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JP6689051B2 - 光硬化性樹脂組成物、及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物、及び画像表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像表示部材と、その表面側に配される光透過性光学部材とを、光透過性硬化樹脂層を介して接着、積層して画像表示装置を製造する際に用いられる、光透過性硬化樹脂層を形成するための光硬化性樹脂組成物、及び画像表示装置の製造方法に関する。
スマートフォン等の情報端末に用いられている液晶表示パネル等の画像表示装置は、例えば、液晶表示パネルや有機ELパネル等の画像表示部材と光透過性光学部材との間に、光硬化性樹脂組成物を配して、光硬化性樹脂組成物層を形成する。その後、光硬化性樹脂組成物層に光を照射して硬化させて光透過性硬化樹脂層とする。このように、画像表示装置は、画像表示部材と光透過性光学部材とを接着、積層することにより製造されている。
光硬化性樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリレートオリゴマー成分と、アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分と、光重合開始剤と、可塑剤成分とを含有する光硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開2014−237745号公報 国際公開第2013/013568号
より十分な接着強度を得るために、光透過性硬化樹脂層(光硬化性樹脂組成物の硬化物)のガラス転移温度を、使用温度以上の高温に設計したい場合がある。
ここで、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率が高い程、低温環境下での落下衝撃等で、光透過性硬化樹脂層と被着体(例えば光透過性光学部材や画像表示部材)とが剥離しやすい傾向にあることが分かった。特に、硬化性樹脂組成物層のガラス転移温度が高い場合、このような傾向が顕著であることが分かった。そのため、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率を低くすることができる光硬化性樹脂組成物が求められている。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率を低くすることができる光硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーと、重合開始剤と、可塑剤とを含有し、可塑剤は、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有する。
また、本発明に係る画像表示装置の製造方法は、光硬化性樹脂組成物を、光透過性光学部材の表面又は画像表示部材の表面に塗布する工程と、画像表示部材と光透過性光学部材とを光硬化性樹脂組成物を介して貼合わせる工程と、光硬化性樹脂組成物を硬化させる工程とを有し、光硬化性樹脂組成物は、上述した光硬化性樹脂組成物である。
本発明は、ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマーと、(メタ)アクリル系モノマーと、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有する光硬化性樹脂組成物を用いることにより、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率を低くすることができる。
図1Aは、画像表示装置の製造方法の工程(A1)の一例を示す説明図である。 図1Bは、画像表示装置の製造方法の工程(B1)の一例を示す説明図である。 図1Cは、画像表示装置の製造方法の工程(C1)の一例を示す説明図である。 図1Dは、画像表示装置の製造方法の工程(C1)の一例を示す説明図である。 図2Aは、画像表示装置の製造方法の工程(A2)の一例を示す説明図である。 図2Bは、画像表示装置の製造方法の工程(A2)の一例を示す説明図である。 図2Cは、画像表示装置の製造方法の工程(B2)の一例を示す説明図である。 図2Dは、画像表示装置の製造方法の工程(B2)の一例を示す説明図である。 図2Eは、画像表示装置の製造方法の工程(C2)の一例を示す説明図である。 図2Fは、画像表示装置の製造方法の工程(D2)の一例を示す説明図である。 図2Gは、画像表示装置の製造方法の工程(D2)の一例を示す説明図である。 図3Aは、画像表示装置の製造方法の工程(A3)の一例を示す説明図である。 図3Bは、画像表示装置の製造方法の工程(A3)の一例を示す説明図である。 図3Cは、画像表示装置の製造方法の工程(B3)の一例を示す説明図である。 図3Dは、画像表示装置の製造方法の工程(B3)の一例を示す説明図である。 図3Eは、画像表示装置の製造方法の工程(C3)の一例を示す説明図である。 図4は、光透過性硬化樹脂層が形成されたガラス接合体を示す斜視図である。 図5は、図4中のA−A’断面図である。 図6は、光透過性硬化樹脂層が形成されたガラス接合体の接着強度試験を説明するための断面図である。 図7は、光透過性硬化樹脂層が形成されたガラス接合体の接着強度試験を説明するための平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。本願明細書中、(メタ)アクリレートという用語は、アクリレートとメタクリレートとを包含する。また、(メタ)アクリロイルという用語は、アクリロイルとメタクリロイルとを包含する。
1.光硬化性樹脂組成物
2.画像表示装置の製造方法
3.実施例
<1.光硬化性樹脂組成物>
本実施の形態に係る光硬化性樹脂組成物は、ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマー(以下、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)ともいう。)と、(メタ)アクリレートモノマーと、重合開始剤と、可塑剤とを含有し、可塑剤は、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有する。このような光硬化性樹脂組成物を用いることにより、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率を低くすることができる。
光硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性成分として、アクリル系オリゴマー、及び(メタ)アクリレートモノマーを含有し、アクリル系オリゴマーとしてウレタンアクリレートオリゴマー(A)を含有する。
[アクリル系オリゴマー]
アクリル系オリゴマーは、光硬化性樹脂組成物に十分な反応性、及び塗布性等を付与するための反応性希釈剤として使用される。光硬化性樹脂組成物は、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)を含有し、必要に応じて、ウレタンアクリレートオリゴマー(A)以外の他のアクリル系オリゴマーを含有していてもよい。
[ウレタンアクリレートオリゴマー(A)]
ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、(メタ)アクリロイル基とウレタン結合とを有するオリゴマー化合物である。
ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、1000〜70000であることがより好ましく、1000〜50000であることがさらに好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシル基またはイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートと、ポリオール化合物とを反応させることにより得られる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどのジイソシアネートが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
ポリオール化合物としては、例えば、アルキレン型、ポリカーボネート型、ポリエステル型またはポリエーテル型などのポリオール化合物が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールなどが挙げられる。
ウレタンアクリレートオリゴマー(A)の具体例としては、例えば、TEAI−1000(日本曹達(株)社製)、EBECRYL230(ダイセル・オルネクス(株)社製)、CN9014、CN9893、CN964、CN9001、CN9788、CN9783(以上、サートマー社製)、UA−1(ライトケミカル工業(株)社製)等を用いることができる。
光硬化性樹脂組成物のウレタンアクリレートオリゴマー(A)の含有量は、5〜40質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマー(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上のウレタンアクリレートオリゴマー(A)を併用する場合、その合計量が上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。
[他の(メタ)アクリル系オリゴマー]
他の(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、ポリイソプレン、ポリブタジエン等を骨格に有する(メタ)アクリレート系オリゴマーが挙げられる。ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの具体例としては、ポリイソプレン重合体の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物(UC102、UC203、UC−1(以上(株)クラレ社製))を挙げることができる。
光硬化性樹脂組成物が他の(メタ)アクリル系オリゴマーを含有する場合、光硬化性樹脂組成物中の他の(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。他の(メタ)アクリル系オリゴマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の他の(メタ)アクリル系オリゴマーを併用する場合、その合計量が上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。
[(メタ)アクリレートモノマー]
(メタ)アクリレートモノマーは、特に限定されないが、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率をより効果的低くする観点から、環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。また、(メタ)アクリレートモノマーは、その他の(メタ)アクリレートモノマーをさらに含有していてもよい。
環構造を有する(メタ)アクリレートは、環構造として、脂環式炭化水素基を有することが好ましい。脂環式炭化水素基の炭素数は、4〜30が好ましく、4〜20がより好ましく、8〜14がさらに好ましい。脂環式炭化水素基は、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。脂環式炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
光硬化性樹脂組成物は、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される(メタ)アクリレートモノマー(以下、特定(メタ)アクリレートモノマーともいう。)を含有することが好ましい。
(式(1)〜(3)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Xは−O−、−O(CH)O−、−O(CHCHO)−、又は−O(CH(CH)CHO)−を表し、Yは−O−、−O(CH)O−、−O(CHCHO)−、又は−O(CH(CH)CHO)−を表し、n及びmはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。)
式(1)〜(3)中、Rはそれぞれ独立して水素原子を表すことが好ましい。式(1)〜(3)中、Xはそれぞれ独立して−O−を表すことが好ましい。式(3)中、Yは−O−を表すことが好ましい。式(1)〜(3)中、n及びmはそれぞれ独立して1〜6の整数を表すことが好ましい。
特定(メタ)アクリレートモノマーは、上記式(1)又は式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。具体的には、特定(メタ)アクリレートモノマーは、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートの少なくとも1種であることが好ましい。特に、ジシクロペンタニルアクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートの少なくとも1種であることが好ましい。
特定(メタ)アクリレートモノマー以外の他の環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上述した環構造を有する(メタ)アクリレートモノマー以外の他の(メタ)アクリレートの具体例としては、ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物中、(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、15〜45質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。(メタ)アクリレートモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の(メタ)アクリレートモノマーを併用する場合、その合計量が上記含有量の範囲を満たすことが好ましい。
また、光硬化性樹脂組成物中、環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、1〜35重量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましい。
[重合開始剤]
重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、アルキルフェノン系光重合開始剤、及びアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の少なくとも1種を含有することがより好ましく、アルキルフェノン系光重合開始剤、及びアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有することがさらに好ましい。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASF社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2一ヒドロキシ−2−メチル−プロピロニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア127、BASF社製)等を用いることができる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ルシリンTPO、BASF社製)等を用いることができる。その他の重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン等を挙げることができる。
光重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性成分の合計100質量部に対し、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。このような範囲にすることにより、光照射時に硬化不足となるのをより効果的に防ぐとともに、開裂によるアウトガスの増加をより効果的に防ぐことができる。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
[可塑剤]
光硬化性樹脂組成物は、可塑剤として、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有する。光硬化性樹脂組成物は、このような可塑剤を含有することにより、光硬化性樹脂組成物の硬化物の低温環境下での弾性率を低くすることができる。
特に、光硬化性樹脂組成物は、可塑剤として、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエンの水素添加物、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの水素添加物の少なくとも1種を含有することが好ましい。これにより、硬化性樹脂組成物層のガラス転移温度が高い場合でも、光硬化性樹脂組成物の硬化物の低温環境下での弾性率をより効果的に低くすることができる。また、接着強度も良好にすることができる。
上記ポリブタジエンにおける1,2結合率の上限値は、75%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。また、上記ポリブタジエンにおける1,2結合率の下限値は、50%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。
1,2結合率が80%未満であるポリブタジエンの具体例としては、Krasol HLBH−P2000(1,2結合率が65%であるポリブタジエンの水素添加物、クレイバレー社製)、Krasol HLBH−P3000(1,2結合率が65%であるポリブタジエンの水素添加物、クレイバレー社製)、Krasol LBH−P2000(1,2結合率が65%であるポリブタジエン、クレイバレー社製、Krasol LBH−P3000(1,2結合率が65%であるポリブタジエン、クレイバレー社製)、LBH−P5000(1,2結合率が65%であるポリブタジエン、クレイバレー社製)等が挙げられる。
上記ポリイソプレンにおける1,2結合率の上限値は、70%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。また、上記ポリイソプレンにおける1,2結合率の下限値は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。
1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの具体例としては、EPOL(1,2結合率が20%であるポリイソプレンの水素添加物、出光興産(株)社製)等が挙げられる。
可塑剤の数平均分子量は、1000以上が好ましい。このような範囲にすることにより、ブリードアウトをより効果的に抑制することができる。可塑剤の数平均分子量の上限は、20000以下が好ましく、10000以下がより好ましい。
可塑剤の分子末端の構造は、特に限定されず、水素原子、水酸基、アクリル基、イソシアネート基、カルボキシル基等が挙げられ、水酸基であることが好ましい。
光硬化性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、15〜50質量%であることが好ましく、25〜45質量%であることがより好ましい。このような範囲にすることにより、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率をより効果的に低くすることができる。可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の可塑剤を併用する場合、その合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
また、可塑剤中、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの含有量の合計は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲にすることにより、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率をより効果的に低くすることができる。
光硬化性樹脂組成物は、上記可塑剤以外の他の可塑剤をさらに含有していてもよい。他の可塑剤としては、固体の粘着付与剤、液状オイル成分が挙げられる。固形の粘着付与剤としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等のテルペン系樹脂、天然ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン等のロジン樹脂が挙げられる。液状オイル成分としては、ポリプタジエン系オイル、ポリイソプレン系オイル等が挙げられる。
[他の成分]
光硬化性樹脂組成物は、低温環境下での光透過性硬化樹脂層の弾性率を低くするという効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分を含有していてもよい。例えば、光硬化性樹脂組成物は、分子量の調整のために更に連鎖移動剤を含有していてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトエタノール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。また、光硬化性樹脂組成物は、更にシランカップリング剤等の接着改善剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。
光硬化性樹脂組成物は、上述した各成分を、公知の混合手法に従って均一に混合することにより調製することができる。
光硬化性樹脂組成物は液状であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物が液状であることにより、例えば後述する画像表示装置の製造方法において、遮光層と光透過性光学部材の遮光層形成側表面とで形成される段差をより確実にキャンセルすることができる。ここで、光硬化性樹脂組成物が液状であるとは、B型粘度計で測定した25℃における粘度が0.01〜100Pa・sを示すことが好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、樹脂硬化物のガラス転移温度が40〜80℃であることが好ましい。ガラス転移温度の測定条件は、後述する実施例に記載の通りである。
具体的に、光硬化性樹脂組成物は、大気中で光照射により光ラジカル重合させて得られた樹脂硬化物全体の平均的な硬化率、及び樹脂硬化物の最表面の硬化率が90%以上(好ましくは97%以上)となるように硬化させた場合のガラス転移温度が上記範囲を満たすことが好ましい。
大気中で光ラジカル重合させた樹脂硬化物に着目した理由は、大気中の酸素により硬化樹脂において硬化阻害が生じるため、そのような硬化阻害により硬化樹脂の諸特性に影響が出ないような硬化条件を探るためである。また、樹脂硬化物の最表面の硬化率を90%以上とするのが好ましい理由は、樹脂硬化物の表面で硬化阻害が生じた場合であっても樹脂硬化物の表面における接着性等の特性の低下を実用上無視できるからである。更に、そのような硬化率での樹脂硬化物のガラス転移温度を上記範囲とするのが好ましい理由は、この範囲内であれば、成膜された樹脂硬化物の貼合性や接着維持性などの特性を劣化させないようにできるからである。
ここで、硬化率(ゲル分率)とは、光照射前の光硬化性樹脂組成物層中の(メタ)アクリロイル基の存在量に対する光照射後の(メタ)アクリロイル基の存在量の割合(消費量割合)と定義される数値であり、この数値が大きい程、硬化が進行していることを示す。具体的には、硬化率は、光照射前の光硬化性樹脂組成物層のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの1640〜1620cm−1の吸収ピーク高さ(X)と、光照射後の光硬化性樹脂組成物層(光透過性硬化樹脂層)のFT−IR測定チャートにおけるベースラインからの1640〜1620cm−1の吸収ピーク高さ(Y)とを、下記式に代入することにより算出することができる。
硬化率(%)=[(X−Y)/X]×100
上述した樹脂硬化物の表面の硬化率は、例えば、10μm厚以下(例えば、5μm厚)に成膜した樹脂硬化物について測定した硬化率を意味する。また、樹脂硬化物全体の硬化率は、例えば、100μm厚以上(例えば、200μm厚)に成膜した樹脂硬化物について測定した硬化率を意味する。
光硬化性樹脂組成物は、樹脂硬化物の−20℃での弾性率が3.0E+08Pa以下であることが好ましく、2.9E+08Pa以下であることがより好ましい。また、光硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物の−20℃での弾性率の下限値は、通常、1.0E+08Pa以上であることが好ましい。また、光硬化性樹脂組成物は、樹脂硬化物の25℃での弾性率が1.0E+08Pa以下であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物の25℃での弾性率の下限値は、通常、1.0E+06Pa以上であることが好ましい。弾性率の測定条件は、後述する実施例に記載の通りである。ここで、樹脂硬化物とは、大気中で光照射により光ラジカル重合させて得られた樹脂硬化物全体の平均的な硬化率、及び樹脂硬化物の最表面の硬化率が90%以上(好ましくは97%以上)となるように硬化させたものをいう。
光硬化性樹脂組成物は、樹脂硬化物の透過率が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。このような範囲を満たすことにより、画像表示装置を構成する画像表示部材に形成された画像の視認性をより良好にすることができる。ここで、樹脂硬化物とは、上述した樹脂硬化物と同義である。
<2.画像表示装置の製造方法>
以下、画像表示装置の製造方法の第1〜第3の実施の形態について、図面を参照しながら工程毎に詳細に説明する。なお、図面において同じ図番は同一の構成要素を表すものとする。
[第1の実施の形態]
[工程(A1)]
工程(A1)において、光硬化性樹脂組成物を、光透過性光学部材の表面又は画像表示部材の表面に塗布する。図1Aは、画像表示装置の製造方法の工程(A1)の一例を示す説明図である。片面の周縁部に形成された遮光層1を有する光透過性光学部材2を用意し、光透過性光学部材2の表面に、光硬化性樹脂組成物3Aを塗布する。
遮光層1は、例えば画像のコントラストを向上させるために設けられるものである。遮光層1は、黒色等に着色された塗料をスクリーン印刷法などで塗布し、乾燥・硬化させたものである。遮光層1の厚みは、通常5〜100μmである。
光透過性光学部材2は、画像表示部材に形成された画像が視認可能となるような光透過性を有するものであればよい。例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の板状材料やシート状材料が挙げられる。これらの材料には、片面又は両面にハードコート処理、反射防止処理などを施してもよい。光透過性光学部材2の厚さや弾性率などの物性は、使用目的に応じて適宜決定することができる。
[工程(B1)]
工程(B1)において、画像表示部材と光透過性光学部材とを光硬化性樹脂組成物を介して貼合わせる。図1Bは、画像表示装置の製造方法の工程(B1)の一例を示す説明図である。画像表示部材6に、光硬化性樹脂組成物3Aを介して光透過性光学部材2を貼合わせる。これにより、画像表示部材6と光透過性光学部材2との間に光硬化性樹脂組成物層3が形成される。
[工程(C1)]
工程(C1)において、光硬化性樹脂組成物を硬化させる。図1Cは、画像表示装置の製造方法の工程(C1)の一例を示す説明図である。画像表示部材6と光透過性光学部材2との間に挟持されている光硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物層3)に対し光(好ましくは紫外線)を照射して硬化させる。これにより、図1Dに示すように光透過性硬化樹脂層7を介して画像表示部材6と光透過性光学部材2とが積層した画像表示装置10が得られる。
光照射は、光透過性硬化樹脂層7の硬化率が90%以上となるように行うことが好ましく、95%以上となるように行うことがより好ましい。このような範囲を満たすことにより、画像表示部材6に形成された画像の視認性を良好にすることができる。ここで、硬化率とは、上述した硬化率と同義である。硬化を行う際の光源の種類、出力、照度、積算光量などは特に制限なく、例えば、公知の紫外線照射による(メタ)アクリレートの光ラジカル重合プロセス条件を採用することができる。
画像表示部材6としては、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル、タッチパネル等を挙げることができる。ここで、タッチパネルとは、液晶表示パネルのような表示素子とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた画像表示・入力パネルを意味する。
光透過性硬化樹脂層7の−20℃での弾性率、及び25℃での弾性率は、上述した樹脂硬化物の−20℃での弾性率、及び25℃での弾性率と同義であり、好ましい範囲も同様である。
以上、第1の実施の形態では、光透過性光学部材2の遮光層1が形成された側の表面に光硬化性樹脂組成物3Aを塗布する例を説明したが、画像表示部材6の表面に光硬化性樹脂組成物3Aを塗布してもよい。
[第2の実施の形態]
[工程(A2)]
図2A及び図2Bは、画像表示装置の製造方法の工程(A2)の一例を示す説明図である。まず、図2Aに示すように、片面の周縁部に形成された遮光層1を有する光透過性光学部材2を用意する。また、図2Bに示すように、光透過性光学部材2の表面2aに、光硬化性樹脂組成物を、遮光層1と光透過性光学部材2の遮光層形成側表面2aとで形成される段差4がキャンセルされるように、遮光層1の厚さより厚く塗布して光硬化性樹脂組成物層3を形成する。具体的には、遮光層1の表面も含め、光透過性光学部材2の遮光層形成側表面2aの全面に光硬化性樹脂組成物を平坦になるように塗布し、段差が生じないようにすることが好ましい。光硬化性樹脂組成物層3の厚さは、遮光層1の厚さの1.2〜50倍の厚さが好ましく、2〜30倍の厚さがより好ましい。
光硬化性樹脂組成物の塗布は、必要な厚みが得られるように行えばよく、1回で行ってもよいし、複数回行ってもよい。
[工程(B2)]
工程(B2)において、工程(A2)で形成された光硬化性樹脂組成物層に光照射して仮硬化を行うことにより、仮硬化樹脂層を形成する。
図2C及び図2Dは、画像表示装置の製造方法の工程(B2)の一例を示す説明図である。図2Cに示すように、工程(A2)で形成された光硬化性樹脂組成物層3に光(好ましくは紫外線)を照射して仮硬化を行うことにより、仮硬化樹脂層5を形成する。光硬化性樹脂組成物層3の仮硬化を行うのは、光硬化性樹脂組成物を液状から著しく流動しない状態にし、図2Dに示すように、天地逆転させても流れ落ちないようにして取扱性を向上させるためである。また、仮硬化を行うことにより、遮光層1と画像表示部材との間の光透過性硬化樹脂層3を、その間から排除することなく十分に光硬化させることでき、硬化収縮も低減させることができる。
光硬化性樹脂組成物層3の仮硬化は、仮硬化樹脂層5の硬化率が、10〜80%となるように行うことが好ましく、40〜80%となるように行うことがより好ましく、70〜80%となるように行うことがさらに好ましい。
光照射は、硬化率が好ましくは10〜80%となるように仮硬化させることができる限り、光源の種類、出力、照度、積算光量などは特に制限なく、例えば、公知の紫外線照射による(メタ)アクリレートの光ラジカル重合プロセス条件を採用することができる。
また、光照射は、上述の硬化率の範囲内において、後述する工程(C2)の貼合わせ操作の際、仮硬化樹脂層5の液だれや変形が生じないような条件を選択することが好ましい。例えば、粘度で表現すると、20Pa・S以上(コーンプレートレオメーター、25℃、コーン及びプレートC35/2、回転数10rpm)とすることが好ましい。
[工程(C2)]
工程(C2)において、画像表示部材と光透過性光学部材とを仮硬化樹脂層を介して貼合わせる。
図2Eは、画像表示装置の製造方法の工程(C2)の一例を示す説明図である。図2Eに示すように、画像表示部材6に、光透過性光学部材2を仮硬化樹脂層5側から貼合わせる。貼合わせは、例えば、公知の圧着装置を用いて、10〜80℃で加圧することにより行うことができる。
[工程(D2)]
工程(D2)において、画像表示部材と光透過性光学部材との間に配置された仮硬化樹脂層に光を照射して本硬化させることにより、画像表示部材と光透過性光学部材とを光透過性硬化樹脂層を介して積層して画像表示装置を得る。
図2F及び図2Gは、画像表示装置の製造方法の工程(D2)の一例を示す説明図である。図2Fに示すように、画像表示部材6と光透過性光学部材2との間に挟持されている仮硬化樹脂層5に対し光(好ましくは紫外線)を照射して本硬化させる。仮硬化樹脂層5を本硬化させるのは、仮硬化樹脂層5を十分に硬化させて、画像表示部材6と光透過性光学部材2とを接着し積層するためである。これにより、画像表示部材6と光透過性光学部材2とを光透過性硬化樹脂層7を介して積層して、図2Gに示すような画像表示装置10が得られる。なお、必要に応じて、光透過性光学部材2の遮光層1と画像表示部材6との間の仮硬化樹脂層5に光を照射することにより、この仮硬化樹脂層5を本硬化させてもよい。
本硬化は、光透過性硬化樹脂層7の硬化率が90%以上となるように行うことが好ましく、95%以上となるように行うことがより好ましい。本硬化を行う際の光源の種類、出力、照度、積算光量などは特に制限なく、例えば、公知の紫外線照射による(メタ)アクリレートの光ラジカル重合プロセス条件を採用することができる。
第2の実施の形態では、光透過性光学部材2の遮光層1が形成された側の表面2aに光硬化性樹脂組成物を塗布する例を説明したが、画像表示部材6の表面に光硬化性樹脂組成物を塗布してもよい。
[第3の実施の形態]
[工程(A3)]
図3A及び図3Bは、画像表示装置の製造方法の工程(A3)の一例を示す説明図である。図3Aに示すように、片面の周縁部に形成された遮光層1を有する光透過性光学部材2を用意し、図3Bに示すように、光透過性光学部材2の表面2aに、光硬化性樹脂組成物を、遮光層1と光透過性光学部材2の遮光層形成側表面2aとで形成される段差4がキャンセルされるように、遮光層1の厚さより厚く塗布する。
[工程(B3)]
図3C及び図3Dは、画像表示装置の製造方法の工程(B3)の一例を示す説明図である。図3Cに示すように、工程(A3)で塗布された光硬化性樹脂組成物に対し光(好ましくは紫外線)を照射し、光硬化性樹脂組成物を硬化させて光透過性硬化樹脂層7を形成する(図3D)。光透過性硬化樹脂層7の硬化率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
[工程(C3)]
図3Eは、画像表示装置の製造方法の工程(C3)の一例を示す説明図である。図3Eに示すように、画像表示部材6に、光透過性光学部材2を光透過性硬化樹脂層7側から貼り合わせる。これにより画像表示装置10が得られる。貼り合わせは、上述した工程(C2)と同様の方法で行うことができる。
上述した画像表示装置の製造方法では、遮光層が形成されている光透過性光学部材を用いた場合について説明したが、遮光層が形成されていない光透過性光学部材を用いて画像表示装置を作製してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、光硬化性樹脂組成物を調製し、この光硬化性樹脂組成物を用いた光透過性硬化樹脂層を有する画像表示装置を作製した。そして、作製した画像表示装置について、−20℃での落下衝撃試験、25℃での接着強度、透過率、−20℃での弾性率、25℃での弾性率、及びガラス転移温度を評価した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
本実施例において、以下の略号を用いた。
[ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマー]
TEAI−1000:日本曹達(株)社製
EBECRYL230:ダイセル・オルネクス(株)社製
CN9014:脂肪族ウレタンアクリレート、サートマー社製
[(メタ)アクリレートモノマー]
FA511AS:ジシクロペンテニルアクリレート、日立化成工業(株)製
ライトアクリレートIB−XA:イソボルニルアクリレート、共栄社化学(株)製
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート、Miramer M200、Miwon Specialty Chemical社製
[可塑剤]
HLBH−P2000:1,2結合率が65%であるポリブタジエンの水素添加物(両末端水酸基水素化ポリブタジエン、Krasol HLBH−P2000)、クレイバレー社製
HLBH−P3000:1,2結合率が65%であるポリブタジエンの水素添加物(両末端水酸基水素化ポリブタジエン、Krasol HLBH−P3000)、クレイバレー社製
LBH−P2000:1,2結合率が65%であるポリブタジエン(両末端水酸基ポリブタジエン、Krasol LBH−P2000)、クレイバレー社製
LBH−P3000:1,2結合率が65%であるポリブタジエン(両末端水酸基ポリブタジエン、Krasol LBH−P3000)、クレイバレー社製
EPOL:1,2結合率が20%であるポリイソプレンの水素添加物(両末端水酸基水素化ポリイソプレン)、出光興産(株)社製
GI−1000:1,2結合率が85%以上であるポリブタジエンの水素添加物(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、日本曹達(株)社製
GI−2000:1,2結合率が85%以上であるポリブタジエンの水素添加物(両末端水酸基素化ポリブタジエン)、日本曹達(株)社製
GI−3000:1,2結合率が85%以上であるポリブタジエンの水素添加物(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、日本曹達(株)社製
G−1000:1,2結合率が85%以上であるポリブタジエン(両末端水酸基ポリブタジエン)、日本曹達(株)社製
G−2000:1,2結合率が85%以上であるポリブタジエン(両末端水酸基ポリブタジエン)、日本曹達(株)社製
[重合開始剤]
Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製
[光硬化性樹脂組成物の調製]
表1に示す配合量(質量部)で各成分を均一に混合して実施例1〜4、比較例1〜3の光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例1]
TEAI−1000を35質量部と、FA511ASを25質量部と、HLBH−P2000を40質量部と、Irg184を1質量部とを用いて光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例2]
HLBH−P2000を、等量のHLBH−P3000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例3]
25質量部のFA511ASを、20質量部のライトアクリレートIB−XA及び5質量部のHDDAに変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例4]
40質量部のHLBH−P2000を、20質量部のHLBH−P3000、及び20質量部のGI−1000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例1]
HLBH−P2000を、等量のGI−1000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例2]
HLBH−P2000を、等量のGI−2000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例3]
HLBH−P2000を、等量のGI−3000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
表2に示す配合量(質量部)で各成分を均一に混合して実施例5、6、比較例4、5の光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例5]
EBECRYL230を25質量部と、FA511ASを30質量部と、LBH−P2000を45質量部と、Irg184を1質量部とを用いて光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例6]
LBH−P2000を、等量のLBH−P3000に変更したこと以外は、実施例5と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例4]
LBH−P2000を、等量のG−1000に変更したこと以外は、実施例5と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例5]
LBH−P2000を、等量のG−2000に変更したこと以外は、実施例5と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
表3に示す配合量(質量部)で各成分を均一に混合して実施例7、比較例6の光硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例7]
CN9014を30質量部と、FA511ASを35質量部と、EPOLを35質量部と、Irg184を1質量部とを用いて光硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例6]
CN9014を30質量部と、FA511ASを35質量部と、GI−3000を35質量部と、Irg184を1質量部とを用いて光硬化性樹脂組成物を調製した。
[画像表示装置の作製]
上述した各実施例及び比較例で得られた光硬化性樹脂組成物を用いて、以下の各工程により画像表示装置を作製した。
45(w)×80(l)×0.4(t)mmの大きさのガラス板を用意し、このガラス板の周縁部全域に、乾燥厚で40μmとなるように4mm幅の遮光層を、熱硬化タイプの黒色インク(MRXインキ、帝国インキ製造社)を用いて、スクリーン印刷法により塗布し、乾燥させることにより、遮光層付きガラス板を用意した。
上述した光硬化性樹脂組成物を、樹脂用ディスペンサーを用いて、遮光層付きガラス板の遮光層形成面に吐出した。
40(w)×70(l)mmの大きさの液晶表示素子の偏光板が積層された面に、上記ガラス板を、光硬化性樹脂組成物側が偏光板側となるように載置し、ガラス板の自重でガラス板を貼り付けた。偏光板とガラス板との間に濡れ広がった光硬化性樹脂組成物の厚さは150μmであった。
ガラス板側から、紫外線照射装置(UVL−7000M4−N、ウシオライティング(株)社製)を用いて紫外線を3000mJ/cmで照射し、光硬化性樹脂組成物を硬化させて光透過性硬化樹脂層を形成した。光透過性硬化樹脂層の硬化率は97%であった。これにより、液晶表示素子に、光透過性光学部材としてのガラス板が光透過性硬化樹脂層を介して積層した液晶表示装置が得られた。
[評価]
[落下衝撃試験]
得られた画像表示装置を高さ1mから落下させ、光透過性硬化樹脂層と液晶表示素子との界面、及び、光透過性硬化樹脂層とガラス板との界面の剥離がないときを「○」と評価し、剥離があるときを「×」と評価した。結果を表1〜3に示す。
[接着強度試験]
図4、5に示すように、厚さ1mmのガラス板31の中央部に光硬化性樹脂組成物を滴下し、150μmのスペーサー34を介して、厚さ1mmのガラス板32を直交するように載置した。これにより、ガラス板31,32の間に、直径3mm、厚さ150μmの光硬化性樹脂組成物層が形成されたガラス接合体33を得た。次に、紫外線照射装置を用いて、積算光量が3000mJ/cmとなるように、ガラス板32側から200mW/cm強度の紫外線を照射して、光硬化性樹脂組成物層を完全硬化させて光透過性硬化樹脂層35を形成した。そして、図6、7に示すように、ガラス接合体33の下側に位置するガラス板32を固定し、治具36を用いて上側に位置するガラス板31を垂直方向に5mm/分の速度で引き剥がし、以下の基準で接着状態を評価した。接着強度の測定には、島津製作所製、AGS−Xを用いた。接着強度は、ガラス板31とガラス板32とが分離するまでに要した応力を25℃で測定し、その応力を光透過性硬化樹脂層35の単位面積で除することにより算出した。接着強度(25℃)が500N/cm以上のときを「○」と評価し、接着強度が500N/cm未満のときを「×」と評価した。結果を表1〜3に示す。
[透過率]
紫外可視分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて、画像表示装置における光透過性硬化樹脂層の可視光領域の透過率を測定した。結果を表1〜3に示す。
[弾性率]
粘弾性測定装置を用いて、画像表示装置における光透過性硬化樹脂層の弾性率(−20℃及び25℃)を算出した。測定は、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、DMS6100)を用い、測定周波数1Hz、引張りモードで行った。結果を表1〜3に示す。
[ガラス転移温度]
画像表示装置における光透過性硬化樹脂層のガラス転移温度を測定した。測定は、粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、DMS6100)を用い、測定周波数1Hz、引張りモードで行った。結果を表1〜3に示す。
実施例1〜7のように、ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーと、重合開始剤と、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有する光硬化性樹脂組成物を用いた場合、光透過性樹脂組成物層のガラス転移温度が高くても、低温環境下での光透過性樹脂組成物層の弾性率を低くできることが分かった。また、−20℃での落下衝撃性、及び透過率も良好であることが分かった。
特に、実施例1〜4、7のように、ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマーと、(メタ)アクリレートモノマーと、重合開始剤と、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエンの水素添加物及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの水素添加物の少なくとも1種を含有する光硬化性樹脂組成物を用いた場合、−20℃での落下衝撃性にも優れ、接着強度も良好であることが分かった。
一方、比較例1〜6のように、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有しない光硬化性樹脂組成物を用いた場合、低温環境下での光透過性樹脂組成物層の弾性率を低くすることが困難であることが分かった。また、−20℃での落下衝撃性も良好ではないことが分かった。
1 遮光層、2 光透過性光学部材、2a 光透過性光学部材の遮光層形成側表面、3 光硬化性樹脂組成物層、3A 光硬化性樹脂組成物、4 段差、5 仮硬化樹脂層、6 画像表示部材、7 光透過性硬化樹脂層、10 画像表示装置、31,32 ガラス板、33 ガラス接合体、34 スペーサー、35 光透過性硬化樹脂層、36 治具

Claims (11)

  1. ウレタン骨格を有する(メタ)アクリル系オリゴマーと、
    (メタ)アクリレートモノマーと、
    重合開始剤と、
    可塑剤とを含有し、
    上記可塑剤は、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種を含有し、
    当該光硬化性樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物のガラス転移温度が40〜80℃であり、−20℃での弾性率が3.0E+08Pa以下である、光硬化性樹脂組成物。
  2. 上記可塑剤中、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエン、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの少なくとも1種の含有量の合計が50質量%以上である、請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 上記可塑剤は、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエンの水素添加物、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの水素添加物の少なくとも1種を含有する、請求項1又は2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 上記可塑剤の含有量が15〜50質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 上記可塑剤中、1,2結合率が80%未満であるポリブタジエンの水素添加物、及び1,2結合率が80%未満であるポリイソプレンの水素添加物の含有量の合計が30質量%以上である、請求項又はに記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 上記(メタ)アクリレートモノマーが、環構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 上記(メタ)アクリレートモノマーが、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される(メタ)アクリレートモノマーを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。

    (式(1)〜(3)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Xは−O−、−O(CH)O−、−O(CHCHO)−、又は−O(CH(CH)CHO)−を表し、Yは−O−、−O(CH)O−、−O(CHCHO)−、又は−O(CH(CH)CHO)−を表し、n及びmはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。)
  8. 上記(メタ)アクリレートモノマーは、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチルメタアクリレートの少なくとも1種を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  9. 上記(メタ)アクリレートモノマーの含有量が15〜45質量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  10. 当該光硬化性樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物の25℃での弾性率が1.0E+06Pa以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  11. 光硬化性樹脂組成物を、光透過性光学部材の表面又は画像表示部材の表面に塗布する工程と、
    画像表示部材と光透過性光学部材とを上記光硬化性樹脂組成物を介して貼合わせる工程と、
    上記光硬化性樹脂組成物を硬化させる工程とを有し、
    上記光硬化性樹脂組成物は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物である、画像表示装置の製造方法。
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