびドキソルビシン群では、カルシトリオールは両方の毛周期においてCIAからの100%の保護を提供し、かつ50〜55%の範囲内にあるその治癒率に干渉することはなかった。
C.シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビン
化学療法の投与
若齢ラット:13日目に、全てのラットに、シクロホスファミド(CTX)(Sigma Aldrich、ロット番号068k1131) 30 mg/kgを、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。13、14、および15日目に、ラットに0.1 mLの蒸留水中の2.0 mg/kgの塩酸ドキソルビシン(Sigma Aldrich、ロット番号038k1349)(ADM)をその腹腔内に与え、さらに13〜19日目に該ラットに50 mg/kgのシタラビンを与えた。
成体ラット:2コース目の化学療法の際は、麻酔をかけた(50 mg/kgのケタミン/5 mg/kgのキシラジン)ラットに、100 mg/kgのシクロホスファミドを1日、20 mg/kgのドキソルビシンを3日間、さらに100 mg/kgのシタラビン7日間投与した。
結果を表12-7および12-8に示す。具体的に述べると、1回目の化学療法(表12-7および図31)後は、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビンだけを、またはシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビンをビヒクルと一緒に与えている全てのラットで重度の脱毛症(+4)が生じた。これに対して、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビンをカルシトリオールと一緒に与えたラットはいずれも、対照群と同様に脱毛症の徴候を全く呈示しなかった。表12-8に示すように、2回目の化学療法後に同様の結果が得られた(図32も参照されたい)。
Figure 0006608810
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さらに、本実験により、カルシトリオールの局所製剤を与えているラットの生存率は化学療法を単独で、またはビヒクルと一緒に与えているそれらのラットと実質的に似ていることが示された。表12-9に示すように、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビンをカルシトリオールの局所製剤と併用して処理したそれらの動物の生存率(78%)は、化学療法単独で処理したそれらのラット(80%)ならびに化学療法およびビヒクルで処理したそれらのラット(75%)と似ていた。
Figure 0006608810
要約すると、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびシタラビン群では、カルシトリオールは両方の毛周期においてCIAからの100%の保護を提供し、かつ75〜80%の範囲内にあるその治癒率に干渉することはなかった。
D.シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシド
化学療法の投与
若齢ラット:13日目に、全てのラットに、シクロホスファミド(CTX)(Sigma Aldrich、ロット番号068k1131) 37.5 mg/kgを、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。11〜13日目に、ラットに、0.1 mLのジメチルスルホキシド(Sigma Aldrich、ロット番号078K1428)中の2.5mg/kgのパクリタキセル(タキソール)と特殊な溶媒(標準操作手順を参照されたい)およびHBSS中に希釈した1.5 mg/kgのエトポシド(VP-16)(Sigma Aldrich、ロット番号047K1162)を同時に与えた。
成体ラット:2コース目の化学療法の際は、47日目に、150 mg/kgのシクロホスファミドを、麻酔をかけた(50 mg/kgのケタミン/5 mg/kgのキシラジン)ラットに、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し全量0.1 mLのH2O/マンニトール混合物としてその腹腔内に与えた。2コース目の化学療法の際は、45〜48日目に、先に記載した通りにラットに10 mg/kgのタキソールおよび15 mg/kgのVP-16を与えた。
結果を表12-10および12-11に示す。具体的に述べると、1回目の化学療法(表12-10および図33)後は、シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシドだけを、またはシクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシドをビヒクルと一緒に与えている全てのラットで重度の脱毛症(+4)が生じた。これに対して、シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシドをカルシトリオールと一緒に与えたラットはいずれも、対照群と同様に脱毛症の徴候を全く呈示しなかった。表12-11に示すように、2回目の化学療法後に同様の結果が得られた(図34も参照されたい)。
Figure 0006608810
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さらに、本実験により、カルシトリオールの局所製剤を与えているラットの生存率は化学療法を単独で、またはビヒクルと一緒に与えているそれらのラットと実質的に似ていることが示された。表12-12に示すように、シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシドをカルシトリオールの局所製剤と併用して処理したそれらの動物の生存率(83%)は、化学療法単独で処理したそれらのラット(83%)ならびに化学療法およびビヒクルで処理したそれらのラット(78%)と似ていた。
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要約すると、シクロホスファミド、パクリタキセルおよびエトポシド群では、カルシトリオールは両方の毛周期においてCIAからの100%の保護を提供し、かつ78〜83%の範囲内にあるその治癒率に干渉することはなかった。
E.ドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシド
化学療法の投与
若齢ラット:13〜15日目に、全てのラットに、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用して0.1 mLの蒸留水中の2.5 mg/kgの塩酸ドキソルビシン(Sigma Aldrich、ロット番号038k1349)(ADM)をその腹腔内に与えた。同時に、ラットに2.5 mg/kgのパクリタキセル(タキソール)(Sigma Aldrich、ロット番号078k1428)および1.5 mg/kgのエトポシド(VP-16)(Sigma Aldrich、ロット番号047k1162)を与えた。
成体ラット:2コース目の化学療法の際は、上記化学療法を、麻酔をかけたラット(50 mg/kgのケタミン/5 mg/kgのキシラジン)に対して、1/2 ccインスリン注射器29G 1/2”(B-D)を使用し総量0.1 mLとして腹腔内で47〜49日目に開始した。2コース目の投薬量は次の通りとした:20 mg/kgのADM、10 mg/kgのタキソールおよび15 mg/kgのVP-16。
結果を表12-12および12-14に示す。具体的に述べると、1回目の化学療法(表12-13および図35)後は、ドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシドだけを、またはドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシドをビヒクルと一緒に与えている全てのラットで重度の脱毛症(+4)が生じた。これに対して、ドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシドをカルシトリオールと一緒に与えたラットはいずれも、対照群と同様に脱毛症の徴候を全く呈示しなかった。表12-14に示すように、2回目の化学療法後に同様の結果が得られた(図36も参照されたい)。
Figure 0006608810
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さらに、本実験により、カルシトリオールの局所製剤を与えているラットの生存率は化学療法を単独で、またはビヒクルと一緒に与えているそれらのラットと実質的に似ていることが示された。表12-15に示すように、ドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシドをカルシトリオールの局所製剤と併用して処理したそれらの動物の生存率(80%)は、化学療法単独で処理したそれらのラット(80%)ならびに化学療法およびビヒクルで処理したそれらのラット(83%)と似ていた。
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要約すると、ドキソルビシン、パクリタキセルおよびエトポシド群では、カルシトリオールは両方の毛周期においてCIAからの100%の保護を提供し、かつ80〜83%の範囲内にあるその治癒率に干渉することはなかった。
実施例13.ゲッチンゲン・ミニブタ(登録商標)における局所用カルシトリオールの4週間の皮膚毒性試験
対照、ビヒクル、および試験物質の調製:未使用の対照物質(0.9%注射用塩化ナトリウム、米国薬局方)を試験で使用するために毎週調剤し、冷蔵保存した。ビヒクル(プロピレングリコール(米国薬局方)とエタノール(未変性、無水)(200プルーフ、米国薬局方)との重量比40/60(w/w)混合物)、およびカルシトリオール(米国薬局方、比重0.875)を含有する試験物質は受け取った時の状態で使用し、純度について何の調整も行わなかった。該試験物質は5.07、10.31、および55.34μg/mLの濃度で受け取った。該試験物質はそのまま(希釈せずに)投与した。これらのビヒクルおよび試験物質を試験で使用するために毎週調剤し冷蔵保存した。時には、試験中に必要に応じて追加の試験材料を調剤した。
投与:投与前に、動物の背部から毛を刈り取った。対照動物には2ヶ所の試験部位を設けた;部位1はビヒクルで、また部位2は生理的食塩水で処理した。各部位は450 cm2とし、脊椎により左右両側に分け、その角には消えないマーカーで印を付けておいた。対照群のこれら2ヶ所の試験部位はほぼ均等に分けられていた。必要に応じて度々毛の刈り取りを行った。皮膚が擦りむけないように気を付けた。対照物質、ビヒクル、および試験物質を、試験期間中の4週間(29日間連続して)、1日2回、およそ6時間おいて経皮的に投与した。製剤はガラス撹拌棒または適当な器具を用いて適用部位に均一に適用した。次回の投与前に、水道水で湿らせたワイプオールを用いて残留する試験材料を優しく取り除いた。必要であれば、清潔で乾いたワイプオールを用いて部位の水気を拭き取った。全ての動物に投与した投与量は、前記の適当な製剤にして1800 mgであった。投与濃度は5.07、10.31、および55.34μg/mLであり、2.1 mLの投与量で投与した。対照物質およびビヒクルを、処理群と同じ方法で対照群に投与した。対照動物への投与量は、ビヒクルを1.0 mL、生理的食塩水を0.9 mLとした。観察された臨床徴候の重症度が原因で、23日目には55.34μg/mLの全ての動物に投与を行わなかった。24日目に全ての動物に対して投与を再開した。
結果:本試験は、皮膚適用により4週間1日2回投与した場合のカルシトリオール局所用溶液の潜在的な亜慢性毒性を評価するために行った。4匹の動物/性/ゲッチンゲン・ミニブタ(登録商標)群からなる3つの処理群に、カルシトリオール局所用溶液を5.07、10.31、および55.34μg/mLの各投与濃度で投与した。4匹の動物/性からなる追加の1群を対照として使用し、ビヒクル(プロピレングリコール、米国薬局方、とエタノール(未変性、無水)200プルーフ、米国薬局方、との重量比40/60(w/w)混合物)、および対照物質(0.9%注射用塩化ナトリウム、米国薬局方)を与えた。カルシトリオール局所用溶液またはビヒクルを、450 cm2の試験部位に対して4 mg/cm2の投与量で、29日間連続して1日2回、皮膚適用により全ての群に投与した。
罹患率、死亡率、損傷、ならびに食物および水の利用率に関する観察を、全ての動物について1日2回行った。臨床観察は毎週行った。体重を毎週測定して記録した。適用部位における変化について、第1週の間は各投与後に、その後第2〜4週の間は週に1回(2回目の投与後に)、皮膚刺激性の採点を行った。検眼鏡検査は試験前に行い、さらに最終剖検前の全ての生存ラットに行った。理学的検査は試験前に行った。心電図検査は、試験前、投与前、ならびに1日目および投与最終週の間の1回目の投与から1〜2時間後に行った。臨床病理学的評価用の血液および尿のサンプルを試験前および最終剖検前の全ての動物から採集した。前記試験物質の血漿濃度の測定用の血液サンプルを、1日目および27日目の指定した時点で全ての生存動物から採集した。試験種における濃度-時間データから前記試験物質についてのトキシコキネティック(TK)パラメータを決定した。試験終了時には、剖検検査を実施し、臓器重量を記録し、さらに選択した組織を顕微鏡で調べた。
55.34μg/mL濃度での雄1匹を、試験の28日目にぎりぎりの所で安楽死させた。この動物には、安楽死前に活動の減少、食欲欠乏、および振戦が認められた。この動物の病的状態の原因は、致死レベルに近い血中カルシウムレベルの高さであったと考えられる。残りのミニブタは全て、試験の30日目に予定されていたそれらの終末まで生き延びた。試験の第3週および第4週の期間中、55.34μg/mL濃度で殆どのミニブタにおいて、活動の減少、食欲欠乏、嘔吐、および振戦が観察された。試験の最終週または最後の2週間の間に、55.34μg/mL濃度で雄および雌において軽度の刺激が観察された。5.07および10.31μg/mLでの処理した雄および雌の平均体重および体重の増加は対照と同程度であった。55.34μg/mL濃度で雄および雌はいずれも、試験の最後の2週間の間にかなりの量の体重が減少し、またこの期間中の雄および雌における平均体重はかなり低かった。
試験前および最後の検眼鏡検査では、いずれの動物においても検眼鏡による異常は認められなかった。前記カルシトリオール局所用溶液は質的な心電図異常を引き起こすことはなかったが、末期の投与前と投与後の間で群平均心拍数の軽度の増加が見られた。この心拍数の増加は、試験期間中のこれらのミニブタにおけるカルシウムレベルの顕著な上昇と明らかに関連している。カルシトリオール局所用溶液が心電図の定量パラメータに与える投与量関連効果は他に見られなかった。最終評価では、雄または雌においてカルシトリオール局所用溶液に関連する血液学上、凝固上または尿検査上の変化は観察されなかった。幾つかの臨床化学上の変更が55.34μg/mL濃度で見られたが、最も注目すべきは、観察されたカルシウムレベルの致死レベルに近い高さであった。見られた他の変化は、低い塩化物値、ならびに高いコレステロール、グルコース、尿素窒素、およびトリグリセリドの値であった。
カルシトリオール局所用溶液に関連する肉眼的病理所見は、55.34μg/mL濃度での1匹の雌の軽度の不整面からなる胃粘膜に限られていた。55.34μg/mL濃度では、対照と比較して、いずれの性別においても絶対的および相対的な腎臓重量の増加および胸腺重量の減少が見られた。カルシトリオール局所用溶液に関連する直接的な顕微鏡所見は、骨、腎臓、心臓、処理した皮膚、胸腺、および甲状腺に見られた。また、カルシトリオール局所用溶液に関連する直接的な所見には、多中心性血管変化および多中心性粘膜鉱化が含まれていた。試験物質に関連する間接的な顕微鏡所見は膵臓で認められた。これらの微視的変化は両方の性別において見られ、また該変化は55.34μg/mL濃度で投与した動物に限られていた。
大腿骨、胸骨、および肋骨の微視的変化は、骨幹皮質骨および骨小腔に限られていた。それらの変化は骨ジストロフィーおよび好塩基性基質の沈着を特徴としていた。腎臓の微視的観察結果は、鉱化、細管変性/再生、および亜急性の炎症を特徴としていた。心筋層の微視的観察結果は、筋原繊維の鉱化、亜急性の炎症および血管変化であった。さらに、1匹の雄と1匹の雌には心内膜の鉱化が生じていた。多中心性の粘膜/上皮鉱化は、その程度の高い箇所から順に、胃粘膜、肺、喉頭、気管、前立腺、唾液顎下腺、および膀胱において観察された。カルシトリオール局所用溶液に関連する血管変化は広範囲にわたって見られ、主に小型〜中型の血管に影響を及ぼしていた。それらの変化は主に心臓および骨小腔内で、また散発的に種々の臓器/器官系で観察された。処理した皮膚の微視的変化は、表皮の過形成および過角化ならびに真皮浅層(superficial dermis)での血管周囲混合細胞の炎症を特徴としていた。胸腺、甲状腺および膵臓の微視的変化は、それぞれリンパ球枯渇、ろ胞細胞肥大および単細胞壊死を特徴としていた。
本試験の結果を踏まえると、55.34μg/mL濃度で見られた臨床化学および微視的変化に基づく無毒性量(NOAEL)は10.31μg/mLであると考えられる。
実施例14.前臨床研究:ラット及びマウスでの実験
新生ラットモデル及び化学療法後脱毛症(PCA)モデル
スプラーグドーリーラットは、Charles River Laboratories(Wilmington、マサチューセッツ州)から購入した。C3H/HeJマウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbour、メイン州)から購入した。げっ歯類は、NIHガイドラインに従って収容し給餌した。化学療法を含む実験には、シクロホスファミドをMead Johnson(Evansville、インディアナ州)から購入し、エトポシドをBristol-Myers(Evansville、インディアナ州)から入手した。1,25(OH)2D3粉末は、Uskokovic博士(Hoffman-La Roche、Nutley、ニュージャージー州)からの贈呈物であった。C3H/HeJマウスを含む実験には、1,25(OH)2D3をSigma(St.Lous、ミズリー州)から購入した。
1,25(OH)2D3の局所適用
1,25(OH)2D3を純エタノールに溶解し、アプリケーターを用いて局所的に適用した。対照動物は、媒体のみで同様に処置した。次いで、動物を3時間隔離し、続いて処置区域を石鹸及び水で洗浄し、乾燥した。CIAの実験では、1,25(OH)2D3の毎日付与を、出生の5日後に開始し10日目に終了した。PCAの実験では、1,25(OH)2D3の毎日付与を、動物が完全脱毛である22日目に開始し35日目に終了した。CIA及びPCAでは、実験群を、頭頸部にわたって局所的に適用される150μLの純エタノール中の0.2μgの1,25(OH)2D3で処置した。双方の例で、対照群はエタノール媒体のみを受け入れた。シクロホスファミド(35mg/kg)は1日間のみ腹膜内に付与した。エトポシド(1.5mg/kg)は3日間腹膜内に付与した。双方の化学療法を11日齢の時点で開始した。脱毛症を、化学療法の初回用量から10日目に記録した。
最初の実験では、シクロホスファミド誘発性脱毛症からの防護について試験し、1,25(OH)2D3の効力を評価した。ラットは、それぞれ10尾のラットからなる2つの群に無作為化した。一方の群はビヒクル対照を受け入れ、他方は0.2μgの1,25(OH)2D3を受け入れた。対照群の10尾のラットは、すべて、化学療法の10日後までに完全に脱毛症性になった。対照的に、1,25(OH)2D3で前処置された動物は、すべて、脱毛症を発症しなかった。次の実験では、前以て投与されたシクロホスファミドで誘発された完全身体脱毛症(汎発性脱毛症)を有する20、22日齢のラットを、それぞれ10尾からなる2つの群に無作為化した。さらに、エトポシド投与で誘発された汎発性脱毛症を有する20、22日齢のラットも、それぞれ10尾の動物からなる2つの群に無作為化した。シクロホスファミド及びエトポシド誘発性脱毛症の1つの群は、1,25(OH)2D3を受け入れ、1つの群は媒体対照を受け入れた。動物を、完全な毛髪再生が得られるまで観察した。双方の対照群で、動物の100%が、42日目までに毛髪の完全再生を示した。対照的に、1,25(OH)2D3で処置されたラットは、全身の毛髪再生が50日目まで遅延された。
円形脱毛症のC3H/HeJモデル
廃棄される繁殖動物(8ヶ月齢)をAA病変の発症について毎日観察した。10ヶ月齢の時点で、背側区域に脱毛症の局所的病巣を示した6尾の動物からなる群を選択し、それぞれ3尾の動物からなる2つの群に無作為化した。一方の群はエタノール媒体対照を受け入れ、他方の群は脱毛病変に0.2μgの1,25(OH)2D3を15日間受け入れた。動物を全部で30日間観察した。対照又は実験群において、毛髪の再生は観察されなかった。
5日齢のロングエバンスラットに、MIAC51細胞(ラット緑色白血病細胞株)の単回腹腔内(IP)注入後、緑色白血病を誘発した。毛髪成長に対するカルシトリオール(2μg/mL)の効果を、新生動物(6〜11日目に曝露)及び成体動物(40〜45日目に曝露)で評価した。カルシトリオールの局所適用に続いて、両齢の動物群に種々の化学療法薬(シクロホスファミド、シクロホスハミド+ドキソルビシン、シクロホスファミド+ドキソルビシン+シトシンβ-D-アラビノフルクトサミン(cytosine beta-D arabinofurosamine)、シクロホスファミド+パクリタキセル+エトポシド、及びドキソルビシン+パクリタキセル+エトポシド)を投与した。それぞれの実験で、カルシトリオールは、最初の及び次の(すなわち、新生及び成体動物で)化学療法サイクルの後に、双方ともCIAからの100%の防護をもたらした。カルシトリオールで処置されていない他の群(緑色白血病対照、化学療法薬の単独、化学療法薬+媒体)で、CIAは変化しなかった。また、カルシトリオールは化学療法薬の効力に影響を及ぼさず、白血病のない動物の数は、化学療法群単独、化学療法群+媒体、及び化学療法群+カルシトリオール局所溶液において類似していることが観察された。
次の研究を、5日齢のスプラーグドーリーラット又はロングエバンスラットで実施し、CIAに対するカルシトリオールの防護能力を評価した。CIAを、5〜10日齢目に1、2又は3μg/mLの濃度で局所的に投与し、続いて種々の化学療法薬(エトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン+シクロホスファミド、シトシンβ-D-アラビノフルクトサミン、シトシンβ-D-アラビノフルクトサミン+ドキソルビシン、及びパクリタキセル)を投与した。1つの実験では、MIAC51細胞を5日目に投与し、緑色白血病を生じさせ、次いで、動物にカルシトリオール+シクロホスファミドを投与した。CIAからの防護は、時間依存性であり:1.5時間の曝露後に防護は起こらなかったが、6時間の曝露後に完全な防護が観察された。カルシトリオールは、試験したすべての濃度(すなわち、1〜3μg/mL)で、6時間適用すると、試験したすべての化学療法薬で誘発されるCIAに対して100%の防護を提供した。さらに、1μg/mLで、毛髪の成長は、処置された区域(頭頸部)に限られたが、3μg/mLで、毛髪の成長は動物の背側領域(非処置区域)でも観察されることが注目された。最後に、カルシトリオールの投与は、緑色白血病が誘発された場合のシクロホスファミドに関連する治癒率(又は白血病のない動物の数)に影響を及ぼさなかった。
カルシトリオールの二次的な薬力学的効果は、十分に理解されており、骨、腸、免疫系、及び副甲状腺の変化が挙げられる。
結論
本明細書中に示した結果は、1,25(OH)2D3が、化学療法誘発性脱毛症に対して防護効果を発揮するが、脱毛症自体を治療することはないことを強く示唆している。CIAにおける1,25(OH)2D3の予防効果の背後にある理論的根拠は、健常な毛包を、引き止め、それによって化学療法に対して抵抗性にすることができることである。しかし、既にアポトーシス性である毛包において、1,25(OH)2D3での治療は、いかなる利益も提供しない。
別の動物研究の知見は、局所カルシトリオールの適用がCIAの発生率を低下させることができる潜在的機構を立証した。C57BL/6マウスにおいて、カルシトリオールでの局所処置は、シクロホスファミドで誘発される毛包のアポトーシスの度合いを有意に低下させることが立証された。最初の成体成長期の毛包を調べ、性差を評価することを可能にする動物モデルであるBALB/cマウスを用いて実施された別の実験は、シクロホスファミドの腹腔内投与に先立つカルシトリオールの5日間の局所適用が、31尾の雄性マウスにおいて、CIAの度合いを用量依存的に有意に低下させることを立証した。局所カルシトリオールの防護効果は、EMT-6マウス乳腺腫瘍細胞を注入され腫瘍を所持する雄性マウスで低下した。対照的に、EMT-6マウス乳腺腫瘍細胞を注入され腫瘍を所持する雌性マウスにおいて、局所カルシトリオールでの前処置は、腫瘍のない雌性マウス及び腫瘍を所持するそれらの雄性対比マウスに比較して、シクロホスファミド誘発性脱毛症に対してより効率的な防護効果を有した。死後皮膚の組織病理学的検査は、毛包におけるシクロホスファミドで誘発される形態学的変化の著しい低下、及びシクロホスファミド誘発性毛包傷害からの防護効果を立証した。しかし、このモデルにおいて、局所カルシトリオールで処置されたマウスと溶液に曝露されなかったマウスとの間で、アポトーシス染色パターンの有意差は示されなかった。
一方、新生ラットモデルに代わって雌性C57BL/6若齢マウスを使用する別の動物研究は、シクロホスファミド誘発性脱毛症の予防における局所カルシトリオールの効力を立証できなかった。しかし、興味深いことに、色素が形成された毛幹の再生は、有意に加速、増強され、且つ定量的に改善された。組織病理学的研究は、これは、化学損傷に対して「異栄養性退行経路」の応答を促進する毛包、傷害されていない新たな成長期毛球の並外れた急速再建を可能にする毛包修復戦略のためである可能性があることを示唆した。
複数のインビボでの動物研究は、化学療法のがん細胞に対する細胞毒性から防護するカルシトリオールの潜在的効果を立証できなかった。緑色白血病C51細胞を移植され、シクロホスファミド処置に先立って0.2μgの1,25(OH)2D3で前処置されたスプラーグドーリーラットとエタノール媒体で前処置されたラットとの間に、生存率に関する統計的有意差は見られなかった。より重要なことに、EMT-6マウス乳腺腫瘍を所持する雄性マウスのシクロホスファミドの腹腔内投与に先立つ局所カルシトリオールでの前処置は、いずれかの薬剤の単独で処置されたマウスに比較して、腫瘍成長速度のより大きな低下をもたらし、カルシトリオールの潜在的抗腫瘍効果を示唆している。同様に、扁平上皮癌及びヒト前立腺細胞癌を所持するマウスの、2.5μgのカルシトリオールでの1日3用量で3日間の前処置、それに続く種々の用量のパクリタキセルの投与は、有意な腫瘍退縮をもたらした。
実施例15.テンジクネズミにおけるカルシトリオールの皮膚感作研究
誘導期
10尾の雄性及び10尾の雌性テンジクネズミからなる1つの群は、6時間の局所パッチ貼付を介して試験物への誘導曝露(十分に耐用性である範囲発見スクリーニングで決定された最高濃度で)を受け入れた。誘導曝露は、皮膚の同じ部位で週に1回、2週間繰り返された。媒体及び陽性対照群は、5尾の雄性及び5尾の雌性テンジクネズミから構成され、それぞれ、処置群と同じ方式で、プロピレングリコール/無水エタノール又はヘキシルシンナムアルデヒド(既知の軽度〜中度皮膚感作剤)にそれぞれ曝露された。誘導期中にパッチを除去してほぼ24時間の時点で、皮膚の反応を評点化し、記録した。最後の誘導曝露の後、チャレンジ曝露の前の2週間、動物を未処置のままにした。
チャレンジ期
チャレンジ曝露は、最後の局所誘導の2週間後に実施した。試験物を、媒体対照及び試験群に、刺激スクリーニングで非刺激性であると判定された濃度で局所的に適用した。媒体対照群も媒体でチャレンジされた。陽性対照群は、陽性対照物を受け入れた。パッチを除去してほぼ24時間及び48時間の時点で、チャレンジ適用の部位を評点化した。この研究条件下で、5.7μg/gのカルシトリオールは、感作剤であるとは判定されなかった。
実施例16.ウサギにおけるカルシトリオール局所溶液の眼刺激研究
この研究は、カルシトリオール局所溶液の潜在的な眼刺激及び/又は侵食作用を評価するために実施した。3尾の雄性ニュージーランド白色Hra:(NZW)SPFウサギからなる1つの処置群に、試験物をそれぞれ0.1mL/動物の用量レベルで、1日目に1回、右眼を介して投与した。左眼は、非処置のままにし、対照とした。
罹患率、死亡率、傷害、並びに食餌及び水の利用度に関する観察を、すべての動物について1日2回実施した。眼の観察及び刺激の評点化を、投与の1、24、48及び72時間後、及び5、8、10及び15日目に実施した。投与の24時間後の評価に続いて、それぞれの眼に対してぬるま湯での洗浄を実施した。投与に先立って体重を測定し、記録した。研究終了時に、すべての動物をさらなる評価なしで安楽死させた。
刺激評点は10日目を終えて提供された。最も重度な評点は、一般には、投与の1時間後の観察に限られた。眼刺激の痕跡は、投与の24時間後でも存在したが、投与の1時間後の観察よりも、一般には重症度が低かった。3日目まで、すべての評点化は、発赤を除いてゼロに戻った。評点1(一部の血管が明らかに充血)が、10日目を終えて観察された。眼刺激のすべての痕跡は、15日目までに消散した。研究結果に基づいて、カルシトリオール局所溶液は、3日目までにほとんど消散され15日目までに完全に消散される、眼の中度の刺激を引き起こした。
動物研究の要約
上に示した動物研究、例えば、実施例1、9、10、11、13、14、15及び16は、脱毛症におけるビタミンD化合物の効果、及び本発明の文脈における、CIAの予防又は軽減に対するビタミンD化合物の適用可能性を特徴付けるために実施された。
ヒトでの疾患を綿密に模擬する動物モデルの利用可能性のため、CIA及び円形脱毛症(AA)の双方とも広範に研究されてきた。これに関し、脱毛性化学療法(シタラビン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ドキソルビシン/シクロホスファミド、エトポシド)が、新生ラットモデル(スプラーグドーリーラット)において脱毛症を誘発することが以前に立証された。このモデルで、8〜11日齢のラットは、腹腔内に化学療法を注入される。脱毛症は、5〜7日後に起こり、観察される脱毛に応じ等級化される。防護化合物は、出生の5日後から6日間付与される。このモデルは、毛包がこの段階で100%成長期の状態で存在し、そのことがそれらの毛包を化学療法の毒性に対して敏感にし且つヒトの境遇に匹敵しているので、CIAを研究するのに有用である。このモデルは、極めて有効で再現性のあるモデルであり、CIAに対する防護製剤を研究するのに使用することができる。このモデルの欠点の1つは、毛包が出生後の最初の毛髪成長サイクルの状態で存在すること、及びラットが白色毛を有し色素形成を欠くことである。対照的に、新生ロングエバンスラットの使用は、色素が形成された毛髪を研究することを可能にする。化学療法の効果を研究するのに広範に使用される別のモデルは、成体C57BL/6マウスモデルである。このモデルの毛包は、いくつかの出生後成長サイクルを経ており、毛幹は、ヒトの頭皮に類似して色素形成されている。この特定のモデルにおける成長期サイクルは除毛によって誘発され、除毛処置の8〜9日後に観察される。このモデル及びシクロホスファミドを使用して、化学療法の細胞毒性に対する応答として、毛包は、化学療法誘発性脱毛症の開始及び毛髪再生のパターンを決定する2つの経路:異栄養性成長又は異栄養性退行を利用することが立証された。CIAを研究するのに使用されている新たなモデルは、成体ロングエバンスラットモデルであり、該モデルは、いくつかのサイクルを経てしまった毛包を研究することを可能にし、ラットは色素形成された及び色素形成のない毛髪の双方を所持する。さらに、成長期の誘発は、除毛によって誘発される毛包への外傷を回避できる方法である、柔毛をバリカンで剃ることによって実施される。脱毛症、より具体的にはAAを研究するためのもう1つの優れたモデルは、C3H/HeJマウスモデル26であった。このモデルで、動物の20%は、房状に又は全身の至る所(汎発性脱毛症)に脱毛症を18ヶ月齢までに自然に発症する。脱毛症のパターン及び組織病理学的分析は、この動物における病理学がヒトのそれとほとんど同一であることを示した。1,25-ジヒドロキシビタミンD3は、毛包角化細胞の分化を調節し、それらを化学療法の毒性代謝産物に対して抵抗性にすることによって防護する。
実施例17.進行又は再発疾患を治療するためにタキサンをベースにした化学療法レジメンを受け入れている成人がん患者における局所カルシトリオールの安全性、耐用性及び薬物動態を評価するための第I相用量漸増研究
1.0 概要
これは、乳腺、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、卵管、原発性腹膜癌、又は軟部組織及び骨肉腫の転移又は再発がんを有し、タキサンをベースにした(パクリタキセル/ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル/ドセタキセル)レジメンによる化学療法を受けている患者における、局所カルシトリオールの最大耐用量(MTD)並びに総合的な安全性及び耐用性を決定するための用量漸増研究である。標準的な3+3用量漸増設計が、3〜6名の患者に各用量レベルで採用される。18歳を超え、医師の裁量により治療休止を伴うタキサンをベースにしたレジメンを受け入れる予定の適格患者は、化学療法の開始の2週間前に、局所溶液をそれぞれのコホートの用量レベルで1日2回適用することを開始し、次いで、1日2回で3ヶ月間、又は化学療法による治療が終了するまで継続する。局所カルシトリオールが、写真評価及び患者の自己評価によって判定した場合に、タキサンでの化学療法で誘発される脱毛症を予防及び/又は縮小するのに有効であることが見出されたら、患者は、化学療法による治療の継続期間中、局所適用を継続することを許容され、局所薬に関連した用量制限毒性(DLT)は観察されないと見なされる。局所カルシトリオールに対する毒性は、治験臨床医、医師又は看護師のどちらかにより、局所治療の最初の28日間は毎週を基準にし、その後4週毎に評価される。薬物動態(PK)研究の目的で、血液サンプルを、局所治療の1日目に次の時点:投与前、1日目の朝の単回適用の2時間(±30分)後、4時間(±30分)後、及び8時間(投与後±1時間)後に採取する。薬物製品の次の適用は、初回適用の10〜14時間後、及びPKサンプルの8時間後に適用される。その後、局所適用の頻度は、毎日2回、朝及び夜である。続いて、PKサンプルは、それぞれ28日間の治療の最終投与の12時間(±2時間)後であって次の28日間の治療サイクルの1日目の初回適用の前に採取される。この予定は、3回の連続28日間の局所治療サイクルの間継続する。(PKは、1、5、9、13週目の時点で抜き取られる。さらに、患者が依然として治験を継続しているなら、PKは54週目の時点でも抜き取られる)。
第2の目的として、局所カルシトリオールの潜在的効力を、写真評価によって評価する。写真評価は、すべての登録患者間での標準化及び均一性を確実にするため、Canon Power Shot G12カメラシステムを使用して実施する。それぞれの写真評価時点で次の5枚の写真:両側頭部/頭皮の写真、前頭部/顔の写真、後頭部/頭皮の写真、及び頭頂部/頭皮の写真が得られる。さらに、同じ時点でクローズアップ写真を撮影する。これらは、上部視界からの頭皮の中心パターン、及び中心で分けられ中心部分から櫛で離された毛髪を伴う頭頂写真を含む。写真は、照明、カメラアングル、及び参加者の頭部に対する位置に関して標準化される。これらの評価は、次の時点:ベースライン、7、15、27及び54週目の時点で実施される。ベースライン、治療7週目及び15週目を代表する各コホートの患者に関する写真は、少なくとも3名の患者が15週間の治療を完了した後に、主任治験責任医師に対して盲検化して提供される。写真は、治験の27週目及び54週目の時点でも撮影されるが、二次情報として最終写真評価中に含められる。さらに、すべての患者は、服薬遵守を保証するため、治療中に適用日誌を維持管理するように求められる。さらに、患者は、患者によって報告される効力を評価するために、毛髪の厚さ、毛髪の豊かさ、毛髪の破損、及び毛髪の化粧的品質(整髪の容易さなど)の10点のアナログ尺度に基づく評価を義務付る自己評価日記を維持管理する。ベースライン、7週目及び15週目の写真の主任治験責任医師による臨床評価を、患者の日記情報と一緒に、脱毛症の一次評価のために使用する。治験は、スクリーニング期間を含めてほぼ12ヶ月間にわたって行われると予想される。
2.0 目的及び科学的目標
主要目的:タキサンをベースにした化学療法レジメンを受けている成人がん患者における、局所カルシトリオールの最大耐用量(MTD)、並びに総合的な安全性及び耐用性を決定すること。
副次目的:カルシトリオールの異なる用量レベルでの単回及び多回投与の薬物動態を測定すること、及び化学療法誘発性脱毛症を予防するためのカルシトリオール局所溶液の予備的効力を評価すること。
3.0 治験デザイン/介入の概要
短い治療継続期間は、頭皮の毛包において退行段階を誘発するのに十分ではなく、その後、それらの毛包を化学療法の細胞毒性に対してより感受性にする可能性がある。これに対処するため、局所カルシトリオールは、CIAに対する防護を提供すると期待される退行段階を誘発するための試みにおいて、化学療法の開始の少なくとも5〜7日前(例えば、好ましくは少なくとも2週間前)に開始して適用される。毎日基準での連続適用は、タキサンを含むレジメンの多回用量の投与中での退行段階の維持及び長期防護を確実にする。
3.1 デザイン
これは、シングルアーム、用量漸増第I相治験である。適格患者は、化学療法の初回投与の2週間前に、カルシトリオール局所製剤を頭皮に1日2回適用することを開始し、適用を化学療法での治療の終了まで1日2回で継続する。用量漸増は、この薬剤に関するMTDを求めるために、局所カルシトリオールに帰せられるグレード3以上の毒性の不在下で、直前の用量群の段階的増分で行われる。用量制限毒性(DLT)(9.2節で定義)は、可能性としては、おそらくは、又は明らかに局所カルシトリオールに関連していることが必要であり、関係している治験責任医師によって決定されるのが最良であるような、タキサンをベースにしたレジメンに関連しない。同様に、化学療法レジメンの適切な用量の修正又は治療中断は、前以て規定されたガイドライン(9.2.2〜9.2.7節で規定)及び最新の管理基準により実施される。局所カルシトリオール製剤のDLTの決定は、最初の28日間の局所薬適用の間になされる。対象は、曝露レベルを決定するために、十分な安全性の監視さらには即時的PK解析を伴って管理される。PK解析は、それぞれ次のコホートが前進する前になされる。薬物動態(PK)研究が目的である場合、血液サンプルは、局所治療の1日目に次の時点:投与前、1日目の朝の単回適用の2時間(±30分)後、4時間(±30分)後、及び8時間(投与後±1時間)後に採取される。薬物製品の次の適用は、初回適用の10〜14時間後、及びPKサンプルの8時間後に適用される。その後、局所適用の頻度は、朝と夜の1日2回である。続いて、PKサンプルは、それぞれ28日間の治療の最終投与の12時間(±2時間)後で、次の28日間の治療サイクルの1日目の初回適用の前に採取される。この予定は、3回の連続28日間の局所治療サイクルの間継続する(PKは、1、5、9、13週目の時点で引き出される。さらに、患者がなお治験を継続しているなら、PKは54週目の時点でも引き出される。
3.2 介入
乳腺、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、卵管、原発性腹膜癌、又は軟部組織及び骨肉腫の転移又は再発がんと診断され、タキサンをベースにした(パクリタキセル/ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル/ドセタキセル)レジメンでの化学療法を受ける予定である患者は、参加適格性についてスクリーニングされる。すべての適格患者は、化学療法の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13日前(例えば、好ましくは少なくとも2週間前)に、頭皮の4つの四分円のそれぞれ-右前、左前、右後、左後に0.25mLのカルシトリオールを1日2回、ポンプ式定量噴霧器具を用いて適用することを開始し、その後化学療法の終了まで1日2回で継続する。局所カルシトリオールが、写真評価及び患者の自己報告で判定してタキサンをベースにした化学療法で誘発される脱毛症を予防及び/又は縮小するのに有効であることが見出されたら、患者は、彼らの化学療法による治療の継続期間中に1日2回の局所適用を継続することを許容され、局所薬に関連するDLTは観察されないと見なされる。化学療法による治療の前又は間に毛髪を剃ることを選択する患者は、試験から除外される。局所溶液は頭皮に適用される。毛髪及び頭皮は乾燥しているべきであり、又は適用がシャンプー直後であるなら、毛髪及び頭皮は湿っているはずであり、局所溶液を適用する前に毛髪及び頭皮をまずタオルで乾燥することによって、触っても湿っていないことが必要である。各適用後の少なくとも8時間は、毛髪及び頭皮を洗浄もシャンプーもしない。患者は、洗浄又はシャンプーの前にカルシトリオールの2回以下の連続用量を適用できることを助言される。治療は、毛髪周期の退行期を誘発し、退行期は最終適用後に2〜3週間続く。薬物の適用は、多様な化学療法治療の初めから終わりまで、この退行期の防護を確実にする。
4.0 治療/診断薬
治験製品:(米国薬局方、カルシトリオール)局所溶液
化学名:(5Z,7E)-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1α,3β,25-トリオール
IUPAC名:(1α,3β,5Z,7E)-9,10-セココレスタ-5,7,10(19)-トリエン-1,3,25-トリオール
別名:カルシトリオールは、1α,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、1(S),25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-DHCC、1,25-(OH)2D3としても知られる
分子式:C27H44O3
CAS番号:32222-06-3
分子量:416.6
融点:129〜131℃
化学安定性:室温で安定
投与経路:局所
供給方法:LDPEの内張り付の18mm黒色フェノール樹脂製スクリューキャップを備えた33mL琥珀色ガラス瓶(III型ガラス)。別々に包装されたPfeiffer局所噴霧ポンプ(0.25mL)(白色)(使用研究のみに)。
臨床試験製剤:カルシトリオール局所溶液に関して提案された臨床試験製剤は、プロピレングリコール/アルコールの重量比が40/60のプロピレングリコール(米国薬局方)及び200proofの無水未変性アルコール(米国薬局方)からなる媒体中にカルシトリオール(米国薬局方)を含む。ヒトでの治験のための局所溶液用媒体中でのカルシトリオールの濃度は、非臨床毒物学の完了に基づいて決定された。提案された第I相治験は、5、10及び20μg/mLの濃度のカルシトリオールを利用する。
包装:提案された第I相臨床用薬物製品は、黒色フェノール樹脂製スクリューキャップを取り付けた33mL容量のIII型琥珀色ガラス瓶中に包装される予定である。提案された薬物製品は、また、アプリケーターを圧縮するごとに0.25mLを均一に分取する能力のある別個に包装された定用量分取アプリケーターシステムを含む。薬物製品の総投与量は、1.0mLであるか、定量単位での4回の反復適用であるように予定される。薬物製品の全部で1.0mLの適用は、適用間に10〜14時間を置いて朝及び夜の1日2回である。
患者には、28mLの薬物製品(0.25mL×4回の適用×1日2回×14日=28mL)を分取するのに十分なほぼ31.5mLの局所溶液薬物製品を含むカルシトリオール局所溶液の琥珀色ガラス瓶を1つ供給する。ガラス瓶単体には、使用上の説明、使用上の注意、及び臨床施設が患者IDに割り当てた場所を記載したラベルを適切に貼り付ける。各単体は、瓶のキャップ及び瓶の頂部を覆うプラスチック製安全封印で護られる。患者は、カルシトリオールの適用法に関する説明書と共に適用日誌が提供され、各適用の日時を記録する。研究スタッフは、患者が、各来診時に、使用したガラス瓶、適用日誌、及び自己評価日記を持参することを依頼することによって服薬遵守を監視する。研究スタッフは、瓶及び適用日誌を吟味し、スタッフのコメント、署名、及び各吟味の日付を記録することによって局所治療投与の服薬遵守及び文書監視を確実にする。
使用時点で、患者は、安全封印を引き剥がし、瓶のキャップを取り去り、特別に設計されたポンプ式噴霧器具を瓶中に挿入し、それを瓶の所定位置に固定する。患者は、ポンプを3回押し下げてポンプに呼び水を入れること、次いで頭皮の各四分円に0.25mLの製剤を4回に分けて噴霧すること、続いて頭皮をマッサージして製品の均一な分配を確実にすることによって、製剤を分取するように説明される。この投与レジメンは、化学療法を開始する前の連続14日間、朝及び夜の1日2回、その後1日2回の基準で繰り返される。供給される臨床製剤は、使用のために患者に付与されるまで冷蔵温度(5〜8℃)で貯蔵される。使用中、患者は、製剤を室温で貯蔵する。
貯蔵:提案されたIND第I相臨床用のバッチに関して評価される安定性貯蔵条件を次表に記載する:
第I相臨床試験のために提案された安定性貯蔵条件
Figure 0006608810
投与の理論的根拠:
非臨床動物研究でのNOAEL(無有害作用量)は、10.31μg/mLであった。カルシトリオールの動物とヒトでの用量を比較するために、安全裕度(MOS)を、4週間のミニブタ研究でのNOAEL用量及び来たるべき臨床試験の初回用量を使用して計算した。ミニブタで、10.31μg/mLのNOAELは、3.33μg/kgの用量に相当する(10.31μg/mL×2.1mL(投与容積)×2回/日+13kg[4週目のミニブタの平均体重])。ヒトでは、5μg/mL×1mL×2回/日*60kg)。これらの用量に基づいて、MOSは、初回臨床用量を超える十分な裕度である20である。初回用量が毒性をもたらすなら、患者は研究から除外される。
5.0 対象の適格性に関する基準
研究は、乳腺、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、卵管、原発性腹膜癌、又は軟部組織及び骨肉腫の局所的に進行した切除不能及び/又は転移がんと診断され、医師の裁量によりタキサンをベースにした(パクリタキセル/ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル/ドセタキセル)化学療法レジメンでの治療を受ける予定である患者において実施される。
5.1 対象の組み入れ基準
・少なくとも18歳の成人患者。
・インフォームドコンセントの過程で完全に理解し、参加できる。
・病理学的に確認された、乳腺、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、卵管、原発性腹膜癌、又は軟部組織及び骨肉腫の局所的に進行した切除不能及び/又は転移がんの履歴。
・医師の裁量によりタキサンをベースにした(パクリタキセル/ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル/ドセタキセル)レジメンを受ける予定である。
・脱毛症又は軽度脱毛症(遠方からでは明白でないが接近した検査のみで明白である個体に関して正常の50%未満の脱毛として定義され、脱毛を覆うために異なる髪型が必要とされる可能性があるが、隠ぺいするためのウィッグもヘアピースも必要としない、NCI CTCAEでグレード1の脱毛症)の証拠を有さない。NCI-CTCAE v.4.0によるグレード1を超えないなら、女性/男性型禿頭症又は加齢関連脱毛は許容される。以前に毛髪を失った対象は、現にグレード0又は1の脱毛症を有しているなら登録できる。
・登録前の14日以内の0又は1のECOGパフォーマンススコア。
・登録前の72時間以内に1500細胞/mm3を超えるベースライン好中球数を有する。
・登録前の72時間以内にULN以下の血清中カルシウムを有する(アルブミンが3.0より低い患者では、補正された血清中カルシウム=血清中カルシウム+[0.8][3.5-血清中アルブミン])。
5.2 対象の除外基準
・局所カルシトリオールの開始から4週間以内にカルシウム低下療法又はカルシウムレベルに影響を及ぼす可能性のある薬物(例えば、カルシトニン、ミトラマイシン、ホスフェート、デノスマブ)を受け入れている患者。試験を開始する前に3ヶ月間以上ビスホスホネート又はカルシウム低下療法で管理され、且つカルシウム代謝の安定性に関する立証された証拠を有する患者は、試験への参加に関して適格と見なされる。
・治験責任医師が判定して、治験登録から1年以内に、薬物又はアルコール乱用の履歴を有する。
・化学療法を開始する前に頭皮の毛髪を剃ることを選択する、又は化学療法での治療中にそうするように計画している患者。
・治験責任医師の見解で、治験薬剤の吸収に影響を及ぼす任意の皮膚科学的状態、例えば、アトピー性皮膚炎など。
・治験を開始する前の30日又はその生物活性の6半減期のどちらか長い方以内に治験薬で治療されていた(患者は、別の試験に同時に登録されてはならず、別の治験薬で同時に治療されてもならない)。
・治験責任医師による判断で、現に又は治験に入ってから30日以内に高カルシウム血症又はビタミンD毒性の、或いは狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不全、又は精神病の治療のための入院の履歴を有する患者。
・治験責任医師の判断で、カルシトリオールへの重大なアレルギーの履歴を有する。
・対象が治験の要件を理解又はそれに従う能力を妨げるなんらかの状態を有する。
・患者が治験を開始する前に30日間以上ビタミンDサプリメントを摂取しており、且つ治験間中ビタミンDサプリメントの用量が同じままである場合を除いて、治験の間、ビタミンDサプリメントを摂取する患者。
・6ヶ月超にわたって安定的な療法を継続している対象を除く、局所療法の開始から4週間以内にカルシウムレベルに影響を及ぼすことが知られている薬剤(500IUを超えるビタミンA、カルシウムサプリメント、フッ化物、抗てんかん薬)で治療された患者。
・6ヶ月を超えて安定的な用量を服用し且つ療法を継続している対象を除く、チアジド又はフロセミド利尿薬を受け入れている患者。
・高カルシウム血症又は腎臓結石を有する患者。
・最近の30日以内に、過酸化物の適用、持続性染毛、漂白、ストリーキング、パーマ、縮毛矯正剤及び/又は酸化染毛剤による重大な毛髪破損又は毛髪損傷、及び過剰な毛髪処理に由来する関連脱毛を有することを示す患者。
・NCI-CTCAE v.4.0によるグレード2以上の脱毛症、又は重大な脱毛又は毛髪破損。
・頭蓋への過去の放射線。
・妊娠又は授乳。
6.0 募集計画
患者は、適格性の基準に合致するなら、参加する機会を提供される。マイノリティーに対する差別は存在しない。インフォームドコンセントを患者から得る。同意は、同意を得る権限のある治験責任医師が入手する。患者は、この治験への参加に関していかなる報酬も受け取らない。
7.0 前治療の評価
カルシトリオールの開始の少なくとも5〜9日前(例えば、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、又は少なくとも2週間前)に、次のものが要求される:
・併用薬剤を含む完全な医療履歴及び理学的検査。
・個別的総合的化学パネルを含めたCBC、血清中リンレベル、及び尿検査。
・血清中1,25ジヒドロキシビタミンD。
・妊娠検査(本明細書中に概略的に示す妊娠検査は、出産潜在能力のある女性(WCBP)のみに対するものである)。WCBPに関する基準に合致せず、且つ出産潜在能力のない女性に関する基準に合致するすべての女性を除外されたい。出産潜在能力のある女性とは、初経を経験し、且つ「出産潜在能力のない女性」に関する基準に合致しない任意の女性と定義される。出産潜在能力のない女性とは、永久的に不妊化された女性(例えば、卵管閉塞、子宮切除、両側卵管摘除、両側卵巣摘除)、45歳を超え、ホルモン補充療法を利用せず、且つ月経の全休止を少なくとも1年間経験したか、40mIU/mLを超える卵胞刺激ホルモン(FSH)値及び40pg/mL(140pmol/L)未満のエストラジオール値を有する女性、並びに45歳を超え、ホルモン補充療法を利用し、且つ月経の全休止を少なくとも1年間経験したか、ホルモン補充療法を開始する前の40mIU/mLを超えるFSH及び40pg/mL未満のエストラジオールに基づいた閉経の文書化された証拠を有する女性と定義される。
・化学療法前の毛髪及び頭皮の写真記録(治験用ベースライン評価として役立つであろう)。
・患者による毛髪状態の自己評価。
8.0 治療/介入計画
適格患者は、化学療法による治療の開始の少なくとも5〜9日前(例えば、好ましくは、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、又は少なくとも2週間前)に頭皮の4つの四分円-右前、左前、右後、左後のそれぞれに、提供されたポンプ式定量噴霧器具を用いて、0.25mLの局所カルシトリオールを1日2回適用するように指示される。その後、適用は、1日2回で、3ヶ月間又は化学療法の終了まで継続される。局所溶液は頭皮に適用される。毛髪及び頭皮は乾燥しているべきであり、又は適用がシャンプーの直後であるなら、毛髪及び頭皮は湿っているはずであり、局所溶液を適用する前に毛髪及び頭皮をまずタオルで乾燥することによって、触っても湿っていないことが必要である。それぞれの適用後の少なくとも8時間は、頭皮を洗浄もシャンプーもしない。患者は、洗浄又はシャンプーの前にカルシトリオールの2回以下の連続用量を適用できることを助言される。すなわち、患者は、残りのカルシトリオール適用のすべてを終えた後に毛髪を洗浄しなければならない。患者は、治験中、初回用量及び薬物動態研究が実施される日(この場合、局所カルシトリオールの適用は治験職員によってなされる)を除き、局所溶液を自己投与する。
8.0.1 タキサンをベース(パクリタキセル/ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル/ドセタキセル)にした化学療法の投与
すべての患者は、重度の過敏反応を予防するために、化学療法薬の投与に先立って、施設のガイドラインにより前投薬されるべきである。
乳癌を有する患者に推奨されるレジメンの例:
1.転移性乳がんの治療の場合、推奨されるレジメンは、パクリタキセル/nab-パクリタキセル/ドセタキセルをベースにした、又はカルボプラチンと組み合わせたレジメンである。
婦人科のがんを有する患者に推奨されるレジメンの例:
1.卵巣がんの治療の場合、推奨されるレジメンは、パクリタキセル/ドセタキセルをベースにした、又はカルボプラチンと組み合わせたレジメンである。
2.子宮内膜がんの治療の場合、推奨されるレジメンは、パクリタキセルをベースにした、又はカルボプラチンと組み合わせたレジメンである。
3.子宮肉腫の治療の場合、推奨されるレジメンは、ドセタキセルをベースにした、又はゲムシタビンと組み合わせたレジメンである。
4.子宮頸部がんの治療の場合、推奨されるレジメンは、パクリタキセルをベースにした、又はシスプラチン/トポテカンと組み合わせたレジメンである。
肉腫を有する患者に推奨されるレジメンの例:
1.軟部組織又は骨肉腫の治療の場合、推奨されるレジメンは、パクリタキセル/ドセタキセルをベースにした、又はゲムシタビンと組み合わせたレジメンである。
8.1 用量漸増
大きさが3〜6名のコホート中の患者は、用量レベル1(5μg/mL)で始まる局所カルシトリオールで治療される。投与量は、臨床毒性が許容できると証拠で示されたなら、漸増される(下記参照)。漸増のために、2つの用量レベル(10及び20μg/mL)が考えられる。用量制限毒性(DLT、8.2節で定義)の決定は、局所治療の最初の28日間中に行われる。患者内での用量漸増は実施されない。DLT(8.2節で定義)は、可能性としては、おそらくは、又は明らかに局所カルシトリオールに関連していることが必要で、関係している治験責任医師によって決定されるのが最良であるような、化学療法のレジメンに関連する必要はない。用量漸増スキーム(表8.1)は、次のように行われる:
1つの28日サイクルの治療を実施し、次の用量レベルに漸増する前に、PKデータの評価が行われる。
コホート中の最初の3名の患者のいずれも用量制限毒性(DLT)を経験しないなら、3名の患者からなる新たなコホートが、次のより高い用量レベルで治療される。
コホート中の3名の患者のうち1人がDLTを経験するなら、3名までのさらなる患者が、同じ用量レベルで治療される。6名の患者のうち1人のみがDLTを経験するなら、漸増を継続する。
コホート中の2名以上の患者がDLTを経験するなら、最大耐用量(MTD)を超えており、さらなる用量漸増は行われない。前の用量レベルがMTDと見なされる。
3名の患者のみがMTDと見なされた用量レベルで治療されるなら、3名までのさらなる患者がその用量レベルに集められる。6名の患者のうち1名以下が、その用量レベルでDLTを経験するなら、その用量レベルはMTDとして確認される。そのコホート中の2名以上の患者がDLTを経験するなら、前の用量レベルを同様の方式で治験する。
MTDは、0/3〜1/6の対象が、最初の28日間の治療サイクル中に2/3又は2/6の対象がDLTを経験する用量未満でDLTを経験する用量レベルと定義される。したがって、対象の30%(2/3又は2/6)超が任意の用量レベルでDLTを発症する場合に、MTDを超える。MTDが、3つのコホートの漸増用量を完了した後に確立されないなら、治験依頼者は、さらなる用量漸増コホートを付加するために治験プロトコールを修正することに関するガイダンスを捜すために、FDAの皮膚科学部門と共に治験の成果を再検討する。
コホート審査委員会(CRC)は、臨床及び検査室データを十分に承知しており、次のコホートへの用量漸増が適切であるなら、合意しなければならない。各治療コホートからの薬物動態データも、CRCによって審査され、用量を漸増するためのなんらかの決定で考慮される。治療延長期間からの有害事象データは、入手可能なら(少なくとも毎月)CRCに提出される。これらのデータは、用量漸増の決定のために考慮される。3つのコホートを治療した後にMTDに到達しない場合には、なんらかのさらなる用量漸増は、プロトコールの修正を必要とする。
CRCは、この方式で決定された実際の用量漸増が対象を合理的でないリスクに曝露しないことを保証するために、前のコホートから入手可能なすべてのデータを審査する。CRCは、任意の理由(例えば、非線形PK、カルシトリオール局所溶液の1用量超を受け入れる対象におけるAEの観察)で、用量漸増を低減するか中止することができる。次のコホートを続行するための決定は、CRCメンバーの全員一致の合意を必要とする。
非臨床毒物学が審査され、コホート1の薬物濃度は、非臨床研究に基づいた予想MTDのほぼ1/20以下である。第I相プロトコールで詳述されたコホート1の投与での用量制限毒性の前もって予想されるリスクは存在しないので、マイナス1の投与コホートは存在しないと判定された。最初の患者の2名以上が、最初のカルシトリオール用量で容認できない毒性を経験するなら、CRCは、すべての入手可能なデータを審査し、治験の中止を選択することができる。
Figure 0006608810
薬物動態(すべての患者)
薬物動態(PK)研究の目的の場合、血液サンプルを、局所治療の1日目に次の時点:投与前、1日目の朝の単回適用の2時間(±30分)後、4時間(±30分)後、及び8時間(投与後±1時間)後に採取する。薬物製品の2回目の適用は、初回適用の10〜14時間後、及びPKサンプルの8時間後に適用される。その後、局所適用の頻度は、1日2回、朝及び夜である。続いて、PKサンプルは、それぞれ28日間の治療の最終投与の12時間(±2時間)後であって次の28日間の治療サイクルの1日目の初回適用の前に採取される。この予定は、3回の連続28日間の局所治療サイクルの間継続する。(PKは、1、5、9、及び13週目の時点で抜き取られる。さらに、患者がなお治験を継続しているなら、PKは54週目の時点でも抜き取られる)。それぞれの血液採取のほぼ5分前にバイタルサインを入手し、実際の採取時刻を記録する。
各採取時に、静脈穿刺によって血清分離チューブ中に血液を採取する。1200RCFで10±5分間遠心し、それぞれ1.5mLの血清アリコートを、ラベルを貼り付け外側にネジ山のある2つの極低温バイアル瓶中に移し、直ちに凍結する。各コホートから採取したサンプルを、血清中カルシトリオール濃度の分析測定のためドライアイス上で凍結して検査室に発送する。血清サンプルは、到着までサンプルを凍結して保つために十分な量のドライアイスと共に輸送される。
カルシトリオールの血清中PKは、カルシトリオールを受け入れたすべての対象から採取された血清から計算される。次の血清中PKパラメーターは、ノンコンパートメント解析を使用して計算される:
UC0-t:台形公式で計算され、濃度-時間の単位で表現される、測定可能な最終濃度までの濃度-時間曲線下面積。
AUC0-inf:定量可能な最終濃度をKelで除算すること及び結果をUC0-tに加えることによって計算され、濃度-時間の単位で表現される、投与時から無限大までの血清中濃度-時間曲線下面積。
Cmax:実験データから内挿なしに直接的に得られ、濃度単位で表現される、実測ピーク薬物濃度。
Tmax:実験データから内挿なしに直接的に得られ、時間単位(時間)で表現される、ピーク薬物濃度に到達するまでの実測時間。
Kel:血清中濃度-時間曲線の対数-直線部分の回帰分析によって求められ、時間-1単位(1/時間)で表現される、見かけの消失速度定数。
T1/2:-In2/Kelとして計算され、時間単位(時間)で表現される、終末半減期。
CL:薬物用量/AUC0-infとして計算され、流量単位(L/時間)で表現される、クリアランス。
Vd:Kelで除算されたCLとして計算され、容積単位(L)で表現される、分布容積。
PKパラメーターに関する記述統計(数、平均、中央値、標準偏差、及び範囲を含む)を、用量レベルによって表にまとめる。推定腎排泄を、用量レベルによって表にまとめる。
8.2 用量制限毒性(DLT)及び治療修正の定義
毒性は、有害事象共通用語基準(CTCAE v4.0)により等級付けられる。
8.2.1 局所カルシトリオールに関連した用量制限毒性
用量制限毒性は、局所薬適用の28日間の初回治療サイクル中に発生し、可能性としては、おそらくは、明らかにカルシトリオールに関連していることが必要な(化学療法レジメンに関連していない)、治験責任医師によって判定されるのが最良であるような臨床的に重要なグレード3又は4の非血液学的毒性として定義される。過剰な投与量のカルシトリオールは、高カルシウム血症、及び一部の例では高カルシウム尿症を誘発する。患者が高カルシウム血症の症状を呈示するなら、血清中カルシウムを測定し、直ちに治療を中止すべきである。高カルシウム血症は、血清中カルシウム>12.5〜13.5mg/dL、>3.1〜3.4mmol/L、又はカルシウムイオン>1.6〜1.8mmol/Lとして定義され、且つ入院が指示される、CTCAEバージョン4.0のグレード3(又はそれ以上)を使用して定義される。血清中カルシウムの上昇によって判定される無症候性高カルシウム血症を有する患者の場合には、患者のカルシウムイオンレベルが、最初にチェックされる。カルシウムイオンレベルが実際に上昇しているなら、治験薬物を中止する。カルシウムイオンレベルが正常であるなら、患者はそのまま治験を継続し、血清中カルシウムよりもカルシウムイオンを追跡する。この理由のためにカルシトリオールを中止しなければならないなら、血清中カルシウム及びリン酸塩のレベルを、それらのレベルが連続2日間正常であるまで、検査センターでの毎日の採血でチェックする。
8.2.2 用量制限毒性
患者がその化学療法レジメンに関連する毒性を発症したなら、施設のガイドラインにより用量低減を守る。化学療法レジメンの修正中、カルシトリオールの用量は、治験責任医師によって修正が必須と考えられるまで、安定したままである。
9.0 治療/介入中の評価
臨床:履歴及び理学的検査が下表に詳記するように実施される。化学療法の開始の少なくとも5〜7日前(例えば、少なくとも2週間前)に局所カルシトリオールの適用を開始した後、患者は、治験責任医師によって、中間の医療履歴、併用薬剤、理学的検査(体重、バイタルサイン(血圧、体温、呼吸数、心拍数)をはじめとする)、及び有害事象に関して、1、2、3、5、7、11、15、27及び54週目の時点で観察される。
検査室:検査室での評価は、下表に記載のように実施される。
Figure 0006608810
Figure 0006608810
+ PKは、次の方式で収集される:
局所治療の1日目:PKは、投与前(初回投与の前)、並びに投与の2時間(±30分)後、4時間(±30分)後、及び8時間(±1時間)後に収集される。治験5、9、13及び54週目のカルシトリオールの場合、PKは1日目の投与前に収集される。この収集は、局所カルシトリオールの最終適用の12時間(±2時間)後であるべきである。
++ 2週間目の来診で、患者は、その週の月曜、水曜又は木曜日に皮膚科クリニックの治験皮膚科医により観察される。
+++ すべての患者は、治験薬物の初回適用からほぼ6ヶ月まで自己評価日記を維持管理するように求められる。日記は、カルシトリオールを開始した後の最初の15週間は毎週、並びに19、23及び27週目に記入される。
++++ 一部の患者を3週継続-1週休止のレジメンに配置できることに留意されたい。表示された週は、化学療法を休止する週である。
+++++ ベースライン、及び治療7週目及び15週目を代表する各コホート中の患者に関する写真を、少なくとも3名の患者が15週間の治療を完了した後に、主任治験責任医師(PI)に盲検化して提供する。写真は、治験の27週目及び54週目にも撮影されるが、最終写真評価に二次情報として含められる。ベースライン、及び7週目及び15週目の写真のPIによる臨床評価を、患者の自己評価日記の情報と共に、脱毛症の一次評価のために使用する。
++++++ 患者の自己評価は、治療が15週目を超えて継続されるなら、この週に要求される。
+++++++ 治験の評価は、予定日から±7日以内に実施される。
毛髪及び頭皮の写真記録
脱毛症は、なんらかの脱毛と定義される。この治験で、全体的な写真審査は、すべての登録患者間での標準化及び均一性を保証するために、研究看護師によって取得されるCanfield臨床写真撮影評価画像を使用して実施される。次の5つの視野:頭/頭皮の両側の視野、前頭/顔の視野、後頭/頭皮の視野、及び頭頂/頭皮の視野が、それぞれの写真評価で得られる。さらに、クローズアップ写真が同じ時点で撮影される。それらは、中心で分けられ中心部から遠くへ櫛で梳かれた毛髪を含む上方視野及び頭頂視野に由来する頭皮の中心パターンを含む。写真は、照明、カメラアングル、及び参加者の頭部に対する位置に関して標準化される。全体的な写真審査は、1名の皮膚科医の審査委員によって実施され、写真は、毛髪容積のための7点評価尺度(-3=著しく減少、-2=中度に減少、-1=わずかに減少、0=変化なし、+1=わずかに増加、+2=中度に増加、+3=著しく増加)を使用して評価される。審査委員は、ベースライン化学療法の時点、化学療法の1ヶ月後、及び化学療法による治療の3ヶ月後に得られた写真を比較する。写真を評点化する皮膚科医の審査委員は、他のすべてが比較されるベースライン写真を除いて、写真の時間配列に対して盲検化される。
毛髪及び頭皮の主観的記録
脱毛症は、また、患者の自己報告日記を介して主観的に記録される。すべての患者は、患者が報告する治験薬物の効力を評価するために、治療の間、10点のアナログ尺度に基づいて毛髪の厚さ、毛髪の豊かさ、毛髪の破損、及び毛髪の化粧的品質(整髪の容易さなど)の評価を義務付けるこの自己評価日記を毎週完成するよう求められる。これらの日記は、毎週完成され、カルシトリオール治療中に来診する毎に研究スタッフに戻される。治験は、スクリーニング期間を含めほぼ12ヶ月にわたって行われると予想される。
10.0 治療後評価
治療後の理学的検査は、治験責任医師によって実施され、治験治療の完了日の12週間後に行われる。検査には、体重測定、バイタルサイン、血液サンプルの採取(全血球数、総合的化学パネル、血清中リン、及び血清中ビタミンD)、及び有害事象評価が含まれる。
11.0 毒性/副作用
NCI CTCAEバージョン4.0を使用して、すべての毒性を等級付ける。観察される可能性のある一部の副作用を下に挙げる:
一般的な副作用(20〜30%)
・かゆみ
・皮膚の不快感
・皮膚のヒリヒリ感又は灼熱感
・眼の刺激又はヒリヒリ感
それほど一般的ではない副作用(<20%)
・頭皮の乾燥及び剥離
・紅斑
・刺激性皮膚炎
稀ではあるが重篤な副作用(1〜5%)
・高カルシウム血症
・高カルシウム尿症
・腎臓結石
・渇きの増加
・排尿頻度の増加
・脈拍変化
・虚弱
・嗜眠
・骨痛
・腎不全
12.0 治療応答/結果評価のための基準
この試験は、第I相治験であり、したがって、乳腺、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、卵管、原発性腹膜癌、又は軟部組織及び骨肉腫の転移又は再発がんを有し、タキサンをベースにした(パクリタキセル/ナノ粒子状アルブミン結合型パクリタキセル/ドセタキセル)レジメンでの化学療法を受けている患者における、カルシトリオール局所溶液に関する主として安全性治験である。この治験は、カルシトリオール局所溶液のMTD及び治療応答を求めることに焦点を当てる。
13.0 治験からの打切り基準
すべての患者は、DLTが文書で提供されない限り、療法を継続することができる。死亡の場合、死亡原因を文書で提供すべきである。毒性は用量制限的ではないのに、患者を継続治療から除外するなら、その事例を治験審査委員会(IRB)に報告し、それぞれの事例について、患者の毒性をDLTと見なすべきかどうか、又はその患者を利用できないと考え、同じ用量レベルで登録された別の患者と入れ替えるべきかどうかの決定がなされる。
次の事象は、治験薬剤での治療を中止するのに十分な理由と考えることができる:
・NCIの有害事象共通用語基準v4.0により等級付けられる、治験薬物による重篤な毒性。
・プロトコールによって認められていない治療介入を必要とする状態。
・他の場所で具体的に規定されていなくても、患者又は治験責任医師の見解で許容されない毒性。
・患者によるなんらかの個人的理由による選択。
・規定された治療計画を遵守しない対象。
・治験責任医師の見解で、治験への継続参加が患者の最大利益でないか、さらなる療法が実行できない医学的病気又は精神病、及びその他の任意の状況。
・妊娠。
・局所カルシトリオール適用の最初の3サイクル後の、患者の毛髪の全消失。
対象は、治験に参加するとの同意をいつでも偏見なしに撤回することができる。治験責任医師は、自らの臨床的判断で、撤退が対象の最大利益であるか、又は対象がプロトコールに従うことができないなら、対象を撤退させることができる。可能なら、最終来診に関して列挙された検査及び評価を実施すべきである。対象がプロトコールで規定された来診に戻ることができないなら、理由を決定する努力をしなければならない。対象が、電話で連絡できないなら、少なくとも書留書状を対象(又は対象の法的防護者)に送り、クリニックとの接触を要請すべきである。この情報は、症例報告書(CRF)中に記録すべきである。
治験責任医師は、また、依頼者の要求により、又は依頼者が治験の終結を選択するなら、対象を撤退させる。重篤又は耐えられない有害効果が発生したら、主任治験責任医師は、依頼者と協議する。対象が有害効果のため中止されたら、該事象は、それが解消されるまで、又は合理的な期間(ほぼ30日間)内に解消されないならその臨床的関連及び病因が合理的に説明されるまで、追跡される。対象は、治験中いつでも自らの同意を撤回することができる。
対象が、自らの要請又は主任治験責任医師の裁量のどちらかの任意の時点で治験から撤退するなら、撤退の理由をCRF中に記録する。治験から永久的に撤退するすべての対象は、可能なら、すべての治験終了時評価を受ける。
プロトコールで指定された安全性の追跡処置を引き受けるあらゆる努力をしなければならない。
14.0 生物統計学
これは、CIAを有する患者における局所カルシトリオールの最大耐用量(MTD)を決定するために設計された第I相治験である。局所カルシトリオールの提案された3種の用量は、5μg/mL、10μg/mL、及び20μg/mLである。
患者は、大きさが3〜6名のコホートで治療され、投与量は、臨床毒性が許容されるなら、漸増される。患者が初月の局所薬の適用を、用量制限毒性(DLT)を経験することなしに完了するなら、その患者は、試験の目的に関して毒性なしと見なされる。局所薬が毒性以外の理由で初月中に中止されるなら、毒性の十分な評価を保証するため、さらなる患者をその用量レベルで登録することができる。患者内での用量漸増は実施されない。局所治療が4週間後も継続する事例を含むすべての事例において、MTD評価は、その月中に記録されたDLTのみに基づく。漸増には2種の用量レベルが考慮に入れられる。DLTは8.2節中で定義され、設計は、DLTの確率が高い場合に用量を漸増する可能性を最小化し、且つDLTの確率が低い場合に用量を漸増する可能性を最大化するように構築される。用量漸増のスキームは次の通りである:
1. 最初の3名の患者のいずれもが、所与の用量レベルでDLTを経験しないなら、次の用量レベルを検討する。
2. 最初の3名の患者のうち1名が、所与の用量レベルでDLTを経験するなら、3名のさらなる患者を同じ用量レベルで治療する。漸増は、さらなるDLTが観察されなかった場合にのみ継続される。
3. 2名以上の患者が所与の用量でDLTを経験するなら、前の用量がMTDと証拠で示される。
4. 3名の患者のみをMTDと見なした用量で治療する場合、前の結果を確認するため、さらなる3名の患者を、そのレベルで治療する。用量漸増がMTD決定中の任意の段階で行われる確率は、根底にある現行の用量レベルでのDLT比率の関数である。この確率は、漸増を行うことを許容する次の2つの結果:(1)最初の3名の患者でDLTが観察されない、(2)最初の3名の患者のうち1名でDLTが観察され、続いてさらなる3名の患者において同じ用量レベルでDLTが観察されない、の二項確率の和として計算できる。
毒性の真のリスクは、10%〜50%の範囲にあると予想される。次表に、用量漸増の対応する確率を示す:
Figure 0006608810
これらの数字は、次の用量レベルに漸増する確率が、根底にある真の毒性比率が小さい場合に大きく、且つ漸増する確率が、真の毒性比率が増加するにつれて適切に減少することを示す。
安全性解析
NCIの有害事象共通用語基準(CTCAEバージョン4.0)によって測定されるような選択された非血液学的及び血液学的毒性は、頻度及びグレードによって、サイクル及びすべてのサイクルにわたって記載され、すべてのサイクルにわたる最大グレードが、患者ごとの要約手段として使用される。
CRFに記録される有害事象の用語は、医薬品規制用語集(the medical dictionary for regulatory activities(MedDRA))を使用して選ばれた用語に位置付けられる。すべての有害事象(AE)は、全発生率及び各用量コホートでの発生率、報告された最悪の重症度、及び治験治療との関係について、器官別大分類(system organ class)及び選択された用語に従って、列挙され、又は表にまとめられる。重篤な有害事象(SAE)を同様に要約する。治験治療の早期終結又は試験からの時期尚早の撤退に繋がる死亡、SAE、DLT及びAEの一覧表も提供される。
検査室での変数は、各用量コホートに関してベースラインから種々の時点までの値の平均変化を使用して調べられる。検査室での値は、また、CTCAE v4.0に従って分類され、一覧表及び表は、治験中の最悪毒性グレード、用量コホート、及び関係によって分類される。ベースライン及び最終評価で高い、正常、及び低い(又は正常/異常)検査室での結果を有する対象の数及び比率を示すために、移行表が提供される。
併用薬剤は、用量コホートによる要約を含めて、すべての対象について要約される。
有意レベル
全体的な写真審査及び患者の自己報告日記は、予備的統計解析に使用される。該解析では、局所カルシトリオールの効力を調べる。これは、局所カルシトリオールの効力をより綿密に調べるさらなる治験のために役立つ。この治験に関して正式な統計的検定は計画されないが、選択された安全性変数に関して95パーセント信頼区間を計算することができる。この第I相試験は、コホートにつきわずか3名で行われ、それは統計的に有意な患者数ではなく、効力の証明に十分な客観的統計データを提供するのに適切な試験設計でもない。
予備解析
予備的変数を各対象について評価し、記述統計値(数、平均、中央値、標準偏差、及び範囲を含む)を、投与レベルにより対象について計算する。
中間解析
中間解析は計画にない。
対象数/集積率
各用量レベルで治療される予定の3〜6名の患者に関する治験の第I相部分。少なくとも3種の用量レベルを想定すると、この試験は、最小で2名、最大で18名の患者を必要とする。この臨床試験は、単一の臨床施設のみで実施される。治療コホートにつきほぼ3〜6名の適格患者の予想集積率で、試験の第I相部分に費やされるのは、1年未満であると予想される。このことは、さらなる患者を集める前に、それぞれ3名の患者のコホートを、1つの療法サイクルでの治療のための時間長である28日間観察することを可能にする。
参考文献:
Diker-Cohen T,Koren R,Liberman UA,Ravid A「ビタミンDは角化細胞を浸透ショック、酸化ストレス及び腫瘍壊死因子で誘発されるアポトーシスから防護する(Vitamin D protects keratinocytes from apoptosis induced by osmotic shock, oxidative stress, and tumor necrosis factor)」Ann NY Acad Sci.2003 Dec;1010:350〜3。(Clinical Trials.gov,Mosby's Drug Consult,13th Edition)。
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Marenholz I,Heizmann CW,Fritz G(2004)「マウス及びヒトのS100タンパク質:機能及び病理への展開から(S100 proteins in mouse and man: from evolution to function and pathology)」(命名の更新を含む)Biochem.Biophys.Res.Commun.322(4):1111〜22。
本明細書中で引用されたすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
ヒト対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する方法であって、
(1)がんを有し、且つ化学療法を受ける予定である又は受けているヒト対象を選択するステップ、及び
(2)治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物を対象の頭皮に局所的に投与するステップを含み、
ここで、ステップ(2)が、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に実施され、
それによって、対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減する、方法。
[実施形態2]
ステップ(2)が、化学療法の開始に先立って実施される、実施形態1に記載の方法。
[実施形態3]
ステップ(2)が、毛包の退行段階が対象の治療区域で誘導されるように化学療法の開始に先立って十分な期間実施される、実施形態1又は2に記載の方法。
[実施形態4]
ステップ(2)が、化学療法の開始の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13日前に実施される、実施形態3に記載の方法。
[実施形態5]
ステップ(2)が、化学療法の開始の少なくとも2週間前に実施される、実施形態4に記載の方法。
[実施形態6]
医薬組成物が、ビタミンD化合物の約10〜40μgの全1日用量で投与される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態7]
医薬組成物が、ビタミンD化合物の約20μg又は約40μgの全1日用量で投与される、実施形態6に記載の方法。
[実施形態8]
医薬組成物が、約1.0mLの用量で投与される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態9]
約0.25mLが、頭皮の4つの四分円のそれぞれに投与される、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]
医薬組成物が、ビタミンD化合物を約5、10又は20μg/mLの濃度で含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態11]
ステップ(2)が、1日2回実施される、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態12]
1日2回の投与が、約10〜14時間の差で隔てられる、実施形態11に記載の方法。
[実施形態13]
対象が、固形腫瘍を有する、実施形態1から12のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態14]
対象が、進行又は再発がんを有する、実施形態13に記載の方法。
[実施形態15]
対象が、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、軟部組織肉腫、又は骨肉腫を有する、実施形態13又は14に記載の方法。
[実施形態16]
対象が、乳がんを有する、実施形態13又は14に記載の方法。
[実施形態17]
対象が、次のさらなる基準:
対象が少なくとも18歳のヒトであること;
対象が脱毛症又は軽度脱毛症の証拠を有さないこと;
対象がアポトーシス性ではない毛包を有すること;
対象が、局所投与を開始する前の14日以内に、Eastern Cooperative Oncoloy Group(ECOG)による0又は1のパフォーマンススコアを有すること;
対象が、局所投与を開始する前の72時間以内に、1500細胞/mm 3 を超えるベースライン好中球数を有すること;及び
対象が、局所投与を開始する前の72時間以内に、基準範囲上限(ULN)以下の血清中カルシウムレベルを有すること
の1つ以上に基づいて選択される、実施形態1から16のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態18]
対象が、次のさらなる基準:
対象が、局所投与を開始する前に3ヶ月間以上ビスホスホネート又はカルシウム低下療法で管理され、且つカルシウム代謝の安定性に関して立証された証拠を有する場合を除いて、局所投与を開始してから4週間以内に、カルシウム低下療法もカルシウムレベルに影響を及ぼす可能性がある薬物も受け入れていないこと;
対象が、局所投与を開始してから30日以内に、高カルシウム血症又はビタミンD毒性の履歴を有さないこと;
対象が、局所投与を開始してから30日以内に、狭心症、心筋梗塞、又は鬱血性心不全、又は精神病の治療のための入院の履歴を有さないこと;
対象が、局所投与を開始する前に30日間以上ビタミンDサプリメントを摂取しており、且つ局所投与の間中同じ用量を維持する場合を除いて、局所投与の間、ビタミンDサプリメントを摂取しないこと;
対象が、6ヶ月超にわたって安定的な療法を継続している対象を除いて、局所投与を開始してから4週間以内に、カルシウムレベルに影響を及ぼすことが知られている薬剤で治療されていないこと;
対象が、6ヶ月を超えて安定した用量を服用し且つ療法を継続している対象を除いて、チアジド利尿薬もフロセミド利尿薬も受け入れていないこと;
対象が、高カルシウム血症も腎臓結石も有さないこと;及び
対象が、米国国立癌研究所の有害事象共通用語基準(NCU-CTCAE)v4.0によるグレード2以上の脱毛症も、重大な脱毛も、毛髪破損も有さないこと
の1つ以上に基づいて選択される、実施形態1から16のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態19]
ステップ(2)が、化学療法の開始後に少なくとも3ヶ月間実施される、実施形態1から18のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態20]
ステップ(2)が、化学療法の完了後に少なくとも3ヶ月間実施される、実施形態1から18のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態21]
ステップ(2)が、化学療法の継続期間の間実施される、実施形態1から18のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態22]
医薬組成物が、ビタミンD化合物が真皮送達を実質的に回避しながら上皮に送達されるように製剤化される、実施形態1から21のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態23]
医薬組成物が、無水である、実施形態1から22のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態24]
医薬組成物が、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水エタノールからなる媒体を含む、実施形態23に記載の方法。
[実施形態25]
医薬組成物が、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコール又はトランスクトール、及び約60%(w/w)の無水純エタノール(米国式で200proof)からなる媒体を含む、実施形態23に記載の方法。
[実施形態26]
ステップ(2)を実施することが、化学療法の効力を実質的に低下させない、実施形態1から25のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態27]
ビタミンD化合物が、カルシトリオールである、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態28]
ビタミンD化合物が、式(1):
Figure 0006608810
[式中、
a及びbは、それぞれ独立に、単結合又は二重結合であり、
Xは、aが二重結合である場合-CH 2 であり、又はXは、aが単結合である場合水素若しくはヒドロキシル置換アルキルであり、
R 1 は、水素、ヒドロキシル、アルコキシル、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R 2 は、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
R 3 は、bが二重結合である場合存在せず、或いはbが単結合である場合、R 3 は、水素、ヒドロキシル若しくはアルキルであるか、又はR 3 及びR 1 が、それらが結合している炭素原子と一緒に連結されて、5〜7員の炭素環を形成していてもよく、
R 4 は、bが二重結合である場合存在せず、又はbが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
R 5 は、aが二重結合である場合存在せず、又はR 5 は、aが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
R 6 は、1〜5つのヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル-O-アルキル、アルキル-CO 2 -アルキルであり、
R 7 は、1〜3つのヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R'及びR''は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシルである]
及びその薬学的に許容される塩で表される、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態29]
ビタミンD化合物が、式(2):
Figure 0006608810
[式中、
cは、単結合又は二重結合であり、
R 1a は、水素、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R 2a は、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
R 3a 、R 4a は、cが二重結合である場合存在せず、或いはcが単結合である場合、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであり、
R 3b 、R 4b 、R 5a 、R 6a 、R 7a 及びR 8a は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであるか、R 6a 、R 7a 及びR 8a のうちのいずれか2つが、連結されて、3〜7員の炭素環を形成していてもよい]
及びその薬学的に許容される塩で表される、実施形態28に記載の方法。
[実施形態30]
ビタミンD化合物が、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903である、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態31]
ビタミンD化合物が、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903ではない、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態32]
医薬組成物が、定量噴霧器具を使用して投与される、実施形態1から31のいずれか一項に記載の方法。
[実施形態33]
局所投与用に適合され且つ実施形態1から32のいずれか一項に従って化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物。
[実施形態34]
局所投与用に適合され且つ化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物、及び
実施形態1から32のいずれか一項に従って化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための方法を実施するための説明書
を含むキット。
[実施形態35]
ビタミンD化合物を0.1〜400μg/mLの濃度で含む医薬組成物を含む定量噴霧器具。
[実施形態36]
約0.25mlの用量の4回分を1回以上分取するように設計される、実施形態35に記載の定量噴霧器具。
[実施形態37]
約0.25mlの用量を112回分取するように設計される、実施形態36に記載の定量噴霧器具。

Claims (30)

  1. ヒト対象における化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための、治療有効量のビタミンD化合物を含む医薬組成物であって、
    ヒト対象が、がんを有し、且つ化学療法を受ける予定である又は受けており、
    医薬組成物が、化学療法に先立って及び/又は化学療法と同時に、定量噴霧器具を用いて対象の頭皮に局所的に投与され、
    医薬組成物が、ビタミンD化合物の1〜100μgの全1日用量で投与される、医薬組成物。
  2. 医薬組成物が、化学療法の開始に先立って投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 医薬組成物が、毛包の退行段階が対象の治療区域で誘導されるように化学療法の開始に先立って十分な期間投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 医薬組成物が、化学療法の開始の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13日前に投与される、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 医薬組成物が、化学療法の開始の少なくとも2週間前に投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 医薬組成物が、ビタミンD化合物の約10〜40μgの全1日用量で投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 医薬組成物が、ビタミンD化合物の約20μg又は約40μgの全1日用量で投与される、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 医薬組成物が、約1.0mLの用量で投与される、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 約0.25mLが、頭皮の4つの四分円のそれぞれに投与される、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 医薬組成物が、ビタミンD化合物を約5、10又は20μg/mLの濃度で含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 医薬組成物が、1日2回投与される、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. 1日2回の投与が、約10〜14時間の差で隔てられる、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 対象が、固形腫瘍を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  14. 対象が、進行又は再発がんを有する、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 対象が、子宮頸部がん、子宮内膜がん、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜癌、軟部組織肉腫、又は骨肉腫を有する、請求項13又は14に記載の医薬組成物。
  16. 対象が、乳がんを有する、請求項13又は14に記載の医薬組成物。
  17. 医薬組成物が、化学療法の開始後に少なくとも3ヶ月間投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  18. 医薬組成物が、化学療法の完了後に少なくとも3ヶ月間投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 医薬組成物が、化学療法の継続期間の間投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  20. 医薬組成物が、ビタミンD化合物が真皮送達を実質的に回避しながら上皮に送達されるように製剤化される、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  21. 医薬組成物が、無水である、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  22. 医薬組成物が、約40%(w/w)のプロピレングリコール及び約60%(w/w)の無水エタノールからなる媒体を含む、請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 医薬組成物が、約30%(w/w)のプロピレングリコール、約10%(w/w)のエトキシジグリコール又はトランスクトール、及び約60%(w/w)の無水純エタノールからなる媒体を含む、請求項21に記載の医薬組成物。
  24. ビタミンD化合物が、カルシトリオールである、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  25. ビタミンD化合物が、式(1):
    Figure 0006608810
    [式中、
    a及びbは、それぞれ独立に、単結合又は二重結合であり、
    Xは、aが二重結合である場合-CH2であり、又はXは、aが単結合である場合水素若しくはヒドロキシル置換アルキルであり、
    R1は、水素、ヒドロキシル、アルコキシル、トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
    R2は、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
    R3は、bが二重結合である場合存在せず、或いはbが単結合である場合、R3は、水素、ヒドロキシル若しくはアルキルであるか、又はR3及びR1が、それらが結合している炭素原子と一緒に連結されて、5〜7員の炭素環を形成していてもよく、
    R4は、bが二重結合である場合存在せず、又はbが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
    R5は、aが二重結合である場合存在せず、又はR5は、aが単結合である場合水素、ハロゲン若しくはヒドロキシルであり、
    R6は、1〜5つのヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル-O-アルキル、アルキル-CO2-アルキルであり、
    R7は、1〜3つのヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、アリール、ヘテロアリール、シアノ、ニトロ、又は-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
    R'及びR''は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシルである]
    及びその薬学的に許容される塩で表される、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  26. ビタミンD化合物が、式(2):
    Figure 0006608810
    [式中、
    cは、単結合又は二重結合であり、
    R1aは、水素、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキルであり、
    R2aは、水素、ヒドロキシル、-O-トリアルキルシリル、又は1〜3つのハロゲン、ヒドロキシル、シアノ若しくは-NR'R''部分で置換されていてもよいアルキル、アルコキシル若しくはアルケニルであり、
    R3a及びR4aは、cが二重結合である場合存在せず、或いはcが単結合である場合、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであり、
    R3b、R4b、R5a、R6a、R7a及びR8aは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アルコキシル、又は1〜3つのヒドロキシル若しくはハロゲン部分で置換されていてもよいアルキルであるか、R6a、R7a及びR8aのうちのいずれか2つが、連結されて、3〜7員の炭素環を形成していてもよい]
    及びその薬学的に許容される塩で表される、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. ビタミンD化合物が、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903である、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  28. ビタミンD化合物が、1,25-ジヒドロキシビタミンD3、1,25-ジヒドロキシ-16-エン-23-イン-コレカルシフェロール、1α-ヒドロキシビタミンD3、1α,24-ジヒドロキシビタミンD3、又はMC903ではない、請求項1から23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  29. 化学療法誘発性脱毛症を予防又は軽減するための医薬組成物を含む定量噴霧器具であって、医薬組成物がビタミンD化合物を0.1〜400μg/mLの濃度で含み、定量噴霧器具が、約0.25ml用量を4回または4の倍数回分取するように設計されている、定量噴霧器具。
  30. 約0.25mlの用量を112回分取するように設計される、請求項29に記載の定量噴霧器具。
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