JP6677530B2 - ガラス成形型および曲面ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
(i)ガラスシートを型上に配置する工程;
(ii)前記ガラスシートを第1の温度まで加熱する工程;
(iii)前記ガラスシートを、前記型を用いて3次元形状を有するガラス物品へと成形する工程;
(iv)前記型と熱接触する少なくとも1つの熱パイプを備える、等温熱伝達デバイスを提供する工程;
(v)前記型上に前記ガラス物品を配置し、前記等温熱伝達デバイスを前記型と熱接触させながら、前記型、前記ガラス物品及び前記等温熱伝達デバイスを熱傾斜チャネルに沿って移送し、前記ガラス物品を第2の温度まで冷却する工程;
を含む方法において、
前記移送の間、前記等温熱伝達デバイスは、前記型の相対的に高温の領域から前記型の相対的に低温の領域へと熱を伝達する、方法が記載されている。
また、特許文献1には、型が、ガラスシートの成形中に曝露されることになる温度等の高温に耐え得る材料で作製されることが記載されている。さらに、特許文献1には、型材料は、成形条件下においてガラスと反応しない(若しくはガラスに粘着しない)ものであるか、又は成形表面は、成形条件下においてガラスと反応しない(若しくはガラスに粘着しない)コーティング材料でコーティングされていていることが例示されている。特許文献1の一実施例では、型は、グラファイト等の非反応性炭素材料から作製されており、その成形表面は、成形表面がガラスと接触する際にガラスに欠陥が発生するのを回避するために、十分に研磨されることが記載されている。別の実施例では、型は、炭化珪素、炭化タングステン及び窒化珪素等の緻密質セラミック材料から作製されており、成形表面は、グラファイト等の非反応性炭素材料でコーティングされることが記載されている。
また、特許文献1には、型を用いたガラスシートの成形において、成形表面に対してガラスシートを引き寄せるために、真空を用いることが記載されている。これは、例えば真空ポンプを用いて、孔又はスロットを通して成形キャビティを排気することにより、成形キャビティ内に真空を生成する工程を伴う。この、成形キャビティ内に真空を生成する動作により、成形表面に対してガラスシートを引き寄せることができる。さらに、特許文献1には、ガラスシートが重力によって撓む又は落ち込み始める前又は後に、成形キャビティ内に真空を生成してよいことが記載されている。
真空を生成するためには、型から孔又はスロットに吸引が可能となるよう孔がつながっていなければならないが、このような孔はガラス表面の欠陥の原因となる。
すなわち、ガラス表面の欠陥を防止するためには、黒鉛材の表面を研磨して使用することが好ましい。その一方で、真空引きを効率よく行うためには型の表面に孔が形成されていることがよい。
つまり、真空引きを可能にすることと、ガラス表面の欠陥を防止することは二律背反する課題である。
(1)上面にガラスシートの載置部を有する黒鉛からなるガラス成形型であって、前記ガラス成形型は、前記ガラス成形型の内部に形成され前記載置部の下に水平方向に層状に広がる内部空間と、前記載置部以外の前記ガラス成形型の表面に形成され前記内部空間に接続するガス排出口とを有することを特徴とする。
特に、本発明のガラス成形型は、ガラス成形型の載置部の下に水平方向に層状に広がる内部空間を有しているので、載置部と内部空間との間で黒鉛の気孔を利用してガラスシートを偏ることなく均等に吸引することができる。
また、ガラス表面に欠陥が生じるのを防ぐために、載置部に気孔の少ない緻密な黒鉛を使用しても載置部から内部空間までの距離を近くすることにより、黒鉛内部での圧力損失の影響を小さくすることができる。このため、効率的に真空引きできる機構を有しつつも成形されるガラス表面の欠陥をできにくくすることができる。
(2)前記ガラス成形型は、前記内部空間を挟んで、型上部と型下部とに隔てられるとともに、前記型上部と前記型下部とを接合する接着層を有する。
(7)前記本発明のガラス成形型を用いた曲面ガラスの製造方法であって、前記ガラス成形型の載置部にガラスシートを載置する載置工程と、前記ガラスシートを前記ガラスシートが軟化する第1の温度以上まで加熱する加熱工程と、前記ガラス成形型のガス排出口からガスを吸引する吸引工程と、前記ガラス成形型を前記ガラスシートの形状が固定される第2の温度以下まで冷却する冷却工程と、前記ガラス成形型から、成形されたガラスシートを離型する離型工程とを含むことを特徴とする。
また、内部空間を有しているので、緻密な黒鉛を使用しても載置部から内部空間までの距離を近くすることにより、黒鉛内部での圧力損失の影響を小さくすることができる。このため、効率的に吸引できる機構を有しつつも成形されるガラス表面の欠陥をできにくくすることができる。
以下、詳述する。
なお、本発明のガラス成形型では、内部空間には下方向に伸びる縦孔が形成されており、この縦孔とガス排出口とがつながっていることが好ましい。
本発明のガラス成形型では、ガス排出口は、ガラス成形型の底面に形成されていてもよく、側面に形成されていてもよい。
特に、本発明のガラス成形型は、ガラス成形型の載置部の下に水平方向に層状に広がる内部空間を有しているので、載置部と内部空間との間で黒鉛の気孔を利用してガラスシートを偏ることなく均等に吸引することができる。
また、ガラス表面に欠陥が生じるのを防ぐために、載置部に気孔が少なく緻密な黒鉛を使用しても載置部から内部空間までの距離を近くすることにより、黒鉛内部での圧力損失の影響を小さくすることができる。このため、効率的に吸引できる機構を有しつつも成形されるガラス表面の欠陥をできにくくすることができる。
搭載部から内部空間までの距離が上記範囲であると、内部空間を減圧してガラスシートを吸引する際に黒鉛内部での圧力損失の影響を小さくすることができる。その結果、効率的に曲面ガラスを製造することができる。
特に、本発明のガラス成形型は、型上部と型下部とからなり、型上部と型下部とは接着層により接合されており、型上部の下面及び/又は型下部の上面には凹部が形成されていることがより好ましい。
型上部の下面及び/又は型下部の上面に形成された凹部は、型上部と型下部とが接合されることにより内部空間を形成することになる。
接着層は、特に限定されない。例えば、シリコン、鉄、アルミニウムなどを溶融し、ロウ付けしてもよく、また炭素系接着材を用いてもよい。炭素系接着材は、フェノール樹脂、ピッチ、フラン樹脂、コプナ樹脂、などが利用できる。これらの樹脂は、炭素前駆体で接着した後炭化することにより、炭素系接着層を得ることができる。
図1(a)に示すように、本発明のガラス成形型10は、上面に長方形のガラスシートの載置部1を有している。また、図1(b)に示すように、載置部1は、周辺部が緩やかにカーブして凹んだ構造となっている。なお、図1(a)に示すように、平面視で載置部1の四隅は、角の丸まった形状となっている。また、載置部1の表面は研磨され切削時に形成された切削痕は取り除かれている。
また、ガラス成形型10は、型上部7と型下部8とからなっており、型下部8の上面には凹部が形成されている。
そして、型下部8の上面に形成された凹部は、型上部7と型下部8とが接着層4で接着されることにより内部空間2を形成している。なお、接着層4は、コプナ樹脂が炭化して形成された炭素系接着材である。
ガラス成形型10では、載置部1から内部空間2までの黒鉛部分の厚さtは、3〜15mmであることが好ましい。
内部空間2には、平面視においてポスト6が10×6と配列されるように、ポストが形成されている。
また、図1(b)に示すように、内部空間2には、下方向に延びる縦孔が形成されており、この縦孔とガス排出口3とがつながることによりガス排出口3は、内部空間2に接続されている。
図2(a)〜(c)は、本発明のガラス成形型を用いたガラスシートの成形プロセスの一例を模式的に順に示す工程図であり、図2(a)は成形前の状態を、図2(b)は成形後の状態を、図2(c)はガラスシートの離型後の状態を模式的に示している。
(i)ガラス成形型の載置部にガラスシートを載置する載置工程。
(ii)ガラスシートをガラスシートが軟化する第1の温度以上まで加熱する加熱工程。
(iii)ガラス成形型のガス排出口からガスを吸引する吸引工程。
(iv)ガラス成形型をガラスシートの形状が固定される第2の温度以下まで冷却する冷却工程。
(v)ガラス成形型から、成形されたガラスシートを離型する離型工程。
ガラス成形型のガス排出口から、ガスを吸引すると、ガラス成形型を構成する黒鉛の気孔を通してガラスシートが吸引される。内部空間は、載置部の直下にあり、載置部とガラスシートに挟まれた空間に存在するガスを効率よく吸引することができるので、ガラスシートを載置部の形状に密着させ精度よく変形させることができる。
内部空間は、載置部の直下にあるので、内部空間から最も近い外表面である載置部から集中的に雰囲気ガスを吸引することができる。
ここで、ガラス成形のプロセスは、不活性雰囲気下で行われることが好ましい。不活性雰囲気とは、特に限定されないが、窒素、アルゴンなどが挙げられる。これらのガスは、ガラス成形型およびガラスシートに腐食などの悪影響を及ぼさないので好適に利用することができる。
図3(a)〜(c)は、本発明のガラス成形型の別の一例を模式的に示す図であり、図3(a)はガラス成形型の平面図、図3(b)は図3(a)のC−C線断面図、図3(c)は図3(b)のD−D線断面図である。
図3(a)〜(c)に示すように、本発明のガラス成形型110は、上記図1(a)〜(c)に示す本発明のガラス成形型10と、ポストの形状が異なっている。すなわち、図3(a)〜(c)に示すガラス成形型110では、内部空間102内に備えられたポスト106は、10×6となるよう配列した四角柱形状をしている。
そして、型下部108の上面に形成された凹部は、型上部107と型下部108とが接着層104で接着されることにより内部空間102を形成している。
また、図3(b)に示すように、内部空間102には、下方向に延びる縦孔が形成されており、この縦孔とガス排出口103とがつながることによりガス排出口103は、内部空間102に接続されている。
図4(a)〜(c)は、本発明のガラス成形型の別の一例を模式的に示す図であり、図4(a)はガラス成形型の平面図、図4(b)は図4(a)のE−E線断面図、図4(c)は図4(b)のF−F線断面図である。
図4(a)〜(c)に示すように、本発明のガラス成形型は、上記図1(a)〜(c)に示す本発明のガラス成形型と、内部空間の構造が異なっている。
図4(a)〜(c)に示すガラス成形型210は、内部空間202と同じ面内にガス排出口203が備えられている。具体的には、図4(c)に示すように、内部空間202は、ガラス成形型210の側方から非貫通孔209aを複数本あけた後に、これらを繋ぐように直交する非貫通孔209bが1本あけられる。形成された非貫通孔209a及び209bは、ガス排出口203となる1本を残して黒鉛の栓220が挿入される。このようにして非貫通孔209a及び209bを組み合わせて内部空間202が形成される。このため、ガラス成形型210は、ガラス成形型210を型上部と型下部とに分割する接着層は有していない。また、内部空間202を通過する断面において、平面視で空間に囲まれた領域はないので、ポストも形成されていない。
内部空間は、載置部の直下にあるので、内部空間から最も近い外表面である載置部から集中的に雰囲気ガスを吸引することができる。
2、102、202 内部空間
3、103、203 ガス排出口
4、104 接着層
5 ガラスシート
6、106 ポスト
7、107 型上部
8、108 型下部
10、110、210 ガラス成形型
209a、209b 非貫通孔
220 黒鉛の栓
Claims (7)
- 上面にガラスシートの載置部を有する黒鉛からなるガラス成形型であって、
前記ガラス成形型は、前記ガラス成形型の内部に形成され前記載置部の下に水平方向に層状に広がる内部空間と、前記載置部以外の前記ガラス成形型の表面に形成され前記内部空間に接続するガス排出口とを有し、
前記黒鉛の気孔を通して前記ガラスシートを吸引することができ、
前記載置部には、吸引孔が形成されていないことを特徴とするガラス成形型。 - 前記ガラス成形型は、前記内部空間を挟んで、型上部と型下部とに隔てられるとともに、前記型上部と前記型下部とを接合する接着層を有することを特徴とする請求項1に記載のガラス成形型。
- 前記内部空間には、前記型上部と前記型下部とを支えるポストが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のガラス成形型。
- 前記接着層は、前記ポストの先端にも形成されていることを特徴とする請求項3に記載のガラス成形型。
- 前記ガラス成形型は、前記ポストを複数有することを特徴とする請求項3または4に記載のガラス成形型。
- 前記接着層は、炭素系接着材であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のガラス成形型。
- 前記請求項1〜6のいずれかに記載のガラス成形型を用いた曲面ガラスの製造方法であって、
前記ガラス成形型の載置部にガラスシートを載置する載置工程と、
前記ガラスシートを前記ガラスシートが軟化する第1の温度以上まで加熱する加熱工程と、
前記ガラス成形型のガス排出口からガスを吸引する吸引工程と、
前記ガラス成形型を前記ガラスシートの形状が固定される第2の温度以下まで冷却する冷却工程と、
前記ガラス成形型から、成形されたガラスシートを離型する離型工程と
を含むことを特徴とする、曲面ガラスの製造方法。
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