以下、実施形態に係る空調システムを、図面を参照しつつ説明する。
なお、下記の記載は例であり、発明を限定するものではない。
(1)第1実施形態
(1−1)全体構成
第1実施形態に係る空調システム100は、ビル等に設置される空調システムである。本実施形態に係る空調システム100は、設置されたビル等の冷房および暖房に使用される。
空調システム100は、図1に示すように、流体回路21、冷却塔80、ボイラ90、ポンプ20、冷媒回路31、空調コントローラ49および流体コントローラ70を主に有する。
冷却塔80は、例えば空調システム100の設置されたビル等の屋上に設置される。冷却塔80は、特に限定されないが、流体回路21を流れる循環流体を、大気と直接または間接的に接触させることにより冷却する。
ボイラ90は、例えば空調システム100の設置されたビル等の機械室に設置される。ボイラ90は、特に限定されないが、流体回路21を流れる循環流体を、燃料を燃焼させて得られる熱により加熱する。
流体回路21は、内部に循環流体を循環させており、冷却塔80により所定の目標冷却温度まで冷却された循環流体またはボイラ90により所定の目標加熱温度まで加熱された循環流体を、後述する空調装置30の熱源機40まで運ぶことが可能となるように構成されている。流体回路21には、循環する循環流体の流量(例えば、体積流量)を調節することが可能なポンプ20が設けられている。当該ポンプ20が可動することにより、流体回路21において循環流体が循環し、冷却塔80またはボイラ90と、空調装置30の熱源機40と、の間で循環流体が行き来することになる。ここで、流体回路21は、冷却塔80またはボイラ90から熱源機40に向けて循環流体を送る往き管22と、熱源機40から冷却塔80またはボイラ90に向けて循環流路を送る戻り管23と、を有している。往き管22の熱源機40側端部とは反対側には、冷却塔80まで伸びた第1冷却管81と、ボイラ90まで伸びた第1加熱管91と、が接続されている。戻り管23の熱源機40側端部とは反対側には、冷却塔80まで伸びた第2冷却管82と、ボイラ90まで伸びた第2加熱管92と、が接続されている。本実施形態において、ポンプ20は、往き管22の途中に設けられている。また、往き管22の途中には、熱源機40における熱源側熱交換器43での冷媒との熱交換が行われる前の循環流体の温度を検知する上流側流体温度センサ24が設けられている。さらに、戻り管23の途中には、熱源機40における熱源側熱交換器43での冷媒との熱交換が行われた後の循環流体の温度を検知する下流側流体温度センサ25が設けられている。第1冷却管81の途中には第1冷却弁83が設けられ、第2冷却管82の途中には第2冷却弁84が設けられ、第1加熱管91の途中には第1加熱弁93が設けられ、第2加熱管92の途中には第2加熱弁94が設けられている。
ここで、空調装置30が冷房運転を行う場合には、第1加熱弁93および第2加熱弁94は閉じられてボイラ90は停止状態となっており、第1冷却弁83および第2冷却弁84が全開となり冷却塔80が駆動状態となっており、往き管22、熱源側熱交換器43、戻り管23、第2冷却管82、冷却塔80および第1冷却管81がこの順に接続された閉回路によって流体回路21が構成される。ここで、第2冷却管82から冷却塔80に流入した循環流体は、所定の目標冷却温度まで冷却された後、第1冷却管81を介して流出する。
また、空調装置30が暖房運転を行う場合には、第1冷却弁83および第2冷却弁84は閉じられて冷却塔80は停止状態となっており、第1加熱弁93および第2加熱弁94が全開となりボイラ90が駆動状態となっており、往き管22、熱源側熱交換器43、戻り管23、第2加熱管92、ボイラ90および第1加熱管91がこの順に接続された閉回路によって流体回路21が構成される。ここで、第2加熱管92からボイラ90に流入した循環流体は、所定の目標加熱温度まで加熱された後、第1加熱管91を介して流出する。
流体コントローラ70は、上流側流体温度センサ24および下流側流体温度センサ25の検知温度を把握することが可能になっている。また、第1加熱弁93、第2加熱弁94、第1冷却弁83および第2冷却弁84の開閉制御は、流体コントローラ70によって行われる。また、冷却塔80およびボイラ90の駆動制御についても、流体コントローラ70によって行われる。
ここでは、循環流体として水を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、循環流体として、水に変えてブライン等が用いられてもよい。
ポンプ20は、容量可変のインバータポンプである。ポンプ20は、モータ(図示せず)の回転数が制御されることで、容量(送液量)を変化させるよう構成されている。ポンプ20の容量、言い換えれば、モータの回転数は、流体コントローラ70により制御される。
冷媒回路31は、図2に示すように、圧縮機41、四路切換弁42、熱源側熱交換器43、膨張弁44および利用側熱交換器51を有しており、これらを接続させつつ内部において冷媒を循環させている。圧縮機41は、容量可変のインバータ式の圧縮機である。圧縮機41の種類は、特に限定されず、ロータリ圧縮機やスクロール圧縮機等を用いることができる。膨張弁44は、開度可変の電動膨張弁である。
当該冷媒回路は、空調装置30において設けられている。空調装置30は、熱源機40と室内機50とが冷媒回路31の一部を構成する液側連絡配管とガス側連絡配管とによって接続されて構成されている。本実施形態では、圧縮機41、四路切換弁42、熱源側熱交換器43、膨張弁44および空調コントローラ49が熱源機40に設けられている。熱源機40は、例えば空調システム100の設置されたビル等の各階の機械室に設置される。また、利用側熱交換器51および利用側熱交換器51に対して空調対象空間の空気を送るための室内ファン52が室内機50に設けられている。室内機50は、空調対象空間に設置される。
冷媒回路31では、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われることで、空調対象空間の冷房または暖房が行われる。冷房運転時には、四路切換弁42が図2の実線で示す接続状態となり、圧縮機41から吐出された冷媒は、四路切換弁42の接続ポートの一部を通過して、熱源側熱交換器43に送られ、熱源側熱交換器43において放熱する。熱源側熱交換器43において放熱した冷媒は、膨張弁44を通過する際に減圧され、利用側熱交換器51に送られる。利用側熱交換器51に送られた冷媒は、室内ファン52から送られてくる室内空気の熱により蒸発し、四路切換弁42の他の一部の接続ポートを通過して、圧縮機41に吸入される。暖房運転時には、四路切換弁42が図2の点線で示す接続状態となり、圧縮機41から吐出された冷媒は、四路切換弁42の接続ポートの一部を通過して、利用側熱交換器51に送られ、室内ファン52から送られてくる室内空気に対して放熱する。利用側熱交換器51において放熱した冷媒は、膨張弁44を通過する際に減圧され、熱源側熱交換器43に送られる。熱源側熱交換器43に送られた冷媒は、蒸発し、四路切換弁42の他の一部の接続ポートを通過して、圧縮機41に吸入される。
熱源機40に設けられている熱源側熱交換器43では、冷媒回路31を流れる冷媒と、流体回路21を流れる循環流体と、の間で熱交換が行われる。これにより、冷媒回路31を流れる冷媒は、冷房運転時には流体回路21を流れる循環流体により冷却され、暖房運転時には流体回路21を流れる循環流体により加熱される。
空調コントローラ49は、CPUや、RAMおよびROM等のメモリ等から構成される。空調コントローラ49は、空調装置30の各構成、例えば、室内ファン52、圧縮機41、四路切換弁42および膨張弁44と電気的に接続されている。また、空調コントローラ49は、流体コントローラ70と通信可能に接続されている。
空調コントローラ49は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで、空調装置30の制御を行う。空調コントローラ49は、室内機50を操作するための図示しないリモコンとの間で制御信号のやり取りを行う。空調コントローラ49は、リモコンに入力された指令(例えば、室内機50の運転/停止、運転モード(冷房/暖房)、設定温度等)や、図示しない空調装置30の各種センサの計測値等に基づいて、空調装置30の各種構成、例えば室内ファン52、圧縮機41、四路切換弁42、および、膨張弁44を制御する。
空調コントローラ49は、空調装置30の空調負荷(空調対象空間の冷房/暖房を行うために必要とする能力)に応じて、空調装置30の各種構成を制御する。具体的には、本実施形態では、空調コントローラ49は、空調装置30の冷房運転時には、空調負荷に応じた所定の回転数となるように圧縮機41の回転数を制御し、利用側熱交換器51の出口を流れる冷媒の過熱度が所定の過熱度となるように膨張弁44の弁開度を制御する。また、本実施形態では、空調コントローラ49は、空調装置30の暖房運転時には、空調負荷に応じた所定の回転数となるように圧縮機41の回転数を制御し、利用側熱交換器51の出口を流れる冷媒の過冷却度が所定の過冷却度となるように膨張弁44の弁開度を制御する。
流体コントローラ70は、CPUや、RAMおよびROM等のメモリ等から構成される。流体コントローラ70は、冷却塔80、ボイラ90およびポンプ20と電気的に接続されている。また、流体コントローラ70は、各空調コントローラ49と通信可能に接続されている。流体コントローラ70は、各空調コントローラ49から、各空調装置30の運転状況に関する情報を受信する。空調装置30の運転状況に関する情報には、例えば、空調装置30の運転/停止に関する情報、空調装置30の空調負荷に関する情報、空調装置30の運転モード(暖房/冷房モード)に関する情報等を含む。
流体コントローラ70は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで、第1冷却弁83、第2冷却弁84、第1加熱弁93、第2加熱弁94の開閉制御、冷却塔80、ボイラ90およびポンプ20の駆動制御を行う。また、流体コントローラ70は、空調コントローラ49から受信した空調装置30の運転/停止に関する情報や運転モードに関する情報に基づいて、冷却塔80、ボイラ90およびポンプ20の制御を行う。
(1−2)空調装置30およびポンプ20の制御
空調装置30は、特に限定されないが、例えば、ユーザによるリモコン操作等の指示を受けて、冷房運転もしくは暖房運転を行う。ここで、冷房運転時においても暖房運転時においても、空調装置30は、空調対象空間の温度が設定温度となるように運転が行われる。設定温度は、ユーザからの入力操作によって受け付けた温度であってもよいし、予め定められた温度であってもよい。
空調装置30は、空調負荷の大きさに応じた能力を出せるように、適宜制御される。具体的には、空調コントローラ49が、空調対象空間の設定温度と空調対象空間の現在の温度との差の大きさに応じて、圧縮機41の回転数を制御する。空調装置30は、常時、この制御が継続される。
流体コントローラ70は、空調コントローラ49から空調装置30が冷房運転と暖房運転のいずれの運転を行っているかを示す情報を受信する。ここで、冷房運転時には、流体コントローラ70は、第1加熱弁93および第2加熱弁94を閉じてボイラ90を停止状態にしつつ、第1冷却弁83および第2冷却弁84を全開にして冷却塔80を駆動させる。冷却塔80では、第2冷却管82から冷却塔80に流入した循環流体の温度を、所定の目標冷却温度まで冷却させて(特に限定されないが、少なくとも熱源側熱交換器43に流入する冷媒の温度よりも低い温度まで冷却させて)第1冷却管81に対して流出させる。また、暖房運転時には、流体コントローラ70は、第1冷却弁83および第2冷却弁84を閉じて冷却塔80を停止状態にしつつ、第1加熱弁93および第2加熱弁94を全開にしてボイラ90を駆動させる。ボイラ90では、第2加熱管92からボイラ90に流入した循環流体の温度を、所定の目標加熱温度まで加熱させて(特に限定されないが、少なくとも熱源側熱交換器43に流入する冷媒の温度よりも高い温度まで冷却させて)第1加熱管91に対して流出させる。
以下では、図3を参照しつつ、暖房運転時におけるポンプ20の制御を説明する。
暖房運転時には、冷房運転時と異なり、流体回路21において循環流体(水)の凍結が生じにくいように、循環流体の流量が所定の最低流量以上の状態が維持されるように制御される。本実施形態では、ポンプ20の所定の定格流量の50%の流量が、所定の最低流量として予め定められている。また、ここでは、凍結をより確実に抑制できるように、所定の下限流量として、所定の最低流量(ポンプ20の所定の定格流量の50%)よりも僅かに多い流量(ポンプ20の所定の定格流量の50%+α(αは例えば5%以下))が定められている。
ステップS10では、流体コントローラ70は、熱源機40における熱源側熱交換器43の通過前後における循環流体の温度差ΔTが、通常目標値(所定目標値)の5℃となるようにポンプ20の回転数を制御する(通常制御)。
ここで、空調装置30は、暖房運転を行っているため、熱源機40の熱源側熱交換器43は冷媒の蒸発器として機能している。流体回路21を流れる循環流体は、熱源機40の熱源側熱交換器43において冷媒を蒸発させ、循環流体自身は冷却される。したがって、流体回路21を流れる循環流体の温度は、下流側流体温度センサ25の検知温度が、上流側流体温度センサ24の検知温度よりも低くなる。したがって、流体コントローラ70は、上流側流体温度センサ24の検知温度から下流側流体温度センサ25の検知温度を差し引いて得られる循環流体の温度差ΔTが、通常目標値の5℃となるように、ポンプ20の回転数を制御する。したがって、循環流体の温度差ΔTが5℃より小さくなる場合には、流体回路21における循環流体の流速を落とすためにポンプ20の回転数を低下させることとなる。他方、循環流体の温度差ΔTが5℃より大きくなる場合には、流体回路21における循環流体の流速を増大させるためにポンプ20の回転数を増加させることとなる。
ステップS11では、流体コントローラ70は、循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃となるようにポンプ20の回転数を制御している際に、ポンプ20の回転数から把握される流体回路21における循環流体の流量が、所定の下限流量以下になっているか否かを判断する。ここで、所定の下限流量以下にはなっていない場合には、循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できる状態であることから、ステップS10に戻り、通常制御を継続する。他方、所定の下限流量以下になっている場合には、循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できる状態ではないため、ステップS12に移行し、低負荷時制御を行う。
なお、空調装置30は、流体回路21において循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できない状態になっている場合であっても、暖房運転を停止(圧縮機41を停止)させることなく、現状の空調負荷に応じた運転を継続させる。
ステップS12では、流体コントローラ70は、流体回路21における循環流体の流量が、所定の下限流量で固定されて維持されるようにポンプ20の回転数の制御(低負荷時制御)を行う(循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃となるようにポンプ20の回転数を制御することは行わない。)。これにより、暖房運転時において、空調装置30の空調負荷が小さい状態であっても、流体回路21における循環流体の流量として所定の下限流量を確保することができるため、流体回路21において循環流体が凍結してしまうことを抑制することができる。なお、ステップS11からステップS12に移行して低負荷時制御を開始した際には、循環流体の温度差ΔTは、通常目標値の5℃よりも小さな値となる。また、その後、しばらくして空調装置30における空調負荷が増大した場合には、循環流体の温度差ΔTは次第に大きくなっていくことになる。
ステップS13では、流体コントローラ70は、熱源機40における熱源側熱交換器43の通過前後における循環流体の温度差ΔTが、通常目標値の5℃よりも大きな値である所定の復帰温度差(5+β℃(βは例えば0.5℃以上2℃以下))よりも大きいか否かを判断する。ここで、循環流体の温度差ΔTが、復帰温度差(5+β℃)よりも大きくはなっていない場合には、ステップS12における低負荷時制御を継続する。他方、循環流体の温度差ΔTが、復帰温度差(5+β℃)よりも大きくなっている場合には、ステップS10に戻り、低負荷時制御から通常制御に切り換える。
なお、冷房運転では、熱源機40における熱源側熱交換器43の通過前後における循環流体の温度差ΔTが、通常目標値の5℃となるようにポンプ20の回転数を制御するが、流体回路21における循環流体の凍結の問題が生じにくいため、上述したステップS11〜S13のような処理は行わない。
(1−3)第1実施形態の特徴
本実施形態の空調システム100は、熱源機40における熱源側熱交換器43の通過前後における循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃となるようにポンプ20の回転数を制御する通常制御をそのまま続けたのでは熱源側熱交換器43の通過前後の循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保することが困難になる場合であっても、空調装置30の運転を停止させることなく(圧縮機41を停止させることなく)、流体コントローラ70が通常制御から低負荷時制御に切り換えて制御を実行する。低負荷時制御では、流体回路21を流れる循環流体の流量として、所定の最低流量よりも僅かに多い所定の下限流量が確保されるため、流体回路21における循環流体の凍結を抑制させることができる。しかも、通常制御の継続が困難になった場合であっても、低負荷時制御に切り換えることで空調装置30の運転停止を回避し、空調負荷に応じた運転を継続させることが可能になる。
なお、所定の復帰温度差(5+β℃)は、通常目標値の5℃よりも大きな値として設定されている。このため、熱源機40における熱源側熱交換器43の通過前後における循環流体の温度差ΔTが十分に大きくならなければ、低負荷時制御から通常制御への切り換えが行われないため、制御のハンチングを抑制させることが可能になっている。
(2)第2実施形態
(2−1)全体構成
第2実施形態に係る空調システム200は、ビル等に設置され、設置されたビル等の冷房および暖房に使用されるものであり、第1実施形態のシステムにおいて、複数の空調装置30a、30b、30cを並列に設け、流体回路21を各空調装置30a、30b、30c毎に分岐させたものである。以下では、第1実施形態の例との違いを中心に説明する。
空調システム200は、図4および図5示すように、第1空調装置30a、第2空調装置30b、第3空調装置30cがそれぞれ設けられている。各空調装置の構成は、上記第1実施形態において説明したものと同様である(対応する構成については対応する番号で示している。)。具体的には、第1空調装置30aは、第1冷媒回路31a、第1熱源機40aおよび第1室内機50aを有しており、第1空調コントローラ49aによって制御される。第2空調装置30bは、第2冷媒回路31b、第2熱源機40bおよび第2室内機50bを有しており、第2空調コントローラ49bによって制御される。第3空調装置30cは、第3冷媒回路31c、第3熱源機40cおよび第3室内機50cを有しており、第3空調コントローラ49cによって制御される。各熱源機40a、40b、40cが有する熱源側熱交換器43a、43b、43cには、流体回路21から分岐した各分岐回路部分が通過している。
流体回路21は、各空調装置30a、30b、30cの各熱源側熱交換器に対応するように、分岐回路を有している。分岐回路は、第1往き管22a、第2往き管22b、第3往き管22c、第1戻り管23a、第2戻り管23b、第3戻り管23cによって構成されている。第1往き管22a、第2往き管22bおよび第3往き管22cは、往き管22の冷却塔80やボイラ90側とは反対側の端部から、それぞれ第1空調装置30a側、第2空調装置30b側、第3空調装置30c側に向けて分岐するように伸びている。第1戻り管23a、第2戻り管23bおよび第3戻り管23cは、戻り管23の冷却塔80やボイラ90側とは反対側の端部から、それぞれ第1空調装置30a側、第2空調装置30b側、第3空調装置30c側に向けて分岐するように伸びている。
ここで、第1往き管22aを流れた循環流体は、第1空調装置30aの熱源側熱交換器において冷媒と熱交換を行い、第1戻り管23aに送られる。第2往き管22bを流れた循環流体は、第2空調装置30bの熱源側熱交換器において冷媒と熱交換を行い、第2戻り管23bに送られる。第3往き管22cを流れた循環流体は、第3空調装置30cの熱源側熱交換器において冷媒と熱交換を行い、第3戻り管23cに送られる。
第1往き管22aの途中には、弁開度を調節可能な第1流量調節弁35aが設けられている。第2往き管22bの途中には、弁開度を調節可能な第2流量調節弁35bが設けられている。第3往き管22cの途中には、弁開度を調節可能な第3流量調節弁35cが設けられている。これらの第1流量調節弁35a、第2流量調節弁35bおよび第3流量調節弁35cは、いずれも流体コントローラ70によって弁開度が制御される。
第1往き管22aの途中であって第1流量調節弁35aよりも第1熱源機40a側には、通過する循環流体の温度を検知する第1上流側流体温度センサ24aが設けられている。第1戻り管23aの途中には、通過する循環流体の温度を検知する第1下流側流体温度センサ25aが設けられている。第2往き管22bの途中であって第2流量調節弁35bよりも第2熱源機40b側には、通過する循環流体の温度を検知する第2上流側流体温度センサ24bが設けられている。第2戻り管23bの途中には、通過する循環流体の温度を検知する第2下流側流体温度センサ25bが設けられている。第3往き管22cの途中であって第3流量調節弁35cよりも第3熱源機40c側には、通過する循環流体の温度を検知する第3上流側流体温度センサ24cが設けられている。第3戻り管23cの途中には、通過する循環流体の温度を検知する第3下流側流体温度センサ25cが設けられている。これらの第1上流側流体温度センサ24a、第1下流側流体温度センサ25a、第2上流側流体温度センサ24b、第2下流側流体温度センサ25b、第3上流側流体温度センサ24cおよび第3下流側流体温度センサ25cの検知温度は、いずれも流体コントローラ70が把握することが可能になっている。
また、第1戻り管23aの途中には、通過する循環流体の流量を検出する第1流量センサ36aが設けられている。第2戻り管23bの途中には、通過する循環流体の流量を検出する第2流量センサ36bが設けられている。第3戻り管23cの途中には、通過する循環流体の流量を検出する第3流量センサ36cが設けられている。これらの第1流量センサ36a、第2流量センサ36bおよび第3流量センサ36cが検出する流量は、いずれも流体コントローラ70が把握することが可能になっている。
(2−2)第1〜第3空調装置30a、30b、30c、ポンプ20、第1〜第3流量調節弁35a、35b、35cの制御
第1〜第3空調装置30a、30b、30cは、それぞれ、ユーザからの指示を受けて空調対象空間の温度が設定温度となるように冷房運転または暖房運転を行う。第1〜第3空調装置30a、30b、30cは、それぞれの空調対象空間の温度と設定温度との相違に基づいて、空調負荷の大きさに応じた能力を出せるように制御される。具体的には、各空調コントローラ49a、49b、49cは、対応する空調対象空間の設定温度と空調対象空間の現在の温度との差の大きさに応じて、各圧縮機の回転数を制御する。第1〜第3空調装置30a、30b、30cは、それぞれ、常時、この制御が継続される。
流体コントローラ70は、第1〜第3空調コントローラ49a、49b、49cのいずれかから第1〜第3空調装置30a、30b、30cが冷房運転と暖房運転のいずれの運転を行っているかを示す情報を受信する。
ここで、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御される。特に限定されないが、例えば、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度の合計値に応じて予め定められた回転数となるように流体コントローラ70によって制御されてもよい。ここで、流体コントローラ70によるポンプ20の回転数の制御は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度の値に常時対応するように、もしくは、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度の値に所定時間間隔で対応するように制御される。
暖房運転時には、冷房運転時と異なり、流体回路21において循環流体(水)の凍結が生じにくいように、循環流体の流量がいずれの箇所においても所定の最低流量以上の状態で維持されるように制御される。具体的には、分岐回路(第1往き管22a、第2往き管22b、第3往き管22c、第1戻り管23a、第2戻り管23b、第3戻り管23c)を流れる循環流体の流量が所定の最低流量以上の状態で維持されるように制御される。なお、本実施形態では、ポンプ20の所定の定格流量の50%の流量が、所定の最低流量として予め定められている。また、ここでは、凍結をより確実に抑制できるように、所定の下限流量として、所定の最低流量(ポンプ20の所定の定格流量の50%)よりも僅かに多い流量(ポンプ20の所定の定格流量の50%+α(αは例えば5%以下))が定められている。
以下では、図6を参照しつつ、暖房運転時における第1〜第3流量調節弁35a、35b、35cの個々の制御を説明する。なお、以下の説明では、第1流量調節弁35aの制御を例として説明するが、当該制御は、第2流量調節弁35bの制御としても第3流量調節弁35cの制御としてもそれぞれ独立して流体コントローラ70によって実行されているものとする。
ステップS20では、流体コントローラ70は、第1熱源機40aの第1熱源側熱交換器43aの通過前後における循環流体の温度差ΔTが、通常目標値(所定目標値)の5℃となるように、第1流量調節弁35aの弁開度を制御する(通常制御)。
具体的には、流体コントローラ70は、第1上流側流体温度センサ24aの検知温度から第1下流側流体温度センサ25aの検知温度を差し引いて得られる循環流体の温度差ΔTが、通常目標値の5℃となるように、第1流量調節弁35aの弁開度を制御する。したがって、循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃より小さくなる場合には、流体回路21のうちの第1往き管22aおよび第1戻り管23aを流れる循環流体の流速を落とすために第1流量調節弁35aの弁開度を小さくすることとなる。他方、循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃より大きくなる場合には、流体回路21のうちの第1往き管22aおよび第1戻り管23aを流れる循環流体の流速を増大させるために第1流量調節弁35aの弁開度を大きくすることとなる。
なお、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御されるため、ここでの第1流量調節弁35aの弁開度の制御の変化に応じて、ポンプ20の回転数も調節されることとなる。
ステップS21では、流体コントローラ70は、循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃となるように第1流量調節弁35aの弁開度を制御している際に、第1流量センサ36aから把握される第1往き管22aおよび第1戻り管23aを流れる循環流体の流量が、所定の下限流量以下になっているか否かを判断する。ここで、所定の下限流量以下にはなっていない場合には、第1流量調節弁35aについては、循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できる状態であることから、ステップS20に戻り、通常制御を継続する。他方、所定の下限流量以下になっている場合には、第1流量調節弁35aについては、循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できる状態ではないため、ステップS22に移行し、低負荷時制御を行う。なお、第2流量センサ36bから把握される第2往き管22bおよび第2戻り管23bを流れる循環流体の流量が所定の下限流量以下になっているか否か、第3流量センサ36cから把握される第3往き管22cおよび第3戻り管23cを流れる循環流体の流量が所定の下限流量以下になっているか否か、についても同様に判断する。以下、各弁の低負荷時制御や対応する空調装置の制御についても同様であり、説明を省略する。
なお、対応する第1熱源機40aを有する第1空調装置30aは、流体回路21の第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおいて循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できない状態になっている場合であっても、暖房運転を停止(圧縮機41aを停止)させることなく、現状の空調負荷に応じた運転を継続させる。
ステップS22では、流体コントローラ70は、第1熱源機40aの第1熱源側熱交換器43aの通過前後における循環流体の温度差ΔTの制御目標値について、通常目標値(所定目標値)の5℃より所定温度(本実施形態では1℃)だけ減少した値(更新目標値)に更新させて、第1流量調節弁35aの弁開度を制御する(低負荷時制御)。これにより、暖房運転時において、第1空調装置30aの空調負荷が小さい状態であっても、流体回路21の第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおける循環流体の流量として所定の下限流量を確保しやすくなるため、第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおいて循環流体が凍結してしまうことを抑制することができる。
なお、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御されるため、ここでの第1流量調節弁35aの弁開度の制御の変化に応じて、ポンプ20の回転数も調節されることとなる。
なお、ステップS22では、制御目標値が更新された状態で第1流量調節弁35aの弁開度が制御され初めて所定の時間が経過するのを待ってステップS23に移行する。
ステップS23では、流体コントローラ70は、第1流量センサ36aから把握される第1往き管22aおよび第1戻り管23aを流れる循環流体の流量が、所定の下限流量以下になっているか否かを再度判断する。ここで、第1流量調節弁35aの制御目標値を更新させたにもかかわらず、再び所定の下限流量以下になっている場合には、第1流量調節弁35aの制御目標値について、さらに小さい値(減少更新目標値)に更新させるために、ステップS22に戻る。このように、当該温度差の制御目標値をさらに小さくすることで第1往き管22aおよび第1戻り管23aに送られる循環流体の流量を確保しやすくすることが可能になる。他方、所定の下限流量以下にはなっていない場合には、ステップS24に移行する。
ステップS24では、流体コントローラ70は、第1流量センサ36aから把握される第1往き管22aおよび第1戻り管23aを流れる循環流体の流量が、所定増大更新流量より大きいか否かを判断する。ここで、所定増大更新流量より大きくなっていない場合には、ステップS23に戻る。他方、所定増大更新流量より大きくなっている場合には、第1流量調節弁35aの制御状態において流量を増大させる余地がある状態であるため、ステップS25に移行する。
ステップS25では、流体コントローラ70は、第1熱源機40aの第1熱源側熱交換器43aの通過前後における循環流体の温度差ΔTの制御目標値について、現状の目標値より所定温度(本実施形態では1℃)だけ増大した値(増大更新目標値)に更新させて、第1流量調節弁35aの弁開度を制御する(低負荷時制御中における制御目標値の補正を行う)。
なお、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御されるため、ここでの第1流量調節弁35aの弁開度の制御の変化に応じて、ポンプ20の回転数も調節されることとなる。
ステップS26では、流体コントローラ70は、第1流量調節弁35aの制御目標値が、通常目標値(5℃)に戻されているか否かを判断する。ここで、通常目標値に戻されていない場合には、ステップS23に戻り、当該制御目標値による低負荷時制御を継続させる。他方、通常目標値に戻されている場合には、ステップS20に戻り、低負荷時制御から通常制御に切り換える。これにより、第1空調装置30aについて、空調負荷が低負荷となった後に再度負荷が増大してきた場合であっても、制御モードの切り換えにより負荷に対応することができる。
なお、冷房運転では、第1熱源機40aの第1熱源側熱交換器43aの通過前後における循環流体の温度差ΔTが、通常目標値の5℃となるように第1流量調節弁35aの弁開度を制御するが、流体回路21の第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおける循環流体の凍結の問題が生じにくいため、上述したステップS21〜S26のような処理は行わない。
第2流量調節弁35bの制御および第3流量調節弁35cの制御は、以上の第1流量調節弁35aについての制御と同様であり、これらの制御は、流体コントローラ70によって同時に実行される。
(2−3)第2実施形態の特徴
本実施形態の空調システム200は、各熱源機40a、40b、40cの第1熱源側熱交換器43a、43b、43cの通過前後における循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃となるように各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度を制御する通常制御をそのまま続けたのでは循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保することが困難になる場合であっても、各空調装置30a、30b、30cの運転を停止させることなく(各圧縮機を停止させることなく)、流体コントローラ70が通常制御から低負荷時制御に切り換えて制御を実行する。低負荷時制御では、当該温度差の制御目標値が通常目標値から下げられることで流体回路21のうちの各分岐回路部分を流れる循環流体の流量として所定の最低流量よりも僅かに多い所定の下限流量が確保されやすいため、各分岐回路部分における循環流体の凍結を抑制させることができる。しかも、通常制御の継続が困難になった場合であっても、低負荷時制御に切り換えることで各空調装置30a、30b、30cの運転停止を回避し、ポンプ20の回転数を各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて制御することで、空調負荷に応じた運転を継続させることが可能になる。
(3)変形例
上記では、空調システムの例を挙げて説明したが、空調システムとしては、さらに以下に記載のように適宜変形されたものであってもよい。
(3−1)変形例A
上記第2実施形態の空調システム200では、低負荷となった際に、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度の制御目標値である温度差ΔTの目標値をより小さい値に更して制御する場合を例に挙げて説明した。
しかし、当該制御としては、これに限定されるものではなく、例えば、以下に述べるように、各空調装置30a、30b、30cの能力(各圧縮機41a、41b、41cの回転数に応じた値)に応じて定まる目標値によって各流量調節弁35a、35b、35cを制御するようにしてもよい。
以下では、図7を参照しつつ、第2実施形態と同様に、暖房運転時における第1〜第3流量調節弁35a、35b、35cの個々の制御を説明する。なお、以下の説明では、第1流量調節弁35aの制御を例として説明するが、当該制御は、第2流量調節弁35bの制御としても第3流量調節弁35cの制御としてもそれぞれ独立して流体コントローラ70によって実行されているものとする。また、第2実施形態と同様に、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御されるものとする。
ステップS30では、流体コントローラ70は、第1熱源機40aの第1熱源側熱交換器43aの通過前後における循環流体の温度差ΔTが、通常目標値(所定目標値)の5℃となるように、第1流量調節弁35aの弁開度を制御する(通常制御)。
なお、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御されるため、ここでの第1流量調節弁35aの弁開度の制御の変化に応じて、ポンプ20の回転数も調節されることとなる。
ステップS31では、流体コントローラ70は、循環流体の温度差ΔTが通常目標値の5℃となるように第1流量調節弁35aの弁開度を制御している際に、対応する第1空調装置30aの第1圧縮機41aの回転数から求まる能力Qrが所定能力(ここでは、第1空調装置30aの定格能力の50%+γ(γは例えば5%以下))以下になっているか否かを判断する。ここで、所定能力としては、特に限定されないが、例えば、所定の最低流量よりも僅かに多い所定の下限流量の循環流体を第1熱源側熱交換器43aに通過させる場合に、通過前後の循環流体の温度差ΔTを5℃確保することができる能力とすることができる。
ここで、空調装置の能力Qrは、圧縮機の回転数rと圧縮機の吐出し容積Vと吸込冷媒ガスの温度および圧力より求まる密度ρsとから算出する冷媒循環量Gr(=r×V×ρs)と、熱交換器の出入口の冷媒温度および圧力から算出する比エンタルピ差Δhと、を用いて、Qr=Δh×Grのように表すことができる。
なお、第2流量調節弁35bに対応する第2空調装置30bの第2圧縮機41bの回転数から求まる能力Qr、第3流量調節弁35cに対応する第3空調装置30cの第3圧縮機41cの回転数から求まる能力Qrについても同様である。以下、各弁の低負荷時制御や対応する空調装置の制御についても同様であり、説明を省略する。
ここで、所定能力以下にはなっていない場合には、第1流量調節弁35aについては、循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できる状態であることから、ステップS30に戻り、通常制御を継続する。他方、所定能力以下になっている場合には、第1流量調節弁35aについては、循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できる状態ではないため、ステップS32に移行し、低負荷時制御を行う。
なお、対応する第1熱源機40aを有する第1空調装置30aは、流体回路21の第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおいて循環流体の温度差ΔTとして通常目標値の5℃を確保できない状態になっている場合であっても、暖房運転を停止(圧縮機41aを停止)させることなく、現状の空調負荷に応じた運転を継続させる。
ステップS32では、流体コントローラ70は、第1熱源機40aの第1熱源側熱交換器43aの通過前後における循環流体の温度差ΔTの制御目標値について、第1空調装置30aの能力Qrを所定の下限流量で除して得られる値(温度差:空調装置の能力に応じた値)を新たな制御目標値(回転数対応目標値)として、第1流量調節弁35aの弁開度を制御する(低負荷時制御)。これにより、暖房運転時において、第1空調装置30aの空調負荷が小さい状態であっても、流体回路21の第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおける循環流体の流量として所定の下限流量を確保しやすくなるため、第1往き管22aおよび第1戻り管23aにおいて循環流体が凍結してしまうことを抑制することができる。
なお、ポンプ20の回転数は、各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度に応じて予め定められた関係を満たすように、流体コントローラ70によって制御されるため、ここでの第1流量調節弁35aの弁開度の制御の変化に応じて、ポンプ20の回転数も調節されることとなる。
ステップS33では、流体コントローラ70は、対応する第1空調装置30aの第1圧縮機41の回転数から求まる能力Qrが所定復帰能力(ここでは、第1空調装置30aの定格能力の50%+2γ)以上になっているか否かを判断する。ここで、所定復帰能力としては、特に限定されないが、例えば、ステップS31での判断に用いられる所定能力よりも僅かに大きな値であることが好ましい。ここで、所定復帰能力以上になっていない場合には、ステップS32に戻り、低負荷時制御を継続させる。他方で、所定復帰能力以上になっている場合には、ステップS30に戻り、低負荷時制御から通常制御に切り換える。これにより、第1空調装置30aについて、空調負荷が低負荷となった後に再度負荷が増大してきた場合であっても、制御モードの切り換えにより負荷に対応することができる。また、所定復帰能力の値は、所定能力の値よりも大きな値として設定されているため、制御におけるハンチングを抑制させることが可能になっている。
第2流量調節弁35bの制御および第3流量調節弁35cの制御は、以上の第1流量調節弁35aについての制御と同様であり、これらの制御は、流体コントローラ70によって同時に実行される。
以上の変形例Aによる制御であっても、上記実施形態と同様に、流体回路21における循環流体の凍結を抑制させつつ、空調負荷に応じた運転を継続させることが可能になる。
(3−2)変形例B
上記例では、冷却塔80およびボイラ90を有する場合を例に挙げて説明した。
しかし、空調システムとしては、これに限定されるものではなく、冷却塔80を有することなくボイラ90を有するものであってもよい。例えば、空調装置30が冷房運転を行うことなく暖房運転を行う場合には、空調システム100は、冷却塔80を有することなくボイラ90を有するものであってもよい。
(3−3)変形例C
上記第2実施形態では、第1流量センサ36a、第2流量センサ36b、第3流量センサ36cの各流量センサを用いて、各分岐回路部分の循環流体の流量を把握する場合を例に挙げて説明した。
これに対して、ポンプ20の回転数と各流量調節弁35a、35b、35cの弁開度から、各熱源機40a、40b、40cの熱源側熱交換器43a、43b、43cを通過する循環流体の流量を求めるようにしてもよい。この場合には、第1流量センサ36a、第2流量センサ36b、第3流量センサ36cの各流量センサを設ける必要が無くなる。