JP6608860B2 - フェイスマスク用不織布及びその製造方法 - Google Patents
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上記フェイスマスク用不織布の製造方法について、前記熱融着工程では、鞘成分の融点プラス15℃以下の温度の熱風をウェブに吹き付けることが好ましい。これにより、柔らかさと強度のバランスが良い不織布を製造することができる。
フェイスマスク用不織布は、融点が150〜260℃の芯材と、融点が80〜140℃の鞘材とからなる芯鞘構造の合成繊維を主成分として含むエアスルー不織布である。この繊維が不規則に重なった状態で過度に圧縮されない状態で繊維同士が熱融着されていることにより、繊維間に空間が形成される。これにより、熱融着に伴う不織布の密度の増大を抑制することができる。
ここで、密度が0.05g/cm3以下とは、不織布原反の状態で0.05g/cm3以下であることに限定されない。0.05g/cm3以下で製造された不織布原反は不織布工程内で巻き取られたとき圧縮された状態になり、その状態で長期間保存されることにより密度は0.05g/cm3以上に癖付けされることがある。この不織布原反をフェイスマスクに加工するとき、繰り出した不織布を熱処理することで圧縮され潰れた不織布の嵩が元に回復して、再度0.05g/cm3以下とし、その状態で薬液を含浸してフェイスマスクとすることがある。また、巻き出した後、熱処理等をしなくても長期間放置する、具体的には薬液を含浸したフェイスマスクの商品にした後で自然に嵩が回復することがある。これらの状態のものも密度が0.05g/cm3以下であると規定される。
不織布の坪量は特に規定されないが、15〜40g/m2が好ましい。15g/m2未満では保液性が悪くなり、ウェブ強度も低下するため加工時に不具合が生じやすい。40g/m2を超えると高価な薬液を保液しすぎるため経済性が悪く、また不織布が固くなりやすく、装着時のフィット感が悪くなる。
(開繊工程)
開繊工程は、融点が150〜260℃の芯材と、融点が80〜140℃の鞘材とからなる芯鞘構造の合成繊維を主成分とする熱融着繊維をほぐす工程である。図1に示すように、投入口1に投入された熱融着繊維を、開繊機2を用いて開繊する。開繊工程には、公知の開繊機を適宜採用することができる。
ウェブ形成工程は、開繊工程により得られた繊維を積層して、所定の厚さを有するシート(ウェブ)にする工程である。ウェブ形成工程には、公知のウェブ形成法を適宜採用することができる。例えば、カーディング法、エアレイド法等の乾式の方法を採用することができる。その中でも、カーディング法は、地合いの良いウェブが形成されやすいため好ましい。カーディング法は、カード機3を用いて行うことができる。
熱融着工程は、ウェブ形成工程により得られたウェブの繊維同士を熱融着させる工程である。熱融着工程は、熱風通気加熱処理法(エアスルー)を採用することができる。熱風通気加熱処理法は、熱風通気加熱処理機4を用いてウェブに熱風を吹き付けることによって、ウェブ全体を均一に、すばやく加熱することができるとともに、ウェブに過度の圧力が加わることを抑制することができるため、密度の低い不織布が得られやすくなる。熱風通気加熱処理法では、鞘成分の融点を大きく上回らない温度の熱風をウェブに吹き付けることが肝要である。鞘成分の融点を大きく超える熱処理を行うと不織布が固くなると同時に密度が高くなる。吹き付ける熱風の温度を融点プラス15℃以下とすることによって柔らかさと強度のバランスが良いものを得られる。熱風を吹き付ける時間は特に限定されない。更に必要に応じて、熱風処理後に熱ロール5を不織布表面に軽く当て表面平滑処理をすることにより、肌への密着性を向上させることができる。熱融着工程によって得られた不織布は、適宜巻き取り機6によって巻き取られる。
(1)融点が150〜260℃の芯材と、融点が80〜140℃の鞘材とからなる芯鞘構造の合成繊維を主成分として含むエアスルー不織布であって、構成繊維同士が熱融着されており、密度が0.05g/cm3以下である。構成繊維同士が熱融着されているため、薬液を含浸した際でも、不織布の嵩を好適に保つことができる。また、密度が0.05g/cm3以下であるため、不織布の内部に薬液を保持しやすくなる。不織布の内部に薬液が保持されると、繊維間の空隙が埋まり、透明度を高くすることができる。また、不織布の密度が0.05g/cm3以下であることにより、薬液の保液量を多くすることもできる。また、一旦保持された薬液が放出されやすくなる。
(7)熱風処理後に熱ロールを不織布表面に軽く当て表面平滑処理をすることにより、肌への密着性を向上させることができる。熱ロールの温度については限定されないが、不織布の密度や柔軟性に影響を及ぼさない範囲で処理をする。
(実施例1)
融点が161℃のポリプロピレン製の芯材と、融点が112℃の直鎖状低密度ポリエチレン製の鞘材とからなる芯鞘構造の合成繊維(繊度2.2dtex、繊維長38mm)を、開繊機を用いて開繊した。開繊した繊維をカード機へ通しウェブを作製した。得られたウェブをコンベアで流しながら、熱風通気加熱処理機を用いて112℃で10秒間、下部より吸引しながら上部より熱風を吹き付けて熱融着を行い、フェイスマスク用不織布を作製した。
融点が156℃のポリプロピレン製の芯材と、融点が107℃の低密度ポリエチレン製の鞘材とからなる合成繊維を用いたことを除いて、実施例1と同じ条件でフェイスマスク用不織布を作製した。
融点が156℃のポリプロピレン製の芯材と、融点が130℃の高密度ポリエチレン製の鞘材とからなる合成繊維を用い、熱風通気加熱処理機の温度を135℃にしたことを除いて、実施例1と同じ条件でフェイスマスク用不織布を作製した。
実施例3と同じ合成繊維を使用し、熱風通気加熱処理条件及び熱ロール条件を調整して、密度が0.071g/cm3のフェイスマスク用不織布を作製した。
セルロース系スパンボンド(旭化成せんい株式会社、製品名ベンリーゼ(登録商標))38g/m2を用いた。
実施例及び比較例の不織布について、坪量、厚み、密度、柔軟度、保液量、透過度を測定した。
厚みは、尾崎製作所製ピーコックデジタルゲージ PDN−20を用いて測定した。
密度は、不織布の坪量(g/m2)と厚み(mm)を測定して、これらの値から算出した。
Claims (4)
- 融点が150〜260℃の芯材と、融点が80〜140℃の鞘材とからなる芯鞘構造の合成繊維を主成分として含むエアスルー不織布であって、構成繊維同士が熱融着されており、坪量が15〜20g/m 2 であり、
密度が0.05g/cm3以下であり、
繊度が1.7〜3.3dtexであり、
水を含浸させた状態における可視光波長300nm〜1000nmの透過度の平均値が79%以上あるフェイスマスク用不織布。 - 密度が0.03g/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載のフェイスマスク用不織布。
- 不織布の縦横方向の少なくとも一方における柔軟度が10gf/100mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェイスマスク用不織布。
- 鞘材が低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェイスマスク用不織布。
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