以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(ダミー負荷を利用して受電電圧を低減させる場合の例)
2.変形例
変形例1(受電電圧の大きさに応じて複数種類のダミー負荷を選択利用する例)
変形例2(負荷電流を制御して受電電圧を低減させる場合の例)
3.その他の変形例
<実施の形態>
[給電システム4の全体構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る給電システム(給電システム4)の外観構成例を表したものであり、図2は、この給電システム4の詳細構成例をブロック図および回路図で表したものである。給電システム4は、磁界を用いて(磁界共鳴や電磁誘導等を利用して;以下同様)、非接触に電力伝送(電力供給,給電,送電)を行うシステム(非接触型の給電システム)である。この給電システム4は、給電装置1(1次側機器)と、給電対象機器としての1または複数の電子機器(ここでは1つの電子機器2;2次側機器)とを備えている。
この給電システム4では、例えば図1に示したように、給電装置1における給電面(送電面)S1上に電子機器2が置かれる(または近接する)ことにより、給電装置1から電子機器2に対して電力伝送が行われるようになっている。ここでは一例として、給電装置1は、給電面S1の面積が給電対象の電子機器2等よりも大きなマット形状(トレー状)となっている。
(給電装置1)
給電装置1は、上記したように、磁界を用いて電子機器2に対して給電を行うもの(充電トレー)である。この給電装置1は、例えば図2に示したように、送電部10、交流信号発生回路(交流信号発生部,高周波電力発生回路)11、通信部12および制御部13を有している。
送電部10は、送電コイル(1次側コイル)L1およびコンデンサC1(共振用のコンデンサ)等を含んで構成されている。これらの送電コイルL1とコンデンサC1とは、互いに電気的に直列接続されている。具体的には、送電コイルL1の一端はコンデンサC1の一端に接続され、送電コイルL1の他端は接地され、コンデンサC1の他端は交流信号発生回路11の出力端子に接続されている。送電部10は、これらの送電コイルL1およびコンデンサC1を利用して、電子機器2(詳細には、後述する受電部20)に対して交流磁界を用いた給電を行うものである(図2中の矢印P1参照)。具体的には、送電部10は、給電面S1から電子機器2へ向けて磁界(磁束)を放射する機能を有している。
また、送電部10内では、送電コイルL1およびコンデンサC1を用いて、LC共振回路が構成されている。そして、この送電部10内に形成されるLC共振回路と、後述する受電部20内に形成されるLC共振回路とは、互いに磁気結合するようになっている(相互誘導)。
交流信号発生回路11は、例えば給電装置1の外部電源9(親電源)から供給される電力(直流信号Sdc)を用いて、給電を行うための所定の交流信号Sac(高周波電力)を発生する回路である。この交流信号Sacは、送電部10へ向けて供給されるようになっている。なお、外部電源9としては、例えば、通常のACアダプタや、PC(Personal Computer)などに設けられているUSB(Universal Serial Bus)2.0の電源(電力供給能力:500mA,電源電圧:5V程度)等が挙げられる。
このような交流信号発生回路11は、例えば後述するように、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ等からなる1または複数のスイッチング素子SW1を含んだ、スイッチングアンプ(いわゆるE級アンプや差動アンプ等)を用いて構成されている。また、このスイッチング素子SW1には、制御部13から給電用の制御信号CTL1が供給されるようになっている。なお、この交流信号発生回路11の詳細構成については、後述する。
通信部12は、電子機器2内の後述する通信部26との間で、所定の通信動作を相互に行うものである(図2中の矢印C1参照)。
制御部13は、給電装置1全体(給電システム4全体)における種々の制御動作を行うものである。具体的には、送電部10による送電動作や通信部12による通信動作の制御を行うことの他、例えば、給電電力の最適化制御や給電対象機器を認証する機能、給電対象機器が近傍にあることを検知する機能、異種金属等の混入を検知する機能などを有している。ここで、上記した給電動作の制御の際には、前述した制御信号CTL1を用いて、交流信号発生回路11の動作を制御するようになっている。このような制御部13は、例えば、マイクロコンピュータやパルスジェネレータ等を用いて構成されている。なお、制御部13による交流信号発生回路11の制御動作の詳細については、後述する。
(電子機器2)
電子機器2は、例えば、テレビ受像機に代表される据え置き型電子機器や、携帯電話やデジタルカメラに代表される、充電池(バッテリー)を含む携帯型の電子機器等からなる。この電子機器2は、例えば図2に示したように、受電部20、整流回路21、電圧検出部22、ダミー負荷回路23、充電部24、バッテリー25、通信部26、制御部27およびメモリ部28を有している。なお、ダミー負荷回路23が、本開示における「電圧低減部」の一具体例に対応している。
受電部20は、受電コイル(2次側コイル)L2およびコンデンサC2s,C2p(共振用のコンデンサ)等を含んで構成されている。受電コイルL2とコンデンサC2sとは互いに電気的に直列接続されており、受電コイルL2とコンデンサC2pとは互いに電気的に並列接続されている。具体的には、コンデンサC2sの一端は、整流回路21における一方の入力端子およびコンデンサC2pの一端に接続され、コンデンサC2sの他端は受電コイルL2の一端に接続されている。また、受電コイルL2の他端は、整流回路21における他方の入力端子およびコンデンサC2pの他端に接続されている。受電部20は、これらの受電コイルL2およびコンデンサC2s,C2p等を利用して、給電装置1内の送電部10から伝送された電力(給電電力)を受け取る機能を有している。
また、受電部20内では、受電コイルL2およびコンデンサC2s,C2pを用いて、LC共振回路が構成されている。そして、この受電部20内に形成されるLC共振回路と、前述した送電部10内に形成されるLC共振回路とは、前述したように互いに磁気結合する。これにより、交流信号発生回路11により生成された高周波電力(交流信号Sac)と略同一の共振周波数によるLC共振動作がなされるようになっている。
整流回路21は、受電部20から供給される受電電圧(交流電圧)を整流し、直流電圧を生成する回路である。換言すると、整流回路21は、受電部20から供給される交流の受電電圧(交流受電電圧Vac)を整流し、直流の受電電圧(直流受電電圧Vdc)を生成する。この整流回路21は、例えば、複数の整流素子(ダイオード)を用いたブリッジ構成の回路となっている。なお、この整流回路21が、例えばトランジスタを用いた同期整流回路であってもよい。
電圧検出部22は、受電部20から供給される受電電圧を検出するものである。特にこの例では、電圧検出部22は、電力供給ラインLp上における整流回路21の後段側において、この整流回路21による整流後の受電電圧(直流受電電圧Vdc)を検出するようになっている。このようにして検出された直流受電電圧Vdcは、制御部27へ出力される。なお、このような電圧検出部22は、例えば、抵抗分圧器およびA/D変換器(ADC:Analog to Digital Converter)等を用いて構成されている。
ダミー負荷回路23は、電力供給ラインLp上において整流回路21と充電部24との間に配置されており、1または複数のダミー負荷(ダミー抵抗等)を含んで構成されている。このダミー負荷回路23は、後述する所定の条件を満たす場合には、制御部27からの制御(制御信号CTL2)に従って、受電電圧(この例では直流受電電圧Vdc)を下げる動作(電圧低減動作)を行うようになっている。なお、このダミー負荷回路23の詳細構成および電圧低減動作の詳細については、後述する。
充電部24は、整流回路21から出力される直流電力に基づいて、本負荷としてのバッテリー25への充電動作を行うものである。
バッテリー25は、充電部24による充電動作に従って電力を貯蔵するものであり、例えばリチウムイオン電池等の充電池(2次電池)を用いて構成されている。
通信部26は、給電装置1内の通信部12との間で、前述した所定の通信動作を相互に行うものである(図2中の矢印C1参照)。
制御部27は、電子機器2の全体(給電システム4全体)における種々の制御動作を行うものである。具体的には、受電部20による受電動作や通信部26による通信動作の制御を行うことの他、例えば、受電電力の最適化制御を行ったり、充電部24の充電動作を制御したりする機能等を有している。
ここで本実施の形態では、この制御部27は、給電装置1から本給電よりも低電力である予備給電が行われている際(起動動作時)に、電圧検出部22により検出された受電電圧(直流受電電圧Vdc)が所定の閾値電圧Vth以上である場合(Vdc≧Vth)には、以下のような電圧低減制御を行う。具体的には、そのような場合、制御部27は、その直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満(Vdc<Vth)に下がるように電圧低減制御を行う。より具体的には、制御部27は、例えば、前述したダミー負荷回路23内におけるダミー負荷のうちの少なくとも1つを利用して、そのような電圧低減制御を行うようになっている。このような制御部27は、例えば、マイクロコンピュータ等を用いて構成されている。なお、この制御部27による電圧低減制御動作の詳細については、後述する。
メモリ部28は、制御部27において用いられる各種の情報を記憶しておくためのものである。具体的には、例えば上記した閾値電圧Vthの情報等を記憶しておくようになっている。
[交流信号発生回路11の詳細構成例]
次に、図3,図4,図5A,図5Bを参照して、前述した交流信号発生回路11の詳細構成例について説明する。図3は、この交流信号発生回路11の回路構成例を、外部電源9、送電部10および制御部13とともに表したものである。
交流信号発生回路11は、この例では、前述したスイッチング素子SW1としての4つのスイッチング素子SW1a,SW1b,SW1c,SW1dを用いたブリッジ回路構成となっている。また、これらのスイッチング素子SW1a,SW1b,SW1c,SW1dはそれぞれ、この例ではMOSトランジスタからなる。この交流信号発生回路11では、スイッチング素子SW1a,SW1b,SW1c,SW1dのゲートにはそれぞれ、前述した制御信号CTL1としての制御信号CTL1a,CTL1b,CTL1c,CTL1dがそれぞれ個別に入力されるようになっている。スイッチング素子SW1a,SW1cのソースにはそれぞれ、外部電源9からの接続ラインが接続されている。スイッチング素子SW1aのドレインはスイッチング素子SW1bのドレインに接続され、スイッチング素子SW1cのドレインはスイッチング素子SW1dのドレインに接続されている。スイッチング素子SW1b,SW1dのソースはそれぞれ、グランド(接地)に接続されている。また、スイッチング素子SW1a,SW1bのドレインはそれぞれ、送電部10内のコンデンサC1の一端に接続され、スイッチング素子SW1c,SW1dのドレインはそれぞれ、送電部10内の送電コイルL1の一端に接続されている。
ここで、例えば図4に示したように、上記した制御信号CTL1(CTL1a,CTL1b,CTL1c,CTL1d)は、所定の周波数f(CTL1(f)=f1)およびデューティ比Duty(CTL1(Duty)=10%,50%等)を示すパルス信号からなる。また、図4に示したように、この制御信号CTL1におけるデューティ比Dutyを制御することにより、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)がなされるようになっている。
このような構成により交流信号発生回路11では、制御信号CTL1a,CTL1b,CTL1c,CTL1dに従って、スイッチング素子SW1a,SW1b,SW1c,SW1dがそれぞれ、オン・オフ動作(周波数fおよびデューティ比Dutyからなるスイッチング動作)を行う。すなわち、制御部13から供給される制御信号CTL1を用いて、スイッチング素子SW1のオン・オフ動作が制御される。これにより、例えば外部電源9側から入力される直流信号Sdcに基づいて交流信号Sacが生成され、送電部10へ供給されるようになっている。
また、この交流信号発生回路11では、制御信号CTL1a,CTL1b,CTL1c,CTL1dに従って、以下のようにしてフルブリッジ回路とハーフブリッジ回路との回路構成の切り替えが可能となっている。これにより、ハードウェア構成を変化させることなく、スイッチング動作の制御に応じて給電の際の電圧を変化させることが可能となる。
具体的には、例えば図5Aに示したように、4つのスイッチング素子SW1a,SW1b,SW1c,SW1dがそれぞれオン・オフ動作を行う場合、フルブリッジ回路の構成となる。
また、例えば図5Bに示したように、2つのスイッチング素子SW1a,SW1bがそれぞれオン・オフ動作を行う一方、スイッチング素子SW1cが常にオフ状態となると共にスイッチング素子SW1dが常にオン状態となる場合、以下のようになる。すなわち、この場合、2つのスイッチング素子SW1a,SW1bからなるハーフブリッジ回路の構成と等価となる。したがって、この場合には、図5Aに示したフルブリッジ回路の場合と比べ、給電の際に交流信号発生回路11により生成される電圧(給電電圧)が、約1/2となる。なお、これらの図5A,図5Bおよびこれ以降の同様の図面上では、それらの動作状態を分かり易くするため、各スイッチング素子をスイッチの形状で模式的に示している。
[ダミー負荷回路23の詳細構成例]
次に、図6および図7を参照して、前述したダミー負荷回路23の詳細構成例について説明する。図6は、このダミー負荷回路23の回路構成例を、制御部27とともに表したものである。
ダミー負荷回路23は、この例では、抵抗素子(ダミー抵抗)からなる2つのダミー負荷Ra,Rbと、MOSトランジスタからなる2つのスイッチング素子SW2a,SW2bとを有している。ダミー負荷Raとスイッチング素子SW2aとは、電力供給ラインLpとグランドラインとの間で互いに直列接続され、ダミー負荷Rbとスイッチング素子SW2bとは、電力供給ラインLpとグランドラインとの間で互いに直列接続されている。具体的には、ダミー負荷Raの一端は電力供給ラインLpに接続され、ダミー負荷Raの他端はスイッチング素子SW1aのドレインに接続され、スイッチング素子SW1aのソースはグランドラインに接続されている。同様に、ダミー負荷Rbの一端は電力供給ラインLpに接続され、ダミー負荷Rbの他端はスイッチング素子SW1bのドレインに接続され、スイッチング素子SW1bのソースはグランドラインに接続されている。また、これらダミー負荷Raとスイッチング素子SW1aとの素子対と、ダミー負荷Rbとスイッチング素子SW1bとの素子対とは、互いに並列配置されている。そして、スイッチング素子SW2a,SW2bのゲートには、前述した制御信号CTL2としての制御信号CTL2a,CTL2bがそれぞれ個別に入力されている。
このような構成によりダミー負荷回路23では、制御部27から供給される制御信号CTL2a,CTLbに従って、2つのスイッチング素子SW2a,SW2bが個別にオン状態またはオフ状態となるように設定される。その結果、このダミー負荷回路23では、2つのダミー負荷Ra,Rbが、直流受電電圧Vdcの供給経路間(電力供給ラインLpとグランドラインとの間)に対して個別に接続あるいは非接続となるようになっている。
なお、例えば図7に示したように、通常時(後述する(Vdc≧Vth)を満たす場合以外)では、スイッチング素子SW2a,SW2bがいずれもオフ状態となるように設定される。つまり、ダミー負荷Ra,Rbがいずれも、直流受電電圧Vdcの供給経路間に対して非接続となるように設定されている。
[給電システム4の作用・効果]
(1.全体動作の概要)
この給電システム4では、給電装置1内の交流信号発生回路11が、外部電源9から供給される電力に基づいて、送電部10内の送電コイルL1およびコンデンサC1に対して、送電を行うための所定の高周波電力(交流信号Sac)を供給する。これにより、送電部10内の送電コイルL1において磁界(磁束)が発生する。このとき、給電装置1の上面(給電面S1)に、給電対象機器としての電子機器2が置かれる(または近接する)と、給電装置1内の送電コイルL1と電子機器2内の受電コイルL2とが、給電面S1付近にて近接する。
このように、磁界を発生している送電コイルL1に近接して受電コイルL2が配置されると、送電コイルL1から発生されている磁束に誘起されて、受電コイルL2に起電力(誘導起電力)が生じる。換言すると、電磁誘導または磁界共鳴により、送電コイルL1および受電コイルL2のそれぞれに鎖交して磁界が発生する。これにより、送電コイルL1側(1次側、給電装置1側、送電部10側)から受電コイルL2側(2次側、電子機器2側、受電部20側)に対して、電力伝送がなされる(図2中の矢印P1参照)。このとき、給電装置1側の送電コイルL1と電子機器2側の受電コイルL2とが電磁誘導等により互いに磁気結合し、LC共振動作が行われる。
すると、電子機器2では、受電コイルL2において受け取った交流電力が、整流回路21を介して充電部24へ供給され、例えば以下の充電動作がなされる。すなわち、交流電圧(交流電流)が整流回路21によって所定の直流電圧(直流電流)に変換された後、充電部24によって、この直流電圧に基づくバッテリー25への充電がなされる。このようにして、電子機器2において、受電部20において受け取った電力に基づく充電動作が行われる。
すなわち、本実施の形態では、電子機器2の充電に際し、例えばACアダプタ等への端子接続が不要であり、給電装置1の給電面S1上に置く(近接させる)だけで、容易に充電を開始させることができる(非接触給電がなされる)。これは、ユーザにおける負担軽減に繋がる。
また、このような動作の際に、給電装置1内の通信部12と電子機器2内の通信部26との間で、相互の通信動作が行われる(図2中の矢印C1参照)。これにより、例えば互いの機器間認証や給電効率制御等がなされる。
(2.受電電圧の低減動作)
ところで、このような非接触給電システムでは、大電力化が進められようとしている。現在、商品となっているものの多くは1W,2.5W,5Wといった受電電力であり、今後は10W,15Wというように電力が増大していくことが期待されている。そこで問題となるのが、下位互換性である。すなわち、1次側機器は、2次側機器が要求する電力に応じて電力範囲を広くカバーする必要がある。また、このように電力範囲を広くカバーするためには、1次側で適切な給電電圧を設定する必要がある。これは、コイルにおける発熱の観点から、2次側における電圧(受電電圧)を上げなくてはならない可能性があるためである。
(比較例1)
そこで、図8に示した比較例1に係る給電装置101では、1次側機器(給電装置101)内に設けたDC/DCコンバータ102を用いて、給電電圧を調整するようにしている。なお、この給電装置101は、給電装置1において、外部電源9と交流信号発生回路11との間にDC/DCコンバータ102を設けると共に、制御部13の代わりに設けた制御部103において、このDC/DCコンバータ102の動作を制御するようにしたものに対応している。
この給電装置101では、交流信号発生回路11への入力電圧をDC/DCコンバータ102において制御することで、給電電圧を制御するようにしている。例えば、外部電源9の電源電圧と比較して2次側機器が要求する電力が小さい場合には、DC/DCコンバータ102においてその電源電圧を降圧して出力する。
ところが、この比較例1の手法では、電源電圧からDC/DCコンバータ102における最低出力電圧までの広範な電圧調整幅が得られる反面、DC/DCコンバータ102における電力損失は免れない。
具体的には、このDC/DCコンバータ102における電力損失は、例えば図9に表で示したようになる。ここで、必要な給電電力とは、必要な受電電力と、非接触による給電システム全体での損失との和である。また、非接触による給電システムでは主に、整流等を含む受電回路と、MOSトランジスタ等を用いた送電回路と、コイルとにおいて電力損失が発生する。したがって、仮に、この給電システム全体での効率=80%、DC/DCコンバータ102における効率=90%であったとしても、図9に示したように、例えば10W以上の受電電力の場合,DC/DCコンバータ102において1W以上の電力損失が発生することとなる。
そこで本実施の形態の給電装置1では、図3に示したように、上記比較例1とは異なり、外部電源9と交流信号発生回路11との間にDC/DCコンバータが設けられていない。そして、図5Aおよび図5Bに示したように、交流信号発生回路11では、制御信号CTL1a,CTL1b,CTL1c,CTL1dに従って、フルブリッジ回路とハーフブリッジ回路との回路構成の切り替えが可能となっている。これにより、ハードウェア構成を変化させることなく、スイッチング動作の制御に応じて給電の際の電圧を変化させることが可能となる。具体的には、例えば、必要な給電電力が小さい(5W以下等)場合にはハーフブリッジ回路に設定する一方、必要な給電電力が大きい(10W以上等)場合にはフルブリッジ回路に切り換えることによって、適切な給電電圧を供給することが可能となる。また、DC/DCコンバータ102を省くことにより、上記比較例1と比べて効率改善が図られる。
ただし、この手法では、交流信号発生回路11において回路構成を切り替えるタイミング(給電電力および給電電圧を増加させるタイミング)が重要である。すなわち、このタイミングによっては、例えば以下の比較例2,3のような問題が生じ得る。
(比較例2)
図10は、比較例2に係る給電・充電動作を流れ図で表わしたものである。この比較例2の給電・充電動作では、まず、1次側機器から2次側機器に対し、後述する本給電と比べて低電力である予備給電が開始され(図10のステップS901)、この予備給電により得られた受電電力を利用して、2次側機器が起動する(ステップS902)。このような予備給電では、必要な給電電力が本給電と比べて低いため、上記したように、1次側機器内の交流信号発生回路11はハーフブリッジ回路に設定されている。
次いで、1次側機器と2次側機器との間での通信により、2次側機器において本給電の際の受電電力が決定される(ステップS903)。そして、この通信を利用して、2次側機器から1次側機器に対して本給電の開始要求が通知される(ステップS904)。
続いて、1次側機器から2次側機器に対し、予備給電と比べて高電力である本給電が開始される(ステップS905)。換言すると、この本給電では、必要な給電電力が予備給電と比べて高いため、上記したように、1次側機器内の交流信号発生回路11がハーフブリッジ回路からフルブリッジ回路に切り替えられる。
そののち、2次側機器内で本負荷(バッテリー等)が接続状態に設定され(ステップS906)、2次側機器において、受電電力に基づくバッテリーへの充電動作が行われる(ステップS907)。以上で、図10に示した給電・充電動作が終了となる。
このように、比較例2の給電・充電動作では、2次側機器内で本負荷が接続される前に、1次側機器内の交流信号発生回路11において回路構成の切り替え(給電電力の増加制御)がなされる。このため、この比較例2では、図10中の矢印P201で示したタイミングにて、以下のような問題が生じ得る。すなわち、本負荷の接続前に回路構成の切り替え(給電電力の増加制御)を行うと、無負荷状態にて受電電圧が約2倍に増加するため、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数が高い場合、過大な受電電圧が発生する可能性がある。そのような過大な受電電圧が生じると、2次側機器内のIC(Integrated Circuit)等が破壊されてしまうおそれがある。なお、2次側機器内の素子耐圧(IC(Integrated Circuit)の耐圧等)を高くしておけば問題は生じないのであるが、その場合、製造コストが増大したり、サイズ面でのデメリットがある。
(比較例3)
一方、図11は、比較例3に係る給電・充電動作を流れ図で表わしたものである。この比較例3の給電・充電動作は、上記した比較例2の給電・充電動作において、2次側機器内での本負荷の接続(ステップS906)を、本給電の開始要求の通知(ステップS904)および本給電の開始(ステップS905)よりも前に行うようにしたものである。すなわち、この比較例3では上記比較例2とは逆に、2次側機器内で本負荷が接続された後に、1次側機器内の交流信号発生回路11において回路構成の切り替え(給電電力の増加制御)がなされる。
ところが、この比較例3では、図11中の矢印P301で示したタイミングにて、今度は以下のような問題が生じ得る。すなわち、この場合、給電電力が増加する前に本負荷が接続される(電流が本負荷側に引かれる)ため、受電電圧が大幅に低下し、2次側機器内のIC等が動作しなくなってしまうおそれがある。
このように、非接触による給電システムでは、給電時の状況等に応じて結合係数が一定ではないため、交流信号発生回路11において回路構成を切り替えるタイミング(給電電力および給電電圧を増加させるタイミング)が難しい。ここで、給電システム全体としてタイミングを合わせて切り替えるという手法も考えられるが、1次側機器と2次側機器とで互いにタイマーを持つ必要が生じたり、実際には通信によってディレイが生じるなどの問題もある。また、1次側機器において常にそのような切り替え手法を行うとは限らないため、2次側機器としては、回路構成を切り換えられても困らないような自衛手段を持つ必要があると言える。
(本実施の形態)
そこで本実施の形態では、2次側機器である電子機器2において、以下のようにして上記した問題を解決している。
すなわち、電子機器2内の制御部27が、給電装置1から本給電よりも低電力である予備給電が行われている際に、電圧検出部22により検出された直流受電電圧Vdcが所定の閾値電圧Vth以上である場合(Vdc≧Vth)には、以下のような電圧低減制御を行う。具体的には、そのような場合、制御部27は、その直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満(Vdc<Vth)に下がるように電圧低減制御を行う。より具体的には、制御部27は、ダミー負荷回路23内におけるダミー負荷のうちの少なくとも1つを利用して、そのような電圧低減制御を行う。以下、このような電圧低減制御を含んだ一連の給電・充電動作について、詳細に説明する。
図12は、本実施の形態の給電・充電動作を流れ図で表わしたものである。この給電・充電動作では、まず、給電装置1から電子機器2に対し、本給電と比べて低電力である予備給電が開始され(図12のステップS101)、この予備給電により得られた受電電力を利用して、電子機器2が起動する(ステップS102)。
次いで、給電装置1と電子機器2との間での通信により、電子機器2(制御部27)において、本給電の際の受電電力が決定される(ステップS103)。なお、この予備給電の際には、必要な給電電力が本給電と比べて低いため、前述した比較例2,3と同様に、給電装置1内の交流信号発生回路11はハーフブリッジ回路に設定されている。
ここで、このような予備給電の際には、例えば図13に示したように、制御部27が充電部24を非動作状態に制御することにより、本負荷(この例ではバッテリー25)が電力供給ラインLpから非接続状態となるように設定される。
次に、電子機器2では、ステップS103において決定された受電電力による本給電の開始要求を給電装置1側へ通知する(後述するステップS106)前に、電圧検出部22において、この予備給電の際の直流受電電圧Vdcを検出する(ステップS104)。そして、制御部27は、検出された直流受電電圧Vdcが所定の閾値電圧Vth未満(Vdc<Vth)であるのか否かを判定する(ステップS105)。
この閾値電圧Vthは、例えば図14に示したように、電子機器2内の素子耐圧Vbの半分未満の値(Vth<(Vb/2))に設定される。これは前述したように、交流信号発生回路11においてハーフブリッジ回路からフルブリッジ回路への切り替えがなされると、それに伴って受電電圧(直流受電電圧Vdc)の値が約2倍になることが想定されるからである。換言すると、Vth<(Vb/2)を満たすように予め閾値電圧Vthの値を設定しておけば、直流受電電圧Vdcが約2倍に増加しても、その増加後の値が素子耐圧Vbよりも低く抑えられる(素子耐圧Vbを超えることが回避される)ためである。なお、一例として、素子耐圧Vb=24Vの場合、マージンを考慮すると、閾値電圧Vth=10V程度に設定することが考えられる。
また、この閾値電圧Vthの値は固定値には限られず、例えば以下のような可変値であってもよい。具体的には、まず、予備給電時の受電電圧と本給電時の受電電圧との電圧差は、受電電力に依存する。これは、予備給電時の受電電圧は、受電電力に関わらず一定であるのに対し、本給電時の受電電圧は、受電電力が大きい場合には一般に大きな値を必要とするためである。このことから、例えば図14中の矢印P2で示したように、閾値電圧Vthの値を、受電電力の大きさに応じて変化させるように設定してもよい。一例として、素子耐圧Vb=24Vの場合、閾値電圧Vthの値は、受電電力の大きさに応じて以下のように設定する(受電電力が大きくなるのに従って、閾値電力Vthの値が段階的に小さくなるように設定する)ことが考えられる。
・受電電力≦5Vの場合 …… 閾値電圧Vth=14V
・5W<受電電力≦15Wの場合 …… 閾値電圧Vth=10V
(ハーフブリッジ回路からフルブリッジ回路への切替を想定)
・15W<受電電力≦30Wの場合 …… 閾値電圧Vth= 8V
(本給電時の受電電圧が、予備給電時から2倍以上に増加することを想定)
ここで、検出された直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満(Vdc<Vth)であると判定された場合(ステップS105:Y)、その後の本給電に移行して直流受電電圧Vdcが約2倍に増加しても、直流受電電圧Vdcの値が素子耐圧Vbを超えるおそれがない。つまり、この場合には、その後の本給電(予備給電よりも高電力)の際に、直流受電電圧Vdcが過大となってしまうおそれがない。したがって、この場合には以下説明する電圧低減制御はなされず、電子機器2から給電装置1に対し、通信を利用して本給電の開始要求が通知される(ステップS106)。つまり、この場合には前述した図7に示したように、ダミー負荷回路23内では、ダミー負荷Ra,Rbがいずれも直流受電電圧Vdcの供給経路間に対して非接続状態に設定されたままとなる(図14中に示した電圧範囲A1参照)。
一方、検出された直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth以上(Vdc≧Vth)であると判定された場合(ステップS105:N)、電子機器2内では以下のようにして電圧低減制御がなされる。
すなわち、まず制御部27が、例えば図15に示したように、ダミー負荷回路23内のダミー負荷Ra,Rbのうちの少なくとも1つ(この例では、ダミー負荷Raのみ)を、直流受電電圧Vdcの供給経路間に接続させる(ステップS107,図14中に示した電圧範囲A2参照)。具体的には、制御部27は、スイッチング素子SW2aがオン状態になると共にスイッチング素子SW2bがオフ状態となるように制御する。これにより図15中に示したように、そのダミー負荷Raに対して、直流受電電圧Vdcの供給経路(電力供給ラインLp)から電流Iaが流れるようになり、直流受電電圧Vdcが降下する。このようにして、直流受電電圧Vdcの低減制御(電圧低減制御)がなされる。
そのような電圧低減制御がなされた後、制御部27は、再度検出された直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満(Vdc<Vth)であるのか否かを判定する(ステップS108)。ここで、再度検出された直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満(Vdc<Vth)であると判定された場合(ステップS108:Y)、すなわち、電圧低減制御によって直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満に下がった場合には、前述したステップS106へと移行する。つまり、電子機器2から給電装置1に対し、通信を利用して本給電の開始要求が通知される。この場合も、その後の本給電の際に直流受電電圧Vdcが過大となってしまうおそれがなくなったためである。
一方、再度検出された直流受電電圧Vdcもが閾値電圧Vth以上(Vdc≧Vth)であると判定された場合(ステップS108:N)、すなわち、電圧低減制御がなされても依然として直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth以上である場合には、以下のようにして再度の電圧低減制御が行われる。つまり、制御部27は、ダミー負荷回路23内でダミー負荷を追加的に直流受電電圧Vdcの供給経路間に接続させるか、または、ダミー負荷をより負荷(例えば抵抗値)の大きいものに切り替える(ステップS109)。なお、このような再度の電圧低減制御の後は、再びステップS108に戻ることになる。
ここで、ダミー負荷を追加的に接続させる場合、具体的には例えば図16Aに示したようになる。すなわち、この例では、制御部27は、ダミー負荷Raに加えてダミー負荷Rbをも、直流受電電圧Vdcの供給経路間に接続させる。より具体的には、制御部27は、スイッチング素子SW2a,SW2bがいずれもオン状態となるように制御する。これにより図16A中に示したように、ダミー負荷Ra,Rbに対して、直流受電電圧Vdcの供給経路から電流Ia,Ibがそれぞれ流れるようになり、直流受電電圧Vdcが更に降下する。このようにして、直流受電電圧Vdcの更なる低減制御がなされる。
一方、ダミー負荷をより負荷の大きいものに切り替える場合、具体的には例えば図16Bに示したようになる。すなわち、この例において、ダミー負荷Raと比べてダミー負荷Rbのほうがその負荷が大きい場合、制御部27は、ダミー負荷Raの代わりにダミー負荷Rbを直流受電電圧Vdcの供給経路間に接続させる。より具体的には、制御部27は、スイッチング素子SW2aがオフ状態になると共にスイッチング素子SW2bがオン状態となるように制御する。これにより図16B中に示したように、より負荷の大きいダミー負荷Rbに対して、直流受電電圧Vdcの供給経路から電流Ibが流れるようになり、直流受電電圧Vdcが更に降下する。このようにして、直流受電電圧Vdcの更なる低減制御がなされる。
ここで、前述した、給電装置1側への本給電の開始要求の通知(ステップS106)の後は、次に、給電装置1から電子機器2に対し、予備給電と比べて高電力である本給電が開始される(ステップS110)。換言すると、この本給電では前述したように、給電装置1内の交流信号発生回路11がハーフブリッジ回路からフルブリッジ回路に切り替えられる。
このようにして本給電が開始されると、制御部27は充電部24を動作状態に切り替えることにより、電子機器2内で本負荷としてのバッテリー25が電力供給ラインLpに接続されるように設定する(ステップS111)。また、このステップS111では、それとともに、制御部27は、ダミー負荷Ra,Rbの双方を直流受電電圧Vdcの供給経路間から切り離す。具体的には、制御部27は、前述した図7に示したように、スイッチング素子SW2a,SW2bがいずれもオフ状態となるように制御する。これにより、ダミー負荷Ra,Rbに対して電流Ia,Ibがいずれも流れなくなり、直流受電電圧Vdcの低減制御が停止される。
そののち、電子機器2において、充電部24によって受電電力(本給電)に基づくバッテリー25への充電動作が行われる(ステップS112)。以上で、図12に示した給電・充電動作が終了となる。
以上のように本実施の形態では、給電装置1からの予備給電の際に検出された直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth以上である場合には、その直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満に下がるように電圧低減制御を行う。これにより、その後の本給電の際に、直流受電電圧Vdcが過大となってしまうのを回避することができる。換言すると、給電装置1側での給電電圧制御に起因した電子機器2内での過電圧の発生を、未然に防ぐことができる。よって、磁界を用いて給電を行う際の制御を適切に行うことが可能となる。
また、電子機器2内で素子耐圧Vb(ICの定格耐圧等)を低く抑えることが可能となるため、例えばICのチップ面積や製造コストを大きく低減することが可能となる。
更に、本実施の形態の電圧低減手法は、例えばツェナーダイオード等を用いた安全装置と異なり、上記したように過電圧の発生を未然に防ぐことができるため、電子機器2内で動作が不安定になることもない。
<変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[変形例1]
図17は、変形例1に係る受電電圧(直流受電電圧Vdc)とダミー負荷の接続状態との関係の一例を表したものである。本変形例では、ダミー負荷回路23は、負荷の大きさ(抵抗値等)が異なる複数種類(この例では3種類)のダミー負荷を有している。そして、制御部27は、直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth以上であると判定された場合には、その直流受電電圧Vdcの大きさに応じて複数種類のダミー負荷のうちから選択された種類のダミー負荷を直流受電電圧Vdcの供給経路間に接続させることで、電圧低減制御を行う。
具体的には、制御部27は、直流受電電圧Vdcが大きくなるのに従って、相対的に負荷の大きいダミー負荷を接続させるようにしている。つまり、図17に示した例では、直流受電電圧Vdcの値が閾値電圧Vth以上で大きくなるのに従って(電圧範囲A21→電圧範囲A22→電圧範囲A23と移行するのに従って)、(負荷:小)→(負荷:中)→(負荷:大)の順にダミー負荷の種類を切り替えて接続させている。
このようにして本変形例では、検出された直流受電電圧Vdcの大きさに応じて、負荷の大きさが異なる複数種類のダミー負荷のうちから選択された種類のダミー負荷を接続させるようにしたので、より細やかな電圧低減制御を行うことが可能となる。
なお、図17に示した例では、負荷の大きさが異なる3種類のダミー負荷を用いているが、これには限られず、負荷の大きさが異なる2種類あるいは4種類以上のダミー負荷を用いるようにしてもよい。
[変形例2]
図18は、変形例2に係る給電システム(給電システム4A)の構成例をブロック図および回路図で表したものである。本変形例の給電システム4Aは、上記実施の形態の給電システム4において、給電対象機器として電子機器2の代わりに電子機器2Aを備えたものに対応している。
電子機器2Aは、電子機器2において、ダミー負荷回路23を設けない(省く)ようにすると共に、制御部27の代わりに制御部27Aを設けたものとなっており、他の構成は基本的に同様となっている。
制御部27Aは、制御部27において、制御信号CTL3を用いた負荷電流IL(充電部24から本負荷としてのバッテリー25へ流れる充電電流)の制御機能を更に有するようにしたものである。これにより制御部27Aでは、この負荷電流ILの大きさを制御することで、受電電圧(直流受電電圧Vdc)の低減制御を行うことが可能となっている。
具体的には、直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth以上であると判定された場合、制御部27Aは、充電部24を動作状態に保持しつつ適当な負荷(ダミー負荷に相当)を設定することで、直流受電電圧Vdcを下げることを可能とする大きさの負荷電流ILが流れるように制御する。そして、直流受電電圧Vdcが閾値電圧Vth未満に下がった後は、制御部27Aは、負荷電流ILを適切な大きさに再設定する。このような負荷電流ILの制御によっても、上記実施の形態におけるダミー負荷の場合と同様の効果を得ることが可能となる。
また、本変形例の手法では、ダミー負荷を用いた場合とは異なり、電流を有効に利用することができるため、給電電力の利用効率を向上させることも可能となる。
<その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本開示の技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では各種のコイル(送電コイル,受電コイル)を挙げて説明しているが、これらのコイルの構成(形状)としては種々のものを用いることが可能である。すなわち、例えばスパイラル形状やループ形状、磁性体を用いたバー形状、スパイラルコイルを2層で折り返すように配置するα巻き形状、更なる多層のスパイラル形状、厚み方向に巻線が巻回しているヘリカル形状などによって、各コイルを構成することが可能である。また、各コイルは、導電性を有する線材により構成された巻き線コイルだけではなく、プリント基板やフレキシブルプリント基板などにより構成された、導電性を有するパターンコイルであってもよい。
また、上記実施の形態等では、給電対象機器の一例として電子機器を挙げて説明したが、これには限られず、電子機器以外の給電対象機器(例えば、電気自動車等の車両など)であってもよい。
更に、上記実施の形態等では、給電装置および電子機器の各構成要素を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備える必要はなく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。例えば、給電装置や電子機器内に、通信機能や何かしらの制御機能、表示機能、2次側機器を認証する機能、異種金属などの混入を検知する機能などを搭載するようにしてもよい。また、電圧低減部(ダミー負荷回路)の構成や電圧低減の手法についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の構成や手法であってもよい。具体的には、例えば、ダミー負荷回路内でのダミー負荷の個数は、上記実施の形態等で説明したもの(2つ)には限られず、1つあるいは3つ以上であってもよい。
加えて、上記実施の形態等では、電圧検出部22において整流回路21による整流後の受電電圧(直流受電電圧Vdc)を検出する場合を例に挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、例えば、整流回路21による整流前の受電電圧(交流受電電圧Vac)を検出し、これを電圧低減制御に利用するようにしてもよい。ただし、直流受電電圧Vdcのほうが交流受電電圧Vacと比べて検出し易いため、直流受電電圧Vdcを検出するようにするのが望ましいと言える。なお、ダミー負荷回路23の位置についても、上記実施の形態等のように整流回路21の後段側には限られず、例えば整流回路21の前段側に配置されているようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、主に、給電システム内に1つの電子機器のみが設けられている場合を例に挙げて説明したが、この場合には限られず、給電システム内に複数(2つ以上)の電子機器が設けられているようにしてもよい。
更に、上記実施の形態等では、給電装置の一例として、携帯電話機等の小型の電子機器(CE機器)向けの充電トレーを挙げて説明したが、給電装置としてはそのような家庭用の充電トレーには限定されず、様々な電子機器等の充電器として適用可能である。また、必ずしもトレーである必要はなく、例えば、いわゆるクレードル等の電子機器用のスタンドであってもよい。
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
給電装置から磁界を用いて給電された電力を受け取る受電部と、
前記受電部から供給される受電電圧を検出する電圧検出部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記給電装置から本給電よりも低電力である予備給電が行われている際に、
前記電圧検出部により検出された受電電圧が所定の閾値電圧以上である場合には、その受電電圧が前記閾値電圧未満に下がるように電圧低減制御を行う
電子機器。
(2)
1または複数のダミー負荷を有する電圧低減部を備え、
前記制御部は、前記ダミー負荷のうちの少なくとも1つを利用して前記電圧低減制御を行う
上記(1)に記載の電子機器。
(3)
前記制御部は、
前記受電電圧が前記閾値電圧以上である場合には、
前記ダミー負荷のうちの少なくとも1つを前記受電電圧の供給経路間に接続させ、そのダミー負荷に電流が流れるように制御することにより、前記電圧低減制御を行う
上記(2)に記載の電子機器。
(4)
前記制御部は、前記予備給電後において、前記本給電が開始されて本負荷が接続状態に設定された後に、前記ダミー負荷を前記供給経路間から切り離す
上記(3)に記載の電子機器。
(5)
前記電圧低減部は、負荷の大きさが異なる複数種類の前記ダミー負荷を有し、
前記制御部は、
前記受電電圧が前記閾値電圧以上である場合には、
その受電電圧の大きさに応じて前記複数種類のダミー負荷のうちから選択された種類のダミー負荷を、前記供給経路間に接続させる
上記(3)または(4)に記載の電子機器。
(6)
前記制御部は、
前記受電電圧が大きくなるのに従って、相対的に負荷の大きいダミー負荷を前記供給経路間に接続させる
上記(5)に記載の電子機器。
(7)
前記ダミー負荷のうちの少なくとも1つが前記供給経路間に接続された後に、依然として前記受電電圧が前記閾値電圧以上である場合には、
前記制御部は、前記ダミー負荷を追加的に前記供給経路間に接続させるか、または、前記ダミー負荷をより負荷の大きいものに切り替える
上記(3)ないし(6)のいずれかに記載の電子機器。
(8)
前記制御部は、本負荷に流れる負荷電流の大きさを制御することにより、前記電圧低減制御を行う
上記(1)に記載の電子機器。
(9)
前記制御部は、前記受電電圧が前記閾値電圧未満に下がった後に、前記本給電の開始要求を前記給電装置に対して通知する
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の電子機器。
(10)
前記制御部は、
前記給電装置から前記本給電が開始された後に、
本負荷としての2次電池を接続状態に設定し、前記本給電に基づく前記2次電池への充電動作を開始させる
上記(9)に記載の電子機器。
(11)
前記閾値電圧が、前記電子機器内の素子耐圧の半分未満の値に設定されている
上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の電子機器。
(12)
前記閾値電圧の値が、前記受電部により受け取った受電電力の大きさに応じて変化するように設定されている
上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の電子機器。
(13)
前記受電電圧を整流する整流回路を備え、
前記電圧検出部は、前記整流回路による整流後の受電電圧を検出する
上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の電子機器。
(14)
1または複数の電子機器と、
前記電子機器に対して磁界を用いた給電を行う給電装置と
を備え、
前記電子機器は、
前記給電装置から給電された電力を受け取る受電部と、
前記受電部から供給される受電電圧を検出する電圧検出部と、
制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記給電装置から本給電よりも低電力である予備給電が行われている際に、
前記電圧検出部により検出された受電電圧が所定の閾値電圧以上である場合には、その受電電圧が前記閾値電圧未満に下がるように電圧低減制御を行う
給電システム。