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JP6600766B1 - 紙製バリア基材の製造方法 - Google Patents

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JP6600766B1 JP2019543870A JP2019543870A JP6600766B1 JP 6600766 B1 JP6600766 B1 JP 6600766B1 JP 2019543870 A JP2019543870 A JP 2019543870A JP 2019543870 A JP2019543870 A JP 2019543870A JP 6600766 B1 JP6600766 B1 JP 6600766B1
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Abstract

極めて均一な外観、及び/又は、極めて均質な塗工層を有する紙製バリア基材の製造方法を提供することを課題とする。解決手段として、紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成する工程を有し、下記条件(1)及び/又は(2)を満足する紙製バリア基材の製造方法を提供する。(1)前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下である。(2)前記水蒸気バリア層用塗工液が、保水剤として浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有する。

Description

本発明は、極めて均一な外観及び/又は極めて均質な塗工層を有する紙製バリア基材の製造方法に関する。
紙製の包装材料に水蒸気バリア性、ガスバリア性(特に、酸素バリア性)を付与することは、包装される各種製品を水蒸気やガス(特に酸素)による劣化等から守るために重要である。
従来から、紙基材に金属箔や金属蒸着フィルム、セラミック蒸着フィルム等を積層した紙製の包装材料や、紙基材にガスバリア性を有する樹脂と水蒸気バリア性を有する樹脂をラミネートした包装材料が知られている。また、特許文献1には、紙基材上に、塗工により水蒸気バリア層とガスバリア層とを設けた紙製バリア包装材料が提案されている。
塗工層の製造方法の一種として、接触式の塗工方式であるブレード式塗工方法(以下、ブレード塗工法ともいう)が用いられている。
ブレード塗工法は、水を主体とする塗工液を原紙に塗工した後、ブレードにより過剰な塗工液を掻き落して所望の塗工量に仕上げる塗工法(平滑化塗工法)であり、塗工層表面の平滑性は良好となる。
ブレード塗工法は、塗工液がブレードを通過する際、塗工液がブレードで加圧されて塗工液中の水分が紙に浸透し、この水分が乾燥する際に紙が収縮して、スジ状のムラが発生し、塗工面の面感に劣る場合がある。また、ブレードを通過する際に塗工液には非常に強いせん断応力がかかるため、想定より多くの塗工液が掻き落とされてしまい、所望の膜厚の塗工層や幅方向で均一な塗工量を得るために調整が必要となる場合がある。
特許第5331265号公報
本発明は、極めて均一な外観を有する紙製バリア基材の製造方法、及び/又は、塗工量の調整が容易であり、極めて均質な塗工層を有する紙製バリア基材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の〔1〕〜〔12〕を提供するものである。
〔1〕紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成する工程を有し、
下記条件(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする紙製バリア基材の製造方法。
(1)前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下である。
(2)前記水蒸気バリア層用塗工液が、保水剤として浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有する。
〔2〕前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下であることを特徴とする〔1〕に記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔3〕前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるB型粘度が1500mPa・s以下であることを特徴とする〔2〕に記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔4〕前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるpHが8.0以上13.0以下であることを特徴とする〔2〕または〔3〕のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔5〕前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度が、25重量%以上44重量%以下であることを特徴とする〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔6〕前記水蒸気バリア層上に、ガスバリア層用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成する工程、を含むことを特徴とする〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔7〕前記水蒸気バリア層用塗工液が、保水剤として浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有することを特徴とする〔1〕に記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔8〕前記保水剤が、浮遊逆相型保水剤であることを特徴とする〔7〕に記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔9〕前記保水剤の含有量が、顔料100重量部に対し0.01重量部以上1.5重量部以下であることを特徴とする〔7〕または〔8〕に記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔10〕前記水蒸気バリア層用塗工液のpHが、8.0以上13.0以下であることを特徴とする〔7〕〜〔9〕のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔11〕前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度が、25重量%以上44重量%以下であることを特徴とする〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
〔12〕前記水蒸気バリア層上に、ガスバリア層用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成する工程、を含むことを特徴とする〔7〕〜〔11〕のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
以下、条件(1)を満足する製造方法を第一発明、条件(2)を満足する製造方法を第二発明とする。
・第一発明
第一発明である製造方法は、接触式のブレード塗工法により水蒸気バリア層用塗工液を塗工するが、塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度を11.5mPa・s以上20mPa・s以下とすることにより、スジ状のムラが少なく、極めて均一で美麗な外観を有する水蒸気バリア層を形成することができる。第一発明である製造方法で塗工した水蒸気バリア層は、面の均一性が極めて優れているため、この水蒸気バリア層上にガスバリア層等を塗工した場合も、平滑性、均一性に優れた外観を維持することができる。
さらに、第一発明の水蒸気バリア層用塗工液を用いることにより、塗工幅全体に亘って均一な塗工量で塗工することができ、端部、中央部とで性能のバラツキが少なく、塗工面全面を利用することができるため、歩留まりを高めることができる。
固形分濃度32重量%、温度30℃におけるB型粘度が1500mPa・s以下である水蒸気バリア層用塗工液は、塗工液の送液性や取扱い性に優れ、安定した塗工を行うことができる。
固形分濃度32重量%、温度30℃におけるpHが8.0以上13.0以下である水蒸気バリア層用塗工液は、ハイシェア粘度が高い状態で塗工することができ、均一な外観の紙製バリア基材を得ることができる。
固形分濃度が、25重量%以上44重量%以下である水蒸気バリア層用塗工液は、所望する水蒸気バリア性が得られやくなると共に、塗工液の調製が容易となる。
・第二発明
第二発明である製造方法は、接触式のブレード塗工法により水蒸気バリア層用塗工液を塗工するが、水蒸気バリア層用塗工液が、浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有することにより、所望の塗工量に調整することが容易となる。この水蒸気バリア層用塗工液を用いることにより、塗工幅全体に亘って均一な塗工量で塗工することができ、極めて均質な塗工層を得ることができる。そのため、第二発明である製造方法で塗工した水蒸気バリア層は、端部、中央部とで性能のバラツキが少なく、塗工面全面を利用することができ、歩留まりを高めることができる。
さらに、第二発明である製造方法で塗工した水蒸気バリア層は、スジ状のムラが少なく、美麗な外観を有し、極めて均一な外観を有する。特に、浮遊逆相型保水剤を含有する水蒸気バリア層用塗工液を塗工した第二発明の水蒸気バリア層は、スジ状のムラが非常に少なく、非常に美麗な外観を有している。第二発明である製造方法で塗工した水蒸気バリア層は、面の均一性が極めて優れているため、この水蒸気バリア層上にガスバリア層等を塗工した場合も、平滑性、均一性に優れた外観を維持することができる。
保水剤は基本的には親水性であるが、保水剤が顔料100重量部に対し0.01重量部以上1.5重量部以下である水蒸気バリア層用塗工液は、得られる水蒸気バリア層の水蒸気バリア性を高く保つことができる。
pHが8.0以上13.0以下である水蒸気バリア層用塗工液は、保水剤の性能が発揮されやすく、所望の塗工量の水蒸気バリア層を塗工することが容易である。
固形分濃度が、25重量%以上44重量%以下である水蒸気バリア層用塗工液は、所望する水蒸気バリア性が得られやくなると共に、塗工液の調製が容易となる。
本発明は、紙製バリア基材の製造方法に関し、紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成する工程を有し、
下記条件(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする。
(1)前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下である。
(2)前記水蒸気バリア層用塗工液が、保水剤として浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有する。
本発明の第一発明は、紙製バリア基材の製造方法に関し、紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成する工程を有し、この水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下であることを特徴とする。
本発明の第二発明は、紙製バリア基材の製造方法に関し、紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成する工程を有し、この水蒸気バリア層用塗工液が、浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有することを特徴とする。
「紙製バリア基材の製造方法」
第一発明、第二発明において、紙製バリア基材は、紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成することにより製造される。
ブレード塗工を行なう際は、ブレード塗工に用いられる公知の装置を使用することができる。例えば、べベルブレードコーター、ベントブレードコーター、バーブレードコーターなどが挙げられる。
(第一発明の水蒸気バリア層用塗工液)
第一発明の水蒸気バリア層用塗工液は、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有し、これらが溶解、分散した水を主体とする塗工液であり、固形分濃度32重量%、温度30℃においてハイシェア粘度(以下、単にハイシェア粘度という)が11.5mPa・s以上20mPa・s以下であることを特徴とする。
水蒸気バリア層用塗工液のハイシェア粘度を上記範囲内とすることにより、スジ状のムラが少なく、表面が非常に均一な外観の塗工層を得ることができる。また、水蒸気バリア層用塗工液のハイシェア粘度を上記範囲内とすることにより、ブレード通過後の膜厚を維持することができ、所望の膜厚の塗工層を容易に得ることができる。このハイシェア粘度が11.5mPa・s未満であると、スジ状のムラが多く、表面の外観が不均一な塗工層となる。また、このハイシェア粘度が20mPa・sより大きいと、ブレードによる過剰な塗工液の掻き落しが不安定になり、塗工幅全体で塗工量を均一に制御することが困難となる。そのため、端部、中央部とで性能のバラツキが大きくなり、歩留まりが低くなる。
第一発明において、水蒸気バリア層用塗工液のハイシェア粘度は、12mPa・s以上であることが好ましく、13mPa・s以上であることがより好ましい。また、19mPa・s以下であることが好ましく、18mPa・s以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、スジ状のムラとは、アプリケーターやブレードに異物が挟まって生じる幅1mm以下のスジ状の塗工欠陥ではなく、ブレードで加圧された塗工液中の水分が紙基材に浸透し、その後の乾燥により紙基材が収縮することにより生じると推測される、幅2cm程度のスジ状のムラである。なお、ハイシェア粘度は、ハイシェア粘度計を使用し、Eボブを用いて、8800rpmの回転速度で測定される値である。ハイシェア粘度計としては、Kaltec Scientific社製のDV−10などが使用可能である。
また、第一発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度32重量%、温度30℃におけるB型粘度が1500mPa・s以下であることが好ましい。B型粘度が1500mPa・sより高いと、塗工液の送液性や取扱い性が劣る等の操業上の問題が発生しやすくなる。B型粘度は1000mPa・s以下であることがより好ましい。また、200mPa・s以上であることがより好ましい。なお、塗工液のB型粘度は、ブルックフィールド粘度計(B型粘度計)を使用し、No.3のローターを用いて、60rpmの回転速度で測定される値である。
また、第一発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度32重量%、温度30℃におけるpHが8.0以上13.0以下の範囲であることが好ましい。また、8.5以上であることがより好ましく、9.0以上であることがさらに好ましい。また、12.0以下であることがより好ましく、11.0以下であることがさらに好ましく、10.0以下であることが特に好ましい。水蒸気バリア層用塗工液のpHが上記範囲であると、ハイシェア粘度を所定の範囲内とすることが容易となるため好ましい。
また、第一発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度が25重量%以上44重量%以下の範囲であることが好ましい。また、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度が上記範囲であると、所望する水蒸気バリア性が得られやくなると共に、塗工液の調製が容易となるため好ましい。
(水蒸気バリア性樹脂)
水蒸気バリア性樹脂としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、パラフィン(WAX)系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、またはそれらのパラフィン(WAX)配合合成接着剤等を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。これらの中では、水蒸気バリア性の点からスチレン・ブタジエン系合成接着剤、スチレン・アクリル系合成接着剤を使用することが好ましい。
第一発明においてスチレン・ブタジエン系合成接着剤とは、スチレンとブタジエンを主構成モノマーとし、これに変性を目的とする各種のコモノマーを組み合わせ、乳化重合したものである。コモノマーの例として、メチルメタクリルレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレートや、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。また、乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ロジン酸石鹸、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を単独、またはノニオン性界面活性剤と組み合わせて用いることができる。目的によっては、両性またはカチオン性界面活性剤を用いることもできる。また、スチレン・アクリル系合成接着剤とは、スチレンとアクリルを主構成モノマーとし、これに変性を目的とする各種のコモノマーを組み合わせ、乳化重合したものである。
(水溶性高分子)
なお、水蒸気バリア性に問題がない程度であれば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子を、上記水蒸気バリア性樹脂と併用することも可能である。
(顔料)
顔料は、水蒸気バリア層の水蒸気バリア性を高め、また、水蒸気バリア層の上にガスバリア層を塗工する場合に、水蒸気バリア層とガスバリア層の密着性を向上させることができる。
顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの顔料の中でも、水蒸気バリア性の向上と、ガスバリア層形成用塗工液の浸透抑制の両方の観点から、形状が扁平なカオリン、マイカ、タルクなどの無機顔料が好ましく、カオリン、マイカがより好ましい。これらの中で、アスペクト比が10以上の無機顔料を単独または2種類以上混合して使用することが好ましい。アスペクト比は100以上がより好ましく、200以上がさらに好ましい。また、体積50%平均粒子径(D50)(以下、「平均粒子径」とも言う。)が5μm以上の無機顔料を単独または2種類以上混合して使用することがより好ましい。使用する無機顔料の平均粒子径またはアスペクト比が上記範囲より小さいと、水蒸気バリア性の向上効果が小さくなる。
第一発明において、水蒸気バリア性の向上、およびガスバリア層との密着性向上のため、平均粒子径が5μm以上の無機顔料を含有する水蒸気バリア層に、さらに平均粒子径が5μm以下の顔料を含有させてもよい。平均粒子径が5μm以下の顔料を併用することにより、平均粒子径が5μm以上の無機顔料により形成された水蒸気バリア層中の空隙を減少させることができるため、さらに優れた水蒸気バリア性が発現する。つまり、水蒸気バリア層に平均粒子径の異なる顔料を含有させた場合、水蒸気バリア層中で大きな平均粒子径の無機顔料により形成される空隙に小さな平均粒子径の顔料が充填された状態となり、水蒸気は顔料を迂回して通過するため、異なる平均粒子径の顔料を含有していない水蒸気バリア層と比較して、高い水蒸気バリア性を有するものと推測される。
第一発明において、平均粒子径が5μm以上の無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料を併用する場合、平均粒子径が5μm以上の無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料の配合比率は、乾燥重量で、50/50〜99/1であることが好ましい。平均粒子径が5μm以上の無機顔料の配合比率が上記範囲より少ないと、水蒸気が水蒸気バリア層中を迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、水蒸気バリア性の改善効果が小さくなることがある。一方、上記範囲より多いと、水蒸気バリア層中の大きな平均粒子径の無機顔料が形成する空隙を平均粒子径が5μm以下の顔料で十分に埋めることができないため、水蒸気バリア性のさらなる向上は見られない。
第一発明において、平均粒子径が5μm以上の無機顔料と併用する平均粒子径が5μm以下の顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの顔料の中では、重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
水蒸気バリア層に顔料を含有させる場合、顔料の配合量は、乾燥重量で顔料100重量部に対して、水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計で5重量部以上200重量部以下の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計で10重量部以上150重量部以下である。
(架橋剤)
第一発明において、水蒸気バリア層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤は水蒸気バリア層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子と架橋反応を起こすため、水蒸気バリア層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、水蒸気バリア層が緻密な構造となり、良好な水蒸気バリア性を発現することができる。
第一発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、水蒸気バリア層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。
水蒸気バリア性に優れた効果を発現するスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系などのスチレン系の水蒸気バリア性樹脂を用いた場合、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。
架橋剤の配合量については、塗工可能な塗工液濃度や塗工液粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、好ましくは顔料100重量部に対して、架橋剤が1重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは3重量部以上5重量部以下である。1重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、10重量部より多いと塗工液の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
第一発明において、水蒸気バリア層用塗工液に架橋剤を添加する場合、アンモニアなどの極性溶媒に架橋剤を溶解させてから塗工液へ添加することが好ましい。架橋剤を極性溶媒に溶解させると架橋剤と極性溶媒で結合を作るため、塗工液へ添加しても直ちには水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こらないため、塗工液の増粘を抑制することができる。その場合、紙基材への塗工後に乾燥することにより極性溶媒成分が揮発し、水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こり、緻密な水蒸気バリア層が形成されると推測される。
(撥水剤)
第一発明において、水蒸気バリア性向上の観点から、水蒸気バリア層に撥水剤を含有させることが好ましい。撥水剤としては、アルカン化合物を主体とするパラフィン系撥水剤、カルナバやラノインなどの動植物由来の天然油脂系撥水剤、シリコーンまたはシリコーン化合物を含有するシリコーン含有系撥水剤、フッ素化合物を含有するフッ素含有系撥水剤など例示することができる。これらの中では、水蒸気バリア性能発現の観点からパラフィン系撥水剤を使用することが好ましい。また、これらの撥水剤を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
第一発明において、撥水剤の配合量は特に限定されるものではないが、撥水剤の配合量は、乾燥重量で水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計100重量部に対して、撥水剤が1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。撥水剤の配合量が1重量部未満であると、水蒸気バリア性の向上効果が十分に得られない場合がある。一方、100重量部を超えた場合には、水蒸気バリア層上にガスバリア層を設ける場合にガスバリア層が均一に形成し難くなるため、ガスバリア性が低下する場合がある。
(保水剤)
第一発明において、水蒸気バリア層用塗工液は保水剤を含むことが好ましい。保水剤を含むことにより、ブレード通過後の膜厚を所望の値に制御しやすくなる。保水剤としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ゼラチン等の天然高分子、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテル系化合物、ポリカルボン酸系共重合物、ポリアクリルアミド系共重合物等の合成高分子等の親水性高分子等を好ましく用いることができる。
また、合成高分子等の保水剤は、保水性の発現機構では、保水剤が顔料やバインダーに吸着してネットワークを形成することにより保水性が発現する吸着型、保水剤の高分子構造中に導入された疎水基と塗工液中の疎水性材料が会合して、網目構造を作ることにより保水性が発現する会合型、保水剤の高分子量ポリマー同士が絡み合うことにより保水性が発現する浮遊型等に分類できる。また、形態では、順相型(O/W型)、逆相型(W/O型)等に分類できる。
第一発明では、固形分濃度が低い塗工液においても保水性の発現が良好であり、取り扱いも容易である浮遊逆相型保水剤が好ましい。浮遊逆相型保水剤の具体例としては、ソマール社製ソマレックス530(ポリカルボン酸系共重合物)、サンノプコ社製ビストゥール300(ポリアクリルアミド系共重合物)等を例示することが可能である。また、吸着順相型保水剤の具体例としては、ソマール社製ソマレックス680K(アクリルエステル系共重合物)等を例示することが可能である。
保水剤の配合量は、ハイシェア粘度が第一発明の範囲内であれば特に限定されないが、水蒸気バリア層が含有する顔料100重量部に対し、0.01〜1.5重量部であることが好ましい。保水剤は、基本的に親水性高分子であるため、水蒸気バリア性維持の点から、配合量は少ないほうが好ましく、具体的には、1.2重量部以下であることがより好ましく、1.0重量部以下であることがさらに好ましい。
また、水蒸気バリア層用塗工液には、上記した水蒸気バリア性樹脂、水溶性高分子、顔料、架橋剤、撥水剤、保水剤の他、分散剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を配合することができる。
(第二発明の水蒸気バリア層用塗工液)
第二発明の水蒸気バリア層用塗工液は、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有し、これらが溶解、分散した水を主体とする塗工液であり、さらに、浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有することを特徴とする。
第二発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度32重量%、温度30℃におけるB型粘度が1500mPa・s以下であることが好ましい。B型粘度が1500mPa・sより高いと、塗工液の送液性や取扱い性が劣る等の操業上の問題が発生しやすくなる。B型粘度は1000mPa・s以下であることがより好ましい。また、200mPa・s以上であることがより好ましい。なお、塗工液のB型粘度は、ブルックフィールド粘度計(B型粘度計)を使用し、No.3のローターを用いて、60rpmの回転速度で測定される値である。
第二発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が、11.5mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。水蒸気バリア層用塗工液のハイシェア粘度を上記範囲内とすることにより、スジ状のムラが少なく、表面が非常に均一な外観の塗工層を得ることができる。このハイシェア粘度が11.5mPa・s未満であると、スジ状のムラが多く、表面の外観が不均一な塗工層となる場合がある。また、このハイシェア粘度が20mPa・sより大きいと、ブレードによる過剰な塗工液の掻き落しが不安定になり、端部、中央部とで性能のバラツキが大きくなる場合がある。
第二発明において、水蒸気バリア層用塗工液のハイシェア粘度は、12mPa・s以上であることが好ましく、13mPa・s以上であることがより好ましい。また、19mPa・s以下であることが好ましく、18mPa・s以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、スジ状のムラとは、アプリケーターやブレードに異物が挟まって生じる幅1mm以下のスジ状の塗工欠陥ではなく、ブレードで加圧された塗工液中の水分が紙基材に浸透し、その後の乾燥により紙基材が収縮することにより生じると推測される、幅1cm程度のスジ状のムラである。なお、ハイシェア粘度は、ハイシェア粘度計を使用し、Eボブを用いて、8800rpmの回転速度で測定される値である。ハイシェア粘度計としては、Kaltec Scientific社製のDV−10などが使用可能である。
第二発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度32重量%、温度30℃におけるpHが8.0以上13.0以下の範囲であることが好ましい。また、8.5以上であることがより好ましく、9.0以上であることがさらに好ましい。また、12.0以下であることがより好ましく、11.0以下であることがさらに好ましく、10.0以下であることが特に好ましい。水蒸気バリア層用塗工液のpHが上記範囲であると、保水剤の性能が発揮されやすく、所望の塗工量の水蒸気バリア層を塗工することが容易であるため好ましい。
第二発明に用いる水蒸気バリア層用塗工液は、固形分濃度が25重量%以上44重量%以下の範囲であることが好ましい。また、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度が上記範囲であると、所望する水蒸気バリア性が得られやくなると共に、塗工液の調製が容易となるため好ましい。
(水蒸気バリア性樹脂)
水蒸気バリア性樹脂としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、パラフィン(WAX)系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、またはそれらのパラフィン(WAX)配合合成接着剤等を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。これらの中では、水蒸気バリア性の点からスチレン・ブタジエン系合成接着剤、スチレン・アクリル系合成接着剤を使用することが好ましい。
第二発明においてスチレン・ブタジエン系合成接着剤とは、スチレンとブタジエンを主構成モノマーとし、これに変性を目的とする各種のコモノマーを組み合わせ、乳化重合したものである。コモノマーの例として、メチルメタクリルレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレートや、イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。また、乳化剤としては、オレイン酸ナトリウム、ロジン酸石鹸、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を単独、またはノニオン性界面活性剤と組み合わせて用いることができる。目的によっては、両性またはカチオン性界面活性剤を用いることもできる。また、スチレン・アクリル系合成接着剤とは、スチレンとアクリルを主構成モノマーとし、これに変性を目的とする各種のコモノマーを組み合わせ、乳化重合したものである。
(水溶性高分子)
なお、水蒸気バリア性に問題がない程度であれば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子を、上記水蒸気バリア性樹脂と併用することも可能である。
(顔料)
顔料は、水蒸気バリア層の水蒸気バリア性を高め、また、水蒸気バリア層の上にガスバリア層を塗工する場合に、水蒸気バリア層とガスバリア層の密着性を向上させることができる。
顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの顔料の中でも、水蒸気バリア性の向上と、ガスバリア層形成用塗工液の浸透抑制の両方の観点から、形状が扁平なカオリン、マイカ、タルクなどの無機顔料が好ましく、カオリン、マイカがより好ましい。これらの中で、アスペクト比が10以上の無機顔料を単独または2種類以上混合して使用することが好ましい。アスペクト比は100以上がより好ましく、200以上がさらに好ましい。また、体積50%平均粒子径(D50)(以下、「平均粒子径」とも言う。)が5μm以上の無機顔料を単独または2種類以上混合して使用することがより好ましい。使用する無機顔料の平均粒子径またはアスペクト比が上記範囲より小さいと、水蒸気バリア性の向上効果が小さくなる。
第二発明において、水蒸気バリア性の向上、およびガスバリア層との密着性向上のため、平均粒子径が5μm以上の無機顔料を含有する水蒸気バリア層に、さらに平均粒子径が5μm以下の顔料を含有させてもよい。平均粒子径が5μm以下の顔料を併用することにより、平均粒子径が5μm以上の無機顔料により形成された水蒸気バリア層中の空隙を減少させることができるため、さらに優れた水蒸気バリア性が発現する。つまり、水蒸気バリア層に平均粒子径の異なる顔料を含有させた場合、水蒸気バリア層中で大きな平均粒子径の無機顔料により形成される空隙に小さな平均粒子径の顔料が充填された状態となり、水蒸気は顔料を迂回して通過するため、異なる平均粒子径の顔料を含有していない水蒸気バリア層と比較して、高い水蒸気バリア性を有するものと推測される。
第二発明において、平均粒子径が5μm以上の無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料を併用する場合、平均粒子径が5μm以上の無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料の配合比率は、乾燥重量で、50/50〜99/1であることが好ましい。平均粒子径が5μm以上の無機顔料の配合比率が上記範囲より少ないと、水蒸気が水蒸気バリア層中を迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、水蒸気バリア性の改善効果が小さくなることがある。一方、上記範囲より多いと、水蒸気バリア層中の大きな平均粒子径の無機顔料が形成する空隙を平均粒子径が5μm以下の顔料で十分に埋めることができないため、水蒸気バリア性のさらなる向上は見られない。
第二発明において、平均粒子径が5μm以上の無機顔料と併用する平均粒子径が5μm以下の顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの顔料の中では、重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
水蒸気バリア層に顔料を含有させる場合、顔料の配合量は、乾燥重量で顔料100重量部に対して、水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計で5重量部以上200重量部以下の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計で10重量部以上150重量部以下である。
(保水剤)
第二発明の水蒸気バリア層用塗工液は、浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有する。浮遊型保水剤とは、保水剤の高分子量ポリマー同士が絡み合うことにより保水性が発現する保水剤であり、吸着型保水剤とは、保水剤が顔料やバインダーに吸着してネットワークを形成することにより保水性が発現する保水剤をいう。なお、浮遊型、吸着型の他には、保水剤の高分子構造中に導入された疎水基と塗工液中の疎水性材料が会合して、網目構造を作ることにより保水性が発現する会合型等がある。
保水剤を構成する高分子としては、ポリエチレンオキサイド、ポリエーテル系化合物、ポリカルボン酸系共重合物、ポリアクリルアミド系共重合物等の合成高分子等の親水性高分子等を好ましく用いることができる。
第二発明で使用する保水剤は、逆相型であることが好ましい。逆相型とは、油の中に水溶性成分が粒子となり分散したW/O型のエマルションを意味する。逆相型保水剤は、分散相である水相内に親水性高分子が閉じ込められた状態で存在するため、分子鎖が広がらず分子鎖同士の絡み合いが少ない。このため、親水性高分子の分子量が非常に高くても、エマルションである逆相型保水剤自体の粘性は高すぎず、取り扱い性に優れる。逆相型保水剤が水と混合されて塗工液とされると、分散相であった水相が連続相となる転相が生じ、親水性高分子の分子鎖が広がって絡み合いを起こすために保水効果を発現する。浮遊逆相型保水剤の具体例としては、ソマール社製ソマレックス530(ポリカルボン酸系共重合物)、サンノプコ社製ビストゥール300(ポリアクリルアミド系共重合物)等を例示することが可能である。また、吸着順相型保水剤の具体例としては、ソマール社製ソマレックス680K(アクリルエステル系共重合物)等を例示することが可能である。
保水剤の配合量は、水蒸気バリア層が含有する顔料100重量部に対し、0.01重量部以上1.5重量部以下であることが好ましい。保水剤は、基本的に親水性高分子であるため、水蒸気バリア性維持の点から、配合量は少ないほうが好ましく、具体的には、1.2重量部以下であることがより好ましく、1.0重量部以下であることがさらに好ましい。
(架橋剤)
第二発明において、水蒸気バリア層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤は水蒸気バリア層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子と架橋反応を起こすため、水蒸気バリア層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、水蒸気バリア層が緻密な構造となり、良好な水蒸気バリア性を発現することができる。
第二発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、水蒸気バリア層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。
水蒸気バリア性に優れた効果を発現するスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系などのスチレン系の水蒸気バリア性樹脂を用いた場合、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。 架橋剤の配合量については、塗工可能な塗工液濃度や塗工液粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、好ましくは顔料100重量部に対して、架橋剤が1重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは3重量部以上5重量部以下である。1重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、10重量部より多いと塗工液の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
第二発明において、水蒸気バリア層用塗工液に架橋剤を添加する場合、アンモニアなどの極性溶媒に架橋剤を溶解させてから塗工液へ添加することが好ましい。架橋剤を極性溶媒に溶解させると架橋剤と極性溶媒で結合を作るため、塗工液へ添加しても直ちには水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こらないため、塗工液の増粘を抑制することができる。その場合、紙基材への塗工後に乾燥することにより極性溶媒成分が揮発し、水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こり、緻密な水蒸気バリア層が形成されると推測される。
(撥水剤)
第二発明において、水蒸気バリア性向上の観点から、水蒸気バリア層に撥水剤を含有させることが好ましい。撥水剤としては、アルカン化合物を主体とするパラフィン系撥水剤、カルナバやラノインなどの動植物由来の天然油脂系撥水剤、シリコーンまたはシリコーン化合物を含有するシリコーン含有系撥水剤、フッ素化合物を含有するフッ素含有系撥水剤など例示することができる。これらの中では、水蒸気バリア性能発現の観点からパラフィン系撥水剤を使用することが好ましい。また、これらの撥水剤を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
第二発明において、撥水剤の配合量は特に限定されるものではないが、撥水剤の配合量は、乾燥重量で水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計100重量部に対して、撥水剤が1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。撥水剤の配合量が1重量部未満であると、水蒸気バリア性の向上効果が十分に得られない場合がある。一方、100重量部を超えた場合には、水蒸気バリア層上にガスバリア層を設ける場合にガスバリア層が均一に形成し難くなるため、ガスバリア性が低下する場合がある。
また、水蒸気バリア層用塗工液には、上記した水蒸気バリア性樹脂、水溶性高分子、顔料、保水剤、架橋剤、撥水剤の他、分散剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を配合することができる。
第一発明、第二発明において、水蒸気バリア層の塗工量は、乾燥重量で3g/m以上50g/m以下とすることが好ましく、5g/m以上40g/m以下とすることがより好ましく、7g/m以上30g/m以下とすることがさらに好ましい。水蒸気バリア層の塗工量が3g/m未満であると、紙基材を塗工液が完全に被覆することが困難となり、十分な水蒸気バリア性が得られなくなることや、水蒸気バリア層上にガスバリア層を塗工する場合にガスバリア層用塗工液が紙基材にまで浸透して、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、50g/mより多いと、塗工時の乾燥負荷が大きくなる。
なお、第一発明、第二発明において、水蒸気バリア層は1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。水蒸気バリア層を2層以上の多層で構成する場合は、少なくとも紙基材に接する水蒸気バリア層をブレード塗工法により塗工し、全ての水蒸気バリア層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
(紙基材)
第一発明、第二発明において使用する紙基材は、パルプ、填料、各種助剤等からなるシートである。
パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプなどの木材繊維、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維などを用いることができ、適宜配合して用いることが可能である。これらの中でも、原紙中への異物混入が発生し難いこと、使用後の紙容器を古紙原料に供してリサイクル使用する際に経時変色が発生し難いこと、高い白色度を有するため印刷時の面感が良好となり、特に包装材料として使用した場合の使用価値が高くなることなどの理由から、化学パルプ、機械パルプを用いることが好ましく、化学パルプを用いることがより好ましい。
填料としては、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。また、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
紙基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、公知の長網フォーマー、オントップハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマーマシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙して紙基材を製造することができる。また、紙基材は1層であってもよく、2層以上の多層で構成されていてもよい。
さらに、紙基材の表面を各種薬剤で処理することが可能である。使用される薬剤としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などを例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらの各種薬剤と顔料を併用してもよい。顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
紙基材の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
この様にして得られる紙基材としては、上質紙、中質紙、塗工紙、片艶紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、晒クラフト紙、グラシン紙、板紙、白板紙、ライナーなどの各種公知のものが例示可能である。
また、紙基材の坪量は、紙製バリア基材に所望される各種品質や取り扱い性等により適宜選択可能であるが、通常は20g/m以上500g/m以下程度のものが好ましい。食品などの包装材、容器、カップなど、包装用途に使用する紙製バリア包装材料の場合は、25g/m以上400g/m以下のものがより好ましく、特に後述する軟包装材用途に使用する紙製バリア包装材料の場合は、30g/m以上110g/m以下のものがより好ましい。
(ガスバリア層)
第一発明、第二発明である紙製バリア基材の製造方法は、水蒸気バリア層上に、ガスバリア層用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成することができる。ガスバリア層用塗工液は、水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子が溶解、分散した水を主体とする塗工液であることが好ましい。水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子を含有するガスバリア層を有する第一発明、第二発明である紙製バリア基材は、優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を併せ持つ。
(水溶性高分子・水分散性高分子)
第一発明、第二発明において、ガスバリア層に使用される水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどを例示することができる。これらの中では、ガスバリア性の点から、ポリビニルアルコール類、セルロース誘導体が好ましく、ポリビニルアルコール類がさらに好ましい。
また、ガスバリア層に使用される水分散性高分子としては、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂などを例示することができる。
(顔料)
第一発明、第二発明において、ガスバリア層に顔料を含有させることは、ガスバリア性向上の観点から好ましい。ガスバリア層に使用される顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの顔料の中でも、ガスバリア性向上の観点から、形状が扁平なカオリン、マイカ、タルクなどの無機顔料が好ましく、カオリン、マイカがより好ましい。また、平均粒子径が3μm以上の無機顔料を使用することがより好ましく、平均粒子径が5μm以上の無機顔料を使用することがさらに好ましい。また、アスペクト比が10以上の無機顔料を使用することがより好ましく、アスペクト比が30以上の無機顔料を使用することがさらに好ましい。
ガスバリア層に顔料を含有させた場合、酸素などのガスは顔料を迂回して通過する。このため、顔料を含有していない水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子からなるガスバリア層と比較して高湿度雰囲気下における優れたガスバリア性を有する。
第一発明、第二発明において、ガスバリア層に顔料を含有させる場合、顔料と水溶性高分子および水分散性高分子の配合比率は、乾燥重量で、顔料/(水溶性高分子と水分散性高分子の合計)=1/100〜1000/100であることが好ましい。顔料の比率が上記範囲外であると、ガスバリア性の改善効果が小さくなることがある。
なお、第一発明、第二発明において、顔料を水溶性高分子、水分散性高分子中に配合する際に、顔料がスラリー化したものを添加し混合することが好ましい。
(架橋剤)
第一発明、第二発明において、ガスバリア層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤はガスバリア層に含有される水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子と架橋反応を起こすため、ガスバリア層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、ガスバリア層が緻密な構造となり、良好なガスバリア性を発現することができる。
第一発明、第二発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、ガスバリア層に含有される水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。なお、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。
架橋剤の配合量については、塗工可能な塗工液濃度や塗工液粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、好ましくは顔料100重量部に対して、架橋剤が1重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは3重量部以上5重量部以下である。1重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、10重量部より多いと塗工液の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
(界面活性剤)
第一発明、第二発明において、水蒸気バリア層との密着性の観点より、ガスバリア層中に界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤のイオン性は制限されるものはなく、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれの種類でも単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、具体的な種類としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アルコール系界面活性剤、アセチレン基を有するアセチレン系界面活性剤、アセチレン基と2つの水酸基を有するアセチレンジオール系界面活性剤、アルキル基とスルホン酸基を有するアルキルスルホン酸系界面活性剤、エステル系界面活性剤、アミド系界面活性剤、アミン系界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、フェニルエーテル系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、フェノール系界面活性剤などを例示することができる。これらの中では塗工液のレベリング性の向上効果が大きい、アセチレンジオール系界面活性剤を使用することが好ましい。なお、塗工液のレベリング性が向上すると、ガスバリア層の均一性が向上するため、ガスバリア性が向上する。
第一発明、第二発明において、ガスバリア層用塗工液には、上記した水溶性高分子、水分散性高分子、顔料、架橋剤、界面活性剤の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を配合することができる。
第一発明、第二発明において、ガスバリア層の塗工量は、乾燥重量で0.2g/m以上20g/m以下とすることが好ましい。ガスバリア層の塗工量が0.2/m未満であると、均一なガスバリア層を形成することが困難であるため、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、20g/mより多いと、塗工時の乾燥負荷が大きくなる。
なお、第一発明、第二発明において、ガスバリア層は1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。ガスバリア層を2層以上の多層で構成する場合は、全てのガスバリア層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
水蒸気バリア層上にガスバリア層を塗工する場合には、ガスバリア層の塗工方法は特に制限されず、カーテンコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。これらの塗工方法の中では、スジ状のムラが少なく、極めて均一で美麗な外観及び/又は極めて均質な塗工層を有する水蒸気バリア層を形成することができるという本発明の効果を損ねることがなく、平滑性、均一性に優れた外観を維持することができるため、エアナイフ塗工法またはカーテン塗工法によりガスバリア層を塗工することが好ましく、カーテン塗工法がより好ましい。
第一発明、第二発明において、水蒸気バリア層との密着性の観点から、ガスバリア層用塗工液の表面張力を、10mN/m以上60mN/m以下に調整することが好ましく、15mN/m以上50mN/m以下に調整することがより好ましい。ガスバリア層をカーテン塗工する場合は、45mN/m以下に調整することが好ましい。
(紙製バリア基材)
第一発明、第二発明で製造される紙製バリア基材は、紙基材上に少なくとも水蒸気バリア層用塗工液をブレード塗工法により塗工した後、通常の乾燥工程を経て製造される。好ましい態様において、製造後の塗工紙水分が3重量%以上10重量%以下、より好ましくは4重量%以上8重量%以下程度となるように調整して仕上げられる。水蒸気バリア層、ガスバリア層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。平滑化処理装置は、オンマシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も適宜調整される。
第一発明、第二発明で製造される紙製バリア基材は、紙製バリア基材のまま、または各種樹脂等と積層する、各種汎用フィルム、バリアフィルム、アルミ箔等と貼合するなどして、食品などの包装材、容器、カップ等の包装用途に用いられる紙製バリア包装材料、または産業用資材などに用いられる積層体とすることが可能である。
これらの中で、食品などの包装材、容器、カップ等の包装用途に用いられる紙製バリア包装材料として好適に使用することができ、食品などの軟包装材として特に好適に使用することができる。なお、軟包装材とは、構成としては、柔軟性に富む材料で構成されている包装材であり、一般には紙、フィルム、アルミ箔等の薄く柔軟性のある材料を、単体あるいは貼り合せた包装材を指す。また、形状としては、袋など、内容物を入れることにより立体形状を保つような包装材を指す。
第一発明、第二発明で製造される紙製バリア基材を食品などの包装材、特に軟包装材として用いる場合は、ヒートシール性を有する樹脂と積層することにより、包装材料としての密閉性を高め、内容物を酸素による酸化や湿気などによる劣化などから守り、保存期間の延長を可能にすることができる。
また、産業用資材などに用いられる積層体として使用する場合においても、酸素や湿気の侵入を抑えることで、腐敗、劣化を防止できるほか、溶剤の臭気が漏れ出るのを防止するフレーバーバリア性などの効果が期待される。
以下に実施例を挙げて、本発明の第一発明、第二発明を具体的に説明するが、第一発明、第二発明は、もちろんこれらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示す。なお、得られた紙製バリア基材について以下に示す様な評価方法に基づいて試験を行った。
(評価方法)
<水蒸気透過度(水蒸気バリア性)>
温度40±0.5℃、相対湿度差90±2%の条件下で、JIS K 7129:2008 プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)に準拠して、透湿度測定器(Dr.Lyssy社製、L80−4000)を用いて測定した。
<酸素透過度(ガスバリア性)>
MOCON社製、OX−TRAN2/21を使用し、23℃−0%RH条件にて測定した。
<ハイシェア粘度>
得られた水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃の時の粘度を、ハイシェア粘度計(Kaltec Scientific社製、DV−10)を使用し、Eボブを用いて、8800rpmの回転速度で測定した。
<B型粘度>
得られた水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃の時の粘度を、ブルックフィールド粘度計(東京計器社製、BII形粘度計)を使用し、No.3のローターを用いて、60rpmの回転速度で測定した。
<pH>
得られた水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃の時のpHを、pHメーター(東亜ディーケーケー社製、HM−30)を用いて測定した。
<面感(塗工面:Wa)>
3Dマイクロスコープ(KEYENCE社製、VR−3000)(ISO4287準拠)を用いて、得られた紙製バリア基材の塗工面のうねりを幅方向で20000μm(2cm)の範囲で検出した。得られたうねりデータからλc=0.8mmの波長をカットし、λs、λfはカットせず、算術平均粗さ(Wa)を算出した。
<印刷面感(裏面:目視)>
得られた紙製バリア基材の非塗工面(裏面)に、RI印刷機を用いて下記条件でインキを印刷し乾燥させ、23℃/50%RHの環境下で24時間静置した後、印刷部の面感を目視により以下の基準で評価した。これは、紙の乾燥時の皺に由来すると考えられるスジ状のムラが、非塗工面(紙基材)にベタ印刷することにより視認しやすくなるためである。
(印刷条件)
インキ種類:TOYOインキ TK NEX MZ 墨
インキ量 :0.3ml
使用ロール:ゴムロール
(評価基準)
◎:全くムラが見られない
○:ほとんどムラが見られない
△:ややムラが見られる
×:ムラが見られる
<塗工幅全体での塗工量の均一性と平均塗工量>
塗工幅2100mmの水蒸気バリア層塗工品を幅方向で700mm幅に3分割し、それぞれを前(ベントブレードコーターの操作側)、中(中央部)、裏(ベントブレードコーターの駆動側)とする。
水蒸気バリア層塗工品、および水蒸気バリア層塗工前の紙基材から、前、中、裏のそれぞれの中央部(幅350mm部分)を中心線としてA4判(幅210mm×高さ297mm)の測定用サンプルを10枚ずつ切り出し、それぞれを絶乾状態として、(塗工品の重量(g/m)−紙基材の重量(g/m))から、前、中、裏のそれぞれの水蒸気バリア層の塗工量(g/m)を算出した。さらに、第二発明について平均塗工量(g/m)を算出した。
・第一発明の実施例
[実施例1]
(紙基材の作製)
カナダ式標準ろ水度(CSF)500mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF530mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を80/20の重量比で配合して、原料パルプとした。
原料パルプに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.1%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対絶乾パルプ重量あたり0.35%、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン(PAEH)系樹脂を対絶乾パルプ重量あたり0.15%、さらに歩留剤として分子量1000万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.08%添加した後、長網抄紙機にて抄紙し、坪量59g/mの紙を得た。
次いで、得られた紙に固形分濃度2%に調製したポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)をロッドメタリングサイズプレスで、両面合計で1.0g/m塗工、乾燥し、坪量60g/mの原紙を得た。得られた原紙にチルドカレンダーを用いて、速度300min/m、線圧50kgf/cm、1パスにて平滑化処理を行った。
(水蒸気バリア層用塗工液A1の調製)
エンジニアードカオリン(イメリス社製、バリサーフHX、平均粒子径9.0μm、アスペクト比80−100)に分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加し(対顔料0.2%)、セリエミキサーで分散して固形分濃度60%のカオリンスラリーを調製した。調製したカオリンスラリー90部(固形分)に対しタルク(Specialty MINERALS社製、TALCRON)10部(固形分)を添加し、固形分濃度50%の顔料スラリーを調製した。
得られた顔料スラリー中に、顔料100部(固形分)に対し水蒸気バリア性樹脂としてスチレン・アクリル系共重合体エマルション(サイデン化学社製、X−511−374E)を50部(固形分)、アクリル系樹脂(三井化学社製、バリアスターASN1004)を50部(固形分)、水酸化ナトリウムの10%水溶液を1.5部(固形分)となるように配合し、さらに保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)を0.6部(固形分)となるように配合し、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液A1を得た。
(ガスバリア層用塗工液B1の調製)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)水溶液を固形分濃度12%となるよう調製し、ガスバリア層用塗工液B1を得た。なお、このガスバリア層用塗工液B1の表面張力は35mN/mであった。
(紙製バリア基材の作製)
得られた原紙上に、水蒸気バリア層用塗工液A1を乾燥重量で塗工量10g/mとなるよう塗工速度300m/minでベントブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した後、その上にガスバリア層用塗工液B1を乾燥重量で塗工量5.0g/mとなるよう塗工速度300m/minでカーテンコーターを用いて片面塗工し、紙製バリア基材を得た。
[実施例2]
(水蒸気バリア層用塗工液A2の調製)
水蒸気バリア層用塗工液A1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を保水剤(サンノプコ社製、ビストゥール300、浮遊逆相型保水剤)0.7部(固形分)に替えた以外は水蒸気バリア層用塗工液A1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液A2を得た。
水蒸気バリア層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア層用塗工液A2を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア基材を得た。
[実施例3]
(水蒸気バリア層用塗工液A3の調製)
水蒸気バリア層用塗工液A1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を保水剤(ソマール社製、ソマレックス680K、吸着順相型保水剤)0.4部(固形分)に替えた以外は水蒸気バリア層用塗工液A1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液A3を得た。
水蒸気バリア層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア層用塗工液A3を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア基材を得た。
[比較例1]
(水蒸気バリア層用塗工液A4の調製)
水蒸気バリア層用塗工液A1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を配合しない以外は水蒸気バリア層用塗工液A1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液A4を得た。
水蒸気バリア層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア層用塗工液A4を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア基材を得た。
[比較例2]
(水蒸気バリア層用塗工液A5の調製)
水蒸気バリア層用塗工液A1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を保水剤(サンノプコ社製、SNシックナー612N、会合型保水剤)3.0部(固形分)に替えた以外は水蒸気バリア層用塗工液A1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液A5を得た。
水蒸気バリア層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア層用塗工液A5を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア基材を得た。
固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下である第一発明の水蒸気バリア層用塗工液を塗工した実施例1〜3は、塗工面の算術平均粗さが小さく、非塗工面の目視での面感にも優れており、均一で美麗な外観を有していた。また、幅方向での塗工量も均一であり、バラツキの少ない紙製バリア基材を製造することができた。
一方、固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s未満である水蒸気バリア層用塗工液を塗工した比較例1、2は、塗工面の算術平均粗さが20μm以上と大きく、非塗工面も目視でムラが視認できた。また、幅方向での塗工量のバラツキが大きかった。
・第二発明の実施例
[実施例4]
(紙基材の作製)
カナダ式標準ろ水度(CSF)500mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF530mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を80/20の重量比で配合して、原料パルプとした。
原料パルプに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.1%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対絶乾パルプ重量あたり0.35%、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン(PAEH)系樹脂を対絶乾パルプ重量あたり0.15%、さらに歩留剤として分子量1000万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.08%添加した後、長網抄紙機にて抄紙し、坪量59g/mの紙を得た。
次いで、得られた紙に固形分濃度2%に調製したポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)をロッドメタリングサイズプレスで、両面合計で1.0g/m塗工、乾燥し、坪量60g/mの原紙を得た。得られた原紙にチルドカレンダーを用いて、速度300min/m、線圧50kgf/cm、1パスにて平滑化処理を行った。
(水蒸気バリア層用塗工液a1の調製)
エンジニアードカオリン(イメリス社製、バリサーフHX、平均粒子径9.0μm、アスペクト比80−100)に分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加し(対顔料0.2%)、セリエミキサーで分散して固形分濃度60%のカオリンスラリーを調製した。調製したカオリンスラリー90部(固形分)に対しタルク(Specialty MINERALS社製、TALCRON)10部(固形分)を添加し、固形分濃度50%の顔料スラリーを調製した。
得られた顔料スラリー中に、顔料100部(固形分)に対し水蒸気バリア性樹脂としてスチレン・アクリル系共重合体エマルション(サイデン化学社製、X−511−374E)を50部(固形分)、アクリル系樹脂(三井化学社製、バリアスターASN1004)を50部(固形分)、水酸化ナトリウムの10%水溶液を1.5部(固形分)となるように配合し、さらに保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)を0.6部(固形分)となるように配合し、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液a1を得た。
(ガスバリア層用塗工液b1の調製)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)水溶液を固形分濃度12%となるよう調製し、ガスバリア層用塗工液b1を得た。なお、このガスバリア層用塗工液b1の表面張力は35mN/mであった。
(紙製バリア基材の作製)
得られた原紙上に、水蒸気バリア層用塗工液a1を乾燥重量で塗工量10g/mとなるよう塗工速度300m/minでベントブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した後、その上にガスバリア層用塗工液b1を乾燥重量で塗工量5.0g/mとなるよう塗工速度300m/minでカーテンコーターを用いて片面塗工し、紙製バリア基材を得た。
[実施例5]
(水蒸気バリア層用塗工液a2の調製)
水蒸気バリア層用塗工液a1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を保水剤(サンノプコ社製、ビストゥール300、浮遊逆相型保水剤)0.7部(固形分)に替えた以外は水蒸気バリア層用塗工液a1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液a2を得た。
水蒸気バリア層用塗工液a1に替えて水蒸気バリア層用塗工液a2を使用した以外は、実施例4と同様にして紙製バリア基材を得た。
[実施例6]
(水蒸気バリア層用塗工液a3の調製)
水蒸気バリア層用塗工液a1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を保水剤(ソマール社製、ソマレックス680K、吸着順相型保水剤)0.4部(固形分)に替えた以外は水蒸気バリア層用塗工液a1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液a3を得た。
水蒸気バリア層用塗工液a1に替えて水蒸気バリア層用塗工液a3を使用した以外は、実施例4と同様にして紙製バリア基材を得た。
[比較例3]
(水蒸気バリア層用塗工液a4の調製)
水蒸気バリア層用塗工液a1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を配合しない以外は水蒸気バリア層用塗工液a1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液a4を得た。
水蒸気バリア層用塗工液a1に替えて水蒸気バリア層用塗工液a4を使用した以外は、実施例4と同様にして紙製バリア基材を得た。
[比較例4]
(水蒸気バリア層用塗工液a5の調製)
水蒸気バリア層用塗工液a1の調製で、保水剤(ソマール社製、ソマレックス530、浮遊逆相型保水剤)0.6部(固形分)を保水剤(サンノプコ社製、SNシックナー612N、会合型保水剤)3.0部(固形分)に替えた以外は水蒸気バリア層用塗工液a1と同様にして、固形分濃度32%の水蒸気バリア層用塗工液a5を得た。
水蒸気バリア層用塗工液a1に替えて水蒸気バリア層用塗工液a5を使用した以外は、実施例4と同様にして紙製バリア基材を得た。
第二発明の浮遊型保水剤、吸着型保水剤を含有する水蒸気バリア層用塗工液を塗工した実施例4〜6は、塗工量が多く、また、幅方向での塗工量も均一であり、バラツキの少ない極めて均質な塗工層を有する紙製バリア基材を製造することができた。さらに、塗工面の算術平均粗さが小さく、非塗工面の目視での面感にも優れており、均一で美麗な外観を有していた。特に浮遊逆相型保水剤を含む水蒸気バリア層用塗工液を塗工した実施例4、5は、スジ状のムラが全く見えず、非常に美麗な外観を有していた。
一方、保水剤を含有しない水蒸気バリア層用塗工液を塗工した比較例3、及び浮遊型保水剤、吸着型保水剤以外の保水剤を含有する水蒸気バリア層用塗工液を塗工した比較例4は、同様の条件で塗工したにも関わらず、実施例4〜6と比較して塗工量が少なくなった。また、幅方向での塗工量のバラツキが大きかった。特に、比較例4は、顔料100重量部に対して会合型保水剤を3.0重量部含有するにも関わらず、塗工量が少なかった。また、親水性高分子である保水剤を大量に含有させたため、水蒸気バリア性が低下する傾向が見られた。さらに、比較例3、4は、塗工面の算術平均粗さが20μm以上と大きく、非塗工面も目視でムラが視認できた。

Claims (12)

  1. 紙基材上に、少なくとも水蒸気バリア性樹脂と顔料とを含有する水蒸気バリア層用塗工液を、ブレード塗工法により塗工して水蒸気バリア層を形成する工程を有し、
    下記条件(1)及び/又は(2)を満足することを特徴とする紙製バリア基材の製造方法。
    (1)前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下である。
    (2)前記水蒸気バリア層用塗工液が、保水剤として浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有する。
  2. 前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるハイシェア粘度が11.5mPa・s以上20mPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙製バリア基材の製造方法。
  3. 前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるB型粘度が1500mPa・s以下であることを特徴とする請求項2に記載の紙製バリア基材の製造方法。
  4. 前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度32重量%、温度30℃におけるpHが8.0以上13.0以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の紙製バリア基材の製造方法。
  5. 前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度が、25重量%以上44重量%以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
  6. 前記水蒸気バリア層上に、ガスバリア層用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成する工程、を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
  7. 前記水蒸気バリア層用塗工液が、保水剤として浮遊型保水剤または吸着型保水剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の紙製バリア基材の製造方法。
  8. 前記保水剤が、浮遊逆相型保水剤であることを特徴とする請求項7に記載の紙製バリア基材の製造方法。
  9. 前記保水剤の含有量が、顔料100重量部に対し0.01重量部以上1.5重量部以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の紙製バリア基材の製造方法。
  10. 前記水蒸気バリア層用塗工液のpHが、8.0以上13.0以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
  11. 前記水蒸気バリア層用塗工液の固形分濃度が、25重量%以上44重量%以下であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
  12. 前記水蒸気バリア層上に、ガスバリア層用塗工液を塗工して、ガスバリア層を形成する工程、を含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の紙製バリア基材の製造方法。
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