JP6682799B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
従来、タイヤのトレッド部を構成するゴム材料へ配合するフィラーをカーボンブラックからシリカへ変更することで、低転がり抵抗性やウェット性が改善することが知られている。しかし、シリカ配合ゴムは耐摩耗性能が悪化する傾向があった。
特許文献1には、共役ジエン化合物由来部分の含有量が40mol%以上である共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)と、共役ジエン系重合体(B)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)とを含むことを特徴とするゴム組成物が記載されており、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)は、セリウムを含む特定の化合物を重合触媒組成物として用いて、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることが記載されている。
(1)平均ガラス転移温度が−50〜−35℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを80〜180質量部、酸化セリウムを1〜50質量部含み、さらに硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
(2)前記酸化セリウムが、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3)さらに炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキルシランを、前記シリカと前記酸化セリウムの合計量に対する比率で1〜20質量%含む、上記(1)または(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
本発明は、平均ガラス転移温度が−50〜−35℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを80〜180質量部、酸化セリウムを1〜50質量部含み、さらに硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物である。
このようなタイヤ用ゴム組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有するものであって、平均ガラス転移温度が−50〜−35℃であるものであれば特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム等が挙げられる。
1種単独で用いる場合は、そのジエン系ゴムのガラス転移温度が−50〜−35℃であるものを用いる。
2種以上を併用する場合は、各成分のガラス転移温度に各成分の質量%をそれぞれ掛けて足し合わせた値が−50〜−35℃であるものを用いる。
本発明の組成物が含有するシリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
本発明の組成物が含有する酸化セリウムは特に限定されず、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることが好ましく、20〜50nmの微粒子であることがより好ましい。
本発明の組成物に含有する硫黄含有シランカップリング剤は特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意の硫黄を含有するシランカップリング剤を用いることができる。
本発明の組成物は、さらに炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキルシランを、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率(アルキルシランの含有量/(シリカの含有量+酸化セリウムの含有量)×100)で1〜20質量%含むことが好ましい。
本発明の組成物には、上記の成分の他に、芳香族性テルペン樹脂、シリカ以外のフィラー(例えば、カーボンブラック等)、上記の硫黄含有シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、酸化亜鉛、軟化剤(オイル)、老化防止剤、可塑剤等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられている各種のその他添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
加硫剤または架橋剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
加硫促進剤または架橋促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることが好ましく、1.0〜2.5質量部であることがより好ましい。
酸化亜鉛の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.2〜10.0質量部であることが好ましく、0.4〜5.0質量部であることがより好ましい。
軟化剤(オイル)の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましい。
老化防止剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.2〜4.0質量部であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂のような可塑剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物において芳香族変性テルペン樹脂の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、ウェットグリップ性能および耐久性がより優れる理由から、5〜30質量部であることが好ましい。芳香族テルペン樹脂の含有量が前記ジエン系ゴム100質量部に対して50質量部を超えると、耐久性および耐摩耗性が不十分となる可能性がある。
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を混合・混錬することによって製造することができる。
上記の成分のうち、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分を混合および混練してマスターバッチを作成し、このマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合し、オープンロール等を用いて混練してゴム組成物を製造することが好ましい。このように、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分からなるマスターバッチを作成し、そのマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合・混練すると、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合してからの混練時間を短くすることができ、不均一な加硫(架橋)が生じることによる加硫(架橋)ゴム組成物の物性低下を防止することができるうえ、加硫(架橋)の制御が容易となる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに用いて製造した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
<標準例、実施例1〜6、比較例1〜5>
第1表の標準例の欄、実施例の欄および比較例の欄に示すとおり、標準例、実施例1〜6および比較例1〜5に係るゴム組成物は、第1表に示す各成分を、第1表に示す配合量で配合して製造した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
製造したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
<摩耗性能>
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6264−1、2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、温度20℃、スリップ率50%の条件で摩耗減量を測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例の摩耗量を100として、次式により指数化したものを表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、タイヤにしたときに摩耗性能に優れる。
摩耗性能=(標準例の摩耗量/試料の摩耗量)×100
JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例を100として指数で示した。この値が低いほど低燃費性能に優れる。
JIS K6394:2007に準じて、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度0℃の条件で、tanδ(0℃)を測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例のtanδ(0℃)を100とする指数で表した。指数が大きいほどtanδ(0℃)が大きく、タイヤにしたときにウェットグリップ性能に優れる。
表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム(Tg:−65℃)
・E−SBR:スチレンブタジエンゴム Nipol 9548(日本ゼオン社製 Tg:−42℃)
・S−SBR:スチレンブタジエンゴム Nipol NS522(日本ゼオン社製 Tg:−31℃)
・BR:ブタジエンゴム Nipol BR1220(日本ゼオン社製 Tg:−105℃)
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ:ZEOSIL(R) 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m2/g、ローディア社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日油社製)
・硫黄含有シランカップリング剤:ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド(TESPT)、Evonik社製Si69
・芳香族変性テルペン樹脂:YSレジン TO−125(ヤスハラケミカル社製)
・アルキルトリエトキシシラン:オクチルトリエトキシシラン KBE−3083(信越化学工業社製)
・酸化セリウム1:Nanotechnology社製 Nano−D CEP 平均粒子径=25−45nm
・酸化セリウム2:トライバッハインダストリー社製 FG−50 平均粒子径=0.6〜2.0μm
・アロマオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・硫黄:金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24質量%、鶴見化学工業社製)
・加硫促進剤1:ソクシノールD−G(住友化学株式会社)
・加硫促進剤2:ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業株式会社製)
<実施例1〜6>
実施例1〜6では低燃費性能の悪化を抑制しつつ、WET性能を改善することができた。
酸化セリウムを含まない態様である。この場合、摩耗性能および低燃費性が悪化した。
酸化セリウムが多い態様である。この場合、摩耗性能および低燃費性能が悪化した。
酸化セリウムが少ない態様である。この場合、摩耗性能が悪化した。
ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が低い態様である。この場合、WET性能が悪化した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (3)
- 平均ガラス転移温度が−50〜−35℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを80〜180質量部、平均粒子径が20〜60nmの微粒子である酸化セリウムを1〜50質量部含み、さらに硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
- さらに炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキルシランを、前記シリカと前記酸化セリウムとの合計量に対する比率で1〜20質量%含む、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
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